JP2005195094A - 組立部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 真空雰囲気やクリーンルーム内を汚染しにくく、組立や分解を容易に行うことが可能な組立部品を提供する。
【解決手段】 ボルト30の雄ネジ部30aには、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dが被覆されており、雄ネジ部30aの表面とネジ穴32aとの間に官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dが介在されている。この官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dは、20℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下である潤滑剤である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の部品が組み立てられ締結されてなる組立部品に関する。
半導体製造装置等においては、真空雰囲気に維持したプロセス室内で、ワークをステージに載置して移動させることにより、その加工処理や検査等が行われている。そして、近年において製造される半導体がより微細化されたことに伴い、プロセス室内の真空度もより高める必要性が生じてきている。
特開平6−99051号公報
プロセス室内に載置したワークであるウェハ等の搬送や位置決めのために、真空雰囲気にあるプロセス室内に、複数の部品をボルト等によって締結した組立部品を設置することがある。プロセス室内ではアウトガスの発生や発塵を嫌うため、部品を締結するボルト等に脱脂処理を施す場合がある。ところが、ボルト等を脱脂すると、締結に必要な締め付けトルクをかけたときに、ボルト等においてねじ切りが施された部分(以降においては「ネジ部」と記すこともある)にカジリが生じるおそれがある。
このようなカジリが発生すると、分解のためボルト等を緩めることができなくなったり、緩めることができた場合でも、ネジ面が荒れて再使用が不可能となるおそれがある。そのような不具合が生じると、半導体製造装置の復旧に手間取ることにより大きな損失が生じることも予想される。また、クリーンルーム内等においても、油による汚染防止のために組立部品を脱脂して使用する場合は、同様の問題が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、真空雰囲気やクリーンルーム内を汚染しにくく、組立や分解を容易に行うことが可能な組立部品を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の組立部品は、複数の部品が摩擦締結部材で締結されてなる組立部品であって、前記部品同士の間、及び、前記摩擦締結部材と前記部品との間の少なくとも一方に、20℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下である潤滑剤を介在させたことを特徴とする。
このように、部品同士の間、及び、摩擦締結部材と部品との間の少なくとも一方に潤滑剤を介在させたので、例えば摩擦締結部材の摩擦面に、締結時にカジリ等が生じることが抑制される。よって、組立や分解を容易に行うことができるとともに、分解した部品を再使用することも可能となる。なお、組立部品としては、例えば、ボールねじ,リニアガイド,XYテーブル,回転テーブル等があげられる。
また、本発明に係る請求項2の組立部品は、請求項1に記載の組立部品において、大気圧よりも低い気圧に維持される室の内部又はクリーンな環境に維持される室の内部に配置されることを特徴とする。
蒸気圧の低い潤滑剤は、大気圧よりも低い気圧に維持される室(例えば真空雰囲気に維持されたプロセス室)の内部やクリーンな環境に維持される室(例えばクリーンルーム)の内部においても、蒸発しにくいので、アウトガスの発生や発塵が抑制されて、真空雰囲気やクリーンな環境の汚染が抑制される。潤滑剤の20℃における蒸気圧が1×10-5Pa超過であると、アウトガス量や発塵量が多くなって、真空雰囲気やクリーンな環境が汚染されるおそれがある。
さらに、本発明に係る請求項3の組立部品は、請求項1又は請求項2に記載の組立部品において、前記摩擦締結部材は、雄ネジ,ナット,間座,又はネジ穴を有する部材であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の組立部品は、請求項3に記載の組立部品において、前記摩擦締結部材のねじ切りが施された部分と前記部品との間に、前記潤滑剤を介在させたことを特徴とする。
このような構成であれば、摩擦締結部材のねじ切りが施された部分にカジリ等が生じることが抑制される。
