JP2005188703A - ディスクブレーキロータアセンブリ - Google Patents

Abstract

【課題】ボルトや工具を用いることなく効率よく組み立てることが可能なディスクブレーキロータアセンブリを提供する。
【解決手段】ストッパ３０は、弾性変形するフック３０ａを有しており、フック３０ａの先端部分には湾曲部３０ｂが形成されている。ディスクブレーキロータアセンブリ８を構成する際には、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３を連結し、その後、ディスクブレーキロータ２３の連結孔２３ｄおよびロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆに、フック３０ａを挿入する。スッパ３０を完全に挿入すると、挿入中に弾性変形していたフック３０ａの先端部の湾曲部３０ｂが、ロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆ内に形成された段差２８ｇに落ち込んで、非変形状態に戻る。段差２８ｇは、フック３０先端の湾曲部３０ｂが勘合して、ストッパ３０の取付方向における移動を規制する。
【選択図】図４

Description

本発明は、ディスクロータがアダプタに対して連結されて組み立てられたディスクブレーキロータアセンブリに関する。

サイクリングは、交通の手段としてだけでなく、レクリエーションとしてもますます普及している。また、自転車競技は、アマ、プロの両方の分野で非常に人気の高い競技スポーツになっている。自転車業界は、自転車がレクリエーション、交通、競技のいずれに使われる場合でも、自転車の様々な部品に絶えず改良を重ねてきている。特に、自転車用ブレーキシステムは、ここ数年にわたり広範囲にわたって設計し直されてきている。

現在、市場では、数種の自転車用ブレーキ装置が入手可能である。例えば、リムブレーキ、キャリパブレーキ、ディスクブレーキなどの一般的な自転車用ブレーキ装置である。乗り手は、非常に高性能なブレーキシステムを希望する場合は、通常、ディスクブレーキシステムを必要とする。ディスクブレーキシステムは、ブレーキレバーにかけられた操作力に対し非常に大きい制動力を与える。また、ディスクブレーキシステムは、一般に、いかなる天候および運転条件においても高い堅牢さを有している。

このディスクブレーキシステムに用いられる自転車用ブレーキディスクアセンブリは、通常、自転車用フレームに取り付けられブレーキレバーに連結されたキャリパと、自転車ホイールのハブに固定的に連結されたディスクブレーキロータとを備えている。ディスクブレーキロータをホイールのハブに連結するには、複数の異なる方法が用いられる。例えば、ロータ取付ボス（アダプタ）を用いてボルトで固定する方法がよく用いられる。

しかしながら、上記従来の自転車用ブレーキディスクアセンブリでは、以下に示すような問題点を有している。

すなわち、上記従来の自転車用ブレーキディスクアセンブリでは、ディスクブレーキロータとロータ取付ボスとを３〜８本のボルトで１箇所ずつ固定する方法を採用している。このため、組立工程において複数本のボルトを１本ずつ締め付けるための時間が必要となる。このため、ディスクブレーキロータアセンブリの組み立てを効率よく行うことが困難であった。

本発明の課題は、組立工程におけるディスクブレーキロータとハブに連結されるアダプタとの取付時間を短縮し、ボルトや工具を用いることなく効率よく組み立てることが可能なディスクブレーキロータアセンブリを提供することにある。

発明１のディスクブレーキロータアセンブリは、自転車用ハブに対して回転不能な状態で取り付けられるディスクブレーキロータアセンブリであって、アダプタと、ディスクブレーキロータと、係止部材と、を備えている。アダプタは、自転車用ハブに対して回転不能な状態で連結されるとともに、自転車用ハブとの連結方向に開口した少なくとも１つの挿入孔が形成されている。ディスクブレーキロータは、アダプタに対して回転不能な状態で連結されている。係止部材は、アダプタに形成された少なくとも１つの挿入孔に差し込まれて、アダプタに対する連結方向におけるディスクブレーキロータの移動を規制する引掛け部を有する。

ここでは、アダプタに形成された少なくとも１つの挿入孔へ差し込んでディスクブレーキロータを固定するための部材として、アダプタに対する連結方向におけるディスクブレーキロータの移動を規制する引掛け部を有する係止部材を用いている。

従来、ディスクブレーキロータは、アダプタに対して複数本のボルトを工具によって締めつけることで固定されていた。このため、１本ずつボルトを締めつけることは面倒であり、組立工程における生産性が低下する要因となっていた。

