JP2005187681A - オイルホースおよびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性・耐油性に優れるとともに、その内周面に発泡痕がなく、量産性に優れたオイルホースおよびその製法を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの構成層を備えたオイルホースであって、上記ホースの少なくとも最内層1が、下記の(A)〜(C)成分を用いて形成されている。また、下記の(A)〜(C)成分を含有するゴム組成物をホース状に押出成形する工程と、上記押出成形された未加硫ゴムホースを直線状または屈曲したマンドレルに挿入する工程と、上記未加硫ゴムホースをスチーム加硫させる工程と、加硫成形されたゴムホースをマンドレルから抜き取る工程とによって、上記オイルホースを製造する。
(A)エポキシ基含有アクリル系エラストマー。
(B)イミダゾール系加硫剤。
(C)芳香族ジアミン系加硫助剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、オイルホースおよびその製法に関するものであり、詳しくは、自動車等の車両におけるオートマチック・トランスミッション・フルード(ATF),パワー・ステアリング・フルード(PSF),エンジンオイル等の自動車用耐潤滑油系オイルホースとして有用なオイルホースおよびその製法に関するものである。
自動車等の車両において、ATF,PSF,エンジンオイル等の耐潤滑油系オイルホースは、通常、2層以上のゴム層中に補強糸層を設けた多層構造で形成されている。従来では、上記ゴム層の形成材料として、主にアクリロニトリルブタジエンゴム等が用いられていた。しかし、近年では、これに代わって、耐熱性・耐油性に優れるアクリル系ゴムを用いたものが主流となりつつある。このようなオイルホースとして、例えば、ジアミン系加硫剤と、グアニジン系加硫助剤とを含むアクリル系ゴム組成物を用いて形成されたものが既に提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平3−101932号公報 特開平11−92614号公報 特開2001−192420公報 特開2003−201380公報
しかしながら、上記のようにジアミン系加硫剤により加硫をおこなうアクリル系ゴム組成物は、そのスコーチタイムが短く、ゴム焼けが生じやすいため、ホース状に押出成形する際に、途中で未加硫ゴムホースが破れやすくなるといった問題がある。また、この問題を解消すべく、押出温度を下げて対処しようとすると、押出機へのゴム圧力の負荷が大きくなり、作業上問題がある。そのため、上記ゴム組成物を用いてオイルホースを製造するには、途中で破れないよう注意しながら、ゆっくり押出成形するしかなく、製造効率が非常に悪い。
一方、オイルホースは、通常、上記のようにホース状に押出成形したゴム組成物を直線状または屈曲したマンドレルに挿入し、その状態でスチーム加硫を行い、最後に上記マンドレルから抜き取ることにより製造される。しかしながら、上記のようにしてスチーム加硫を行うと、上記ゴム組成物からなるゴム層とマンドレルとの隙間に離型剤の水分が残りやすく、その水分が、スチーム加硫の際の昇温・昇圧時および冷却・減圧時において突沸し、その結果、上記ゴム層の内周面に発泡痕がつくおそれがある。これを解決すべく、従来は、予めマンドレル表面にシリコーンオイル等の非水溶性離型剤を塗布し、マンドレルとゴム層との隙間に水分が入り込まないようにしてゴム層の加硫成形を行っていた。しかし、このように非水溶性離型剤を用い加硫成形を行うと、ホース表面の洗浄に手間がかかり、しかも、非水溶性離型剤自体が高価であることから、ホース製造時のコストアップを招く。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐熱性・耐油性に優れるとともに、その内周面に発泡痕がなく、量産性に優れたオイルホースおよびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも一つの構成層を備えたオイルホースであって、上記ホースの少なくとも最内層が、下記の(A)〜(C)成分を用いて形成されているオイルホースを第1の要旨とする。
(A)エポキシ基含有アクリル系エラストマー。
(B)イミダゾール系加硫剤。
(C)芳香族ジアミン系加硫助剤。
また、本発明は、ゴム層用材料をホース状に押出成形する工程と、上記押出成形された未加硫ゴムホースを直線状または屈曲したマンドレルに挿入する工程と、上記未加硫ゴムホースをスチーム加硫させる工程と、加硫成形されたゴムホースをマンドレルから抜き取る工程とを備えているオイルホースの製法であって、上記ゴム層用材料として、下記の(A)〜(C)成分を含有するゴム組成物を用いるオイルホースの製法を第2の要旨とする。
(A)エポキシ基含有アクリル系エラストマー。
(B)イミダゾール系加硫剤。
