JP2005199313A - パネルの溶接方法、溶接部の品質検査装置及び方法、液体タンクの製造方法 - Google Patents

パネルの溶接方法、溶接部の品質検査装置及び方法、液体タンクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二枚のパネルのフランジ部を溶接して液体タンクを製造する際、幅狭のフランジ部を確実に溶接して、所定のタンク設置スペースに設置されるタンク容量を大きくする。
【解決手段】
液体タンク用ロアーパネル200に液体タンク用アッパパネル203を被せ、下方フランジ部201と上方フランジ部204とを重ねる。次に、下方フランジ部及び上方フランジ部の幅方向外方のレーザ光源216からレーザ光を照射し両フランジ部の重合せ部206を溶融させ、下方フランジ部と上方フランジ部間にその幅方向に延びた溶込み部207を形成する。
【選択図】図12

Description

本発明は、液体タンク用パネルのフランジ部同士をレーザ溶接する溶接方法、形成された溶接部の品質を検査する装置及び方法、並びにそれぞれ付属部品がレーザ溶接されたパネルのフランジ部同士をレーザ溶接して液体タンクを製造する方法に関する。
液体タンクの一種である自動車の燃料タンクは、通常中央部がくぼんだ二枚の鋼板(パネル)のフランジ部を溶接して製作される。第1従来例(特許文献1参照)では、アルミ系めっき鋼板を椀形状にプレス形成した下ハーフパネル(ロアーパネル)に上ハーフパネル(アッパパネル)を被せ、上フランジ部と下フランジ部とを重ねてシーム溶接している。シーム溶接は通常、両方のフランジ部の厚さ方向の両側(上側及び下側)に配置され回転移動する円板状の上シーム電極及び下シーム電極を使用する。
液体タンクの下ハーフパネルの下フランジ部と下ハーフパネルの下フランジ部との間の溶接部が所定状態にシーム溶接されたかどうかは目視では確認困難である。そこで、各種の非破壊検査装置が開発されている。例えば、第2従来例(特許文献2参照)は、回転する被溶接物に対して円周方向の第1所定位置に求心方向にレーザ発振器を配置している。そして、円周方向に半周離れた第2所定位置に求心方向に配置した磁気透過式センサから被溶接物に磁気を照射し、磁気量の変化に基づき溶接部の溶接の良否を判断している。
上記上ハーフパネル及び下ハーフパネルはそれぞれ付属部品を含み、これらの付属部品はハーフパネルに溶接される。第3従来例(特許文献3参照)は下ハーフパネルにベゼル(補助タンク)をスポット溶接で接合している。また、第4従来例(特許文献4参照)は上ハーフパネルにインレットパイプをプロジェクション溶接で接合している。
特開2002−29271号公報 特開平9−57476号公報 特開2002−321537号公報 特開2002−239738号公報
上記第1従来例ではフランジ部にシーム電極を転動させて溶接するので、幅広のフランジ部が必要となる。また、例えば図16に示すように直角に凹んだ隅部(負角部)304ではシーム電極が306パネル300の一部と干渉し、隅部304に沿ってシーム電極306を転動させることに支障がでるので、フランジ部30Lの幅を大きくする必要が生じる。これでは、燃料タンクの外形寸法が大きくなるか、又は燃料の収容体積が減少する。
次に、溶接部の品質検査に関し、第2従来例はワークの直径方向で対向する位置に配置したレーザ光源からワークにレーザ光を照射し、磁気センサから発射する磁気の変化から溶接部の品質を判断している。しかし、第2従来例は溶接の種類やワークの溶接部の詳細が明記されておらず、液体タンクの二枚のシーム溶接されたパネルの溶接部の品質を確実に検査できるかどうか疑問がある。
また、第3従来例及び第4従来例に示したように、上ハーフパネルの付属物品及び下ハーフパネルの付属物品はハーフパネルにスポット溶接又はプロジェクション溶接されていた。このように、従来の燃料タンクではハーフパネル同士を接合するための上フランジ部及び下フランジ部の溶接と、付属部品をパネルへ接合するための溶接とで異なる溶接方法が採用されていた。その結果、複数種類の溶接設備を準備することが必要となるのみならず、各溶接設備にパネルを着脱する作業や溶接設備間でパネルを移動する作業等が必要で、製造コストが上昇する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複雑な形状を持つ液体タンク用ロアーパネル及びアッパパネルのフランジ部同士をレーザ溶接できる溶接方法、二つの溶接部材がレーザ溶接された溶接部の品質を検査する品質検査装置及び方法、並びに各パネルへの付属部品のレーザ溶接と両パネル同士のレーザ溶接とを同一のレーザ溶接装置で行うことができる液体タンクの製造方法を提供することを目的とする。
本願の各発明の基本的な技術思想は以下の通りである。第1発明の液体タンク用パネルの溶接方法は、ロアーパネルの下フランジ部とアッパパネルの上フランジ部とを、幅方向外方からレーザ溶接し、幅方向に延びる溶込み部を形成する。また、第2発明及び第3発明の溶接部の品質検査装置及び品質検査方法は、第1溶接部材(たとえばロアーパネル)の第1外周部(たとえば下方フランジ部)と、第2溶接部材(アッパパネル)の第2外周部(たとえば上方フランジ部)との間に形成された溶込み部を含む溶接部に厚さ方向に磁気を透過させ、溶込み部の溶込み深さ(幅方向寸法)を測定する。更に、第4発明の液体タンクの製造方法は、ロアーパネルへの下方付属部品の溶接、アッパパネルへの上方付属部品の溶接、及び下方フランジ部と上方フランジ部とを全て同一又は同一タイプの溶接設備でレーザ溶接する。
