JP2005194192A - (4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸誘導体およびこれを用いたインテグリンαvβ3阻害剤の製造法 - Google Patents

(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸誘導体およびこれを用いたインテグリンαvβ3阻害剤の製造法 Download PDF

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稔 石川
Masaki Tsushima
正樹 津島
Hiroshi Yamada
拓 山田
Masaru Kubota
大 窪田
Yumiko Yanagisawa
由美子 柳沢
Yukiko Hiraiwa
由起子 平岩
Shokichi Ouchi
章吉 大内
Naomichi Anzai
直道 安西
Keiichi Ajito
慶一 味戸
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Abstract

【課題】インテグリンαvβ3 阻害剤を高価な原料を用いることなく、また安全性が高く穏和な条件で、より短い反応工程で製造する方法を提供する。
【解決手段】合成中間体である3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステルを経由し、安全性が高く穏和な条件で、さらに従来の製造法と比較してより短い反応工程で目的とするインテグリンαvβ3阻害剤である、(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸を提供することができる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インテグリンαvβ3阻害剤の合成中間体である3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸アルキルエステル、これを用いた(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インテグリンαvβ3は多くの種類の細胞外マトリックス、即ちビトロネクチン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、オステオポンチン、トロンボスポンジン、フォンビルブラント因子、およびコラーゲンなど生体機能あるいは疾病の発症などに深く関与するリガンドと結合し複合体を形成することから、創薬の標的として考えられており、今日までに様々な低分子のインテグリンαvβ3阻害剤が報告されている。これらの中で、フェニルピペリジン誘導体(WO9952872)は、強い活性を示し、インテグリンαIIbβ3阻害活性も併せ持つ化合物であり、医薬品としての開発が望まれている。これらの化合物の化学構造に関してはWO9952872に開示されており、そのin vivo有用性に関してはWO0154726に開示されている。また、これらのフェニルピペリジン誘導体は、フルオロベンゼンとの求核置換反応を第一工程として、合成中間体(XII)を経由して工程図1に示す合成経路で製造される。
【0003】
【化2】
Figure 2005194192
【0004】
しかし、これらの誘導体を工業的に製造する場合、工程図1に示した製造法には次のような問題があった。(1)出発原料であるフルオロベンゼンおよび4−ヒドロキシピペリジンが高価である。(2)式(XI)で表される化合物を製造するには、110℃以上の過酷な反応条件で求核置換反応を行う必要がある。(3)式(XI)で表される化合物を式(VII)で表される化合物に誘導するには、操作上安全が危惧されるアジド中間体またはジエチルアゾジカルボキシラートの様なジアゾ化合物を用いている。(4)アミン体(XII)を製造するには、3〜4工程の比較的長い反応工程を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の製造法に比較して、高価な原料を用いることなく、また安全性の高い穏和な反応条件で、さらに、より短い反応工程でフェニルピペリジン誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、4−ニトロ安息香酸誘導体に、1、5−ジクロロペンタン−3−オンを反応させて得られる3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステルを合成中間体とすることを特徴とする、フェニルピペリジン誘導体の製造法を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 下記の一般式(I)で表される化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物
【化3】
Figure 2005194192
[式中、R1は C1 - 6アルキル基、 C1 - 6アルコキシ基、フッ素原子、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、または水酸基であり、 C1 - 6アルキル基および C1 - 6アルコキシ基はハロゲン原子、 C1 - 6アルコキシ基、保護されていてもよいアミノ基、または水酸基で置換されていてもよく、n=1〜4の整数であり、nが2以上の時は、 R1は同一であっても、それぞれ異なっていてもよく、R2はCO2R3(R3は水素原子、C1 - 6アルキル基、アラルキル基を表す。)、保護されていてもよいヒドロキシメチル基、またはニトリル基を表す。]
(2)R1がメトキシ基であり、R2がCO2R3(R3はC1 - 6アルキル基を表す。)であり、n=1である、請求項1記載の化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物
(3)3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル、3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸エチルエステル、より選ばれる化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物
