JP2005190031A - 半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法およびシステム - Google Patents

半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 多品種製品を生産する半導体デバイス製造ラインにおいて短TATを実現するボトルネック工程の発生回避方法およびそのシステムを提供する。
【解決手段】 半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムにおいて、ボトルネック発生回避方法は、生産計画および仕掛り状況に応じてボトルネックとなる装置とその発生時期を推定し、各ボトルネック装置を発生時期および該当装置群の状態からボトルネック要因毎に分類し、分類結果に応じた事前対策を実行する。ボトルネック装置群の処理能力に余裕がある場合は、ボトルネック品種・工程において追加して使用可能とする製造装置を決定し、該当装置に関して「条件出し作業」の指示を行い、処理能力が不足している場合は、ボトルネック要因に応じてボトルネック装置およびそのボトルネック品種・工程で使用される製造装置のディスパッチルールを変更する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、半導体デバイス製造において発生するボトルネック工程の発生回避方法およびそのシステムに適用して有効な技術に関するものである。
本発明者が、本発明の前提として検討した技術を図15〜図17を用いて説明する。それぞれ、図15は半導体デバイス製造フローを示す図、図16は製造装置群における品種・工程別の着工可能装置の関係を示す図、図17は半導体デバイス製造ラインの各工程における仕掛りロットの概念を示す図、である。
図15に示すように、半導体デバイス製造では、酸化膜や金属膜などを半導体ウェハ上に形成する成膜工程や、回路パターンを半導体ウェハに転写するホトリソグラフィー工程、化学処理によって所定のデバイスパターンを形成するエッチング工程、半導体デバイス内部に不純物を注入し膜の特性を変化させるイオン打込工程などの多くの製造工程を工程フローに従い繰り返し処理を行い、半導体ウェハ上に多層の半導体デバイスが作られる。通常、複数の半導体ウェハをまとめたロット(通常、200mmウェハの場合25枚)と呼ばれる単位にて各工程の処理が行われる。半導体デバイス製造ラインは、成膜・ホトリソグラフィー・エッチング・イオン打込工程などの各工程に対応した製造装置群をエリア毎に配置し、工程フローに応じて各エリアにロットが搬送される「ジョブ・ショップ生産」である。
新しい製品を生産する際、微細化の進んだ製品ではデバイスの要求精度が厳しいため、実験等により各工程および製造装置毎に製造条件の最適化を図る「条件出し作業」を行っている。同一の品種や工程においても製造装置間に機差が存在するため、製造装置毎に「条件出し実験」を行う場合もある。図16は、同一タイプの製造装置5台から構成される製造装置群Aにおける品種・工程別の着工可能装置の関係を示している。この場合、製造装置群Aにおいて、品種aの工程iでは「条件出し実験」が行われた製造装置A1〜A3は使用可能であり、製造装置A4、A5は使用不可能である。一方、品種bの工程iでは、製造装置A3〜A5は使用可能であり、製造装置A1、A2は使用不可能となる。そのため、新しい製品を投入する際、各工程で必要な製造装置の台数を事前に計算しておく必要がある。例えば、特許文献1では、生産計画および工程フロー情報から算出した工程別の必要処理枚数と、装置性能情報および品種・工程別の着工可能装置情報から算出した処理可能枚数の比較による静的な装置の能力検証方法が提案されている。また、動的な装置の能力検証方法として、市販の生産シミュレーションツールを用いた方法などが用いられる。
図17は、半導体デバイス製造ラインの各工程における仕掛りロットの状況を示している。品種・工程毎に次の処理を待っている状態の仕掛りロットを一定量持たせ、各製造装置群の稼働率を最大とするように生産を制御している。各製造装置群の内、品種・工程毎に使用可能な装置が決まっており、その範囲内で装置を選択することができる。パターン転写を行う露光装置に関して、層間のパターンの重ね合わせ精度が厳しい工程では、最初のパターン形成に使用した露光装置を以降のホトリソグラフィー工程で使用することがある。このような工程を「号機限定工程」と呼ぶ。露光装置では、号機を限定した着工が多いことから、トラブルなどの影響を受け生産面で隘路となることが多い。各工程において、仕掛りロットを多く持たせることにより、製造装置の稼働率は向上するが、製品の待ち時間は増加し、製品のTAT(Turn Around Time:生産開始から終了までの時間)の増加につながる。そのため、装置稼働率とTATを考慮した生産スケジュールを作成する必要がある。ジョブ・ショップ生産の生産スケジュール方式として、以下が挙げられる。
(1)一括スケジューリング方式
オペレーションリサーチの手法を用いてスケジュール問題を数式化し、TATや装置稼働率の関数となる評価指標を最大化(または最小化)するように、スケジューリングを作成する。半導体デバイス製造では工程数や装置数など取り扱う変数の数が多いため、全工程ではなく特定の工程に着目してスケジューリングを行うことが多い。例えば、特許文献2では、所定ルールに基づいて重点工程を抽出し、各製品の重点工程まで到着予想時間を用いた演算処理によるスケジューリング方式が提案されている。
(2)ディスパッチ方式
製造装置の処理を待っているロットの中から、所定のルール(ディスパッチルール)に基づいてロット処理の優先順位を決める。スケジューリング方式に比べ、製造装置に待ちが発生するタイミング毎に優先順位を算出するため、生産の変動に対して柔軟性が高い。一般的には、複数のディスパッチルールを併用し、ディスパッチルール毎に点数をつけ、最も点数が高いロットから処理を行うことが多い。例えば、特許文献3では、段取り替え時間および待ち時間およびロットの納期時間およびロット固有の優先度の重み付け計算によりロットの優先度を算出し、当該優先度の高いロットを選択するディスパッチルールを提案している。
特開2000−246599号公報 特開平7−192051号公報 特開2002−157012号公報
