JP2005186055A - 固液分離装置、固液分離方法及び汚泥処理システム - Google Patents

固液分離装置、固液分離方法及び汚泥処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】 濾過体の目詰まりを防止して固液分離を促進させることにより、あるいは、固形分の排出と濾過体の洗浄とを効率的に行うことにより、処理能力(固液分離能率)の低下を防止することのできる固液分離装置、固液分離方法及び汚泥処理システムを提供する。
【解決手段】移動フィルタ30は、汚泥Mの水分を主として筒状の周面部30aで濾過して外部に分離水Wとして流出させる一方、そのケーキCを底部30bに沈殿させることにより、分離水WとケーキCとに分離する機能を有している。処理タンク20は、移動フィルタ10を内部に収容するために縦型の有底円筒状に形成され、移動フィルタ30から流出する分離水Wを受ける機能を有している。移動フィルタ30にはシリカブラック粉末が定着されている。シリカブラックは、自身の発する共鳴波動により分離水Wの分子クラスタを移動フィルタ30の濾過隙間よりも小さくなるように微小化する機能を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流動性汚泥の固液分離装置、固液分離方法及び固液分離装置を用いた汚泥処理システムに関する。
従来より、下水処理場等で大量に発生する流動性汚泥の処理方法として、高分子組成の凝集剤を添加して汚泥中の固形分(ケーキ)を凝集・沈殿させ、水分(液体分)と分離(固液分離)するのが一般的であった。このうち、固形分に対して、その後遠心分離(遠心分離機)、加圧(ベルトプレス)等の手段によってさらに水分を除去した後、堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の後処理が行われる。他方、水分に対して、消臭・脱色等の浄水化処理が施された後、河川等に放流される。
また、縦型の袋状(又は有底筒状)に形成されたフィルタ(濾過体)を有底筒状の縦型処理槽(固液分離槽)の内部に収容するタイプもある。このタイプの一例として、フィルタの頭部開口から内部に流動性汚泥を入れ、汚泥の水分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、固形分を底部に沈殿させることにより、水分と固形分とに分離する技術が開示されている(特許文献1参照)。
特開2003−236595号公報
特許文献1のような縦型沈殿分離装置によれば、凝集剤を添加しないため薬害発生のおそれがなく安全であり、無害化(無毒化)のための設備を要せず構造簡単で低コストで済む利点がある。ところが、縦型沈殿分離方式では、
(1)底部には固形分が沈殿するため、水分の濾過分離は主としてフィルタの筒状周面部で行われ濾過面積が相対的に小さいので、時間経過とともにフィルタが目詰まりすると処理能力(固液分離能率)が極端に低下するおそれがある;
(2)底部に沈殿した固形分の排出やフィルタの洗浄・交換に手間がかかり、それによって処理能力(固液分離能率)が極端に低下するおそれがある。
特許文献1では、(1)に対して、汚泥に負圧を作用させている。しかし、そのために減圧吸引装置を要し、構造簡単な縦型沈殿分離方式の利点が損なわれるおそれがあるので、加減圧装置に代わる分離促進手段が要請されている。また、(2)に対して、フィルタ底部中央を上方に持ち上げ裏返しにすることによって、固形分の排出とフィルタの洗浄とを行っている。しかし、形状不安定なため、持ち上げ途中でフィルタが周囲のものに引っ掛かったり傾いたりすると、排出・洗浄が滞るおそれがある。また、固形分の全重量をフィルタ底部中央1ヶ所で支えるためには、フィルタ全体の強度を高めておく必要があり不経済である。
本発明の課題は、濾過体の目詰まりを防止して固液分離を促進させることにより、あるいは、固形分の排出と濾過体の洗浄とを効率的に行うことにより、処理能力(固液分離能率)の低下を防止することのできる固液分離装置、固液分離方法及び汚泥処理システムを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明に係る固液分離装置は、
縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
前記濾過体及び/又は固液分離槽には、液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る固液分離装置は、
縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
前記濾過体には、液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されているとともに、
前記濾過体から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の少なくとも一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して濾過されることを特徴とする。
これらの固液分離装置では、濾過体及び/又は固液分離槽(例えば濾過体)にクラスタ処理剤が付着されていることによって液体分(例えば水分)の分子クラスタが微小化され濾過隙間よりも小さくなる。これにより、液体分は濾過隙間(繊維間)を通り抜けやすく(流通性がよく)なる一方、固形分に対してはクラスタ微小化作用は及ばない。したがって、液体分は、濾過体内部を加減圧しなくても(すなわち、汚泥に加減圧を作用させなくても)、濾過体の筒状の周面部で濾過されて外部に流出しやすくなり、濾過体での目詰まりを防止して固液分離を促進させることができ、処理能力(固液分離能率)の低下を防止できる。また、濾過体から流出した液体分の少なくとも一部が、液体分循環径路を介して再び濾過体内に流入して濾過される場合には、再流入した液体分の分子クラスタはさらに微小化されて流通性がよくなる。したがって、液体分の循環を繰り返すことにより濾過体の目詰まりが防止され、そのまま河川等への放流も可能となる。なお、固形分は、凝集剤を添加しなくても底部に沈殿させることができるから、薬害の発生を防止できる。
ところで、本発明者は、天然鉱物として産出するセラミックス類には、液体分(例えば水分)の分子クラスタを微小化する機能(クラスタ処理機能)を有するものが多く存在することを見出した。特に、本発明の濾過体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着されて、自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化することができる。また、本発明の固液分離槽の内面及び/又は外面には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が塗布されて、自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化することができる。
つまり、クラスタ処理剤は、濾過体に付着されたり、固液分離槽の内面に塗布されたときには、液体分に直接接することによってクラスタ処理剤自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを微小化することができる。他方で、クラスタ処理剤は、例えば固液分離槽の外面にのみ塗布されたときに、液体分に直接接しなくてもクラスタ処理剤自身の発する共鳴波動により、濾過体内及び固液分離槽内の液体分の分子クラスタを微小化することができる。このように、クラスタ処理剤は液体分との接触の有無とは無関係に液体分の分子クラスタを微小化できるため、クラスタ処理剤を種々の形態で用いることができる。例えば、濾過体にクラスタ処理剤が付着され、かつ固液分離槽の内面及び/又は外面にクラスタ処理剤が塗布されている場合には、固液分離槽側のクラスタ処理剤は、濾過体から流出した液体分の分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させることができる。なお、「主成分」とは全体に占める重量比が50%以上であることを意味する。
ここで、クラスタ処理剤として例えばセラミックスを含有する次のような物質が推奨される。
(1)黒鉛珪石(グラファイトシリカ、シリカブラックともいう);
(2)電気石(トルマリンともいう);
(3)麦飯石(花崗斑岩ともいう);
(4)石英斑岩;
(5)医王石(戸室石、石英閃緑玲石ともいう)。
これらはいずれもケイ酸塩(無水ケイ酸、シリカ)を主たる成分として含有するセラミックス(非金属無機材料)の一種であり、天然鉱物として産出されるので比較的容易かつ安価に入手できる利点がある。
このような濾過体の内部には、導入された汚泥の中に垂下された1又は複数の濾過補助体を配置し、濾過補助体の下部が濾過体の底部を貫通し、その先端が固液分離槽の底部にまで達していることが望ましい。濾過体の底部には固形分が沈殿堆積し、通常であれば液体分はほとんど濾過(流出)されない。しかし、下部が濾過体の底部を貫通し、その先端が固液分離槽の底部にまで達する濾過補助体を設けることによって、液体分は濾過補助体を介して濾過体の底部からも外部に流出(濾過)することができ、固液分離が促進される。
ところで、濾過補助体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着されて、自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化することができる。
このような濾過補助体は濾過体の内部で縦方向に延びる紐状に形成され、その上部側を保持されるとともに下部側の自由端部に錘が吊り下げられているとよい。濾過補助体が紐状のため固形分の沈殿堆積を阻害せず、液体分は濾過補助体を介して濾過体の底部から外部に流出しやすくなる。また、下端部に錘が吊り下げられていることにより、濾過補助体の振れを防止できる。
また、固液分離槽の内周面には、濾過体の外周面及び固液分離槽の内周面からそれぞれ所定距離を隔てる形で、筒状の副濾過体を固定できる。そして、副濾過体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着されて、自身の発する共鳴波動により、濾過体から流出した液体分の分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させることができる。
