JP2005185899A - チャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 チャンバを貫通する配管又は配線を簡単な構造でシールすることができ、チャンバに関連する装置の交換又はメンテナンスなどを簡易な手間で良好に行うことを可能にするチャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法を提供する。
【解決手段】 ワーク処理装置が入れられるチャンバの壁体33を貫通するチャンバ用貫通構造100であって、配線7又は配管が挿入される貫通穴52を有するとともに、弾性を有する弾性部材と、前記弾性部材が圧縮されながら挿入される所定の大きさの空間62をなす枠状部材61とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】 ワーク処理装置が入れられるチャンバの壁体33を貫通するチャンバ用貫通構造100であって、配線7又は配管が挿入される貫通穴52を有するとともに、弾性を有する弾性部材と、前記弾性部材が圧縮されながら挿入される所定の大きさの空間62をなす枠状部材61とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
本発明は、チャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法に関するものである。
近年、カラーフィルタ、有機EL(Electro-Luminescence)装置などの電気光学装置又は電子放出装置などを製造するために、液滴吐出装置などのワーク処理装置が用いられている。液滴吐出装置は、インクジェットノズルなどから液滴を吐出して、基板上にその液滴を着弾させて薄膜を形成させるものである。その薄膜が画素をなす発光層又は電極などとなる。ここで、高性能な装置を製造するためには前記薄膜のパターンを精密に形成する必要があり、液滴吐出装置における液滴の吐出量、その液滴の基板上での着弾位置および付着状態を精密に制御する必要がある。そのため、液滴吐出装置をチャンバの中に収容して外部雰囲気と遮断し、液滴吐出装置の周囲の気体雰囲気および温度雰囲気を調整する手法が考え出されている。
ところで、液滴吐出装置の全てをチャンバ内に収容することは、チャンバの大型化を招くとともに、吐出材料の供給、各種制御およびメンテナンスなど点で好ましくない。したがって、液滴吐出装置におけるインクジェットノズルなどからなる液滴吐出ヘッドなどはチャンバ内に収容し、吐出材料用のタンクおよび制御装置などはチャンバの外に配置する。ここで、チャンバ内の装置とチャンバ外の装置とは、チャンバの壁体を貫通する各種の配線および配管で接続される。このようなチャンバ用貫通構造は、その貫通部分からの雰囲気の漏れが温度および雰囲気の管理上問題となることが想定され、配線および配管のシール状態が問題となる。従来のチャンバ用貫通構造としては、配線および配管をチャンバの穴部に通し、その周囲をコーキング材(第1シール材)でコーキングする構成が考え出されている(例えば、特許文献1参照)。また、従来のチャンバ用貫通構造としては、特殊な形状および構造からなる専用具が考えだされている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−266007号公報
米国特許第6521840B1号明細書
しかしながら、上記特許文献1に記載されているチャンバ用貫通構造では、液滴吐出装置などのワーク処理装置の交換又はメンテナンスなどをする毎にコーキング材を引き剥がし、さらにコーキング材を詰め込む作業をする必要がある。したがって、特許文献1に記載のチャンバ用貫通構造では、コーキング材の引き剥がしおよび詰め込みに手間がかかり、液滴吐出装置の使い勝っておよびメンテナンスが面倒になるという問題点があった。
また、上記特許文献2に記載されているチャンバ用貫通構造では、特殊な形状および構造をした専用具を用いるので製造コストが高くなってしまう。さらに、特許文献2に記載のチャンバ用貫通構造では、各種の配線および配管に対応するためには配線などごとに貫通構造の設定・調整をしなければならず、多大な手間がかかるという問題点もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、チャンバを貫通する配管又は配線を簡単な構造でシールすることができ、チャンバに関連する装置の交換又はメンテナンスなどを簡易な手間で良好に行うことを可能にするチャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、チャンバを貫通する様々な種類の配管又は配線に、簡易な手間で良好に対応することができるチャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、チャンバを貫通する様々な種類の配管又は配線に、簡易な手間で良好に対応することができるチャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のチャンバ用貫通構造は、ワーク処理装置が入れられるチャンバの壁体を貫通するチャンバ用貫通構造であって、配線又は配管が挿入される貫通穴を有するとともに、弾性を有する弾性部材と、前記弾性部材が圧縮されながら挿入される所定の大きさの空間をなす枠状部材とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、弾性部材の貫通穴に配線又は配管を挿入し、その弾性部材を枠状部材の空間に押し込むように挿入することにより、弾性部材が圧縮されながら該空間に配置され、配線又は配管と弾性部材とで、該空間のなかを隙間無く満たすことができる。