(1)本願の第1発明による液体タンク用パネルの溶接方法は、請求項1に記載したように、液体タンク用ロアーパネルに液体タンク用アッパパネルを被せ、下方くぼみの周囲の下方フランジ部と上方くぼみの周囲の上方フランジ部とを重ねる準備工程と;下方フランジ部及び上方フランジ部の幅方向外方のレーザ光源からレーザ光を照射し両フランジ部の重合せ部を溶融させ、下方フランジ部と上方フランジ部間にその幅方向に延びた溶込み部を形成するレーザ溶接工程と;から成る。
この液体タンク用パネルの溶接方法において、下方フランジ部と上方フランジ部との重合せ部は幅方向外側から照射されるレーザ光により溶融され、幅方向に延びた溶込み部が形成される。
なお、フランジ部を有する二枚の薄板を溶接する際、重ね合わせたフランジ部を一対のローラで加圧挟持しつつ連続的に移動させるとともに、重合せ面付近にほぼ平行な高エネルギビームを入射させ、重合せ面付近を部分的に溶融させることは知られている(特開平10−225785号(第5特許文献)で言及された特開昭58−103988号(第6特許文献)参照)。しかし、第5特許文献及び第6特許文献に記載された発明は、フランジ部を持つ薄板同士の接合に関し、薄板がタンクを構成するとの記載はない。また、重合せ面と高エネルギビームとの相対的な位置決めに発明の力点が置かれ、高エネルギビームの照射方向及び照射部位と重合せ面の幅との関係については開示も示唆もしていない。
請求項2のタンクの製造方法は、請求項1において、下方フランジ部及び上方フランジ部は、ロアーパネル及び記アッパパネルの径方向内向きに凹んだ凹部を持つ。
(2)第2発明によるパネルの溶接部の品質検査方法は、請求項3に記載したように、第1溶接部材の第1外周縁と第2溶接部材の第2外周縁とを重ね、第1外周縁及び第2外周縁の幅方向外方のレーザ光源から照射したレーザ光で両外周縁の重合せ部を溶融させて、幅方向に延びた溶込み部を含む溶接部の品質を検査する方法であって、第1外周縁及び第2外周縁の厚さ方向一側に磁気発信素子を、厚さ方向他側に磁気受信素子を配置する磁気素子配置工程と;磁気発信素子から発信され溶接部を厚さ方向に透過した磁気を磁気受信素子で受信して、溶込み部の溶込み深さを検知する深さ検知工程と;から成る。
この溶接部の品質検査方法において、磁気素子配置工程において両外周縁の一側に配置した磁気発信素子から発信された磁気を、溶込み深さ検知工程において両外周縁の他側の磁気受信素子で受信することにより、溶込み部の溶込み深さ即ち溶込み部を含む溶接部の品質が検査される。
請求項4の溶接部の品質検査方法は、請求項3において、第1溶接部材は液体タンク用ロアーパネルで、第1外周縁はその下方フランジ部であり、第2溶接部材は液体タンク用アッパパネルで、第2外周縁はその上方フランジ部である。請求項5の溶接部の品質検査方法は、請求項4において、磁気素子配置工程において、複数の磁気発振素子及び複数の磁気受信素子が溶込み部の溶込み方向に沿って並置されている。請求項6のパネルの溶接部の品質検査方法は、請求項4において更に、上方フランジ部と下方フランジ部との幅方向のずれ量を検知するずれ検知工程を含み、このずれ検知工程は深さ検知工程と併行してずれ量を光学的に検知する。
(3)第3発明による溶接部の品質検査装置は、請求項7に記載したように、重ね合わされた第1溶接部材の第1外周縁と第2溶接部材の第2外周縁の幅方向外方に配置され、両外周縁の重合せ部にレーザ光を照射して幅方向に延びた溶込み部を含む溶接部を形成するレーザ光源と;第1外周縁及び第2外周縁の厚さ方向一側に配置され、溶接部に向かって磁気を発信する磁気発信素子と;第1外周縁及び第2外周縁の厚さ他側に配置され、溶接部を厚さ方向に透過した磁気を受信する磁気受信素子と;から成る。
この溶接部の品質検査装置において、両外周縁の一側の磁気発信素子から発信された磁気を両外周縁の他側の磁気受信素子で受信することにより、溶込み部の溶込み深さ即ち溶込み部を含む溶接部の品質が検査される。
請求項8の溶接部の品質検査装置は、請求項7において、 複数の磁気発振素子及び複数の磁気受信素子が溶込み部の溶込み方向に沿って並置されている。請求項9の溶接部の品質検査装置は、請求項7において更に、第1外周縁と第2外周縁との幅方向のずれ量を光学的に検知するずれ量検知手段を含む。
(4)第4発明による液体タンクの製造方法は、請求項10に記載したように、下方くぼみを持つ液体タンク用のロアーパネルに下方付属部品をレーザ溶接する第1レーザ溶接工程と;上方くぼみを持つ液体タンク用のアッパパネルに上方付属部品をレーザ溶接する第2レーザ溶接工程と;ロアーパネルにアッパパネルを被せ下方くぼみの周囲の下方フランジ部と上方くぼみの周囲の上方フランジ部とを重ね、下方フランジ部及び上方フランジ部の幅方向外方のレーザ光源からレーザ光を照射し両フランジ部の重合せ部を溶融させ、下方フランジ部と上方フランジ部との間にその幅方向に延びた溶込み部を形成する第3レーザ溶接工程と;から成る。
この液体タンクの製造方法において、パネルへ付属部品をレーザ溶接した後両パネルのフランジ部同士をレーザ溶接するので、液体タンクの溶接方法を全てレーザ溶接に統一できる。
請求項11の液体タンクの製造方法は、請求項10において、第1レーザ溶接工程、第2レーザ溶接工程及び第3レーザ溶接工程は、一つのレーザ光源を固定し、ロアーパネル及び/又はアッパネル移動させつつ行う。
(1)第1発明による液体タンク用パネルの溶接方法によれば、下方フランジ部及び上方フランジの重合せ部外方からレーザ光を照射して溶込み部を形成することにより、幅狭のフランジ部を確実に溶接することができるので、所定のタンク設備スペースに対して高容量のタンクを形成することができる。また、熱歪等の影響が少ないので、タンク容量を精度良く形成することができる。請求項2のパネルの溶接方法によれば、径方向内向きに凹部を持つ幅狭のフランジ部同士の溶接が可能となる。