(C)芳香族ジアミン系加硫助剤。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、エポキシ基含有アクリル系エラストマーに、イミダゾール系加硫剤を加え、さらに芳香族ジアミン系加硫助剤を加えて調製されたゴム組成物を用い、目的とするオイルホースを製造すると、優れた耐熱性・耐油性が得られるとともに、ゴム焼けが生じにくくなることから、押出成形時の作業が容易かつスムーズとなり、量産性に優れるようになることを突き止めた。しかも、上記ゴム組成物は、未加硫粘度が高いことから、スチーム加硫の際の水分の突沸に対しても強く、上記ゴム組成物からなるゴム層の内周面に発泡痕ができにくくなることも突き止め、本発明に到達した。
上記のように、本発明のオイルホースは、その最内層の形成材料として、エポキシ基含有アクリル系エラストマーと、イミダゾール系加硫剤と、芳香族ジアミン系加硫助剤とを用い、形成されている。そのため、上記最内層形成材料であるゴム組成物のスコーチタイムが長くなり、ゴム焼けのない、高品質で量産性に優れたオイルホースとすることができる。
特に、上記ゴム組成物中に、脂肪酸金属塩を加えてなるオイルホースとすると、スコーチタイムが大幅に長くなり、貯蔵安定性にも優れた、より高品質で量産性に優れたオイルホースとすることができる。
また、ゴム層用材料をホース状に押出成形する工程と、上記押出成形された未加硫ゴムホースを直線状または屈曲したマンドレルに挿入する工程と、上記未加硫ゴムホースをスチーム加硫させる工程と、加硫成形されたゴムホースをマンドレルから抜き取る工程とを備えているオイルホースの製法であって、上記ゴム層用材料として、エポキシ基含有アクリル系エラストマーと、イミダゾール系加硫剤と、芳香族ジアミン系加硫助剤とを含有するゴム組成物を用いると、スコーチタイムの遅延効果によりゴム焼けを解消することができることから、製造効率を良くすることができる。また、スチーム加硫の際のゴム層内周面の発泡痕ができにくく、そのため、マンドレル表面への非水溶性離型剤の塗布が不要となり、製造コストを下げることができる。
さらに、上記ゴム層用材料に、脂肪酸金属塩を加えると、スコーチタイムが大幅に長くなり、貯蔵安定性にも優れることから、より高品質のホースを製造することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のオイルホースは、例えば、図1に示すように、最内層1の外周面に補強糸層2が形成され、さらにその外周面に外層3が形成されて構成されている。そして本発明においては、少なくとも上記最内層1が、エポキシ基含有アクリル系エラストマー(A成分)と、イミダゾール系加硫剤(B成分)と、芳香族ジアミン系加硫助剤(C成分)とを用いて形成されており、これが最大の特徴である。
上記最内層1用材料としては、エポキシ基含有アクリル系エラストマー(A成分)と、イミダゾール系加硫剤(B成分)と、芳香族ジアミン系加硫助剤(C成分)とが必須成分として用いられる。
上記エポキシ基含有アクリル系エラストマー(A成分)としては、例えば、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステルおよび架橋席となるエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物を主成分とし、さらに必要に応じてこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和化合物を共重合させることにより、得ることができる。
上記アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート等があげられる。なかでも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましく、より好ましくはエチルアクリレート、n−ブチルアクリレートである。
また、上記アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステルとしては、具体的には、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレート等があげられる。なかでも、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートが好ましく、より好ましくは2−メトキシエチルアクリレートである。
さらに、上記エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等があげられる。
また、必要に応じて加えられる他のエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸,2−ペンテン酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸などのカルボキシル基含有化合物、メチルメタクリレート,オクチルメタクリレートなどのメタクリレート、メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン、ビニルエチルエーテル,アクリルメチルエーテルなどのビニルおよびアリルエーテル、スチレン,α−メチルスチレン,クロロスチレン,ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物、アクリロニトリル,メタアクリロニトリルなどのビニルニトリル、アクリルアミド,メタアクリルアミド,N−メチロールアクリルアミドなどのビニルアミド、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、アルキルフマレートなどがあげられる。なかでも、アクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