ところで、本発明者が検討したところによれば、システムLSIに代表される多品種小量の半導体デバイス製造ラインでは、短TATが他社の差別化要素となる。短TATの生産を実現するためには、各工程における仕掛りを一定に制御して、ボトルネック装置が発生させない平準化生産が重要となる。しかし、メモリ製品での見込み生産に対し、システムLSI製品は顧客からの受注生産であるため、顧客ニーズに応じて生産計画が頻繁に変更されるため、投入量や製品構成の平準化を図ることができない。また、半導体デバイス製造に使用される製造装置は、メンテナンスや点検などの保守作業やトラブルによる装置の不稼働時間の割合が高く、仕掛りロットが特定のボトルネック装置群に偏在することが多々発生する。そのため、投入量や製品構成や仕掛り状況によって、生産面で隘路となるボトルネック装置が変わるため、ボトルネックの把握およびその対策が遅れてしまい、製品のTATが増加する。前記特許文献1における装置の能力検証方法では、製造ラインの仕掛り状況が反映されていないため、生産計画と仕掛り状況の組合せで発生するボトルネック装置を検知することができない。また、静的な計算方法であるため、ボトルネックの発生時期も把握できない。市販の生産シミュレーションツールを用いた検証では、品種・工程・製造装置毎の処理能力など設定する変数の数が非常に多い、かつ実績値と合わせるためには変数のパラメータ調整が必要となる。多品種の製造ラインを対象とした場合、取り扱う品種が増えることから、パラメータ調整の手間が増え、日々の運用していくことは困難である。
ボトルネックとなる要因には、(1)品種構成の関係で特定の製造装置群全体の処理能力が足りなくなる場合と、(2)製造装置群の能力としては余っているが「条件出し作業」が行われていないため、使用できる製造装置が不足する場合に分けられる。前者の製造装置群全体の処理能力が足りずボトルネック工程となる場合には、前記特許文献2におけるスケジューリング方法や、前記特許文献3におけるディスパッチ方法などの処理順序の決定方法によりボトルネックとなった装置を効率的に使用することができる。しかし、これらの方法ではボトルネックの発生時期を把握することができないため、事前にボトルネックの発生を回避する処理順序を決めることができない。また、使用できる製造装置が不足する場合には、「条件出し作業」を行い使用可能な製造装置の数を増やす必要がある。製造装置によっては「条件出し作業」を行った後、半導体デバイスの特性を確認した上で使用可能と判断する必要があり、短期間の内に使用可能な製造装置台数を増やすことができない場合もある。この能力不足の期間は製造TATの増加の原因となる。
そこで、本発明では、多品種製品を生産する半導体デバイス製造ラインにおいて短TATを実現することを目的として、生産計画および仕掛り状況に応じてボトルネックとなる装置とその発生時期を推定し、各ボトルネック装置を発生時期および該当装置群の状態からボトルネック要因毎に分類し、ボトルネック要因毎に事前対策の指示を行うボトルネック工程の発生回避方法およびそのシステムを提供するものである。
本発明は、半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムに適用され、半導体デバイス製造における、年月日毎の製品名、投入ウェハ枚数、ホトリソグラフィーの号機限定工程で使用する露光装置名といった生産計画情報が蓄積される第1のデータベース部と、半導体デバイス製造ラインに仕掛っているロットの名称、製品名、仕掛り工程名、ウェハ枚数、ホトリソグラフィーの号機限定工程で使用された露光装置名といった仕掛りロット情報が蓄積される第2のデータベース部と、製品毎の工程名、工程イプ(ホトリソグラフィー工程やエッチング工程といった要素技術別の工程種類)、着工可能装置名といった工程マスタ情報が格納される第3のデータベース部と、製造装置群、製造装置名、処理タイプ(バッチ処理、枚葉処理など)、限界稼働率、装置特性データ、使用するディスパッチルールといった装置マスタ情報が蓄積される第4のデータベース部と、半導体デバイス製造ラインにおけるロット進捗状況の管理および制御を行う製造管理システムと、各データベース部より取得した生産計画情報および仕掛りロット情報および該当する製品の工程情報および装置マスタ情報を用いてボトルネックとなる製造装置およびその発生時期を特定するボトルネック装置発生予測処理部と、ボトルネック装置の能力状況およびその発生時期からボトルネック要因を分類し、ボトルネック要因毎の対策を決定するボトルネック要因分類処理部と、ボトルネック要因に応じて該当製造装置のディスパッチルールを変更するディスパッチルール変更処理部と、使用装置の追加や停止の指示を行う使用装置変更指示部から構成されるものである。
このボトルネック発生回避システムにおいて、ボトルネック装置発生予測処理部は、
(1)評価対象となる生産計画を取得するステップと、
(2)現状の製造ラインの仕掛りロット情報を取得するステップと、
(3)製品・工程毎の工程間TATやウェハの処理時間や着工可能製造装置情報、ならびに製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を算出するステップと、
(4)前記(1)〜(3)で取得した情報を用いて、日別の製造装置毎の必要処理ウェハ枚数を計算し、その計算結果を用いてボトルネック装置を抽出するステップと、
(5)前記(1)〜(3)で取得した情報および、前記(4)で算出したボトルネック装置情報を用いて生産ラインモデルを作成し、生産シミュレーションツールを用いた計算結果からボトルネック装置およびその発生時期の特定を行うステップの構成において、
前記(1)〜(5)のステップを順次実行することにより、ボトルネック装置の発生時期を予測することができる。
具体的に、本発明の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法は、半導体デバイス製造の製造ラインに仕掛っているロット情報および今後の生産計画情報から製造装置に要求される生産能力が装置の処理可能生産能力を越えるボトルネック装置およびその発生時期を予測し、予測したボトルネック装置の生産能力状況およびその発生時期に応じてボトルネック要因を分類し、分類した結果に応じて予め設定された所定の処理を行うものであり、特に各処理においては以下のような特徴を有するものである。
(イ)製造装置に要求される生産能力が装置の処理可能生産能力を越えるボトルネック装置の発生予測処理において、評価対象期間における生産計画および、半導体デバイス製造ラインの仕掛りロット情報および、製品・工程毎の工程間TATやウェハの処理時間や着工可能製造装置情報および、製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を取得する処理と、取得した情報を用いて日毎の製品・工程別の必要処理ウェハ枚数を計算する処理と、日毎の製品・工程別の必要処理ウェハ枚数を該当製品・工程における使用可能な製造装置へ配分する処理により算出した日毎の製造装置別の必要処理ウェハ枚数と製造装置毎の処理可能ウェハ枚数の比較によるボトルネック装置の抽出処理を行う。
(ロ)製造装置に要求される生産能力が装置固有の能力を越えるボトルネック装置の発生予測処理において、評価対象となる生産計画および、現状の製造ラインの仕掛りロット情報および、製品・工程毎の工程間TATやウェハの処理時間や着工可能製造装置情報および、製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を取得する処理と、ボトルネック対象となる製造装置情報を取得する処理と、前記の情報を用いてボトルネック装置に該当する製品・工程の生産ラインモデルを作成し、本モデルを用いたシミュレーション計算により算出した一定期間毎の製造装置の稼働率からボトルネック装置およびその発生時期を特定する処理を行う。