(2)第2発明にかかる溶接部の品質検査方法によれば、磁気素子配置工程で厚さ方向で溶接部の両側に配置した磁気素子により、溶込み深さ検知工程で第1外周縁、第2外周縁及び両者間の溶込み部を含む溶接部の品質を容易かつ確実に検査できる。溶込み部が存在する部分と存在しない部分とでは磁気の透過状態が異なることを利用している。従来の光線や磁気の反射を利用する品質検査方法に比べて、溶接部の表面状態等に影響されにくく、その分品質検査が正確になる。
請求項4の溶接部の品質検査方法によれば、液体タンクを構成するロアーパネルの下方フランジ部とアッパパネルの上方フランジ部とがレーザ溶接された溶接部の品質を容易かつ正確に検査できる。請求項5の溶接部の品質検査方法によれば、溶込み部の溶込み方向に並置された複数の磁気素子で検知するので、溶込み深さを正しく検知できる。請求項6の溶接部の品質検査方法によれば、磁気的検知で検知困難な両フランジ部の幅方向のずれ量を光学的に検知して補正する。その結果、溶込み深さの検知がより正確になる。
(3)第3発明にかかる溶接部の品質検査装置によれば、厚さ方向で溶接部の両側に配置した磁気素子により、第1外周縁、第2外周縁及び両者間の溶込み部を含む溶接部の品質を容易かつ確実に検査できる。溶込み部が存在する部分と存在しない部分とでは磁気の透過状態が異なることを利用している。
請求項8の溶接部の品質検査装置によれば、溶込み部の溶込み方向に並置された複数の磁気素子で検知するので、溶込み深さを正しく検知できる。請求項9の溶接部の品質検査装置によれば、磁気的検知手段で検知困難な両フランジ部の幅方向のずれ量を光学的検知手段で検知することができ、溶込み深さの検知がより正確になる。
(4)第4発明にかかる液体タンクの製造方法によれば、ロアーパネルへの下方付属部品の溶接、アッパパネルへの上方付属部品の溶接及び両パネルのフランジ部同士の溶接が全てレーザ溶接に統一できるので、溶接設備が簡略化できる。請求項11のタンクの製造方法によれば、一台の溶接設備で第1,第2及び第3レーザ溶接を行うことができ、溶接設備へのパネルや付属部品の脱着、溶接設備間でのパネルや付属部品の移動が不要となり、溶接に要するコストが大幅に低減できる。
<パネルの溶接方法>
本発明によるパネルの溶接方法は、準備工程とレーザ溶接工程とを含む。準備工程では、図12に示すように、下方保持部材(不図示)により保持されたロアーパネル200に上方保持部材(不図示)により保持されたアッパパネル203を被せ、下方フランジ部201に上方フランジ部204を重ねる。ロアーパネル200及びアッパパネル203が外周の一部に内向きに凹んだ凹部を持つとき、本発明の意義がさらに大きい。但し、凹部を持つことは不可欠ではない。
レーザ溶接工程では、必要に応じて重合せ部206を下方加圧部材212及び上方加圧部材214で上下両側から加圧する。フランジ部201,204の幅方向外側(図12では右側)に配置した溶接設備のレーザ光源216から重合せ部206に向かってレーザ光Lを照射すると、外周側から内周側に向かって溶融する。その結果、フランジ部201,204の幅方向(図12では左右方向)に延びる溶込み部207が形成される。平面視で両フランジ部201,204は環状を呈するので、溶込み部207も平面視で環状を呈する。溶込み部207、下方フランジ部201及び上方フランジ部204が溶接部208を構成する。レーザ光としてはYAGレーザやCO2レーザを用いることができる。
なお、一部上述したが(図16参照)、従来は図15(a)に示すように、両フランジ部201,204の上下両側に下方シーム電極218及び上方シーム電極219を配置し、フランジ部201,204に沿って転動させていた。
<溶接部の品質検査装置、品質検査方法>
上記パネルの溶接方法ではフランジ部同士をレーザ溶接するので、両フランジ部201,204の外周縁から幅方向内向きに延びた溶込み部207が形成される。このような溶込み部207を含む溶接部208の品質、即ち溶込み部207による下方フランジ部201と上方フランジ部204との接合の確実性は、溶込み部207の溶込み深さで評価するのが望ましい。
但し、本発明の溶込み深さによる溶接部の品質検査装置及び品質検査方法は、液体タンク用パネル以外にも、互いに重ね合わせてレーザ溶接される第1溶接部材及び第2溶接部材に適用できる。第1溶接部材及び第2溶接部材の形状、大きさ及び大小関係等に特別の制約はない。
本発明の品質検査装置は両溶接部材の両外周縁の厚さ方向一側に配置された磁気発信素子及び他側に配置された磁気受信素子を含む。磁気発信素子から溶接部に向かって発信した磁気を磁気受信素子で受信することにより、溶込み部の溶込み深さを検知する。さらに、磁気発信素子又は磁気受信素子の近傍に配置され、両外周縁の幅方向のずれ量を工学的に測定するずれ量検知手段を含むことができる。
また、本発明の上記品質検査装置により実行される品質検査方法は、両溶接部材の両外周縁の厚さ方向一側及び他側にそれぞれ磁気素子を配置する磁気素子配置工程と、磁気素子を利用して溶込み部207の深さを検知する深さ検知工程とを含む。
(イ)磁気素子配置工程
磁気素子配置工程では、溶接部の厚さ208方向一側に一つ又は複数の磁気発信素子を溶込み部207の溶込み深さ方向に並置し、他側に磁気発信素子に対向して一つ又は複数の磁気受信素子を並置する。環状の溶接部208の円周方向で少なくとも一カ所に磁気発信素子及び磁気受信素子を径方向に並置し、両フランジ部に沿って円周方向に移動させることが望ましい。但し、移動することは不可欠ではなく、周方向に離れた複数箇所に固定的に並置しても良い。
(ロ)深さ検知工程
