JP2005197531A - 不揮発性半導体メモリ及びその動作方法 - Google Patents

不揮発性半導体メモリ及びその動作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】捕獲誘電体層にトラップされた電荷を従来より増大させ、サイズが小型化された2−ビットセル構造の不揮発性メモリデバイスが求められている。
【解決手段】メモリセル10と、メモリセルに連結されるメモリ制御回路とを備えた不揮発性メモリであって、メモリセル10は半導体基板106上に形成され、ソース100、ドレイン101、及びチャネル領域と、チャネル領域の上に設けられた第1のアイソレーション層103と、第1のアイソレーション層103を覆う非導電性電荷トラップ層104と、非導電性電荷トラップ層104を覆う第2のアイソレーション層105と、第2のアイソレーション層105を覆うゲート102とを含み、メモリ制御回路は、非導電性電荷トラップ層104に電子を注入することによってメモリセルを消去するように構成される。
【選択図】図7

Description

本発明は、概して半導体メモリ装置に関し、より詳しくは、消去状態において電子を格納する不揮発性半導体メモリセル及びその動作方法に関する。
不揮発性情報記憶のためのメモリデバイスは、当該技術分野において広く普及している。代表的な不揮発性半導体メモリデバイスには、ROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びフラッシュEEPROMが含まれる。
フラッシュEEPROMは、メモリセルがプログラム(書き込み)可能であり、電気的に消去可能であるという点で、EEPROMと類似しているが、全てのメモリセルを一度に消去できるという、更なる特性を有する。EEPROM半導体メモリが広範囲に利用されたことで、書き込み時間の短縮、書き込み及び読み出し動作電圧の低減、データ保持時間の延長、消去時間の短縮、及び、物理的な寸法の小型化等の最適な性能特性を有するEEPROMメモリセルの開発に焦点を合わせた研究が促進された。
図1は、従来技術における不揮発性メモリセルの構造を示すブロック図であり、同図において、不揮発性メモリセル70はNチャネルMOSFET構造を含んでいる。不揮発性メモリセル70は、2つの埋込みN+接合を有するP型基板706を含み、一方のN+接合はソース700となっており、もう一方はドレイン701となっている。チャネル707は、ソース700とドレイン701との間に形成される。このチャネルの上には第1のアイソレーション層703があり、この第1のアイソレーション層703は一般にシリコン酸化物層である。第1のアイソレーション層703の上にはトラップ層704があり、このトラップ層704は一般に窒化物層である。トラップ層704は、窒化物層に注入されるホットエレクトロンをトラップするメモリ保持層を形成する。第2のアイソレーション層705は、シリコン窒化物層を覆うように形成され、この第2のアイソレーション層705は一般に酸化物層である。シリコン酸化物層705は、第2のアイソレーション層705の上に形成される導電性のゲート702を電気的に分離する。2つのシリコン酸化物層703及び705は、分離誘電体層として機能する。
この従来技術の構造によれば、2−ビットセル、すなわち2ビットのデータを記憶できる不揮発性メモリセルを提供できる。このメモリは、チャネルホットエレクトロン注入によって書き込まれる。ソース700を接地した状態で、ゲート702及びドレイン701に書き込み電圧を印加することにより、電子を十分に加速し、1ビットのデータが格納される場所であるトラップ層704のドレイン側701に近い側へ注入することが可能であり、これによってチャネル707のドレイン側701に近い側におけるエネルギー障壁が増大する。さらに、もう1ビットのデータが格納される場所であるトラップ層704のソース側702に近い側にも、電子を注入することが可能であり、これによってチャネル707のソース側701に近い側におけるエネルギー障壁が増大する。トラップ層704が適切な幅を有していれば、トラップ層704において電子を格納する2つの領域は特定可能であり、2ビットのデータを格納するために利用できる。
従来技術の不揮発性メモリセルにおけるエネルギー障壁に関していえば、トラップ層は中性状態にある。電荷がトラップ層に蓄積されていないとき、チャネル707のエネルギー障壁は低い状態にある。不揮発性メモリセルの書き込み時には、トラップ層の、例えばドレイン701に近い側に電子が注入され、その結果、チャネル707のドレイン701に近い側におけるエネルギー障壁は増大する。さらに、トラップ層704のソース700に近い側に電子が注入されたとき、チャネル707のソース700に近い側におけるエネルギー障壁は増大する。このようにして、チャネル707におけるエネルギー障壁は、エネルギー障壁の2つの側に分布する2つの高レベルな区域を有する。セルの閾値電圧は、チャネルを反転させてソースとドレインの間に電流を引き起こすのに十分なゲート電圧として定義される。一般的に言って、チャネルのエネルギー障壁が高ければ閾値電圧が高く、チャネルのエネルギー障壁が低ければ閾値電圧が低い。
