JP2005187677A - マーキングフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】カッティング適性に優れ、且つ作業環境温度によらず施工可能なマーキングフィルムの提供。
【解決手段】着色基材層、粘着剤層、剥離基材層を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記着色基材層および粘着剤層からなる積層体の3℃におけるステンレスを被着体とした貼り付け直後の粘着力が10N/25mm以上30N/25mm以下であり、該粘着剤層の100℃および150℃におけるせん断貯蔵弾性率が1.0×105以上1.0×107Pa以下であることを特徴とするマーキングフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、屋外及び屋内の広告ステッカー類や表示用ステッカー類などに用いられるマーキングフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、作業環境温度にかかわらず施工可能であり、カッティングマシンによるカッティング適性に優れたマーキングフィルムに関する。
従来、顔料が含まれた不透明、透明または半透明の主としてポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ウレタン系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等の一面に粘着剤層が形成されてなるマーキングフィルムが知られている。このマーキングフィルムは、例えば、その基材層と粘着剤層を所定のパターンにカッティングし、不要な基材層と粘着剤層を取り除き、残した必要な基材層と粘着剤層を他の粘着フィルム(一般にアプリケーションフィルムと呼ばれる)に転着させて施工し易い形態とし、該パターンの基材層を表示を施したい材料に粘着剤層を利用して貼付けられるものであって、表面側の色や模様などにより表示効果を発揮させ、近年、塗装に代わり、ラベルやステッカー類、広告や看板等のディスプレー分野、車両の装飾等のフリートマーキング分野に用いられている。
上記のように文字、模様等のカッティングパターンは、コンピューター制御されたカッティングマシンにより作成されることが多く、従って、マーキングフィルムにはカッティングマシンに対する適性が求められる。
カッティングマシンに対する適性としては、(1)「めくれ現象」が起きない、(2)「文字残り性」が良いことが挙げられる。
「めくれ現象」とは、カッティングマシンのカッターは動きが速いために、カッティング時に剥離基材層と粘着剤との界面でまくれ上がることであり、この「めくれ現象」を解決し、カッティングマシンでの切断性を向上させるための方法として、例えば、特許文献1には、粘着剤層と剥離基材層との粘着力を高めたカッティングマシン用感圧接着シートが提案されている。しかし、このシートは、後述のかす取り作業時に、剥離基材層との粘着力が高いため、基材層を他のアプリケーションフィルムに転着させ難い。
「文字残り性」とは、上記施工方法のように、切断された文字、模様等の不要な部分を除去するための作業時に、必要な文字や模様等が同時に剥離してしまうことである。また、切断された文字、模様等の必要部分をアプリケーションフィルムに転着し、剥離ライナーから引き剥がす際に不必要な部分が同時に剥離してしまうことである。この2つの作業をかす取り作業と称す。この原因は、カッティングマシンによりカッティングされた粘着剤層が再接着してしまうためである。
この「文字残り性」を解決し、安定したかす取り作業を提供する方法として、例えば、特許文献2には、塩化ビニル樹脂及び酢酸ビニル樹脂からなる樹脂シートを基材として使用することで、樹脂シートの感温性を小さくして、広い温度範囲で切れ具合が変化せず安定した「文字残り性」を確保する方法が提案されているが、粘着剤層の再接着を根本的に解決する手段ではない。
特許文献3には、粘着剤層にシリコーン系離型剤を添加することにより、粘着剤層の再接着を防ぐ方法が提案されているが、シリコーン系離型剤が粘着剤層の表面や基材との界面にブリードアウトする懸念がある。
また、カッティング適性を良くするために粘着剤の弾性を高め流動性を低くする手法も考えられるが、低温での施工時に貼付不可となる問題点があり、カッティング適性と低温施工性を両立させることは困難であった。
特開平2−84476号公報 特開平9−040918号公報 特開平11−116916号公報
本発明は、カッティング適性に優れ、且つ作業環境温度によらず施工可能なマーキングフィルムの提供を目的とする。
本発明におけるマーキングフィルムは、着色基材層、粘着剤層、剥離基材層を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記着色基材層および粘着剤層からなる積層体の3℃におけるステンレスを被着体とした貼り付け直後の粘着力が10N/25mm以上30N/25mm以下であり、該粘着剤層の100℃および150℃におけるせん断貯蔵弾性率が1.0×105以上1.0×107Pa以下であることを特徴とするマーキングフィルムである。
粘着剤層は、カッティングマシンによるカット後、粘着剤の流動に起因する粘着剤層の再接着が生じることのない優れた凝集力と実用上必要十分な粘着力をバランス良く併せ持つことから、重量平均分子量80万以上150万以下の反応性官能基を有するアクリル樹脂(A)および架橋剤(B)を含むことが好ましく、粘着剤層のゲル分率は65%以上88%以下であることが好ましい。
本発明のマーキングフィルムは、温度依存性のない優れた凝集力を有する粘着剤層を有するため、作業環境温度にかかわらず施工可能であり、且つカッティング適性が良好である。。
本発明におけるマーキングフィルムは、該マーキングフィルムを構成する着色基材層および粘着剤層からなる積層体の3℃におけるステンレスを被着体とした貼り付け直後の粘着力が10N/25mm以上30N/25mm以下、好ましくは15N/25mm以上25N/25mm以下であり、該粘着剤層の100℃および150℃におけるせん断貯蔵弾性率が1.0×105以上1.0×107Pa以下であることを特徴とするマーキングフィルムである。
