JP2005198943A - 透析用補正液および透析用剤 - Google Patents

透析用補正液および透析用剤 Download PDF

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勝 小林
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Abstract

【課題】 本発明は、従来の粉末化された透析用剤(粉末型透析液)における各構成成分化合物の含量均一性を保証できない欠点を解消し、しかも保管場所などの削減および輸送などの省力化を計り得る改良された透析用剤およびその調製のための補正液を提供する。
【解決手段】塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末とともに混合・希釈することによって重炭酸透析液を形成する重炭酸透析液のための補正液であって、少なくとも塩化カリウム、塩化カルシウムおよびブドウ糖を配合してなるか、またはこれらと塩化マグネシウムとを配合してなり、これら各成分の配合量が下記のものであり且つ液状形態を有する補正液:
塩化カリウム(KClとして) 22〜94g/L
塩化カルシウム(CaCl2として) 22〜111g/L
塩化マグネシウム(MgCl2として) 36g/L以下
ブドウ糖 200〜600g/L。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液透析に使用する重炭酸透析液のための補正液および該補正液を利用した透析用剤に関する。
血液透析に使用する重炭酸透析液は、正常な血液に近い濃度の各種電解質を含んでおり、基本的にはナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、クロール(Cl)、重炭酸(HCO3)のイオンおよびブドウ糖からなっている。該透析液中の重炭酸塩とカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンは、反応して不溶性物質を析出するおそれがあるため、該透析液は、通常、重炭酸ナトリウムの粉末または水溶液からなる薬剤Bと、その他の成分からなる薬剤A(濃厚原液)とに2分され、実用時に2剤を混合・希釈して利用される。現在知られている上記薬剤Aは、患者の状態(体重、血圧、体液中の電解質組成など)、透析条件などに合わせて、下記の各イオンおよび成分濃度範囲(最終濃度)となるように、各成分を配合して調製されている。
Na+ (mEq/L) 120.0〜145.0
K+ (mEq/L) 1.5〜 2.5
Ca2+ (mEq/L) 2.0〜 4.0
Mg2+ (mEq/L) 0.0〜 1.5
Cl- (mEq/L) 100.0〜120.0
HCO3 - (mEq/L) 25.0〜 40.0
有機酸イオン (mEq/L) 0.0〜 10.0
ブドウ糖(mg/dL) 100.0〜150.0
血液透析は、患者一人1回当たり通常120L以上、最大250L程度もの大量の透析液を利用して実施されるものであるため、透析液は、一般には、その保管場所の削減、輸送および医療従事者の省力化などのために濃縮して製品化され、用時に上記濃度に希釈して利用されてきている。
しかるに、薬剤Aの濃縮は約35倍が限度であり、それ以上の高濃度液(濃厚液)の調製は、沈殿を生じるため不可能である。従って、濃縮製品といえども、尚その容積(重量)はかなり大きく、輸送・保管などに多大なスペース、労力などを要するという重大な欠点がある。
このような欠点を解消するために、透析液の粉末化が提案され、透析液成分の全てを粉末化した製品も既に開発されている。この粉末製品の代表例としては、人工腎臓透析用粉末製剤「ハイソルブTM−D」(清水製薬製)、「キンダリーTM3D号」(扶桑薬品工業社)、「リンパックTM」(ニプロファーマ社)などを挙げることができる。これらの粉末製品は、いずれも例えばNaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、酢酸Naおよび氷酢酸からなる粉末剤(A-1剤)、ブドウ糖粉末(A-2剤)および重炭酸ナトリウム粉末(B剤)の三剤からなっており、用時に三剤を水に混合・希釈して透析液として実用される。このような粉末製品中、A-1剤は、一般には各構成成分化合物の粉末を混合・粉砕後、造粒して調製される。