そして、上記エポキシ基含有アクリル系エラストマー(A成分)の組成割合のうち、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物の割合は、通常、0.1〜5重量%に設定される。また、他のエチレン性不飽和化合物の割合は、多くても30重量%に設定される。
上記A成分であるエポキシ基含有アクリル系エラストマーとともに用いられる、イミダゾール系加硫剤(B成分)としては、特に限定はないが、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウム−クロライド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウム−クロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール−トリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール−トリメリテイト、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール−トリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−{2′−メチルイミダゾリル(1′)}エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2′−ウンデシルイミダゾリル(1′)}エチル−S−トリアジン、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ−(シアノエトキシメチル)イミダゾール、2−メチルイミダゾール・イソシアヌール酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌール酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、4,4′−メチレン−ビス−(2−エチル−5−メチルイミダゾール)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明において、イミダゾール系加硫剤(B成分)の配合割合は、上記A成分であるエポキシ基含有アクリル系エラストマー100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.2〜5部の範囲内に設定すると好ましく、より好ましくは0.5〜3部の範囲内である。すなわち、上記B成分の割合が0.2部未満であると、加硫が不充分となって圧縮永久歪み特性等が低下するようになり、逆に5部を超えると、スコーチし易くなり、そのホースの製品性が劣るようになるからである。
上記A成分およびB成分とともに用いられる、上記芳香族ジアミン系加硫助剤(C成分)としては、特に限定はないが、例えば、4,4′−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2′−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明において、芳香族ジアミン系加硫助剤(C成分)の配合割合は、上記A成分であるエポキシ基含有アクリル系エラストマー100部に対して、0.1〜1部の範囲内に設定すると好ましく、より好ましくは0.2〜0.5部の範囲内である。すなわち、上記C成分の割合が0.1部未満であると、スチーム加硫時の発泡対策が不完全となるおそれがあり、逆に1部を超えると、スコーチタイムが早くなり、押出時にゴム焼けの懸念があるからである。
上記最内層1用材料は、先にも述べたように、上記A〜C成分が必須成分として用いられるが、これに加え、脂肪酸金属塩(D成分)を用いると、スコーチタイムが大幅に長くなり、貯蔵安定性にも優れることから、より高品質で量産性に優れたオイルホースとすることができるため、好ましい。
そして、上記A〜C成分とともに、必要に応じ用いられる、脂肪酸金属塩(D成分)としては、特に限定はないが、例えば、オレイン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,ナフテン酸,カプリル酸等の脂肪酸の金属塩であり、その金属としては、リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マンガン,亜鉛,コバルト等があげられる。そして、これら脂肪酸金属塩は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