前記着色基材層および粘着剤層からなる積層体の3℃における粘着力が10N/25mm未満の場合には、貼り付け作業時に粘着剤を被着体表面に十分にクリープすることができず、粘着力が低くなり、季節・地域を問わない施工性に欠け、30N/25mmを越える場合には、粘着剤層の流動性が大きすぎるため常温での貼り付け作業時に貼り直しができない等の支障が生じる。
また、粘着剤層の100℃および150℃におけるせん断貯蔵弾性率が1.0×105Pa未満の場合には、粘着剤層の流動性が大きいため、カッティングマシンによるカット後、粘着剤の再接着が起こり良好なカッティング適性が得られない。一方、1.0×107Paを超える場合には、カッティング適性は良好であるものの、貼り付け作業時に粘着剤を被着体表面に十分にクリープすることができず、粘着力が低くなり、実用性に欠ける。
本発明におけるマーキングフィルムは、着色基材層、粘着剤層、剥離基材層を順次積層してなるマーキングフィルムであり、まず、マーキングフィルムを構成する粘着剤層について説明する。
粘着剤層は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤から構成されるが、耐久性とコストのバランスの点からアクリル系粘着剤が好ましく、特に重量平均分子量80万以上150万以下の反応性官能基を有するアクリル系樹脂(A)および架橋剤(B)を含むことが好ましい。アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が80万未満であると、架橋剤(B)を使用しても粘着剤層の凝集力が不足して、カッティングマシンによるカット後の粘着剤層の再接着が生じやすい。また、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が150万より大きいと、粘着剤層の弾性が高くなり、貼り付け作業時に粘着剤層を被着体表面に十分にクリープすることができず、実用十分な粘着力が得られない。
また、粘着剤層のゲル分率は、65%以上88%以下であることが好ましい。粘着剤層のゲル分率が65%より小さい場合には、粘着剤の粘性が高く、カッティングマシンによるカット後、粘着剤層の再接着が起こりやすい。粘着剤層のゲル分率が88%より大きい場合には、粘着剤の弾性が高くなり、貼り付け作業時に粘着剤層を被着体表面に十分にクリープすることができず、実用十分な粘着力が得られない。また、カッティングマシンによるカッティング時にめくれ現象が起きやすい。
反応性官能基を有するアクリル系樹脂(A)としては、下記単量体(a)〜(c)を共重合してなる共重合体が好適に用いられる。
(a)ラジカル重合性不飽和基および他の反応性官能基を有する単量体0.01〜15重量%
(b)(a)以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体50〜99.99重量%
(c) 上記単量体(a)及び(b)と共重合可能で、且つ上記単量体(a)及び(b)以外の単量体0〜49.99重量%
(但し、単量体(a)、(b)、(c)の合計を100重量%とする。)
ラジカル重合性不飽和基および他の反応性官能基を有する単量体(a)は、アクリル系樹脂に反応性官能基を導入し、粘着剤に凝集力を付与するための共重合成分であり、他の反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基、エポキシ基等が挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ブチルなどが挙げられる。
水酸基を有する単量体(a)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルヘキシル)−メチルアクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
アミノ基を有する単量体(a)としては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基を有する単量体(a)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−置換(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
マレイミド基を有する単量体(a)としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
イタコンイミド基を有する単量体(a)としては、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等が挙げられる。
スクシンイミド基を有する単量体(a)としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等が挙げられる。
エポキシ基を有する単量体(a)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの単量体は、単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。単量体(a)の共重合比率は、単量体の全量を100重量%として、0.01〜15重量%である。単量体(a)の共重合比率が0.01重量%より少ない場合には、粘着剤層の凝集力が低下し、カッティングマシンによるカット後、粘着剤層の再接着が起こる。15重量%より多い場合には、粘着力が低下する。
また、(a)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単量体(b)の共重合比率は、単量体の全量を100重量%として、50〜99.99重量%である。単量体(b)の共重合比率が50重量%より少ない場合には、粘着力が低下する。99.99重量%より多い場合には、単量体(a)の共重合比率が低くなることから、粘着剤層の凝集力が低下し、カッティングマシンでカット後、粘着剤層の再接着が起こる。
また、上記単量体(a)及び(b)と共重合可能で、且つ上記単量体(a)及び(b)以外の単量体(c)としては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等が挙げられる。単量体(c)の共重合比率は、単量体の全量を100重量%として、0〜49.99重量%、好ましくは0〜10重量%である。