しかしながら、該A-1剤は、製剤中の各成分化合物含量を均一なものとすることが極めて困難である。即ち、一度に大量に製造されるロット間は勿論のこと、該ロット中から実際に1回の透析に利用するために秤量分取された製品や、そのような回分に分包された製品間では、構成成分組成にかなりのバラツキが生じる。しかも、現在知られている乾式造粒法および湿式造粒法は、いずれも粉砕工程、造粒工程などの煩雑な操作を要するに加えて、湿式造粒法では装置の摩擦によって異物が混入するおそれもある。殊に、調製すべき製剤を構成する各電解質化合物は、それらの硬度がそれぞれ異なっており、また造粒されやすいものとされにくいものとがあるため、原料化合物をいかに正確に秤量してその配合割合を決定しても、得られる各造粒物の組成には、バラツキが生じ、含量均一性が確保できないという重大な不利がある。
これらのことは、下記各文献の従来技術の項にも記載されるとおりである。
特開2001-149468号公報 特開平11-343230号公報 特許第2769592号
本発明の目的は、従来の粉末化された透析用剤(粉末型透析液)の重大な欠点である各構成成分化合物の含量均一性を保証できない欠点を解消し、しかも利点である保管場所などの削減および輸送などの省力化は保持した、改良された透析用剤およびその調製のための補正液を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、透析液を構成する成分化合物のうち、塩化ナトリウムを除く各成分化合物は、いずれも約200倍以上という非常に高濃度に濃縮でき、かくして得られる高度濃縮液は、液体であることからその含量均一性を保持しており、しかも容量および重量は、粉末製剤とほぼ同程度であり、従って、保管、輸送などの面での不利はないという事実、またこの高度濃縮液は、これを用時に塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末とともに混合・希釈することによって含量均一性を損なうことなく所望の透析液を調製できるという事実、かくして非常に簡単な操作で、所望の含量均一性、省スペース化、省重量化などを同時に満足する改良された透析用補正液および透析用剤が得られるという事実を見出した。
殊に、従来の透析用薬剤A(濃厚原液)は、約35倍濃縮が限度であり、それ以上の濃厚では沈殿が発生して液自体の組成を変化させるために実用できないものであったのに対して、該薬剤Aから塩化ナトリウムのみを除外するだけで、約200倍以上もの高濃縮が可能となり且つこれによって均質な液が得られるという事実は、本発明者らが初めて発見したものである。従来、透析用薬剤Aの濃縮が困難であるが故に、その粉末化技術が種々研究されてきたことを考慮すると、該薬剤Aから塩化ナトリウムを除いて高濃度濃縮に成功した本発明は、従来技術からは予期できないものであり、また当業界における技術の進歩に大きく貢献する画期的なものである。
本発明は、以上の知見を基礎として更に研究を重ねた結果完成されたものである。
本発明は下記項1-5に挙げる発明を提供する。
項1. 塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末とともに混合・希釈することによって重炭酸透析液を形成する重炭酸透析液のための補正液であって、少なくとも塩化カリウム、塩化カルシウムおよびブドウ糖を配合してなるか、またはこれらと塩化マグネシウムとを配合してなり、これら各成分の配合量が下記のものであり且つ液状形態を有する補正液:
塩化カリウム(KClとして) 22〜94g/L
塩化カルシウム(CaCl2として) 22〜111g/L
塩化マグネシウム(MgCl2として) 36g/L以下
ブドウ糖 200〜600g/L。
項2. 更にpH調整剤を含む項1に記載の補正液。
項3. 塩化カリウムおよび塩化カルシウムまたはこれらと塩化マグネシウムとが、下記の各電解質イオン濃度となる量で含まれる項1または2に記載の補正液:
K+ 0.30〜1.25Eq/L
Ca++ 0.40〜2.00Eq/L
Mg++ 0.75Eq/L以下。
