JP2005194142A - 無機質板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水硬性無機質材料と、ガラス質材料と、骨材と、補強繊維とを主成分とした原料混合物に水を5〜15質量%の範囲で添加し、散布作業性を向上せしめる。
Description
上記無機質板は上記無機質原料を水と混練し、該混練物を押出成形等によって成形し、養生硬化せしめた上で焼成することによって製造されている(例えば特許文献1,2,3参照)。
焼成温度を低く設定すれば、これらの欠陥は幾分かは解消されるであろうが、低温焼成では成形体内の無機質材料の溶融が充分行われないために強度や耐久性が劣化すると云う問題点がある。また更に無機質板表面にはエンボス加工によって凹凸模様を付して意匠性を付与することが行われているが、深い凹凸模様を付すと、凹部分と凸部分では圧縮比が大きく異なり、その結果板に密度の高低が生じ、上記欠陥は更に著しくなる。
該原料混合物中には該水硬性無機質材料は15〜30質量%、該ガラス質材料は15〜30質量%、該骨材は20〜45質量%、該補強繊維は15〜25質量%含有されていることが望ましく、更に該水硬性無機質材料はスラグおよび石灰類であり、該ガラス質材料は軟化温度が900℃以下の低融点ガラスであり、該骨材はシャモットであり、該補強繊維はワラストナイトおよびセラミック繊維であることが望ましい。また該石灰類は消石灰であり、該原料混合物中スラグは15〜25質量%、消石灰は該スラグの添加量に対して5〜15質量%、該原料混合物中にワラストナイトは5〜20質量%、セラミック繊維は5〜10質量%添加されていることが望ましく、更に該原料混合物中には木質セメント板廃材粉砕物および/または可燃性有機成分が5〜35質量%添加されていてもよい。
本発明にあっては、原料混合物中に補強繊維として吸水性が小さいセラミック繊維とワラストナトとを使用するから、水分添加量は水硬性無機質材料の水和硬化に必要な量にとどめることが出来、原料混合物を型板上に均一に散布することが出来る。水分添加量を低く設定するとフォーミングされるマットの結着力が不足しばらばらになり易いが、本発明では上記補強繊維を添加して均一さを維持しつゝマットの結着力を向上せしめる。
該水硬性無機質材料はスラグおよび石灰類であり、該ガラス質材料は軟化温度が900℃以下の低融点ガラスであり、該骨材はシャモットである場合には、水の添加量を少なくしてもスラグは活性度が高く化学的反応性に富み、円滑に硬化反応を起こすことが出来、焼成温度を低下するためにガラス質材料として低融点のものを使用するが、該スラグは該ガラス質材料とも反応し、該ガラス質材料の本来の融点よりも低い温度で溶融が開始され、水の添加量を少なくすると共に焼成温度を大巾に低下せしめて成形体の膨張収縮を抑制する。
骨材としてシャモットを選択すると、ガラス質材料軟化物の流動が抑制され、焼成時の膨張収縮が抑制される。上記水硬性無機質材料硬化後の含有する水の逃散による縮みは寸法比として約1%、そしてシャモットが原料混合物中に20質量%以上存在する場合には、ガラス質材料軟化物の流動が抑制され、しかも該ガラス質材料は焼成時には若干膨張する傾向にあり、これらの点がバランスして本発明の無機質板は焼成後の収縮率が殆ど0になる。
本発明にあっては、無機質板を生産効率の良い半乾式法によって製造する際、原料混合物中に凝集物や塊りが生成せず、型板に均一に散布することが出来るので、高強度で耐凍結融解性の良好な無機質板を提供することが出来る。
〔水硬性無機質材料〕
本発明の水硬性無機質材料としては、例えば普通ポルトランドセメント、早強セメント、アルミナセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント等のセメント類、高炉スラグ、電気炉酸化スラグ、電気炉還元スラグ等のスラグ、生石灰、消石灰等の石灰類あるいは石膏、炭酸マグネシウム等がある。望ましい水硬性無機質材料としては上記スラグと石灰類特に消石灰との組合わせがある。
