JP2005196942A - 光学的情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 バーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層の初期化では、BCA領域と情報を記録再生するデータエリアとで、レーザパワー、線速度、レーザ光の情報層に対する焦点位置のうち少なくとも1つの初期化条件を変える。BCAを有しない情報層の初期化においては、BCA領域に対応する領域とデータエリアとでレーザパワー、線速度、レーザ光の情報層に対する焦点位置、送りピッチのうち少なくとも1つの初期化条件を変える。
【選択図】 図1
Description
光ディスクは、再生専用型、追記型、書き換え型に大別することができる。
再生専用型は、コンパクトディスクやレーザーディスクとして、また追記型や書き換え型は、文書ファイル、データファイル等を記録するディスクとして実用化されている。書き換え型光ディスクとしては、主に、光磁気ディスクと相変化型光ディスクとが知られている。
初期化処理は、ディスク製造工程の一部に組み込まれており、レーザ光あるいはフラッシュ光源を用いて記録層を結晶状態にする。レーザ光を用いる場合には、ディスクを回転させながらレーザ光を照射するとともに情報層にフォーカスシングし、その光学ヘッドの位置をディスクの半径方向にずらすことにより、ディスク全面を初期化する。
このBCAは、例えば、高出力レーザ光を用いて膜を焼き切る、あるいは通常の初期化工程において初期化部、未初期化部を半径方向帯び状にバーコード状に設ける(図1参照)ことにより形成される。
また、BCAの情報を読み取る場合には、ディスクを回転させ、レーザ光をBCAの形成されたBCA領域でフォーカシングし、膜の有る部分と無い部分と、あるいは初期化部と未初期化部との反射率差によりBCAの情報を読みとる。なお、DVD−RAMやBlu−rayディスクの規格書には、BCAは、レーザ光入射側からみて奥側の層の最内周に設けると記載されている。
課題の1つめは、第1の情報層と第2の情報層を1層ずつこの順に初期化処理する際、第1の情報層にBCAを設ける工程で、第2の情報層が部分的に初期化されてしまうというものである。
本発明の主たる目的は、上記課題を解決した片面多層構成の光学的情報記録媒体の製造方法および光学的情報記録媒体を提供することにある。
1)
円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層が形成された光学的情報記録媒体の製造方法である。BCAは、情報層の半径r1〜半径r2の領域に初期化部分と未初期化部分を設けることで形成される。さらに、半径r1〜r2を初期化する場合とその他の半径領域を初期化する場合で、レーザパワー、線速度、レーザ光の情報層に対する焦点位置のうち少なくとも1つ初期化条件を変える。
(1)光学的情報記録媒体は、円盤状の基板の上に、複数の情報層と、光透過層がこの順に形成され、かつ複数の情報層の間に光学分離層が設けられたものである。情報層は、エネルギービームの照射によって、アモルファス相と結晶相の間で光学的に検出可能な可逆的変化を生じる記録層を少なくとも有している。複数の情報層のうち少なくとも1つの情報層は、半径方向の帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるBCAを有する。
(2)BCAを有する情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化パワーを低くする。
(3)BCAを有する情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化線速度を速くする。
(4)BCAを有する情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化レーザ光の焦点位置を初期化しようとする情報層からはずした状態で初期化する。
2)
円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層(以下、第1情報層という)を含む複数の情報層が形成された光学的情報記録媒体の製造方法である。BCAは、第1情報層の半径r1〜半径r2の領域に初期化部分と未初期化部分を設けることで形成される。さらに、BCAを有しない情報層における半径r1〜r2を初期化する場合とその他の半径領域を初期化する場合で、レーザパワー、線速度、レーザ光のBCAを有しない情報層に対する焦点位置、レーザ光の送りピッチのうち少なくとも1つ初期化条件が変える。
具体的には、
(1)BCAを有しない情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化レーザ光パワーを高くする。
(2)BCAを有しない情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化線速度を遅くする。
(3)BCAを有しない情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化レーザ光の焦点位置を初期化しようとする情報層に合わせた状態で初期化する。