さらに、本発明に係る請求項5の組立部品は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組立部品において、前記潤滑剤は、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油とを混合してなることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6の組立部品は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組立部品において、前記部品及び前記摩擦締結部材の少なくとも一方に前記潤滑剤を付着させたうえ締結してなることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項7の組立部品は、請求項6の組立部品において、締結前に付着された前記潤滑剤の厚さが0.3μm以上20μm以下であることを特徴とする。
以下に潤滑剤について詳細に説明する。潤滑剤としては、フッ素系真空用グリース,特殊フッ素樹脂被膜,軟質金属被膜(例えば金,銀等),官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油との混合物からなる被膜(以下「官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜」ともいう)等を用いることができる。
これらのうちフッ素系真空用グリースは、塗布等の方法によりネジ部に付着させればよいので、付着処理が比較的容易で且つ低コストである。特殊フッ素樹脂被膜や軟質金属被膜は、アウトガスの発生が極めて小さく抑えられるという利点がある。なお、特殊フッ素樹脂被膜とは、ニッケル系被膜を形成した後に、その表面に特殊処理を施し、さらにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被膜を形成したものである。
また、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜は、金属に対する親和性の高い官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油(例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE))との混合物からなる潤滑膜であり、極めて高い粘性を有するものである。官能基を有する含フッ素重合体は、官能基の働きで極めて強く金属表面に吸着する。一方、フッ素油の分子も、例え一旦切り離されてもすぐに再付着する性質があり、逸散し難い。
官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜は、このような性質により、アウトガスの抑制という点に関しては、特殊フッ素樹脂被膜や軟質金属被膜と同等の高い性能を示し、発塵の抑制という点に関してはさらに優れている。しかも、特殊フッ素樹脂被膜や軟質金属被膜の場合は、被膜形成処理に手間がかかるため処理コストが嵩むのに対し、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜は、極めて容易に、且つ、例えば被処理物がボルト等の場合には、大量の被処理物に対して同時に被膜形成処理を施すことができるという特長を有しており、したがって処理コストも低い。この点については、フッ素系真空用グリースでは、例えば被処理物がボルト等の場合には、ボルト1本ずつ手作業により塗布する必要性があることから、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜は、フッ素系真空用グリースと比較しても優れていると言える。以上のように、本発明の用途からすれば、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜が潤滑剤として最も優れていると言えるが、本発明における潤滑剤は該被膜に限定されるものではない。
官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜の形成方法は、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油との混合物をフッ素系溶媒に数%程度の濃度で希釈した液体中に、被処理物を浸漬し、その後に乾燥するだけでよい。なお、乾燥を速めるために、加熱処理や減圧処理を行ってもよい。官能基を有する含フッ素重合体やフッ素油としては、例えば、デュポン社やモンテカチーニ社等から上市されたものがあげられる。
本発明の組立部品は、組立や分解を容易に行うことが可能であるとともに、大気圧よりも低い気圧に維持される室の内部やクリーンな環境に維持される室の内部を汚染しにくい。
本発明に係る組立部品の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る組立部品を含む駆動装置の断面図である。
図1に示すように、駆動装置10は、円筒状又は直方体状の筐体20内に設置されている。この筐体20の内部は、プロセス室Pとなっている。筐体20の底壁にはベース11が取り付けられており、さらに第1のステージ12が、ベース11上に取り付けられた一対のリニアガイド13,13を介して、ベース11に対して図1の左右方向に移動可能に支持されている。また、第1のステージ12は、ベース11に配置されたサーボモータ14に、図示しないボールねじ機構を介して連結されており、したがってサーボモータ14の動作により、図1の左右方向に位置決め可能に駆動されるようになっている。
