JP2005194107A - 多孔質炭素層の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡易な方法で効率よく基板上に炭素材を水平に堆積させて、特に燃料電池のガス拡散層に好適な多孔質炭素層を形成させる方法を提供する。
【解決手段】 基板上にアスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材を堆積させて多孔質炭素層を形成させる方法において、該炭素材を分散媒体に導入し、該分散媒体中に沈降させて、該分散媒体中に配置された該基板上に該炭素材を水平に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、水平に堆積した該炭素材を乾燥させる。さらには得られた多孔質炭素層をセパレータと触媒層の間のガス拡散層として用いた燃料電池を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】 基板上にアスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材を堆積させて多孔質炭素層を形成させる方法において、該炭素材を分散媒体に導入し、該分散媒体中に沈降させて、該分散媒体中に配置された該基板上に該炭素材を水平に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、水平に堆積した該炭素材を乾燥させる。さらには得られた多孔質炭素層をセパレータと触媒層の間のガス拡散層として用いた燃料電池を得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は多孔質炭素層の形成方法に関し、さらに詳しくは燃料電池の触媒層の隣に配置されるガス拡散層に好適な多孔質炭素層の形成方法に関する。
燃料電池においては、たとえば水素イオン伝導性の高分子電解質膜の両面に貴金属触媒を担持した導電性炭素粒子を主成分とする触媒層が配置される。そして、触媒層の外面には、ガス透過性および導電性を有するガス拡散層が設けられる。このガス拡散層にはカーボンフェルト、カーボンペーパー等が用いられるのが通常であり、これらの触媒層とガス拡散層で電極が構成される。そして電極の外側にセパレータが設けられ、セパレータの片側面には電極に反応ガスを供給し、発生した水、余分なガスを運ぶために流路が形成される。したがって、反応ガス中の燃料分子は、セパレータの流路から電極触媒粒子まで、たとえばカーボンフェルト等の多孔質材料や粒子の間を拡散して移動する。このガス拡散層においてカーボンフェルト等の多孔質材料を構成する繊維の一部が該フェルト面に水平でないと、電解質膜と電極の接合時に電解質膜中に突出し、短絡を生じさせ電池の効率低下を発生させる。そして、この問題は電解質膜および電極を薄くしようとすると一層大きくなる。したがって、カーボンフェルト等の突起をいかに水平に配置させるかは重要な課題となる。
本発明は、簡易な方法で効率よく基板上に炭素材を水平に堆積させて、特に燃料電池のガス拡散層に好適な多孔質炭素層を形成させる方法を提供する。
本発明は、基板上にアスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材を堆積させて多孔質炭素層を形成させる方法において、該炭素材を分散媒体に導入し、該分散媒体中に沈降させて、該分散媒体中に配置された該基板上に該炭素材を水平に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、水平に堆積した該炭素材を乾燥させることを特徴とする多孔質炭素層の形成方法、さらには得られた多孔質炭素層をセパレータと触媒層の間のガス拡散層として備えてなる燃料電池、を要旨とする。
本発明によれば、簡易な方法で効率よく基板上に炭素材を水平に堆積させて、特に燃料電池のガス拡散層に好適な多孔質炭素層を形成させる方法を提供しうる。
本発明の多孔質炭素層の形成方法においては、アスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材を分散媒体に導入し、該分散媒体中に沈降させて、該分散媒体中に配置された該基板上に該炭素材を水平に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、水平に堆積した該炭素材を乾燥させる。アスペクト比2以上の炭素材としては、通常ガス拡散層として用いられるものが使用されるが、炭素繊維が好適であり、通常の溶融紡糸法により得られるものに限定されず、たとえば気相法により得られるものであってもよい。さらに中空板状の炭素材としては、リング状、馬蹄形状もしくはU字形状であるのが好適であり、粒子状もしくは繊維状の炭素材料を常法により成形して得られる。
