JP2005192937A - 皮膚保護シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 皮膚10の表面に配置されて皮膚を保護する皮膚保護シートであって、木炭粉が担持されたシート20からなる。
【選択図】 図1
Description
怪我をしたときの傷口や、皮膚病の発症部分についても、褥瘡と同様に、浸出液が発生したり、外部から雑菌が侵入し易くなったりする問題がある。
褥瘡や傷口の回復を促進したり状態を改善したり保護したりするためには、ガーゼや包帯で覆うのが、一般的な処置である。浸出液が漏れるのを防止するには、通液性のないフィルムなどで覆っておくことも行われている。
また、浸出液の漏れを防ぐためにフィルムで覆ったり、ガーゼや包帯で分厚く覆っておいたりすると、皮膚の身体組織が空気と接触し難くなったり、湿潤状態がいつまでも続いたりすることで、症状の改善を阻害することもある。
〔木炭粉〕
保護する部位表面の液体分を吸収し、吸収した液体分を外部環境に放出する機能を有する。また、保護部位の身体組織に対する付着性が少ない。
基本的には、通常の木炭材料が使用できる。木炭は、各種の木材、竹その他の繊維材料を焼成して得られる。焼成温度、焼成時間、焼成雰囲気などの焼成条件の違いによって、吸放湿性や表面特性などが違ってくる。
木炭として、チップ状の木材を焼成して炭化させたチップ炭が好ましい。チップ炭は、丸太状の木材を焼成するのに比べて、焼成炭化が均一良好に行われ、吸放湿性などが向上する。
木炭として、活性化木炭あるいは触媒木炭と呼ばれる木炭が好ましい。具体的には、特開2000−226207号公報に開示された活性化木炭が使用できる。この活性化木炭は、木材チップ炭化物であって低温炭化部分と高温炭化部分とが混在する。活性化木炭の製造方法として、以下の方法が好ましい。最大差し渡し径10〜60mmの赤松チップ材を原料に用い、450〜550℃で熱処理して炭化させる低温炭化工程と、低温炭化工程に引き続いて、木材チップの炭化物を800〜900℃、480〜960秒で熱処理して、さらに炭化させる高温炭化工程と、高温炭化工程の終了時点で、炭化物に水を接触させる活性化工程とを行う。
木炭は、細かな粉体状にして使用する。細かな粉体にしておくことで、発泡樹脂材料への混合が良好に行われ、発泡樹脂シートにしたときに木炭の特性がより効果的に発揮される。木炭粉の粒径を、平均粒径1〜60μmに設定できる。好ましくは、平均粒径10〜15μmである。粒径30μm以下の木炭粉のみを使用するのが好ましい。
〔木炭粉を担持したシート〕
シート材料としては、合成樹脂からなる発泡樹脂シート、編織布、不織布などの通気性を有するシート材料が使用される。通気性の低いシートに微細な貫通孔を空けて、通気性を与えることもできる。
これらのシート材料を製造する際の原料に、木炭粉を配合しておくことで、木炭粉を担持したシートが製造できる。
基本的には、通常の発泡樹脂シートと共通する材料および製造技術が適用できる。例えば、特開平11−158309号公報に開示された技術が採用できる。
樹脂材料として、スチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が使用できる。塩ビ系樹脂、ゴム系樹脂も使用できる。ポリエチレン樹脂の中で、メタロセン触媒を用いて重合されたメタロセンポリエチレンが、皮膚保護シートの強度向上などに好ましい。発泡樹脂シートは、木炭粉を担持させることで、単体である場合よりも強度や耐久性が低下する場合があるので、強度に優れた樹脂材料を使用することが有効である。
発泡樹脂シートは、使用する樹脂材料や製造条件によって、連続気泡あるいは独立気泡が形成される。皮膚保護シートの吸放湿性や通気性を高めるには、連続気泡が好ましい。