項4. 項1〜3のいずれかに記載の補正液、塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末を含み、上記補正液1Lに対して重炭酸ナトリウム粉末が420〜1685gの割合で組み合わされ、且つ200〜500倍に希釈することによって重炭酸透析液を調製できる透析用剤。
項5. 200〜500倍希釈後に下記の陽イオン電解質組成の重炭酸透析液を調製できる項4に記載の透析用剤:
Na+ (mEq/L) 120.0〜145.0mEq/L
K+ (mEq/L) 1.5〜2.5mEq/L
Ca2+ (mEq/L) 2.0〜4.0mEq/L
Mg2+ (mEq/L) 0.0〜1.5mEq/L。
本発明の透析用補正液は、従来この種透析液分野では例をみない非常に高濃度で各電解質成分を均一に含む液状形態を有することを特徴としている。この高濃度液剤形態を有することに基づいて、本発明補正液は、その容量および重量において、省スペース、省力化などを妨げるおそれはなく、しかも含有される各成分組成の均一性を保証できる。即ち、このものは一度に大量に調製してその一部、例えば一回透析分ずつに分けると、各回分において組成のバラツキは認められない利点がある。
この本発明補正液に見られる組成の均一性は、これを利用して得られる本発明透析用剤においても、実質的に損なわれることなくそのまま受け継がれる。即ち、本発明透析用剤は、上記補正液と、塩化ナトリウム粉末および重炭酸塩粉末とからなり、このものは、用時に混合・希釈することによって、予め設定された所定の透析液組成を常に一定して有する所望の希釈液を安定して調製、提供することができる。
また、従来の人工腎臓透析用粉末製剤には、いずれもブドウ糖粉末(A-2剤)が利用されており、このブドウ糖粉末はその混合・希釈時に少量ずつ分割添加しなければ溶解が困難である不利があったが、本発明補正液では、ブドウ糖は既に溶液状態となっているため、その混合・希釈は非常に容易であり、迅速に所望の透析液を調製できる利点もある。
更に、本発明透析用補正液を利用して透析液を調製する場合、残りの必要な成分は塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムのみであり、これらは透析を行う病院などの医療機関においては入手容易である。従って、本発明透析用補正液があれば、例えば緊急時などにおいても、容易に所望の透析液を調製でき、透析を実施可能である。
以下、本発明補正液および本発明透析用剤につき詳述する。
(1) 本発明補正液
本発明補正液は、塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末と混合・希釈することによって重炭酸透析液を形成するものであって、少なくとも塩化カリウム、塩化カルシウムおよびブドウ糖を配合してなるか、またはこれらと塩化マグネシウムとを配合してなる液状形態を有する。各電解質成分化合物及びブドウ糖の配合量は以下の通りである。
塩化カリウム(KClとして) 22〜94g/L
塩化カルシウム(CaCl2として) 22〜111g/L
塩化マグネシウム(MgCl2として) 36g/L以下
ブドウ糖 200〜600g/L
上記塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムは、通常無水物形態(KCl、CaCl2およびMgCl2)で用いられるが、特にこの無水物形態に限定されるものではなく、結晶水を有する形態、即ち水和物の形態、例えばCaCl2・2H2O、MgCl2・6H2Oなどの形態で利用することもできる。この場合、各水和物の本発明補正液中への配合量は、それぞれ無水物形態に換算して決定するものとする。前記「KClとして」などの記載は、この無水物形態における配合量を意味する。より詳しくは、例えばCaCl2・2H2Oを利用する場合、その本発明補正液中への配合量は、29〜149g/Lの範囲から選ぶことができる。また、MgCl2・6H2Oを利用する場合、その本発明補正液中への配合量は、77g/L以下とすることができる。
上記各成分の好ましい配合量は、以下の通りである。
KCl 26〜86g/L
CaCl2 27〜98g/L
MgCl2 30g/L以下
ブドウ糖 300〜600g/L
上記各配合量範囲で電解質成分を配合する場合、本発明補正液中の各電解質イオン濃度は下記の範囲となる。
K+ 0.30〜1.25Eq/L
