JP2005194572A - 冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005194572A JP2005194572A JP2004001689A JP2004001689A JP2005194572A JP 2005194572 A JP2005194572 A JP 2005194572A JP 2004001689 A JP2004001689 A JP 2004001689A JP 2004001689 A JP2004001689 A JP 2004001689A JP 2005194572 A JP2005194572 A JP 2005194572A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- stainless steel
- ferritic stainless
- cold forgeability
- machinability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
【課題】 優れた耐食性、加工性が要求される、特に精密機械部品等に優れた冷鍛によるブランク加工と切削による仕上加工性に優れ、高耐食性を有するフェライト系ステンレス鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.035%以下、Si:2.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.100%以下、S:0.060〜0.350%、Cr:10.00〜30.00%、Ti:0.20〜1.50%、N:0.030%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、質量比でTi/S:3.2〜5.5、Ti/(C+N):8〜25であることを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【選択図】 なし
【解決手段】 質量%で、C:0.035%以下、Si:2.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.100%以下、S:0.060〜0.350%、Cr:10.00〜30.00%、Ti:0.20〜1.50%、N:0.030%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、質量比でTi/S:3.2〜5.5、Ti/(C+N):8〜25であることを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【選択図】 なし
Description
本発明は、精密機器部品、OA機器部品等に使用される冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
OA機器部品、家電製品部品、自動車用制御装置部品および精密機器部品等には、耐食性と成型性に優れたフェライト系ステンレス鋼が広く用いられている。近年、これらの部品の成型には、据込やヘッディング、パーツフォーム等の冷鍛による加工方法が増加している。冷鍛は、ニアネットシェイプ化による材料費を削減できたり、加工に要する時間や費用を低減できたりする利点があり、加工者側にとって大いにメリットのある加工方法である。しかしながら、冷鍛は、被加工材の大きな加工硬化を伴うため、例えば切削等と比較すると、金型への負荷は過酷になると共に、被加工材にとっても、割れや、集合組織に伴うしわ疵、異常変形等が現われやすい問題がある。特に、ステンレス鋼は変形抵抗が大きいことから、はだ焼合金鋼と比べて冷鍛は困難である。
このような問題を解決するため、SUS430LXのように、低C、N化すると共にTiを添加して、軟質化および集合組織の改善を図った鋼種がJIS化されている。ただし、近年増加している精密機器部品の冷鍛成型化においては、冷鍛後に切削による仕上工程が入るのが普通であり、加工材に快削性も求められるようになってきている。Ti添加を利用して、冷鍛性と被削性を改善したフェライト系ステンレス鋼として、例えば特開2003−221654号公報(特許文献1)に開示されているように、Feを主成分としてNiを含有しないか、または含有していてもその含有率が2.0質量%以下であり、Crを7〜35質量%、Cを0.01〜0.4質量%の範囲にてそれぞれ含有し、また、Tiの質量含有率をWTi(質量%)、Zrの質量含有率をWTi(質量%)として、WTi+0.52WZrが0.03〜3.5質量%となるようにTiとZrとの少なくともいずれかを含有し、さらに、0.01〜1質量%のSと0.01〜8質量%のSeとの少なくともいずれかを含有する発明が提案されている。
また、特許第3425124号公報(特許文献2)でのフェライト系快削ステンレス鋼は、TiとZrの少なくともいずれかを金属元素成分として含有し、その金属成分の結合成分として、必須元素としてのCと、さらにSとSeとの少なくともいずれかを含有する(Ti,Zr)系化合物が組織中に形成されており、良好な被削性を実現できると言うものである。さらに、特開2001−73101号公報(特許文献3)には、重量%で、C:≦0.015%、Si:≦1.0%、Mn:≦1.0%、P:≦0.100%、S:0.03超〜0.30%、Ni:≦2.0%、Cr:4〜7%、Al:2.0〜4.0%、Ti:0.01〜1.0%、N:≦0.020%、O:≦0.020%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつTi/(3.99C+1.49S+3.42N)≦3の範囲で、合金元素総添加量が18原子%以下であること、さらに加えて、Mo,Cuをそれぞれ1%以下含有させた被削性、冷鍛性に優れた高磁束密度、高固有抵抗電磁材料が開示されている。