上記水硬性無機質材料は、焼成前に生板を硬化せしめることが出来、ある程度強度があり破損しにくい硬化生板とすることが出来、作業性、歩留り等が向上する。
更に本発明では、焼成により溶融してバインダーとなるガラス質材料を添加する。このようなガラス質材料としては、例えばシラス、フライアッシュ、坑火石、ガラス粉、板ガラスの粉砕品、ガラス発泡体、シラスバルーン、パーライト等がある。該ガラス質材料として望ましいものは、軟化点が900℃以下の低融点ガラスであり該低融点ガラスとしては、PbO,B2 O3 ,ZnO等の低融点成分の含有量を多くしたガラスがあり、例えば軟化点840℃、融点1200℃のEガラス粉末は望ましい低融点ガラスである。Eガラス即ちElectrical glassはガラス繊維の粉末のことであり、平均粒径は30μm、主成分はSiO2 54質量%、Al2 O3 15質量%、CaO23質量%、B2 O3 7質量%でありB2 O3 を含有しているので低融点であり、1000℃前後の低温焼成を可能にする。板の軽量化を図るには、パーライト、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、ガラス発泡体等の軽量材料を選択することが好ましい。
更に本発明では、焼成により溶融して板構造の主体的要素となる骨材が添加される。上記骨材としては、例えば陶石、長石、ろう石、カオリン、ハロサイト、木節粘土、蛙目粘土、セリサイト、シャモット、ドロマイト等の粘土質鉱物やケイ砂、ケイ石、珪藻土、キラ、シリカフューム等のケイ酸質原料がある。上記骨材の中で望ましいものはシャモットである。
更に本発明では、焼成による膨張収縮を抑制するために無機繊維が添加されてもよい。上記無機繊維としては、例えばワラストナイト、セピオライト等の鉱物繊維、スチールファイバー、ステンレスファイバー等の金属繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等がある。 望ましい補強繊維としては、セラミック繊維とワラストナイトの組合わせがある。ワラストナイトはアスペクト比(15)が一般の補強繊維と比べて大きいが、焼成体の靱性を向上せしめる作用は不十分であるから、高剛性のセラミック繊維を併用する。セラミック繊維としてはAl2 O3 −SiO2 系セラミック繊維、Al2 O3 −SiO2 −ZrO2 系セラミック繊維があり、繊維の組織としては、非晶性のものや多結晶ムライト質のものがある。該セラミック繊維の繊維長は一般に80μm以下、繊維径は2〜5μmである。ワラストナイトは該セラミック繊維と絡合して分散性を向上せしめ、吸水性が低いので原料混合物の水添加量は水硬性無機質材料の水和硬化に必要な量であればよく、したがって原料混合物への水添加量を5〜15質量%と最小限にすることが出来、原料混合物中に凝集物や塊りが生成することが防止され、原料混合物を型板上に散布する作業性が良好になる。更にワラストナイトは保形性、切断性を改良し、大きなサイズの板の製造を容易にする。ワラストナイトは一般に平均繊維長600μm、平均繊維径40μmのものを使用する。
本発明にあっては、焼成時に焼滅して無機質板に多孔質構造を形成するために可燃性有機成分が添加されてもよい。このような可燃性有機成分としては、例えば木片、木質繊維束、木質パルプ、木毛、木粉等の木質材、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の有機繊維、発泡ポリスチレンビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ等の合成樹脂成分、あるいは木質セメント板廃材等がある。可燃性有機成分のソースとして使用される木質セメント板廃材とは、木片、木質繊維束、木質パルプ、木毛、木粉等の木質補強材と、普通ポルトランドセメント、早強セメント、アルミナセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント等のセメント類や生石灰、消石灰等の石灰類、あるいは石膏、炭酸マグネシウム等の水硬性無機質材料とを主体とする原料混合物を使用し、乾式法、半乾式法、湿式法、押出成形法等で板状に成形した木質セメント板の廃材であるが、製造工程中の端材や、増改築時に発生するこれらの廃材を粉砕して再利用するものである。