(4)4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステルに、1、5−ジクロロペンタン−3−オンを反応させて得られる3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステルを合成中間体とすることを特徴とする、(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸の製造法
に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、基または基の一部としての「 C1 - 6アルキル」および「C1 - 6アルコキシ」という語は、基が直鎖状、分枝鎖状、または環状の炭素数1〜6のアルキルおよびアルコキシを意味する。
C1 - 6アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、 i-プロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、i -ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
C1 - 6アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、 n-プロポキシ、 i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシなどが挙げられる。また、基または基の一部としての「アラルキル」という語は、不飽和の5〜7員環炭素環式基により置換されたC1 - 6アルキルを意味する。アラルキル基の例としてはベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基およびフェネチル基などが挙げられる。
【0009】
本発明の請求項1〜3に記載した化合物は、それらの塩または溶媒和物とすることができる。好ましい塩としては塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルキルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩などの有機酸塩およびグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などを挙げることができる。また好ましい溶媒和物とは水和物、エタノール和物などを挙げることができる。
【0010】
本発明による、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸を原料とした(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸の製造法を、以下の工程図2に示す。
【0011】
【化4】
Figure 2005194192
【0012】
式(V)で表される化合物の製造
式(III)で表される化合物は、式(II)で表される化合物のカルボキシル基およびフェノール性水酸基のメチル化を行い、次いでニトロ基を還元することにより得ることができる。還元の方法は慣例方法に従って行うことができる。具体的には、パラジウム炭素、ルテニウム炭素、ロジウム炭素、酸化パラジウム、酸化白金、酸化ルテニウム、酸化白金ロジウム錯体、酸化アルミニウムロジウム錯体、ラネーニッケル、パラジウム黒などを触媒に用いた接触還元を行ってもよく、鉄、亜鉛、スズ、塩化スズなどの金属を用いてもよい。
式(IV)で表される化合物は、例えばJ. Chem. Soc., 1164, 1952に記載された方法、またはそれに準じた方法により得ることができる。
式(V)で表される化合物は、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物を水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレン、酢酸エチルなどの溶媒中、0〜100℃で、1〜24時間反応させることで製造される。必要に応じてp−トルエンスルホン酸などの酸触媒(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1., 191, 1997,)または、炭酸ナトリウムのような塩基触媒を加えても良い。また、式(III)で表される化合物の代わりに、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、水酸基およびフッ素原子で置換されたアニリン誘導体を原料として用い、同様の環化反応を行うことにより、一般式(I)で表される化合物を製造することができる。
また、式(V)で表される化合物は、Org. Lett., 1(8), 1261, 1999に記載された方法、またはそれに準じた方法により、N, N-ジアルキル-4-オキソピペリジニウム塩と式(III)で表される化合物を反応させることによっても製造することができる。
【0013】
(VI) で表される化合物の製造
式(V)で表されるケトン体から還元的アミノ化反応により、式(VI)で表される化合物を製造することができる。還元的アミノ化反応は例えば式(V)で表される化合物をアンモニア、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの窒素源と共に、還元的アミノ化反応に不活性な溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、水など)を単独であるいは混合して用いてイミンを形成し、得られたイミンを水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて還元するか、パラジウム炭素、パラジウム黒、酸化白金などの金属触媒を用いた水素添加反応により還元すれば良い。この際、チタンテトライソプロポキシドなどのルイス酸を加えても良い。
また、式(VI)で表される化合物は、ヒドロキシムを経由する還元的アミノ化反応によっても製造することができる。具体的には、式(V)で表される化合物をヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン塩酸塩と共に反応に不活性な溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、水など)中で、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて還元するか、パラジウム炭素、パラジウム黒、酸化白金などの金属触媒を用いた水素添加反応により還元することにより、式(VI)で表される化合物を製造することができる。
