JP2005197100A - プロトン伝導性材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池の電解質膜として好適に利用可能なプロトン伝導性材料を提供する。
【解決手段】
酸化ジルコニウムとリン酸の構成比率が質量比で3:7〜8.5:1.5の範囲内となるように、酸化ジルコニウムの粉体を、液状のリン酸に混合し、プロトン伝導性材料を作製した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池や水素センサ、電気化学キャパシタ等の電気化学デバイスに用いられるプロトン伝導性材料およびその製造方法に関する。
水素センサ、電気化学キャパシタ等の電気化学デバイスの主要材料を構成するプロトン伝導性材料はよく知られている。なかでも、このプロトン伝導性材料は、近年、燃料電池の電解質層への利用が注目されている。
燃料電池は、その用途により、作動温度や大きさ等の求められる条件が異なり、そのタイプごとに必要とされる電解質層の特性も異なる。こうした中で燃料電池自動車や携帯端末用の電源として期待されるものは、小型で高出力であることが求められており、この電解質層として、薄膜状に成形された固体プロトン伝導性材料が利用されている。
従来の固体プロトン伝導性材料の中では、Nafion(登録商標)に代表される、パーフルオロスルホン酸系イオン交換膜等のフッ素系高分子材料がよく知られている(例えば特許文献1)。このフッ素系高分子材料は、溶媒に溶けた状態で延展し、溶媒を揮発させることにより、取り扱い容易な薄膜状の電解質層(電解質膜)に成形することができる。そして、このフッ素系高分子材料からなる電解質膜は常温付近で高いプロトン伝導性を発現するため、かかる電解質膜を用いて、実用性の高い燃料電池の研究開発が盛んとなっている。
特開2000−188013号公報
しかしながら、上記フッ素系高分子材料にあっても、燃料電池の電解質層の構成材料として十分な性能を有しているとは言えず、燃料電池に採用した場合に種々の問題が生じている。
例えば、フッ素系高分子材料は、水を多量に含んだ状態で高いプロトン伝導性を発現するため、その燃料電池が高い出力を発揮するためには、電解質膜周囲の水蒸気圧を飽和状態に近い程度まで高めることが必要となる。このため、その燃料電池には、加湿装置が不可欠であり、かかる加湿機構により燃料電池が大きく、複雑な構成になってしまうという問題がある。
また、水素タンクやガス流量制御機構を省略し燃料電池をより小型化する手段として、メタノールを燃料極へ直接供給するダイレクトメタノール方式が有望視されているが、フッ素系高分子材料は、メタノールを透過する微小孔を多数有するため、フッ素系高分子材料を用いた燃料電池にこの方式を採用した場合には、メタノールが電解質膜の間を透過してしまい、その出力が大きく減少してしまうといった問題もある。
また、触媒が被毒するのを防止すると共に、空気極で発生する水を円滑に排出し、発電効率を向上させる手段として、燃料電池を100〜150℃付近で運転させることが望まれているが、フッ素系高分子材料は、熱に弱く100℃付近で変性してしまうため、フッ素系高分子材料を用いた燃料電池は通常100℃以下で運転しなければならず、出力のロスが大きいといった欠点もある。
このように、フッ素系高分子材料にあっても、理想的な電解質膜材料には程遠いものであり、より小型でより高出力の燃料電池を開発するために、新たなプロトン伝導性材料の登場が望まれている。本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、フッ素系高分子材料に替えて、燃料電池の電解質膜材料として好適に利用可能なプロトン伝導性材料の提供を目的とする。
ところで、燃料電池の電解質層には、固体プロトン伝導性材料以外のプロトン伝導性材料も用いられており、この中で、液体プロトン伝導性材料であるリン酸を電解質層に用いたリン酸型燃料電池がよく知られている。このリン酸型燃料電池は、200℃程度で作動し、実用性に富んだものであるが、取り扱い容易な電解質膜を形成できるフッ素系高分子材料と違い、液体であるリン酸は形状保持が難しく、液漏れ等により散逸・減少して電池特性が低下してしまうといった欠点を抱えているため、リン酸型燃料電池は、その内部に、大量のリン酸の保持・補給機構が不可欠となっている。このため、リン酸型燃料電池は、小型化が困難であり、燃料電池自動車用や携帯端末用の小型の燃料電池ではなく、オンサイト用の燃料電池として用いられている。