ホットエレクトロン注入を利用した旧来の書き込み動作は、高い動作電圧を必要とし、多くの電力を消費する。不揮発性のセルのサイズが小型化され、相対的にチャネルが小さくなるにつれて、高い動作電圧によってパンチスルー効果が誘発され、結果として高いリーク電流及び低い書き込み効率をもたらす。これは、従来の不揮発性メモリデバイスを2ビットメモリセルに供する際に、設計及び実装上の重大な欠点になる。更に、従来技術の構造では特に限定されたサイズにすることが要求されるので、このことがサイズ及びコストを低減させるための技術的な努力の妨げとなる。
このように、当該技術分野において、最適な2−ビットセル構造を有する不揮発性メモリデバイスが一般的に求められており、特に、少なくとも当該技術分野の不揮発性メモリデバイスにおける上記の不都合な点を克服する不揮発性メモリデバイス及びその関連手法が求められている。とりわけ、当該技術分野において、捕獲誘電体層にトラップされた電荷を増大させる効果があり、かつ、サイズが最適に小型化された不揮発性メモリデバイスが求められている。
本出願では、不揮発性メモリを記述する。一つの実施形態において、不揮発性メモリは、メモリセルと、メモリセルと組み合わされる(連結される)メモリ制御回路を含む。このメモリセルは、ソース、ソースから間隔をおいて設けられたドレイン、及びソースとドレインの間にチャネルが形成された半導体基板、チャネルの上に設けられた第1のアイソレーション層、第1のアイソレーション層を覆う非導電性電荷トラップ層、非導電性電荷トラップ層を覆う第2のアイソレーション層、及び、第2のアイソレーション層を覆うゲートを含む。
一つの実施形態において、メモリ制御回路は、消去状態において、非導電性電荷トラップ層へ電子を注入するために電圧バイアスをメモリセルに印加するように構成される。メモリ制御回路は、更に、非導電性電荷トラップ層にホールを注入するために電圧バイアスを印加することによって、メモリセルの書き込みを行うように構成される。また、別の実施形態においては、チャネルから非導電性トラップ層へ注入を行う際のエネルギー障壁を低減させるため、チャネルと第1のアイソレーション層との間にトンネル層が追加され、これによって、動作モードにおいて電子及びホールが容易にトラップ層へ注入される。
上記の内容は概要であって、請求項の範囲を限定するために解釈されるものではない。本願明細書において開示される動作及び構造は、多くのやり方で実施することが可能であり、そのような変更及び変形は、本発明及び本発明のより広い側面から逸脱することなく行うことが可能である。請求項のみによって定義される本発明の他の側面、発明的特徴及び利点は、以下に述べる非限定的な詳細な説明に記載されている。
図14を参照すると、同図は、本発明の一実施形態に係る不揮発性メモリの概略を示すブロック図である。この不揮発性メモリは、一つ以上のメモリセル10とメモリ制御回路20とを備える。メモリ制御回路20はメモリセル10に連結され、消去動作、書き込み動作及び読み出し動作を含むメモリセル10の動作を制御するように構成される。
図2は、本発明の一実施形態において実施される不揮発性メモリセル10の概略図である。不揮発性メモリセル10は、NチャネルMOSFET構造を有する。不揮発性メモリセル10において、P型基板106は2つの埋込みN+接合を含み、このうち一つはソース100となっており、もう一つはドレイン101となっている。チャネル107は、ソース100とドレイン101との間に形成される。チャネル上には、シリコン酸化物層である第1のアイソレーション層103が形成される。第1のアイソレーション層103の上にはトラップ層104が設けられている。トラップ層104は非導電性材料でできており、この非導電性材料には、窒化物、Al又はHFOを用いることができる。トラップ層104は、そこに注入される電子をトラップする保持層として作用する。シリコン酸化物でできている第2のアイソレーション層105は、シリコン窒化物層を覆うように形成されている。シリコン酸化物層105は、第2のアイソレーション層105の上に形成された導電性のゲート102を、電気的に分離する作用を有する。2つのシリコン酸化物層103、105は、分離誘電体層として作用する。
不揮発性メモリセル10の書き込み、読み出し、及び消去を行う態様において、本発明の多数の利点がある。消去状態において、電子はトラップ層104に格納され、通常、チャネルのエネルギー準位は高い状態になる。メモリセル10に書き込みを行うため、ホットホールがソース100又はドレイン101からトラップ層104に注入されると、これによりエネルギー障壁が変化する。