深さ検知工程では、複数の磁気発信素子から溶接部208に向けて発信した磁気を、複数の磁気受信素子で受信して溶込み部207の溶け込み深さを検知する。溶接部208の幅方向において、溶込み部207が形成された部分と形成されていない部分とでは磁気の透過状態が異なる。よって、溶込み方向に並置した複数対の磁気気発信素子及び磁気受信素子のうち、磁気の透過を検知している磁気素子対と検知していない磁気素子対とを分析することにより、溶込み深さを検知できる。
(ハ) ずれ量検知工程
なお、深さ検知工程と併行して又はこの後、両外周縁の幅方向におけるずれ量をお検知する、ずれ量検知工程を実行することができる。このずれ量の検知には光学的な検知手段(たとえばCCDカメラ)が使用できる。
<液体タンクの製造方法>
(イ)本発明は、それぞれに付属部品がレーザ溶接された二枚のパネルのフランジ部同士を溶接して製造され、その内部空間に液体を収容するすべての液体タンクを対象とする。液体タンクの形式、形状及び大きさ等に特別の制約はない。代表的な液体タンクとして車両に搭載される燃料タンクが挙げられ、この場合は車両とともに移動し、液体は燃料(ガソリン、軽油等)である。但し、固定され移動しない装置や機器に取り付けることもでき、また燃料以外の液体を収容することもできる。
(ロ)付属部品のパネルへのレーザ溶接
a.図13に示すような付属部品228の溶接する部分229がパネル(アッパパネル又はロアーパネル)225の溶接される部分226に対して比較的小さい場合がある。この場合、従来は図15(b)に示すように、一対の電極231,233によりスポット溶接していた。
本発明では、図13に示すように、パネル225の溶接される部分226上に付属部品228の溶接する部分229を重ね、必要に応じて加圧部材241及び243で上下両側から加圧する。これらに、溶接設備のレーザ光源からレーザ光Lを直角方向に照射しレーザ溶接により重合せ部235を溶融させ、パネルを厚さ方向に貫通する貫通部236を形成する。貫通部236、下方フランジ部226及び上方フランジ部229により溶接部237が形成されている。
b.一方、図14に示すような付属部品248の溶接する部分249がパネル245の溶接される部分246に対して比較的大きい場合がある。この場合、従来は図15(c)に示すように突起252を備えた電極251によりプロジェクション溶接していた。
本発明では、図14に示すように、パネル245の溶接される部分246上に付属部品248の溶接する部分249を重ね、必要に応じて加圧部材255及び256で上下両側から加圧する。以下のaタイプと同様に、パネルを厚さ方向に貫通する貫通部を形成する。
上記aタイプでもbタイプでも、付属部品228,248はロアーパネルの下方くぼみの底部又はそれ以外の部分や、アッパパネルの上方くぼみの天井部又は角部等にレーザ溶接できる。レーザ溶接時は、レーザ光源(レーザ発振器)を固定し、下方保持機構及び上方保持機構で保持したロアーパネル及びアッパパネル225,245を所定方向に所定量移動させる。
c.付属部品228のロアーパネル又はアッパパネル235への溶接部237についての品質検査は以下のように行う。この溶接部237では付属部品から延びた貫通部がパネルの一部を厚さ方向に貫通していることが必要である。この貫通部の形成を確認するには、例えばレーザ光が溶接部を貫通したかどうかをフォトセンサで検知すれば良い。
(ハ)その後、ロアーパネルの下方フランジ部とアッパパネルの上方フランジ部とをレーザ溶接し、溶込み部を含む溶接部の品質を検査する(これらについては上述した)。
以下、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ説明する。
<実施例>
(構成)
(1)燃料タンク
燃料タンクは、図1(a)(b)に示すように付属部品14を備え平面視で矩形状のロアーパネル10と、図2(a)(b)に示すように付属部品24等を備え、平面視で矩形状のアッパパネル20とから成る。すなわち、ロアーパネル10もアッパパネル20も凹んだ隅部は形成されていない。ロアーパネル10はその中央部に下方に突出した(くぼんだ)下方くぼみ11を有し、外周に下方フランジ部12を有する。下方くぼみ11の底部13にサブタンク14がレーザ溶接されている。
一方、アッパパネル20は、その中央部に上方に突出した(くぼんだ)上方くぼみ21を、外周に上方フランジ部22を有する。上方くぼみ21の天井部23の上面にはポンプリテーナ24がレーザ溶接され、下面にはセパレータ26がレーザ溶接されている。上方くぼみ21の角部には、インレット27及びブリーザチューブ28がレーザ溶接されている。
そして、ロアーパネル10にアッパパネル20が被せられ下方フランジ部12に上方フランジ部22とが重ねられ、重合せ部がレーザ溶接されて両方のパネルが一体化されている。下方くぼみ11と上方くぼみ21とが燃料収容空間を区画している。
(2)燃料タンクの製造方法
燃料タンクの製造方法について図3、図4及び図5を参照しつつ説明する。タンクの製造方法は六つのステップに分けられる。図3(a)に示す第1ステップはアッパパネル20への付属部品24等のレーザ溶接を行い、図3(b)に示す第2ステップはロアーパネル10への付属部品14のレーザ溶接を行い、図3(c)に示す第3ステップは両パネル10及び20の洗浄を行う。また、図3(d)に示す第4ステップはロアーパネル10の上方フランジ部12とアッパパネル20の上方フランジ部22とのレーザ溶接を行い、図3(e)に示す第5ステップはロアーパネル10の付属部品14及びアッパパネル20の付属部品24等への関連部材の組付けを行う。図示しない第6ステップは完成した燃料タンクのロボットによる検水である。以下、各ステップにつき順次説明する。
