JP2005185963A - 触媒回収方法、及びアルキレンオキサイド付加物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2種以上の反応原料を固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより該固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法である。
【選択図】 なし
Description
<1> 2種以上の反応原料を固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより該固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法である。
<2> 活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類の少なくともいずれかの反応原料に、固体触媒粒子の存在下でアルキレンオキサイドを付加して得られるアルキレンオキサイド付加物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液から該固体触媒粒子を回収する触媒回収方法であって、
該触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより前記固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法である。
<3> 逆洗浄が、逆洗浄液を、触媒分散液を通した方向とは逆方向から通すことにより行う前記<1>から<2>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<4> ワイヤースクリーンが、巻線状、網目状、格子状、及び平行線状から選択される少なくとも1種のスクリーンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<5> ワイヤースクリーンのスリット間隔が、触媒粒子における平均粒子径の20〜140%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<6> 固体触媒粒子を繰り返し回収可能である前記<1>から<5>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の触媒回収方法により回収された固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて、アルキレンオキサイドと、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種とを反応させることを特徴とするアルキレンオキサイド付加物の製造方法である。
本発明の触媒回収方法は、分離工程と、逆洗浄回収工程とを含み、適宜選択したその他の工程を含む。
前記分離工程は、触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより固体触媒粒子を分離させる工程である。
本発明の触媒分散液としては、固体触媒粒子と、2種以上の反応原料を該固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物とを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類の少なくともいずれかの反応原料に、固体触媒粒子の存在下でアルキレンオキサイドを付加して得られるアルキレンオキサイド付加物を含む触媒分散液が好適に挙げられる。
前記複合金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、アルキレンオキサイド付加物の合成の場合には、少なくとも酸化マグネシウムを含む複合金属酸化物が好適に挙げられ、具体的には、金属イオン添加酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、天然又は合成のハイドロタルク石を焼成して得られる焼成ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ワイヤースクリーンとしては、線材(ワイヤー)からなるものである限り特に制限はなく、例えば、巻線状、網目状、格子状、平行線状等のスクリーンが挙げられ、これらの中でも巻線状のスクリーンが好ましい。
前記ワイヤースクリーンの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、板状、円筒状、多角柱状等が好適に挙げられ、これらの中でも円筒状、多角柱状が特に好適に挙げられる。
前記線材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属ワイヤーが好ましく、耐久性や腐食性に優れる点でステンレス鋼のワイヤーがより好ましい。
前記線材の断面形状としては、特に制限はなく、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、台形等が挙げられ、これらの中でも、円形、楕円形、三角形、台形が好ましい。
前記三角形及び台形の場合には、幅の広い底辺側を固液分離の入口側に配置すると、液の流れ方向に対して流路が広がる方向になるので好ましい。逆に、幅の狭い側を固液分離の入口側に向けると、隣の線材との隙間が、液の流れ方向に対し流路が狭くなる方向になるので、固体触媒粒子が詰まりやすく好ましくない。
前記スリット間隔が、20%以下になると目詰まりが起こり易くなり、濾過性が悪化することがあり、140%を越えると、固体触媒粒子の濾過洩れが発生し易くなることがある。
前記逆洗浄回収工程は、逆洗浄液を前記ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離した固体触媒粒子を含む逆洗浄液を回収する工程である。
前記流体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、空気、窒素ガスなどの気体、液体、気体と液体の混合流体などが挙げられ、これらの中でも、前記混合流体、逆洗浄液が好適に挙げられる。これらは、前記固体触媒粒子を回収した逆洗浄液をそのまま次の反応に再利用することができる点で、次の反応に使用する反応原料から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
具体的には、アルキレンオキサイド付加物の合成における逆洗浄液の場合には、前記逆洗浄液は、その反応原料であるアルキレンオキサイド、活性水素を有する有機化合物、及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の触媒回収方法においてこのような逆洗浄液を用いる場合には、低コストで効率的に何回でも固体触媒粒子を回収できると共に、回収した固体触媒粒子(固体触媒粒子を回収した逆洗浄液)を次の反応にそのまま使用でき、しかも廃棄物の削減をすることができる点で有利である。
前記付加反応における温度としては、特に制限はなく、例えば、80〜230℃が好ましく、120〜200℃がより好ましく、150〜190℃が特に好ましい。
前記温度が、80℃を未満であると、触媒活性が低くなり好ましくないことがあり、230℃を超えると、原料や生成物の分解が起こることがある。
前記付加反応における圧力としては、特に制限はなく、反応温度や用いる固体触媒粒子の活性、及び措置設計等の面から通常実施される公知の条件などが挙げられ、具体的には、0.1〜2.0MPaが好ましく、0.2〜1.5MPaがより好ましい。
本発明のアルキレンオキサイドの製造方法は、本発明の前記触媒回収方法により回収された固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて、アルキレンオキサイドと、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種とを反応させる。
前記アルキレンオキサイド、前記活性水素を有する有機化合物、及び脂肪族アルキルエステル類、更には前記アルキレンオキサイドの付加反応における反応原料、固体触媒粒子、反応条件などについては上述した通りである。
−固体触媒粒子の調製−