さらに、液体分循環径路にはクラスタ処理体を配設できる。そして、クラスタ処理体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着されて、自身の発する共鳴波動により、濾過体から流出した液体分の分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させることができる。
そして、上記課題を解決するために、本発明に係る固液分離装置は、
縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
それら濾過体の底部と固液分離槽の底部とがともに開閉可能に構成され、両者を開放したときに、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出するとともに、その濾過体を洗浄可能としたことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る固液分離装置は、
縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
それら濾過体の底部と固液分離槽の底部とがともに開閉可能に構成され、両者を開放したときに、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出するとともに、その濾過体を洗浄可能とし、
前記濾過体と固液分離槽とは相対上下移動可能に構成され、前記濾過体が相対的に上方に移動して前記固液分離槽の内部に収容されたときに汚泥の固液分離が行われる一方、前記濾過体が相対的に下方に移動して少なくとも部分的に前記固液分離槽よりも下方に位置したときに固形分の排出と当該濾過体の洗浄とが行われることを特徴とする。
これらの固液分離装置では、濾過体の底部と固液分離槽の底部とを開閉可能に構成することにより、これらを開放すれば濾過体の底部に沈殿した固形分を下方に容易に排出できる。また、底部の開口を利用して固形分で汚れた濾過体を洗浄することもできるので、効率的に作業を行なうことができ、固液分離装置の処理能力(固液分離能率)の低下を防止することができる。さらに、濾過体が相対的に下方に移動して少なくとも部分的に固液分離槽よりも下方に位置したときに固形分の排出と濾過体の洗浄とが行われる場合には、まず固液分離槽の底部を開放して濾過体の底部を固液分離槽よりも下方に突出させ、次に濾過体の底部を開放して固形分の排出を行えばよいから、作業労力も軽減される。濾過体の底部が固液分離槽よりも下方に突出しているので、濾過体の洗浄にも好都合となる。
濾過体を洗浄するために、固液分離の際に濾過体から流出する液体分の一部を再使用することができ、これによって洗浄用の水等を準備せずに済み水資源の節約になる。また、前述の通り、液体分を循環使用することにより、液体分の分子クラスタはさらに微小化されて流通性がよくなるので、これを濾過体の洗浄に用いれば、洗浄水は濾過体の繊維等の隅々まで入り込んで汚れが落ちやすくなる。
また、濾過体を相対的に下方に移動して固形分の排出を行ったのち、固液分離槽よりも下方に位置する濾過体の下側部分を洗浄槽内で曝気処理すれば、固形分の排出と濾過体の洗浄とを効率的に行え、水質汚濁を防止できる。
ところで、濾過体の内部に、導入された汚泥の中に垂下された1又は複数の濾過補助体を配置する場合、濾過補助体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着されて、自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化することができる。そして、固液分離の際に、濾過補助体の下部が濾過体の底部を貫通し、その先端が固液分離槽の底部にまで達することによって、濾過体の底部から外部への液体分の流出(濾過)が促進される。さらに、固形分の排出及び濾過体の洗浄の際に、濾過補助体が濾過体とともに相対的に下方に移動して少なくとも部分的に固液分離槽よりも下方に位置することによって、濾過補助体の洗浄が容易となる。
さらに、濾過補助体を相対的に下方に移動して固形分の排出が行われたのち、固液分離槽よりも下方に位置する濾過補助体の下側部分を洗浄槽内で曝気処理すれば、固形分の排出と濾過補助体の洗浄とを効率的に行え、水質汚濁を防止できる。
濾過補助体を洗浄するために、固液分離の際に濾過体から流出する液体分の一部を再使用することができ、これによって洗浄用の水等を準備せずに済み水資源の節約になる。また、前述の通り、液体分を循環使用することにより、液体分の分子クラスタはさらに微小化されて流通性がよくなるので、これを濾過補助体の洗浄に用いれば、洗浄水は濾過補助体の繊維等の隅々まで入り込んで汚れが落ちやすくなる。
次に、上記課題を解決するために、本発明に係る固液分離方法は、
縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽と、を備える固液分離装置を用いた固液分離方法であって、
前記濾過体の頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離する固液分離処理工程と、
前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放して、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出する固形分排出処理工程と、
その固形分排出処理工程に引き続き、前記濾過体を洗浄する洗浄処理工程と、
を含むことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る固液分離方法は、
縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とが、相対上下移動可能に構成された固液分離装置を用いた固液分離方法であって、
前記濾過体を相対的に上方に移動して前記固液分離槽の内部に収容されたときに、前記濾過体の頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離する固液分離処理工程と、
前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放し、前記濾過体が相対的に下方に移動して少なくとも部分的に前記固液分離槽よりも下方に位置させ、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出する固形分排出処理工程と、
その固形分排出処理工程に引き続き、前記濾過体を洗浄する洗浄処理工程と、
を含むことを特徴とする。
これらの固液分離方法では、濾過体にクラスタ処理剤が付着されていることによって液体分(例えば水分)の分子クラスタが微小化され濾過隙間よりも小さくなる。これによって、濾過体での目詰まりを防止して固液分離を促進させることができ、固液分離装置の処理能力(固液分離能率)の低下を防止できる。一方、濾過体の底部と固液分離槽の底部とを開閉可能に構成することにより、これらを開放すれば濾過体の底部に沈殿した固形分を下方に容易に排出できる。また、底部の開口を利用して固形分で汚れた濾過体を洗浄することもできるので、効率的に作業を行なうことができ、固液分離装置の処理能力(固液分離能率)の低下を防止することができる。
固液分離処理工程において、濾過体から流出し固液分離槽で受け止められた液体分の少なくとも一部が、液体分循環径路を介して頭部開口から再び濾過体内に流入して濾過される場合には、再流入した液体分の分子クラスタはさらに微小化されて流通性がよくなる。したがって、液体分の循環を繰り返すことにより濾過体の目詰まりが防止され、そのまま河川等への放流も可能となる。
さて、上記課題を解決するために、本発明に係る汚泥処理システムは、
下水処理場等の流動性汚泥が沈殿した汚泥沈殿槽と、
その汚泥沈殿槽に隣接し、河川等に放流される浄化水を貯留する浄化水槽と、
縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とを有する固液分離装置と、
堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の固形分の後処理を行う後処理装置と、を備え、
前記汚泥沈殿槽より前記固液分離装置の濾過体の内部にその頭部開口を経て導入された汚泥のうち、主として筒状の周面部から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の少なくとも一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して濾過され、液体分の残りは、所定の浄水化処理が施されて前記浄化水槽へ送水された後河川等に放流される一方、
前記濾過体の底部に沈殿した固形分は、前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放したとき、前記後処理装置側へ排出されることを特徴とする。
このような汚泥処理システムでは、前述の通り、濾過体の目詰まりを防止して固液分離を促進させることができ、固形分の排出と濾過体の洗浄とを効率的に行うことができるので、処理能力(固液分離能率ひいては汚泥処理能率)の低下を防止することができる。
このような汚泥処理システムにおいて、固液分離装置が、汚泥沈殿槽又は浄化水槽と後処理装置との間を交互に移動可能とすれば、固液分離処理及び液体分の終末処理(放流処理)と、固形分の後処理(堆肥化処理等)及び濾過体の洗浄処理とがそれぞれ適所で実行でき、これらの間での特別な搬送・輸送手段を設ける必要がない。
同様に、上記課題を解決するために、本発明に係る汚泥処理システムは、
畜舎、水産加工場、食品工場、製紙工場等の生産施設で発生した流動性汚泥を貯留する汚泥貯留手段と、
縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とを有する固液分離装置と、
堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の固形分の後処理を行う後処理装置と、を備え、
