JP2005201639A - 水素濃度検出器及びこれを用いた燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定ガス中の水素濃度を高濃度域まで精度よく検出できる水素濃度検出器を提供する。
【解決手段】支持体11a,11b、第1プロトン伝導性固体電解質体21、第1〜第4電極22a〜22d、第1水素ポンピング回路40、水素センシング回路50によってプロトン伝導性固体電解質型の水素濃度検出手段が構成され、支持体11a,11c、プロトン伝導性固体電解質体31、第5,6電極32a、32b、第2水素ポンピング回路60によって被測定ガス希釈手段が構成される。被測定ガス導入孔12より拡散流入された被測定ガス1は、中間空室13にて、被測定ガス希釈手段により生成された希釈ガスにより希釈される。そして、この希釈された被測定ガスの水素濃度検出値と希釈度合とから被測定ガスの水素濃度を算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被測定ガス中の水素濃度を検出する水素濃度検出器及びこれを用いた燃料電池システムに関する。
被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサとして、酸素イオン伝導性固体電解質を用いたものやプロトン伝導性固体電解質を用いたものが知られている。
酸素イオン伝導性固体電解質を用いたセンサとしては、自動車の排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサや酸素濃度から空燃比を求める空燃比センサ等がある(非特許文献1、2参照)。また、このような酸素イオン伝導性固体電解質を用いたセンサは、酸素以外のガスにも反応することから、水素濃度を検出する場合にも適用されている(特許文献1参照)。
一方、プロトン伝導性固体電解質を用いたセンサとしては、被測定ガス中の水素濃度を検出する水素濃度センサが提案されている(特許文献2、3、4参照)。
特開2000−9685号公報 特公平7−31153号公報 特開2001−215214号公報 特開2002−310978号公報 SAEペーパー(NO.850378) 自動車技術Vol.41、NO.12、p.1414−1418
ところで、近年、高効率かつクリーンな動力源として盛んに研究開発が行われている「燃料電池(発電)システム」においては、低温(例えば、200℃以下)であっても安定して動作するガスセンサが望まれている。
しかし、前記酸素イオン伝導性固体電解質を用いたセンサは、500〜900℃という高温でしか安定して動作しないため、「燃料電池システム」には適用することができない。また、前記プロトン伝導性固体電解質を用いたセンサは、低温で動作するものの、酸素イオン伝導性固体電解質を用いた酸素濃度センサと同様の原理(拡散律速によって得られる限界電流から対象ガス濃度を検出する方式)であるため、高濃度域まで正確に検出することが困難であった。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、低温で安定して動作し、被測定ガス中の水素濃度を高濃度域まで精度よく検出できる水素濃度検出器、及び、これを用いた燃料電池システムを提供することを目的とする。
このため、本発明では、被測定ガス希釈手段により被測定ガスを希釈し、この希釈した被測定ガス中の水素濃度をプロトン伝導性固体電解質型の水素濃度検出手段で検出し、被測定ガスの希釈度合と水素濃度検出手段の検出値とから被測定ガスの水素濃度を算出することにより、被測定ガスの水素濃度を検出するようにした。
本発明によると、高濃度の水素が含まれる被測定ガスに対しても、比較的微量の希釈ガスで検出器内部の水素濃度(すなわち、プロトン伝導性固体電解質型の水素濃度検出手段が検出すべき水素濃度)を測定可能な濃度にまで減じることができ、測定可能範囲を高濃度側へと拡大することができる。これにより、高濃度域まで精度よく水素濃度を検出することができ、純水素型燃料電池システムへの適用も可能となる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで図示するものは現実のセンサの大きさなど寸法を表しているものではなく、構成及び作用を解り易く説明するためのものである。
図1は、本発明に係る水素濃度検出器の第1実施形態を示している。