Ca++ 0.40〜2.00Eq/L
Mg++ 0.75Eq/L以下
好ましい各電解質イオン濃度範囲は次の通りである。
K+ 0.36〜1.15Eq/L
Ca++ 0.50〜1.75Eq/L
Mg++ 0.625Eq/L以下
原料とする各電解質成分化合物およびブドウ糖としては、いずれも入手な市販品、好ましくは日局方品を利用することができる。
本発明透析用補正液の調製に用いられる水は、例えば精製水(イオン交換水、逆浸透水など)、蒸留水などでよい。これらは殺菌乃至滅菌されているのが好ましい。
本発明透析用補正液には、特に必要ではないが、好ましくは適当なpH調整剤を添加配合することができる。該pH調整剤としては、この種の透析液に一般に利用されている各種の無機酸、有機酸およびこれらの塩類を挙げることができる。より詳しくは、該pH調整剤には、代表的には塩酸などの無機酸;酢酸(氷酢酸および無水酢酸を含む)、乳酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸、および酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどの上記酸の塩類が含まれる。これらはその1種を単独で用いることもでき、また2種以上を併用することもできる。通常、透析液には、酢酸および酢酸ナトリウムが併用されており、本発明補正液でも同様の併用が推奨される。
pH調整剤の本発明補正液中への配合量は、この補正液を塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末と混合後、水で200-500倍希釈して得られる透析液が、所定のpH、通常約6.5〜8.0、より好ましくは約7.2〜7.6を有するものとなり、且つ、調製される本発明補正液中に完全に溶解する範囲から、適宜決定することができる。これらのpH調整剤の配合は、特に本発明補正液である高濃度電解質液の調製を特に妨げるおそれはない。
尚、上記pH調整剤は、本発明透析用補正液に予め配合する代わりに、それぞれの濃度に調製した別個の液剤形態として、本発明透析用液剤と組み合わせて用いることもできる。この場合、所望の透析液を調製するための各製剤は、本発明透析用補正液、炭酸ナトリウム粉末、重炭酸ナトリウム粉末およびpH調整剤を含む液剤の4剤となる。
本発明透析用補正液には、更に必要に応じて他の電解質成分、例えば酢酸カリウム、グルコン酸カルシウムなど;他の糖質、例えばマルトース、キシリトール、トレハロースなど;カルニチンなどの医薬品成分などを含んでいてもよい。
本発明透析用補正液は、上述したように、塩化カリウム、塩化カルシウム、ブドウ糖、塩化マグネシウム、pH調整剤、その他の各種成分の所定量を秤量し、これらを水中に投入して溶解させることにより調製される。その際、好ましくは攪拌などの機械的操作を採用することもできる。また、溶解は、常温化に実施できるが、若干の加温操作を採用して実施することもできる。
(2) 本発明透析用補正液を利用した透析用剤
本発明透析用補正液は、これに塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末を混合し、必要に応じて更にpH調整剤などを混合し、水で200-500倍希釈することによって所望の透析液を調製できるものである。
本発明補正液、塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末の併用割合は、これらを混合し、更に必要に応じてpH調整剤などを混合して得られる混合物を水にて200-500倍希釈して調製される透析液が、下記の電解質イオン組成およびブドウ糖組成となるように適宜選択することができる。
Na+ (mEq/L) 120.0〜145.0
K+ (mEq/L) 1.5〜2.5
Ca2+ (mEq/L) 2.0〜4.0
Mg2+ (mEq/L) 0.0〜1.5
Cl- (mEq/L) 100.0〜120.0
HCO3 - (mEq/L) 25.0〜 40.0
-OCOCH3 - (mEq/L) 0.0〜 10.0
ブドウ糖(mg/dL) 100.0〜150.0
