JP2005189161A - 動釣合試験機 - Google Patents

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博志 辻
Naoki Nishimura
直喜 西村
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Abstract

【課題】 ワークの軸方向移動を防止して測定精度の向上を図ることができる動釣合試験機の提供。
【解決手段】 架台2A、2B上でワークWを軸受機構4A,4Bに支持し、駆動ベルト60によりワークWを回転させて不釣り合い量を測定する。ワークWが軸方向に流れたとき、その軸端は流れ止め防止機構5A,5Bの流れ止め板51に当接し、磁石52の磁力で吸着される。いったん流れ止め板51に当接するとワークWの軸方向位置が固定されるので、その固定位置での不釣り合い量を測定することにより、測定精度が向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は動釣合試験機に関する。
動釣合試験機では、モータロータ等のワークがセットされる架台は、基台に設けられた板バネ等の弾性軸受機構により吊り下げ支持されている。そして、ワークは架台上に設けられている回転軸受上に両端が支持され、駆動ベルトによりワークが回転駆動される。そのときのワークに不釣り合いが存在すると、架台が水平方向に振動する。この振動を検出器で検出することによりワークの不釣り合い量を検出するようにしている(例えば、特許文献1)。
特開平9−273973号公報
特許文献1の動釣合試験機では、試験中にワークが軸方向に流れると測定精度に悪影響を及ぼすので、動釣合試験機の軸受機構両端には流れ止め部材が設けられている。ワークは回転しながら流れ止め部材に当たるので、跳ね返り現象が発生することがある。この跳ね返る現象を防止するためには、流れ止め部材を適切に設計して取り付ける必要があるが、従来は、跳ね返り現象を完全に防止することはできなかった。
また、ワークを駆動する駆動ベルトはワークの下側で接触しているため、不釣り合いによりワークに発生する遠心力と駆動ベルトの張力による力がワークの自重を越えると、ワークが軸受機構から飛び跳ねる現象が発生する。このような飛び跳ね現象が発生すると正確な測定が難しくなる。
(1)請求項1の発明による動釣合試験機は、ワークを回転可能に支持する軸受機構と、軸受機構で支持したワークの軸方向の移動を抑止する吸着力を発生する磁石と、ワークを回転駆動したときにそのワークの不釣り合いにより発生する物理量を検出する検出手段と、検出手段で検出した物理量に基づいて、ワークの不釣り合い量を演算する演算手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明による動釣合試験機は、ワークを回転可能に支持する軸受機構と、軸受機構で支持したワークの上方への跳ね上がりを抑止する吸着力を発生する磁石と、ワークを回転駆動したときにそのワークの不釣り合いにより発生する物理量を検出する検出手段と、検出手段で検出した物理量に基づいて、ワークの不釣り合い量を演算する演算手段とを備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明による動釣合試験機は、ワークを回転可能に支持する軸受機構と、軸受機構で支持したワークの軸方向の移動を抑止する吸着力、およびワークの上方への跳ね上がりを抑止する吸着力を発生する磁石と、ワークを回転駆動したときにそのワークの不釣り合いにより発生する物理量を検出する検出手段と、検出手段で検出した物理量に基づいて、ワークの不釣り合い量を演算する演算手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ワークの軸方向移動が防止され、あるいは、ワークの跳ね上がり現象が防止されるので、測定精度が向上する。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、一実施の形態による動釣合試験機を示したものであり、(a)が上面図、(b)がその正面図である。図2は軸受機構周辺の要部拡大であり、(a)は図1(a)の動釣合試験機をA方向から見た図である。
動釣合試験機は基台1を備えている。基台1には一対の振動架台2A、2Bが板バネ3A、3Bにより吊持されている。振動架台2A,2Bのそれぞれにはそれぞれ軸受機構4A,4Bが設けられ、これによりワークWの両端軸部が一対の軸受機構4A,4Bで回転可能に支持される。