上記の基板は液体透過性材料からなるのが好適であり、たとえばたとえば素焼き等の多孔質セラミックス、メッシュ状もしくは開孔された金属、多孔質ポリマー、カーボンペーパーまたはカーボンフェルト等が選ばれ、さらに好ましくは多孔質セラミックス、カーボンペーパーまたはカーボンフェルト等である。カーボンペーパーまたはカーボンフェルト等のガス拡散層として用いられうる材料を基板とする場合には、堆積させた炭素材を基板から脱離する必要はなく、一緒にガス拡散層として用いることができる。
本発明において用いられる分散媒体としては、好適には水性媒体および/またはアルコール類である。水性媒体は水もしくは蔗糖含有水であるのが好ましく、アルコール類としてはエチルアルコールが好適である。
本発明方法においては、上記の炭素材を分散媒体が充填された容器中に導入し、この分散媒体中に沈降させ、下方の基板に堆積させることにより行われる。この導入に際しては、炭素材が基板に一様に堆積するように、炭素材が分散媒体中でなるべく均一分散するようにするのが好ましい。この観点から、予め炭素材を分散媒体に分散させた炭素材/分散媒体混合物を別途調製し、ついでこの炭素材/分散媒体混合物を分散媒体に導入し、炭素材を基板に堆積するのが特に好適である。この場合、導入する炭素材/分散媒体混合物は導入される分散媒体よりも高い温度を有するのが好ましく、これにより上記の沈降を緩やかにしうる。この温度差は、通常10℃以上、好ましくは20〜50℃程度であり、分散媒体、炭素材の種類等により適宜選定することにより、炭素材の沈降を調節しうる。また、この沈降の調節は分散媒体の密度を選定することによっても行いうる。
さらに、本発明の多孔質炭素層の形成方法においては、上記のように基板上にアスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材を水平に堆積させ、ついでさらに炭素粒子、を分散媒体に導入し、分散媒体中に沈降させて、この炭素粒子を該炭素材上に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、堆積した該炭素材を基板より脱離させて、もしくは該基板とともに、乾燥させることができる。これにより、アスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材の少なくとも表面には、炭素粒子が堆積し、炭素材の表面をさらに平坦化しうる。炭素粒子としては特に制限されず、通常ガス拡散層として用いられるものが使用されるが、ピッチ系炭素、メソカーボンマイクロビーズ系炭素、人造黒鉛または天然黒鉛等が好適である。形状は特に制限されず、球状、略球状、フレーク状等であり得、粒径は目的により適宜選択されうるが、通常1〜500μm程度から選択される。
基板上への上記炭素材の堆積は一回もしくは多数回で行うことができ、目的とする多孔質炭素層の厚さ、密度等により適宜選定しうる。また、炭素材料の種類を変えて堆積させることもできる。
炭素材を堆積した後、分散媒体が液体透過性材料である基板より系外に通常下方より排出される。この排出に際しては、適宜吸引等によることができる。ついで得られた多孔質炭素層は空気乾燥等の常法により乾燥される。
このようにして得られた多孔質炭素層は、炭素材が水平に堆積されている特性を有し、たとえば常法により燃料電池のセパレータと触媒層の間のガス拡散層として好適に用いられうる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
底部にセラミックフィルター基板を備えたろ過容器に、分散媒体として蔗糖5wt%水溶液100mL(20℃)を充填し、上方より蔗糖5wt%水溶液50mLに予め分散させたアクリロニトリル系炭素繊維(短繊維)500mgを供給した。炭素繊維は緩やかに沈降して上記基板上に水平に堆積した。ついで吸引ろ過により基板を通して上記分散媒体を排出し、ついで基板より脱離させて多孔質炭素層を得た。これを室温で乾燥して、乾燥多孔質炭素層を得た。得られた多孔質炭素層は厚さが約200μmであり、平滑で平坦な表面を有していた。
実施例2
蔗糖5wt%水溶液に代えてメタノールを用いて行う以外は、実施例1と同様にして、乾燥多孔質炭素層を得た。炭素繊維はさらに緩やかに沈降して基板上に水平に堆積した。得られた多孔質炭素層は厚さが約200μmであり、さらに平滑で平坦な表面を有していた。
実施例3
実施例1において、予め分散させた蔗糖5wt%水溶液の温度を約50℃とした以外は、実施例1と同様にして、乾燥多孔質炭素層を得た。得られた多孔質炭素層は厚さが約200μmであり、平滑で平坦な表面を有していた。
実施例4
実施例1で得られた多孔質炭素層を用いてガス拡散層を作製した。すなわち、水素イオン伝導性高分子電解質膜(ぺルフルオロカーボンスルホン酸ポリマー)の両面に、白金担持導電性カーボンブラックを主成分とする触媒層を配置させた。そしてこの触媒層の外側に実施例1で得られた多孔質炭素層をガス拡散層として配置し、さらにその外側には片面にガス流路を備えたセパレータ(樹脂含浸黒鉛板)を設けて燃料電池単セルを構成させた。これを1方向に積層した後、両端にエンドプレートを設け締結部材で固定して燃料電池を構成し得る。