単量体(a)〜(c)の共重合は、公知の任意の方法、例えば、原料の単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により行うことができるが、溶液重合で行うことが好ましい。重合開始剤としては、アゾ系化合物および有機過酸化物を用いることができる。
アゾ系化合物の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が用いられる。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
架橋剤(B)は、アクリル樹脂(A)が有する反応性官能基と反応可能な官能基を少なくとも2個、好ましくは2〜4個有する多官能性化合物である。 架橋剤(B)の配合量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常は0.005〜50重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。このような配合量で架橋剤(B)を含有させることにより、アクリル系樹脂(A)との間で好適な三次元架橋が形成され、優れた凝集力が発現する。
架橋剤(B)としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物等を用いることができる。アクリル系樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合には、エポキシ系化合物を架橋剤として用いるとゲル分率を高く設定しても粘着力を維持できるため好ましい。一般にゲル分率を高くすると粘着剤の流動性が抑えられるため粘着力が低下する。
イソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、およびこれらポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
エポキシ系化合物の例としては、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N‘−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
アミン系化合物の例としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂、メチレン樹脂等が挙げられる。
金属キレート化合物の例としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した化合物を挙げられる。
アジリジン化合物の例としては、N,N‘−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N‘−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N‘−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。
粘着剤層は、反応性官能基を有するアクリル系樹脂(A)および架橋剤(B)を含むことが好ましいが、さらに、通常粘着剤に配合される、粘着付与樹脂、シランカップリング剤、耐候安定剤、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー等を含有させることができる。
次に、マーキングフィルムを構成する着色基材層について説明する。
着色基材層としては、従来よりマーキングフィルムに用いられている着色基材層、例えば、着色剤を含む塩化ビニル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ウレタン系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。柔軟性や耐侯性の要求される装飾用途としては塩化ビニルフィルムが好適に用いられる。
着色剤としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系などの有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン酸系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系などの無機顔料などが挙げられる。
着色基材層には、種々の性能を改善するために、可塑剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、充填剤などが添加されてもよい。
可塑剤は、着色基材層に柔軟性を付与するために添加され、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシルなどのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ−2−エチルヒキシル、アジピン酸ジシソノニル、アジピン酸ジイソデシルなどのアジピン酸系可塑剤、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸オクチルジフェニル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などが挙げられる。
熱安定剤としては、例えば、金属石鹸系熱安定剤、有機スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤、アンチモン系熱安定剤、非金属熱安定剤などが挙げられる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク(塩基性ケイ酸マグネシウム)、カオリン(ケイ酸アルミニウム)、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。
着色基材層の製造方法は、従来公知の任意の方法が採用され、塩化ビニル系樹脂フィルムの場合は、例えば、構成成分を有機溶剤に分散させることにより塩化ビニル系樹脂ゾルを得、工程紙上に塗布乾燥後、加熱キュアーさせるゾルキャスティング法や、構成成分を加熱溶融させてシート状に成形するカレンダー法などが挙げられる。