なお、上記特定のゴム層(最内層1)を形成するゴム層用材料としては、上記各成分に加えて、カーボンブラック、可塑剤等を配合することが好ましく、また、必要に応じて、補強材、充填剤、老化防止剤等を適宜配合しても差し支えない。
つぎに、上記最内層1の外周面に形成される補強糸層2を形成する補強糸としては、特に限定はなく、例えば、アラミド(芳香族ポリアミド)糸、ナイロン6,ナイロン66等のナイロン(ポリアミド)糸、レーヨン糸、ポリエステル糸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐熱性に優れる点で、アラミド糸が好適に用いられる。
上記補強糸の編み組み方法は、特に限定はなく、例えば、スパイラル編み、ブレード編み、ニッティング編み等があげられる。
また、上記補強糸層2の外周面に形成される外層3用材料としては、特に限定はなく、例えば、アクリルゴム、エチレン・アクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、フッ素変性アクリルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム等が、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、先述の最内層1用材料と同様の特殊なアクリル系ゴム組成物が、好適に用いられる。
本発明のオイルホースは、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、上記A〜C成分および必要に応じてその他の成分(D成分等)を配合し、これらをロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより、上記特定のゴム層を形成するゴム層用材料を調製する。そして、このゴム層用材料を押出成形した後、この外周面に、必要に応じ接着剤を塗布し、補強糸をスパイラル状に巻き付けて補強糸層2を形成する。ついで、この補強糸層2の外周面に、必要に応じ接着剤を塗布し、外層3用材料を押出成形する。このようにして得られたホース状積層体(未加硫)を、直線状または屈曲したマンドレルに挿入し、スチーム加硫させ、その後、マンドレルから抜き取ることにより、最内層1/補強糸層2/外層3の順に一体形成されてなる3層構造のホース(本発明に係るオイルホース)を得ることができる(図1参照)。
なお、本発明のオイルホースは、前記図1に示したような3層構造に限定されるものではなく、単層構造、2層構造、もしくは4層以上の多層構造であっても差し支えない。ただし、オイルホースの少なくとも最内層(単層構造ホースの場合は、その層)は、エポキシ基含有アクリル系エラストマー(A成分)と、イミダゾール系加硫剤(B成分)と、芳香族ジアミン系加硫助剤(C成分)とを必須成分として用いて形成されていなければならない。
また、このようにして得られた本発明のオイルホースの用途は、自動車等の車両(トラクター、耕運機等も含まれる)において、ATF,PSF,エンジンオイル等のオイルの配管用として好適に用いられるが、オイルホース用途であれば、これに限定されるものではない。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔アクリル系エラストマー(I) (A成分)〕
n−ブチルアクリレート84.5重量%と、エチレン0.5重量%と、酢酸ビニル13.5重量%と、グリシジルエーテル1.1重量%とを重合してなる四元共重合体
〔加硫剤(I) (B成分)〕
1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(CN−25、四国化成社製)
〔加硫剤(II)〕
ヘキサメチレンジアミンカーバメート(ダイアック#1、デュポン社製)
〔加硫助剤(I) (C成分)〕
N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン(ダイアック#3、デュポン社製)
〔加硫助剤(II)(D成分)〕
ラウリル硫酸ナトリウム(エマール 2F ニードル、花王社製)
〔加硫助剤(III) 〕
1−オルトトリルビグアニド(ノクセラーDT、大内新興化学社製)
〔ステアリン酸〕
ルナックS−30、花王社製
〔老化防止剤〕
ナウガード445、ユニロイヤル社製
〔カーボンブラック〕
シースト116、東海カーボン社製
〔可塑剤〕
アデカサイザーRS735、旭電化工業社製
〔加工助剤〕
ダイアナプロセスPW32、出光興産社製
〔実施例1〜6、比較例1〜3〕