a.第1ステップ及び第2ステップは図4に示す溶接ロボット30を使用する。この溶接ロボット30はアーム32a及びその先端の保持部(治具)32bを持つロアー調整機構31と、アーム34a及びその先端の保持部(治具)34bを持つアッパ調整機構33と、レーザトーチ37を保持するアーム36を持つ保持機構35とを含む。保持部32bはロアーパネル10の下面の形状に対応し、保持部34bはアッパパネル20の上面の形状に対応している。ロアー調整機構31はロアーパネル10を,アッパ調整機構33はアッパパネル20を、保持機構35はレーザトーチ37を、それぞれ三次元空間内で移動及び回動させる。なお、図4はアーム32a,34aが上方に移動した状態を示す。
b.アッパパネルへの付属部品のレーザ溶接
図3(a)に示す第1ステップで、溶接ロボット30によりアッパパネル20にその付属部品24,26から28をレーザ溶接する。アッパパネル20は予めプレス成形され、中央部の上方くぼみ21及びその周囲の上方フランジ部22を有する。アッパパネル20をテーブル47上に置き、付属部品24等を所定位置に位置決めする。例えば、ポンプリテーナ24のその一部(例えば下端側のつば部)を天井部23の円孔の周縁に重ね合わせ、重合せ部を加圧部材(不図示)で上下から加圧する。保持機構35に保持されたレーザトーチ37から重合せ部にレーザ光を天井部23の板厚方向に照射する。その際、レーザトーチ37は移動させず、アッパ調整機構33のアーム34a及び保持部34bによりアッパパネル20を移動及び回動させる。
すると、レーザ光はポンプリテーナ24及びアッパパネル20の天井部23を溶融させキーホールを形成しつつすすみ、キーホールに溶融材料が充填される。こうして、図6に示すように、ポンプリテーナ24から延びた貫通部38が天井部23を板厚方向に貫通し貫通部38を含む溶接部39で、ポンプリテーナ24が天井部23にレーザ溶接される。なお、セパレータ26はポンプリテーナ24と同様にして天井部23の下面にレーザ溶接される。
また、図3(a)においてインレット27のレーザ溶接時は、その下端を角部の挿入孔に挿入し、その一部(例えばつば部)と挿入孔の周縁との重合せ部にレーザトーチ37からレーザ光をインレット27の軸方向に照射する。すると、重合せ部が溶融され溶込み部が形成される。ブリーザチューブ28についても同様である。
c.ロアーパネルへの付属部品のレーザ溶接
図3(b)に示す第2ステップで、溶接ロボット30によりロアーパネル10にその付属部品(補助タンク)14をレーザ溶接する。ロアーパネル10は予めプレス成形され、中央部の下方くぼみ11及びその周囲の下方フランジ部12を有する。アッパパネル10をテーブル46上に置き、補助タンク14を所定位置に位置決めする。補助タンク14の一部(例えば上端部)を底部13に重ね合わせ、重合わせ部を加圧部材(不図示)上下から加圧する。保持機構35に保持されたレーザトーチ37から重合せ部にレーザ光を底部13の板厚方向に照射する。その際、レーザトーチ37は移動させずアッパ調整機構31のアーム32a及び保持部32bによりによりロアーパネル10を移動及び回動させる。
その後、図3(c)に示す第3ステップで、ポンプリテーナ24等がレーザ溶接されたアッパパネル20及びサブタンク14がレーザ溶接されたロアーパネル10を所定の水溶液に浸漬して洗浄する。
d.ロアーパネルとアッパパネルとのレーザ溶接
第4ステップで、図3(d)、図4及び図5に示すように、ロアーパネル10のフランジ部12とアッパパネル20の上方フランジ部22とをレーザ溶接する。レーザ溶接に先だって、溶接ロボット30で、ロアーパネル10とアッパパネル20とを相対的に位置決めする。図5に示すように、アーム32aの先端の保持部32bはレーザ受光部51を備え、レーザ受光部51に対向してロアー側レーザ発振部52が配置されている。アーム34aの先端の保持部34bはレーザ受光部56を備え、レーザ受光部56に対向してロアー側レーザ発振部57が配置されている。
保持部32bで付属部品14付きのロアーパネル10を保持し、保持部34bで付属部品付きのアッパパネル20を保持する。レーザ発振部52から発信したレーザ光をレーザ受光部51で受光し、レーザ発振部57から発信したレーザ光をレーザ受光部56で受光することにより、ロアーパネル10とアッパパネル29とを所定の相対位置に位置決めする。
次に、ロアーパネル10の下方フランジ部12とアッパパネル20の上方フランジ部22とを、レーザトーチ37からのレーザ光でレーザ溶接する。レーザ溶接時、保持機構35により保持されたレーザトーチ37は移動させず、ロアー調整機構31及びアッパ調整機構33でロアーパネル10とアッパパネル20とを所定方向に移動及び回動させる。
両フランジ部12,22の幅方向外側に配置したレーザトーチ37から重ね部に、レーザ光がフランジ部12,22と平行に照射される(図12参照)。すると、図7に示すように、下方フランジ部12及び上方フランジ部22の重合わ部が溶融し、両者間に溶込み部41が形成される。溶込み部41は両フランジ部12,22に沿って環状を成し、しかも両フランジ部12,22の外周面から径方向(幅方向)内向きに延び、所定の溶込み深さを持つ。溶込み部41、下方フランジ部12及び上方フランジ部22が溶接部42を形成する。
(3)溶接部の品質検査
図8に示すように、品質検査システムは、ロアーパネル10及びアッパパネル20への付属部品14,24等の溶接部39等の品質を検査する貫通部検査部60と、ロアーパネル10とアッパパネル20のフランジ部12,22同士の溶接部の品質を検査する溶込み検査部70と、データ処理部80とに大別される。
(イ)検査部
a.付属部品の溶接部
付属部品14,24等の溶接部39等を品質検査する貫通検査部60はセンサ系62,63と制御系65,66とに大別される。図9において、レーザ光のレーザトーチ37の一側即ち溶接部39の左斜め上方にナトリウムランプ71が配置され、ナトリウム光を溶接部39に向けて発射するようになっている。ポンプリテーナ24及びアッパパネル20の下方側で溶接部39の下方に、レーザ光受光用フォトダイオード(フォトセンサ)63が配置されている。