軸受機構4A,4Bは、振動架台2A,2Bにボルト11で固定される保持板41と、保持板41に対して上下方向に位置調節可能に設けられ、ボルト12でその位置が固定されるV字溝42aを有するスライド板42と、スライド板42のV字溝42aに設けられた人工サファイアやルビーなどから成る軸受43と、スライド板42に取り付けられる流れ止め機構5A,5Bとをそれぞれ備えている。この実施の形態で想定するワークWは、軸径が1mm程度、重量が2g程度の非常に微小なロータである。
流れ止め機構5A,5Bは、ワークWの軸端面と対向する当接面51aを有する流れ止め板51と、流れ止め板51の当接面51aとは反対側の面に取り付けられた磁石52とを備えている。この磁石52は、当接面51aにワークWの軸端面が当接したときに軸端面を磁力で吸着して、ワークWの跳ね返りを防止するものである。
駆動ベルト60はワークWの下面で接触してワークWへ回転力を与える。駆動ベルト60からの駆動力を受けてワークWが回転すると、ワークWの不釣り合いにより振動架台2A,2Bが図1(b)の左右方向に振動する。この振動はムービングコイル式の振動検出器70により検出される。検出器70は、コイル部71とコイル部71内をスライドする心棒72とを備えている。基台1側にコイル部71が設けられ、心棒72は振動架台2A,2Bに固定される。
図3は動釣合試験機を模式的に示したブロック図である。軸受機構4A,4BにワークWを載置し、モータ65によりベルト60を駆動してワークWを回転すると、ワークWの不釣り合いに起因する振動が発生する。その結果、一対の振動検出器70のコイル部71と心棒52との相対位置関係が変化し、ワークWの振動に応じた検出信号を得ることができる。振動検出器70から出力される振動検出信号は、動釣合試験機の演算装置80に設けられた増幅器81によって増幅された後に演算回路82にそれぞれ入力される。演算回路82では、入力された振動検出信号に基づいてワークWの不釣り合い量を演算する。不釣り合い量は各軸受機構2A,2B毎に算出される。算出された不釣り合い量は、演算装置80の表示器83に表示される。
このように構成された第1の実施の形態の動釣合試験機では、上述したように、駆動ベルト60でワークWを回転駆動しながらワークWの不釣り合い量を検出器70で測定する。ワークWを駆動ベルト60で駆動する際、種々の要因によりワークWはその軸方向に移動して流れ止め機構5Aもしくは5Bに当接する。流れ止め機構5A,5Bには磁石52が設けられているので、いったんワークWの軸端面が流れ止め板51に当接すると磁石52の吸着力によりワークWは当接面51aに吸着され、軸方向の位置が固定される。そのため、従来のような跳ね返り現象が抑制され、測定精度が向上する。
図4に示すように、流れ止め機構5A、5Bの磁石52を流れ止め板51の内側に設け、ワークWの軸端面を、直接、磁石52に吸着させるようにしても良い。
―第2の実施の形態―
第1の実施の形態の動釣合試験機では、ワークWの軸方向移動を磁石による吸着力で防止するようにしたが、第2の実施の形態の動釣合試験機では、ワークWの跳ね上がりを磁石による吸着力で防止することを特徴とするものである。
図5および図6を参照して第2の実施の形態の動釣合試験機を説明するが、図1および図2と同様な箇所には同一の符号を付して相違点を主に説明する。板バネ3A、3Bにより基台1から吊持されている一対の振動架台2A、2Bには、軸受機構4A,4BによりワークWの両端軸部が回転可能に支持される。
軸受機構4A,4Bの保持板41のベース部上には、ワークWの軸端の真下近傍に磁石45が設けられている。この磁石45の磁力はワークWの跳ね上がりを防止するものであり、ワークWの軸端部を下方向に付勢する。この実施の形態で想定するワークWも、上述したように、軸径が1mm程度、重量が2g程度の非常に微小なロータである。したがって、磁石45は、重量2g程度のワークの跳ね上がりを防止するに必要な磁力を有するものである。
このように構成された第2の実施の形態の動釣合試験機では、上述したように、駆動ベルト60でワークWを回転駆動してワークWの不釣り合いを検出器70で測定する。ワークWを駆動ベルト60で駆動する際、不釣り合いによりワークWに発生する遠心力と、駆動ベルト60の張力に起因するワーク上方への力がワークWに働き、ワークWが軸受機構4A,4Bから跳ね上がる場合がある。
第2の実施の形態による動釣合試験機では、ワークWの両軸端の下方には磁石45が設けられているので、上述した理由でワークWが軸受機構4A,4Bから跳ね上がろうとする力が働いても、磁石45の吸着力によりワークWが跳ね上がることが防止される。そのため、ワークWの軸位置を一定のまま、すなわち、ワークWの両軸端が軸受43に接したまま不釣り合い量を測定することができるので、測定精度が向上する。
ー第3の実施の形態―