発明者は、こうした現状にあって、このリン酸の高いプロトン伝導性に着目し、リン酸を用いて形状保持性に優れたプロトン伝導性材料を開発すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至ったものである。
本発明のプロトン伝導性材料は、リン酸に、酸化ジルコニウムを固形剤として混合してなることを特徴とする。
発明者の研究によれば、酸化ジルコニウムは、界面でリン酸分子と非常に吸着し易い性質を有し、本発明のプロトン伝導性材料にあっては、リン酸中に分散する酸化ジルコニウムにリン酸分子が吸着し、リン酸分子の流動が抑えられることにより、形状を保持し易い状態になっていると考えられる。本発明のプロトン伝導性材料は、延展したり、成形型により成形したりすれば薄膜状に形成可能であり、また、得られた薄膜は形状保持性に優れるため、取り扱いが容易であり電解質膜として好適な機械的物性を有する。また、このプロトン伝導性材料では、リン酸分子の流動性は抑えられているが、リン酸分子のOH基から多数のプロトンが解離しており、解離したプロトンが材料内を移動すると考えられる。発明者は、このプロトン伝導性材料が、常温付近で、高いプロトン伝導度を示すことを確認している。
また、上述のように、本発明のプロトン伝導性材料は、液状のリン酸と同様のプロトン伝導機構を有していると考えられ、水を殆ど含まない状態でも十分なプロトン伝導経路が確保されるため、周囲の湿度変化に対して安定したプロトン伝導性を発現し得る。また、発明者の研究によれば、このプロトン伝導性材料は、少なくとも150℃以下の条件下では物質的変化が生じず、物性的にも安定している。
従って、本発明のプロトン伝導性材料により電解質膜を作製して燃料電池に用いた場合には、その燃料電池の電解質膜は高いプロトン伝導性を有すると共に、周囲の湿度変化に対して安定したプロトン伝導性を示すから、その燃料電池は、高い出力を発揮すると共に、リン酸の保持・補給機構及び加湿装置が必要なく、フッ素系高分子材料を用いたものよりも小型化することができる。また、その電解質膜は、100℃以上でも安定であるため、当該燃料電池を100℃以上で運転させることにより、触媒の被毒防止と、水分の円滑な排出とが可能となり、フッ素系高分子材料を用いたものよりも、高い発電効率を実現することができる。
また、本発明のプロトン伝導性材料には微小な孔は殆ど存在しないため、本発明のプロトン伝導性材料を用いた燃料電池では、メタノールが電解質膜を透過し難く、上記ダイレクトメタノール方式を好適に採用可能である。従って、かかる燃料電池では、水素タンクやガス流量制御機構等を省くことができ、高い発電効率を維持したまま、燃料電池の構造を極めて簡素化できる。
さらに、本発明のプロトン伝導性材料にあっては、原料となる酸化ジルコニウムとリン酸がありふれたものであり、且つその製造過程も単純である。このため、フッ素系高分子材料に比べて、本発明のプロトン伝導性材料は極めて安価に製造可能であり、燃料電池に用いることにより、優れた性能を有する燃料電池を低価格で実現可能となる。
なお、本発明のプロトン伝導性材料は、単独で燃料電池の電解質層に用いることができるが、フッ素系高分子材料等の従来の固体プロトン伝導性材料と複合して電解質層に用い、夫々の特長を生かした電解質層を作製することも考えられる。
本発明のプロトン伝導性材料は、酸化ジルコニウムの粉体を、液状のリン酸に混合することにより製造される。かかる製造方法にあっては、酸化ジルコニウムの混合割合が少なすぎると、酸化ジルコニウムがリン酸中に分散せずに沈殿してしまい、均一な材料を得ることができない。一方で、酸化ジルコニウムの混合割合が高すぎても、酸化ジルコニウムの粒子間にリン酸が行き渡らず、均一な材料を得ることができない。発明者の研究によれば、酸化ジルコニウムとリン酸とを、質量比で3:7〜8.5:1.5の範囲内で混合した場合に、酸化ジルコニウムとリン酸とが均一に混合したプロトン伝導性材料を好適に得ることができる。すなわち、本発明のプロトン伝導性材料では、酸化ジルコニウムとリン酸との構成比率が、質量比で3:7〜8.5:1.5の範囲内であることが望ましい。