本発明に係る不揮発性メモリセルの動作においては、トラップ層104にホール又は電子を高速で注入することが望ましい。また、不揮発性メモリセルが動作中でないときには、トラップ層に電子又はホールが保持されることが望ましい。本発明の特定の態様によれば、(例えば第1のアイソレーション層103のような)アイソレーション層のエネルギー障壁は、電子に対しては3.2eVでありホールに対しては4.9eVである。当該エネルギー障壁は、トラップ層104から引き抜かれる電子及びホール、並びに、第1のアイソレーション層103を通過してトラップ層104へ注入される電子及びホールに対して、概ね同等の影響をもたらす。さらに、不揮発性メモリセルが動作中でないときには、トラップ層104に電子又はホールが確実に保持されることが望ましい。逆にいえば、不揮発性メモリセルの動作中には、電子及びホールは容易にトラップ層104に注入される。つまり、不揮発性メモリセルの動作速度を上げるため、電子及びホールは、低いエネルギー障壁を有するアイソレーション層を通り抜けて移動する。
図3は、本発明の他の実施形態において実施される不揮発性メモリセルを示す概略図である。この異なる実施形態においては、チャネル107と第1のアイソレーション層103との間にトンネル層200が配置される。トンネル層200の材料には、電子及びホールに対するエネルギー障壁が第1のアイソレーション層よりも低くなるものが特に選ばれるので、電子及びホールが容易にトラップ層へ注入され、従ってトラップ層104に電荷を蓄積する速度が向上する。依然として第1のアイソレーション層103がトラップ層104の隣に存在するので、トラップ層104において層内の電子又はホールが良好に保持される。本発明の特定の態様によれば、トンネル層200の材料は、タンタルオキサイド又はBST(すなわち、バリウム、ストロンチウム及びタンタルの化合物)から選択できる。
一実施形態によれば、メモリセルの消去状態においてトラップ層104に電子が格納され、その一方で、メモリセルの書き込みが行われる際には、トラップ層104にホットホールが注入される。これにより、メモリセルの消去状態における閾値電圧は、書き込み状態における閾値電圧よりも高い電圧となる。
図4Aは、本発明の一実施形態に係るメモリセルの典型的な書き込み動作を示す概略図である。この書き込み動作は、ドレインビットに関して実行される。メモリ制御回路20は、メモリセルに書き込みを行う(プログラムする)ためにドレイン101及びゲート102間に電位差を与え、その一方で、ソース100は接地される。例えば、−5ボルト(V)の電圧がゲート102に印加され、ドレイン101には5Vが印加される。これらの電圧は、ドレイン101からゲート102までのチャネル長さに沿って垂直及び水平方向の電界を生成する。この電界は、ドレイン101からホールを引き抜いて、ソース100に向かって加速させる。ホールはチャネル長さに沿って移動するにつれてエネルギーを得る。ホールが十分なエネルギーを得たとき、ホールはシリコン酸化物層103の電位障壁をとび越えて、ホールをトラップするトラップ層104へ移動することが可能である。この現象の発生確率は、ゲートのドレイン101に隣接する領域において最大となる。なぜなら、ホールが最も多くのエネルギーを得る場所はドレイン101に近い場所だからである。これらの加速されたホールは、また、ホットホールと呼ばれている。一旦ホットホールが窒化物層に注入されると、それらはトラップされ、その中に保持されたままとなる。トラップされたホールは、窒化物層の低い導電特性及び水平方向の電界の作用により、窒化物層中に広がることができない。このように、トラップされた電荷は、概してドレインに近接して位置する局在化捕獲領域に留まる。
図4Bは、本発明の一実施形態に係るソースビットの典型的な書き込み動作を示す概略図である。ソースビット書き込みは、ソース100からホールを引き抜くためにソース100とドレイン101に印加される電圧が入れ替わる点を除いて、ドレインビット書き込みと同様である。
上記した書き込み動作は、1ビット、すなわちドレインビット又はソースビットを個別に書き込むために実行可能である。その代わりに、2以上のビットをトラップ層104に同時に書き込むことができる。異なる実施形態において、メモリ制御回路20の制御の下で適切な電圧を印加することによって、複数のビットをパラレルに書き込むことができる。