ワークWを載置するためのテーブル16aを中央に配置した第2のステージ16は、第1のステージ12上に取り付けられた一対のリニアガイド17,17を介して、第1のステージ12に対して紙面に垂直な方向に移動可能に支持されている。また、第2のステージ16は、第1のステージ12に配置されたサーボモータ18に、図示しないボールねじ機構を介して連結されており、したがってサーボモータ18の動作により、紙面に垂直な方向に位置決め可能に駆動されるようになっている。以上のような構成により、第2のステージ16は、筐体20に対して2次元方向に移動できるため、そのテーブル16aに載置したワークWを、プロセス室P内の加工位置又は検査位置へと任意に移動させることができる。
筐体20内部のプロセス室Pは、側壁20aに形成された通路20bと配管21とを介して排気ポンプP1に連通しており、排気ポンプP1の作動によって真空雰囲気に維持されるようになっている。
ここで、駆動装置10に用いる摩擦締結部材としてのボルトについて説明する。図2は、2つの部品をボルトを用いて締結した状態の組立部品の断面図であり、図3は、図2のA部分の拡大図である。なお、ここで部品としては、組立部品であるベース11,第1のステージ12,リニアガイド13,サーボモータ14,ボールねじ機構,テーブル16a,第2のステージ16,リニアガイド17,サーボモータ18のそれぞれを構成する部品の他、筐体20内に設置される部品の全てを含む。
図2においては、ボルト30は、部品31の開口31aを貫通し、部品32のネジ穴(雌ねじ部)32aに螺合している。ここで、ボルト30の雄ネジ部30aには、後述するようにして官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dが被覆されている。したがって、ボルト30の雄ネジ部30aをネジ穴32aに螺合させると、図3に示すように、雄ネジ部30aの表面とネジ穴32aとの間に官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dが介在することとなり、締め付けトルク負荷時における摩擦面(ネジ表面)の摩擦を軽減し、カジリ等を抑制する。その結果、部品31,32の組立や分解を容易に行うことができる。
一方、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dは、蒸気圧の低い潤滑剤(例えば20℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下)であるために、プロセス室Pの真空雰囲気(あるいはクリーンルーム内)において使用されても、ボルト30から蒸発しにくい。よって、アウトガスの発生や発塵が生じにくく、プロセス室Pの真空雰囲気(あるいはクリーンルーム)環境の汚染が生じにくい。
ボルト30の雄ネジ部30aに、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜Dを被覆する手法としては、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油との混合物をフッ素系の溶媒に数%の濃度で希釈した液体中に、ボルト30を浸漬し、その後に取り出して乾燥するだけでよい。このようにして、一度に多数のボルトに対して極めて容易に被膜の被覆処理を施すことが可能である。なお、乾燥を速めるために、加熱処理や減圧処理を行ってもよい。
また、特に、ボルトのネジ部のみに前記被膜を被覆する場合について、図4を参照しながら説明する。図4において、L字状に折り曲げた治具Jの開口に、複数のボルト30を差し入れ、雄ネジ部30aが下方に突出するように支持する。また、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油との混合物を溶媒に溶かし込んだ液体Lを、容器Tに貯留する。
図4に示すように、ボルト30を保持した治具Jを容器Tの上方から下降させ、突出した雄ネジ部30aを液体Lに浸漬する。その後、治具Jを上昇させ、所定時間乾燥させれば溶媒が蒸発するので、雄ネジ部30aに潤滑剤(官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜D)が被覆されることとなる。ただし、以上の手法にこだわらず、例えばスプレーやハケ塗り等により、液体Lを雄ネジ部30aに付着させ、乾燥させてもよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更,改良が可能であることはもちろんである。例えば、摩擦締結部材はボルトに限定されるものではなく、雌ネジ部であってもよい。すなわち、ボルトに代わり又はボルトに加えて、雌ネジ部内に、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油との混合物を含む液体を吹き付け、乾燥させるなどすることで、その表面に潤滑剤(官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜D)を被覆することも考えられる。また、摩擦締結部材としてのボルト等は、クリーンルーム内で用いられても、その環境を汚染することなく分解,組立時のねじのカジリ等の発生を抑制できるという効果を発揮できる。