図1において、被測定ガス1に接触するようにセンサ素子(検出器)100Aが設置されている。このセンサ素子100Aは、支持体11a,11bで第1のプロトン伝導性固体電解質体(以下、単に第1電解質体という)21を挟持し、この第1電解質体21の両面に第1電極22a、第2電極22b、第3電極22c、第4電極22dが形成されている。これらの電極22a〜dは、白金(あるいは白金を含む合金)を担持した多孔質体であり、第1電極22aは第1空室23aに、第2電極22bは第2空室23bに、第3電極22cは第3空室23cに、第4電極22dは第4空室23dに、それぞれ配置されている。
被測定ガス1は、第1被測定ガス導入孔12から、中間空室13、検出対象ガス導入孔13aを介して第1空室23aへと導かれるとともに、第1電極22aに到達する。ここで、検出対象ガス導入孔13aは、第1被測定ガス導入孔12より十分に小さく(拡散抵抗で1/10〜1/100になる程度に)設定されている。
第1空室23aは、通路23eによって第3空室23cに連通しており、第1空室23aに導入された被測定ガス1は、さらに第3電極22cにも到達する。また、第2空室23bは、第1被測定ガス導入孔12より十分大きな第1連通孔24を介し被測定ガス1側に連通している。なお、第4空室23dは、ほぼ密封に近い状態を形成している。
さらに、第3空室23cの水素分圧(濃度)P1を検出する水素センシング回路50が、第3電極22cと第4電極22dとの間で電気的に接続されるように設けてあり、また、第1電極22aと第2電極22bとの間には、第1電極22a側から第2電極22b側にプロトンを輸送できるように第1の水素ポンピング回路40が設けてある。
以上の部分が水素濃度検出部(水素濃度検出手段)を構成するもので、かかる構成での(水素濃度検出部の)作用について説明する。
被測定ガス1は、第1被測定ガス導入孔12を介してセンサ素子100A内に導入され、さらに所定の拡散抵抗を有する検出対象ガス導入孔13aによって第1空室23aへの導入が制限される。従って、本実施形態において、第1被測定ガス導入孔12及び検出対象ガス導入孔13aが第1拡散律速手段に相当する。
第1空室23aへの導入量のうち水素は、中間空室13内の被測定ガス1の水素濃度C1と第1空室23a内(=第3空室23c内)の水素濃度C2との濃度差に依存する。ここで、第1空室23a内(=第3空室23c内)の水素濃度C2を一定(例えば、ほぼ0)とするように、第1の水素ポンピング回路40を駆動すれば、この第1の水素ポンピング回路40に流れるポンピング電流Ip1は、被測定ガス1中の水素濃度C1に相関(比例)したものとなる。なお、上述したように検出対象ガス導入孔13aは、第1被測定ガス導入孔12より十分小さく設定されているので、中間空室13内の水素濃度C1は被測定ガス1中の水素濃度とみなすことができる。
このポンピング電流Ip1と、中間空室13の水素濃度(すなわち、被測定ガス1中の水素濃度)C1と、第1空室23a内の水素濃度C2との関係は次式(1)のように表すことができる。
Ip1=(nF/RT)DPA(C1−C2)/L …(1)
ここで、n:電荷の数(水素=2)、F:ファラデー定数、R:ガス定数、T:ガス温度、D:水素の拡散係数、P:ガス圧力、A:拡散有効面積、L:拡散有効距離、C1:中間空室13内(=被測定ガス1中の水素濃度)の水素濃度、C2:第1空室23a(=第3空室23c)内の水素濃度、である。
第1空室23a内(=第3空室23c内)の水素濃度C2は、水素センシング回路50で検知され、その検知結果を第1の水素ポンピング回路40にフィードバックして水素濃度C2がほぼ0になるように第1のポンピング回路40を駆動している。
なお、この実施形態における水素センシング回路50は、第3電極22cと第4電極22dとの間で水素濃淡電池(起電力Vs)を形成しているが、第3電極22cの代わりに第1電極22aとしても問題なく、また、この起電力Vsは、一般に知られる「ネルンストの式」で表されるものである。ここで、第4空室23dは、水素センシング回路50で第3空室23c内の水素濃度C2がほぼ0であることを判定するために、比較的高濃度(20%程度で可)の水素雰囲気とする必要があるが、第1電極22aから第1電解質体21を介して第4電極22dに僅かな水素を輸送することで作り出せる。
上記(1)式から分かるように、第1空室23a(=通路23e=第3空室23c)内の水素濃度C2をほぼ0(水素分圧=10-10atm程度)とすれば、水素ポンピング電流Ip1から被測定ガス1中の水素濃度C1を求めることができる。