また、式(VI)で表される化合物は、式(V)で表される化合物より還元的アミノ化反応を含む2工程を経て製造することも可能である。この場合、窒素源として、ベンジルアミン、パラメトキシベンジルアミンなどを用いて還元的アミノ化反応を行い、後にベンジル基、またはパラメトキシベンジル基などを水素添加反応などにより除去すれば、式(VI)で表される化合物を製造することができる。
【0014】
化合物 (VII) の製造法
式(VII)で表される化合物はWO9952872に記載された方法により製造することができる。式(VI)で表される化合物に2−ブロモピリミジンまたは2−クロロピリミジンなどの試薬を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジオキサンなどの反応溶媒の存在下、20℃〜120℃で反応させることによりピリミジン環を導入することができる。この際、塩基として、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの有機塩基または炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの無機塩基を加えることが好ましい。
この化合物のカルボン酸エステルを通常の方法により加水分解して式(VII)で表される化合物を製造できる。
【0015】
(X) で表される化合物の製造法
式(VIII)で表される化合物は、対応するカルボン酸(2S)−ベンゼンスルホニル−2,3−ジアミノプロピオン酸を通常の方法により、例えばベンジルアルコールとp−トルエンスルホン酸などの酸と共に反応に不活性な溶媒(トルエンあるいはベンゼン)中で、還流下で脱水する方法により、あるいはベンジルハライドと炭酸セシウムなどの塩基を作用させる方法により、あるいはベンジルアルコールとDCCなどの縮合剤を作用させる方法などによりベンジルエステルに変換することにより、製造することができる。また、ベンジルエステル以外のエステル、例えばベンズヒドリルエステル(WO0110844)、トリチルエステルなどを用いても本製造法は有効である。特にt−ブチルエステルを用いての有用性、実施例に関してはWO9952872に記載されている。
式(IX)で表される化合物は式(VII)および式(VIII)でそれぞれ表される化合物を用いてWO9952872に記載された方法により製造することができる。
式(X)で表される化合物はパラジウム炭素、ルテニウム炭素、ロジウム炭素、酸化パラジウム、酸化白金、酸化ルテニウム、酸化白金ロジウム錯体、酸化アルミニウムロジウム錯体、ラネーニッケル、パラジウム黒などを触媒とし、水素雰囲気下、塩酸、酢酸などの酸共存下、還元反応に不活性な溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水、ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、酢酸エチルなど)中で、式(IX)で表される化合物を還元することにより、製造することができる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって詳しく説明するが、実施例に例示する反応経路、反応の種類、反応に用いる試薬、反応に用いる溶媒などは全てがその一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。特に、実施例3に示される化合物以外の類似するフェニルピペリジン誘導体の製造にもこれらが応用できることは自明である。
また、目的化合物あるいはそれらの塩の形態についても、実施例に例示されている形態に限定されるものではない。
【0017】
実施例1 3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル
3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(950 g, 5.19 mol)にDMF(9.5 L)を加え溶解し、更に炭酸カリウム(1.44 kg, 10.5 mol)を加え、懸濁した。ヨウ化メチル(2.20 kg, 15.5 mol)を加え、25℃〜30℃で22時間撹拌した。反応終了後、25℃以下に保ちながら反応懸濁液を13℃の水(17 L)にゆっくり加えた。得られた沈殿を濾取し、水(6.8 L)で洗浄し、乾燥して3−メトキシ−4−ニトロ安息香酸メチルエステル(1.04 kg, 4.92 mol)を得た。
3−メトキシ−4−ニトロ安息香酸メチルエステルの理化学的性状
(1)色および形状:淡黄色固体
(2)分子式:C9H9NO5
(3)マススペクトル(EIMS): m/z 211 M+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 3.97 (3H, s, OMe), 4.02 (3H, s, OMe), 7.70 (1H, dd, C6H3), 7.76 (1H, d, C6H3), 7.84 (1H, d, C6H3)
【0018】
3−メトキシ−4−ニトロ安息香酸メチルエステル(1.00 kg, 4.74 mol)にジオキサン(5.0 L)とメタノール(5.0 L)を加え溶解した。窒素置換した反応容器に、予め水(1.0 L)に懸濁した10%パラジウム炭素(wet)(ドライとして50.0 g)を加え、水素1気圧下、35℃〜45℃で12時間激しく撹拌した。触媒を濾過後、ジオキサンとメタノールの1:1混合溶媒(2.0 L)で洗浄し、濾液と洗液を合わせて残量2.0 Lまで減圧濃縮した。この懸濁液に水(6.7 L)を加えた。得られた固体を濾取し、水(5.0 L)で洗浄して乾燥して4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(811 g, 4.48 mol)を得た。
4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(式(III)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:淡黄色固体
(2)分子式:C9H11NO3
(3)マススペクトル(EIMS): m/z 181 M+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 3.86 (3H, s, OMe), 3.90 (3H, s, OMe), 6.66 (1H, d, C6H3), 7.46 (1H, d, C6H3), 7.55 (1H, dd, C6H3)
【0019】