そこで、本発明のディスクブレーキロータアセンブリでは、ボルトや工具を用いた固定方法ではなく、ワンタッチ装着が可能な係止部材を用いている。これにより、ボルトや工具を使用せずに容易にディスクブレーキロータをアダプタに対して固定することができる。よって、組立工程におけるアセンブリの組み立て時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。

発明２のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１のディスクブレーキロータアセンブリであって、ディスクブレーキロータは、アダプタと係止部材との間に挟まれるように固定される。

ここでは、ディスクブレーキロータを、アダプタと係止部材との間で挟み込むように固定することで、アダプタとディスクブレーキロータとの連結をより強固にすることができる。

発明３のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１または２のディスクブレーキロータアセンブリであって、係止部材は、弾性変形する。

ここでは、装着過程において弾性変形させるとともに、装着完了時には非弾性変形状態へ戻ることにより、いわゆるパッチン止めによるワンタッチ装着が可能になる。

発明４のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１から３のいずれかのディスクブレーキロータアセンブリであって、係止部材は、アダプタに対して着脱自在である。

ここでは、係止部材が着脱自在であるため、ディスクブレーキロータアセンブリを解体する場合でも、係止部材を取り外すだけで容易にアダプタとディスクブレーキロータとを分離することができる。

発明５のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１から４のいずれかのディスクブレーキロータアセンブリであって、自転車用ハブに形成されたねじ溝に沿って螺合されてディスクブレーキロータを固定する固定部材をさらに備えている。

ここでは、アダプタ、アダプタに対して連結されたディスクブレーキロータ、係止部材を固定部材を用いて自転車用ハブに対して強固に固定することができる。

発明６のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１から５のいずれかのディスクブレーキロータアセンブリであって、係止部材は、ドーナツ形状の平板からなる本体部と、本体部の平面に対して略垂直方向に伸びる爪部材と、を備えている。

ここでは、例えば、ディスクブレーキロータに対して本体部を面接触させるとともに、ディスクブレーキロータを介してアダプタに形成された挿入孔へ爪部材を差し込むことで、ディスクブレーキロータをアダプタに対して安定して固定することができる。

発明７のディスクブレーキロータアセンブリは、発明６のディスクブレーキロータアセンブリであって、引掛け部は、爪部材に形成されており、係止部材の取付方向に略垂直な方向に突出する突出部であって、アダプタに形成された挿入孔には、取付方向における突出部の移動を規制する移動規制部が形成されている。

ここでは、係止部材の爪部材に形成された引掛け部が、アダプタの挿入孔の移動規制部によって取付方向における移動を規制されるため、係止部材がアダプタに形成された挿入孔から抜け落ちることを防止して、ディスクブレーキロータをアダプタに対して確実に保持することができる。

発明８のディスクブレーキロータアセンブリは、発明６または７のディスクブレーキロータアセンブリであって、ディスクブレーキロータには、係止部材に形成された爪部材が差し込まれる貫通穴が形成されている。

ここでは、爪部材をディスクブレーキロータに形成された貫通穴に差し込んで固定しているため、ディスクブレーキロータの面に垂直な方向における固定とともに、ディスクブレーキロータの回転方向における移動も規制することができる。

発明９のディスクブレーキロータアセンブリは、発明６から８のいずれかのディスクブレーキロータアセンブリであって、係止部材は、爪部材を３本有している。

ここでは、ディスクブレーキロータを保持する支点が３箇所になるため、ディスクブレーキロータの連結時に係止部材を安定して取り付けることができる。

発明１０のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１から９のいずれかのディスクブレーキロータアセンブリであって、アダプタは、ディスクブレーキロータに形成された開口に挿入される突起部を備えている。

ここでは、ディスクブレーキロータに形成された開口部にアダプタの突起部を挿入して連結させているため、ロータストッパ等の別部材を用いなくても、ディスクブレーキロータをアダプタに対して回転不能にすることができる。

発明１１のディスクブレーキロータアセンブリは、発明１０のディスクブレーキロータアセンブリであって、突起部は、アダプタに形成された穴部に圧入されている。

ここでは、ディスクブレーキロータの回転を防止するための突起部が、アダプタ本体とは別部材として形成されている。このため、ディスクブレーキロータの貫通口の大きさに応じて、適当な大きさの突起部を圧入して使用することができる。

本発明によれば、ボルトや工具を使用することなく、容易にディスクブレーキロータと自転車用ハブとを固定することができ、組立工程における生産効率を向上させることができる。