ただし、この関係も水素濃度C1が低い領域では成立するが、高濃度領域では成立が困難となる。これは水素のポンピング(汲み出す)作用によって、第1空室23a(=通路23e=第3空室23c)内の圧力が減圧され、上記(1)式を成立させる拡散律速が崩れ、濃度差だけでなく圧力差によるガス流入も加わるためである。
そこで、本発明では、中間空室13内の水素濃度を希釈するように、以下に説明する構成(被測定ガス希釈手段)を備える。
すなわち、センサ素子100Aは、上述した構成に加えて、支持体11a,11cで第2のプロトン伝導性固体電解質体(以下、単に第2電解質体という)31を挟持し、この第2電解質体31の両面に第5電極32a、第6電極32bが形成されている。これらの電極も前記第1〜4電極22a〜dと同様に、白金(あるいは白金を含む合金)を担持した多孔質体であり、第5電極32aは第5空室33aに、第6電極32bは第6空室33bに配置されている。
被測定ガス1は、第2被測定ガス導入孔14から第5空室33aへと導かれるとともに、第5電極32aに到達する。第6空室33bは、第2被測定ガス導入孔14より十分大きな第2連通孔34を介し被測定ガス1に連通している。なお、この第2被測定ガス導入孔14は、第1被測定ガス導入孔12(及び検出対象ガス導入孔13a)より大きく設定されており、本実施形態において、この第2被測定ガス導入孔14が第2拡散律速手段に相当する。
また、第5電極32aと第6電極32bとの間には、第5電極32a側から第6電極32b側にプロトンを輸送できるように第2の水素ポンピング回路60が設けてある。
さらに、第5空室33aと中間空室13とを連通するように希釈ガス取入口15a、希釈ガス流入孔15が設けられている。なお、図に示すように、第5空室33aにおいて、希釈ガス取入口15aは、第2被測定ガス導入孔14から被測定ガス1が流入する流入口14aから離れた位置に設けられている。
次に、以上の構成での(被測定ガス希釈手段の)作用について説明する。
第2の水素ポンピング回路60を駆動して、第5空室33a内に流入した被測定ガス1中の水素のほぼ全量を第6空室33b側に汲み出す。このとき、第2電解質体31内をプロトンが移動するが、その際、同時に水も移動する。よって、被測定ガス1中の水(水蒸気)も第2電解質体31に吸収されることとなり、この結果、第5空室33a内に残る成分は水素・水蒸気以外のガスということになる。
従って、例えば、被測定ガス1中に窒素(N2)が存在している場合、上記のように第5空室33a内の水素を汲み出すと、第5空室33a内はN2が相対的に高濃度となる。そして、このN2は第5空室33aから出ようと働き、その出口としては流入孔14aと希釈ガス取入口15aとの2ヶ所存在するので、希釈ガス流入孔15を介して中間空室13へも到達することになる。
つまり、この例では、第2の水素ポンピング回路60を駆動して被測定ガス中のN2を高濃度化することで被測定ガスから希釈ガスを生成し、このN2によって中間空室13内の被測定ガスの水素濃度、すなわち、検出対象ガスの水素濃度がC1′(<C1)となり、被測定ガス1の水素濃度C1から希釈される。従って、上記構成(被測定ガス希釈手段)のうち、希釈ガス流入孔15を除いた部分が希釈ガス生成手段に相当する。
ここで、前記水素検出部における、このときのポンピング電流(第1のポンピング回路40のポンピング電流)Ip1と水素濃度との関係は次式(2)のように表すことができる。
Ip1=(nF/RT)DPA(C1′−C2)/L …(2)
すなわち、上記(1)式におけるC1がC1′に置換されるものである。このC1とC1′との関係は次式(3)で表される。
C1=K・C1′ (3)
なお、Kは希釈率である。この希釈率Kは、第1被測定ガス導入孔12、第2被測定ガス導入孔14及び希釈ガス流入孔15のそれぞれのガス拡散律速(ガス導入・流入量)の大きさでほぼ決まる。ここで、第2被測定ガス導入孔14を第1被測定ガス導入孔12より大きく(ガス拡散量を多く)するほど希釈率(中間空室13内の被測定ガスの希釈率)Kが増大し、また、希釈ガス流入孔15を第2被測定ガス導入孔14より大きく(ガス拡散量を多く)するほど希釈率Kが増大する関係にある。なお、これらの関係は用途に応じて設定すればよい(所望の希釈率となるように、第1被測定ガス導入孔12、第2被測定ガス導入孔14及び希釈ガス流入孔15を設定すればよい)。また、希釈率Kについては、既知の検量ガスを用いて予め求めておくこともできる。