3−クロロプロピオン酸クロリド(1.40 kg, 11.0 mol)に塩化メチレン(1.7 L)を加え溶解し、-30℃に冷却した。塩化アルミニウム(1.87 kg, 14.3 mol)を0℃を越えないようにゆっくり加え、エチレンガスを吹き込みながら10℃〜20℃で6時間撹拌した。予め4℃に冷却した水(5.8 L)、濃塩酸(470 ml)、塩化メチレン(1.4 L)の混合液に、13℃以下に保ちながら反応混合物をゆっくり注いだ。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(1.4 L)で2度洗浄した。合わせた有機層を水(1.6 L)で1回、水(3.0 L)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム(310 g)を用いて乾燥し、減圧濃縮して1,5−ジクロロペンタン−3−オン(1.74 kg)(式(IV)で表される化合物)を得た。
【0020】
4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(804 g, 4.44 mol)にメタノール(8.0 L)を加えて懸濁し、60℃に昇温して溶解した。1,5−ジクロロペンタン−3−オン(1.44 kg, 9.28 mol)を加え、4時間撹拌した。反応混合物を水(16 L)に注ぎ、不溶物をセライトを用いてろ過した。残量が8.5 Lになるまで濾液を減圧濃縮し、反応中に副生したジメチルアセタール体を加水分解した。得られた水溶液に活性炭(80 g)を加え、50℃の水浴中で30分撹拌した。活性炭を濾過後、水(2.0 L)で洗浄した。濾液と洗液を合わせた水溶液に、炭酸水素ナトリウム(1.14 kg, 13.6 mol)を加え、pH7.0に調整した。得られた固体を濾取、水(3.2 L)で洗浄して乾燥し3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル(1.01 kg, 3.84 mol)を得た。
3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル(式(V)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C14H17NO4
(3)マススペクトル(EIMS): m/z 263 M+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 2.64 (4H, t, piperidine), 3.46 (4H, t, piperidine), 3.90 (3H, s, OMe), 3.96 (3H, s, OMe),
6.94 (1H, d, C6H3), 7.56 (1H, d, C6H3), 7.65 (1H, dd, C6H3)
【0021】
実施例2 3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸エチルエステル
4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(1.19 g, 6.55 mmol)にエタノール(20 ml)を加えて懸濁し、60℃に昇温して溶解した。1,5−ジクロロペンタン−3−オン(1.50 g, 9.70 mmol)を加え、15時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、酢酸エチル(20 ml)および2.5%炭酸水素ナトリウム水溶液(60 ml)を加え、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(15 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣を2−プロパノール(10 ml)を加えて4時間撹拌した。得られた結晶を濾取し、2−プロパノールで洗浄し、3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸エチルエステル(483 mg, 1.76 mmol) を得た。
3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸エチルエステルの理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C15H19NO4
(3)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 1.39 (3H, t, Et), 2.64 (4H, t, piperidine), 3.46 (4H, t, piperidine), 3.97 (3H, s, OMe), 4.37(2H, q, Et), 6.94 (1H, d, C6H3), 7.56 (1H, d, C6H3), 7.66 (1H, dd, C6H3)
【0022】
実施例3 (2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸
3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル(16.0 mg, 0.0608 mol)にメタノール(0.5 ml)を加え溶解した。窒素置換した反応容器に、10%パラジウム炭素(4.8 mg)を加え、更に28%アンモニア水(0.1 ml)を加えた。反応液を水素1気圧下、室温で15時間激しく撹拌した。触媒を濾過し、メタノールで洗浄した。濾液と洗液を合わせて減圧濃縮した。得られた残渣を分離用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:メタノール:濃アンモニア水=9:1:0.3)で精製して4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(13.9 mg, 0.0529 mmol)及び副生成物(2.4 mg, 0.00486 mmol)を得た。
4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(式(VI)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C14H20N2O3
(3)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 1.57 (2H, dq, piperidine), 1.95 (2H, br d, piperidine), 2.70 (2H, dt, piperidine), 2.82 (1H, tt, piperidine), 3.57 (2H, br d, piperidine), 3.88 (3H, s, OMe), 3.92 (3H, s, OMe), 6.91 (1H, d, C6H3), 7.50 (1H, d, C6H3), 7.65 (1H, dd, C6H3)