［自転車全体の構成］
本発明の一実施形態に係るディスクブレーキロータアセンブリを備えた自転車１０について、図１〜図１１を用いて説明すれば以下の通りである。

本実施形態の自転車１０は、図１〜図３に示すように、フロントおよびリアディスクブレーキハブ（自転車用ハブ）１２、１２’を備えている。

フロントディスクブレーキハブ１２は、前輪１３をフレーム１４のフロントフォークに回転自在に連結する。リアディスクブレーキハブ１２’は、後輪１３’をフレーム１４の後部に回転自在に連結する。フレーム１４は、フレーム１４に調整自在に連結されたサドル１７と、前輪１３を回転するためにフロントフォークに連結されたハンドルバー１８と、自転車１０を推進させるドライブトレイン１９とをさらに備えている。

自転車１０およびその様々な部品については従来から周知であるため、本発明のフロントおよびリアディスクブレーキハブ１２、１２’周辺の部品を除き、ここでは詳細に説明しない。なお、ここで説明しないブレーキ、ディレーラ、追加スプロケットなどを含む従来の自転車の種々の部品を本発明と共に使用してもよい。

自転車１０は、図２および図３に示すように、フロントおよびリアディスクブレーキアセンブリ２０、２０’をさらに備えている。フロントディスクブレーキアセンブリ２０およびリアディスクブレーキアセンブリ２０’は、フロントおよびリアディスクブレーキハブ１２、１２’を除き、同一である。すなわち、フロントディスクブレーキアセンブリ２０およびリアディスクブレーキアセンブリ２０’は、多くの同じ部品を使用する。フロントディスクブレーキアセンブリ２０およびリアディスクブレーキアセンブリ２０’はそれぞれ、ブレーキレバー２２に連結されたキャリパ２１とディスクブレーキロータ２３とを備えている。フロントディスクブレーキアセンブリ２０の場合、ディスクブレーキロータ２３は前輪１３のフロントディスクブレーキハブ１２に固定的に連結される。同様に、リアディスクブレーキアセンブリ２０’の場合、ディスクブレーキロータ２３は後輪１３’のリアディスクブレーキハブ１２’に固定的に連結される。

図１に示すように、前輪および後輪１３、１３’のフロントおよびリアディスクブレーキハブ１２、１２’からは、複数のスポーク２４が外向きに延びている。スポーク２４の外端は、スポークニップル（図示せず）によってリム２５に固定的に連結される。タイヤ２６は、従来の方法で各リム２５の外周面に配置される。

ディスクブレーキロータ２３は、後述するロータ取付ボス（アダプタ）２８および固定リング（固定部材）２９によって、各フロントおよびリアディスクブレーキハブ１２、１２’に着脱自在に連結される。ロータ取付ボス２８は、フロントおよびリアディスクブレーキハブ１２、１２’と協働して、リベットまたはボルトを用いずにディスクブレーキロータ２３を固定する。

［ディスクブレーキロータアセンブリ］
本実施形態の自転車１０は、フロントディスクブレーキハブ１２に対して回転不能な状態で取り付けられるディスクブレーキロータアセンブリ８を備えている。

ディスクブレーキロータアセンブリ８は、図４に示すように、ディスクブレーキロータ２３、ロータ取付ボス２８、固定リング２９およびストッパ（係止部材）３０を備えている。

ディスクブレーキロータ２３は、フロントディスクブレーキハブ１２に対して回転不能に取り付けられる。

ロータ取付ボス２８は、ディスクブレーキロータ２３とフロントディスクブレーキハブ１２とが相対的に回転不能な状態になるように連結を補助する。

ストッパ３０は、ボルトや工具を用いることなく、ワンタッチでロータ取付ボス２８に対する取付方向にディスクブレーキロータ２３を固定する。

固定リング２９は、フロントディスクブレーキハブ１２の一端に形成された内ねじ３４ｄに螺合させて、ディスクブレーキロータ２３、ロータ取付ボス２８、ストッパ３０をフロントディスクブレーキハブ１２に対して固定する。

以下、ディスクブレーキロータアセンブリ８が備えている各構成部材について詳しく説明する。

［フロントディスクブレーキハブ］
フロントディスクブレーキハブ１２は、フリーホイールを備えていない点を除き、リアディスクブレーキハブ１２’とほぼ同じである。

フロントディスクブレーキハブ１２は、図５に示すように、ハブ軸３１と、ハブシェル３２と、第１スポーク接続部３３ａと、第２スポーク接続部３３ｂと、ブレーキロータ取付部３４とを備えている。なお、自転車用ディスクブレーキハブ１２の従来の部品については、ここでは説明しない。