硝酸マグネシウム6水和物 68.03g、硝酸アルミニウム9水和物 47.69g、及び硝酸マンガン6水和物 24.33gを脱イオン水450gに溶解させた溶液と、炭酸ナトリウム 13.47gを脱イオン水450gに溶解させた溶液とを、予め脱イオン水 1800gを仕込んだ触媒調製槽に、2NのNaOHによりpHを9、温度を40℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間熟成させた。
これを濾過した後、脱イオン水で洗浄し、噴霧乾燥して30gの複合水酸化物を得た。この複合水酸化物を、窒素雰囲気下800℃で3時間焼成して、Mg/Al/Mnの複合酸化物の固体触媒粒子を調製した。なお、触媒平均粒子径は50μmであった。
ラウリルアルコール 930gと、前記調製した固体触媒粒子 0.93g(0.1質量%対原料)を圧力反応器中に仕込んだ。その後、圧力反応器内の気相部分を窒素で置換し、圧力反応器内を減圧、昇温することにより、ラウリルアルコール(原料)の脱水を行った。次に、エチレンオキサイド 440gを前記圧力反応器内に投入し、温度180℃、圧力0.5MPaの条件下で付加反応を行った。所定量のエチレンオキサイドを導入後、同温度で30分熟成し、80℃まで冷却し、生成物スラリーを反応液から抜き出した。
前記ワイヤースクリーンとしての巻線状のワイヤースクリーン式エレメント(スリット間隔30μm)を濾材とする逆洗浄型のキャンドル型フィルターの濾過器(東京特殊電線社製、MSフィルター)を用いて、前記生成物スラリーを抜き出した触媒分散液を80℃、濾過圧力0.05MPaの定圧条件下で前記巻線状のワイヤースクリーン式エレメント(ワイヤースクリーン)を通すことにより濾過を行った。この結果、前記触媒分散液中に含まれる固体触媒粒子を効率よく分離することができた。
逆洗浄は、0.29MPaの窒素圧下で、前記逆洗浄液としてのラウリルアルコール100gを前記触媒分散液の流方向とは逆方向に前記巻線状のワイヤースクリーン式エレメントに通して行った。同一の操作を再度繰り返し、前記分離させた固体触媒粒子を回収した回収触媒分散液を得た。
得られた回収触媒分散液について、触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性についての評価を以下のようにして行った。結果を表1に示した。
濾過による触媒分離性は、固体触媒粒子の回収率を計算し、以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
回収率97〜100% ◎
回収率90〜96% ○
回収率70〜89% △
回収率0〜69% ×
触媒排出性は、前記ワイヤースクリーンからの固体触媒粒子の剥離し易さを目視で確認し、以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
剥離しやすい ○
やや剥離しやすい △
剥離しにくい ×
前記回収触媒分散液に、前記調製したMg/Al/Mnの複合酸化物触媒を新たに加え、触媒濃度を0.1質量%対原料に調整し、再度アルキレンオキサイド付加物の製造、固体触媒粒子の濾過・分離、及び逆洗浄を行った。更に、前記濾過・分離と逆洗浄との一連の操作を計10回繰り返し、10回目の濾過性を以下のようにして評価した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
前記濾過性は、濾過速度を観察し、以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
濾過性良好 ○
濾過性やや劣る △
濾過性悪い ×
実施例1において、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を50μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
実施例1において、触媒濃度を0.2質量%対原料に変えたこと、及び、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を50μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
実施例1において、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を10μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
実施例1において、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を70μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
実施例1において、前記ワイヤースクリーンとして巻線状のワイヤースクリーン式エレメント(スリット間隔30μm)を濾材とする逆洗浄型のキャンドル型フィルターの濾過器を、濾布(25cc/cm3/sec通気度、ポリプロピレン製)を濾材とする逆洗浄型キャンドル型フィルター(ミクロセップ2)に代えたこと、及び、濾過圧力を0.15MPa、逆洗浄の窒素圧を0.29MPaに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを、掻き取り式スクリーンフィルター(ハイパーフィルター)に代えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを、バッグフィルターに代えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを用いた濾過に代えて、液体サイクロンを用いた遠心分離による固体触媒粒子の分離を行った以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを用いた濾過に代えて、高濃縮タイプ液体サイクロン(ラコスセパレーター)を用いた遠心分離による固体触媒粒子の分離を行った以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを用いた濾過に代えて、スクリューデカンターを用いた遠心分離による固体触媒粒子の分離を行った以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
Claims (7)
- 2種以上の反応原料を固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより該固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法。
- 活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類の少なくともいずれかの反応原料に、固体触媒粒子の存在下でアルキレンオキサイドを付加して得られるアルキレンオキサイド付加物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液から該固体触媒粒子を回収する触媒回収方法であって、
該触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより前記固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法。 - 逆洗浄が、逆洗浄液を、触媒分散液を通した方向とは逆方向から通すことにより行う請求項1から2のいずれかに記載の触媒回収方法。
- ワイヤースクリーンが、巻線状、網目状、格子状、及び平行線状から選択される少なくとも1種のスクリーンである請求項1から3のいずれかに記載の触媒回収方法。
- ワイヤースクリーンのスリット間隔が、触媒粒子における平均粒子径の20〜140%である請求項1から4のいずれかに記載の触媒回収方法。
- 固体触媒粒子を繰り返し回収可能である請求項1から5のいずれかに記載の触媒回収方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の触媒回収方法により回収された固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて、アルキレンオキサイドと、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種とを反応させることを特徴とするアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
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