また、本発明における潤滑剤は、締結される部品同士の間に介在させてもよい。すなわち、例えば2つの部品の平面同士を密着させてボルト等で締結させる際に、ボルトによる固定前に両者の位置関係の微調整が必要になる場合が多い。このとき、密着させる2面が高精度に仕上げられ、且つ脱脂された清浄な表面だと、両者間の吸着によって位置合わせが困難な場合がある。例えばアルミ合金のように比較的軟らかい金属で構成された部品の場合は、両者をずらす際に、最悪の場合には表面にむしれが生じることもある。
このような場合には、対向面の少なくとも一方に、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜を被覆しておけば、むしれ等の不具合が生じることを避けることができる。また、ネジ部と部品との間又は部品同士の間に介在させるものは、被膜形成処理の行いやすさや真空特性の観点から総合して、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜が最も好ましいが、代わりに真空用グリース、特殊フッ素樹脂被膜、軟質金属被膜等を用いることもできる。
次に、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油とを混合してなる潤滑剤(官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜)について、さらに詳細に説明する。
部品同士の間や摩擦締結部材と部品との間に介在する潤滑剤が、官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜であれば、真空環境下やクリーンな環境下においても発塵量及びアウトガス量が少なく、且つ、締結取り外しの繰り返しに対する耐久性に優れていて長寿命である。本発明の組立部品においては、官能基を有する含フッ素重合体とPFPEのようなフッ素油とを含有する潤滑膜を潤滑剤として、例えば、ねじ切りが施された面を潤滑膜で覆うことにより潤滑を行っている。
潤滑膜は、官能基を有する含フッ素重合体とPFPEのようなフッ素油とを含有しているので、流動性を有している。よって、比較的大きな荷重が作用するような場合や相手部材との相対的なすべり接触の速度が速い(例えば、自動組立機等によるねじ締め等)場合でも、従来の固体潤滑剤のコーティング膜のようにすべり接触によって剥離や欠落が生じにくいので、発塵量が少なく、半導体製造装置等に使用される組立部品のような、パーティクルを極端に嫌う環境下において使用される組立部品に適用可能である。
また、含フッ素重合体だけでなくPFPEのようなフッ素油が配合されているため低アウトガスである。よって、特にウェハの処理プロセスのような、有機物による汚染を極端に嫌う用途に適している。さらに、例えば、ねじ締結のように比較的大きな荷重が作用するような場合でも、摺動面において金属同士が無潤滑で接触する状態となりにくく、摺動面に常に潤滑剤が付着している状態が維持される。よって、摺動面において凝着や摩耗が起こる可能性が低いので、ねじ締め取り外しの耐久性にも優れ且つ低発塵である。
なお、本発明の組立部品における潤滑膜は、前述のように官能基を有する含フッ素重合体とPFPEのようなフッ素油とを含有しているものであるが、前記両者を混合したもので潤滑膜を形成してもよいし、官能基を有する含フッ素重合体の層とPFPEのようなフッ素油の層とからなる二層構造としてもよい。後者の場合には、官能基を有する含フッ素重合体の層を設け、その上にPFPEのようなフッ素油の層を設けた二層構造とする必要がある。そうすれば、下層の含フッ素重合体と上層のフッ素油との濡れ性が良好であるため、フッ素油が薄く均一に被覆され、すべり接触によってフッ素油が飛散しにくい(低発塵である)。金属面に直接フッ素油を被覆すると、金属とフッ素油との濡れ性が悪いので、フッ素油を均一に被覆することが困難である。
潤滑膜の膜厚は0.3μm以上20μm以下とすることが好ましい。0.3μm未満では潤滑性が不十分となり、組立部品の耐久性に問題が生じるおそれがある。また、20μmを超えると潤滑性は十分となるが、発塵量が多くなるという問題が生じるおそれがある。ただし、膜厚が薄いほど発塵量が少なくなる傾向があることを考慮すると、潤滑膜の膜厚は0.3μmに近い方が好ましい。
官能基を有する含フッ素重合体としては、フルオロポリエーテル重合体やポリフルオロアルキル重合体が好ましい。フルオロポリエーテル重合体としては、下記の化1で示される繰り返し単位を有する、数平均分子量が1000〜50000の重合体があげられる。なお、このフルオロポリエーテル重合体は、少なくとも一方の分子末端に、後述する官能基を有している。
Figure 2005195094
また、ポリフルオロアルキル重合体としては、下記の化2に示すものがあげられる。化2中のYは金属に対して親和性の高い官能基であり、例えば、エポキシ基,アミノ基,カルボキシル基,水酸基,メルカプト基,イソシアネート基,スルフォン基,エステル基等が好ましい。ポリフルオロアルキル重合体としては、化2に示すものの他、例えば、化3,4に示すものも好適に使用することができる。