ハブ軸３１は、ハブシェル３２を回転自在に支持している。
ハブシェル３２は、第１ハブシェル端３２ａと第２ハブシェル端３２ｂとの間に延びる内部通路を備え、内部通路の内部にはハブ軸３１が回転自在に支持されている。第１および第２スポーク接続部３３ａ，３３ｂと、ブレーキロータ取付部３４とは、ハブシェル３２と１つの統合部材として形成されている。特に、第１ハブシェル端３２ａには、第１スポーク接続部３３ａと、ブレーキロータ取付部３４とが一体に取り付けられ、第２ハブシェル端３２ｂには、第２スポーク接続部３３ｂが一体に取り付けられている。

第１スポーク接続部３３ａは、ハブシェル３２の第１ハブシェル端３２ａに配置された環状スポークフランジである。第１スポーク接続部３３ａは、複数の第１スポーク孔４３ａを備えている。本実施形態による第１スポーク孔４３ａは、周方向において等間隔に配置され、スポーク２４（図１参照）の屈曲端を受けるよう配置されている。同様に、ハブシェル３２の第２ハブシェル端３２ｂは、スポーク２４の屈曲端を受けるための複数の第２スポーク孔４３ｂを備えている。本実施形態の第２スポーク孔４３ｂは、周方向において等間隔に配置される。各スポーク孔４３ｂは、スポーク２４の屈曲端を受けるように配置されている。したがって、フロントディスクブレーキハブ１２は、スポークが外周側に延びるよう設計されている。

ブレーキロータ取付部３４は、ハブシェル３２の第１ハブシェル端３２ａと１つの統合部材として一体に形成されている。ブレーキロータ取付部３４は、第１ハブシェル端３２ａに向かって第１スポーク接続部３３ａに隣接して配置される。ブレーキロータ取付部３４は、筒状部３４ａと、筒状部３４ａから外周側に延びる環状接当フランジ３４ｂとを備えた筒状部材である。

環状接当フランジ３４ｂは、筒状部３４ａの自由端から間隔をおいて配置されている。筒状部３４ａは、外周スプライン部３４ｃを備えた外周面と、内ねじ３４ｄを備えた環状内周面とを有している。

外周スプライン部３４ｃは、軸方向に延びる複数の外周スプラインを備え、ロータ取付ボス２８に回転不能に係合する。

内ねじ３４ｄには、後述する固定リング２９の外ねじ２９ｅがねじ込み螺合される。これにより、ディスクブレーキロータ２３は、ロータ取付ボス２８と固定リング２９との間で、ブレーキロータ取付部３４に回転不能な状態で固定される。

［ディスクブレーキロータ］
ディスクブレーキロータ２３は、図６に示すように、環状制動リング２３ａと、環状制動リング２３ａと一体に形成された複数（８個）の延長接続アーム２３ｂと、延長接続アーム２３ｂと一体に形成された内側取付部２３ｃとを備えている。すなわち、ディスクブレーキロータ２３は、１つの統合部材である。ディスクブレーキロータ２３は、適切な剛性を有する材料で構成されるのが好ましい。

環状制動リング２３ａは、複数の孔として形成されている。環状制動リング２３ａは、ディスクブレーキロータ２３の外部制動部を形成する。延長接続アーム２３ｂの外端は、環状制動リング２３ａの内刃の回りに等間隔に配置されている。

延長接続アーム２３ｂは、環状制動リング２３ａと内側取付部２３ｃとの間に延びるディスクブレーキロータ２３の中間接続部を形成している。これらの延長接続アーム２３ｂは、内側取付部２３ｃから接線方向に延びている。延長接続アーム２３ｂ同士は、互いの間に三角形の開口を形成している。

内側取付部２３ｃは、軸方向に開口した複数（６個）の接続孔（貫通穴）２３ｄと、複数（６個）の接続ノッチ２３ｅと、複数（６個）の開口２３ｇとを備えている。

接続孔２３ｄおよび接続ノッチ２３ｅは、内側取付部２３ｃの周方向において等間隔に配置されている。接続孔２３ｄは、ディスクブレーキロータ２３がロータ取付ボス２８に取り付けられる際に、後述するストッパ３０のフック３０ａが挿入される。

開口２３ｇは、ディスクブレーキロータ２３がロータ取付ボス２８に取り付けられる際に、後述するロータ取付ボス２８に形成された突起（突起部）２８ｅ（図７参照）が挿入される。そして、開口２３ｇは、突起２８ｅと噛み合って、ロータ取付ボス２８とディスクブレーキロータ２３との間の軸回りの相対回転を防止する。

