JP3629747B2 - X線管 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、X線管、特に陰極部材のスパッタリングを防止することのできる陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線管の陰極は、図3に示すように、端部に切り込みを設けた電極本体1の斜面部に凹部1aが形成され、更に該凹部1aの底部に溝1bを設け、ここに図4に示すようなフィラメント5を配置するようになっている。そしてフィラメント5はそれぞれフィラメントアンカ6により保持され、このフィラメントアンカ6は前記溝1bに達するように穿設された孔11に挿入されて配置されインシュレ−タ7により保持される。陰極は、その形状及びフィラメント5の取り付け位置の精度により焦点の大きさが大きく左右されるため、高精度に加工されている。また、X線管には高電圧が印加されるため誘導された電子・イオン等が電極に衝突するが、陽極側には特に電子・イオン等が衝突するためタングステン或いはモリブデン等の金属が使用される。この場合、陰極は陽極ほど温度があがらないため真空特性や他の部材との溶接性等を考慮してニッケル(Ni)またはその合金若しくは鉄(Fe)又はその合金で製作されるのが通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記するように、陰極線管で使用されるニッケル(Ni)或いは鉄(Fe)等の金属は構造材料としては蒸気圧が低く、また電子・イオンによるスパッタ収率も低い部類ではあるが、X線管内、特に陰極にも高エネルギ−の電子・イオンが衝突するためニッケル(Ni)或いは鉄(Fe)等の金属であってもスパッタされることがある。即ち、X線管の動作時陰極も陽極の輻射熱或いはフィラメントの熱により高温となりスパッタリングとあいまって融点以下の温度でも溶け出すという現象が生じることがあった。このため近年、更に蒸気圧の高い、またスパッタ収率の低いモリブデン(Mo)やその合金を用いる試みがなされているが、この場合、加工性或いは溶接性が悪く形状や他部材との接合が難しいという難点があった。そして実際に使用している間に溶接が外れたり、或いは寸法精度が出ないために焦点寸法不良を生じることがあった。
【0004】
この発明は上記する課題に着目してなされたものであり、X線管動作中にスパッタすることが殆どなく、高電圧及び高温に対しても溶接不良等が生じることがなく且つ寸法精度も確保することのできるX線管を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、この発明は上記する課題を解決するために、請求項1に記載のX線管は、電極本体陰極側に形成した凹部に、フィラメントを固定したフィラメントアンカを、インシュレ−タで保持させて固定したフィラメント固定具をスライド可能に嵌め入れ、前記電極本体に設けたねじ穴にセットスクリュを螺合させ、該セットスクリュにより前記フィラメント固定具を、前記電極本体凹部内で深さ方向に移動調整して、前記電極本体に別個に設けたねじ穴に螺合させたセットスクリュにより押圧固定してなることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記電極本体の陰極部周囲は高融点金属のタンタル若しくはモリブデン若しくはチタン若しくはタングステン或いはこれらの合金を用いて製作すると共に前記フィラメント固定具はニッケル若しくは鉄或いはこれらの合金で製作したことを特徴とする。
【0006】
【作用】
X線管を上記手段としたときの作用について説明する。
請求項1に記載の手段によれば、フィラメント固定具4は裏面中央部と側方のセットスクリュ3により微調整可能として安定的に固定することができるためフィラメント5の深さも容易に微調整可能となり、焦点形成に必要な精度を維持することができる。また、フィラメント固定具4の各部の接合或いは固定も容易である。
また、請求項2に記載の手段によれば、電極本体1の陰極部周囲は、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)或いはこれらの合金等の高融点金属が用いられているため電子・イオン等によるスパッタリングは生じにくい。そして該電極本体1の陰極部の凹部1a内に設置されるフィラメント固定具4はニッケル(Ni)またはその合金若しくは鉄(Fe)またはその合金で製作されるが、スパッタリングの生じにくい材料により製作された該電極本体1により保護されることになる。
【0007】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照して説明する。
図1はこの発明のX線管の陰極部分を示す一部断面図、図2は図1のQ矢視図(図1は図2のA−B−C−D矢視図)である。尚、重複を避けるため同一構成要素には従来例で説明した符号と同一の符号を使用する。
電極本体1の陰極側には凹部1aを形成し、更に該凹部1aには裏側から該凹部1aに達する穴1bが穿設され、更に該電極本体1の側面1c及び底面1d中央部にはねじ穴1e、1fが設けられここにセットスクリュ2、3が螺合させてある。
【0008】