発泡樹脂シートの発泡倍率は、発泡倍率が大きいほど、緩衝性が良くなり、軽量にもなるので、保護機能は高まり、着用者の負担も少なくなる。木炭粉の露出割合も増えて、木炭粉の機能が良好に発揮できる。発泡倍率が大きすぎると、強度が低下したり、木炭粉が十分に担持できなくなったりする。具体的な発泡倍率は5〜40倍に設定できる。好ましくは、発泡倍率8〜12倍である。発泡樹脂シートの連続気泡率を、60〜90容量%に設定できる。
発泡樹脂シートは通気性や吸水性に優れたものが好ましい。具体的には、透気度30〜120秒、吸水率5%以上(自然吸水12時間)のものが好ましい。透気度は、直径50mmの円形シートに0.1kg/cm2の空気圧をかけたときにおける空気100ml当たりの通過時間で表す。
発泡樹脂シートの原料と同様の樹脂材料を用いて製造された繊維シートも使用できる。木炭粉が配合された樹脂を紡糸すれば、木炭粉を担持した繊維が得られる。この木炭粉を担持した繊維からなるフィラメント糸や紡績糸で編織された布が繊維シートとなる。木炭粉を担持した繊維を集積させた不織布も構成できる。
特開2000−336591号公報に開示された技術が適用できる。この技術は、基材となる繊維材料を30〜85重量%と、活性化木炭の粉体が3〜50重量%と、フィブリル化アクリル繊維が5〜30重量%とを含有する材料を抄造したシートである。
保護の目的、使用部位の違いによって、皮膚保護シートの形態は適宜に変更できる。
皮膚保護シートは、木炭粉が担持されたシートのみで構成されていてもよいし、木炭粉担持シートと別の材料層との積層シートであってもよい。例えば、木炭粉担持発泡樹脂シートと、編織布、不織布との積層シートが使用できる。この場合、皮膚と接触する側に木炭粉担持発泡樹脂シートを配置するのが好ましい。木炭粉が担持された発泡樹脂シートに、木炭粉を担持しない通常の発泡樹脂シートを積層したものも使用できる。木炭粉担持発泡樹脂シートの背面に通気性の良いメッシュシートを積層したものでもよい。
皮膚保護シートの流通販売形態としては、ある程度の面積があるシート状にしておき、使用時に必要な大きさに裁断することもできる。連続帯状の皮膚保護シートをテープ状に巻回した状態で流通販売に供し、使用時に必要な長さに切り取って使うこともできる。シートあるいはテープに、切れ目となるミシン目や弱め線を加工しておくこともできる。
皮膚保護シートを装着部位に固定し易いように、皮膚保護シート自体に固定手段を設けておくことができる。固定手段として、皮膚保護シートの一部に粘着剤を塗工した粘着面を設けておくことができる。皮膚保護シートの一部に紐や帯などの締結手段を取り付けておくこともできる。クリップなどの固定具を設けておくこともできる。
特に、吸放湿性に優れた木炭粉が、褥瘡などに発生する浸出液の水分を吸収し外部に放出することで、褥瘡などを乾いた状態にすることで、迅速な回復を図ることができる。湿潤状態における雑菌の繁殖や感染の発生を防止することができる。
以上の結果、褥瘡や傷口、皮膚病の感染個所などを覆う皮膚保護シートとして、症状の改善、回復を有効に図れる医療効果に優れるとともに、使用取扱いも容易で、実用的価値の高いものを提供できる。
皮膚保護シート20は、木炭粉を担持した発泡樹脂シートからなり、厚み0.8mm程度のものである。褥瘡部分12の範囲よりも少し広い面積を有し、皮膚10に沿って柔軟に変形させて覆っている。
皮膚保護シート20の周辺を、粘着テープ30で皮膚10に固定している。
この状態では、皮膚保護シート20が、褥瘡部分12に、衣類や寝具などが接触するのを防止する。発泡樹脂シートには弾力性や緩衝性があるので、褥瘡部分12に強い外力が局部的に加わることを防止できる。