前記汚泥貯留手段より前記固液分離装置の濾過体の内部にその頭部開口を経て導入された汚泥のうち、主として筒状の周面部から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して、前記固液分離装置内で循環・濾過され、液体分の残りの少なくとも一部は、前記固液分離装置から外部へ取り出されてそのままで又は所定の液体処理が施された後に、前記生産施設で発生する汚れを除去するための清掃液として後利用される一方、
前記濾過体の底部に沈殿した固形分は、前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放したとき、前記後処理装置側へ排出されることを特徴とする。
このうち、上記課題を解決するために、本発明に係る汚泥処理システムが養豚場・養鶏場・厩舎等の畜舎に用いられた場合、
畜舎で発生した流動性汚泥を貯留する汚泥貯留手段と、
縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とを有する固液分離装置と、
堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の固形分の後処理を行う後処理装置と、を備え、
前記汚泥貯留手段より前記固液分離装置の濾過体の内部にその頭部開口を経て導入された汚泥のうち、主として筒状の周面部から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して、前記固液分離装置内で循環・濾過され、液体分の残りの少なくとも一部は、前記固液分離装置から外部へ取り出されてそのままで又は所定の液体処理が施された後に、前記畜舎で発生する汚れを除去するための清掃液、家畜に与えるための飲用水、及び牧草等の飼料作物に撒布するための撒水のうち少なくともいずれかとして後利用される一方、
前記濾過体の底部に沈殿した固形分は、前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放したとき、前記後処理装置側へ排出されることを特徴とする。
これらの汚泥処理システムでも、前述と同様に、濾過体の目詰まりを防止して固液分離を促進させることができ、固形分の排出と濾過体の洗浄とを効率的に行うことができるので、処理能力(固液分離能率ひいては汚泥処理能率)の低下を防止することができる。また、固液分離装置から取り出された液体分を清掃液として用いることによって畜舎等の生産施設の汚れを除去できるので、生産施設の環境維持が容易となる。しかもその際、清掃液として黒鉛珪石等でクラスタ処理がなされた液体分が用いられるので、消臭、消毒(滅菌・除菌)等の作用により衛生的環境の維持が一層容易となる。
ここで、上記液体処理として例えば、消臭、消毒(滅菌・除菌)、脱色、防黴等の処理がなされる場合がある。もちろん、固液分離装置から取り出された液体分が無毒無臭であれば、そのまま清掃液等に用いても差し支えない。
また、養豚場・養鶏場・厩舎等の畜舎に用いられた汚泥処理システムにおいて、飲用水が家畜に与えられた後家畜の排泄物として回収され、再び固液分離装置の濾過体の内部に導入されることによって、少なくとも部分的に閉鎖された循環系を構築する場合には、固液分離装置から取り出された液体分のリサイクルが促進され、飲用水として積極的に後利用(再利用)できる。
さらに、畜舎等の生産施設の汚泥処理システムにおいて、清掃液が清掃後に回収され、再び固液分離装置の濾過体の内部に導入されることによって、少なくとも部分的に閉鎖された循環系を構築する場合にも、固液分離装置から取り出された液体分のリサイクルが促進され、清掃液として積極的に後利用(再利用)できる。なお、上記畜舎において、清掃液の他に飲用水や撒水としても後利用する場合には、固液分離装置から取り出された液体分のほとんどが閉鎖循環系で再利用され、リサイクルが一層促進される。
(実施例1)
次に、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1〜図3は本発明に係る固液分離装置の全体構成の一例を示し、図1は固液分離状態(固液分離処理工程)、図2は固形分排出状態(固形分排出処理工程)、図3は洗浄状態(洗浄処理工程)をそれぞれ表わしている。
図1に示すように、固液分離装置100は、複数箇所(例えば四隅)に立設されたフレーム10と、フレーム10に固定・支持された処理タンク20(固液分離槽)と、処理タンク20の内部に昇降(上下移動)可能に収容された移動フィルタ30(濾過体)と、移動フィルタ30の内部に垂下された紐状フィルタ40(濾過補助体)と、処理タンク20の内面に固定・支持された固定フィルタ50(副濾過体)とを備えている。また、固液分離装置100は、後述する噴射機構60及び/又は昇降機構70を備える場合がある。
フレーム10は柱状の脚部にローラ11を有し移動可能に構成されている。移動フィルタ30は、縦型の袋状(又は有底円筒状)に形成され、固液分離状態(固液分離処理工程)において、下水処理場500の汚泥沈殿槽510(図9参照)等より導入管511を介して汚泥Mが頭部開口31から内部に導入される。そして、移動フィルタ30は、汚泥Mの水分(液体分)を主として筒状の周面部30a(大径部)で濾過して外部に分離水Wとして流出させる一方、そのケーキC(固形分)を底部30b(縮径部)に沈殿させることにより、分離水W(水分;液体分)とケーキCとに分離する機能を有している。一方、処理タンク20は、移動フィルタ10を内部に収容するために、コンクリート(例えば鉄筋コンクリート)、金属(例えば普通鋼、ステンレス鋼、アルミニウム)、合成樹脂(例えば塩化ビニル、FRP)等で縦型の有底円筒状に形成され、移動フィルタ30から流出する分離水Wを受ける機能を有している。
移動フィルタ30には、所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)によって定着(付着)されている。クラスタ処理剤(シリカブラック)は、自身の発する共鳴波動により分離水Wの分子クラスタを移動フィルタ30の濾過隙間よりも小さくなるように微小化する機能を有している。
ここで、移動フィルタ30は木綿、ポリエステル繊維(PET;商品名テトロン)、木綿とポリエステルとの混紡等の非腐食素材製の不織布で構成され、例えば図11に示す方法により製作される。図11(a)に示す定着剤(繋ぎ剤;例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン)溶液Fの中に所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末S(クラスタ処理剤)を添加し、同図(b)に示すように不織布N(布帛)を浸漬する。そして、シリカブラックが定着した不織布N’を同図(c)に示すように乾燥させた後、縦型の袋状に成形すれば、移動フィルタ30が完成する。なお、図5(b)に示すように、シリカブラックが定着した不織布N’を複数枚(例えば2枚)重ねて移動フィルタ30としてある。
一方、図5(a)に示すように、処理タンク20の内面20A及び外面20Bには、所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)とともに所定厚さ(例えば平均50〜70μm)に塗布(付着)されている。このように、移動フィルタ30にクラスタ処理剤が定着(付着)され、かつ処理タンク20の内面20A及び外面20Bにもクラスタ処理剤が塗布(付着)されている場合には、処理タンク20側のクラスタ処理剤は、移動フィルタ30から流出した分離水Wの分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させる機能を有している。
図1に戻り、処理タンク20の具体的形状は、上部に形成された大径部20aと、下部(底部)に形成された小径部20bと、両部を繋ぐ縮径部20cとを有する円筒状であり、これによって頭部開口21と底部開口22(図2参照)とが形成される。移動フィルタ30の具体的形状は、固液分離状態(固液分離処理工程)において、処理タンク20の大径部20aに沿って上部に形成された大径部30aと、処理タンク20の縮径部20cに沿って下部(底部)に形成された縮径部30bとを有する円筒状であり、これによって頭部開口31と底部開口32(図2参照)とが形成される。
そして、頭部開口21,31からは、固液分離状態(固液分離処理工程)において、下水処理場500の汚泥沈殿槽510(図9参照)等より導入管511を介して汚泥Mが移動フィルタ30の内部に導入される。一方、固液分離状態(固液分離処理工程)において、底部開口22は回動式の底蓋23によって閉鎖され、底部開口32は縛り紐等の締結部材33によって閉鎖されている。なお、24は処理タンク20の頭部開口21を閉鎖するための上蓋である。
ここで、処理タンク20の底部開口22を開閉する底蓋23のさらに詳細な構造を図8に示す。底蓋23は水平状の回動軸23aの周りに約90°の角度範囲で回動可能である。したがって、固液分離状態(固液分離処理工程)では、図8(b)に示すように回動軸23aとは反対側のリンク23bを電動ウィンチ等の駆動体(図示せず)で上方に引き上げ、締め上げバルブ等のロック部材25で底蓋23をほぼ水平に保持し底部開口22を閉鎖する閉鎖状態とする。他方、固形分排出状態(固形分排出処理工程)や洗浄状態(洗浄処理工程)では、ロック部材25を緩めてリンク23bの取り付け側を下方に位置させ、底部開口22を開放する開放状態(図2、図3参照)に切り換える。
底蓋23の中心部には、移動フィルタ30から流出し処理タンク20で受けられた分離水Wを処理タンク20の外部へ排出するために、底蓋23を貫通して排水パイプ26が取り付けられ、排水パイプ26の出口側端部には外側から操作可能な止め弁26aが配置されている。さらに、底蓋23の上面側(内側)には、排水パイプ26の目詰まり防止のため、その入口側排出口を取り囲むようにして金網27が円錐台形状に突出形成されている。突出形成された金網27と底蓋23の内面との間には排出口フィルタ28が形成されている。なお、29は底蓋23からの水漏れを防止するためのゴムパッキンである。
排出口フィルタ28には、所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)によって定着(付着)されている。クラスタ処理剤(シリカブラック)は、自身の発する共鳴波動により、移動フィルタ30から流出した分離水Wの分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させる機能を有している。排出口フィルタ28は木綿、ポリエステル繊維(PET;商品名テトロン)、木綿とポリエステルとの混紡等の非腐食素材製の不織布で構成され、例えば図11に示す方法により移動フィルタ30と同様に製作された後約2cm角に切断され、金網27と底蓋23の内面との空間にランダムに詰められる。