以上より、上記(2)式から希釈された中間空室13内の被測定ガスの水素濃度C1′が求まり、上記(3)式から被測定ガス1の水素濃度C1が算出される。すなわち、中間空室13内の被測定ガスを希釈した分だけ、上記(2)式が成立する被測定ガス1中の水素濃度C1が高濃度側に拡大されることとなり、実質的に水素濃度の測定可能範囲が(高濃度側に)広がるのである。
図2は、被測定ガス1の水素濃度(%)とセンサ出力(ポンピング電流Ip1)との関係を示したものである。希釈しないとき(すなわち、被測定ガス1そのまま)の水素濃度とセンサ出力との関係をS1線で、所定の希釈率で希釈したときの水素濃度とセンサ出力との関係をS2線で表す。S0線はセンサ出力限界である。この図からも明らかなように、被測定ガスを希釈することで、より高濃度領域までセンサ出力がS0線(出力限界)内にあることが分かる。
この実施形態によると、被測定ガスを所定の希釈率で希釈し、この希釈した被測定ガスの水素濃度を検出し、該検出値と希釈率とから被測定ガスの水素濃度を算出するようにしたので、被測定ガスの水素濃度測定(検出)範囲を実質的に高濃度側へと拡大できる。これにより、より高濃度域での水素濃度を精度よく測定(検出)でき、例えば、純水素型燃料電池システムへの適用が可能となる
また、被測定ガスを検出器内に導入し、プロトン伝導性固体電解質を用いて、導入した被測定ガスの水素を外部に汲み出すことで希釈ガスを生成し、この希釈ガスによって被測定ガスを希釈するようにしており、検出器自身が被測定ガスを希釈する被測定ガス希釈手段を内蔵しているので、外部から希釈ガスを導入する必要がなく、検出器全体の構成がシンプルで小型・軽量化が図れると共に、応答性を損なうこともない。
また、第2律速手段としての第2被測定ガス導入孔14は、第1律速手段としての第1被測定ガス導入孔12(及び検出対象導入孔13a)より大きく設定されており、第1律速手段よりもガス拡散量が多いので、例えば、燃料電池システムの水素循環路など被測定ガス中に存在する第3成分(N2等)が微量のときでも、この第3成分(N2)の濃度を増大させて希釈ガスを生成し、(中間空室13)に供給することができ、常に、被測定ガスの水素濃度を検出できる(検出器として動作する)。
また、生成した希釈ガスは、希釈ガス流入孔15を介して、第1律速手段としての第1被測定ガス導入孔12と検出対象ガス導入孔13aの間に位置する中間空室13に供給される(すなわち、第1拡散律速手段の途中に導かれる)ので、この中間空室13内の被測定ガスを希釈できればよく、比較的微量の希釈ガスによって、水素濃度測定(検出)範囲を高濃度側に拡大することができ、低濃度域から高濃度域まで連続的に水素濃度測定が可能となる。
ところで、被測定ガスの水素濃度にかかわらず、常に被測定ガスを希釈して水素濃度測定(検出)を行うことにすると、低濃度域における検出感度が損なわれることになる。そこで、被測定ガスを希釈するか否かを切換え制御することが考えられる。すなわち、上記実施形態において、被測定ガス希釈手段を、低濃度側(0〜X点)は希釈しない、高濃度側(Y点〜Z点)は希釈するというように、X、Y点で被測定ガス希釈手段の駆動(ON/OFF)を切換え制御する(図2参照)。
これにより、低濃度域の検出感度を損なうことなく、高濃度領域まで検出可能範囲を拡大できるのである。特に、希釈ガス生成手段を水素濃度検出手段の近傍に形成していること、また、希釈のON/OFFは電気化学によるスイッチングであるため瞬時に切換えられることから、切換え時の応答遅れの問題等も無い。
このように、被測定ガス希釈手段を、水素濃度検出手段の検出値に応じてON/OFFすることにより、希釈無しでも測定可能な範囲は、希釈をOFFすることで、高い検出感度で測定できることから、特に低濃度領域での精度を悪化させること無く、全域にわたって検出精度を高精度にできる。
図3は、本発明に係る水素濃度検出器の第2実施形態を示している。なお、上記第1実施形態と同一部分については同一符号を付けて説明を省略する。
図3に示すように、第2実施形態に係るセンサ素子100Bは、第1実施形態(図1参照)に対して、検出対象ガス導入孔13aを第1被測定ガス導入孔12より十分大きく設定している点が相違する。但し、第1被測定ガス導入孔12及び希釈ガス流入孔15は、第1実施形態に対して十分小さく設定されており、水素濃度測定(検出)のための所定の拡散抵抗を有する。
従って、かかる第2実施形態においては、中間空室13内の被測定ガスを希釈する作用は同じであるが、第1実施形態では、被測定ガス1中の水素濃度C1が中間空室13内の水素濃度とみなせるのに対して、本実施形態では、第1空室23a内の水素濃度C2が中間空室13内の水素濃度と見なせることになる。