【0023】
4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(式(VI)で表される化合物)の別途製造法1
3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル(41.3 g, 157 mmol)にメタノール(500 ml)を加え懸濁し、4℃に冷却した。ベンジルアミン(25 ml, 229 mmol)を加え、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(67.3 g, 317 mmol)を加え、10℃以下で2.5時間撹拌した。反応混合物に5℃で1 M塩酸(500 ml)を加え、更に濃塩酸(200 ml)を加えた。析出した固体を濾取して、酢酸エチル(400 ml)で洗浄して乾燥して4−(4−ベンジルアミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル塩酸塩(64.7 g, 97%)を得た。
4−(4−ベンジルアミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル塩酸塩の理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C21H26N2O3
(3)マススペクトル(FABMS): m/z 355 (M+H)+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, CD3OD)(塩酸塩として)δ (ppm): 2.40 (2H, br q, piperidine), 2.56 (2H, br d, piperidine), 3.75 (3H, m, piperidine), 3.89 (2H, br d, piperidine), 3.94 (3H, s, OMe), 4.09 (3H, s, OMe), 4.35 (2H, s, CH2C6H5), 7.47 (3H, m, C6H3 or C6H5), 7.60 (2H, m, C6H3 or C6H5), 7.80 (3H, m, C6H3 or C6H5)
【0024】
4−(4−ベンジルアミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル塩酸塩(642 mg, 1.50 mmol)を塩化メチレン(25 ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40 ml)で洗浄した。分離した水層を塩化メチレン(10 ml)で抽出して、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濃縮して4−(4−ベンジルアミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(468 mg, 1.32 mmol)を得た。本化合物(52.3 mg, 0.148 mmol)をメタノール(1.0 ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(5.9 mg)を加えた。反応混合物を水素1気圧下15時間撹拌した。反応液を濾過し、濃縮して4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(38.9 mg, 0.147 mmol)を得た。
【0025】
4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(式(VI)で表される化合物)の別途製造法
3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル(99.0 mg, 0.376 mmol)にジオキサン(2 ml)を加え溶解した。塩化ヒドロキシルアンモニウム (29.6 mg, 0.414 mmol)と水(0.1 ml)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応液にメタノール(0.1 ml)を加え、ヒドロキシム体を単離することなく、次の還元反応に用いた。反応液に酸化白金(10 mg)を加え、水素1気圧下、室温にて20時間激しく撹拌した。触媒を濾過し、メタノールで洗浄した。濾液と洗液を合わせ減圧濃縮した。得られた残渣を塩化メチレン(10 ml)に希釈し、水(20 ml×2)にて抽出した。水層に2M炭酸カリウム水溶液(10 ml)を加え、酢酸エチル(20 ml×2)にて抽出した。有機層を合わせて減圧濃縮し、4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(89.0 mg, 0.337 mmol)を得た。
【0026】
4−(4−アミノピペリジン−1−イル)−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(270 g, 1.02 mol)にブタノール(1.35 L)を加え溶解し、2−クロロピリミジン(117 g, 1.02 mol)および炭酸水素ナトリウム(171 g, 2.04 mol)を加え懸濁した。反応混合物を100℃〜110℃で27時間撹拌した後、50℃まで冷却して、メタノール(2.7 L)を加えた。この懸濁液を水(13.5 L)に注いだ。得られた固体を濾取し、水(1.0 L)で洗浄し、乾燥して3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸メチルエステルと3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸ブチルエステルの混合物(297 g, 0.867 mol)を得た。
3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸メチルエステルの理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C18H22N4O3
(3)マススペクトル(ESIMS): m/z 343 (M+H)+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 1.75 (2H, dq, piperidine), 2.20 (2H, br d, piperidine), 2.86 (2H, ddd, piperidine), 3.58 (2H, br d, piperidine), 3.89 (3H, s, CO2Me), 3.93 (3H, s, C6H3OMe), 4.02