図5Aは、本発明の一実施形態に係るメモリセルのソースビットの典型的な読み出し動作を示す概略図である。ソース100に近い側においてトラップ層に格納されたビットを読み込みたい場合、メモリ制御回路20は正の電圧をゲート102及びドレイン101に印加して、ソース100が接地される。ゲート102に印加される正の電圧の下限は、チャネル107において十分な反転を生じさせる電圧とし、それにより、書き込まれた状態の検出を可能とする。ドレイン101に印加される正の電圧はドレイン101に近い側に格納されたビット全体のエネルギー障壁及びポテンシャルを低減させ、結果としてチャネル電流となる。図6Aは、ドレインに近い側のビットが低い状態及び高い状態にある場合に、ソースに近い側のビットを低い状態で読み出す際のエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す。図6Bは、ドレインに近い側のビットが低い状態及び高い状態にある場合に、ソースに近い側のビットを高い状態で読み出す際のエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す。書き込み動作と同様に、メモリ制御回路20によって複数のビットをパラレルに読み出すことができる。
デバイスがトラップ層104のドレインに近い側のビットを読み出す場合、図5Bに図示したように、ドレイン101が接地されると共に、正の電圧がゲート102及びソース100に印加される。ゲート102に印加される正の電圧の下限は、チャネル107において十分な反転を生じさせる電圧とし、それにより、書き込まれた状態の検出を可能とする。ソース100に印加される正の電圧はソース100に近い側に格納されたビット全体のエネルギー障壁及びポテンシャルを低減させ、結果としてチャネル電流になる。図6Cは、ドレインに近い側のビットが低い状態及び高い状態にある場合の両方において、ドレインに近い側のビットを低い状態で読み出す際のエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す。図6Dは、ドレインに近い側のビットが低い状態又は高い状態にある場合の両方において、ドレインに近い側のビットを高い状態で読み出す際のエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す。
ここで、本発明の一実施形態におけるFN(ファウラー・ノルドハイム)注入方法による典型的な消去動作を示す図7を参照すると、電子は、半導体基板からトラップ層に注入される。本発明に係る不揮発性メモリセルは、基板注入のための正のゲート−ドレイン/ソース/基板間バイアスによるファウラー・ノルドハイムトンネリングによって、一様な電子注入を利用して消去される。一実施形態において、不揮発性メモリは、製造完了後又は最終製品として引き渡される前に、最初に消去状態にセットされる場合がある。この設定は、紫外線照射による物理的な方法、又は、以下に述べる電気的な方法により達成可能である。
電気的に不揮発性メモリセルを消去するためには、基板注入方法が利用される。メモリ制御回路20は、ソース100、ドレイン101、基板106及びゲート102にそれぞれ電圧を印加する。例えば、ゲートに10Vの電圧が印加され、ドレイン101、基板106及びソース100に−5Vの電圧が印加される。これらの電圧は、チャネル領域106からゲート102にかけて垂直方向の電界を生成する。この電界により、チャネル領域から電子が引き抜かれ、トンネル効果によりゲートへ向かって移動する。電子は、シリコン酸化物層103のポテンシャル障壁をトンネル効果により通り抜けることが可能であり、それらがトラップされるトラップ層104へ注入されることになる。トンネル電子は、それらがトラップされて格納される場所である窒化物層に注入される。
さらに、本発明に係る不揮発性メモリセルの、基板注入のための負のゲート−ドレイン/ソース/基板バイアスを利用した消去動作において、電圧を用いることができる。図8は、本発明に係る他の典型的な消去動作として、FN(ファウラー・ノルドハイム)注入法を利用してゲートからトラップ層に電子を注入する例を示す。ソース100、ドレイン101、基板106及びゲート102に電圧が適宜印加される。例えば、−10Vの電圧がゲートに印加され、5Vの電圧がドレイン101、基板106及びソース100に印加される。これらの電圧は、ゲート102から窒化物層104の長さに沿って垂直方向の電界を生成する。この電界によって、電子がゲート102から引き抜かれ、トンネル効果により窒化物層104へ向かって移動する。電子は、第2のアイソレーション層105のポテンシャル障壁をトンネル効果によって通り抜けることが可能であり、それらがトラップされる場所であるトラップ層104へ注入されることになる。これらのトンネル電子は、それらがトラップされて格納される場所であるトラップ層に注入される。
図9は、本発明に係るフラッシュメモリセルの典型的な消去動作として、直列電圧パルスを基板に印加することによって、ドレインからのホットエレクトロン注入を利用する例を示す。このメモリセルは、メモリセルにおけるホットエレクトロン注入を引き起こす直列電圧パルスを基板に印加することにより消去される。この目的のために、メモリ制御回路20は正のバイアスをゲート102に印加し、ソース100はフロートの状態となり、基板は接地され、直列電圧パルスがドレイン101に入力される。一つの実施形態において、ゲート電圧は5Vであり、パルスのハイレベルは4Vであり、そのローレベルは−2Vである。負のパルスがドレイン101に対して入力されると、その結果として、ドレイン中の電子がドレイン101からソース100に流れ出す。正のパルスがドレイン101に印加されると、ドレイン101とソース100との間のチャネルが遮断される。電荷空乏領域が基板106に形成され、電界がドレイン101からゲート102に至るパスに沿って生成されるにつれて、ドレイン101から流れ出る電子はゲート102に向かって移動し、トラップ層104にトラップされ、消去動作が完了する。