(ハ)ボトルネック装置の発生予測処理において、前記の日・製造装置別の必要処理ウェハ枚数の計算によりボトルネック装置を抽出し、抽出されたボトルネック装置を用いて前記の生産シミュレーションツールを用いたボトルネック装置の発生時期の予測処理を行う。
(ニ)ボトルネック装置の発生予測処理において、製品・工程毎または製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を、半導体デバイス製造ラインにおいて過去に処理を行ったロットの実績履歴データを用いて算出する。
(ホ)ボトルネック装置の発生予測処理において、製品・工程毎の工程間TATを、半導体デバイス製造ラインにおいて過去に処理を行ったロットの実績履歴データから算出した工程間TATの実績値に調整係数を掛け合わせて算出する。
(ヘ)ボトルネック要因の分類処理において、ボトルネック装置が所属する製造装置群全体の処理能力が不足する場合、ボトルネックの発生時期に応じてボトルネック装置およびボトルネックとなる製品・工程以前の工程で使用する製造装置における仕掛りロットの中から次の処理ロットを決定するディスパッチルールを変更する。
(ト)ボトルネック要因の分類処理において、ボトルネック装置が所属する製造装置群全体の処理能力に余裕がある場合、ボトルネックの発生時期に応じてボトルネック装置において負荷の高い複数の製品・工程に関して、製品・工程毎にボトルネック装置が所属する製造装置群の中で負荷が低い製造装置に「条件出し作業」の指示を行う。
本発明によれば、半導体デバイス製造ラインにおいて現時点の仕掛りロットと生産計画の情報を基に、生産面で隘路となるボトルネック装置とその発生時期の計算およびボトルネック要因の分類を行い、分類結果に応じたボトルネック対策を実行する機能を持つため、ボトルネック装置の負荷が経時的かつ同一装置群内の装置内で平準化され、各ロットの待ち時間が短縮され、その結果、各ロットのTATを短縮することが可能となる。
また、本発明によれば、ボトルネック対策として使用装置の追加・停止指示を行う機能により、急な生産計画の変更に対応した「条件出し作業」計画を短時間で立案することができ、製造ラインの生産量を増加させることが可能となる。
また、本発明によれば、計算処理に必要な装置能力やTAT情報を過去の処理実績を用いて算出するため、生産ラインモデルを容易に作成することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
まず、図1により、本発明における第1の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムを説明する。図1は、第1の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムの全体構成を示すブロック図である。
図1において、本実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムは、製造装置群1と、製造管理システム3と、ボトルネック対策処理ステーション5から構成される。
製造装置群1は、少なくても1台以上の同一機構の製造装置2から構成されている。なお、製造装置群1は、製造装置の機構の種類に応じて複数個存在する。製造装置群1は、半導体デバイス製造ライン全体のロット進捗情報の管理や制御を行う製造管理システム3に接続されている。
製造管理システム3は、データベース部4を持っている。また、製造管理システム3は、入出力インターフェイス6および、ボトルネック装置発生予測処理部7および、ボトルネック要因分類処理部8および、ディスパッチルール変更処理部9および使用装置変更指示部10から構成されるボトルネック対策処理ステーション5に接続されている。
また、製造装置群1内の製造装置2において、ロットの処理を行う際、該当ロットの製品名、工程名(工程コードでもよい)、製造装置名(装置コードでもよい)、ウェハ枚数について、例えば、ウェハに形成されている製品番号を読み取ることによって入力し、製造管理システム3にネットワークを介して送信される。また、ロット処理の処理開始時間、処理終了時間、製造条件実績といった情報もネットワークを介して製造管理システム3のデータベース部4に蓄積される。
データベース部4は、年月日毎の製品名、投入ウェハ枚数、ホトリソグラフィーの号機限定工程で使用する露光装置名(装置コードでもよい)が格納されている生産計画データベース部41および、半導体デバイス製造ラインに仕掛っているロットの名称、製品名、仕掛り工程名(工程コードでもよい)、ウェハ枚数、ホトリソグラフィーの号機限定工程で使用された露光装置名(装置コードでもよい)が格納された仕掛りロットデータベース部42および、製品毎の工程名(工程コードでもよい)の一覧および、各工程の工程タイプ(ホトリソグラフィー工程やエッチング工程といった要素技術別の工程種類)、着工可能装置名(装置コードでもよい)が格納される工程マスタデータベース部43および、製造装置群に所属する製造装置名(装置コードでもよい)、処理タイプ(バッチ処理、枚葉処理など)、限界稼働率、装置特性データ(例えば、露光装置のステージの駆動時間や照度など)、ディスパッチルールリスト(複数のディスパッチルールが優先順位毎の設定されている)などが格納される装置マスタデータベース部44および、各ロットの製品・工程・製造装置における処理ウェハ枚数、処理開始時間、処理終了時間、製造条件実績などが蓄積される処理実績データベース部45から構成される。
製造管理システム3では、該当製造装置で着工可能である仕掛りロットのうち、装置マスタデータベース部44にて設定されたディスパッチルールに基づいてロットの処理順序を決定し、該当製造装置が空き状態となった際に順番の早いロットから処理を行うように指示するディスパッチ機能を有する。このディスパッチルールは、一つの装置に対して複数のルールを設定することができる。複数のディスパッチルールが設定されている場合、まず、最初の優先順位のディスパッチルールを用いてロットの処理順序を決定する。次に、同一の処理順番のロットに関して、次の優先順位のディスパッチルールを用いて処理順序を再決定する。このように、複数のディスパッチルールを用いて、ロットの処理順序を決定する。
ボトルネック対策処理ステーション5において、ボトルネック装置予測発生処理部7は、入出力インターフェイス6を介して製造管理システム3内のデータベース部4から生産計画情報、仕掛りロット情報、工程マスタ情報、装置マスタ情報、処理実績情報を取得し、ボトルネックとなる装置およびその発生時期を予測する処理を行う。ボトルネック要因分類処理部8は、ボトルネック装置予測発生処理部7における計算結果を用いて、ボトルネック要因に応じてディスパッチルール変更処理部9や使用装置変更指示部10に処理を依頼する。ディスパッチルール変更処理部9では、入出力インターフェイス6を介して、製造管理システム3内のデータベース部4の装置マスタデータベース部44における該当装置のディスパッチルールを変更する。使用装置変更指示部10は、入出力インターフェイス6を介して、指示内容を表示端末に表示する。