着色基材層の厚みは、特に限定はされるものではないが、通常30〜200μm、好ましくは40〜100μm程度である。
最後に、マーキングフィルムを構成する剥離基材について説明する。剥離基材としては、例えば紙基材の少なくとも片面にポリエチレン層を形成し、そのポリエチレン層上に離型剤が積層されたものやポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)基材の少なくとも片面に離形剤が積層されたものが用いられるが、特に限定されるものではない。
マーキングフィルムは、剥離基材に、粘着剤を塗工、乾燥して粘着剤層を設け、着色基材層と貼り合せることにより製造することができる。
粘着剤の剥離基材への塗工は、通常使用されている塗布装置、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどを用いて行うことができる。
粘着剤層の厚み(乾燥時)は、粘着性能(粘着力、タック、保持力)および塗工性の点から10〜100μmであることが好ましい。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%を意味するものとする。
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート30.0部、アクリル酸メチル8.4部、アクリル酸1.6部、アセトン60.0部を仕込み、攪拌しながら反応器中の空気を窒素置換し、還流するまで昇温して保持した。次いで2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.01部を、更に2時間後に0.01部、3時間後に0.005部、4時間後に0.005部加え、合計7時間反応させた。反応終了後、トルエンを100部添加して希釈して室温まで冷却し、固形分19%のアクリル系共重合体1溶液を得た。アクリル系共重合体1の重量平均分子量は110万であった。
(合成例2〜6)
表1に示すように、単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)の種類および量を変える以外は、合成例1と同様にして、アクリル系共重合体2〜6の溶液を得た。分析値を表1に示す。
(合成例7〜9)
攪拌機、温度計,還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、表1に示す単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、酢酸エチル100部を仕込み、攪拌しながら反応器中の空気を窒素置換し、還流するまで昇温して保持した。次いで過酸化ベンゾイル0.1部を、更に2時間後に0.05部、3時間後に0.05部、4時間後に0.05部加え、合計8時間反応させた。反応終了後、トルエンを50部添加して希釈して室温まで冷却し、固形分40%のアクリル系共重合体溶液を得た。
表1中、ラジカル重合性不飽和基および他の反応性官能基を有する単量体(a)、(a)以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b)、上記単量体(a)及び(b)と共重合可能で、且つ該単量体(a)及び(b)以外の単量体(c)の種類を下記の略号で示した。
BA:ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
i−BA:イソブチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
VAc:酢酸ビニル
表1中の重量平均分子量は、GPCの測定でもとめたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、測定条件は以下のとおりである。
装置:東ソー社製 HCL8820GPC
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHXL3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:100μl
Figure 2005187677
(実施例1)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の固形分100部に対して、架橋剤としてN,N,N',N'-テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(三菱瓦斯化学社製「TGMXDA」)を有効成分5%に希釈したものを1部添加して良く攪拌した。調整した粘着剤溶液を、コンマコーターで乾燥膜厚30μmとなるように、剥離基材層の全面に塗布し、粘着剤層を形成しつつ、巻き取り時に着色基材層を粘着剤層にラミネートして、着色基材層/粘着剤層/剥離基材層からなるマーキングフィルムを得た。このマーキングフィルムを23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例2)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例2で得られたアクリル系重合体2を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例3)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例3で得られたアクリル系重合体3を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例4)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例4で得られたアクリル系重合体4を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例5)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例5で得られたアクリル系重合体5を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例6)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例6で得られたアクリル系重合体6を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例7)