上述したように、特許文献1は、ステンレス鋼中の組織中に(Ti,Zr)系化合物が分散形成されることにより、ステンレス鋼の被削性を向上させることができると言うものであるが、しかしながら、(Ti,Zr)4 (S,Se)2 C2 の化学式で表される介在物の生成に主眼を置いているため、フェライト系ステンレス鋼としては、靱性や耐食性を低下させるC量を相対的に多く含まなければならないという問題がある。また、特許文献2も特許文献1と同様に、ステンレス鋼中の組織中に(Ti,Zr)系化合物が分散形成されることにより、ステンレス鋼の被削性を向上させるものであるが、しかしながら、上述と同様に、(Ti,Zr)4 (S,Se)2 C2 の形成のために、C量を比較的多く含有する必要があり、C量が少ないとTiが過剰になってしまう問題がある。
さらに、特許文献3は、Ti/(3.99C+1.49S+3.42N)≦3となるようにTiを添加した、高磁束密度を維持しつつ高固有抵抗を有する電磁材料であるが、しかしながら、快削性を付与するS量が比較的少ない水準における発明であり、より一層優れた被削性が求められている利用分野に適したものではない。
本発明は、このような問題を鑑みて、冷鍛性に優れた特性と被削性の両者を具備したフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
本発明は、このような問題を鑑みて、冷鍛性に優れた特性と被削性の両者を具備したフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.035%以下、Si:2.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.100%以下、S:0.060〜0.350%、Cr:10.00〜30.00%、Ti:0.20〜1.50%、N:0.030%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、質量比でTi/S:3.2〜5.5、Ti/(C+N):8〜25であることを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(1)質量%で、C:0.035%以下、Si:2.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.100%以下、S:0.060〜0.350%、Cr:10.00〜30.00%、Ti:0.20〜1.50%、N:0.030%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、質量比でTi/S:3.2〜5.5、Ti/(C+N):8〜25であることを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(2)前記(1)に加えて、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:2.00%以下、Co:2.00%以下、の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(3)前記(1)または(2)に加えて、Nb:1.00%以下、Ta:1.00%以下、V:1.00%以下、W:1.00%以下、の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(3)前記(1)または(2)に加えて、Nb:1.00%以下、Ta:1.00%以下、V:1.00%以下、W:1.00%以下、の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(4)前記(1)〜(3)に加えて、Se:0.30%以下、Te:0.30%以下、Sn:0.30%以下、Ca:0.030%以下、O:0.030%以下、Pb:0.30%以下、Bi:0.30%以下、の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(5)前記(1)〜(4)に加えて、Al:0.10%以下、Mg:0.010%以下、B:0.010%以下、REM:0.010%以下、の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
(5)前記(1)〜(4)に加えて、Al:0.10%以下、Mg:0.010%以下、B:0.010%以下、REM:0.010%以下、の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
以上述べたように、本発明により優れた耐食性、加工性が要求される特に精密機械部品等に優れた冷鍛によるブランク加工と切削による仕上加工性に優れ、高耐食性を有するフェライト系ステンレス鋼を提供することが可能となった。
以下、本発明に係る成分組成の限定理由について述べる。
C:0.035%以下
Cは、強度を上げる重要な元素であるが、しかし、多すぎると耐食性と冷鍛性を悪化させるので、その上限を0.035%とした。
Si:2.00%以下
Siは、製鋼時脱酸剤として有用であり、鋼材の強度を高める効果がある。しかし、多すぎると焼なまし硬さを大きくし加工性を阻害することから、上限を2.00%とした。
C:0.035%以下
Cは、強度を上げる重要な元素であるが、しかし、多すぎると耐食性と冷鍛性を悪化させるので、その上限を0.035%とした。
Si:2.00%以下
Siは、製鋼時脱酸剤として有用であり、鋼材の強度を高める効果がある。しかし、多すぎると焼なまし硬さを大きくし加工性を阻害することから、上限を2.00%とした。
Mn:2.00%以下
Mnは、脱酸剤として有用であるが、硫化物を形成しやすく、多すぎると硫化物中のMn濃度が増加し耐食性を悪化させるので、上限を2.00%とした。