ここで、リン酸は、通常、常温で水溶液となっており、上記製造方法における液状のリン酸としては、リン酸水溶液を好適に用いることができる。この場合に、リン酸水溶液に多量の水が含有されていても、その大部分は混合後に蒸発可能であるため、リン酸水溶液の濃度は特に限定されるものではないが、好ましくは飽和溶液に近いものを用いることが望ましい。また、本発明のプロトン伝導性材料は、多少であれば水分を含有していても、そのプロトン伝導性や機械的物性に大きな変化はない。このため、リン酸及び酸化ジルコニウム以外に、水を含有した混合物についても本発明に含めるものとする。また、同様に、本発明の製造方法においては、そのプロトン伝導性や形状保持性を大きく損なわない限りにおいては、酸化ジルコニウムとリン酸以外に、種々の組成物を混合することが可能であり、それらの方法によって得られたプロトン伝導性材料も本発明の範囲内である。
また、発明者の研究によれば、本発明のリン酸としては、正リン酸(H3PO4)に限らず、ポリリン酸も利用可能である。ただし、ポリリン酸よりも、正リン酸の方が、酸化ジルコニウムへの吸着性が高く、より形状保持性に優れたプロトン伝導性材料を得ることができ、また、低廉であるという利点もあるため、正リン酸を用いることが好ましい。
なお、本発明のプロトン伝導性材料は、液状のリン酸に、酸化ジルコニウムを固形剤として混合したものであるが、本発明の趣旨は、リン酸分子を吸着し易い酸化ジルコニウムを混合することにより、リン酸分子の流動を低下させ、プロトン伝導性材料の形状保持性を向上させるところにある。従って、本発明のプロトン伝導性材料は、リン酸分子の流動が完全に抑えられ、完全な固形状となったものに限定されず、ある程度の形状保持性を有するものであればよい。すなわち、本発明のプロトン伝導性材料は、粘り気のあるペースト状のものや、粘度の高い粘液状のものであっても構わない。ここで、本発明のプロトン伝導性材料は、酸化ジルコニウムの構成比率が低いほど軟らかくなり、構成比率が高くなるほど硬くなるものであり、形状保持性の観点から言えば、酸化ジルコニウムの構成比率は高い方が望ましい。発明者の研究によれば、上記製造方法において、酸化ジルコニウムとリン酸との混合比率を、質量比で5:5〜8.5:1.5の範囲内とした場合に、形状保持性に優れ、取り扱いが容易な薄膜を好適に得ることができる。すなわち、本発明のプロトン伝導性材料では、酸化ジルコニウムとリン酸との構成比率が、質量比で5:5〜8.5:1.5の範囲内であることが望ましい。また、所要の硬さのプロトン伝導性材料は、液状のリン酸に、酸化ジルコニウムの粉体を、徐々に加えながら混合していき、当該混合物が所要の固さとなるまでこれを続けることにより製造することができる。
また、本発明のプロトン伝導性材料は、より小型で高出力の燃料電池を実現するために開発したものであるが、このプロトン伝導性材料は、燃料電池の電解質層の構成材料としてだけでなく、電気化学キャパシタの誘電体の構成材料としても期待される。すなわち、従来の電気化学キャパシタの誘電体には、主に、硫酸が用いられているが、この電気化学キャパシタは液漏れが生じやすいという問題を抱えており、液漏れにより、キャパシタ性能が劣化あるいは消失し、周辺の機器を腐食してしまう場合がある。これに対し、本発明のプロトン伝導性材料は、硫酸ほどの激しい腐食性を示さず、また形状保持性に優れるため、液漏れする心配もない。また、硫酸に比べて、周囲の湿度変化に対して安定したプロトン伝導性を発現し得るといった利点もある。