そこで、チャンバのなかに配置したワーク処理装置とチャンバの外側に配置した装置とを配線又は配管で接続するシステム装置において、その配線又は配管がチャンバの壁体を貫通する部位を良好にシールでき、チャンバの密閉状態を簡単な構造で良好に保つことができる。したがって、本発明によれば、従来のコーキング材を用いるチャンバ用貫通構造のように、ワーク処理装置の交換又はメンテナンスなどをする毎にコーキング材の剥がしおよび詰め込み作業をする必要がなく、保守労力を大幅に低減することができる。すなわち、本発明のチャンバ用貫通構造は、チャンバ内の装置とその外の装置とを接続する構成を、コーキング材の詰め込み・引き剥がし構成に比べて、簡便に且つ良好に実現することができる。また、本発明によれば、弾性部材が圧縮されることによりその弾性部材の貫通穴が容易に変形するので、1種類の弾性部材で各種の外径および形状をもつ配線又は配管に対応することができる。したがって、従来の専用部品を用いた貫通構造に比べて、貫通穴の大きさを調整する手間を削減でき、低コストで高性能な貫通構造を提供することができる。
本発明によれば、弾性部材の貫通穴に配線又は配管を挿入し、その弾性部材を枠状部材の空間に押し込むように挿入することにより、弾性部材が圧縮されながら該空間に配置され、配線又は配管と弾性部材とで、該空間のなかを隙間無く満たすことができる。そこで、チャンバのなかに配置したワーク処理装置とチャンバの外側に配置した装置とを配線又は配管で接続するシステム装置において、その配線又は配管がチャンバの壁体を貫通する部位を良好にシールでき、チャンバの密閉状態を簡単な構造で良好に保つことができる。したがって、本発明によれば、従来のコーキング材を用いるチャンバ用貫通構造のように、ワーク処理装置の交換又はメンテナンスなどをする毎にコーキング材の剥がしおよび詰め込み作業をする必要がなく、保守労力を大幅に低減することができる。すなわち、本発明のチャンバ用貫通構造は、チャンバ内の装置とその外の装置とを接続する構成を、コーキング材の詰め込み・引き剥がし構成に比べて、簡便に且つ良好に実現することができる。また、本発明によれば、弾性部材が圧縮されることによりその弾性部材の貫通穴が容易に変形するので、1種類の弾性部材で各種の外径および形状をもつ配線又は配管に対応することができる。したがって、従来の専用部品を用いた貫通構造に比べて、貫通穴の大きさを調整する手間を削減でき、低コストで高性能な貫通構造を提供することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記弾性部材の外形がテーパー形状を有することが好ましい。ここで、前記テーパー形状は、前記弾性部材の外形における前記枠状部材と接触する部位に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、弾性部材を枠状部材の空間に挿入していくことのみで、該弾性部材を枠形状部材で圧縮しながら保持することができる。すなわち、例えば、弾性部材は、一方端側が太く他方端側にいくにつれて徐々に細くなるテーパー形状を有することとする。そして、その弾性部材を細い他方端側から枠状部材の空間内に挿入していくと、弾性部材の太い部位が枠状部材の内周部位に接触し、さらに弾性部材を挿入していくと、弾性部材のさらに太い部位が枠状部材の内周部位によって圧縮される。この圧縮により、弾性部材の貫通穴が小さくなってその貫通穴の内周壁と配線又は配管とが密着するとともに、弾性部材外周(側面)と枠状部材とが密着する。したがって、本発明によれば、チャンバの密閉状態を良好に維持するチャンバ用貫通構造を、簡便に構成することができる。
本発明によれば、弾性部材を枠状部材の空間に挿入していくことのみで、該弾性部材を枠形状部材で圧縮しながら保持することができる。すなわち、例えば、弾性部材は、一方端側が太く他方端側にいくにつれて徐々に細くなるテーパー形状を有することとする。そして、その弾性部材を細い他方端側から枠状部材の空間内に挿入していくと、弾性部材の太い部位が枠状部材の内周部位に接触し、さらに弾性部材を挿入していくと、弾性部材のさらに太い部位が枠状部材の内周部位によって圧縮される。この圧縮により、弾性部材の貫通穴が小さくなってその貫通穴の内周壁と配線又は配管とが密着するとともに、弾性部材外周(側面)と枠状部材とが密着する。したがって、本発明によれば、チャンバの密閉状態を良好に維持するチャンバ用貫通構造を、簡便に構成することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記弾性部材の外形が円錐形状又は多角推形状であることが好ましい。
本発明によれば、弾性部材の外形が比較的に形成し易い単純な形状であるので、所望のテーパー形状を有する弾性部材を簡便にかつ精密に形成することができる。
本発明によれば、弾性部材の外形が比較的に形成し易い単純な形状であるので、所望のテーパー形状を有する弾性部材を簡便にかつ精密に形成することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記弾性部材の外形が平面を有することが好ましい。