すなわち、検出対象ガス導入孔13aを大きく開放することにより、濃度的には、ほぼ中間空室13=第1空室23a=通路23c=第3空室23cとなり、第1空室23a内の水素濃度がC2′に希釈される(C2→C2′)。ここで、このときのポンピング電流Ip1と水素濃度との関係は次式(4)のように表すことができる。
Ip1=(nF/RT)DPA(C1−C2′)/L …(4)
すなわち、上記(1)式におけるC2がC2′に置換されるものである。このC2′は、第1実施形態と同様、第1空室23a(=第3空室23c)内の水素濃度C2′がほぼ0(水素分圧=10-10atm程度)となるようにポンピング電流Ip1が制御されることになるが、希釈ガス量分だけポンピング電流Ip1が減じたところで制御が平衡する。従って、第1空室23a内の水素濃度が希釈された分だけ、上記(4)式が成立する被測定ガス1中の水素濃度C1が高濃度側に拡大され、第1実施形態と同様に、水素濃度の測定可能範囲が(高濃度側に)広がるのである(図2参照)。
この実施形態によると、上記第1実施形態と同様、被測定ガスの水素濃度測定範囲を高濃度側に拡大できる共に、被測定ガス導入孔12及び希釈ガス流入孔15が第1実施形態に対して十分小さく設定されているので、中間空室13内の被測定ガス(水素濃度)を希釈するための希釈ガスの量が極めて少なくて済み、第2電解質体31、第5電極32a、第6電極32b等の希釈ガスを生成するための構成(希釈ガス生成手段)をより小さくできる(検出器全体のさらなる小型化・軽量化を図ることができる)。
図4は、本発明に係る水素濃度検出器の第3実施形態を示している。なお、上記第2実施形態と同一部分については同一符号を付けて説明を省略する。
図4に示すように、第3実施形態に係るセンサ素子100Cは、第2実施形態に係るセンサ素子100A、Bが水素濃度検出手段と被測定ガス希釈手段とを2段構造としたのに対し、1段構造とし、1つのプロトン伝導性固体電解質体21上に第1〜第6までのすべての電極を形成している点が相違する。
すなわち、希釈ガス流入孔15は、第3空室23cと第5空室33aとを連通する通路としての機能を有し、この希釈ガス流入孔15′を介して生成された希釈ガスが第3空室23c内(すなわち、水素濃度検出部)に流入し、第3空室23c(=第1空室23a)内の水素濃度がC2′に希釈される(C2→C2′)。その他の作用効果は第2実施形態と同じである。
この実施形態によると、第2実施形態に対して、プロトン伝導性固体電解質体が1つで済むので、第2実施形態と同様の効果を得ながら、製造コストを格段に低減できる。
また、生成した希釈ガスは、希釈ガス流入孔15′を介して第3空室23c(=第1空室23a)内に直接導かれるので、ある程度の低濃度域まで検出感度を低下させることがない。
次に、上述した水素濃度検出器を燃料電池システムに適用した例を説明する。
図5は、燃料電池システム200の水素極ラインに、上述した水素濃度検出器101及び/又は102を装着した例である。
図5において、水素濃度検出器101は、燃料電池本体230の燃料極232の入口側ライン211に装着されている。これにより、燃料電池の運転時、高濃度水素状態である入口の水素濃度をリアルタイムに検出でき、燃料(水素)供給制御装置210に水素濃度状態を常時フィードバックすることで、燃料供給制御の精度向上を図ることができる。
一方、もう一つの水素濃度検出器102は、燃料電池本体230の燃料極232の出口側ライン212に装着されている。これにより、入口側と同様に、出口の水素濃度をリアルタイムに検出でき、循環水素系(ライン212、213、循環器214)の途中から外部にパージできるように配置されたパージ制御装置215によるパージ制御に、水素濃度状態を常時フィードバックすることで、効率的なパージの実現が促進される。
さらには、上記入口側水素濃度検出器101、出口側水素濃度検出器102の両方と、燃料電池本体230が発電した発電量(電気負荷240に流れる電流値)とを用いれば、ガス濃度情報からガス流量を求めることもできる。なお、ガス流量を求める方法としては、例えば、本願出願人が先に出願した特願2002−242316号、特願2003−37014号で提案しているものがある。