また、溶接部39を間にしてナトリウムランプ71と対向する位置にナトリウム光受光用のCCDカメラ(カメラ)62が配置されている。CCDカメラ62とフォトダイオード63とがセンサ系を形成する。制御系はダイオード(フォトセンサ)制御部66及びカメラ制御部65を含む。フォトセンサ63はフォトセンサ制御部66に接続され、カメラ62はカメラ制御部65に接続されている。見方を変えれば、フォトセンサ63とフォトセンサ制御部66とが貫通部38の形成を確認し、CCDカメラ62とカメラ制御部65とが溶接部39の気密を確認する。
b.パネル同士の溶接部
パネル10,20同士の溶接部42を品質検査する溶込み検知部70はセンサ系72,73と制御系75,76とに大別され、見方を変えれば溶込み深さ検知手段72,75と、ずれ量検知手段73,76とから成る。溶込み深さ検知部72,75は溶込み部41の溶込み深さdを検知するもので、透過型磁気センサ72と、これに接続された積分回路及び微分回路75とを含む。図7に示すように、磁気センサ72は同じ高さで水平方向に並置された複数の磁気発生コイル78aと、これらの下方に所定間隔離れた同じ高さで水平方向で並置された複数(磁気発生コイルと同数)の測定素子78bとを含む。
一方、ずれ量検知部73,76は下方フランジ部12と上方フランジ部22との幅方向におけるずれ量を検査するもので、両フランジ部12,22の上方に配置されたCCDカメラ(カメラ)73と、これに接続されたカメラ制御部76とを含む。
図8のデータ処理系80は画像入力部81、A/D変換部82及び解析部84を含む。画像入力部81はカメラ制御部65から画像情報を受け取り、A/D変換部82はフォトセンサ制御部66微分回路及び積分回路75及びカメラ制御部76からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。解析部84はシステム全体の制御、データ入力処理、データ解析及び上位システム通信を行う。
(ロ)検査方法
a.付属部品の溶接部
この品質検査は図6の貫通部38の形成確認と、溶接部39の気密確認とに大別される。貫通部38の形成に関し、レーザ溶接時に、溶接部39におけるレーザ光の通過をフォトダイオード63で検知したところ、その電圧が溶接開始前はほぼゼロで、溶接中は断続的にかなり高くなり、溶接終了後はほぼゼロになった。データ処理系80の画像入力部81,A/D変換部82及び解析部84で処理すれば、レーザ溶接時はレーザ光が溶接部39を通過していることが分かる。照射されるレーザ光はポンプリテーナ24及びアッパパネル20にキーホールを形成しながら進む。よって、レーザ光が天井部23を貫通したことは、ポンプリテーナ24の一部及び天井部23が溶融した貫通部38が天井部23の下面に達したことを意味する。
次に、溶接部39の気密確認に関し、レーザ溶接終了後に、図9のナトリウムランプ71から溶接部39に発射されるナトリウム光の通過を、CCDカメラ62で検知した。その結果、X軸方向でもY軸方向でも溶接中に輝度信号が瞬間的に高くなったが、輝点は現れなかった。データ処理系80の画像入力部81,A/D変換部82及び解析部84で処理すれば、溶接終了後(レーザ光の照射終了後)は通過していないこと、即ち溶接部39が気密であることが分かる。
b.パネル同士の溶接部
この品質検査は、図7の溶込み部41の溶込み深さの確認と、両フランジ部12,22の幅方向のずれ量の確認とに大別される。溶接部42の品質検査時は、フランジ部12,22同士の溶接が終了した燃料タンクをセットし、フランジ部12,22を磁気発信コイル78aと測定素子78bとの間で、CCDカメラ73の下方に位置決めする。複数の磁気発信コイル78aから溶接部に向かって磁気を発信しつつ、フランジ部12,22の周方向に沿って移動させる。両方のフランジ部12及び22を下方に透過した磁気を複数の測定素子78bで測定する。
溶込み部41が存在する部分と存在しない部分とでは磁気の透過状態が異なり、両フランジ部12及び22を透過し測定素子78bで測定されるコイルインダクタンスは、溶込み部41の溶込み方向の両端で上昇する。この測定結果を積分回路及び微分回路75で処理した後データ処理系80でデータ処理することにより、溶込み部41の溶込み深さが分かる。
但し、上記磁気的な検査結果はフランジ部12と22との幅方向のずれを含む見かけの溶込み深さd1(図10参照)である。このずれはロアーパネル10とアッパパネル20との重合わせ時に発生することがあり、ずれ量が大きいとその分溶接幅が狭くなり接合強度が不足し易い。そこで、ずれ量検査部(CCDカメラ73及びカメラ制御部)による光学的検査を行う。
光学的検査では、CCDカメラ73を磁気発振素子78aの後方をフランジ部12,22に沿って移動させ、下方フランジ部12と上方フランジ部22との幅方向のずれ量を検出する。データ処理系80で、磁気的検査結果d1から光学的検査結果d2を差し引いた深さを真の溶込み深さdとする(d1−d2=d)。真の溶込み深さdが所定値に達しているか否かで、溶込み部41を含む溶接部42の溶接の良否を判断する。
なお、両フランジ部12と22とのずれ量を磁気的に検査するのは困難である。磁気的検査では、厚さ方向の二つの部材が一体物であるか否かの違いに起因する磁気の透過状態の相違を利用しているため、溶込みが存在する部分とずれが生じている部分については、どちらも一体物として区別することが困難だからである。
(効果)
以下、この実施例により得られる効果を説明する。
(1)付属部品のパネルへの溶接方法、品質検査