(4)BCAを有しない情報層における半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化レーザ光の送りピッチを狭くする。
また、上記課題を解決するための本発明における光学的情報記録媒体は、
1)
円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層が形成された光学的情報記録媒体である。BCAは、半径r1〜半径r2の領域(以下、BCA領域という)に初期化部分と未初期化部分を情報層に設けることで形成される。さらに、データエリアに隣接するBCA領域の初期化部の半径をr3、BCA領域に隣接するデータエリアの初期化部の半径をr4としたとき、BCAを有する情報層の半径r3と半径r4での反射率が異なる。
(1)光学的情報記録媒体は、円盤状の基板の上に、複数の情報層と、光透過層がこの順に形成され、かつ複数の情報層の間に光学分離層が設けられている。情報層は、エネルギービームの照射によって、アモルファス相と結晶相の間で光学的に検出可能な可逆的変化を生じる記録層を少なくとも有している。複数の情報層のうち少なくとも1つの情報層は、半径方向の帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるBCAを有する。
(2)BCAを有する情報層の半径r3での反射率の方が半径r4での反射率より低い光学的情報記録媒体。
(3)BCAを有する情報層の半径r1〜r2を初期化する場合とその他の半径領域を初期化する場合で、レーザパワー、線速度、レーザ光の情報層に対する焦点位置のうち少なくとも1つ初期化条件を変えた初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
(4)BCAを有する情報層の半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合よりレーザパワーを低くした初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
(5)BCAを有する情報層の半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化線速度を速くした初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
(6)BCAを有する情報層の半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合より初期化レーザ光の焦点位置を初期化しようとする情報層からはずした状態で初期化する初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
2)
円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層(以下、第1情報層という)を含む複数の情報層が形成された光学的情報記録媒体である。BCAは、第1情報層の半径r1〜半径r2の領域(以下、BCA領域という)に初期化部分と未初期化部分を設けることで形成される。さらに、データエリアに隣接するBCA領域の初期化部の半径をr3、BCA領域に隣接するデータエリアの初期化部の半径をr4としたとき、BCAを有しない情報層の半径r3とr4での反射率が異なる。
(1)BCAを有しない情報層の半径r3での反射率より半径r4での反射率の方が高い光学的情報記録媒体。
(2)BCAを有しない情報層における半径r1〜半径r2を初期化する場合とその他の半径領域を初期化する場合で、レーザパワー、線速度、レーザ光の情報層に対する焦点位置、レーザ光の送りピッチのうち少なくとも1つ初期化条件が異なる初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
(3)BCAを有しない情報層の半径r1〜半径r2を初期化する場合、その他の領域を初期化する場合よりレーザパワーを高くした初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
(4)BCAを有しない情報層の半径r1〜半径r2を初期化する場合、その他の領域を初期化する場合より初期化線速度を遅くした初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
(5)BCAを有しない情報層の半径r1〜r2を初期化する場合、その他の半径領域を初期化する場合よりレーザ光の焦点位置を初期化しようとする情報層に合わせた状態で初期化する初期化工程により製造したにより製造した光学的情報記録媒体。
(6)BCAを有しない情報層の半径r1〜半径r2を初期化する場合、その他の領域を初期化する場合より、初期化レーザ光の送りピッチを狭くし初期化する初期化工程により製造した光学的情報記録媒体。
また、半径位置r3と半径位置r4との距離は、0.2mm以下であることを特徴とする。
《初期化処理の原理について》
まず、図2を用いて、第1の情報層と第2の情報層との初期化処理の原理について具体的に説明する。