上記木質セメント板には上記木質分が通常10〜30質量%含有される。
本発明の原料混合物にあっては、通常該水硬性無機質材料15〜30質量%、ガラス質材料15〜30質量%、骨材20〜45質量%、補強繊維は15〜25質量%程度の比率とされる。骨材が45質量%を上回る量で添加された場合には板の比重が高くなり、軽量化が実施されにくゝ、また逆に強度が低下する傾向になり、かつ加工性も劣化する。一方骨材が20質量%を下回る量で添加された場合には、板の強度が低下しかつ耐凍性も劣化する。更に上記原料に加えて木質セメント板廃材粉砕物および/または可燃性有機成分が使用されてもよい。この場合木質セメント板廃材粉砕物および/または可燃性有機成分の添加量は5〜35質量%程度にすることが望ましい。該木質セメント板廃材粉砕物および/または可燃性有機成分の量が5質量%を下回ると多孔性が充分付与されず、軽量化が実施されない。また該木質セメント板廃材粉砕物および/または可燃性有機成分の量が35質量%を上回ると過度に多孔性になり、機械的強度や耐凍性に劣るようになる。上記水硬性無機質材料としてスラグと石灰質、特に消石灰とを組合わせた場合には、スラグは原料混合物中に15〜25質量%、石灰質はスラグの添加量に対して5〜15質量%とされる。またセラミック繊維とワラストナイトとを組合わせた場合には、ワラストナイトは原料混合物中に5〜20質量%、セラミック繊維とワラストナイトとの合計が15〜25質量%とされる。更にスラグ、Eガラス粉末、シャモットを組合わせた場合には、好ましい質量比率は、スラグ:Eガラス粉末:シャモット=1〜1.75:1〜3.25:1.25〜3である。
本発明の無機質板は半乾式法により製造される。
本発明の無機質板の製造方法としては、原料混合物に水を所定量添加したものを使用する半乾式法が一般に適用される。前記したように本発明では吸水性が低いセラミックス繊維とワラストナイトとを使用するので、水添加量を5〜15質量%と少量にすることが出来る。
本発明の製造方法にあっては、型板上に上記水分含有量の原料混練物を散布して該マットを水分存在下で圧締養生硬化せしめ、得られた無機質板生板を焼成して本発明の無機質板とする。
養生硬化は上記圧締状態で行われ、通常45〜80℃の温度で6〜12時間の条件が採用される。
養生硬化後は解圧脱型し、望ましくは絶乾状態に乾燥させ、実加工等の所定の加工を施す。更に所望なれば該無機質板生板の少なくとも表面に釉薬を塗布する。本発明に使用される釉薬としては、鉛ユウ、フリットユウ、ブリストルユウ、磁器ユウ等の一般的な釉薬が使用される。その後該無機質板生板を焼成炉中に導入して焼成を行う。焼成条件としては、通常1000〜1200℃、10〜30分の条件が採用される。
このようにして製造された無機質板は、通常厚み15〜20mm、比重は1.2〜1.8程度である。
本発明の無機質板にあっては三層構造にされてもよい。無機質板を軽量化のために多孔構造とすると、表面が多孔になり粗面を呈するために意匠的に劣ったものとなるし、表面の凹部にごみが入り込み汚れが付着し易い。更に表面にエンボス加工によって明確な凹凸模様を付すことが困難である。また吸水し易く吸水による内部構造の劣化、更には耐凍結融解性能の劣化の問題もある。