レーザ溶接方法の実行により付属部品14,24等がパネル10,20にレーザ接合され、それに伴い以下の効果が得られる。第1に、ポンプリテーナ24等が貫通部38等でアッパパネル20にレーザ溶接され(図6参照)、同様にサブタンク14がロアーパネル10にレーザ溶接される。その際、ロアーパネル10へのサブタンク14の溶接と、アッパパネル20へのポンプリテーナ24等の溶接に要するコストが減少する。
この二つの溶接をともに図4に示す溶接ロボット30でレーザ溶接したからである。つまり、サブタンク14のロアーパネル10への溶接時はロアー調整機構31及び保持機構35をテーブル46上のロアーパネル10の方向に作動させ、ポンプリテーナ24等のアッパパネル20への溶接時はアッパ調整機構33及び保持機構35をテーブル47上のアッパパネル20の方向に作動させれば良い。
第2に、サブタンク14のロアーパネル10への溶接部、及びポンプリテーナ24等のアッパパネル20への溶接部39等の品質検査が確実になる。例えば、図6に示すポンプリテーナ24のアッパパネル20への溶接部39は、図8の品質検査システムの貫通部検知部60で容易かつ確実に検査できる。
(2)パネル同士の溶接方法
溶接方法の実行により、付属部品14がレーザ溶接された下方パネル10と、付属部品24等がレーザ溶接された上方パネル20とがフランジ部12,22同士でレーザ接合された燃料タンクが完成し、それに伴い以下の効果が得られる。
第1に、燃料タンクの製作に要する製造コストが減少する。レーザ溶接時、下方フランジ部12と上方フランジ部22との溶接を、上記付属部品14,24等のパネル10,20への溶接を行う溶接ロボット30で行うことができる。ロアー調整機構31及びアッパ調整機構33を図4に示す状態に移動し、保持機構35も同様に作動させれば良い。一台の溶接ロボット30で三つのレーザ溶接が行えるので設備コストが減少し、その結果燃料タンクの製造コストが減少する。
第2に、完成した燃料タンクの燃料収容容積が増大する。図4及び図5に示すように、ロアーパネル10の下方フランジ部12とアッパパネル20の上方フランジ部22との重合せ部に、外方にあるレーザトーチ37からレーザ光を照射するからである(図12参照)。フランジ部12及び22の幅は加圧部材212,224(図12参照)との関係のみで決めることができ、小さくできる。パネル10及び20の外形寸法を一定とすると、フランジ部12及び22の幅が小さくできる分、燃料収容空間の容積が大きくなる。
これに対して、従来のようにシーム溶接する場合は、直径の大きなシーム電極が円周方向のどの部分でもフランジ部に接触する必要があり、フランジ部の幅を広くせざるを得ない。
第3に、フランジ部12,22同士のレーザ溶接時の溶接部42の熱ひずみが小さく、燃料タンクの容量変動が小さくなる。レーザ光によるレーザ溶接は、シーム溶接のような抵抗溶接に比べて入熱領域が狭く熱影響部が小さいので、熱ひずみが小さくなる。その結果、フランジ部12,22の幅が一定になり、容量即ち燃料の収容空間の大きさがほとんど変動しない。
(ハ)溶接部の品質検査装置及び方法
品質検査装置で品質検査方法に従い溶接部48の品質を検査する際、第1に、品質検査が簡単かつ確実になる。下方フランジ部12及び上方フランジ部22の溶接に、従来のシーム溶接に代えて、レーザ溶接を採用した。この場合、フランジ部12と22との間に溶込み部41が形成され、その深さが両フランジ部12,22の接合強度を左右する。この実施例では、磁気発信素子78a及び測定素子78bを溶込み深さ方向に並置しているので、どの磁気発信素子78aからの磁気をどの測定素子78bで受信しているかを分析することにより、溶込み深さdを正確に測定できる。
第2に、たとえ下方フランジ部12と上方フランジ部22との間に幅方向のずれが存在しても、溶接部42の品質検査の良否がこのずれに影響されない。CCDカメラ73で検出した両フランジ部12,22のずれ量d2を、磁気発信素子78a及び測定素子78bによる測定結果d1から減じているからである(図10参照)。その結果、溶込み部41の溶込み深さの確認をより正確に行うことができる。
<変形例>
図11に示す燃料タンクの変形例では、矩形状のロアーパネル100及びアッパパネル105の一つの角部が径方向内向きに凹んで隅部110が形成されている。隅部110では、下方フランジ部102及び上方フランジ部107はL字形状に屈曲している。その他は実施例と同じである。この燃料タンクは、上記実施例の燃料タンクと同様の工程で製作されたものである。
この変形例によれば、上記実施例の効果に加えて更に、燃料タンクの設計自由度が大きくなる効果が得られる。従来技術の欄で述べたように(図16参照)、従来のシーム溶接ではこのような隅部110の溶接は極めて困難又は実質的に不可能であった。そのために、隅部が存在しないような燃料タンクの形状を選択していた。
これに対して、この変形例ではレーザ溶接を採用したことにより、このような隅部110でも二枚のパネル100,105を容易にレーザ溶接できる。即ち、図4のレーザトーチ37を固定し、ロアー調整機構31及びアッパ調整機構33を移動及び回動させる際、レーザトーチ37は下方フランジ102及び上方フランジ部107の幅方向外方にあるので、パネル100及び105の一部と干渉する心配はない。
この変形例では、周辺の機器や部材との関係から要求されるときは、隅部110を備えた燃料タンクを設計することができ、その分設計の自由度が向上する。