(1H, m, piperidine), 6.54 (1H, t, pyrimidine), 6.94 (1H, d, C6H3CO), 7.51 (1H, d, C6H3CO), 7.64 (1H, dd, C6H3CO), 8.29 (2H, d, pyrimidine)
【0027】
3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸メチルエステル(290 g, 0.847 mol)にメタノール(1.45 L)を加え溶解し、1.2 M 水酸化ナトリウム水溶液(1.45 L)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応溶液を残量1.45 Lまで減圧濃縮し、水(580 ml)を加え、更に残量1.4 5 Lまで減圧濃縮した。得られた残渣に7℃〜10℃で2 M塩酸(855 ml)を加えpH4.5に調整した。この混合物に水(595 ml)を加えた。生じた沈殿を濾取し,水(600 ml)で洗浄後乾燥して、3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸(272 g, 0.828 mol)を得た。
3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸(式(VII)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C17H20N4O3
(3)マススペクトル(ESIMS): m/z 329 (M+H)+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, DMSO-d 6)δ (ppm): 1.64 (2H, dq, piperidine), 1.93 (2H, br d, piperidine), 2.70 (2H, br t, piperidine), 3.50 (2H, br d, piperidine), 3.83 (3H, s, C6H3OMe), 3.85 (1H, m, piperidine), 6.55 (1H, t, pyrimidine), 6.93 (1H, d, C6H3CO), 7.41 (1H, d, C6H3CO), 7.49 (1H, dd, C6H3CO), 8.27 (2H, d, pyrimidine)
【0028】
(2S)−N−ベンゼンスルホニル−2、3−ジアミノプロピオン酸(3.00 g, 12.3 mmol)にトルエン(22 ml)を加え懸濁し、ベンジルアルコール(12.7 ml, 123 mmol)およびp-トルエンスルホン酸水和物(2.57 g, 12.9 mmol)を加えてDean-Starkで脱水しながら7時間還流した。反応混合物に1 M塩酸(40 ml)を加え、ヘキサン(40 ml)で3回洗浄した。得られた水層を4℃に冷却し、水酸化ナトリウムを用いてpH9.0に調整した。この混合物を酢酸エチル(40 ml)で3回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥して減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン−メタノール=7:1)で精製して、(2S)−N−ベンゼンスルホニル−2、3−ジアミノプロピオン酸ベンジルエステル(3.99 g, 11.9 mmol)を得た。
(2S)−N−ベンゼンスルホニル−2、3−ジアミノプロピオン酸ベンジルエステル(式(VIII)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:無色アモルファス
(2)分子式:C16H18N2O4S
(3)1H NMRスペクトル(400 MHz, CD3OD)δ (ppm): 2.98 (1H, dd, CONHCH 2CH), 3.05 (1H, dd, CONHCH 2CH), 3.96 (1H, dd, CONHCH2CH), 4.97 (2H, s, CH 2C6H5) , 7.20 (2H, m, CH2C6 H 5), 7.35 (3H, m, CH2C6 H 5), 7.45 (2H, t, SO2C6 H 5), 7.55 (1H, t, SO2C6 H 5), 7.83 (2H, m, SO2C6 H 5)
【0029】
3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}安息香酸(12.6 mg, 0.0385 mmol)にジメチルホルムアミド(0.5 ml)を加え懸濁し、(2S)−N−ベンゼンスルホニル−2、3−ジアミノプロピオン酸ベンジルエステル(11 .7 mg, 0.0350 mmol)とジイソプロピルエチルアミン(7.3 μl, 0.0420 mmol)を加え4℃に冷却した。ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(18.6 mg, 0.0420 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム(10 ml)を加えて反応を止め、酢酸エチル(20 ml)で3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水(5 ml)と水(5 ml)の混合溶液で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣を分離用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=1:4)で精製して、(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル(15.9 mg, 0.0247 mmol)を得た。
(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル(式(IX)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:無色オイル
(2)分子式:C33H36N6O6S