皮膚保護シート20は良好な通気性を有している。褥瘡部分12が十分に空気と接触できることで、褥瘡部分12の症状改善が促進される。褥瘡部分12からの浸出液は、皮膚保護シート20を通して効率的に蒸発するので、褥瘡部分12が湿潤状態におかれることが防げる。
特に、皮膚保護シート20に担持された木炭粉は、優れた吸放湿性を有するので、褥瘡部分12の水分を迅速に吸収し、吸収した水分を皮膚保護シート20の外部へと効率的に放出する。その結果、褥瘡部分12は直ちに湿潤状態から適度な乾燥状態になり、その適度な乾燥状態を長期間にわたって維持することができる。木炭粉には、水分だけでなく臭い成分を吸着する機能もあるので、褥瘡部分12から発生する臭いを除去して、周辺環境に不快な臭いを放出することが阻止できる。
〔皮膚保護シート〕
日の丸カーボテクノ社より入手できる備長炭発泡シート「チャコシート」(登録商標)を使用。この備長炭発泡シートは、木炭粉として、「CT−21」(商品名、日の丸カーボテクノ社製、活性化木炭)と備長炭とを組み合わせている。「CT−21」を10重量%と備長炭を15重量%とポリエチレン75重量%とからなる材料を、押出発泡成形したものである。発泡倍率は約12倍であり、連続気泡率は約80%であり、透気度は約80秒であり、吸水率は20%以上(自然吸水12時間)である。厚みは0.8mmである。
(事例1)左手掌、手指に発赤・発疹・湿潤・悪臭・汚染が強い被験者に対して、指間に、所定の大きさに裁断した皮膚保護シートを巻いた。
試験開始後、5日目で臭いが少なくなり、6日目から発赤・発疹・湿潤が軽減されるのが確認できた。14日目には、左手掌の皮膚が乾燥状態になっていた。
同様の皮膚トラブルを有する被験者6名にも同様の処置を施したところ、短期間で湿潤が軽減し、順次、発赤・発疹も軽減された。皮膚保護シートを取り換える際には、容易に剥がれ、皮膚に付着したり、被験者に強い痛みを与えるようなことはなかった。
(事例2)仙骨褥瘡3度の被験者に対して、褥瘡部分を、0.05%プリビーシー液で消毒後、生理食塩水で洗浄し、軟膏などは塗布せずに、皮膚保護シートを貼り付けた。この処置を、1日2回実施した。
上記処置を実施する前は、同様の消毒、洗浄の後、オルセノン軟膏を塗布しラップフィルムの貼付けを行っていたが、浸出液が多く発生し、オムツにも汚染が生じていた。
皮膚保護シートによる処置を開始してから2日目には、浸出液が減少し、オムツの汚染がなくなった。20日目で浸出液は少量しか認められなくなった。臭いも軽減された。褥瘡部分には、新たな肉芽組織の補填形成が認められた。皮膚保護シートの取り換えはスムーズに行え、皮膚保護シートが褥瘡に固着することはなかった。
12 褥瘡部分
20 皮膚保護シート
30 粘着テープ
Claims (5)
- 皮膚の表面に配置されて皮膚を保護する皮膚保護シートであって、
木炭粉が担持されたシートからなる
皮膚保護シート。 - 前記木炭粉が、木材チップ炭化物であって低温炭化部分と高温炭化部分とが混在する活性化木炭を含み、粒径100μm以下で平均粒径10〜15μmである
請求項1に記載の皮膚保護シート。 - 前記木炭粉が、前記活性化木炭に加えて備長炭を含み、活性化木炭と備長炭とが20:80〜80:20の割合である
請求項2に記載の皮膚保護シート。 - ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜40重量部の木炭粉を含有し、連続気泡を有し、発泡倍率5〜40倍であり、厚さ0.3〜2.5mmである発泡樹脂シートからなる
請求項1〜3の何れかに記載の皮膚保護シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂が、メタロセンポリエチレンからなる
請求項4に記載の皮膚保護シート。
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