P:0.100%以下
Pは、基本的に不要な元素で、多く含有されると耐食性、冷鍛性を劣化させるので、その上限を0.100%とした。
Mnは、脱酸剤として有用であるが、硫化物を形成しやすく、多すぎると硫化物中のMn濃度が増加し耐食性を悪化させるので、上限を2.00%とした。
P:0.100%以下
Pは、基本的に不要な元素で、多く含有されると耐食性、冷鍛性を劣化させるので、その上限を0.100%とした。
S:0.060〜0.350%
Sは、硫化物を形成し被削性向上に極めて効果が大きい。しかし、0.060%未満ではその効果が薄く、多すぎると被削性改善効果が飽和し、かつ熱間加工性を悪化させるので、その上限を0.350%とした。
Cr:10.00〜30.00%
Crは、ステンレス鋼の基本的な元素で酸化皮膜を形成し耐食性を付与する。従って、少ないと十分な耐食性皮膜を形成できず、多いと焼なまし硬さを上げるとともに靭性を低下させるので、その範囲を10.00〜30.00%とした。
Sは、硫化物を形成し被削性向上に極めて効果が大きい。しかし、0.060%未満ではその効果が薄く、多すぎると被削性改善効果が飽和し、かつ熱間加工性を悪化させるので、その上限を0.350%とした。
Cr:10.00〜30.00%
Crは、ステンレス鋼の基本的な元素で酸化皮膜を形成し耐食性を付与する。従って、少ないと十分な耐食性皮膜を形成できず、多いと焼なまし硬さを上げるとともに靭性を低下させるので、その範囲を10.00〜30.00%とした。
Ti:0.20〜1.50%
Tiは、Ti炭窒化物形成およびTi硫化物生成により、冷鍛性を改善すると共に、耐食性をほとんど劣化させずに被削性も改善する。その適切な添加量は、C,N,S量に依るが、少ないと十分に介在物組成制御ができず、多すぎると脆化を起こすので、その範囲を0.20〜1.50%とした。
N:0.030%以下
Nは、強度を上げる元素であるが、多すぎると窒化物を多量に生じ、冷鍛性と被削性を低下させるので、その上限を0.030%とした。
Tiは、Ti炭窒化物形成およびTi硫化物生成により、冷鍛性を改善すると共に、耐食性をほとんど劣化させずに被削性も改善する。その適切な添加量は、C,N,S量に依るが、少ないと十分に介在物組成制御ができず、多すぎると脆化を起こすので、その範囲を0.20〜1.50%とした。
N:0.030%以下
Nは、強度を上げる元素であるが、多すぎると窒化物を多量に生じ、冷鍛性と被削性を低下させるので、その上限を0.030%とした。
Ni:2.00%以下
Niは、非酸化性酸に対する耐食性を改善する効果を有する。しかし、多量の添加は焼なまし硬さを上昇させるため、その上限を2.00%とした。
Mo:3.00%以下
Moは、耐食性を向上させる元素である。しかし、多すぎると脆化相を析出し耐食性、機械的性質を低下させるので、その上限を3.00%とした。
Niは、非酸化性酸に対する耐食性を改善する効果を有する。しかし、多量の添加は焼なまし硬さを上昇させるため、その上限を2.00%とした。
Mo:3.00%以下
Moは、耐食性を向上させる元素である。しかし、多すぎると脆化相を析出し耐食性、機械的性質を低下させるので、その上限を3.00%とした。
Cu:2.00%以下
Cuは、耐食性改善、冷間加工性改善の効果がある。しかし、過剰添加は熱間加工性を悪化させるので、その上限を2.00%とした。
Co:2.00%以下
Coは、耐食性改善、冷間加工性改善の効果がある。しかし、過剰添加は熱間加工性を悪化させるので、その上限を2.00%とした。
Cuは、耐食性改善、冷間加工性改善の効果がある。しかし、過剰添加は熱間加工性を悪化させるので、その上限を2.00%とした。
Co:2.00%以下
Coは、耐食性改善、冷間加工性改善の効果がある。しかし、過剰添加は熱間加工性を悪化させるので、その上限を2.00%とした。
Nb:1.00%以下
Nbは、強力な炭窒化物生成元素でNb炭窒化物を形成し、Cr炭化物の生成を抑制し、耐食性を向上させる。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を1.00%とした。
Ta:1.00%以下
Taは、炭窒化物を形成して耐食性を高める効果がある。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を1.00%とした。
Nbは、強力な炭窒化物生成元素でNb炭窒化物を形成し、Cr炭化物の生成を抑制し、耐食性を向上させる。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を1.00%とした。
Ta:1.00%以下
Taは、炭窒化物を形成して耐食性を高める効果がある。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を1.00%とした。
V:1.00%以下
Vは、炭窒化物を生成し、耐食性を向上させるに有効である。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を1.00%とした。
W:1.00%以下
Wは、強力な炭窒化物生成元素でW炭窒化物を形成し、耐食性を向上させる。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を1.00%とした。
Vは、炭窒化物を生成し、耐食性を向上させるに有効である。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を1.00%とした。
W:1.00%以下
Wは、強力な炭窒化物生成元素でW炭窒化物を形成し、耐食性を向上させる。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を1.00%とした。
Se:0.30%以下