次に、図2により、本発明における第2の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムを説明する。図2は、第2の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムの全体構成を示すブロック図である。
図2において、本実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムは、前記図1と等価な部分には同じ符号を付しており、各機能も同じである。本実施の形態では、データベース部4が、製造管理システム3aではなく、入出力インターフェイス6および、ボトルネック装置発生予測処理部7および、ボトルネック要因分類処理部8および、ディスパッチルール変更処理部9および使用装置変更指示部10から構成されるボトルネック対策処理ステーション5a内に組み込まれており、各処理が実施される。
次に、図3により、本発明における第3の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムを説明する。図3は、第3の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムの全体構成を示すブロック図である。
図3において、本実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムは、前記図1と等価な部分には同じ符号を付しており、各機能も同じである。本実施の形態では、データベース部4および、入出力インターフェイス6および、ボトルネック装置発生予測処理部7および、ボトルネック要因分類処理部8および、ディスパッチルール変更処理部9および使用装置変更指示部10から構成されるボトルネック対策処理ステーション5aが製造管理システム3b内に組み込まれており、各処理が実施される。
次に、図4により、本発明における各実施の形態において、半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法を説明する。図4は、半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法を示すフローチャートである。
ステップ101において、生産計画情報および製造ラインに仕掛っているロット情報および品種・工程毎の工程間TAT実績情報および工程フロー情報を用いて日・製造装置毎の必要処理ウェハ枚数を算出し、製造装置毎の処理可能ウェハ枚数との比較によりボトルネックとなる製品・工程や製造装置を抽出する。
ステップ102において、ステップ101にて抽出したボトルネック製品・工程および製造装置を対象に、生産計画情報および製造ラインに仕掛っているロット情報および品種・工程毎の工程間TAT実績情報および工程フロー情報およびボトルネック装置の処理能力情報を用いて生産シミュレーションモデルを作成し、そのシミュレーション結果からボトルネックとなる装置とその発生時期を予測して特定する。
ステップ103では、ステップ102にて特定したボトルネック装置とその発生時期を入力データとした所定の分類フローにてボトルネック要因を分類する。分類されたボトルネック要因毎に予め決まられた対策処理を実行する。
ステップ104において、ボトルネック要因に応じてボトルネック品種・工程で追加して使用可能とする製造装置を指示する。製造装置によっては、「条件出し作業」が必要となるものもある。逆に、製造装置群の稼働率が低い場合には、製造装置の停止を指示する。
ステップ105において、ボトルネック要因に応じてボトルネック工程およびボトルネック工程以前の工程のディスパッチルールを変更する。
次に、図5により、図6〜図9を参照しながら、各実施の形態における日・製造装置毎の必要処理ウェハ枚数の算出によるボトルネック製品・工程・製造装置の抽出方法を説明する。それぞれ、図5は前記図4のステップ101における日・製造装置毎の必要処理ウェハ枚数の算出によるボトルネック製品・工程・製造装置の抽出処理の詳細を示すフローチャート、図6は生産計画データの表示例を示す図、図7は各製品・工程における製造装置の使用情報の表示例を示す図、図8は製造装置毎の必要処理ウェハ枚数の配分処理の算出例を示す図、図9は日・製造装置別の必要処理ウェハ枚数および製造装置毎の処理可能ウェハ枚数の算出結果例を示す図、である。
半導体デバイス製造ラインでは、一般的に高価な露光装置を用いるホトリソグラフィー工程がボトルネックとなることが多いため、ホトリソグラフィー工程に関してウェハ1枚当たりの処理時間を算出し、処理能力の限界を設けて計算処理を行う。他の工程に関しては能力の制限を設けず、一定のTATで各工程を通過するものと仮定して日別の必要処理ウェハ枚数を算出する。
ステップ201において、ボトルネック装置抽出の対象期間における生産計画データを取得する。例えば、生産計画データは、予め生産計画情報が登録されている生産計画データベース部41から該当期間分のデータを取得する。また、オペレータが直接生産計画データを作成してもよい。生産計画データには、製品毎の投入月日、投入ウェハ枚数、号機限定となるホトリソグラフィー工程で使用する露光装置の情報などが含まれる。
図6に示す生産計画データの表示例では、対象期間が1/1〜1/10までに10日間であり、投入製品はa、b、cの3品種である。日・製品・号機限定工程で使用する露光装置毎に投入ウェハ枚数が表示される。また、製品、日毎、露光装置の組合せ毎に投入ウェハ枚数の合計値が表示される。いずれのデータを本画面にて変更することが可能である。
ステップ202において、半導体デバイス製造ラインに仕掛かっているロットの情報を取得する。仕掛りロットの情報は、製造ラインのロットの進捗状況を逐次管理している製造管理システム3より取得することができる。仕掛りロットの情報には、該当ロットの名称・ロット内のウェハ枚数・製品名称・現在仕掛かっている工程名称(工程コードでもよい)・最初のホトリソグラフィー工程で使用した露光装置の名称(装置コードでもよい)などが含まれる。
ステップ203において、ステップ201,202で取得した製品に該当するホトリソグラフィー工程情報を取得し、各ホトリソグラフィー工程と露光装置の組合せ毎にウェハ1枚当たりの処理時間を算出する。工程情報は、製品毎の工程情報を管理する工程マスタデータベース部43から取得する。工程情報には、工程名称(工程コードでもよい)、工程の種類(ホトリソグラフィー工程、エッチング工程など)、該当工程で使用可能である製造装置の装置名称(装置コードでもよい)などが含まれる。ウェハ1枚当たりの処理時間は、