図1に示すように、フィラメント固定具4の上端部に溝4aが形成されると共に裏側にはインシュレ−タ(絶縁体)用の孔4bと該孔4bから溝4aに通じるようにフィラメントアンカ6用の孔4cが穿設されている。そして該フィラメント固定具4には、フィラメント5が溝4aに位置するように固定される。この場合、該フィラメント5を固定して取り付けたフィラメントアンカ6をフィラメント固定具4に穿設した孔4cに通して嵌め入れ、裏側からインシュレ−タ7で該フィラメントアンカ6を保持させ絶縁して固定する。従ってフィラメント5はフィラメントアンカ6に固定され、該フィラメントアンカ6はインシュレ−タ7によりフィラメント固定具4に固定されて保持されることになる。
【0009】
前記電極本体1の陰極部周囲は高融点金属、例えばタンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)或いはこれらの合金が用いられるが、好適例としてはモリブデン(Mo)或いはMo合金のTZM(登録商標)が用いられる。このようなMo合金やタンタル(Ta)等の金属は真空中での蒸気圧が低いのみならず電子・イオン等によるスパッタリングも少ない。
【0010】
前記フィラメント固定具4はニッケル(Ni)またはその合金若しくは鉄(Fe)またはその合金で製作される。前記フィラメント5とフィラメントアンカ6との固定はカシメや鑞接等により接合固定し、フィラメントアンカ6とインシュレ−タ7との固定はスポット溶接やプラズマ溶接等の方法により接合固定する。また、インシュレ−タ7はフィラメント固定具4に対してスポット溶接やプラズマ溶接或いはカシメ等の方法により固定されるが、フィラメント固定具4はニッケル(Ni)またはその合金若しくは鉄(Fe)またはその合金であるため固定は容易である。
【0011】
前記電極本体1に形成した凹部1aには、フィラメント固定具4が配置されるが、該フィラメント固定具4はねじ穴1fに螺合させたセットスクリュ3で適度な深さで止めてから前記ねじ穴1eに螺合させたセットスクリュ2で押さえ付けて固定する。即ち、フィラメント5の電極本体1表面からの深さ(L)は焦点の大きさに密接に関係があり且つX線管の性能を大きく左右するため精度が要求される。このため電極本体1に嵌め入れた該フィラメント5を固定設置するフィラメント固定具4をセットスクリュ2、3により微調整可能としてフィラメント深さ(L)を調整し、最適位置として固定することができる。
【0012】
このX線管の構成は以上のようであるが、次にその動作について説明する。
前記フィラメント固定具4は裏面中央部と側方のセットスクリュ3により微調整可能として安定的に固定することができるためフィラメント5の深さも容易に微調整可能となり、焦点形成に必要な精度を維持することができる。また、フィラメント固定具4の各部の接合或いは固定も容易である。
また、前記電極本体1の陰極部周囲は、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)或いはこれらの合金等の高融点金属が用いられているため電子・イオン等によるスパッタリングは生じにくい。そして該電極本体1の陰極部の凹部1a内に設置されるフィラメント固定具4はニッケル(Ni)またはその合金若しくは鉄(Fe)またはその合金で製作されるが、スパッタリングの生じにくい材料により製作された該電極本体1により保護されることになる。
【0013】
【発明の効果】
以上詳述したような構成としたこの発明のX線管によれば、動作中に陰極部を構成する各部材がスパッタされることは殆どなくなり、高電圧や高温に対しても安定性を確保することができる。また、フィラメント深さの微調整が可能となるので高精度の焦点形成が容易となり性能も大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のX線管の陰極部分を示す一部断面図であり、図2のA−B−C−D矢視図である。
【図2】図1のQ矢視図である。
【図3】従来のX線管の電極部分を示す断面図である。
【図4】X線管で用いられるフィラメントとフィラメントアンカ部分の図である。
【符号の説明】
1 電極本体
1a 凹部
2、3 セットスクリュ
4 フィラメント固定具
5 フィラメント
6 フィラメントアンカ
7 インシュレ−タ
Claims (2)
- 電極本体陰極側に形成した凹部に、フィラメントを固定したフィラメントアンカを、インシュレ−タで保持させて固定したフィラメント固定具をスライド可能に嵌め入れ、前記電極本体に設けたねじ穴にセットスクリュを螺合させ、該セットスクリュにより前記フィラメント固定具を、前記電極本体凹部内で深さ方向に移動調整して、前記電極本体に別個に設けたねじ穴に螺合させたセットスクリュにより押圧固定してなるX線管。
- 電極本体の陰極部周囲は高融点金属のタンタル若しくはモリブデン若しくはチタン若しくはタングステン或いはこれらの合金を用いて製作すると共にフィラメント固定具はニッケル若しくは鉄或いはこれらの合金で製作したことを特徴とする請求項第1項記載のX線管。
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1995
- 1995-02-28 JP JP06706595A patent/JP3629747B2/ja not_active Expired - Fee Related
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