そこで本発明の無機質板において、このような多孔構造を芯層とし、表裏層は多孔でない構造とした三層構造の無機質板とすれば、芯層が多孔質であるから軽量になり、切削加工性および施工性に優れたものとなるが、表裏層は多孔質でなく緻密構造であるから表面平滑で好ましい外観となり、明確なエンボス加工が容易となる。また表裏層によって板内部に水分が侵入することが防止されるので、内部構造が劣化しにくゝ耐久性のある耐凍結融解性能に優れた板になる。
以下に本発明の実施例を示す。
表1の配合にて混合した原料混合物を型板上に散布して単層マットをフォーミングし、該単層マットと共に該型板を多段に積上げた後、面圧5〜8MPaでプレスし、その後圧締装置により圧締し、圧締状態で50℃、8時間硬化養生した。その後圧締を解き脱型し、絶乾状態に乾燥させた後、表1に示す焼成温度で15分間焼成した。
(1)収縮率(成形時〜焼成後)
成形後の寸法と焼成後の寸法の比率(%)
(2)比重
絶乾比重
(3)曲げ強度
JIS A 1408に準じる(N/mm2 )
(4)表面意匠性
板厚25mmに設定し、エンボス深さ11mm、エンボス角度60度の凹部の逆凸部を 有する型板にて半乾式法で成形したとき、成形体の凹部の角に欠けあるいはスケの有 無(無い場合を○)
(5)切断性
ハンドソーで切断でき、また切断時に割れや欠けが無くスムーズに切断可能か(ス ムーズに切断できた場合○)
(6)耐凍結融解性能
ASTM B法 300サイクルにて異常が無いか(異常無し○)
(7)耐衝撃性
JIS A 1408に準じ、500gの鉄球の落下でひび割れが生じない高さ( m)
上記物性評価の結果は表1に示される。
比較例1は原料混合物中の水分含有量が5質量%に満たない(3質量%)場合であり、スラグの水和硬化に必要な水が不足し、比重が上らず、強度が低くまた耐凍結融解性にも劣る。
比較例2は原料混合物中の水分含有量が15質量%を越える(25質量%)場合であり、焼成時の水分蒸発による乾燥収縮が大きく、板表面に亀裂が生じ易く、表面意匠性に劣り、また耐凍結融解性にも劣る。
比較例3は原料混合物中の水分含有量が15質量%を越え(25質量%)、さらに補強繊維の添加量が15質量%に満たない(ワラストナイト+セラミックス繊維=6質量%)場合であり、原料混合物の分散性が悪くなり均一なマットをフォーミングすることが困難であり、亀裂が発生し易く、表面意匠性に劣り、また強度、耐凍結融解性も劣化する。
比較例4は原料混合物中の水分含有量が15質量%を越え(25質量%)、さらに補強繊維の添加量が25質量%を越える(ワラストナイト+セラミックス繊維=40質量%)場合であり、板のマトリックス内の繊維量が過多になり結着力が低下し、強度、耐凍結融解性が劣化する。
Claims (5)
- 水硬性無機質材料と、ガラス質材料と、骨材と、補強繊維とを主成分とし水を5〜15質量%添加混合した原料混合物を型板上に散布してマットをフォーミングし、該マットを圧締養生硬化した後焼成することを特徴とする無機質板の製造方法。
- 該原料混合物中には該水硬性無機質材料は15〜30質量%、該ガラス質材料は15〜30質量%、該骨材は20〜45質量%、該補強繊維は15〜25質量%含有されている請求項1に記載の無機質板の製造方法。
- 該水硬性無機質材料はスラグおよび石灰類であり、該ガラス質材料は軟化温度が900℃以下の低融点ガラスであり、該骨材はシャモットであり、該補強繊維はワラストナイトおよびセラミック繊維である請求項2に記載の無機質板の製造方法。
- 該石灰類は消石灰であり、該原料混合物中スラグは15〜25質量%、消石灰は該スラグの添加量に対して5〜15質量%、該原料混合物中にワラストナイトは5〜20質量%、セラミック繊維は5〜10質量%添加されている請求項3に記載の無機質板の製造方法。
- 該原料混合物中には木質セメント板廃材粉砕物および/または可燃性有機成分が5〜35質量%添加されている請求項1〜4に記載の無機質板の製造方法。
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