図1に戻り、移動フィルタ30の内部には、導入管511で導入された汚泥Mの中に貫通状に垂下された複数(例えば2本)の紐状フィルタ40(濾過補助体)が配置されている。紐状フィルタ40の下部は移動フィルタ30の底部(縮径部30b)を貫通し、その先端は処理タンク20の底部(小径部20b)に位置する金網27と排出口フィルタ28にまで達している。紐状フィルタ40の上部側は後述する昇降機構70で保持されるとともに、下部側の自由端部には錘41が吊り下げられている。
ここで、紐状フィルタ40のさらに詳細な構造を図7に示す。紐状フィルタ40は、心材となるステンレス製チェン42を複数枚(例えば5枚)の覆い材43で巻き上げ、固定紐44を長手方向所定間隔で設けている。固定紐44により覆い材43がバラけるのを防止し、チェン42と錘41とで安定感を持たせ紐状フィルタ40の振れを防止している。
紐状フィルタ40の覆い材43と固定紐44とには、所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)によって定着(付着)されている。クラスタ処理剤(シリカブラック)は、自身の発する共鳴波動により分離水Wの分子クラスタを紐状フィルタ40の濾過隙間よりも小さくなるように微小化する機能を有している。紐状フィルタ40の覆い材43と固定紐44とは木綿、ポリエステル繊維(PET;商品名テトロン)、木綿とポリエステルとの混紡等の非腐食素材製の不織布で構成され、例えば図11に示す方法により移動フィルタ30と同様に製作された後複数枚(例えば5枚)を重ねた覆い材43でチェン42を巻き、固定紐44で止め付ける。
移動フィルタ30の底部(縮径部30b)にはケーキCが沈殿堆積し、通常であれば水分はほとんど濾過(流出)されず分離水Wとはならない。しかし、下部が移動フィルタ30の底部(底部開口32)を貫通し、その先端が処理タンク20の底部(小径部20b)にまで達する紐状フィルタ40を設けることによって、水分は紐状フィルタ40を介して移動フィルタ30の底部からも外部に流出(濾過)して分離水Wとなることができ、固液分離が促進される。
再び図5において、処理タンク20の内周面20Aには、筒状の固定フィルタ50が多数のステンレス製のアンカーピン51で埋め込み固定されている。この固定フィルタ50は、移動フィルタ30の外周面及び処理タンク20の内周面20Aからそれぞれ所定距離を隔てる形で、その内周面20A形状に沿って大径部20a・縮径部20c・小径部20bと各々相似形に形成されている(図2、図3参照)。
ここで、固定フィルタ50のさらに詳細な構造を図5(b)及び図6に示す。固定フィルタ50は、複数枚(例えば内側に3枚、外側に1枚)を重ね合わせ、内外の重ね合わせ方向の間に、クロス状に組み合わせたステンレス製の縦方向鋼線部材52とステンレス製の横方向鋼線部材53とを補強材として挟み込む構造を有している。アンカーピン51は、このように重ね合わせた固定フィルタ50を図6に示す千鳥状の位置で貫通して、処理タンク20の内周面20Aに固定している。アンカーピン51と固定フィルタ50との接触を緩和し、固定フィルタ50の損傷を防止するために、横方向鋼線部材53と軸線を合わせるようにして合成樹脂製の連結部材54が、アンカーピン51の湾曲頭部と固定フィルタ50との間に介装されている。
固定フィルタ50には、所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)によって定着(付着)されている。クラスタ処理剤(シリカブラック)は、自身の発する共鳴波動により移動フィルタ30から流出した分離水Wの分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させる機能を有している。固定フィルタ50は木綿、ポリエステル繊維(PET;商品名テトロン)、木綿とポリエステルとの混紡等の非腐食素材製の不織布で構成され、例えば図11に示す方法により移動フィルタ30と同様に製作された後、複数枚(例えば3枚+1枚)を重ね合わせてアンカーピン51で処理タンク20に埋め込み固定する。
図1に示すように、移動フィルタ30から流出し処理タンク20で受け止められた分離水Wの一部は、分離水循環径路K(液体分循環径路;液体分循環径路)を介して頭部開口31から再び移動フィルタ30内に流入して濾過される。
具体的には、分離水循環径路Kとして、
(1)排水パイプ26から排出される分離水Wを受け止めるための分離水タンク200(分離液槽);
(2)分離水タンク200の下流側に連結水路210を介して設けられ、分離水Wの一部を残して下水処理場500の浄化水槽520から河川Rに放流する(図9、図10参照)循環水タンク300(循環液槽);
(3)循環水タンク300に設けられ、分離水Wの一部を頭部開口31から再び移動フィルタ30内に戻すための循環ポンプ310;
(4)循環ポンプ310から頭部開口31に至る配管320;
等が備えられている。この場合には、再流入した分離水Wの分子クラスタはさらに微小化されて流通性がよくなる。したがって、分離水Wの循環を繰り返すことにより移動フィルタ30の目詰まりが防止され、そのまま河川等への放流も可能となる。
さらに、分離水循環径路Kにはクラスタ処理体として、分離水タンク200及び連結水路210に設けられる再濾過フィルタ220と、循環水タンク300に設けられる最終濾過フィルタ330とを配設できる。そして、これらのクラスタ処理体、すなわち再濾過フィルタ220及び最終濾過フィルタ330にも所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)によって定着(付着)されている。クラスタ処理剤(シリカブラック)は、自身の発する共鳴波動により分離水Wの分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させる機能を有している。再濾過フィルタ220と最終濾過フィルタ330とは木綿、ポリエステル繊維(PET;商品名テトロン)、木綿とポリエステルとの混紡等の非腐食素材製の不織布で構成され、例えば図11に示す方法により移動フィルタ30と同様に製作される。なお、230は、連結水路210での目詰まりを防止するための網状のストレーナである。
固液分離状態(固液分離処理工程)において、このように分離水循環径路Kを通り循環された分離水Wは、処理タンク20及び移動フィルタ30の内部に設けられた噴射機構60からシャワー状に噴出して、移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを洗浄する。
具体的には、図4に示す通り、噴射機構60は次の構成部材を含む。
(1)移動フィルタ30内の汚水Mの水面変動に対応する所定範囲内で、浮力により上下昇降するフロート61;
(2)噴出口(図示せず)を有し、フロート61と一体となって昇降するとともに、フロート61を中心に放射状に複数(例えば6本)突出する噴射ノズル62;
(3)ゴム、スプリングのように伸縮・屈曲を伴う弾性変形及び弾性復元可能な素材で構成された弾性パイプ63;
(4)分離水循環径路Kに連結される合成樹脂(例えば塩化ビニル)製の洗浄パイプ64。
このような噴射機構60を備えることによって、固液分離状態(固液分離処理工程)が進行して、移動フィルタ30内の汚水Mの水位が徐々に下がるにつれて、噴射ノズル62が移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを上から下へ洗い流しながら洗浄できる。しかも、洗浄水として移動フィルタ30で一旦濾過された分離水Wを循環使用するので水資源を無駄にすることがなく、分離水Wの分子クラスタは既に微小化されており洗浄効果も高い。なお、65は、フロート61に浮力が作用しないときに、噴射機構60を所定の高さ範囲に保持するためのワイヤー等の吊り部材である。
ところで、固形分排出状態(固形分排出処理工程)や洗浄状態(洗浄処理工程)では、処理タンク20の底部開口22と移動フィルタ30の底部開口32とをともに開放して、移動フィルタ30の底部に沈殿したケーキCの排出と移動フィルタ30の洗浄とを可能とすることについて既に説明した(図2、図3参照)。実際には、このとき次のような操作を伴っている。
(1)移動フィルタ30と紐状フィルタ40とは処理タンク20に対して上下移動可能に構成され、これらが上方に移動して処理タンク20の内部に収容されたときに汚泥Mの固液分離が行われる(図1参照);
(2)移動フィルタ30と紐状フィルタ40とが下方に移動して、部分的に処理タンク20よりも下方に位置したときにケーキCの排出が行われる(図2参照);
(3)ケーキCの排出が行われた後、処理タンク20よりも下方に位置する移動フィルタ30と紐状フィルタ40との下側部分が、洗浄水タンク200(洗浄槽)内で空気供給管240からの空気により曝気処理される(図3参照)。
ただし、(3)で曝気処理のために用いる洗浄水タンク200(洗浄槽)は、(1)で処理タンク20の排水パイプ26から排出される分離水Wを受け止めるために用いた分離水タンク200(分離液槽)をそのまま使用する。これによって、(3)の洗浄状態(洗浄処理工程)では、(1)の固液分離状態(固液分離処理工程)で処理タンク20から流出した分離水Wの一部を再使用する。なお、(1)の固液分離状態(固液分離処理工程)で用いられた循環水タンク300(循環液槽)は、(3)の洗浄状態(洗浄処理工程)においてそのまま放流水タンク(放流槽)として用いられる。
具体的には、図4に示す通り、昇降機構70は次の構成部材を含む。
(1)移動フィルタ30を周方向の複数位置(例えば12箇所)で吊り下げ保持するとともに、複数(例えば2本)の紐状フィルタ40を吊り下げ保持するために円環状に形成され、中央孔71aには噴射機構60が挿通される吊り屋根状の保持板71;
(2)保持板71を複数箇所(例えば4箇所)で支持するためのワイヤー等の吊り部材72;
(3)吊り部材72を巻き取るためにフレーム10に取り付けられた巻取ハンドル等の巻取器73(図1参照)。
このような昇降機構70を備えることによって、固液分離状態(固液分離処理工程)と、固形分排出状態(固形分排出処理工程)及び洗浄状態(洗浄処理工程)とで、移動フィルタ30と紐状フィルタ40との上下移動調節をモータ等の駆動力に頼らなくても確実かつ迅速に行える。