この方法で求められるガス流量は、水素のみの質量流量とすることが可能であり、燃料電池システム制御においては、水素質量流量は極めて重要なパラメータの1つであることから、本発明の水素濃度検出器を用いることで、燃料電池システムの効率向上が期待できる。なお、図5において、220は空気供給制御器、233は空気極である。
この実施形態によると、水素濃度検出器を燃料電池システム、特に、その燃料供給制御及び/又は水素パージ制御に用いるので、次ような効果が得られる。
すなわち、燃料供給制御においては、燃料電池本体入口での水素濃度がリアルタイムに検出できることから、水素濃度検出器の検出値(検出濃度)と予め設定していた目標濃度との比較が瞬時にでき、その比較結果を燃料供給制御にフィードバックが可能となるので、燃料供給制御の性能向上が図れる。
また、水素パージ制御においては、燃料電池本体出口での水素濃度がリアルタイムに検出できる。このため、常時、水素濃度検出器の検出値(検出水素濃度)と水素パージ制御の目標濃度とを比較することで、前述同様に、フィードバックが可能となり、水素パージ制御の性能向上が図れる。
本発明の第1実施形態を示す構成図である。 水素濃度と水素濃度検出器(センサ)出力との関係を示した図である。 本発明の第2実施形態を示す構成図である。 本発明の第3実施形態を示す構成図である。 本発明に係る水素濃度検出器を燃料電池システムに装着した例を示した図である。
符号の説明
1…被測定ガス、12…第1被測定ガス導入孔、13…中間空室、13a…検出対象ガス導入孔、14…第2被測定ガス導入孔、15…希釈ガス導入孔、21,31…プロトン伝導性固体電解質体、22a〜d…第1電極〜第4電極、32a,b…第5,6電極、40…第1の水素ポンピング回路、50…水素センシング回路、60…第2の水素ポンピング回路、100A〜C,101,102…水素濃度検出器(センサ素子)

Claims (8)

  1. 被測定ガスを希釈する被測定ガス希釈手段と、
    前記被測定ガス希釈手段によって希釈された被測定ガス中の水素濃度を検出する、プロトン伝導性固体電解質型の水素濃度検出手段と、を備え、
    前記被測定ガス希釈手段による希釈度合と前記水素濃度検出手段の検出値とから前記被測定ガスの水素濃度を算出することを特徴とする水素濃度検出器。
  2. 前記被測定ガス希釈手段は、前記被測定ガス中の水素を汲み出すことで該被測定ガスから希釈ガスを生成する、プロトン伝導性固体電解質を用いた希釈ガス生成手段を有し、
    前記希釈ガス生成手段の生成した希釈ガスによって前記被測定ガスを希釈することを特徴とする請求項1記載の水素濃度検出器。
  3. 前記水素濃度検出手段は、前記被測定ガスを制限して拡散流入させる第1拡散律速手段を有し、
    前記被測定ガス希釈手段は、前記被測定ガスを制限して前記希釈ガス生成手段に拡散流入させる第2拡散律速手段を有し、
    前記第2拡散律速手段が、前記第1拡散律速手段よりもガス拡散量が多いことを特徴とする請求項2記載の水素濃度検出器。
  4. 前記被測定ガス希釈手段は、生成した希釈ガスを前記水素濃度検出手段に導くことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の水素濃度検出器
  5. 前記被測定ガス希釈手段は、生成した希釈ガスを前記第1拡散律速手段の途中に導くことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の水素濃度検出器。
  6. 前記水素濃度検出手段は、希釈されていない被測定ガスの水素濃度を検出可能に構成され、
    前記被測定ガス希釈手段は、前記水素濃度検出手段が前記希釈されていない被測定ガスの水素濃度を検出した際の検出値に応じて、希釈を行う場合と行わない場合とを切り換えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の水素濃度検出器。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の水素濃度検出器を燃料電池本体の燃料極の入口側又は出口側の少なくとも一方に備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  8. 前記水素濃度検出器の検出値に基づいて、燃料供給制御又は水素パージ制御の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
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