ウェハ1枚当たりの処理時間
=f(ショット数、露光量、露光装置の動作特性)・・・(1)
(1)式のように、ショット数、設定した露光量、露光装置の機差情報の関数で表現される。
ショット数が増加した場合、半導体ウェハ1枚当たりの露光回数が増加する。そのため、ロットの処理時間はショット数に比例して増加する。このショット数は品種に依存するパラメータである。また、露光量が大きくなる場合、1ショット当たりの露光時間が増加するため、ロットの処理時間は露光量に比例して増加する。通常、ショット数や露光量は、製品・工程・露光装置毎の製造条件を規定した製造仕様書から取得することができる。また、各ロットの過去の処理実績を蓄積する処理実績データベース部45から取得することもできる。処理実績情報には、ロット名称、製品名、工程名(工程コードでもよい)、該当製品・工程で使用された製造装置名(装置コードでもよい)、処理開始日時、処理終了日時、製造条件実績(ホトリソグラフィー工程ではショット数や露光量を含む)などが含まれる。
まだ「条件出し作業」を行っていない製品・工程・露光装置の組合せに関しては、露光量が製造仕様書や処理実績データベース部45にも登録されていない。この場合、露光量を製品・工程毎の基準露光量と該当露光装置の露光量補正係数の積にて算出する。ここで、製品・工程毎の基準露光量は、同一または類似する製品・工程・露光装置の露光量実績データを検索し、検索データ毎に該当する露光装置の機差成分を取り除く処理を行った後の全データの平均値で代替することができる。露光量補正係数は、同一レチクルの同一パターンから形成されたレジスト寸法を同じ値にするのに必要な露光量の露光装置間の比率で表される。これにより、「条件出し作業」を行っていない製品・工程・露光装置の組合せに関してもロットの処理時間を推定することができる。
露光装置の動作特性データとして、照明系から照射される照度、ショット毎のステージの送り時間や露光装置内部の各種計測時間や段取り作業に要する時間などが挙げられる。例えば、露光装置間に照度の機差がある場合、同一の露光量を照射するのに要する時間が異なってくる。そのため、露光装置毎に照度データを予め取得し装置マスタデータベース部44に蓄積する必要がある。また、ステージの送り時間、計測時間、段取り時間は同一機種の露光装置群内の号機間では大差はないが、機種の違いにより装置性能が異なるため、少なくとも機種毎に予め装置の動作特性データを取得し、装置マスタデータベース部44に蓄積する必要がある。
ステップ204において、ステップ201,202で取得した製品に該当するホトリソグラフィー工程以外の工程情報を取得し、各工程における工程間TAT(該当工程から次の工程までに要する時間)を各ロットの過去の処理実績を蓄積する処理実績情報を用いて算出する。例えば、工程間TATは、製品・工程毎に各ロットの処理開始時間および次工程における処理開始時間の差分値の平均値とユーザが設定した調整係数の積にて算出される。このとき、統計的な異常除去処理を用いて他のロットと比べ工程間TATが大きいデータを除去してもよい。
ステップ205において、ステップ201,202で取得した製品に該当する工程情報を取得し、各工程における着工可能製造装置情報を取得する。着工可能製造装置は、製品・工程毎の製造条件を規定した製造仕様情報から取得することができる。また、各ロットの過去の処理実績を蓄積する処理実績データベース部45から一定の期間内に着工された製品、工程、製造装置を検索し、その検索結果を着工可能製造装置としてもよい。
図7に示す製品・工程毎の製造装置の使用情報の表示例では、品種Aの工程1〜3における着工可能製造装置群および着工可能製造装置を示している。工程1では製造装置群Aのうち、A1、A2、A3の製造装置が着工可能装置である。工程2では製造装置群Bに所属する製造装置のうち、B1の製造装置を除く残りの製造と装置を使用することができる。このような情報は他の製品・工程に関しても、製品や工程を選択することにより表示することができる。着工可能装置や着工禁止装置の設定は本画面にて変更することが可能である。
ステップ206において、各ロットの過去の処理実績を蓄積する処理実績データベース部45を用いて、製造装置毎の最大処理能力を算出する。例えば、処理実績データベース部45から製造装置毎の1日当たりの処理ウェハ枚数と装置稼働率の平均値を計算する。このとき、統計的な異常除去処理を用いて他の日と比べ処理ウェハ枚数や装置稼働率が異常とみなせるデータを除去してもよい。そして、製造装置毎の最大処理能力は、実績値から算出した単位稼働率当たりの処理ウェハ枚数と製造装置毎に設定された限界稼働率の積で算出することができる。最大処理能力は、製造装置群に所属する全て製造装置を対象に、上記の処理を行い、製造装置群毎に算出してもよい。
ステップ207において、ステップ201,202にて取得した生産計画情報および仕掛りロット情報および、ステップ203、204にて算出したロット処理時間情報および工程間TAT情報を用いて、日別の製品、工程毎に必要処理ウェハ枚数を算出する。ここで、該当日における製品、工程毎の必要処理ウェハ枚数の算出方法について説明する。生産計画および仕掛りロット情報に含まれる全ロットに関して以下の処理を行う。ただし、投入日以前のロットや完成したロットは処理対象外とする。まず、該当ロットの製品および仕掛り工程およびその工程での残り停滞時間および号機限定露光装置情報を取得する。
新規投入ロットに関しては、仕掛り工程は最初の工程に、停滞時間を0とする。該当工程がホトリソグラフィーの号機限定工程の場合、該当ロットの号機限定露光装置の稼働率に該当ロットの停滞時間および処理時間分の稼働率を加味する。装置稼働率が限界稼働率より大きくなる場合、該当ロットの停滞時間を残り処理時間にて更新し、該当ロットの処理を終了する。装置稼働率が限界稼働率以内となる場合は、該当製品・工程・露光装置の必要処理ウェハ枚数に該当ロットのウェハ枚数を加味して、次工程の処理を行う。
該当工程がホトリソグラフィーの号機限定工程以外の場合、該当ロットの停滞時間に該当工程の工程間TATを加える。この和が1日より大きくなる場合、1日を越える時間分を該当ロットの停滞時間として更新し、該当ロットの処理を終了する。総和値が1日以内の場合、該当製品・工程の必要処理意ウェハ枚数に該当ロットのウェハ枚数を加味して、次工程の処理を行う。このように全ロットを日別に工程を移動させて、製品・工程毎の必要処理ウェハ枚数を算出する。
ステップ208において、ステップ205にて取得した製品・工程別の着工可能製造装置情報および、ステップ207にて算出した日・製品・工程別の必要処理ウェハ枚数を用いて、日毎に製品・工程別の必要処理ウェハ枚数を着工可能装置に分配し、日毎の製造装置の必要処理ウェハ枚数を算出する。該当工程がホトリソグラフィーの号機限定工程の場合、ステップ207において該当製品・工程・露光装置別の必要処理ウェハ枚数が算出されているため、ここでは特に処理は行わない。その他の工程の場合、該当製品・工程の必要処理ウェハ枚数を着工可能装置に均等配分する。