［ロータ取付ボス］
ロータ取付ボス（アダプタ）２８は、図７に示すように、中央開口部２８ｂを備えたベース部２８ａを有し、中央開口部２８ｂは、フロントディスクブレーキハブ１２のブレーキロータ取付部３４に形成された外周スプライン部３４ｃと噛み合う複数の内周スプライン２８ｃを備えている。これにより、ロータ取付ボス２８とフロントディスクブレーキハブ１２のブレーキロータ取付部３４との間における相対回転が防止される。

ロータ取付ボス２８は、ベース部２８ａから延びる外部ロータ連結部２８ｄをさらに備えている。ベース部２８ａは、軸方向に延びる突起２８ｅを少なくとも１つ備えている（軸方向に延びる６個の突起２８ｅが好ましい）。軸方向に延びる突起２８ｅは、ディスクブレーキロータ２３に形成された開口２３ｇ（図６参照）と噛み合い、ロータ取付ボス２８とディスクブレーキロータ２３との間の軸回りの相対回転を防止している。また、突起２８ｅは、開口２３ｇと係合するよう構成されている。なお、突起２８ｅの軸方向の長さは、ディスクブレーキロータ２３の内側取付部２３ｃの軸方向における厚み以下であることが好ましい。

さらに、ロータ取付ボス２８は、ベース部２８ａにおけるディスクブレーキロータ２３との連結側の面に、周方向に均等に配置された６個の挿入孔２８ｆを備えている。この挿入孔２８ｆの内部には、ディスクブレーキロータ２３およびストッパ３０の取付方向に略垂直な方向に突出した段差（移動規制部）２８ｇ（図１１参照）が形成されており、後述するストッパ３０のフック３０ａの先端部分が差し込まれて保持される。

なお、ロータ取付ボス２８は、例えば、アルミニウムまたはその他の適切な材料からなる第１材料で構成されるのが好ましい。一方、ディスクブレーキロータ２３は、ロータ取付ボス２８の第１材料よりも高い比重を有する、例えば、ステンレス鋼またはその他の適切な材料からなる第２材料で構成されることが好ましい。

［固定リング］
固定リング（固定部材）２９は、図８に示すように、複数の内周スプライン２９ｂを備えた中央開口部２９ａを有する円板形部材である。固定リング２９は、具体的に、接当フランジ２９ｃと、接当フランジ２９ｃの内側から軸方向に延びる中央筒状部２９ｄとを備えている。

中央筒状部２９ｄは、中央開口部２９ａと同軸に配置されている。中央筒状部２９ｄには、ブレーキロータ取付部３４の内ねじ３４ｄと噛み合って螺合される外ねじ２９ｅが設けられている。

接当フランジ２９ｃは、中央筒状部２９ｄから外側に延びて軸方向に面した保持面を形成する。この保持面は、ブレーキロータ取付部３４の環状接当フランジ３４ｂの軸方向を向く保持面に対応して取り付けられる。したがって、中央筒状部２９ｄの外ねじ２９ｅがブレーキロータ取付部３４の内ねじ３４ｄにねじ込まれると、固定リング２９は、ディスクブレーキロータ２３およびロータ取付ボス２８をブレーキロータ取付部３４の外周スプライン部に対して固定することができる。

［ストッパ］
ストッパ（係止部材）３０は、図９に示すように、ディスクブレーキロータ２３およびロータ取付ボス２８に対して挿入される３本のフック（爪部材）３０ａ、フック３０ａの先端に形成された湾曲部（突出部）３０ｂ、リング形状の本体部３０ｃを備えている。

フック３０ａは、リング形状の本体部３０ｃを構成する面からロータ取付ボス２８に対する取付方向にほぼ垂直に伸びる弾性変形部材であって、その先端部分には湾曲部３０ｂが形成されている。

湾曲部３０ｂは、上記フック３０ａの長手方向に交差する方向に突出した部分を有している。この湾曲部３０ｂは、ロータ取付ボス２８に形成された挿入孔２８ｆにフック３０ａが挿入された際に、後述する挿入孔２８ｆの内部に形成された段差（移動規制部）２８ｇ（図１１参照）に勘合して、保持される。

本体部３０ｃは、中央部に開口３０ｄを有する円板であって、その外周部に周方向において等間隔で配置された３本のフック３０ａを有している。

［ディスクブレーキロータアセンブリの組立］
ディスクブレーキロータアセンブリ８は、上記のような構成部材２３，２８，２９，３０によって構成されており、図４に示すようにフロントディスクブレーキハブ１２に対して取り付けられて、図１０に示すような連結状態となる。

