JP2005194794A - ブレースダンパー - Google Patents

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雄一郎 小川
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Abstract

【課題】 座屈強度に優れ高耐力のブレースダンパーを安価に製作する。
【解決手段】 両端が建物に対して固定されるブレース本体1と、その周囲に装着されてブレース本体の軸方向変形を許容しつつその座屈を防止する拘束部材2からなる。ブレース本体は幅寸法一定の帯板状の鋼板からなり、幅方向中央部には開口部4が形成されて降伏部1aが設けられる。拘束部材は、ウェブ部6aとフランジ部6bを有する対のチャンネル鋼材6と、その外側に装着される補剛部材7からなり、補剛部材を介してチャンネル鋼材によりブレース本体を挟み込んだ状態でそれらの全体を綴りボルト11によって一体に締結する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建物にブレースの形態で設置される制震ダンパーであるブレースダンパーに関する。
このようなブレースダンパーとして特許文献1に示されるものが提案されている。これは、極軟鋼(低降伏点鋼)からなる帯鋼板をブレース本体としてその両端を建物に対して固定するとともに、そのブレース本体の面外変形を拘束して座屈を防止するための拘束部材をその外側に装着した構成のものであり、地震時に建物が層間変形を生じた際にブレース本体が軸方向に塑性変形することで振動を有効に吸収し減衰させることができるものであり、今後広く普及する気運にある。
特開平2002−173981号公報
ところで、特許文献1に示される従来のブレースダンパーは、ブレース本体の座屈を防止するための拘束部材として汎用のチャンネル鋼材を用いていることからそれによる座屈防止強度には自ずと限界があった。そのためこの種のブレースダンパーにそれ以上の耐力を持たせようとすれば、拘束部材としてより高剛性の特殊なチャンネル鋼材を採用するか、あるいはチャンネル鋼材に対して補強リブ等の補強材を溶接する等の更なる加工を施してその剛性を高める必要があるが、いずれも製作の手間とコストが嵩むものとなるため好ましくなく、特殊な部材や特殊な加工を必要とすることなく座屈強度を高めることのできる有効な方策が望まれていた。
上記事情に鑑み、本発明のブレースダンパーは、両端が建物に対して固定されるブレース本体と、ブレース本体を両側から挟み込んだ形態でその周囲に装着されることによりブレース本体の軸方向変形を許容しつつその座屈を防止する拘束部材からなり、前記ブレース本体は幅寸法一定の帯板状の鋼板からなるとともに、その幅方向中央部にはこのブレース本体の長さ方向に沿って開口部が形成されて該開口部の両側に所定軸力を受けた際に降伏する降伏部が設けられ、前記拘束部材は、ブレース本体を挟み込むウェブ部とその両側縁部に一体に形成された対のフランジ部を有する対のチャンネル鋼材と、それらチャンネル鋼材のウェブ部の外側にそれぞれ装着される補剛部材からなり、チャンネル鋼材のウェブ部および前記ブレース本体の開口部を挿通せしめた綴りボルトによって、補剛部材を介してチャンネル鋼材によりブレース本体を挟み込んだ状態でそれらの全体を一体に締結せしめてなることを特徴とする。
本発明のブレースダンパーは、ブレース本体をチャンネル鋼材により挟み込むことでその面外変形を拘束して座屈を防止するとともに、チャンネル鋼材の外側に高剛性の補剛部材をさらに装着してそれら補剛部材とチャンネル鋼材とブレース本体の全体を綴りボルトにより一体に締結することにより、補剛部材によってチャンネル鋼材に対する充分な補剛効果が得られ、ブレース本体に対する座屈強度を充分に高めることができる。したがって本発明のブレースダンパーではチャンネル鋼材としては汎用製品を用いれば充分であるし、補剛部材も所望の剛性を有するものであれば適当な汎用製品を用いることが可能であるから、充分に高耐力のブレースダンパーを安価に製作することが可能である。
図1は本発明の実施形態であるブレースダンパーを示すものであり、(a)は外観を示す側面図、(b)はブレース本体の形状を示す図、(c)は断面図である。本実施形態のブレースダンパーは、ブレース本体1と、その周囲に装着されてブレース本体1の座屈を防止する拘束部材2からなる。
ブレース本体1は幅寸法一定の帯板状の鋼板(フラットバー)であって、その両端部が建物に対して固定されることでこれ自体が通常のブレースとして機能するものである。ブレース本体1の端部両面にはリブプレート3が溶接されていて、ブレース本体1の両端部における横断面形状は十字形をなすものとされている。本実施形態におけるブレース本体1は極軟鋼(低降伏点鋼)からなるもので、図1(b)に示すようにその中央部に開口部4が形成されることで所定軸力を受けた際に降伏する降伏部1aが設定されている。すなわち、本実施形態ではブレース本体1の長さ方向中央部かつ幅方向中央部に開口部4が軸方向に長い長穴として形成されており、そのような開口部4が形成されることでブレース本体1の中央部における断面積が他の部分よりも絞られており、したがってその開口部4の両側の帯板状の部分が局所的に降伏する降伏部1aとされている。なお、ブレース本体1の両端部には綴りボルト11(後述)を挿通させるための長穴5が形成されている。