図8に示す該当日における製造装置毎の必要処理ウェハ枚数の算出例では、製造装置群Aにおいて製品a・工程iおよび製品b・工程iの必要処理ウェハ枚数を配分する。製品a・工程iの着工可能装置は製造装置A1、A2、A3であり、製品b・工程iの着工可能装置は製造装置A3、A4、A5である。製品a・工程iの必要処理ウェハ枚数を、製造装置A1、A2、A3に均等配分する。同様に、製品b・工程iの必要処理ウェハ枚数を、製造装置A3、A4、A5に均等配分する。製造装置毎の必要処理ウェハ枚数は各製品・工程にて分配された必要処理ウェハ枚数の和となる。
ステップ209において、ステップ206にて算出した製造装置毎の最大処理能力および、前記ステップ208にて算出した日・製造装置別の必要処理ウェハ枚数を用いて最大処理能力を超える製造装置を算出する。
図9に示す日・製造装置別の必要処理ウェハ枚数および製造装置毎の処理可能ウェハ枚数の算出結果例では、製造装置A1の日別の必要処理ウェハ枚数が表示される。製品・工程別の必要処理ウェハ枚数も表示することができる。この例では、1/3において必要処理ウェハ枚数が処理可能ウェハ枚数を超えるため、製造装置A1はボトルネック装置として抽出される。
ステップ210において、ステップ209にて算出したボトルネック装置にて処理させる全ての製品・工程をボトルネック工程とする。図9の例では、製造装置A1において着工される製品a・工程i、製品a・工程3、製品c・工程1がボトルネック製品・工程となる。
次に、図10により、図11,図12を参照しながら、各実施の形態における生産シミュレーションモデルを用いたボトルネック発生時期の特定方法を説明する。それぞれ、図10は前記図4のステップ102における生産シミュレーションモデルを用いたボトルネック発生時期の特定処理の詳細を示すフローチャート、図11は生産シミュレーションツールを用いた装置稼働率の算出結果例を示す図、図12は生産シミュレーションツールを用いた仕掛りウェハ枚数の算出結果例を示す図、である。
ここでは、市販の生産シミュレーションツールに、半導体デバイス製造工程のうち、一般的に高価な露光装置を用いるホトリソグラフィー工程およびボトルネック工程に関して詳細なロットの処理時間を表現した処理時間モデルを作成し、他の工程に関しては能力の制限を設けず一定のTATで各工程を通過するものとしてモデル化を行い、ボトルネックの発生時期を算出する。
ステップ301において、評価対象期間における生産計画データを取得する。取得方法およびデータ内容は前記ステップ201にて記載したものと同じであるため、説明は省略する。
ステップ302において、半導体デバイス製造ラインに仕掛かっているロットの情報を取得する。本処理も前記ステップ202と同じであるため、説明は省略する。
ステップ303において、前記ステップ205と同様な処理を行い、前記ステップ210にて算出したボトルネック製品・工程における着工可能製造装置情報を取得する。
ステップ304において、前記ステップ203と同様な処理を行い、ステップ301,302で取得した製品に該当するホトリソグラフィー工程情報を取得し、各ホトリソグラフィー工程と露光装置の組合せ毎にウェハ1枚当たりの処理時間を算出する。
ステップ305において、前記ステップ210にて算出したボトルネック製品・工程におけるウェハ1枚当たりの処理時間を各ロットの過去の処理実績を蓄積する処理実績情報を用いて算出する。例えば、ボトルネック製品・工程におけるウェハ1枚当たりの処理時間は、処理実績データベース部45から製品・工程毎に各ロットの処理開始時間および処理終了時間の差となる処理時間を処理ウェハ枚数で割った値の平均値にて算出される。このとき、統計的な異常除去処理を用いて他のロットと比べ処理時間が異常なデータを除去してもよい。
ステップ306において、前記ステップ204と同様な処理を行い、前記ステップ210にて算出したボトルネック製品・工程以外の工程における工程間TAT(該当工程から次の工程までに要する時間)を各ロットの過去の処理実績を蓄積する処理実績情報を用いて算出する。
ステップ307において、ステップ301〜306において取得した情報を基に、生産シミュレーションツールの生産ラインモデルを作成する。一般的に、生産ラインモデルには、製品毎の工程マスタ情報および、生産計画および仕掛りロット情報および、製造装置マスタ情報が必要となる。
工程マスタ情報には、工程フロー情報や工程別の処理時間情報や着工可能装置情報が含まれる。ボトルネック製品・工程では、ステップ303にて着工可能装置情報および、ステップ305にて算出したウェハ1枚当たりの処理時間を工程マスタに代入する。ホトリソグラフィー工程では、ステップ301および302にて取得したロット毎の使用露光装置およびステップ304にて算出したウェハ1枚当たりの処理時間を工程マスタに代入する。ボトルネック製品・工程以外の工程では、能力制限を設けず、ステップ306にて算出して工程間TATを処理時間として工程マスタに代入する。
製造装置マスタ情報には、製造装置群と製造装置の集合関係情報および装置の処理タイプ(複数ロットをまとめて一括に処理する「バッチ処理」やウェハ1枚毎に処理する「枚葉処理」などがある)が含まれる。ボトルネック製品・工程で使用される製造装置および、ホトリソグラフィー工程で使用される露光装置の情報を製造装置マスタに代入する。生産シミュレーションツールでは、生産ラインモデルに基づいて、各ロットのライン内における動きを計算する。例えば、一定期間毎の製造装置の処理ウェハ枚数や稼働率や、ある時点における品種・工程毎の仕掛りウェハ枚数などを計算することができる。
図11に示す生産シミュレーションツールを用いた装置稼働率の算出結果例では、1/1〜1/9間の製造装置A1における日別の稼働率推移の計算結果を表示している。その日の稼働率における製品・工程の割合も把握することができる。この例では、1/4〜1/7にかけて装置稼働率が高くなっている。
図12に示す生産シミュレーションツールを用いた仕掛りウェハ枚数の算出結果例では、1/1〜1/9間の製品a・工程1における日別の仕掛りウェハ枚数推移の計算結果を表示している。この例では、該当製品・工程における仕掛りウェハ枚数が1/4〜1/6にかけて多くなっている。
ステップ308において、ステップ307にて実施した生産シミュレーション結果を用いてボトルネック装置とその発生時期を特定する。例えば、日別の製造装置の稼働率が製造装置毎に設定された限界稼働率を超えた時点をボトルネック発生とし、装置稼働率が限界稼働率を下回った時点をボトルネック解除とする。図11の生産シミュレーション結果例では、1/4において装置稼働率が限界稼働率を超えたため、1/4に製造装置A1でボトルネックが発生するものとする。また、1/8において装置稼働率が限界稼働率を下回るため、1/8に製造装置A1のボトルネックが解除される。このとき。1/4から1/8がボトルネック期間となる。