上述したように、本発明のプロトン伝導性材料は、高いプロトン伝導度を示すと共に、薄膜形状を好適に保持し得るものであるから、従来のフッ素系高分子材料と同様に、取り扱い容易な電解質膜を作製して、燃料電池に用いることにより、小型で高出力の燃料電池を実現できる。特に、本発明のプロトン伝導性材料は、フッ素系高分子材料と比べて、湿度変化に対して安定したプロトン伝導性を示すと共に、100℃以上の温度でも安定し、また、微小孔がほとんど存在しない等の利点を有する。このため、本発明のプロトン伝導性材料を用いた燃料電池は、加湿装置が必要なく、またダイレクトメタノール方式を採用すれば、水素タンクやガス流量制御機構も好適に省略可能であるため、従来構成よりも大幅にコンパクト化することができる。また、かかる燃料電池を100〜150℃付近程度の条件下で運転させれば、従来よりも高い発電効率も実現できる。さらには、本発明のプロトン伝導性材料は、フッ素系高分子材料に比べて、極めて低廉であるから、該高分子材料に替えて燃料電池に用いれば、燃料電池の製造コストが大幅に削減され、その実用性を大きく向上させることができる。
また、リン酸として、正リン酸(H3PO4)を用いた場合には、形状保持性に優れたプロトン伝導性材料を、低廉に作製可能となる。
また、酸化ジルコニウムとリン酸との構成比率が、質量比で3:7〜8.5:1.5の範囲内とした場合には、酸化ジルコニウムがリン酸中に好適に分散したプロトン伝導性材料を得ることができる。
さらに、本発明のプロトン伝導性材料は、燃料電池の電解質層の構成材料として発明したものであるが、電気化学キャパシタの誘電体の構成材料としても好適であり、液漏れの生じない、湿度変化に強い電気化学キャパシタを実現することができる。
本発明を以下の実施例により説明する。
<実験1>
85%のリン酸水溶液(H3PO4)と酸化ジルコニウムの粉体とを、質量比で9:1となるように秤量した。収量は60gとした。これを乳鉢で30分間攪拌・混合した。
以下、同様にして、85%のリン酸水溶液と酸化ジルコニウムの粉体との質量比が、8:2,7:3,……,2:8,1:9となるように秤量し、それぞれ30分間攪拌・混合した。
リン酸水溶液と酸化ジルコニウムとの質量比を9:1〜8:2とした場合には、酸化ジルコニウムの粉体が、リン酸水溶液と分離して乳鉢の底部に沈殿してしまい、均一な混合物を得ることができなかった。また、質量比を1:9とした場合には、リン酸水溶液が、酸化ジルコニウムの粉体の隅々まで行き渡らず、所々に乾燥した粉体が残留した不均一な混合物しか得られなかった。
そして、質量比を7:3〜2:8とした場合に、リン酸水溶液に酸化ジルコニウムが均一に分散した混合物を得ることができた。この混合物こそが本発明のプロトン伝導性材料である。かかるプロトン伝導性材料を酸化ジルコニウムの構成比率が低いものから順に、実施例1〜6とする。
実施例1〜6のプロトン伝導性材料の機械的物性について調べたところ、実施例1(リン酸水溶液:酸化ジルコニウム=7:3)および実施例2(6:4)のプロトン伝導性材料はいずれも粘液状であり、実施例1よりも実施例2の方が高い粘性を有していた。それらより酸化ジルコニウムの構成比率が高い実施例3(5:5)のプロトン伝導性材料は、流動性はなく柔らかいペースト状の混合物となった。そして、さらに酸化ジルコニウムの構成比率が高い実施例4(4:6)及び実施例5(3:7)となると、実施例3より、硬く粘り気のあるペースト状となった。そして、実施例6(2:8)となると殆ど固形状となったが、多少の柔軟性は有しており、成形性も有していた。このように、プロトン伝導性材料は、酸化ジルコニウムの構成比率が増えるに連れて、粘液状からペースト状、そして固形状に変化した。
上記実施例1〜6について、薄く、広いキャビティが形成された成形型に充填し、薄膜への成形を試みた。この結果、いずれの実施例のプロトン伝導性材料についても、薄膜に成形可能であり、燃料電池の電解質膜として用い得る形状に有形化可能であることがわかった。なかでも実施例3〜6のプロトン伝導性材料は形状保持性に優れ、成形後の薄膜は、取り扱いが極めて簡単であった。なお、実施例1,2のプロトン伝導性材料は、成形型への充填は容易であったが、成形後の薄膜は軟らかく、比較的薄膜形状を維持させ難く、取り扱いが幾分困難であった。この結果から、成形性や形状保持性に優れたプロトン伝導性材料を得るためには、85%リン酸水溶液と酸化ジルコニウムとの構成比率を、質量比で8:2〜5:5の範囲内とすることが好適であると考えられる。言い換えれば、本発明のプロトン伝導性材料にあっては、酸化ジルコニウムとリン酸の構成比率を質量比で5:5〜8.5:1.5の範囲内とすることが望ましいと考えられる。