次に、このような固液分離装置を用いた固液分離方法について、図1〜図3により説明する。
(1)固液分離処理工程(図1)
移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを昇降機構70によって上方に移動して、処理タンク20の内部に収容する。導入管511を介して頭部開口31から移動フィルタ30の内部に汚泥Mが導入される。汚泥Mの水分をクラスタ処理剤が付着された移動フィルタ30の主として筒状の周面部(大径部30a)で濾過して外部に分離水Wとして流出させ分離水タンク200で受ける一方、ケーキCを底部(縮径部30b)に沈殿させることにより、分離水WとケーキCとに分離する。このとき、移動フィルタ30で濾過され流出した分離水Wの一部は、分離水循環径路Kを循環し、噴射機構60から噴出して移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを洗浄する。
(2)固形分排出処理工程(図2)
フレーム10のローラ11により、固液分離装置100を堆肥化処理装置400側に移動する。処理タンク20の底蓋23を開放し、移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを昇降機構70によって下方に移動して、部分的に処理タンク20よりも下方に位置させる。移動フィルタ30の締結部材33を緩めて開放し、移動フィルタ30の底部に沈殿したケーキCを排出する。
(3)洗浄処理工程(図3)
フレーム10のローラ11により、固液分離装置100を元の位置(固液分離処理工程を実施した位置)に戻す。固液分離処理工程で分離水Wを受けるために用いた分離水タンクをそのまま洗浄水タンク200として用い、移動フィルタ30及び紐状フィルタ40の処理タンク20よりも下方に位置する下側部分を曝気処理する。
次に、以上で説明した固液分離装置を含む汚泥処理システムと、そのシステムの運用方法について、図9及び図10により説明する。
図9及び図10で用いられる汚泥処理システム1000の基本的な構成要素は、次の通りである。
(1)汚泥沈殿槽510及び浄化水槽520:流動性汚泥Mが沈殿した汚泥沈殿槽510と、河川Rに放流される浄化水W’を貯留する浄化水槽520とはともに下水処理場500の主要施設として互いに隣接して配設されている;
(2)固液分離装置100:底部が開閉可能な縦型袋状の移動フィルタ30と、移動フィルタ30を収容するために底部が開閉可能な縦型有底筒状に形成された処理タンク20とを有し、汚泥Mを分離水WとケーキCとに分離する;
(3)分離水タンク兼洗浄水タンク200及び循環水タンク兼放流水タンク300:固液分離処理工程において、分離水Wを受ける分離水タンク200と、一部の分離水Wを循環させ残りを浄化水槽520を介して河川Rに放流する循環水タンク300とはともに分離水循環径路Kを形成するとともに/洗浄処理工程において、分離水タンクをそのまま移動フィルタ30を曝気処理するための洗浄水タンク200として、また循環水タンクをそのまま放流水タンク300(放流槽)として、ともに用いられる;
(4)堆肥化処理装置400:固液分離装置100から排出されたケーキCの後処理を行う。なお、ケーキCに重金属や有害物質を含む場合には、後処理装置として乾燥・焼却処理装置を選択する必要がある。
このような汚泥処理システム1000の運用方法について、図9及び図10を用いて処理対象物を中心に説明すれば次の通りである。
[1]固液分離
固液分離装置100を下水処理場500の近傍に位置させ、汚泥沈殿槽510の流動性汚泥Mを導入管511を介して移動フィルタ30の内部に導入し、分離水WとケーキCとに分離する。分離水タンク200で受けられた分離水Wの一部は、分離水循環径路Kを循環し、噴射機構60から噴出して移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを洗浄する。分離水Wの残りは循環水タンク300から浄化水槽520に至り、脱色・消臭等の所定の浄水化処理と水質検査とが実施された後、浄化水W’として河川Rに放流される。
[2]排出
例えば、案内レール600上でフレーム10のローラ11を所定方向に走行させることにより、固液分離装置100を堆肥化処理装置400側に移動する。処理タンク20の底蓋23を開放し、移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを昇降機構70によって下方に移動して、部分的に処理タンク20よりも下方に位置させる。移動フィルタ30の締結部材33を緩めて、移動フィルタ30の底部に沈殿したケーキCを排出する。
[3]洗浄
例えば、案内レール600上でフレーム10のローラ11を逆方向に走行させることにより、固液分離装置100を元の位置(固液分離を実施した位置)に戻す。固液分離の際、分離水Wを受けるために用いた分離水タンクをそのまま洗浄水タンク200として用い、移動フィルタ30及び紐状フィルタ40の処理タンク20よりも下方に位置する下側部分を空気供給管240からの空気により曝気処理する。また、固液分離の際、分離水Wを分離水循環径路Kへの循環用と浄化水槽520を介しての放流用とに分配するために用いた循環水タンクをそのまま放流水タンク300として用い、曝気処理後の分離水Wの全量を放流用として浄化水槽520へ送水する。
以上で述べた実施例に対して、例えば次のような変更が可能である。
(1)クラスタ処理剤として、シリカブラック粉末のみについて説明したが、他の成分を含むことや粉末状以外の形態を排除するものではなく、水(溶媒)分子クラスタを微小化する作用のある他の材料を用いてもよい。
(2)固液分離方法において、他の工程を付加してもよい。
(3)昇降機構70において、処理タンク20側を上下移動させてもよい。
(4)昇降機構70の巻取器73をモータ等の駆動力で巻き取ってもよい。
(5)図2の固形分排出処理工程又は図9の排出において、固液分離装置100を堆肥化処理装置400側へ移動させることとしたが、固液分離装置100を移動させずに分離水タンク200に代わる堆肥化処理槽でケーキCを受けてもよい。
(実施例2)
図12は図1〜図3(実施例1)に示した固液分離装置に一部変形を加えた全体正面図、図13はそのフレームを階層毎に示す平面図である。図12に示す固液分離装置100のフレーム10は、コンクリート基礎12上の四隅に立設された縦方向の支柱13,13,13,13と、その支柱13,13,13,13を頂部、中間上部及び中間下部においてそれぞれ連結固定する水平方向の枠体14,15,16とを有している。
頂部の枠体14の井桁状アングル材14a(図13(a)参照)には、昇降機構70を構成し、吊り部材72を巻き取る電動ウィンチ74(昇降アクチュエータ)が支持されている。中間上部の枠体15には、ステンレスグレーチング製等の上部デッキ15aが張設されている。上部デッキ15aは、(1)移動フィルタ30(濾過体)や紐状フィルタ40(濾過補助体)の取付け・取外し及び昇降等の操作;(2)噴射機構60のセットや昇降機構70の操作;(3)処理タンク20(固液分離槽)の頭部開口21の点検;等のために用いられる。一方、中間下部の枠体16には、ステンレスグレーチング製等の下部デッキ16aが張設されている。下部デッキ16aは、(1)処理タンク20を開閉する底蓋23の開閉操作;(2)処理タンク20の排水量調整弁126a(図18参照)の開口量調節操作;等のために用いられる。なお、17は点検・操作等のために作業者がデッキ15a,16aに登るための梯子、15b,16bはデッキ15a,16aの外周に沿ってそれぞれ立設されたフェンス、15cは処理タンク20の外周に沿ってデッキ15aに立設されたフェンスである(図13(b),(c)参照)。
処理タンク20の大径部20aは既製のコンクリート管で構成され、中間下部枠体16に固定された鉄筋コンクリート製の井桁状基盤16cに受止め・支持されている。また、処理タンク20の小径部20b及び縮径部20cは、この基盤16cの内面側に形成されている。さらに、デッキ15a,16aには、処理タンク20の大径部20a(円筒状),小径部20b(筒状)をそれぞれ挿通する円形孔15d,矩形孔16dが形成されるとともに、大径部20a,小径部20bをそれぞれ外側から保持する井桁状アングル材15e,16eが下面側に固定されている(図13(b),(c)参照)。なお、小径部20bは、内側(内周)が円形状、外側(外周)が矩形状(例えば正方形状)の筒状となるので、底部開口22は円形状である(図13(c)参照)。
図14は図12の昇降機構に用いる保持板の概略平面図を示す。昇降機構70の保持板71は、移動フィルタ30を周方向に複数(例えば35本)配置された吊り下げ部材130によって吊り下げ保持するとともに、複数(例えば4本)の紐状フィルタ40を吊り下げ部材140によって各々吊り下げ保持している。そして、既述の通り電動ウィンチ74を用いて吊り部材72を巻き取り・巻き戻すことにより保持板71を昇降させる(図12参照)。
図15は図12に用いる処理タンク(固液分離槽)及び噴射機構の概略平面図を示す。処理タンク20の大径部20aの内側には、周方向に複数(例えば21枚)の固定板150が上下方向に沿って配置されている(図12参照)。図16に示すように、この固定板150は木製等で構成され、ステンレス鋼製ビス等の締結部材151により大径部20aの内周面20Aに固定されている。そして、固定フィルタ50(副濾過体)がステンレス鋼製ビス等の締結部材152により各固定板150に固定されている。なお、固定板150の露出面には、所定粒径(例えば平均粒径0.5〜2μm)のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)が、酢酸ビニル、塩化ビニル、ウレタン等の定着剤(繋ぎ剤)によって定着(付着)されている。クラスタ処理剤(シリカブラック)は、自身の発する共鳴波動により分離水Wの分子クラスタを紐状フィルタ40の濾過隙間よりも小さくなるように微小化する機能を有している。