本発明のもう一つの実施形態において、ドレインがフロートしている状態で直列パルスをソース100に対して入力することにより、概ね同じ結果が得られる。
図10は、本発明に係るフラッシュメモリセルに対する別の典型的な消去動作として、直列電圧パルスを基板に印加することによって、ソース及びドレインからのホットエレクトロン注入を利用する例を示す。この異なる実施形態によれば、ゲート102には正のバイアスが印加され、基板106は接地される。メモリ制御回路20は、ドレイン101及びソース100に対して、直列電圧パルスを同期させて印加する。負のパルスがソース100及びドレイン101に印加されると、電子がソース100及びドレイン101から引き抜かれて、それからチャネル107へ向かって加速される。正のパルスがソース100及びドレイン101に印加されると、電荷空乏領域が基板106において形成され、チャネル107からゲート102に至るパスに沿って垂直の電界が生成される。この垂直の電界は、電子をソース100及びドレイン101から汲み出して、第1のシリコン酸化物層103からトラップ層104へ電子を通過させる。ある期間、トラップ層に電子が充填されると、トラップ層104は電子で満たされ、窒化物層のもとの状態を消去する。
トラップ層に電子を汲み上げるため、消去パルスを直接基板106に印加することも可能である。図11は、本発明に係るフラッシュメモリセルに対するさらに別の典型的な消去動作であり、直列電圧パルスを半導体基板に印加することによって、ホットエレクトロン注入を利用する例を示す。電子は、基板層106から汲み出され、第1のアイソレーション層103を通り抜けてトラップ層104へと流れる。メモリ制御回路20はゲート102に正の電圧(例えば3V)を印加し、その一方で、ソース100及びドレイン101は接地される。加えて、ハイレベルが2V(例えば)でローレベルが−4V(例えば)の直列電圧パルスが基板106に印加される。正の電圧が印加されると、ソース100及びドレイン101から電子が引き抜かれる。負の電圧が印加されると、ソース100及びドレイン101から出た電子がトラップ層104に汲み上げられる。ある期間、トラップ層に電子が充填されると、トラップ層104は電子で満たされ、窒化物層のもとの状態を消去する。
図12は、本発明に係る不揮発性メモリセルに対するさらに異なる典型的な消去動作であり、Nウェルから放出されるホットエレクトロンを用いた電子注入を利用する例を示す。本発明に係る不揮発性メモリセルは、不揮発性メモリセルの基板の周囲にNウェルが配置されたものであり、ホットエレクトロン注入により消去される。正のゲート−ドレイン/ソース間バイアス及び正のPウェル−Nウェル間バイアスにより、Nウェルから電子が放出されて、Pウェルに注入され、セルにトラップされる。本実施形態において、基板106はPウェルとして作用する。Nウェル109は、基板106を囲むように形成される。本実施形態では、P+領域108はPウェルに形成され、N+ドレイン領域101の右側に位置するものとするが、この位置に限定されるものではない。P+領域108は、外部コンポーネントへの接続接点として機能させるために電極形成される。Pウェルを囲んでいるNウェル109は、N+領域110を含む。ここでN+領域110はP+領域108の一方側に位置するが、この位置に限定されるものではない。N+領域110は、外部コンポーネントへの接続接点として機能させるために電極形成される。ゲート102とNウェル109との間に電圧バイアスが印加された状態で、電子はNウェルから半導体基板106へ汲み出され、トラップ層104へと流れる。図12に図示したように、比較的大きなサイズのNウェルは、比較的小さい電圧によって、トラップ層に注入される電子を著しく多量に提供できる。
本明細書において、また、図12に関連して記載した特定の電圧値は、単に、本発明に係る不揮発性メモリの消去動作を実行する際の1セットの可能な条件を包含するに過ぎないものと理解されるべきである。