図4に示した動釣合試験機の場合、流れ止め板51とスライド板42を磁性材料で製作すると、磁石52→流れ止め板51→スライド板42→ワークW→磁石52のように磁気回路(磁束)が形成される。その結果、ワークWの軸端面は磁石52で直接吸着されて軸方向の移動が防止されるととともに、V字溝42aにおいてワークWには下方に向く吸着力が作用するので、ワークWの跳ね上がりも防止される。
すなわち、第3の実施の形態による動釣合試験機では、ワークWの軸方向移動防止と跳ね上がり防止を1つの磁石で実現することができるので、コンパクトで低コストな動釣合試験機を提供することができる。
また、図7のように、流れ止め板151とスライド板42との間に磁石152を介在させて吸着装置15をボルト13でスライド板42に取り付けても良い。この場合も、図7に示すように磁束が発生するから、1つの磁石152によりワークWの軸方向移動と跳ね上がりを防止することができる。
以上説明した動釣合試験機では、基台1から板バネ3A,3Bで架台2A,2Bを吊り下げ、ワークWの不釣り合いに伴う水平振動を検出器70で検出するようにした。しかし、本発明は、軸受機構で回転可能にワークを支持する架台を圧電素子のような力検出器を介して基台に載置し、ワークの不釣り合いに伴う鉛直方向の力を圧電素子で検出して不釣り合いを測定するようにした動釣合試験機にも適用できる。
さらに、磁石52、152を電磁石で構成しても良い。この場合、ワークの大きさ、材質、重量に応じて適切に電磁力を調整してワークの軸方向移動防止のための吸着力と跳ね上がり防止のための吸着力を適切に調整することができるので、より多くのワークに対して測定精度を向上することができる。
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の構成要素との対応において、振動検出器70や圧電素子は検出手段を、演算装置80は演算手段をそれぞれ構成する。また、ワークの不釣り合いにより発生する振動や鉛直方向の力が物理量に相当する。
なお、本発明の特徴を損なわない限り、すなわち、磁力によりワークの軸方向移動を防止したり、ワークの跳ね上がり現象を防止することができるものであれば、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明による動釣合試験機の構成を示し、(a)が平面図、(b)がB方向から見た図 図1の動釣合試験機をA方向から見た拡大図 動釣合試験機の概略構成を模式的に示すブロック図 動釣合試験機の変形例を示す図 動釣合試験機の第2の実施の形態を示し、(a)が平面図、(b)がB方向から見た図 (a)は図5の動釣合試験機をA方向から見た図、(b)はB方向から見た図 動釣合試験機の変形例を示す図
符号の説明
1:基台 2A,2B:架台
3A,3B:板バネ 4A,4B:軸受機構
5A,5B:流れ止め機構 41:保持板
42:スライド板 45:磁石
51:流れ止め板 52,152:磁石
60:駆動ベルト 70:検出器
80:演算装置 W:ワーク

Claims (3)

  1. ワークを回転可能に支持する軸受機構と、
    前記軸受機構で支持したワークの軸方向の移動を抑止する吸着力を発生する磁石と、
    前記ワークを回転駆動したときにそのワークの不釣り合いにより発生する物理量を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出した物理量に基づいて、前記ワークの不釣り合い量を演算する演算手段とを備えることを特徴とする動釣合試験機。
  2. ワークを回転可能に支持する軸受機構と、
    前記軸受機構で支持したワークの上方への跳ね上がりを抑止する吸着力を発生する磁石と、
    前記ワークを回転駆動したときにそのワークの不釣り合いにより発生する物理量を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出した物理量に基づいて、前記ワークの不釣り合い量を演算する演算手段とを備えることを特徴とする動釣合試験機。
  3. ワークを回転可能に支持する軸受機構と、
    前記軸受機構で支持したワークの軸方向の移動を抑止する吸着力、および前記ワークの上方への跳ね上がりを抑止する吸着力を発生する磁石と、
    前記ワークを回転駆動したときにそのワークの不釣り合いにより発生する物理量を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出した物理量に基づいて、前記ワークの不釣り合い量を演算する演算手段とを備えることを特徴とする動釣合試験機。
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