Seは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Te:0.30%以下
Teは、Seと同様に、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Seは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Te:0.30%以下
Teは、Seと同様に、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Sn:0.30%以下
Snは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Ca:0.030%以下
Caは、強力な脱酸元素であり、その酸化物は被削性を改善する。しかし、多すぎると硬質酸化物が生成して被削性低下をもたらす。従って、その上限を0.030%とした。
Snは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Ca:0.030%以下
Caは、強力な脱酸元素であり、その酸化物は被削性を改善する。しかし、多すぎると硬質酸化物が生成して被削性低下をもたらす。従って、その上限を0.030%とした。
O:0.030%以下
Oは、低融点酸化物を生成して被削性を改善する。また、多すぎると被削性改善効果が飽和し、酸化物量が増加して逆に被削性を低下させる。従って、その上限を0.030%とした。
Pb:0.30%以下
Pbは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Oは、低融点酸化物を生成して被削性を改善する。また、多すぎると被削性改善効果が飽和し、酸化物量が増加して逆に被削性を低下させる。従って、その上限を0.030%とした。
Pb:0.30%以下
Pbは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Bi:0.30%以下
Biは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸、脱窒元素であり、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多すぎると二次酸化の危険が増すため、その上限を0.10%とした。
Biは、被削性をさらに向上させることが可能なため、必要に応じて添加する。しかし、多すぎると熱間加工性を低下させるので、その上限を0.30%とした。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸、脱窒元素であり、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多すぎると二次酸化の危険が増すため、その上限を0.10%とした。
Mg:0.010%以下
Mgも、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多いと硬質酸化物が被削性を悪化させる。従って、その上限を0.010%とした。
B:0.010%以下
Bは、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を0.010%とした。
Mgも、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多いと硬質酸化物が被削性を悪化させる。従って、その上限を0.010%とした。
B:0.010%以下
Bは、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多すぎると熱間加工性を悪化させるので、その上限を0.010%とした。
REM:0.010%以下
REMも、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多いと硬質非延性酸化物が被削性を悪化させる。従って、その範囲を0.010%とした。
Ti/S比:3.2〜5.5
Ti/S比は硫化物の組成に影響するパラメータであり、Ti/S比が3.2未満であると、MnSが生じて冷鍛性や耐食性が低下する。一方、Mn/S比が5.5を超えると、固溶Ti量の増加により硬さが上昇して冷鍛性が低下するので、その上限を5.5とした。
REMも、熱間加工性を改善する元素である。しかし、多いと硬質非延性酸化物が被削性を悪化させる。従って、その範囲を0.010%とした。
Ti/S比:3.2〜5.5
Ti/S比は硫化物の組成に影響するパラメータであり、Ti/S比が3.2未満であると、MnSが生じて冷鍛性や耐食性が低下する。一方、Mn/S比が5.5を超えると、固溶Ti量の増加により硬さが上昇して冷鍛性が低下するので、その上限を5.5とした。
Ti/(C+N):8〜25
Ti/(C+N)が8未満では、TiによるC,Nの固定が不十分で硬さ上昇や集合組織の発達のため冷鍛性や耐食性が低下する。一方、25を超えると固溶Tiが増加して靱性が低下し冷鍛性が低下することから、その範囲を8〜25とした。
Ti/(C+N)が8未満では、TiによるC,Nの固定が不十分で硬さ上昇や集合組織の発達のため冷鍛性や耐食性が低下する。一方、25を超えると固溶Tiが増加して靱性が低下し冷鍛性が低下することから、その範囲を8〜25とした。
以下、本発明について実施例をもって具体的に説明する。
真空誘導炉で100kg鋼塊を溶製し、表1に示す化学成分を有する鋼を所定の寸法の棒鋼に鍛伸後、各種熱処理を行い、各種試験に供した。その結果を表2に示す。
(1)硬さ:φ20mm鍛伸−焼なまし材の断面の中周部をHRBで測定した。
(2)冷鍛性:
(a)限界据込率:φ20mm鍛伸−焼なまし材をφ14mm×L21mm(表面仕上げ6.3s以下)に加工して試験片を作製した。この試験片を常温で鍛伸方向に圧縮し、割れが発生するまでの圧縮率を測定して限界据込率とした。