図15に戻り、処理タンク20の大径部20aの内側には、噴射機構としてのスプリンクラー式シャワーヘッド60が配設されている。図17に示すように、シャワーヘッド60は、処理タンク20の中心軸線に沿って上下方向に配置される可撓性ホース160と、可撓性ホース160の軸線周りに回転可能なフロート61及び噴射ノズル62と、を有している。そして、噴射ノズル62は、可撓性ホース160を中心に所定角度間隔で複数(例えば90°間隔で4本)放射状に突出形成されている。また、この噴射ノズル62は、半径方向外側に向かって直線状に突出する第一ノズル161と、半径方向外側に向かうにつれて湾曲する第二ノズル162とが交互に配置されている。
さらに、図12及び図14に示すように、保持板71の上面には櫓状のアングル材163が立設されている。このアングル材163には、可撓性ホース160を挿通してシャワーヘッド60の昇降又は回転に伴う振れを抑制する機能(振れ止め機能)を有する保持バンド164が固定されている。なお、図12に示す165は可撓性ホース160を引き出し・引き戻す際のガイド用の滑車、図17に示す166はシャワーヘッド60へのごみ等の付着を防止するためにフロート61の周囲に張り巡らされた紐状のフェンスである。
したがって、図15に示すように、移動フィルタ30で一旦濾過された分離水Wが分離水循環径路Kを通って循環され(図20参照)、可撓性ホース160を介して噴射ノズル62からシャワー状に噴出する。したがって、シャワーヘッド60がフロート61に作用する浮力により上下昇降するとともに、フロート61及び噴射ノズル62が噴出の反力により可撓性ホース160の軸線周りに回転し、移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを洗浄する。このとき、直線状の第一ノズル161と湾曲状の第二ノズル162とを有する噴射ノズル62が回転するため、移動フィルタ30及び紐状フィルタ40をまんべんなく洗浄できる。特に、第二ノズル162の噴出方向が第一ノズル161とは異なるため、紐状フィルタ40の裏側(対面しない側)に対して洗浄作用を及ぼすことができる。
図18及び図19は図12に用いる処理タンク(固液分離槽)の底部開口部の詳細を示す。処理タンク20(小径部20b)に形成された円形状の底部開口22には、矩形状(例えば正方形状)のスライド式の底蓋123が臨ませてある。
具体的には、中間下部枠体16に固定された左右一対のL字形状の固定板16f,16fの一端側にそれぞれステンレス鋼製のレール16g,16gが平行状に保持・固定されている。一方、底蓋123の下面に補強材123aが固定され、その補強材123aには各レール16g,16g上を転動可能なステンレス鋼製の戸車123b,123bが回転自在に支持されている。また、処理タンク20の小径部20b(内周円形状、外周矩形状)の下端面には、矩形状底蓋123の上面周辺部が接触(圧着)したとき液密(水密)を保持できるように、硬質ゴム製等のパッキン材20dが固定(貼付)されている。さらに、底蓋123の四隅に各々配置された底蓋昇降ハンドル123cのねじ軸が固定板16fに螺合され、ねじ軸の回転に伴ってその先端で支持された補強材123a(底蓋123)が昇降する。
したがって、固液分離状態(固液分離処理工程)では、図18の実線に示すように、複数(ここでは4個)の底蓋昇降ハンドル123cをそれぞれ回転させて補強材123a(底蓋123)を押し上げる。これによって、底蓋123の上面がパッキン材20dに圧着して締め込まれ、底部開口22を閉鎖する閉鎖状態となる。このとき、戸車123b,123bはレール16g,16gの上方に浮いた(離間した)状態となっている。
他方、固形分排出状態(固形分排出処理工程)や洗浄状態(洗浄処理工程)では、図18の仮想線に示すように、複数の底蓋昇降ハンドル123cをそれぞれ回転させて補強材123a(底蓋123)を下降させる。これによって、戸車123b,123bがレール16g,16gの上に乗るので、底蓋123(又は補強材123a)をレール16g,16gに沿って押し引き操作すれば、底部開口22を開放する開放状態(図2、図3参照)となる。このとき、パッキン材20dは底蓋123の上面から浮いた(離間した)状態となっている。
底蓋123の中心部に取り付けられた排水パイプ26の出口側端部には、排水量調整ハンドル126bによって排水量(開口量)調節可能な排水量調整弁126aが配置されている。この排水量調整弁126a(排水量調整ハンドル126b)の開度調整によって、移動フィルタ30から流出し処理タンク20で受けられた分離水Wの処理タンク20から外部への排出量、すなわち分離水循環径路Kを通って循環される分離水Wの処理量(図20参照)を調節できる。
また、底蓋123の上面側(内側)には、排水パイプ26取付部周辺が下面側(外側)に向かって凸となる形態の凹部123dが形成されている。さらに、底蓋123の上面(底面)には、凹部123dを塞ぐようにステンレス鋼製の格子状すのこ123eが載置されている。これによって、固液分離状態(固液分離処理工程)では、移動フィルタ30の底部30bは処理タンク20の縮径部20cからさらに下方の小径部20bにまで延長され、締結部材33(縛り紐)によって閉鎖された底部30bがすのこ123e上に載置される。よって、この実施例の固液分離状態(固液分離処理工程)では、移動フィルタ30の底部30bを貫通した紐状フィルタ40は、底部30b(及び汚泥M)で重石をされた状態となる。なお、凹部123dには既述の排出口フィルタ28(図8(b)参照)を設けることができる。
このように、底蓋123の上面側に凹部123dを形成することにより、底部30bが底蓋123に接するまで移動フィルタ30の容量を大きくしても、移動フィルタ30及び固定フィルタ50で濾過された分離水Wの排出に支障がない。また、底蓋昇降ハンドル123cによる補強材123a(底蓋123)の昇降によって、処理タンク20の底部開口22の開閉操作が円滑に行える。
次に、図12の固液分離装置を用いた固液分離方法について、図20等を参照して説明する。
(1)固液分離処理工程(図20)
移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを昇降機構70によって上方に移動して、処理タンク20の内部に収容する。養豚場等の畜舎で発生し汚泥貯留槽250(汚泥貯留手段)に貯留された流動性の汚泥Mが、汚泥用ポンプ251を介して頭部開口21,31から移動フィルタ30の内部に導入される。汚泥Mの水分をクラスタ処理剤が付着された移動フィルタ30の主として筒状の周面部(大径部30a)で濾過して外部に分離水W(水分;液体分)として流出させ、処理タンク20の底蓋123・排水量調整弁126aを経て分離水貯留槽260(分離液貯留手段)で受ける。一方、ケーキC(固形分)を底部30bに沈殿させることにより、汚泥Mを分離水WとケーキCとに分離する。このとき、分離水貯留槽260に貯留された分離水Wの一部は、分離水用ポンプ261・開閉弁262等からなる分離水循環径路K(水分循環径路;液体分循環径路)を循環し、噴射機構60から噴出して移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを洗浄する。
ところで、処理タンク20の内部には、汚泥Mの水位を検出するための複数(例えば6個)のレベルセンサ20S1〜20S6が配置されている。そのうち、比較的高位のセンサ20S1は所定量の汚泥Mが導入されたときに汚泥用ポンプ251を停止させるスイッチ機能を有し、比較的低位のセンサ20S2は汚泥Mの追加導入のために汚泥用ポンプ251を作動させるスイッチ機能を有する。
また、センサ20S2よりもやや高位のセンサ20S3は、固液分離処理の途中(終盤)で汚泥Mの水位が所定以下に下がったときに、電動ウィンチ74を一時的に作動させて移動フィルタ30及び紐状フィルタ40を所定量上昇させるスイッチ機能を有する。その際、その後のセンサ20S2のONによって汚泥用ポンプ251による汚泥Mの追加導入が開始されたときに、移動フィルタ30及び紐状フィルタ40をもとの位置に下降させてもよい。このように、固液分離処理が進行して移動フィルタ30内の汚泥Mの水位が下がり底部30bへのケーキCの沈殿量が増加したとき、底部30bを底蓋123(すのこ123e)から所定量浮上(離間)させることにより、特に底部30bから水分が濾過・流出しやすくなる。あるいは、その後にセンサ20S2がONしても汚泥用ポンプ251による汚泥Mの追加導入を行わず、沈殿したケーキCの排出処理工程に移行する場合には、底部30bが底蓋123(すのこ123e)から所定量浮上(離間)しているので、次工程での底蓋123のスライド開放操作が楽に行える。
さらに、センサ20S1,20S2とほぼ同じ高さに他のセンサ20S4,20S5が配置されている。このうち、比較的高位のセンサ20S4は、所定量の汚泥Mが導入されて固液分離処理が開始された時に、分離水用ポンプ261による分離水Wの循環を開始させるスイッチ機能を有する。一方、比較的低位のセンサ20S5は、汚泥Mの水位が下がり追加導入のために汚泥用ポンプ251を作動させる際に、所定量の汚泥Mが導入されるまで分離水用ポンプ261による分離水Wの循環を停止させるスイッチ機能を有する。そして、センサ20S4よりもさらに高位に配置された別のセンサ20S6は、分離水Wの循環水量が増加したとき、処理タンク20から循環水(分離水W)の溢れを防止するために、分離水用ポンプ261による分離水Wの循環を一時的に停止させるスイッチ機能を有する。
なお、汚泥貯留槽250に配置されたレベルセンサ250Sは、汚泥用ポンプ251の空転を防止するために、汚泥Mの水位が所定以下に下がったときに汚泥用ポンプ251を停止させるスイッチ機能を有する。同様に、分離水貯留槽260に配置されたレベルセンサ260Sは、分離水用ポンプ261の空転を防止するために、分離水Wの水位が所定以下に下がったときに分離水用ポンプ261を停止させるスイッチ機能を有する。100Cは、以上で述べた両ポンプ251,261の作動をコントロールするためのポンプ制御盤(ポンプ制御部)を示す。また、分離水貯留槽260には、既述の最終濾過フィルタ330(図1参照)を設けたり、内面に既述のシリカブラック(黒鉛珪石)粉末(クラスタ処理剤)を塗布(付着)したりしてもよい。
(2)固形分排出処理工程(図2参照)
処理タンク20の底蓋123をスライド開放し、移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを昇降機構70によって下方に移動して、部分的に処理タンク20よりも下方に位置させる。移動フィルタ30の締結部材33を緩めて開放し、移動フィルタ30の底部30bに沈殿したケーキCを堆肥化処理装置400(後処理装置)側に排出する。