希釈後に上記組成とするための重炭酸ナトリウム粉末の混合量は、本発明補正液1Lに対して420〜1685gの範囲から選択することができる。塩化ナトリウム粉末は、本発明補正液の組成、特にその塩素イオン濃度を考慮して、最終調製される透析液の塩素イオン濃度が上記範囲となるように適宜その混合量を決定できる。その具体的配合比率は、後記実施例において詳述するとおりである。
本発明透析用補正液と混合・希釈される塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末としては、従来からこの種の透析用剤(粉末)に利用されているそれらをいずれも使用することができ、特に日局方品が好ましい。これら粉末は、その粒径に特に制限はなく、市販品をそのまま利用することができ、更に必要に応じて粉砕機などにより粉砕したり、その後整粒したりして利用することもできる。通常、粒径は約45〜1700μmにあるのが普通である。上記において希釈に用いられる水は、本発明透析用補正液の調製に用いられるそれと同一のものでよい。
(3) 本発明透析用剤の製剤形態
本発明透析用剤は、上記の通り、本発明透析用補正液、炭酸ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末を含み、更に必要に応じてpH調整剤などを配合して調製される。
本発明透析用剤は、重炭酸透析液のための従来公知の液剤と粉末剤とからなる透析剤と同様にして、公知の方法に従って混合・希釈して実用される。また、従来公知の装置(透析液供給装置)に供給して、該装置内で混合・希釈されて透析液として実用することもできる。
例えば、本発明透析用剤は、既存のA-1剤、A-2剤およびB剤よりなる3剤組み合わせ製剤のための透析装置を利用して、まず、本発明透析用補正液および炭酸ナトリウム粉末を所定濃度に混合・希釈すると共に、重炭酸ナトリウム粉末を所定濃度に溶解・希釈し、両希釈液を混合し、必要に応じて混合液を更に実用濃度に希釈して、透析液として利用することができる。より具体的には、例えば実施例に示される如き組成となる量の塩化ナトリウム粉末と本発明補正液とを希釈水に溶解・希釈してA液(9L)を調製する。同時に、重炭酸ナトリウム粉末を希釈水にて溶解してB液(10.59L)を調製する。その後、A液、B液および希釈水を所定濃度に希釈して重炭酸型透析液供給装置を用いて透析液を製造することができる。
本発明透析用補正液は、その利用によって本発明透析用剤を容易簡便に調製することができ、かくして得られる本発明透析用剤は、これを水で所定濃度に希釈することによって、所望の透析液として実用できる。従って、本発明によれば、含量均一性を保証され、しかも保管場所などの削減および輸送などの省力化を実現した改良された透析用剤およびその調製のための補正液が提供できる。
以下に、実験例および実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実験例などに何ら限定されるものではない。なお、以下の例において、特に断らない限り、「%」は重量%を、「部」は重量部を意味する。
実施例1
表1に示す重量の各原料化合物を注射用蒸留水に溶解して、200倍希釈によって利用することができる濃縮された透析用補正液(A-L剤)としての水溶液1Lを調製した。
Figure 2005198943
このものは、不溶性物質の析出を認めなかった。
得られた透析用補正液中の各成分濃度(電解質成分の場合は電解質イオン濃度)は下記の値となった。尚、電解質イオン濃度はダイオネクス社製のイオンクロマトグラフィーにより測定した。以下の各例における電解質イオン濃度の測定は、同イオンクロマトグラフィーによった。
K+ 0.40Eq/L
Ca++ 0.60Eq/L
Mg++ 0.20Eq/L
ブドウ糖 200g/L
上記で調製した本発明透析用補正液1Lを、NaCl 1227.2gおよびNaHCO3 554.5gと組み合わせて、200倍希釈によって下記組成の透析液となる本発明透析用剤を調製した。得られた本発明透析用剤の全重量は2906.7gであった。
Na+ 138mEq/L
K+ 2mEq/L
Ca2+ 3mEq/L
Mg2+ 1mEq/L
Cl- 111mEq/L
HCO3 - 33mEq/L
-OCOCH3 - 2mEq/L
ブドウ糖 100mg/dL
得られた本発明透析用剤は、含量均一性を有しており、また不溶性物質の析出のないものであった。
実施例2