今回用いた情報層の構成では、第1の情報層および第2の情報層を結晶化するためのレーザ光の波長において、第1の情報層のアモルファス状態での反射率をRa1、結晶状態での反射率をRc1、第2の情報層のアモルファス状態での反射率をRa2、結晶状態での反射率をRc2とした時、Ra1>Ra2、かつRc1<Rc2である。ここで、第1の情報層と第2の情報層とが未初期化状態の場合に初期化レーザ光を照射すると、Ra1>Ra2であるために、第1の情報層にフォーカシングし、第1の情報層を初期化することができる。次に第2の情報層を初期化する場合には、第2の情報層に少しでも初期化された部分(結晶化された部分)をつくることによりRc1<Rc2となり、第2の情報層にフォーカシングし、第2の情報層を初期化することができる。
本願出願人の調査により、上記課題は、以下の理由により発生していると考えられている。
まず、課題の1つ目である、第1の情報層を初期化している際に第2の情報層が部分的に初期化される原因は、以下のように考えられる。
次に、課題の2つ目である、第2の情報層を初期化中、第1の情報層のBCA領域と同一半径領域上でフォーカスがはずれ、初期化が止まってしまう原因は、以下のように考えられる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
《ディスクの構造》
図3を用いて、本実施の形態で用いたディスクの構造について説明する。図3において、情報の記録、再生および情報層の初期化を行うそれぞれのレーザ光は、光透過層7側から入射される。基板1は、ポリカーボネート、PMMA等の樹脂板、ガラス板等からなる。基板表面2は、スパイラルまたは同心円状の連続溝等で覆われている。
第1の情報層3の上には、光学分離層4が形成される。光学分離層4は、第1の情報層3に信号を記録再生するために照射するレーザ光の波長に対して透明な材料で構成され、第1の情報層と第2の情報層とを光学的に分離する機能を備える。光学分離層4は、紫外線硬化樹脂等からなる層をスピンコートにより形成する方法や、透明フィルムを粘着テープあるいは紫外線硬化樹脂等により接着する方法等により形成される。光学分離層の表面5は、スパイラルまたは同心円状の連続溝等で覆われている。
第2の情報層6の上には、光透過層7が形成される。光透過層7は、紫外線硬化樹脂等からなる層をスピンコートによって形成する方法や、粘着テープあるいは紫外線硬化樹脂等により透明フィルムを第2の情報層6の上に接着する方法などにより形成される。
《初期化処理》
次に、上述した片面2層構成の光学的情報記録媒体を、レーザ光を用いて、初期化するプロセスについて説明する。
まず、初期化のためのレーザ光を照射する光学ヘッドを光透過層に近づけていくと、光透過層7、第2の情報層6、第1の情報層3からのフォーカスエラー信号が順に3つ検出される(図2参照)。例えば、第2の情報層6を初期化するためには、光学ヘッドを光透過層に近づけていく場合に検出されるフォーカスエラー信号のうち、2つめのフォーカスエラー信号にフォーカスをかける。あるいは、第1の情報層3からのフォーカスエラー信号を検出した後、光学ヘッドを光透過層から離していき、2つめのフォーカスエラー信号にフォーカスをかけるという作業を初期化装置内で行う(なお、情報層が2層でなく複数層ある場合にも、同様の方法でフォーカスシングを行う)。
(1)それぞれの情報層を形成した直後にそれぞれの情報層の初期化を行う。
(2)それぞれの情報層を形成し、その上に光学分離層4(第2の情報層6の場合には光透過層7)を形成した直後に初期化を行う。
(3)基板1上に第1の情報層3、光学分離層4、第2の情報層6、光透過層7を形成した後に初期化を行う(なお、光透過層7は初期化後に形成することもある)。
(4)(3)の場合、第1の情報層3を第2の情報層6より先に初期化する(なお、その逆であってもよい)。
本実施の形態では、BCAを初期化工程を用いて設けた。初期化工程の対象となる初期化領域は、ディスクの半径21mmから59mmまでの領域であり、BCAは、ディスクの半径21mmから22mmの間に、半径方向帯び状に初期化していない部分(未初期化部分)をバーコード状になるように設けた。また、BCAを形成する場合(半径21〜22mmの範囲)、ディスクは角速度一定で回転させた状態(2728rpm)で初期化を行った。線速度に直すと、半径21mmで6.0m/s、半径22mmで6.28m/sになる。
ディスク構造の一例であるが、表面がピッチ0.3μm、溝深さ20nmの凹凸の案内溝で覆われている直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネートを基板1として採用した。その上にAg反射層、GeN、ZnS−20mol%SiO2、Ge22Sb25Te53(at%)、ZnS−20mol%SiO2をこの順にマグネトロンスパッタ法で形成し、第1の情報層3を形成した。続いて、表面がピッチ0.3μm、溝深さ20nmの凹凸の案内溝で覆われている直径120mm、厚さ25μmのポリカーボネートを紫外線硬化樹脂で形成し、第1の情報層3の上にトータル厚さ30μmの光学分離層4を形成した。続いて、光学分離層4の上に、Ag反射層、GeN、Ge22Sb25Te53(at%)、ZnS−20mol%SiO2をこの順にマグネトロンスパッタ法で形成し、第2の情報層6を形成した。続いて、スピンコート法により厚さ0.1mmの光透過層7を形成した。