図13は、本発明に係る不揮発性メモリセルに対する消去動作のさらにまた別の例であり、Nインジェクタから放出されるホットエレクトロンを用いた電子注入を利用する例を示す。本発明に係る不揮発性メモリセルは、不揮発性メモリセルの基板にN+インジェクタが設けられたものであり、ホットエレクトロン注入により消去される。本実施の形態では基板106はPウェルとして作用し、正のゲート−ドレイン/ソース間バイアス及び正のPウェル−N+インジェクタ間バイアスが印加された状態で、N+インジェクタから電子が放出され、そして、メモリセルにおいて電子がトラップされるところのPウェルに注入される。N+インジェクタ111は、Pウェルに形成される。N+インジェクタ111は電子リザーバとして機能し、トラップ層104に注入される電子を提供する。P+領域108は、Pウェルに形成される。P+領域108は、外側のコンポーネントへの接続接点として機能させるために電極形成される。この実施形態において、N+インジェクタ111及びP+領域108はN+ドレイン領域101の右側に位置するものとするが、その位置に限定されるものではない。ゲート102及びN+インジェクタ110間に電圧バイアスが印加された状態で、電子は、N+インジェクタからPウェルに汲み出され、トラップ層104に流れる。図12に図示したように、比較的大きなサイズのNウェルは、比較的小さい電圧によって、トラップ層に注入される電子を著しく多量に提供できる。
本発明に係る不揮発性メモリの書き込みを行う際には、チャネルはオフにされる。その結果、ドレイン101からソース100への電流は流れず、その逆方向の電流も流れない。このように、本発明は、大きなリーク電流、高い消費電力及び低書き込み効率の原因となるパンチスルー現象を有効に阻止するものであり、メモリセル中の2つのビットは良好に識別可能である。消去動作においては、電子は、チャネルのエネルギー障壁が増大する場所であるトラップ層に格納される。チャネルにおけるエネルギー障壁のレベルは、不揮発性メモリセルの2つのビット、すなわちビット1及びビット2をカバーする領域において、一様に分布する。ビット1が書き込まれると、ビット1側のエネルギー障壁は、トラップされた電子を枯渇させ又はホットホールを注入することにより、トラップ層内のキャリヤ量を補償し又は再結合させることによって低下する。ビット2が書き込まれると、ビット2側のエネルギー障壁は、トラップされた電子を枯渇させ又はホットホールを注入することにより、トラップ層のキャリヤ量を補償し又は再結合させることによって低下する。ビット1及び2が書き込まれると、ビット1及びビット2のエネルギー障壁は共に低下する。ゲートからの電圧がチャネルを遮断するので、チャネルのパンチスルー電流は発生しない。電流のパスは、ドレインとトラップ層の間、又は、ソースとトラップ層の間に形成されるだけである。トラップ層のビット1及び2があまりに近接している(例えば、互いに隣接している)場合も、有利なことに、これら2つのビットを識別するための分解能の低下は無い。
上記の実施態様において、トラップ層に書き込みを行う方法は、層へのホールの注入によるものである。ホールがトラップ層に注入されると、このホール注入は、メモリセルのトラップ層における正味の電荷を減らす効果を有する。トラップ層から電子を引き抜くことによっても、実質的に同じ結果を得られる。このように、不揮発性メモリセルに書き込みを行う目的を達成するためにトラップ層から電子を引き抜く方法も、また、本発明の範囲内である。
本発明に従った具現化は、特定の実施形態の文脈において記述したものである。これらの実施形態は、実例とすることを意図したものであり、これらに限定されるものではない。多様な変形、修正、付加及び改良が可能である。従って、本明細書において単一の例として記述した構成要素が、複数の例において提供されてもよい。さらに、典型的な構成における個々の要素として示した機構及び機能性を、結合された一つの機構又は構成要素として実施してもよい。これらの、そして他の、変形、修正、付加及び改良は、請求項に記載したところにより本発明の範囲に含めることができる。
従来技術の不揮発性メモリセルを示す概略図である。 本発明の不揮発性メモリセルの好ましい実施形態を示す概略図である。 本発明の別の実施形態である、トンネル層を有する不揮発性メモリセルを示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る不揮発性メモリセルにおいて、ドレインビットを書き込む典型的な動作を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る不揮発性メモリセルにおいて、ソースビットを書き込む典型的な動作を示す概略図である。 本発明の別の実施形態に係る不揮発性メモリセルにおいて、ソースビットを読み出す典型的な動作を示す概略図である。 本発明の別の実施形態に係る不揮発性メモリセルにおいて、ドレインビットを読み出す典型的な動作を示す概略図である。