表2に示す各原料化合物を注射用蒸留水に溶解して、500倍希釈して利用される濃縮された本発明透析用補正剤としての水溶液1000mLを調製した。
Figure 2005198943
このものは、不溶性物質の析出を認めなかった。
得られた透析用補正液中の各成分濃度(電解質成分の場合は電解質イオン濃度)は下記の値となった。
K+ 1.00Eq/L
Ca++ 1.50Eq/L
Mg++ 0.50Eq/L
ブドウ糖 500g/L
上記で調製した本発明透析用補正液1Lを、NaCl 3068.1gおよびNaHCO3 1386.2gと組み合わせて、500倍希釈によって下記組成の透析液となる本発明透析用剤を調製した。得られた本発明透析用剤の全重量は5767.3gであった。
Na+ 138mEq/L
K+ 2mEq/L
Ca2+ 3mEq/L
Mg2+ 1mEq/L
Cl- 111mEq/L
HCO3 - 33mEq/L
-OCOCH3 - 2mEq/L
ブドウ糖 100mg/dL
得られた本発明透析用剤は、含量均一性を有しており、また不溶性物質の析出のないものであった。
比較例 1
重炭酸ナトリウム粉末からなるB剤、ブドウ糖からなるA-2剤、その他の成分(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを含む)からなるA-1剤の3剤からなる市販の透析剤について、そのA-1剤の約1gを正確に秤量・分取して10個の検体(検体No.1〜10)を用意した。各検体を一定量の水に溶解し、そのイオン濃度と理論上のイオン濃度とを求めた。この計測値と理論値より「測定値/理論値」の平均値と標準偏差(Mean±SD)を算出した。
得られた結果を下記表3に示す。尚、イオン濃度は、Na+、K+およびCl-については、株式会社アットウイル社製、全自動電解質分析装置EA06Tを用いて、またCa++およびMg++については、株式会社日立製作所社製、自動分析装置7170を用いて、それぞれ測定した。
Figure 2005198943
表3に示される結果より、特にK+、Ca++およびMg++の各イオン濃度において、理論値と実測値ではかなりの誤差があり、秤量された各検体毎にこれらの電解質イオン濃度にかなりのバラツキが生じることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. 塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末とともに混合・希釈することによって重炭酸透析液を形成する重炭酸透析液のための補正液であって、少なくとも塩化カリウム、塩化カルシウムおよびブドウ糖を配合してなるか、またはこれらと塩化マグネシウムとを配合してなり、これら各成分の配合量が下記のものであり且つ液状形態を有する補正液:
    塩化カリウム(KClとして) 22〜94g/L
    塩化カルシウム(CaCl2として) 22〜111g/L
    塩化マグネシウム(MgCl2として) 36g/L以下
    ブドウ糖 200〜600g/L
  2. 更にpH調整剤を含む請求項1に記載の補正液。
  3. 塩化カリウムおよび塩化カルシウムまたはこれらと塩化マグネシウムとが、下記の各電解質イオン濃度となる量で含まれる請求項1または2に記載の補正液:
    K+ 0.30〜1.25Eq/L
    Ca++ 0.40〜2.00Eq/L
    Mg++ 0.75Eq/L以下
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の補正液、塩化ナトリウム粉末および重炭酸ナトリウム粉末を含み、上記補正液1Lに対して重炭酸ナトリウム粉末が420〜1685gの割合で組み合わされ、且つ200〜500倍に希釈することによって重炭酸透析液を調製できる透析用剤。
  5. 200〜500倍希釈後に下記の陽イオン電解質組成の重炭酸透析液を調製できる請求項4に記載の透析用剤:
    Na+ (mEq/L) 120.0〜145.0mEq/L
    K+ (mEq/L) 1.5〜2.5mEq/L
    Ca2+ (mEq/L) 2.0〜4.0mEq/L
    Mg2+ (mEq/L) 0.0〜1.5mEq/L

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