真空誘導炉で100kg鋼塊を溶製し、表1に示す化学成分を有する鋼を所定の寸法の棒鋼に鍛伸後、各種熱処理を行い、各種試験に供した。その結果を表2に示す。
(1)硬さ:φ20mm鍛伸−焼なまし材の断面の中周部をHRBで測定した。
(2)冷鍛性:
(a)限界据込率:φ20mm鍛伸−焼なまし材をφ14mm×L21mm(表面仕上げ6.3s以下)に加工して試験片を作製した。この試験片を常温で鍛伸方向に圧縮し、割れが発生するまでの圧縮率を測定して限界据込率とした。
(b)圧縮変形抵抗:上記φ14mm×L21mm試験片を鍛伸方向に50%圧縮したときの変形抵抗を測定した。
(c)冷鍛仕上肌:上記φ14mm×L21mm試験片を50%圧縮し、このときの表面肌を観察し、表面に深さ0.1mm以上のシワ状肌が生じたものを×とし、その他を○とした。
(c)冷鍛仕上肌:上記φ14mm×L21mm試験片を50%圧縮し、このときの表面肌を観察し、表面に深さ0.1mm以上のシワ状肌が生じたものを×とし、その他を○とした。
(3)被削性:φ15mm鍛伸−焼なまし材の鍛伸方向に一定推力、一定周速でドリル穿孔し、深さ10mm穿孔するのに要する時間を測定した。ドリル試験条件は以下の通り。 ドリル:SKH51、φ5mm、ストレートドリル
推力:414N
周速:18.7m/min
切削油:なし。
推力:414N
周速:18.7m/min
切削油:なし。
(4)耐食性:φ20mm鍛伸−焼なまし材をφ12mm×L21mmに加工して試験片を作製し、表面を#600エメリーペーパーで研磨後、孔食試験に供した。
孔食試験条件:25℃の6%NaCl+0.5%H2 O2 溶液に試験片を24h浸漬し、単位面積当たりの腐食減量を測定した。
孔食試験条件:25℃の6%NaCl+0.5%H2 O2 溶液に試験片を24h浸漬し、単位面積当たりの腐食減量を測定した。
表2に示すように、No.1〜14は本発明例であり、No.15〜25は比較例である。比較例No.15はC含有量が高く、Ti/(C+N)が低いために硬さが高く、冷間圧縮変形抵抗が大きい上、冷鍛仕上肌も悪く、耐食性も悪い。比較例No.16はSi含有量が高いために硬さが高く被削性と冷鍛性が劣る。比較例No.17はMn含有量が高く、比較例No.16と同様に被削性と冷鍛性が劣る。比較例No.18はP含有量が高いために、限界据込率が低い。比較例No.19はS含有量が低いために被削性が悪い。比較例No.20はSが高いために、限界据込率が低く、かつ耐食性が悪い。
比較例No.21はCr含有量が低いために、本発明範囲と比べて著しく耐食性が悪い。比較例No.22は、Cr含有量が高いために硬く、かつ圧縮変形抵抗が高い。比較例No.23は、Ti含有量が低く、Ti/Sが低いために耐食性と限界据込率が低い上、かつTi/(C+N)も低いために冷鍛仕上肌が悪い。比較例No.24は、Ti含有量が高く、Tiが過剰であるために、逆に靱性が低下し、限界据込率が低くなっている。比較例No.25は、N含有量が高いために、冷鍛仕上肌が悪い。これに対し、本発明例であるNo.1〜14の場合はいずれの特性にも優れていることが判る。
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.035%以下、
Si:2.00%以下、
Mn:2.00%以下、
P:0.100%以下、
S:0.060〜0.350%、
Cr:10.00〜30.00%、
Ti:0.20〜1.50%、
N:0.030%以下、
残部Feおよび不可避的不純物からなり、質量比でTi/S:3.2〜5.5、Ti/(C+N):8〜25であることを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 請求項1に加えて、
Ni:2.00%以下、
Mo:3.00%以下、
Cu:2.00%以下、
Co:2.00%以下、
の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 請求項1または2に加えて、
Nb:1.00%以下、
Ta:1.00%以下、
V:1.00%以下、
W:1.00%以下、
の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 請求項1〜3に加えて、
Se:0.30%以下、
Te:0.30%以下、
Sn:0.30%以下、
Ca:0.030%以下、
O:0.030%以下、
Pb:0.30%以下、
Bi:0.30%以下、
の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 請求項1〜4に加えて、
Al:0.10%以下、
Mg:0.010%以下、
B:0.010%以下、
REM:0.010%以下、
の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004001689A JP2005194572A (ja) | 2004-01-07 | 2004-01-07 | 冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004001689A JP2005194572A (ja) | 2004-01-07 | 2004-01-07 | 冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005194572A true JP2005194572A (ja) | 2005-07-21 |
Family
ID=34817136