第1の情報層3は、基板1上にAg反射層を100nm、GeN層を5nm、ZnS−20mol%SiO2層を25nm、GeSbTe記録層を15nm、ZnS−20mol%SiO2層を60nm形成した構成である。
第1の情報層3では、求められた初期化条件(第2初期化条件)は、レーザ光のデフォーカス量+3μm(プラスとは、レーザ入射側から見て第1の情報層3の奥側にジャストフォーカス位置がある状態であり、マイナスとは、手前側にジャストフォーカス位置がある状態をいう)、線速度6m/s、送りピッチ40μm、レーザパワー1650mW〜1750mW(本実施の形態では1700mWで実施)であった。
なお、初期化のためのレーザ光のディスク半径方向の幅は、100μmのものを用いた。
第1の情報層3を初期化する場合、BCAが形成されるBCA領域(第1領域:図1参照)とその他の初期化領域(第2領域:図1参照)とで初期化レーザパワー、線速度、デフォーカス量を変化させた場合の初期化安定性を検討した結果について述べる。
BCA領域の初期化レーザパワーをデータエリアでの最適パワーである1650〜1750mW以上とすると、第2の情報層6の一部が誤って初期化されている。BCA領域の初期化レーザパワーをデータエリアでの最適パワーである1650mW未満とすると(すなわち、単位面積あたりのレーザパワー密度を小さくすると)、第2の情報層6まで初期化されることはなくなる。BCAは、初期化部と未初期化部の反射率差により信号を読み取るだけであるため、均一に結晶化されておればよく、例えば1550mWでBCAを形成しても反射率には大きな影響はないため問題ない。但し、例えば1450mWまで初期化レーザパワーを下げるとBCAに初期化ムラが形成されるため、1450mWを超えかつ1650mW未満の初期化レーザパワーで、より好ましくは、1500mW以上1600mW以下の初期化レーザパワーで初期化を行うのがよい。
BCA領域の初期化線速度をデータエリアでの線速度である6m/sより遅くした場合、第2の情報層6の一部が誤って初期化されている。一方、初期化線速度を6.5m/s以上にした場合(すなわち、単位面積あたりのレーザパワー密度が小さい場合)には、第2の情報層6まで初期化されることはなくなる。但し、例えば7.5m/sまで初期化線速度を上げるとBCAに初期化ムラが形成されるため、6.0m/sを超えかつ7.5m/s未満の初期化線速度で、より好ましくは、6.5m/s以上7.0m/s以下の初期化線速度で初期化を行うのがよい。
BCA領域の初期化時のデフォーカス量をデータエリアでのデフォーカス量である+3μmよりジャストフォーカスにした場合、第2の情報層6まで誤って一部初期化されている。しかし、よりデフォーカスさせた場合には、第2の情報層6まで初期化されることはなくなる。このため、+3μmを超えるデフォーカス量で、より好ましくは、+3.5μm以上のデフォーカス量で初期化を行うのがよい。
(実施の形態2)
本実施の形態に記載の技術は、上述の課題の2つ目を解決するものであり、第2の情報層を初期化中、フォーカスがはずれ、初期化が止まることを防止するものである。
本実施の形態では、引き続き、第2の情報層6の半径21〜59mmまでの領域を初期化する。その際、第1の情報層3のBCA領域と同一半径である半径21〜22mmの領域では、半径22〜59mmの領域に対して事前に求めた適正な初期化条件(第4初期化条件)を変化させた初期化条件(第3初期化条件)を用いて初期化を行い、半径22〜59mmの領域では事前に求めた適正な初期化条件で初期化を行った。この際、第2の情報層6の初期化処理が途中で止まらずに最後まで行われるかどうかを確認した。
第2の情報層6の半径21〜22mmの領域の初期化において、「線速度を3m/s」、「デフォーカス量を+3m」と一定とした上で「初期化レーザパワーを変化」させた場合の結果を(表4)に、「初期化レーザパワーを900mW」、「デフォーカス量を+3μm」と一定にした上で「線速度を変化」させた場合の結果を(表5)に、「初期化レーザパワーを900mW」、「線速度を3m/s」と一定とした上で「デフォーカス量を変化」させた場合の結果を(表6)に示す。
第2の情報層6の半径21〜22mmの領域の初期化処理をデータエリアでの適正レーザパワーである870〜930mW以下で行うと、半径21〜22mmの領域の途中でフォーカスがはずれてしまい、初期化処理が止まってしまう。そこで、レーザパワーを適正レーザパワーより上げることで、途中でフォーカスがはずれることがなくなり、初期化処理が止まることなく初期化歩留まりが改善した。例えば、930mWを超えるレーザパワーで、より好ましくは、960mW以上のレーザパワーで初期化処理を行うのがよい。
第2の情報層6の半径21〜22mmの領域の初期化処理をデータエリアでの適正線速度である3.0m/s以上で行うと、半径21〜22mmの領域の途中でフォーカスがはずれてしまい、初期化処理が止まってしまう。そこで、線速度を適正線速度より遅くすることで、途中でフォーカスがはずれることがなくなり、初期化処理が止まることなく初期化歩留まりが改善した。例えば、3.0m/s未満の線速度で、より好ましくは、2.7m/s以下の線速度で初期化処理を行うのがよい。