架橋剤「TGMXDA」の添加量を1部から5部に変更する以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例8)
架橋剤「TGMXDA」の添加量を1部から0.4部に変更する以外は、実施例3と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例1)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例7で得られたアクリル系重合体7を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例2)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例8で得られたアクリル系重合体8を用い、架橋剤「TGMXDA」の代わりに、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(TDI/TMP)を有効成分37.5%に希釈したものを1.5部用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例3)
合成例1で得られたアクリル系重合体1の代わりに、合成例9で得られたアクリル系重合体9を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてマーキングフィルムを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
実施例および比較例で得られたマーキングフィルムについて、下記の方法で着色基材層および粘着剤層からなる積層体の3℃における粘着力、せん断貯蔵弾性率、ゲル分率、カッティング適性を評価した。結果を表2および表3に示す。
(1)粘着力
マーキングフィルムを幅25mm、長さ220mmの大きさに裁断し、マーキングフィルムと表面を洗浄したステンレス板を3℃雰囲気下で1時間放置した後、マーキングフィルムの剥離基材をはがして、ステンレス板に貼り付け面積が25mm×100mmとなるように貼り付け、重さ1kgのゴムロールを1往復して圧着しテストピースとし、そのテストピースの粘着力を180°ピール方向に剥離試験を行って測定した。
(2)せん断貯蔵弾性率
調整した粘着剤溶液を、コンマコーターで任意の乾燥膜厚となるように剥離基材層の全面に塗布し、粘着剤層を形成しつつ、巻き取り時に合い紙として軽剥離力の剥離基材を粘着剤層にラミネートしてキャストテープを作成し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。熟成後、該キャストテープの剥離基材および軽剥離基材をはがし、粘着剤層同士を繰り返し貼り付けて積層させ、厚さ2mm程度にした後、直径8mmにポンチで打ち抜き、貯蔵せん断弾性率測定用の試料とした。粘弾性スペクトロメーター(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製「RDA−III」)を用いて、周波数1Hz、せん断ひずみ0.1πラジアン、温度100〜150℃の条件下で、貯蔵せん断弾性率測定用の試料(粘着剤層)のせん断貯蔵弾性率を測定した。
(3)ゲル分率
実施例および比較例で調整した粘着剤溶液をPET基材に塗布して粘着シートを作成し、秤量した300メッシュのステンレス製金網(重量W0)に貼り付け秤量した重量W1と、ステンレス製金網に貼り付けた試料を酢酸エチル中で5時間還流抽出後、100℃で1時間乾燥させ秤量した重量W2と、金網から粘着シートを剥がし、粘着剤層を拭き取ったPET基材を秤量し重量W3とから、下記式でゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)={(W2−W0−W3)/(W1−W0−W3)}×100
(4)カッティング適性
カッティングマシン(ミマキ社製「CG−50」)でマーキングフィルムを「東洋インキ」とカットし、めくれ現象の有無とカット後1日後のかす取り性を評価した。
めくれ現象の評価基準を以下に示す。
◎・・・めくれ現象が無かった
○・・・軽微なめくれ現象が有ったが、実用レベルであった
×・・・めくれ現象が有った
かす取り性の評価基準を以下に示す。
◎・・・良好であった
○・・・良好ではないが実用レベルであった
×・・・困難であった
Figure 2005187677
Figure 2005187677
表2および表3中の架橋剤の略号を以下に示す。
TGMXDA:「N,N,N',N'-テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン」
TDI/TMP:「トリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパンアダクト体」

Claims (3)

  1. 着色基材層、粘着剤層、剥離基材層を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記着色基材層および粘着剤層からなる積層体の3℃におけるステンレスを被着体とした貼り付け直後の粘着力が10N/25mm以上30N/25mm以下であり、該粘着剤層の100℃および150℃におけるせん断貯蔵弾性率が1.0×105以上1.0×107Pa以下であることを特徴とするマーキングフィルム。
  2. 粘着剤層が、反応性官能基を有するアクリル樹脂(A)および架橋剤(B)を含み、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が80万以上150万以下であることを特徴とする請求項1記載のマーキングフィルム。
  3. 粘着剤層のゲル分率が65%以上88%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のマーキングフィルム。
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