実施例1
底部にセラミックフィルター基板を備えたろ過容器に、分散媒体として蔗糖5wt%水溶液100mL(20℃)を充填し、上方より蔗糖5wt%水溶液50mLに予め分散させたアクリロニトリル系炭素繊維(短繊維)500mgを供給した。炭素繊維は緩やかに沈降して上記基板上に水平に堆積した。ついで吸引ろ過により基板を通して上記分散媒体を排出し、ついで基板より脱離させて多孔質炭素層を得た。これを室温で乾燥して、乾燥多孔質炭素層を得た。得られた多孔質炭素層は厚さが約200μmであり、平滑で平坦な表面を有していた。
実施例2
蔗糖5wt%水溶液に代えてメタノールを用いて行う以外は、実施例1と同様にして、乾燥多孔質炭素層を得た。炭素繊維はさらに緩やかに沈降して基板上に水平に堆積した。得られた多孔質炭素層は厚さが約200μmであり、さらに平滑で平坦な表面を有していた。
実施例3
実施例1において、予め分散させた蔗糖5wt%水溶液の温度を約50℃とした以外は、実施例1と同様にして、乾燥多孔質炭素層を得た。得られた多孔質炭素層は厚さが約200μmであり、平滑で平坦な表面を有していた。
実施例4
実施例1で得られた多孔質炭素層を用いてガス拡散層を作製した。すなわち、水素イオン伝導性高分子電解質膜(ぺルフルオロカーボンスルホン酸ポリマー)の両面に、白金担持導電性カーボンブラックを主成分とする触媒層を配置させた。そしてこの触媒層の外側に実施例1で得られた多孔質炭素層をガス拡散層として配置し、さらにその外側には片面にガス流路を備えたセパレータ(樹脂含浸黒鉛板)を設けて燃料電池単セルを構成させた。これを1方向に積層した後、両端にエンドプレートを設け締結部材で固定して燃料電池を構成し得る。
簡易な方法で効率よく基板上に炭素材を水平に堆積させて、特に燃料電池のガス拡散層に好適な多孔質炭素層を形成させうる。
Claims (12)
- 基板上にアスペクト比2以上の炭素材もしくは中空板状の炭素材を堆積させて多孔質炭素層を形成させる方法において、該炭素材を分散媒体に導入し、該分散媒体中に沈降させて、該分散媒体中に配置された該基板上に該炭素材を水平に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、水平に堆積した該炭素材を乾燥させることを特徴とする多孔質炭素層の形成方法。
- 中空板状の炭素材がリング状、馬蹄形状もしくはU字形状である請求項1記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 基板が液体透過性材料からなる請求項1記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 液体透過性材料が多孔質セラミックス、メッシュ状もしくは開孔された金属、多孔質ポリマー、カーボンペーパーまたはカーボンフェルトである請求項3記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 炭素材が炭素繊維である請求項1記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 分散媒体が水性媒体および/またはアルコール類である請求項1記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 水性媒体が水もしくは蔗糖含有水である請求項6記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 導入が予め炭素材を分散媒体に分散させた炭素材/分散媒体混合物を分散媒体に導入することにより行なわれる請求項1記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 導入する炭素材/分散媒体混合物は導入される分散媒体よりも高い温度を有する請求項8記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 導入が炭素材を分散媒体中に均一分散させるように導入するように行なわれる請求項1記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 基板上に該炭素材を水平に堆積させ、ついでさらに炭素粒子を該分散媒体に導入し、該分散媒体中に沈降させて、該炭素粒子を該炭素材上に堆積させ、ついで該分散媒体を除去し、堆積した該炭素材を乾燥させる請求項1〜10のいずれか記載の多孔質炭素層の形成方法。
- 請求項1〜11のいずれか記載の多孔質炭素層の形成方法により得られた多孔質炭素層を、セパレータと触媒層の間のガス拡散層として備えてなる燃料電池。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-12-26 JP JP2003434891A patent/JP2005194107A/ja active Pending
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