次に、図13により、図14を参照しながら、各実施の形態におけるボトルネック要因の分類方法を説明する。それぞれ、図13は前記図4のステップ103におけるボトルネック要因の分類方法および前記ステップ104および105におけるボトルネック対策指示の詳細な処理を示すフローチャート、図14はボトルネック装置の所属する装置群の処理能力判定方法を示す図((a)は処理能力不足、(b)は「条件出し実験」不足)、である。
ステップ401において、図4のステップ102において算出されたボトルネック装置の所属する製造装置群の処理能力の判定を行う。
図14に示すボトルネック装置の所属する装置群の処理能力判定方法の場合、図4のステップ102にて製造装置群Aがボトルネック装置群と特定されている。そこで、ボトルネック発生時点における製造装置群Aに属する製造装置A1〜A5の装置稼働率を比較して、処理能力の判定を行う。(a)のように、製造装置A1〜A5の全ての装置稼働率が限界稼働率を超える(もしくは限界稼働に近い)場合は、製造装置群A全体の処理能力が不足していると判定される。一方、(b)のように、製造装置A1〜A3の装置稼働率が限界稼働率を越えているが、製造装置A4、A5の装置稼働率が低い場合は、製造装置群A全体の処理能力に余裕があると判定される。このような製造装置群の処理能力判定により、「処理能力余裕あり」と判定された場合は、ステップ402を実施する。一方、「処理能力不足」と判定された場合は、ステップ404を実施する。
ステップ402において、ボトルネックに対する準備期間判定を行う。ボトルネックが終了するまでの期間より「条件出し作業」等のボトルネック対策の準備期間が長い場合、ボトルネックに対する準備が間に合わないため、ステップ404を実施する。一方、ボトルネックが終了するまでの期間よりボトルネック対策の準備期間が短い場合、ステップ403を実施する。
ステップ403において、ボトルネック装置群のうち、限界稼働率より小さい稼働率の製造装置の中で最も稼働率が低い製造装置に対して、限界稼働率より大きい製造装置のうち最も負荷が高い製品・工程の「条件出し作業」の指示を行う。このとき、「条件出し作業」を行う製造装置が、前記図7に示す製品・工程別の着工可能装置情報において着工禁止となっている場合は、限界稼働率より小さい稼働率の製造装置のうち、次に稼働率が小さい製造装置に「条件出し作業」の指示を行う。限界稼働率より小さい稼働率の製造装置が該当製品・工程の着工禁止装置だけの場合、限界稼働率より大きい製造装置のうち、次に負荷が高い製品・工程の「条件出し作業」の指示を行う。
そして、該当製品・工程の稼働率を「条件出し作業」を行う製造装置を含めて、均等に再配分する。図14の例では、製造装置A1〜A3において、製品a・工程1の負荷が高いため、稼働率の最も低い製造装置A4に製品a・工程1の「条件出し作業」の指示を行う。この「条件出し作業」により、製造装置A1〜A3の稼働率を限界稼働率以下にすることができる。製造装置群の全ての製造装置の稼働率が限界稼働率以下になるまで、以上の処理を繰り返し行う。一定回数の処理を行った後、限界稼働率以上となる製造装置が存在する場合は、限界稼働率とボトルネック装置として、ステップ404を実施する。
ステップ404において、ボトルネック発生時期の判定処理を行う。評価時点において該当ボトルネック装置がボトルネックとなっていない場合、ステップ405を実施する。なお、評価時点において該当ボトルネック装置のボトルネック発生時期が対策対象期間より長い場合は、本処理では該当ボトルネック装置の対策処理を実施しない。一方、評価時点において該当ボトルネック装置がボトルネックとなっている場合は、ステップ406を実施する。
ステップ405において、まず、該当ボトルネック装置での着工を予定しているボトルネック対象製品・工程を作成する。ボトルネック装置に関しては、特にディスパッチルールを変更しない。ボトルネック対象製品・工程より前の一定数の工程で使用される製造装置に関しては、この工程内に該当するロットの優先度を上げるディスパッチルールに変更する。これにより、ボトルネックが発生する前に、ボトルネック装置においてボトルネック対象となる製品・工程のロットを着工することができる。
ステップ406において、まず、該当ボトルネック装置での着工を予定しているボトルネック対象製品・工程を作成する。ボトルネック装置に関しては、待ち時間や段取り時間が最小となるディスパッチルールに変更する。これにより、ボトルネック装置の稼働率を最大化することができる。ボトルネック対象製品・工程より前の一定数の工程で使用される製造装置に関しては、この工程内に該当するロットの優先度を下げるディスパッチルールに変更する。これにより、ボトルネック製品・工程に仕掛りロットがたまることを防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、半導体デバイス製造ラインにおいて現時点の仕掛りロットと生産計画の情報を基に、生産面で隘路となるボトルネック装置とその発生時期の計算およびボトルネック要因の分類を行い、分類結果に応じたボトルネック対策を実行する機能を持つため、ボトルネック装置の負荷が経時的かつ同一装置群内の装置内で平準化され、各ロットの待ち時間が短縮され、結果、各ロットのTATが短縮される。また、ボトルネック対策として使用装置の追加・停止指示を行う機能により、急な生産計画の変更に対応した「条件出し作業」計画を短時間で立案することができ、製造ラインの生産量を増加させることができる。また、計算処理に必要な装置能力やTAT情報を過去の処理実績を用いて算出するため、容易に作成することができる。
本発明における第1の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムの全体構成を示すブロック図である。 本発明における第2の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムの全体構成を示すブロック図である。 本発明における第3の実施の形態の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システムの全体構成を示すブロック図である。 本発明における各実施の形態において、半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法を示すフローチャートである。 本発明における各実施の形態において、図4のステップ101における日・製造装置毎の必要処理ウェハ枚数の算出によるボトルネック製品・工程・製造装置の抽出処理の詳細を示すフローチャートである。 本発明における各実施の形態において、生産計画データの表示例を示す図である。 本発明における各実施の形態において、各製品・工程における製造装置の使用情報の表示例を示す図である。 本発明における各実施の形態において、製造装置毎の必要処理ウェハ枚数の配分処理の算出例を示す図である。 本発明における各実施の形態において、日・製造装置別の必要処理ウェハ枚数および製造装置毎の処理可能ウェハ枚数の算出結果例を示す図である。 