拘束部材2は、対のチャンネル鋼材6と、それらの外側にそれぞれ装着される補剛部材7とからなる。図1(c)に示すように、チャンネル鋼材6はウェブ部6aとフランジ部6bを有し、ウェブ部6aによりブレース本体1を両側から挟み込んだ状態でフランジ部6bに帯鋼板からなるカバープレート8がボルト9により締結されることで全体としてH型断面となるように組み立てられ、これによりブレース本体1の軸方向変形を許容しつつその面外変形を拘束して座屈を防止するためのものである。なお、チャンネル鋼材6の端部には上記のリブプレート3との干渉を避けるためのスリット10が形成されている。
それらチャンネル鋼材6どうしは、双方のウェブ部6aとブレース本体1の開口部4または長穴5とを挿通する綴りボルト11によってブレース本体1を両側から挟み込む状態で連結されるのであるが、綴りボルト11の両端にはクランプ金具12が装着され、それらクランプ金具12とチャンネル鋼材6との間には高剛性の補剛部材7が介装されるようになっている。本実施形態では、チャンネル鋼材6のほぼ全長にわたる長尺の角パイプ材が補剛部材7として採用され、それら補剛部材7が各チャンネル鋼材6の外側に2本づつ配置され、それら補剛部材7,チャンネル鋼材6、ブレース本体1の全体が、クランプ金具12を介して綴りボルト11により一体に締結されたものとなっている。
本実施形態のブレースダンパーは、従来のこの種のブレースダンパーと同様に、ブレースとしての機能とダンパーとしての機能を併せ持つものであり、したがってこれを建物に設置することで建物に対する優れた補剛効果と振動エネルギー吸収効果とを同時に得ることができるものである。
すなわち、このブレースダンパーはブレース本体1が通常のブレースと同様に機能し、特にその外側に装着された拘束部材2によりブレース本体1の座屈が有効に防止されることから座屈強度に優れるブレースとして機能するものとなっている。そして、このブレースダンパーの外観は実質的にH形鋼と変わるものではないので通常のブレースと同様に取り扱うことができるし、通常のブレースと同様の形態で建物に設置することができるものである。また、このブレースダンパーはブレース本体1が軸方向に変形して降伏することでそれ自体が鋼材ダンパーとして機能するものであり、特にブレース本体1として極軟鋼を採用してその中央部に降伏部1aを設定していることから、所定軸力を受けた際に降伏部1aが確実に降伏して鋼材ダンパーとして優れた減衰効果が得られるものとなっている。勿論、このブレースダンパーは、ブレース本体1の材質やその断面積、降伏部1aでの降伏強度、拘束部材2による拘束力その他を適宜設定することで、ブレースおよび鋼材ダンパーとしての性能を自由にかつ幅広く調整できることは言うまでもない。
以上に加え、本実施形態のブレースダンパーは、拘束部材2をチャンネル鋼材6とそれを外側から補剛する補剛部材7とにより構成してそれらの全体を綴りボルト11により一体に締結する構成のものであるから、チャンネル鋼材6はその外側から補剛部材7により充分に補剛されることになり、したがってそれら補剛部材7とチャンネル鋼材6とによりブレース本体1に対する充分な座屈防止強度が確保され、ブレースダンパーとしての耐力を充分に高めることができるものである。したがって本実施形態のブレースダンパーでは、チャンネル鋼材6としては安価に入手可能な汎用製品を採用可能であるし、補剛部材7も所望の剛性を有するものであれば良いので角パイプ材のような安価な建設資材を採用することが可能であるから、従来のようにチャンネル鋼材として特殊な部材を用いたり何等かの特殊な加工を施すような必要はなく、その組み立ても何等面倒ではなく、座屈強度に優れた高耐力のブレースダンパーを充分に安価に製作することが可能である。
なお、上記実施形態では補剛部材7として角パイプ材を用いたが、補剛部材7はチャンネル鋼材6に対する所望の補剛効果が得られるものであれば各種の部材を採用可能であり、たとえば中実の鋼材や任意断面の形鋼等も好適に採用可能であるし、チャンネル鋼材6に対する装着の形態も任意である。
また、ブレース本体1やチャンネル鋼材6の形状や寸法をはじめとして細部の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、たとえば図2に示すようにブレース本体1に複数の開口部4を形成することで複数の降伏部1aを分散させて形成する等、適宜の設計的変更が可能である。
本発明の一実施形態であるブレースダンパーの概略構成を示す図である。 同、ブレース本体の他の例を示す図である。
符号の説明
1 ブレース本体
1a 降伏部
2 拘束部材
4 開口部
6 チャンネル鋼材
7 補剛部材
11 綴りボルト
12 クランプ金具

Claims (1)

  1. 建物にブレースとして設置されるとともにその建物の振動エネルギーを吸収するダンパーとしても機能するブレースダンパーであって、
    両端が建物に対して固定されるブレース本体と、ブレース本体を両側から挟み込んだ形態でその周囲に装着されることによりブレース本体の軸方向変形を許容しつつその座屈を防止する拘束部材からなり、
    前記ブレース本体は幅寸法一定の帯板状の鋼板からなるとともに、その幅方向中央部にはこのブレース本体の長さ方向に沿って開口部が形成されて該開口部の両側に所定軸力を受けた際に降伏する降伏部が設けられ、
    前記拘束部材は、ブレース本体を挟み込むウェブ部とその両側縁部に一体に形成された対のフランジ部を有する対のチャンネル鋼材と、それらチャンネル鋼材のウェブ部の外側にそれぞれ装着される補剛部材からなり、
    チャンネル鋼材のウェブ部および前記ブレース本体の開口部を挿通せしめた綴りボルトによって、補剛部材を介してチャンネル鋼材によりブレース本体を挟み込んだ状態でそれらの全体を一体に締結せしめてなることを特徴とするブレースダンパー。
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