Figure 2005195094
Figure 2005195094
Figure 2005195094
このような官能基は、潤滑膜が組立部品の表面に被覆された際に部品や摩擦締結部材を構成する金属と結合するので、部品や摩擦締結部材の表面と強く結合した潤滑膜が形成される。なお、一つの分子に官能基を複数有する含フッ素重合体の場合は、そのうち少なくとも一つが金属と結合していればよい。前記含フッ素重合体は、上に例示したものを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、その官能基同士が反応して金属と結合する官能基が減少することがないように、その組合せを選択することが好ましい。
このような官能基を有する含フッ素重合体の具体例としては、例えば、デュポン社製のクライトックス157FSL,157FSM,157FSH、ダイキン工業社製のデムナム変性品SA,SH,SY−3、アウジモント社製のフォンブリンZDEAL,ZDIAC,ZDISCO,ZDOL,ZDOLTX2000等があげられる。
また、PFPEのようなフッ素油の種類は特に限定されるものではないが、アウトガスを低く抑えるためには、できるだけ蒸気圧の低いものを使用することが好ましい。具体的には、デュポン社製のクライトックス143AB,143AC,143AD、アウジモント社製のフォンブリンYHVAC18/8,25/9,40/11,140/13,Z25,Z60、ダイキン工業社製のS−65,S−100,S−200があげられる。
次に、組立部品の部品同士の間や摩擦締結部材と部品との間に、潤滑膜を介在させる方法の別例を説明する。官能基を有する含フッ素重合体とPFPEのようなフッ素油との混合物で、部品や摩擦締結部材の表面を覆う方法は、特に限定されるものではなく、例えば、部品や摩擦締結部材の表面に前記混合物を塗布又は噴霧する方法や、部品や摩擦締結部材を前記混合物に浸漬する方法等がよく採用される。
官能基を有する含フッ素重合体とPFPEのようなフッ素油との混合物の一例をあげると、PFPEとしてダイキン工業社製S−200を用い、これに官能基を有する含フッ素重合体としてデュポン社製のクライトックス157FSHを5%添加し、これをフッ素系の溶剤(例えば、旭化学工業社製AK225)で2%に希釈したもの等が好適である。
次に、前記混合物を塗布した部品や摩擦締結部材を常温乾燥させた後、恒温槽等に入れ100〜200℃で30分間熱処理を施すことによって、部品や摩擦締結部材の表面に潤滑膜を形成させる。なお、このような潤滑膜を設ける処理は、必要に応じて数回繰り返してもよく、潤滑膜を最終的に、例えば0.3〜20μmの膜厚に形成する。この膜厚は、官能基を有する含フッ素重合体及びPFPEのようなフッ素油の前記フッ素系の溶剤への溶解濃度によって制御することも可能である。
このような方法により、部品や摩擦締結部材の表面に潤滑膜を好適な膜厚で形成することができる。また、前述のように熱処理によって溶剤を除去しておけば、組立部品の使用時に不要な発塵が発生することがない。特に、最終の熱処理によって、使用環境での発塵やアウトガスを抑制できる。
なお、官能基を有する含フッ素重合体は、PFPEのようなフッ素油に比べて一般に蒸気圧が高いので、アウトガスに対する要求が厳しい場合は、含フッ素重合体とフッ素油の合計量に対する含フッ素重合体の量を、1〜30質量%とすることが好ましい。また、官能基を有する含フッ素重合体をフッ素系の溶剤で希釈したものを先に被覆し、恒温槽等で加熱して、部品や摩擦締結部材の母材である金属に前記含フッ素重合体が有する官能基を反応させて、金属と結合した官能基を有する含フッ素重合体の層を形成し、その後にPFPEのようなフッ素油をフッ素系の溶剤で希釈したものを被覆して、前記官能基を有する含フッ素重合体の層の上にPFPEのようなフッ素油の層を形成して、潤滑膜を二層構造としてもよい。
以上説明したように、本実施形態の組立部品は流動性を有する潤滑膜を備えていて、比較的大きな荷重がかかるような場合でも、従来の固体潤滑剤等のコーティング膜のようにすべり接触することによる負荷により剥離や欠落が生じる可能性が低いので、発塵量が少なく、半導体製造装置等に使用される組立部品のようなパーティクルを極端に嫌う環境下において使用される組立部品に適用可能である(半導体製品の歩留まり向上に寄与する)。
また、摺動面において金属同士が無潤滑で接触する状態となりにくく、摺動面に常に潤滑剤が付着している状態が維持される。よって、摺動面において凝着や摩耗が起こる可能性が低いので、ねじ締めや取り外しの耐久性に優れ且つ低発塵である。
なお、本発明の組立部品の素材は特に限定されるものではないが、炭素鋼,ステンレス鋼,アルミニウム合金,チタン合金,セラミックス,サーメット等を好適に使用することができる。これらの素材に対して、熱処理やメッキ処理,物理蒸着法(PVD),化学蒸着法(CVD)等の処理を施せば、表面が硬化して耐摩耗性が向上するのでより好ましい。