上記に示す各材料を、後記の表1〜2に示す割合で配合した後、これらを、バンバリーミキサーを用いて混練して、ゴム層用材料を調製した。なお、その未加硫粘度も、同表に示した(測定基準は後記に示す)。そして、このゴム層用材料を20m/分のペースで押出成形した後、この表面に、編組機を用いて、補強糸(アラミド糸)をスパイラル状に巻き付けて補強糸層を形成した。ついで、この補強糸層の外周面に、上記ゴム層用材料を20m/分のペースで押出成形した。このようにして得られたホース状積層体(未加硫)を、屈曲したマンドレルに挿入し、160℃×60分間スチーム加硫させ、その後、マンドレルから抜き取ることにより、最内層(厚み2mm)の外周面に補強糸層が一体形成され、さらにこの補強糸層の外周面に外層(厚み2mm)が一体形成されてなるオイルホース(曲がり管、内径:10mm)を作製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品のホースに関し、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
〔未加硫粘度〕
JIS K6300の未加硫ゴム物性試験方法のムーニー粘度試験に準じて、測定温度125℃におけるムーニー粘度ML1+4 を測定した。
〔引張強さ・伸び〕
ゴム層用材料組成物を、プレス成形により160℃×60分間加熱して、厚み2mmのシートを作製し、さらに150℃に8時間放置して二次架橋した後、JIS 5号ダンベル試験片を用いて打ち抜き、これを用いてJIS K6251に準じ、引張速度500mm/分の条件で、加硫物の引張強さ(TB)および伸び(EB)を評価した。
〔発泡痕〕
ホースの最内層表面(内周面)の状態を目視し、発泡痕の有無を評価した。すなわち、発泡痕が全くみられないものを○、発泡痕がみられるものを×と評価した。
〔ゴム焼け〕
ホースの最内層および外層のゴム焼け状態を、目視により評価した。すなわち、ゴム焼けが全くみられないものを○と評価し、ゴム焼けがみられるものを×と評価した。
〔破裂圧〕
各ホースを、その製造直後に、ストレート径11mmでJASO M101に準拠したバルジ形状のアルミニウム鋳造品パイプに組み付けた。そして、JASO F207に準拠したウォームギアクランプで、3N・mの締付トルクにて締めつけた。つぎに、そのホース内に水を充填し、加圧して、この加圧をホースが破裂するまで続けた。そして、ホースの破裂に至るまでの最高圧力(MPa)を測定した。
上記結果より、実施例品のオイルホースは、ゴム焼けや、発泡痕がみられず、高品質で量産性に優れていることがわかる。他方、マンドレル表面へのシリコーンオイル等の塗布をせずとも発泡痕がみられなかったことから、実施例により、製造コストを下げることができることもわかる。
これに対して、比較例1品は、ゴム焼けがみられないものの、発泡痕がみられるため、マンドレル表面へのシリコーンオイル等の塗布が必要であり、製造コストの点で劣ることがわかる。比較例2品は、発泡痕がみられないものの、ゴム焼けがみられるため、押出加工の生産性に劣ることがわかる。比較例3品は、ゴム焼けも発泡痕も確認された。
本発明のオイルホースの一例を示す構成図である。
符号の説明
1 最内層
2 補強糸層
3 外層

Claims (8)

  1. 少なくとも一つの構成層を備えたオイルホースであって、上記ホースの少なくとも最内層が、下記の(A)〜(C)成分を用いて形成されていることを特徴とするオイルホース。
    (A)エポキシ基含有アクリル系エラストマー。
    (B)イミダゾール系加硫剤。
    (C)芳香族ジアミン系加硫助剤。
  2. 上記最内層が、上記(A)〜(C)成分とともに、下記の(D)成分を用いて形成されている請求項1記載のオイルホース。
    (D)脂肪酸金属塩。
  3. 上記(B)成分のイミダゾール系加硫剤の配合割合が、(A)成分100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲内である請求項1または2記載のオイルホース。
  4. 上記(C)成分の芳香族ジアミン系加硫助剤の配合割合が、(A)成分100重量部に対して、0.1〜1重量部の範囲内である請求項1〜3のいずれか一項に記載のオイルホース。
  5. ゴム層用材料をホース状に押出成形する工程と、上記押出成形された未加硫ゴムホースを直線状または屈曲したマンドレルに挿入する工程と、上記未加硫ゴムホースをスチーム加硫させる工程と、加硫成形されたゴムホースをマンドレルから抜き取る工程とを備えているオイルホースの製法であって、上記ゴム層用材料として、下記の(A)〜(C)成分を含有するゴム組成物を用いることを特徴とするオイルホースの製法。
    (A)エポキシ基含有アクリル系エラストマー。
    (B)イミダゾール系加硫剤。
    (C)芳香族ジアミン系加硫助剤。
  6. 上記ゴム層用材料に、上記(A)〜(C)成分とともに、下記の(D)成分を含有する請求項5記載のオイルホースの製法。
    (D)脂肪酸金属塩。
  7. 上記(B)成分のイミダゾール系加硫剤の配合割合が、(A)成分100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲内である請求項5または6記載のオイルホースの製法。
  8. 上記(C)成分の芳香族ジアミン系加硫助剤の配合割合が、(A)成分100重量部に対して、0.1〜1重量部の範囲内である請求項5〜7のいずれか一項に記載のオイルホースの製法。
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