(3)洗浄処理工程(図3参照)
固液分離処理工程で分離水Wを受けるために用いた分離水貯留槽をそのまま洗浄水貯留槽260として用い、移動フィルタ30及び紐状フィルタ40の処理タンク20よりも下方に位置する下側部分を曝気処理する。
図21は図12の固液分離装置を用いた汚泥処理システムの一例を示す。この汚泥処理システム2000の運用方法について、処理対象物を中心に説明すれば次の通りである。
[1]固液分離
固液分離装置100を備える汚水処理施設2100と、豚(家畜)を飼育する養豚場2200(畜舎;生産施設)とを隣接して配置し、養豚場2200で発生する糞尿等の流動性の汚泥Mを溝2201等を介して汚水処理施設2100の汚泥貯留槽250に貯留する。汚泥貯留槽250の汚泥Mを汚泥用ポンプ251を介して移動フィルタ30の内部に導入し、分離水WとケーキCとに分離する。
分離水貯留槽260に貯留された分離水Wの一部は、分離水用ポンプ261により分離水循環径路Kを(循環水として)循環し、噴射機構60から(洗浄液として)噴出して移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを洗浄する。分離水Wの残りのうちの一部は、飲用水用ポンプ263を介し、そのままで又は必要により殺菌等の液体処理が施された後に、飲用水として豚に与えるための飲み水供給装置2202に供給される。また、分離水Wの残りのうちの他の一部は、清掃用ポンプ264を介し、そのままで又は必要により殺菌等の液体処理が施された後に、養豚場2200で発生する糞尿等(被清掃物)を除去する清掃液として利用するための清掃装置2203に供給される。さらに、分離水Wの残りのうちのさらに他の一部は、撒水用ポンプ265を介し、そのままで又は必要により殺菌等の液体処理が施された後に、豚に与える牧草等(飼料作物)に撒布する撒水として利用するための撒水装置2300に供給される。
そして、飲み水供給装置2202に供給された飲用水は、豚の糞尿(排泄物)として溝2201等を介して汚泥貯留槽250に回収され、再び汚泥用ポンプ251を介して固液分離装置100の移動フィルタ30の内部に導入される。同様に、清掃装置2203に供給された清掃液は、糞尿等の清掃の際に汚濁液として溝2201等を介して汚泥貯留槽250に回収され、再び汚泥用ポンプ251を介して固液分離装置100の移動フィルタ30の内部に導入される。このように、分離水Wのうち、飲用水及び清掃液は、循環水(洗浄液)とともに閉鎖された循環系を構築している。
[2]排出(図2参照)
例えば、処理タンク20の底蓋123をスライド開放し、移動フィルタ30と紐状フィルタ40とを昇降機構70によって下方に移動して、部分的に処理タンク20よりも下方に位置させる。移動フィルタ30の締結部材33を緩めて開放し、移動フィルタ30の底部30bに沈殿したケーキCを堆肥化処理装置400(後処理装置)側に排出する。
[3]洗浄(図3参照)
例えば、固液分離で分離水Wを受けるために用いた分離水貯留槽をそのまま洗浄水貯留槽260として用い、移動フィルタ30及び紐状フィルタ40の処理タンク20よりも下方に位置する下側部分を曝気処理する。
図12〜図21に示す実施例2において、図1〜図11(実施例1)と共通する機能を有する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略した。なお、実施例2の説明では、汚泥貯留手段及び分離液貯留手段としていずれも固定式の汚泥貯留槽250及び分離水貯留槽260を用いたが、例えば可搬式の汚泥貯留容器や分離水貯留容器等を用いてもよい。
本発明に係る固液分離装置の固液分離処理工程の一例を示す説明図。 本発明に係る固液分離装置の固形分排出処理工程の一例を示す説明図。 本発明に係る固液分離装置の洗浄処理工程の一例を示す説明図。 固液分離槽の平面図及び正面断面図。 固液分離槽及び濾過体の正面断面図及びその拡大図。 副濾過体の展開図。 濾過補助体の正面図、軸方向断面図、軸直交断面図及び拡大図。 固液分離槽の底部開口部の平面図及び正面断面図。 本発明に係る汚泥処理システムの一態様を示す説明図。 本発明に係る汚泥処理システムの他の態様を示す説明図。 固液分離装置に用いられる濾過体の製造方法の一例を示す説明図。 図1〜図3に示した固液分離装置の一部変形例を示す正面部分断面図。 図12のフレームの階層毎の平面図。 図12の昇降機構に用いる保持板の概略平面図。 図12に用いる固液分離槽及び噴射機構の概略平面図。 図12に用いる副濾過体の取付説明図。 図12に用いる噴射機構としてのスプリンクラー式シャワーヘッドの斜視図。 図12に用いる固液分離槽の底部開口部の正面断面図。 図18の底面図。 図12の固液分離装置を用いた固液分離方法の一例を示す概略説明図。 図12の固液分離装置を用いた汚泥処理システムの一例を示す説明図。
符号の説明
20 処理タンク(固液分離槽)
20b 小径部(底部)
30 移動フィルタ(濾過体)
30a 大径部(周面部)
30b 縮径部(底部)
31 頭部開口
40 紐状フィルタ(濾過補助体)
41 錘
50 固定フィルタ(副濾過体)
60 噴射機構
70 昇降機構
100 固液分離装置
200 分離水タンク(分離液槽);洗浄水タンク(洗浄槽)
300 循環水タンク(循環液槽);放流水タンク(放流槽)
400 堆肥化処理装置(後処理装置)
500 下水処理場
510 汚泥沈殿槽
520 浄化水槽
1000 汚泥処理システム
250 汚泥貯留槽(汚泥貯留手段)
2000 汚泥処理システム
2200 養豚場(畜舎;生産施設)
2202 飲み水供給装置
2203 清掃装置
2300 撒水装置
M 汚泥
W 分離水(水分;液体分)
C ケーキ(固形分)
K 分離水循環径路(水分循環径路;液体分循環径路)

Claims (28)

  1. 縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
    その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
    前記濾過体及び/又は固液分離槽には、液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されていることを特徴とする固液分離装置。
  2. 縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
    その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
    前記濾過体には、液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されているとともに、
    前記濾過体から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の少なくとも一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して濾過されることを特徴とする固液分離装置。
  3. 前記濾過体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着され、
    自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化する請求項1又は2に記載の固液分離装置。
  4. 前記固液分離槽の内面及び/又は外面には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が塗布され、
    自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化する請求項1又は2に記載の固液分離装置。
  5. 前記濾過体の内部には、導入された汚泥の中に垂下された1又は複数の濾過補助体が配置され、
    その濾過補助体の下部は前記濾過体の底部を貫通し、その先端が前記固液分離槽の底部にまで達している請求項1又は2に記載の固液分離装置。
  6. 前記濾過補助体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着され、
    自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化する請求項5に記載の固液分離装置。
  7. 前記濾過補助体は前記濾過体の内部で縦方向に延びる紐状に形成され、その上部側を保持されるとともに下部側の自由端部に錘が吊り下げられている請求項5に記載の固液分離装置。
  8. 前記固液分離槽の内周面には、前記濾過体の外周面及び固液分離槽の内周面からそれぞれ所定距離を隔てる形で、筒状の副濾過体が固定され、
    その副濾過体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着され、
    自身の発する共鳴波動により、前記濾過体から流出した液体分の分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させる請求項1又は2に記載の固液分離装置。
  9. 前記液体分循環径路にはクラスタ処理体が配設され、
    そのクラスタ処理体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含むクラスタ処理剤が付着され、
    自身の発する共鳴波動により、前記濾過体から流出した液体分の分子クラスタをさらに小さくなるように微小化するとともに、その臭いを減少又は消滅させる請求項2に記載の固液分離装置。
  10. 縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
    その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
    それら濾過体の底部と固液分離槽の底部とがともに開閉可能に構成され、両者を開放したときに、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出するとともに、その濾過体を洗浄可能としたことを特徴とする固液分離装置。
  11. 縦型の袋状に形成され、頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離するための濾過体と、