すなわち、まず、ロータ取付ボス２８に形成された突起２８ｅをディスクブレーキロータ２３に形成された開口２３ｇに挿入する。そして、ロータ取付ボス２８とともにディスクブレーキロータ２３を挟み込むようにストッパ３０を取り付ける。より詳細には、ストッパ３０のフック３０ａを、ディスクブレーキロータ２３に形成された接続孔２３ｄに挿入し、さらにロータ取付ボス２８に形成された挿入孔２８ｆに挿入する。

このとき、ストッパ３０のフック３０ａは、弾性変形しながら挿入されていき、図１０および図１１に示すように、その先端に形成された湾曲部３０ｂが、ロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆの内部に形成された段差２８ｇに引っ掛かって保持される。このように、本実施形態のディスクブレーキロータアセンブリ８では、ストッパ３０を用いて、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３をワンタッチで装着することが可能になる。

最後に、フロントディスクブレーキハブ１２の一端にあるブレーキロータ取付部３４に形成された内ねじ３４ｄに対して、固定リング２９の外ねじ２９ｅをねじ込んで螺合させる。これにより、ディスクブレーキロータ２３は、ロータ取付ボス２８と固定リング２９との間に挟みこまれた状態で、フロントディスクブレーキハブ１２のブレーキロータ取付部３４に回転不能な状態で固定される。
［本ディスクブレーキロータアセンブリの特徴］
（１）
本実施形態の自転車１０が備えているディスクブレーキロータアセンブリ８では、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３を連結する際に、ストッパ３０を用いることでワンタッチで装着可能としている。

従来の自転車では、ハブとディスクブレーキロータとの連結を補助するアダプタに対してディスクブレーキロータを取り付ける際には、３〜８本の複数本のボルトを工具によって１本ずつ締めつけて固定していたため、組立工程における生産効率が悪かった。

そこで、本実施形態のディスクブレーキロータアセンブリ８は、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３を取り付ける際に、ワンタッチ装着が可能なストッパ３０を用いている。

このストッパ３０は、弾性変形するフック３０ａを有しており、フック３０ａの先端部分には湾曲部３０ｂが形成されている。ディスクブレーキロータアセンブリ８を構成する際には、まず、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３を連結し、その後、ディスクブレーキロータ２３の接続孔２３ｄおよびロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆに、フック３０ａを挿入していく。ここで、ストッパ３０を完全に挿入すると、挿入中に弾性変形していたフック３０ａの先端部の湾曲部３０ｂが、ロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆ内に形成された段差２８ｇに落ち込んで、非変形状態に戻る。このとき、湾曲部３０ｂがストッパ３０の取付方向に略垂直な方向に突出しているとともに、段差２８ｇが同じくストッパ３０の取付方向に略垂直な方向に窪んでいる。このため、段差２８ｇは、フック３０ａの先端の湾曲部３０ｂが勘合して、ストッパ３０の取付方向における移動を規制することができる。これにより、ストッパ３０を用いることで、ボルトや工具を使用することなく、容易にディスクブレーキロータ２３とロータ取付ボス２８とを固定することができ、組立工程における生産効率を向上させることができる。

（２）
本実施形態の自転車１０が備えているディスクブレーキロータアセンブリ８は、ディスクブレーキロータ２３をロータ取付ボス２８とストッパ３０との間に配置して構成されている。

このように、アダプタに取り付けられたディスクブレーキロータを、アダプタと係止部材との間で挟み込むように固定することで、アダプタとディスクブレーキロータとの連結をより強固にすることができる。

（３）
本実施形態の自転車１０が備えているディスクブレーキロータアセンブリ８は、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３を連結する際に、ストッパ３０を用いており、このストッパ３０は弾性変形する。

ここで、ストッパ３０のフック３０ａを、ディスクブレーキロータ２３に形成された接続孔２３ｄに挿入し、さらにロータ取付ボス２８に形成された挿入孔２８ｆに挿入する際には、ストッパ３０のフック３０ａは、弾性変形しながら挿入されていく。そして、図１１に示すように、その先端に形成された湾曲部３０ｂが、ロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆの内部に形成された段差２８ｇに引っ掛かって保持されるとともに、フック３０ａが非弾性変形状態に戻る。

これにより、単にストッパ３０をロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆに挿入するだけで、容易にディスクブレーキロータ２３をロータ取付ボス２８に対して固定する、いわゆるワンタッチ装着が可能になる。

（４）
本実施形態の自転車１０が備えているディスクブレーキロータアセンブリ８は、ロータ取付ボス２８に対してディスクブレーキロータ２３を連結する際に、ストッパ３０を用いており、このストッパ３０は着脱可能である。