第2の情報層6の半径21〜22mmの領域の初期化処理をデータエリアでの適正デフォーカス量である+3μmよりさらにデフォーカスして行うと、半径21〜22mmの領域の途中でフォーカスがはずれてしまい、初期化処理が止まってしまう。そこで、よりジャストフォーカスにすることで、途中でフォーカスがはずれることがなくなり、初期化処理が止まることなく初期化歩留まりが改善した。例えば、+3μm未満の焦点位置で、より好ましくは、+2.5μm以下の焦点位置で初期化処理を行うのがよい。
初期化処理は、レーザ光を1周毎に少しずつ半径方向にずらして(少しずつオーバーラップするように)行う。本実施の形態では、100μmのビーム径に対して、送りピッチを40μmとしているので、1周目で結晶化された100μmのうち60μmは、次の周回でも初期化レーザ光が照射されることになる。従来、第2の情報層6においてBCA領域と同一半径の領域でフォーカスがはずれるのは、BCA領域の未初期化部の反射率が高いためであると考えられる。一方、本実施の形態のように、単位面積あたりのレーザパワー密度をあげることで、半径方向に初期化される領域が広がり、BCA領域の未初期化部からの反射光が減少し、フォーカスがはずれにくくなっているものと考えられる。
(実施の形態3)
本実施の形態に記載の技術は、上述の課題の2つ目を解決するものであり、第2の情報層を初期化中、フォーカスがはずれ、初期化が止まることを防止するものである。
本実施の形態では、引き続き、第2の情報層6の半径21〜59mmの領域を初期化する。その際、第1の情報層3のBCA領域と同一半径である半径21〜22mmの領域では、半径22〜59mmの領域に対して事前に求めた適正な送りピッチを変化させた送りピッチを用いて初期化を行い、半径22〜59mmの領域では事前に求めた適正な送りピッチを用いて初期化を行った。この際、第2の情報層6の初期化処理が途中で止まらずに最後まで行われるかどうかを確認した。
第2の情報層6の半径21〜22mmの領域の初期化において、「線速度を3m/s」、「デフォーカス量を+3μm」、「初期化レーザパワーを900mW」とし、「送りピッチを変化」させた場合の結果を(表7)に示す。
第2の情報層6の半径21〜22mmの領域の初期化処理をデータエリアでの適正な送りピッチである40μm以上の送りピッチで行うと、半径21〜22mmの領域の途中でフォーカスがはずれてしまい、初期化処理が止まってしまう。そこで、送りピッチをデータエリアでの適正な送りピッチより狭くすることで、途中でフォーカスがはずれることがなくなり、初期化処理がとまることなく初期化歩留まりが改善した。例えば、40μm未満の送りピッチで、より好ましくは、30μm以下の送りピッチで初期化処理を行うのがよい。
また、BCA領域に対応する領域の送りピッチをデータエリアでの初期化レーザ光の送りピッチの−25%未満とした場合(送りピッチをより狭くした場合)に良好な結果が得られた。なお、この値の範囲は、本実施の形態で採用したディスクの構成や初期化装置の構成に対して求められた値であり、この範囲内でのみ本発明が有効であるというものではない。例えば、ディスクの構成や、初期化装置の構成により、最適範囲は変化してもよい。
また、本実施の形態に用いたディスクを光学顕微鏡で観察すると、初期化状態の差による縞模様のピッチが初期化条件である送りピッチにより違って見えた。この縞模様は、初期化レーザビームの重なりによる初期化度合いの差の違いで生じる。このように送りピッチの違いは、縞模様の違いとして光学顕微鏡で観察することができる。
(実施の形態1〜3の変形例)
実施の形態1と実施の形態2と実施の形態3とにおいて説明した技術は、それぞれ独立して用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。より具体的には、第1の情報層3を実施の形態1で説明した技術により初期化するとともに、第2の情報層6を実施の形態2や実施の形態3で説明した技術により初期化してもよい。
2 基板表面
3 第1の情報層
4 光学分離層
5 光学分離層の表面
6 第2の情報層
7 光透過層
8 反射層
9 保護層
10 記録層
11 保護層
12 反射層
13 保護層
14 記録層
15 保護層
Claims (28)
- 円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層が形成された光学的情報記録媒体の製造方法であって、
レーザパワー、線速度、レーザ光の前記情報層に対する焦点位置のうち少なくとも1つを含む第1初期化条件により、前記情報層の半径r1〜半径r2の領域(以下、第1領域という)に初期化部分と未初期化部分を設けることで前記BCAを形成しつつ、前記第1領域の初期化を行う第1領域初期化工程と、
前記第1初期化条件と、レーザパワー、線速度、レーザ光の前記情報層に対する焦点位置のうち少なくとも1つが異なる第2初期化条件により、前記情報層の前記第1領域以外の領域(以下、第2領域という)の初期化を行う第2領域初期化工程と、