    その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され、前記濾過体から流出する液体分を受けるための固液分離槽と、を備え、
    それら濾過体の底部と固液分離槽の底部とがともに開閉可能に構成され、両者を開放したときに、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出するとともに、その濾過体を洗浄可能とし、
    前記濾過体と固液分離槽とは相対上下移動可能に構成され、前記濾過体が相対的に上方に移動して前記固液分離槽の内部に収容されたときに汚泥の固液分離が行われる一方、前記濾過体が相対的に下方に移動して少なくとも部分的に前記固液分離槽よりも下方に位置したときに固形分の排出と当該濾過体の洗浄とが行われることを特徴とする固液分離装置。
  12. 前記濾過体を洗浄するために、固液分離の際に前記濾過体から流出する液体分の一部が再使用される請求項10又は11に記載の固液分離装置。
  13. 前記濾過体が相対的に下方に移動して固形分の排出が行われたのち、
    前記濾過体は、前記固液分離槽よりも下方に位置する下側部分が洗浄槽内で曝気処理される請求項11に記載の固液分離装置。
  14. 前記濾過体の内部には、導入された汚泥の中に垂下された1又は複数の濾過補助体が配置され、
    その濾過補助体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含み、自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着され、
    固液分離の際に、前記濾過補助体の下部は前記濾過体の底部を貫通し、その先端が前記固液分離槽の底部にまで達する一方、
    固形分の排出及び前記濾過体の洗浄の際に、前記濾過補助体は前記濾過体とともに相対的に下方に移動して少なくとも部分的に前記固液分離槽よりも下方に位置する請求項11に記載の固液分離装置。
  15. 前記濾過補助体が相対的に下方に移動して固形分の排出が行われたのち、
    前記濾過補助体は、前記固液分離槽よりも下方に位置する下側部分が洗浄槽内で曝気処理される請求項14に記載の固液分離装置。
  16. 前記濾過補助体を洗浄するために、固液分離の際に前記濾過体から流出する液体分の一部が再使用される請求項15に記載の固液分離装置。
  17. 縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽と、を備える固液分離装置を用いた固液分離方法であって、
    前記濾過体の頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離する固液分離処理工程と、
    前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放して、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出する固形分排出処理工程と、
    その固形分排出処理工程に引き続き、前記濾過体を洗浄する洗浄処理工程と、
    を含むことを特徴とする固液分離方法。
  18. 縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とが、相対上下移動可能に構成された固液分離装置を用いた固液分離方法であって、
    前記濾過体を相対的に上方に移動して前記固液分離槽の内部に収容されたときに、前記濾過体の頭部開口から内部に導入された汚泥の液体分を主として筒状の周面部で濾過して外部に流出させる一方、その固形分を底部に沈殿させることにより、液体分と固形分とに分離する固液分離処理工程と、
    前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放し、前記濾過体が相対的に下方に移動して少なくとも部分的に前記固液分離槽よりも下方に位置させ、前記濾過体の底部に沈殿した固形分を排出する固形分排出処理工程と、
    その固形分排出処理工程に引き続き、前記濾過体を洗浄する洗浄処理工程と、
    を含むことを特徴とする固液分離方法。
  19. 前記固液分離処理工程において、前記濾過体から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の少なくとも一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して濾過される請求項17又は18に記載の固液分離方法。
  20. 前記洗浄処理工程において、前記固液分離処理工程で前記濾過体から流出する液体分の一部が前記濾過体を洗浄するために再使用される請求項17又は18に記載の固液分離方法。
  21. 前記濾過体の内部には、導入された汚泥の中に垂下された1又は複数の濾過補助体が配置され、
    その濾過補助体には、黒鉛珪石、電気石、麦飯石、石英斑岩及び医王石のうちから選ばれた少なくとも1種を主成分として含み、自身の発する共鳴波動により液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着され、
    前記固液分離処理工程において、前記濾過補助体の下部は前記濾過体の底部を貫通し、その先端が前記固液分離槽の底部にまで達する一方、
    前記固形分排出処理工程及び洗浄処理工程において、前記濾過補助体は前記濾過体とともに相対的に下方に移動して少なくとも部分的に前記固液分離槽よりも下方に位置する請求項17又は18に記載の固液分離方法。
  22. 前記洗浄処理工程において、前記固液分離処理工程で前記濾過体から流出する液体分の一部が前記濾過補助体を洗浄するために再使用される請求項21に記載の固液分離方法。
  23. 下水処理場等の流動性汚泥が沈殿した汚泥沈殿槽と、
    その汚泥沈殿槽に隣接し、河川等に放流される浄化水を貯留する浄化水槽と、
    縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とを有する固液分離装置と、
    堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の固形分の後処理を行う後処理装置と、を備え、
    前記汚泥沈殿槽より前記固液分離装置の濾過体の内部にその頭部開口を経て導入された汚泥のうち、主として筒状の周面部から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の少なくとも一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して濾過され、液体分の残りは、所定の浄水化処理が施されて前記浄化水槽へ送水された後河川等に放流される一方、
    前記濾過体の底部に沈殿した固形分は、前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放したとき、前記後処理装置側へ排出されることを特徴とする汚泥処理システム。
  24. 前記固液分離装置は、前記汚泥沈殿槽又は浄化水槽と前記後処理装置との間を交互に移動可能である請求項23に記載の汚泥処理システム。
  25. 畜舎、水産加工場、食品製造工場、製紙工場等の生産施設で発生した流動性汚泥を貯留する汚泥貯留手段と、
    縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とを有する固液分離装置と、
    堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の固形分の後処理を行う後処理装置と、を備え、
    前記汚泥貯留手段より前記固液分離装置の濾過体の内部にその頭部開口を経て導入された汚泥のうち、主として筒状の周面部から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して、前記固液分離装置内で循環・濾過され、液体分の残りの少なくとも一部は、前記固液分離装置から外部へ取り出されてそのままで又は所定の液体処理が施された後に、前記生産施設で発生する汚れ・塵埃等の被清掃物を除去するための清掃液として後利用される一方、
    前記濾過体の底部に沈殿した固形分は、前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放したとき、前記後処理装置側へ排出されることを特徴とする汚泥処理システム。
  26. 畜舎で発生した流動性汚泥を貯留する汚泥貯留手段と、
    縦型の袋状に形成され底部が開閉可能でかつ液体分の分子クラスタを濾過隙間よりも小さくなるように微小化するクラスタ処理剤が付着されている濾過体と、その濾過体を内部に収容するために縦型の有底筒状に形成され底部が開閉可能な固液分離槽とを有する固液分離装置と、
    堆肥化処理、乾燥・焼却処理等の固形分の後処理を行う後処理装置と、を備え、
    前記汚泥貯留手段より前記固液分離装置の濾過体の内部にその頭部開口を経て導入された汚泥のうち、主として筒状の周面部から流出し前記固液分離槽で受け止められた液体分の一部は、液体分循環径路を介して前記頭部開口から再び前記濾過体内に流入して、前記固液分離装置内で循環・濾過され、液体分の残りの少なくとも一部は、前記固液分離装置から外部へ取り出されてそのままで又は所定の液体処理が施された後に、前記畜舎で発生する汚れ・塵埃等の被清掃物を除去するための清掃液、家畜に与えるための飲用水、及び牧草等の飼料作物に撒布するための撒水のうち少なくともいずれかとして後利用される一方、
    前記濾過体の底部に沈殿した固形分は、前記濾過体の底部と前記固液分離槽の底部とをともに開放したとき、前記後処理装置側へ排出されることを特徴とする汚泥処理システム。
  27. 前記飲用水は、家畜に与えられた後家畜の排泄物として回収され、再び前記固液分離装置の濾過体の内部に導入されることによって、少なくとも部分的に閉鎖された循環系を構築している請求項26に記載の汚泥処理システム。
  28. 前記清掃液は、前記被清掃物の清掃の際に汚濁液として回収され、再び前記固液分離装置の濾過体の内部に導入されることによって、少なくとも部分的に閉鎖された循環系を構築している請求項25ないし27のいずれか1項に記載の汚泥処理システム。
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