熱処理としては、通常の焼入れ・焼戻し処理,窒化処理,浸炭処理,浸炭窒化処理等があげられる。また、メッキとしては、無電解ニッケルメッキ,硬質クロムメッキ等があげられる。さらに、PVD,CVDにより形成する被膜としては、Ti系硬質膜(TiN,TiCN,TiC,TiAlN),CrN,ダイヤモンド,ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等があげられる。
アルミ合金においては、陽極酸化による表面硬化も効果的に使用できる。
また、組立部品を構成する部品には、表面粗さや寸法精度を向上させるために、種々の機械加工や化学研磨等を施してもよい。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して、本発明を説明する。上記と同様の潤滑膜を被覆した試験片を用いて二円筒スラストカラー型すべり摩擦試験を行い、真空中における耐久性と発塵性とを評価した。
試験片50は図5に示すような円筒形で、SUJ2製である。そして、相手材51との摺動面(図5においては下端面であり、ねじ締結部を想定している)に上記と同様の潤滑膜が、種類及び膜厚を種々変更して被覆してある。このような試験片50を円筒の軸を中心に回転させて相手材51の上面とすべり接触させ、回転トルクが急上昇するまでの総回転数で耐久性を評価した。また、回転を開始してから30分間の発塵量で発塵性を評価した。なお、回転時のアキシアル荷重は980N、回転速度は30rpm、温度は25℃、圧力は1×10-4Paである。
試験結果を、潤滑膜の種類及び膜厚とともに表1に示す。なお、耐久性及び発塵性は、従来のPTFE被膜を潤滑膜とした比較例2の耐久性,発塵性を1.0とした場合の相対値で示してある。
Figure 2005195094
表1から分かるように、実施例1〜3の試験片は優れた耐久性及び発塵性を有していた。それに対して、比較例1の試験片は、潤滑膜がPFPEのみで構成されているので、耐久性が劣っていた。また、比較例2の試験片は、耐久性,発塵性がともに劣っていた。さらに、潤滑膜(FSH+PFPE)の膜厚と耐久性,発塵性との相関を示した図6のグラフ(耐久性,発塵性の値は、比較例2のそれを1.0とした場合の相対値で示してある)から、膜厚が0.3μm以上の場合に耐久性が優れていることが分かる。また、膜厚0.3μm以上の範囲では、膜厚に比例して耐久性が向上していることが分かる。
さらに、膜厚が小さいほど発塵性が良好となる傾向があり、膜厚が20μm以下の場合に発塵量が少なく、20μmを超えると急激に発塵量が増加することが分かる。これらの結果から、潤滑膜の膜厚は0.3〜20μmが好ましいことが分かる。
本発明の組立部品は、例えば真空中やクリーンルーム中等のような、清浄さが要求される環境下において好適に使用可能である。
本発明に係る組立部品を含む駆動装置の断面図である。 2つの部品をボルトを用いて締結した状態の組立部品の断面図である。 図2のA部分の拡大断面図である。 ボルトの雄ネジ部に潤滑剤を被覆する手法を説明する図である。 二円筒スラストカラー型すべり摩擦試験の方法を説明する概念図である。 潤滑膜の膜厚と耐久性及び発塵性との相関を示すグラフである。
符号の説明
10 駆動装置
11 ベース
12 第1のステージ
13 リニアガイド
14 サーボモータ
16 第2のステージ
16a テーブル
17 リニアガイド
18 サーボモータ
30 ボルト
31,32 部品
30a 雄ネジ部
32a ネジ穴
D 官能基付き含フッ素重合体−フッ素油混合被膜

Claims (7)

  1. 複数の部品が摩擦締結部材で締結されてなる組立部品であって、前記部品同士の間、及び、前記摩擦締結部材と前記部品との間の少なくとも一方に、20℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下である潤滑剤を介在させたことを特徴とする組立部品。
  2. 大気圧よりも低い気圧に維持される室の内部又はクリーンな環境に維持される室の内部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の組立部品。
  3. 前記摩擦締結部材は、雄ネジ,ナット,間座,又はネジ穴を有する部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組立部品。
  4. 前記摩擦締結部材のねじ切りが施された部分と前記部品との間に、前記潤滑剤を介在させたことを特徴とする請求項3に記載の組立部品。
  5. 前記潤滑剤は、官能基を有する含フッ素重合体とフッ素油とを混合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組立部品。
  6. 前記部品及び前記摩擦締結部材の少なくとも一方に前記潤滑剤を付着させたうえ締結してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組立部品。
  7. 締結前に付着された前記潤滑剤の厚さが0.3μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項6の組立部品。
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