実施例1〜6について、交流インピーダンス法によりイオン伝導度の測定を行った。測定方法としては、直径6.0mmの円形のキャビティが形成された厚さ3.2mmのガラス製の型枠を用意し、このキャビティに実施例1〜6をそれぞれ充填する。次に、キャビティに充填したプロトン伝導性材料の両面を白金コーティングした真鍮で挟み、これを測定用サンプルとした。そして、交流インピーダンス測定装置によって、温度を変化させながらイオン伝導度を測定した。結果を図1に示す。なお、これらのプロトン伝導性材料においては、リン酸分子は酸化ジルコニウムに吸着しており、プロトン以外に伝導可能なイオンが存在しないため、かかる実験により測定されたイオン伝導度は、材料のプロトン伝導度を示すものである。
図1に示すように、実施例1〜6は、30〜90℃という範囲内で、3〜17mS/cmといった高いイオン伝導度を示した。このイオン伝導度は、代表的なフッ素系高分子材料であるNafionの示すイオン伝導度と同等かそれ以上であり、かかるプロトン伝導性材料を用いることにより、発電効率の高い燃料電池を作り得ることが示唆される。また、本実験で用いた測定用サンプルについて、90℃までの加熱過程と、90℃からの冷却過程との両方でイオン電導度を測定したが、いずれの測定用サンプルにあっても、加熱過程と冷却過程でイオン電導度に有意な差は見られなかった。このことから、本発明のプロトン伝導性材料が熱変化に対して安定であることが示唆される。また、本実験により、本発明のプロトン伝導性材料は、リン酸の構成比率の高いものほど高いプロトン伝導性を示すことも明らかとなった。
<実験2>
上述の実施例2,4のプロトン伝導性材料を、それぞれ無加湿条件において150℃で30分間の熱処理を行った。
実施例2,4について、熱処理前(非加熱)のサンプルと熱処理後のサンプルとを比較したところ、見た目や機械的物性に変化は見られなかった。
実施例2,4の熱処理前のサンプルと熱処理後のサンプル、及び酸化ジルコニウムの粉体について、それぞれのX線回折パターンを測定した。結果を図2〜6に示す。
図2〜6に示されるように、実施例2,4のいずれについても、熱処理前のサンプルと熱処理後のサンプルについて、酸化ジルコニウムのピークが同様に観察された。この結果は、上記熱処理により、実施例2,4のプロトン伝導性材料が物質的な変化を起こしていないことを示している。
さらに、熱処理後の実施例2,4について、実験1と同様にして、30〜90℃でのイオン電導度を測定した。その結果、熱処理後の実施例2,4のイオン電導度は、熱処理前のものと有意差は見られなかった。
以上のことから、本発明のプロトン伝導性材料は、無加湿条件およびかつ150℃以下の条件では、機械的物性やプロトン伝導性および物質的な変化を生じず、湿度変化や温度変化に対して安定であることが明らかである。
実施例1〜6のプロトン伝導性材料に関する温度とイオン伝導度との関係を示す図表である。 実施例2の熱処理前サンプルにおける、プロトン伝導性材料のX線回折パターンを示す図表である。 実施例2の熱処理後サンプルにおける、プロトン伝導性材料のX線回折パターンを示す図表である。 実施例4の熱処理前サンプルにおける、プロトン伝導性材料のX線回折パターンを示す図表である。 実施例4の熱処理後サンプルにおける、プロトン伝導性材料のX線回折パターンを示す図表である。 酸化ジルコニウムのX線回折パターンを示す図表である。

Claims (4)

  1. リン酸に、酸化ジルコニウムを固形剤として混合してなることを特徴とするプロトン
    伝導性材料。
  2. 前記リン酸は、正リン酸であることを特徴とする請求項1記載のプロトン伝導性材料。
  3. 酸化ジルコニウムとリン酸との構成比率が、質量比で3:7〜8.5:1.5の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロトン伝導性材料。
  4. 酸化ジルコニウムとリン酸との構成比率が質量比で3:7〜8.5:1.5の範囲内となるように、酸化ジルコニウムの粉体を、液状のリン酸に混合し、プロトン伝導性材料を得ることを特徴とするプロトン伝導性材料の製造方法。
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