(a)は本発明の実施例で付属部品がレーザ溶接される前のロアーパネルの斜視図、(b)は同じくレーザ溶接後の斜視図である。 (a)は本発明の実施例で付属部品がレーザ溶接される前のアッパパネルの斜視図、(b)は同じくレーザ溶接後の斜視図である。 (a)(b)(c)(d)及び(e)は、図1及び図2のパネルから燃料タンクを製造するステップを示す説明図である。 実施例のレーザ溶接に使用する溶接ロボットの正面図である。 図4の要部拡大図である。 付属部品のパネルへの溶接部を示す断面説明図である。 パネルのフランジ部同士間の溶接部及び品質検査部を示す断面説明図である。 実施例で使用する品質検査システムの全体図である。 図6の溶接部の品質検査部を示す説明図である。 図7の品質検査の検査結果を示す説明図である。 実施例の変形例を示す平面図である。 最良の形態(フランジ部同士のレーザ溶接)を示す要部断面図である。 最良の形態(付属部品のパネルへのレーザ溶接)を示す要部断面図である。 最良の形態(付属部品のパネルへのレーザ溶接)を示す要部断面図である。 (a)(b)及び(c)はそれぞれ従来の溶接方法を示す図12、図13及び図14に対応する断面説明図である。 従来の燃料タンクを示す平面図である。
符号の説明
10:ロアーパネル 12:下方フランジ
14:サブタンク 20:アッパパネル
22:上方フランジ 24:ポンプリテーナ
30:溶接ロボット 31:ロアー調整機構
33:アッパ調整機構 35:保持機構
37:レーザトーチ 38:貫通部
39:溶接部 41:溶込み部
42:溶接部 60:貫通部検知部
70:溶込み部検知部 78a,78b:磁気素子

Claims (11)

  1. 液体タンク用ロアーパネルに液体タンク用アッパパネルを被せ、下方くぼみの周囲の下方フランジ部と上方くぼみの周囲の上方フランジ部とを重ねる準備工程と、
    前記下方フランジ部及び前記上方フランジ部の幅方向外方のレーザ光源からレーザ光を照射し該両フランジ部の重合せ部を溶融させ、該下方フランジ部と該上方フランジ部間にその幅方向に延びた溶込み部を形成するレーザ溶接工程と、
    から成ることを特徴とする液体タンク用パネルの溶接方法。
  2. 前記下方フランジ部及び前記上方フランジ部は、前記ロアーパネル及び前記アッパパネルの径方向内向きに凹んだ凹部を持つ請求項1に記載の液体タンク用パネルの溶接方法。
  3. 第1溶接部材の第1外周縁と第2溶接部材の第2外周縁とを重ね、該第1外周縁及び該第2外周縁の幅方向外方のレーザ光源から照射したレーザ光で該両外周縁の重合せ部を溶融させて、幅方向に延びた溶込み部を含む溶接部の品質を検査する方法であって、
    前記第1外周縁及び前記第2外周縁の厚さ方向一側に磁気発信素子を、厚さ方向他側に磁気受信素子を配置する磁気素子配置工程と、
    前記磁気発信素子から発信され前記溶接部を厚さ方向に透過した磁気を前記磁気受信素子で受信して、該溶込み部の溶込み深さを検知する深さ検知工程と、
    から成ることを特徴とする溶接部の品質検査方法。
  4. 前記第1溶接部材は液体タンク用ロアーパネルで、前記第1外周縁はその下方フランジ部であり、前記第2溶接部材は液体タンク用アッパパネルで、前記第2外周縁はその上方フランジ部である請求項3に記載の溶接部の品質検査方法。
  5. 前記磁気素子配置工程において、複数の前記磁気発振素子及び複数の前記磁気受信素子が前記溶込み部の溶込み方向に沿って並置されている請求項4に記載の溶接部の品質検査方法。
  6. 更に、前記第1外周縁と前記第2外周縁との幅方向のずれ量を検知するずれ検知工程を含み、該ずれ検知工程は前記深さ検知工程と併行して該両外周縁のずれ量を光学的に検知する請求項4に記載の溶接部の品質検査方法。
  7. 重ね合わされた第1溶接部材の第1外周縁と第2溶接部材の第2外周縁の幅方向外方に配置され、該両外周縁の重合せ部にレーザ光を照射して幅方向に延びた溶込み部を含む溶接部を形成するレーザ光源と、
    前記第1外周縁及び前記第2外周縁の厚さ方向一側に配置され、前記溶接部に向かって磁気を発信する磁気発信素子と、
    前記第1外周縁及び前記第2外周縁の厚さ他側に配置され、前記溶接部を厚さ方向に透過した磁気を受信する磁気受信素子と、
    から成ることを特徴とする溶接部の品質検査装置。
  8. 複数の前記磁気発振素子及び複数の前記磁気受信素子が前記溶込み部の溶込み方向に沿って並置されている請求項7に記載の溶接部の品質検査装置。
  9. 更に、前記第1外周縁と前記第2外周縁との幅方向のずれ量を光学的に検知するずれ量検知手段を含む請求項7に記載の溶接部の品質検査装置。
  10. 下方くぼみを持つ液体タンク用のロアーパネルに下方付属部品をレーザ溶接する第1レーザ溶接工程と、
    上方くぼみを持つ液体タンク用のアッパパネルに上方付属部品をレーザ溶接する第2レーザ溶接工程と、
    前記ロアーパネルに前記アッパパネルを被せ前記下方くぼみの周囲の下方フランジ部と前記上方くぼみの周囲の上方フランジ部とを重ね、該下方フランジ部及び該上方フランジ部の幅方向外方のレーザ光源からレーザ光を照射し該両フランジ部の重合せ部を溶融させ、該下方フランジ部と該上方フランジ部との間に幅方向に延びた溶込み部を形成する第3レーザ溶接工程と、
    から成ることを特徴とする液体タンクの製造方法。
  11. 前記第1レーザ溶接工程、前記第2レーザ溶接工程及び前記第3レーザ溶接工程は、一つの前記レーザ光源を固定し、前記ロアーパネル及び/又は前記アッパネルを移動、回動させつつ行う請求項10に記載の液体タンクの製造方法。
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JP2010116300A (ja) * 2008-11-13 2010-05-27 Chofu Seisakusho Co Ltd 燃料電池用改質器の製造方法

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