を含むことを特徴とする、
光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記光学的情報記録媒体には、円盤状の前記基板の上に、複数の情報層と光透過層とがこの順に形成され、かつ前記複数の情報層の間に光学分離層が設けられており、
前記複数の情報層は、前記レーザ光の照射によって、アモルファス相と結晶相の間で光学的に検出可能な可逆的変化を生じる記録層を少なくとも有しており、
前記複数の情報層のうち少なくとも1つの情報層は、前記BCAを有している、
請求項1に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第1領域を初期化する際の前記第1初期化条件におけるレーザパワーは、前記第2初期化条件におけるレーザパワーより低いことを特徴とする、
請求項1または2に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第1領域を初期化する際の前記第1初期化条件における線速度は、前記第2初期化条件における線速度より速いことを特徴とする、
請求項1または2に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第1領域を初期化する際の前記第1初期化条件における焦点位置は、前記第2初期化条件における焦点位置より前記情報層から離れた位置であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層(以下、第1情報層という)を含む複数の情報層が形成された光学的情報記録媒体の製造方法であって、
前記第1情報層の半径r1〜半径r2の領域に初期化部分と未初期化部分を設けることで形成された前記BCAを有しない情報層(以下、第2情報層という)の半径r1〜r2の領域(以下、第3領域という)を初期化する工程であって、レーザパワー、線速度、レーザ光の前記第2情報層に対する焦点位置、前記レーザ光の送りピッチのうち少なくとも1つを含む第3初期化条件により、前記第2情報層の前記第3領域の初期化を行う第3領域初期化工程と、
前記第3初期化条件と、レーザパワー、線速度、レーザ光の前記第2情報層に対する焦点位置、レーザ光の送りピッチのうち少なくとも1つが異なる第4初期化条件により、前記第2情報層の前記第3領域以外の領域(以下、第4領域という)の初期化を行う第4初期化工程と、
を含むことを特徴とする、
光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第3領域を初期化する際の前記第3初期化条件におけるレーザパワーは、前記第4初期化条件におけるレーザパワーより高いことを特徴とする、
請求項6に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第3領域を初期化する際の前記第3初期化条件における線速度は、前記第4初期化条件における線速度より遅いことを特徴とする、
請求項6に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第3領域を初期化する際の前記第3初期化条件における焦点位置は、前記第4初期化条件における焦点位置より前記第2情報層に近い位置であることを特徴とする、
請求項6に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第3領域を初期化する際の前記第3初期化条件における送りピッチは、前記第4初期化条件における送りピッチより狭いことを特徴とする、
請求項6に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記光学的情報記録媒体は、前記BCAを有する情報層を第1情報層、前記BCAを有しない情報層を第2情報層とし、結晶化するためのレーザ光の波長における前記第1情報層のアモルファス状態での反射率をRa1、結晶状態での反射率をRc1、前記第2情報層のアモルファス状態での反射率をRa2、結晶状態での反射率をRc2とした場合、Ra1>Ra2、かつRc1<Rc2であることを特徴とする、
請求項1〜10のいずれかに記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記第1情報層と前記第2情報層とは、1つの光学ヘッドを用いて前記第1情報層、前記第2情報層の順に初期化されることを特徴とする、
請求項11に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。 - 円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層が形成された光学的情報記録媒体であって、
前記情報層の半径r1〜半径r2の領域(以下、第1領域という)には初期化部分と未初期化部分を設けることで前記BCAが形成されており、
前記情報層の第1領域以外の領域(以下、第2領域という)に近接する前記第1領域の初期化部分の半径位置をr3、前記第1領域に近接する前記第2領域の初期化部分の半径位置をr4としたとき、前記情報層の半径位置r3と半径位置r4とにおける反射率が異なることを特徴とする、