ドレインに近い側のビットが低い状態又は高い状態にある場合に、ソースに近い側の1ビットを低い状態で読み出す際の典型的なエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す図である。 ドレインに近い側のビットが低い状態又は高い状態にある場合に、ソースに近い側の1ビットを高い状態で読み出す際の典型的なエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す図である。 ドレインに近い側のビットが低い状態又は高い状態にある場合に、ドレインに近い側の1ビットを低い状態で読み出す際の典型的なエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す図である。 ドレインに近い側のビットが低い状態又は高い状態にある場合に、ドレインに近い側の1ビットを高い状態で読み出す際の典型的なエネルギー障壁分布及び電圧分布を示す図である。 本発明に係る典型的な消去動作であり、電子が半導体基板からトラップ層に注入される例を示す図である。 本発明に係る別の典型的な消去動作であり、電子がゲートからトラップ層に注入される例を示す図である。 本発明に係るフラッシュメモリセルに対する典型的な消去動作であり、直列電圧パルスを基板に印加することによって、ドレインからのホットエレクトロン注入を利用する例を示す。 本発明に係るフラッシュメモリセルに対する別の典型的な消去動作であり、直列電圧パルスを基板に印加することによって、ソース及びドレインからのホットエレクトロン注入を利用する例を示す。
本発明に係るフラッシュメモリセルに対するさらに別の典型的な消去動作であり、直列電圧パルスを半導体基板に印加することによって、ホットエレクトロン注入を利用する例を示す。 本発明に係る不揮発性メモリセルに対するさらに異なる典型的な消去動作であり、Nウェルから放出されるホットエレクトロンを用いた電子注入を利用する例を示す。 本発明に係る不揮発性メモリセルに対するまたさらに別の典型的な消去動作であり、Nインジェクタから放出されるホットエレクトロンを用いた電子注入を利用する例を示す。 本発明の一実施形態に係る不揮発性メモリのブロック図である。

Claims (20)

  1. ソース及びソースから間隔をおいて設けられたドレインを含む半導体基板、
    前記ソースと前記ドレインとの間において前記基板上の少なくとも一部に設けられた第1のアイソレーション層、
    前記第1のアイソレーション層を覆う非導電性電荷トラップ層、
    前記非導電性電荷トラップ層を覆う第2のアイソレーション層、及び、
    前記第2のアイソレーション層を覆うゲート、を含む少なくとも一つのメモリセルと、
    前記メモリセルに連結され、前記メモリセルの動作を制御するよう構成されるメモリ制御回路と、を含み、
    前記メモリセルの前記非導電性電荷トラップ層は、前記メモリセルの消去状態において正味の負電荷を有すること、
    を特徴とする不揮発性メモリ。
  2. 前記非導電性電荷トラップ層は、窒化物、Al又はHFOからなる、請求項1記載の不揮発性メモリ。
  3. 前記メモリセルは、前記基板と前記第1のアイソレーション層との間に設けられたトンネル層をさらに含み、前記トンネル層は、その電子又はホールのエネルギー障壁が、前記第1のアイソレーション層の電子又はホールのエネルギー障壁よりも低く構成されている、請求項1記載の不揮発性メモリ。
  4. 前記トンネル層は、酸化チタン又はバリウム−ストロンチウム−タンタル化合物からなる、請求項3記載の不揮発性メモリ。
  5. 前記メモリ制御回路は、前記メモリセルに書き込みを行うために第1のセットの電圧を印加するように構成され、前記第1のセットの電圧は、前記メモリセルの前記非導電性電荷トラップ層へのホールの移動を引き起こす、請求項3記載の不揮発性メモリ。
  6. 前記メモリ制御回路は、前記メモリセルを消去するために第2のセットの電圧を印加するように構成され、前記第2のセットの電圧は、前記メモリセルの前記非導電性電荷トラップ層への電子の移動を引き起こす、請求項1記載の不揮発性メモリ。
  7. 前記メモリセルは、前記半導体基板に設けられたN+インジェクタをさらに備える、請求項1記載の不揮発性メモリ。
  8. 前記メモリ制御回路は、
    前記ドレイン及び前記ソースを接地すること、及び、
    前記ゲートと前記半導体基板と前記N+インジェクタにそれぞれ電圧を印加すること、
    を含むプロセスを実行することによって、前記メモリセルを消去するように構成される、請求項7記載の不揮発性メモリ。
  9. 前記メモリ制御回路は、
    前記ゲートに電圧を印加すること、
    前記ドレイン又は前記ソースのいずれか一方に電圧を印加すること、
    前記ドレイン又は前記ソースのもう一方をフロート状態のままにすること、及び、
    前記半導体基板を接地すること、
    を含むプロセスを実行することによって、前記メモリセルを消去するように構成される、請求項6記載の不揮発性メモリ。
  10. 前記メモリ制御回路は、
    前記ゲートに電圧を印加すること、
    前記ソース及び前記ドレインに対して同期して電圧を印加すること、及び、
    前記半導体基板を接地すること、