ここで、ストッパ３０は、フック３０ａの先端部分に形成された湾曲部３０ｂにおいてディスクブレーキロータ２３に保持されている。このため、ストッパ３０を取り外す際には、連結方向とは反対方向に力を加えることで、湾曲部３０ｂがロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆの内部に形成された段差２８ｇから外れ、フック３０ａが弾性変形しながらロータ取付ボス２８の挿入孔２８ｆ、ディスクブレーキロータ２３の接続孔２３ｄから引き出される。

これにより、組み立てられたディスクブレーキロータアセンブリ８を分解して、ディスクブレーキロータ２３とロータ取付ボス２８との連結を解除したい場合には、ストッパ３０を引き出すだけで容易に連結を解除できる。

（５）
本実施形態の自転車１０が備えているディスクブレーキロータアセンブリ８は、ロータ取付ボス２８とストッパ３０との間にディスクブレーキロータ２３を固定した後、フロントディスクブレーキハブ１２のブレーキロータ取付部３４に形成された内ねじ３４ｄに対して螺合させて固定する固定リング２９を備えている。

これにより、ロータ取付ボス２８、ディスクブレーキロータ２３、ストッパ３０を、フロントディスクブレーキハブ１２に対して強固に固定することができる。
［他の実施形態］
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

（Ａ）
上記実施形態では、ストッパ３０がロータ取付ボス２８との間にディスクブレーキロータ２３を挟みこむように固定している例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

例えば、ロータ取付ボス２８のフロントディスクブレーキハブ１２との連結側からフック３０ａを差し込んで、ディスクブレーキロータ２３に湾曲部３０ｂを引掛けて固定する構成であってもよい。

（Ｂ）
上記実施形態では、ディスクブレーキロータアセンブリ８が、ディスクブレーキロータ２３、ロータ取付ボス２８、固定リング２９、ストッパ３０を備えている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

例えば、ディスクブレーキロータアセンブリ８が、ディスクブレーキロータ２３、ロータ取付ボス２８、ストッパ３０のみで構成されていてもよい。

（Ｃ）
上記実施形態では、ディスクブレーキロータ２３をロータ取付ボス２８に対して固定する係止部材として、図４に示すストッパ３０を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

例えば、図１２に示すように、固定リング２９との接触面側にセレーションが形成されているストッパ３０’を用いてもよい。この場合には、振動等による固定リング２９の回転を抑制して、固定リング３０’がフロントディスクブレーキハブ１２から脱落することを防止できるため、より好ましい。

（Ｄ）
上記実施形態では、フロントディスクブレーキハブ１２とディスクブレーキロータ２３との間に取り付けられるアダプタとして、図４に示すロータ取付ボス２８を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

例えば、図１２に示すような形状のロータ取付ボス２８’を用いてもよい。
（Ｅ）
上記実施形態では、フロントディスクブレーキハブ１２とディスクブレーキロータ２３との間に取り付けられるアダプタとして、図４に示すロータ取付ボス２８を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

例えば、図１３に示すように、別体として形成されたピン２８ｉがロータ取付ボス２８の本体２８ｈに形成された穴部２８ｊに対して圧入されたアダプタ２８”を用いてもよい。

（Ｆ）
上記実施形態では、本発明のディスクブレーキロータアセンブリが接続される自転車用ハブとして、フロントディスクブレーキハブ１２を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

当然、リア側の自転車用ハブ（リアディスクブレーキハブ１２’）に対しても、本発明のディスクブレーキロータアセンブリ８を連結することが可能である。フロントおよびリア双方のディスクブレーキハブ１２に対して本発明のディスクブレーキロータアセンブリを採用することで、さらに生産工程を効率化することができる。

本発明の第１実施形態によるフロントおよびリアディスクブレーキハブの装着された自転車の側面図。 図１の自転車のフロントフォークおよび前方ディスクブレーキ操作機構とに連結されたフロントディスクブレーキアセンブリの概略図。 図１の自転車のリアフォークとリアディスクブレーキ操作機構とに連結されたリアディスクブレーキアセンブリの概略図。 本実施形態のディスクブレーキロータアセンブリと自転車用ハブとの構成を示す斜視図。 図４のディスクブレーキロータアセンブリが取り付けられるフロントディスクブレーキハブ。 図４のディスクブレーキロータアセンブリに含まれるディスクブレーキロータ。 図４のディスクブレーキロータアセンブリに含まれるロータ取付ボス。 図４のディスクブレーキロータアセンブリに含まれる固定リング。 図４のディスクブレーキロータアセンブリに含まれるストッパ。 フロントディスクブレーキハブに対して連結されたディスクブレーキロータアセンブリを示す断面図。 図１０のＡ部分の拡大図。 ディスクブレーキロータアセンブリの他の例と自転車用ハブとを示す斜視図。 ロータ取付ボスの他の例を示す斜視図。