光学的情報記録媒体。 - 円盤状の前記基板と、
前記基板の上に形成され、レーザ光の照射によって、アモルファス相と結晶相の間で光学的に検出可能な可逆的変化を生じる記録層を少なくとも有する複数の情報層と、
前記複数の情報層のそれぞれの間に形成された光学分離層と、
前記複数の情報層の上に形成された光透過層と、
を備え、
前記複数の情報層のうち少なくとも1つの情報層は、前記BCAを有している、
請求項13に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記BCAを有する前記情報層の前記半径位置r3における反射率は、前記半径位置r4における反射率より低いことを特徴とする、
請求項13または14に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第1領域と、前記第2領域とは、レーザパワー、線速度、レーザ光の前記情報層に対する焦点位置のうち少なくとも1つが異なる初期化条件でそれぞれ初期化されていることを特徴とする、
請求項13または14に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第1領域を初期化する初期化条件のレーザパワーは、前記第2領域を初期化する初期化条件のレーザパワーより低いことを特徴とする、
請求項16に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第1領域を初期化する初期化条件の線速度は、前記第2領域を初期化する初期化条件の線速度より速いことを特徴とする、
請求項16記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第1領域を初期化する初期化条件の焦点位置は、前記第2領域を初期化する初期化条件の焦点位置より前記情報層から離れた位置であることを特徴とする、
請求項16記載の光学的情報記録媒体。 - 円盤状の基板の上に、半径方向帯び状に反射率の異なるバーコード状の部分からなるバーストカッティングエリア(以下、BCAという)を有する情報層(以下、第1情報層という)を含む複数の情報層が形成された光学的情報記録媒体であって、
前記第1情報層の半径r1〜半径r2の領域には初期化部分と未初期化部分を設けることで前記BCAが形成されており、
前記BCAを有しない情報層(以下、第2情報層という)の半径r1〜r2の領域(以下、第3領域という)以外の領域(以下、第4領域という)に近接する前記第3領域の初期化部分の半径位置をr3、前記第3領域に近接する前記第4領域の初期化部分の半径位置をr4としたとき、前記第2情報層の半径位置r3と半径位置r4とにおける反射率が異なることを特徴とする、
光学的情報記録媒体。 - 前記第2情報層の前記半径位置r3における反射率は、前記半径位置r4における反射率より低いことを特徴とする、
請求項20に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第3領域と、前記第4領域とは、レーザパワー、線速度、レーザ光の前記第2情報層に対する焦点位置、レーザ光の送りピッチのうち少なくとも1つが異なる初期化条件でそれぞれ初期化されていることを特徴とする、
請求項20に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第3領域を初期化する初期化条件のレーザパワーは、前記第4領域を初期化する初期化条件のレーザパワーより高いことを特徴とする、
請求項22に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第3領域を初期化する初期化条件の線速度は、前記第4領域を初期化する初期化条件の線速度より遅いことを特徴とする、
請求項22に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第3領域を初期化する初期化条件の焦点位置は、前記第4領域を初期化する初期化条件の焦点位置より前記第2情報層に近い位置であることを特徴とする、
請求項22に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記第3領域を初期化する初期化条件の送りピッチは、前記第4領域を初期化する初期化条件の送りピッチより狭いことを特徴とする、
請求項22に記載の光学的情報記録媒体。 - 前記BCAを有する情報層、あるいは前記BCAを有しない情報層における半径位置r3と半径位置r4とにおける反射率の差が0.2%以上あることを特徴とする、
請求項13〜15、20、21のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。 - 前記半径位置r3と前記半径位置r4との距離は、0.2mm以下であることを特徴とする、
請求項13〜15,20、21、27のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
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