(3)1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)δ (ppm): 1.76 (2H, br dq, piperidine), 2.20 (2H, br d, piperidine), 2.84 (2H, br t, piperidine), 3.54 (2H, br d, piperidine), 3.66 (1H, ddd, CONHCH 2CH), 3.89 (1H, m, CONHCH 2CH) , 3.92 (3H, s, C6H3OMe), 4.01 (1H, m, piperidine), 4.11 (1H, m, CONHCH2CH), 5.02 (2H, dd, CH 2C6H5), 6.53 (1H, t, pyrimidine), 6.91 (1H, d, C6H3CO), 7.21 (3H, m, CH2C6 H 5), 7.31 (3H, m, CH2C6 H 5 and C6H3CO), 7.36
(1H, d, C6H3CO), 7.43 (2H, br t, SO2C6 H 5), 7.53 (1H, br t, SO2C6 H 5), 7.83 (2H, m, SO2C6 H 5), 8.29 (2H, d, pyrimidine)
【0030】
(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル(11.0 mg, 0.0171 mmol)にジオキサン(0.2 ml)を加え溶解し、10% パラジウム炭素(11 mg)および酢酸(4.9 μl, 0.0853 mmol)を加え水素1気圧下室温で24時間激しく撹拌した。不溶物を濾過した後、メタノール(2 ml)で洗浄し、濾液と洗液を合わせ減圧濃縮した。得られた残渣を分離用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン−エタノール−水−濃アンモニア水=8:8:1:1)で精製して、次いでセファデックスLH−20(展開溶媒:メタノール)で精製して、(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸(6.1 mg, 0.0109 mmol) を得た。
(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸(式(X)で表される化合物)の理化学的性状
(1)色および形状:無色固体
(2)分子式:C26H34N6O6S
(3)マススペクトル(FABMS): m/z 559 (M+H)+
(4)1H NMRスペクトル(400 MHz, CD3OD)δ (ppm): 1.68 (2H, br dq, piperidine), 1.96 (2H, quintet, tetrahydropyrimidine), 1.99 (2H, m, piperidine), 2.72 (2H,br t,piperidine), 3.37 (4H, t, tetrahydropyrimidine), 3.45 (3H, m, piperidine), 3.56 (1H, dd, CONHCH 2CH), 3.68 (1H, dd, CONHCH 2CH), 3.75 (1H, dd, CONHCH2CH), 3.91 (3H, s, C6H3OMe), 6.95 (1H, d, C6H3CO), 7.39 (1H, dd, C6H3CO), 7.43 (1H, d, C6H3CO), 7.48 (2H, dt, C6 H 5), 7.55 (1H, br t, C6 H 5), 7.87 (2H, m, C6 H 5)
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、インテグリンαvβ3阻害剤の合成中間体となる3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸アルキルエステルを得ることができる。また、これを用いて、インテグリンαvβ3阻害剤である(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸を、従来の製造法に比較して安全性の高い穏和な反応条件で、安価に、かつ短い反応工程で製造することができる。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(I)で表される化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物。
    Figure 2005194192
    [式中、R1は C1 - 6アルキル基、 C1 - 6アルコキシ基、フッ素原子、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、または水酸基であり、 C1 - 6アルキル基および C1 - 6アルコキシ基はハロゲン原子、 C1 - 6アルコキシ基、保護されていてもよいアミノ基、または水酸基で置換されていてもよく、n=1〜4の整数であり、nが2以上の時は、 R1は同一であっても、それぞれ異なっていてもよく、R2はCO2R3(R3は水素原子、C1 - 6アルキル基、アラルキル基を表す。)、保護されていてもよいヒドロキシメチル基、またはニトリル基を表す。]
  2. R1がメトキシ基であり、R2がCO2R3(R3はC1 - 6アルキル基を表す。)であり、n=1である、請求項1記載の化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物。
  3. 3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステル、3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸エチルエステル、より選ばれる化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物。
  4. 4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステルに、1、5−ジクロロペンタン−3−オンを反応させて得られる3−メトキシ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)安息香酸メチルエステルを合成中間体とすることを特徴とする、(2S)−ベンゼンスルホニルアミノ−3−[3−メトキシ−4−{4−(1、4、5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−イル}ベンゾイルアミノ]プロピオン酸の製造法。
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