    を含むプロセスを実行することにより、前記メモリセルを消去するように構成される、請求項6記載の不揮発性メモリ。
  11. 前記メモリ制御回路は、
    前記ゲートに電圧を印加すること、
    前記ソース及び前記ドレインを接地すること、及び、
    前記半導体基板に電圧を印加すること、
    を含むプロセスを実行することにより、前記メモリセルを消去するように構成される、請求項6記載の不揮発性メモリ。
  12. 前記メモリ制御回路は、
    正の電圧を前記ゲートに印加すること、及び、
    負の電圧を前記半導体基板に印加すること、
    を含むプロセスを実行することにより、前記メモリセルを消去するように構成される、請求項6記載の不揮発性メモリ。
  13. 前記メモリ制御回路は、
    負の電圧を前記ゲートに印加すること、及び、
    前記トラップ層に電子を移動するために正の電圧を前記半導体基板に印加すること、
    を含むプロセスを実行することにより、前記メモリセルを消去するように構成される、請求項6記載の不揮発性メモリ。
  14. ソース、及び、ソースから間隔をおいて設けられたドレインを含む半導体基板、
    前記ソースと前記ドレインとの間において前記基板上の少なくとも一部に設けられた第1のアイソレーション層、
    前記第1のアイソレーション層を覆い、少なくとも一つの格納領域において電子を受け取って保持する非導電性電荷トラップ層、
    前記非導電性電荷トラップ層を覆う第2のアイソレーション層、及び、
    前記第2のアイソレーション層を覆うゲート、とを含み、
    消去状態において、前記メモリセルに第1の閾値電圧を有せしめるために電子が前記格納領域に移動され、
    前記メモリセルは、書き込み状態において、前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を有する、
    不揮発性メモリセル。
  15. 半導体基板を提供するステップと、
    前記基板に、ソース及びソースから間隔を置いて設けられたドレインを形成するステップと、
    前記ソースと前記ドレインとの間において、前記基板上の少なくとも一部に設けられるように第1のアイソレーション層を形成するステップと、
    少なくとも一つの格納領域において電子を保持する非導電性電荷トラップ層を前記第1のアイソレーション層を覆うように形成するステップと、
    前記非導電性電荷トラップ層を覆うように第2のアイソレーション層を形成するステップと、
    前記第2のアイソレーション層を覆うようにゲートを形成するステップと、を含み、
    消去状態において、前記メモリセルに第1の閾値電圧を有せしめるために電子が前記格納領域に移動され、前記メモリセルは、書き込み状態において、前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を有する、
    不揮発性メモリセルの製造方法。
  16. 前記非導電性電荷トラップ層は、窒化物、AlO又はHFOからなる、請求項15記載の方法。
  17. 前記メモリセルに、前記基板上に設けられかつ前記基板を覆うようにトンネル層を形成するステップをさらに含み、前記トンネル層は、その電子及びホールに対するエネルギー障壁が、前記第1のアイソレーション層の電子及びホールに対するエネルギー障壁よりも低い、請求項15記載の方法。
  18. 前記トンネル層は、酸化チタン又はBST(バリウム、ストロンチウム及びタンタルの化合物)からなる、請求項17記載の方法。
  19. 前記ソース又は前記ドレインのいずれか一方から前記ゲートへの電流を遮断するために、前記ゲート−ソース間又は前記ゲート−ドレイン間のいずれか一方に第1の電圧を印加するステップ、及び、
    前記ソース又は前記ドレインのもう一方から前記トラップ層へのパスに沿って流れる電流を引き起こすための電界を生じさせるため、前記ゲート−ソース間又は前記ゲート−ドレイン間の他方に第2の電圧を印加するステップ、
    によって、前記メモリセルが書き込み状態に移行する、請求項15記載の方法。
  20. 前記ソース又は前記ドレインのいずれか一方から前記非導電性トラップ層の第1の格納領域へのパスに沿って流れる第1の電流を引き起こす第1の電界を生じさせるため、前記ゲート−ソース間又は前記ゲート−ドレイン間のいずれか一方に第1の電圧を印加するステップ、及び、
    前記ソース又は前記ドレインの他方から前記非導電性トラップ層の第2の格納領域への第2のパスに沿って流れる第2の電流を引き起こす第2の電界を生じさせるため、前記ゲート−ソース間又は前記ゲート−ドレイン間の他方に第2の電圧を印加するステップ、
    によって前記メモリセルが書き込まれ、書き込み状態に移行する、請求項15記載の方法。
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