符号の説明

８ ディスクブレーキロータアセンブリ
１０ 自転車
１２ フロントディスクブレーキハブ（自転車用ハブ）
１２’ リアディスクブレーキハブ（自転車用ハブ）
２３ ディスクブレーキロータ
２３ａ 環状制動リング
２３ｂ 延長連結アーム
２３ｃ 内側取付部
２３ｄ 接続孔（貫通穴）
２３ｅ 突起（突起部）
２３ｇ 開口
２８ ロータ取付ボス（アダプタ）
２８’，２８” ロータ取付ボス（アダプタ）
２８ａ ベース部
２８ｂ 中央開口部
２８ｃ 内周スプライン
２８ｄ 外部ロータ連結部
２８ｅ 突起（突起部）
２８ｆ 挿入孔
２８ｇ 段差（移動規制部）
２８ｈ ピン（突起部）
２８ｊ 穴部
２９ 固定リング（固定部材）
２９ａ 外ねじ
２９ｂ 内周スプライン
２９ｃ 接当フランジ
２９ｄ 中央筒状部
２９ｅ 外ねじ
３０ ストッパ（係止部材）
３０ａ フック（爪部材）
３０ｂ 湾曲部（突出部）
３０ｃ 本体部
３０ｄ 開口
３２ ハブシェル
３４ ブレーキロータ取付部
３４ａ 筒状部
３４ｂ 環状接当フランジ
３４ｃ 外周スプライン部
３４ｄ 内ねじ

Claims (11)

1. 自転車用ハブに対して回転不能な状態で取り付けられるディスクブレーキロータアセンブリであって、
   前記自転車用ハブに対して回転不能な状態で連結されるとともに、前記自転車用ハブとの連結方向に開口した少なくとも１つの挿入孔が形成されたアダプタと、
   前記アダプタに対して回転不能な状態で連結されたディスクブレーキロータと、
   前記アダプタに形成された前記少なくとも１つの挿入孔に差し込まれて、前記アダプタに対する連結方向における前記ディスクブレーキロータの移動を規制する引掛け部を有する係止部材と、
   を備えた自転車用ディスクブレーキロータアセンブリ。
2. 前記ディスクブレーキロータは、前記アダプタと前記係止部材との間に挟まれるように固定される、
   請求項１に記載のディスクブレーキロータアセンブリ。
3. 前記係止部材は、弾性変形する、
   請求項１または２に記載のディスクブレーキロータアセンブリ。
4. 前記係止部材は、前記アダプタに対して着脱自在である、
   請求項１から３のいずれか１項に記載のディスクブレーキロータアセンブリ。
5. 前記自転車用ハブに形成されたねじ溝に沿って螺合されて前記ディスクブレーキロータを固定する固定部材をさらに備えている、
   請求項１から４のいずれか１項に記載のディスクブレーキロータアセンブリ。
6. 前記係止部材は、ドーナツ形状の平板からなる本体部と、
   前記本体部の平面に対して略垂直方向に伸びる爪部材と、
   を備えている、
   請求項１から５のいずれか１項に記載の自転車用ディスクブレーキロータアセンブリ。
7. 前記引掛け部は、前記爪部材に形成されており、前記係止部材の取付方向に略垂直な方向に突出する突出部であって、
   前記アダプタに形成された前記挿入孔には、前記取付方向における前記突出部の移動を規制する移動規制部が形成されている、
   請求項６に記載の自転車用ディスクブレーキロータアセンブリ。
8. 前記ディスクブレーキロータには、前記係止部材に形成された前記爪部材が差し込まれる貫通穴が形成されている、
   請求項６または７に記載の自転車用ディスクブレーキロータアセンブリ。
9. 前記係止部材は、爪部材を３本有している、
   請求項６から８のいずれか１項に記載の自転車用ディスクブレーキロータアセンブリ。
10. 前記アダプタは、前記ディスクブレーキロータに形成された開口に挿入される突起部を備えている、
    請求項１から９のいずれか１項に記載のディスクブレーキロータアセンブリ。
11. 前記突起部は、前記アダプタに形成された穴部に圧入されている、
    請求項１０に記載のディスクブレーキロータアセンブリ。

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