本発明における各実施の形態において、図4のステップ102における生産シミュレーションモデルを用いたボトルネック発生時期の特定処理の詳細を示すフローチャートである。 本発明における各実施の形態において、生産シミュレーションツールを用いた装置稼働率の算出結果例を示す図である。 本発明における各実施の形態において、生産シミュレーションツールを用いた仕掛りウェハ枚数の算出結果例を示す図である。 本発明における各実施の形態において、図4のステップ103におけるボトルネック要因の分類方法およびステップ104および105におけるボトルネック対策指示の詳細な処理を示すフローチャートである。 本発明における各実施の形態において、ボトルネック装置の所属する装置群の処理能力判定方法を示す図((a)は処理能力不足、(b)は「条件出し実験」不足)である。 本発明の前提として検討した技術において、半導体デバイス製造フローを示す図である。 本発明の前提として検討した技術において、製造装置群における品種・工程別の着工可能装置の関係を示す図である。 本発明の前提として検討した技術において、半導体デバイス製造ラインの各工程における仕掛りロットの概念を示す図である。
符号の説明
1…製造装置群、2…製造装置、3,3a,3b…製造管理システム、4…データベース部、41…生産計画データベース部、42…仕掛りロットデータベース部、43…工程マスタデータベース部、44…装置マスタデータベース部、45…処理実績データベース部、5,5a…ボトルネック対策処理ステーション、6…入出力インターフェイス、7…ボトルネック装置発生予測処理部、8…ボトルネック要因分類処理部、9…ディスパッチルール変更処理部、10…使用装置変更指示部。

Claims (5)

  1. 半導体デバイス製造の製造ラインに仕掛っているロット情報および今後の生産計画情報から製造装置に要求される生産能力が装置の処理可能生産能力を越えるボトルネック装置およびその発生時期を予測し、
    前記予測したボトルネック装置の生産能力状況およびその発生時期に応じてボトルネック要因を分類し、
    前記分類した結果に応じて、前記ボトルネック装置が所属する製造装置群全体の処理能力が不足する場合には次の処理ロットを決定するディスパッチルールを変更し、前記ボトルネック装置が所属する製造装置群全体の処理能力に余裕がある場合には負荷が低い製造装置に条件出し作業の指示を行う、ことを特徴とする半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法。
  2. 請求項1記載の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法において、
    前記製造装置に要求される生産能力が装置の処理可能生産能力を越えるボトルネック装置の発生予測処理は、評価対象期間における生産計画および、半導体デバイス製造ラインの仕掛りロット情報および、製品・工程毎の工程間TATやウェハの処理時間や着工可能製造装置情報および、製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を取得する処理と、前記取得した情報を用いて日毎の製品・工程別の必要処理ウェハ枚数を計算する処理と、前記日毎の製品・工程別の必要処理ウェハ枚数を該当製品・工程における使用可能な製造装置へ配分する処理により算出した日毎の製造装置別の必要処理ウェハ枚数と製造装置毎の処理可能ウェハ枚数の比較によるボトルネック装置の抽出処理を行うことを特徴とする半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法。
  3. 請求項1記載の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法において、
    前記製造装置に要求される生産能力が装置固有の能力を越えるボトルネック装置の発生予測処理は、評価対象となる生産計画および、現状の製造ラインの仕掛りロット情報および、製品・工程毎の工程間TATやウェハの処理時間や着工可能製造装置情報および、製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を取得する処理と、ボトルネック対象となる製造装置情報を取得する処理と、前記取得した情報を用いてボトルネック装置に該当する製品・工程の生産ラインモデルを作成し、本モデルを用いたシミュレーション計算により算出した一定期間毎の製造装置の稼働率からボトルネック装置およびその発生時期を特定する処理を行うことを特徴とする半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法。
  4. 請求項2または3記載の半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法において、
    前記ボトルネック装置の発生予測処理は、前記日毎の製造装置別の必要処理ウェハ枚数の計算によりボトルネック装置を抽出し、前記抽出されたボトルネック装置を用いて前記シミュレーション計算のツールを用いたボトルネック装置の発生時期の予測処理を行い、
    製品・工程毎または製品・工程・製造装置毎のウェハの処理時間を半導体デバイス製造ラインにおいて過去に処理を行ったロットの実績履歴データを用いて算出するか、あるいは製品・工程毎の工程間TATを半導体デバイス製造ラインにおいて過去に処理を行ったロットの実績履歴データから算出した工程間TATの実績値に調整係数を掛け合わせて算出することを特徴とする半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避方法。
  5. 半導体デバイス製造における生産計画情報が蓄積される第1のデータベース部と、
    半導体デバイス製造ラインの仕掛りロット情報が蓄積される第2のデータベース部と、
    製品毎の工程マスタ情報が蓄積される第3のデータベース部と、
    製造装置マスタ情報が蓄積される第4のデータベース部と、
    半導体デバイス製造ラインにおけるロット進捗状況の管理および制御を行う製造管理システムと、
    各データベース部より取得した生産計画情報および仕掛りロット情報および該当する製品の工程情報および装置マスタ情報を用いてボトルネックとなる製造装置およびその発生時期を特定するボトルネック装置発生予測処理部と、
    ボトルネック装置の能力状況およびその発生時期からボトルネック要因を分類し、ボトルネック要因毎の対策を決定するボトルネック要因分類処理部と、
    ボトルネック要因に応じて該当製造装置のディスパッチルールを変更するディスパッチルール変更処理部と、
    使用装置の追加や停止の指示を行う使用装置変更指示部と、から構成されることを特徴とする半導体デバイス製造におけるボトルネック発生回避システム。
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