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004001689A Withdrawn JP2005194572A (ja) | 2004-01-07 | 2004-01-07 | 冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005194572A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019124690A1 (ko) * | 2017-12-20 | 2019-06-27 | 주식회사 포스코 | 확관 가공성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
WO2022124587A1 (ko) * | 2020-12-09 | 2022-06-16 | 주식회사 포스코 | 용접부 내식성이 향상된 고강도 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
WO2022124586A1 (ko) * | 2020-12-09 | 2022-06-16 | 주식회사 포스코 | 입계 부식특성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 |
-
2004
- 2004-01-07 JP JP2004001689A patent/JP2005194572A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019124690A1 (ko) * | 2017-12-20 | 2019-06-27 | 주식회사 포스코 | 확관 가공성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
WO2022124587A1 (ko) * | 2020-12-09 | 2022-06-16 | 주식회사 포스코 | 용접부 내식성이 향상된 고강도 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
KR20220081557A (ko) * | 2020-12-09 | 2022-06-16 | 주식회사 포스코 | 용접부 내식성이 향상된 고강도 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
WO2022124586A1 (ko) * | 2020-12-09 | 2022-06-16 | 주식회사 포스코 | 입계 부식특성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 |
KR102443422B1 (ko) | 2020-12-09 | 2022-09-16 | 주식회사 포스코 | 용접부 내식성이 향상된 고강도 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5072285B2 (ja) | 二相ステンレス鋼 | |
CN102741440B (zh) | 淬火用钢材及其制造方法 | |
EP2138597A1 (en) | Hot-worked steel material having excellent machinability and impact value | |
JP2009046759A (ja) | 二相ステンレス鋼管の製造方法 | |
JP2010007143A (ja) | 疲労限度比と被削性に優れた機械構造用鋼 | |
JP4986203B2 (ja) | 工具寿命に優れたbn快削鋼 | |
JP4451808B2 (ja) | 疲労特性と耐結晶粒粗大化特性に優れた肌焼用圧延棒鋼およびその製法 | |
JP5142601B2 (ja) | 高硬度・非磁性の快削ステンレス鋼 | |
JP4384592B2 (ja) | 高温浸炭特性と熱間鍛造性に優れた浸炭用圧延鋼材 | |
RU2381295C2 (ru) | Сталь для деталей машин, способ изготовления деталей машин из этой стали и изготовленные детали машин | |
JP4847681B2 (ja) | Ti含有肌焼き鋼 | |
JP2004502867A (ja) | 強磁性部品に使用可能なフェライトステンレス鋼 | |
JP2010132998A (ja) | 高強度及び冷鍛性に優れた高耐食フェライト系ステンレス鋼の製造方法 | |
JP2009287111A (ja) | 機械構造用鋼 | |
WO2022153790A1 (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼材及びその製造方法 | |
JP3703008B2 (ja) | 快削ステンレス鋼 | |
JP2008106306A (ja) | フェライト系快削ステンレス鋼 | |
JP5443277B2 (ja) | 被削性に優れた高強度鋼、およびその製造方法 | |
JP2005194572A (ja) | 冷鍛性に優れたフェライト系ステンレス鋼 | |
JP6776469B1 (ja) | 二相ステンレス鋼とその製造方法 | |
JP7323791B2 (ja) | 浸炭歯車用鋼、浸炭歯車及び浸炭歯車の製造方法 | |
JP3791664B2 (ja) | オーステナイト系Ca添加快削ステンレス鋼 | |
JP2012001765A (ja) | ステアリングラックバー用棒鋼およびその製造方法 | |
JP2007302972A (ja) | 時効硬化特性に優れた高強度非磁性ステンレス鋼板及びその製造方法 | |
JP2005105390A (ja) | 高温浸炭用鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070403 |