本発明によれば、弾性部材の平面部位が良好に枠状部材に密着するので、気密および水密性の高いチャンバ用貫通構造を簡便に構成することができる。
本発明によれば、弾性部材の平面部位が良好に枠状部材に密着するので、気密および水密性の高いチャンバ用貫通構造を簡便に構成することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記弾性部材の外形が前記枠状部材の空間形状と相似した形状を有することが好ましい。
本発明によれば、例えば、弾性部材のある断面が枠状部材の空間形状を少し拡大した形状をもつとすると、弾性部材のその断面の外周の全部について均等に圧縮した状態としてその外周の全部を枠状部材に密着させることができる。したがって、本発明によれば、さらに気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を構成することができる。
本発明によれば、例えば、弾性部材のある断面が枠状部材の空間形状を少し拡大した形状をもつとすると、弾性部材のその断面の外周の全部について均等に圧縮した状態としてその外周の全部を枠状部材に密着させることができる。したがって、本発明によれば、さらに気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を構成することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記弾性部材における前記枠状部材に挿入される部位の断面面積が該枠状部材の前記空間の面積よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、弾性部材の所定部位を枠状部材の空間に挿入することのみで、その弾性部材の所定部位が枠形状部材で圧縮されることとなる。したがって、簡便に気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を構成することができる。
本発明によれば、弾性部材の所定部位を枠状部材の空間に挿入することのみで、その弾性部材の所定部位が枠形状部材で圧縮されることとなる。したがって、簡便に気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を構成することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記枠状部材が前記空間を複数有することが好ましい。
本発明によれば、複数の弾性部材を圧縮しながら保持できる1つの枠状部材を構成できる。したがって、複数の配線又は配管を複数の弾性部材と1つの枠状部材で良好にシールできるチャンバ用貫通構造を構成することができる。ここで、例えば配線又は配管の数が少なく、枠状部材の空間が余る場合は、その空間にはキャップ部材などのダミー部材(例えば貫通穴のない前記弾性部材)を挿入して気密性および水密性を維持することとしてもよい。また、前記弾性部材は、複数の貫通穴を備えることとしてもよく、それらの貫通穴を複数種類の大きさ又は形状を有することとしてもよい。このようにすれば、複数種類の配線および配管に対して、簡便に対応することができ、設計変更およびメンテナンスなどにも容易に対応することができる。また、貫通穴が余る場合は、その貫通穴に配線などの代わりのダミー部材を挿入してもよい。
本発明によれば、複数の弾性部材を圧縮しながら保持できる1つの枠状部材を構成できる。したがって、複数の配線又は配管を複数の弾性部材と1つの枠状部材で良好にシールできるチャンバ用貫通構造を構成することができる。ここで、例えば配線又は配管の数が少なく、枠状部材の空間が余る場合は、その空間にはキャップ部材などのダミー部材(例えば貫通穴のない前記弾性部材)を挿入して気密性および水密性を維持することとしてもよい。また、前記弾性部材は、複数の貫通穴を備えることとしてもよく、それらの貫通穴を複数種類の大きさ又は形状を有することとしてもよい。このようにすれば、複数種類の配線および配管に対して、簡便に対応することができ、設計変更およびメンテナンスなどにも容易に対応することができる。また、貫通穴が余る場合は、その貫通穴に配線などの代わりのダミー部材を挿入してもよい。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記枠状部材における複数の空間を、該枠状部材が格子形状となるように整列に配置することが好ましい。
本発明によれば、チャンバの壁体を貫通する複数の配線又は配管を、その貫通部位において整然とかつコンパクトに配置できるチャンバ用貫通構造を提供することができる。
本発明によれば、チャンバの壁体を貫通する複数の配線又は配管を、その貫通部位において整然とかつコンパクトに配置できるチャンバ用貫通構造を提供することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記弾性部材を前記枠状部材の空間に押し付ける部材となるものであって、前記配線又は配管が貫通する穴を有する平板を備えることが好ましい。
本発明によれば、例えば、平板によって、弾性部材の一方端面の全体に均一に力を作用させて、その弾性部材を枠状部材の空間に押し込み、そのまま弾性部材を空間内(枠状部材)に押し付けることができる。したがって、極めて簡単な構成としながら、気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を提供することができる。
本発明によれば、例えば、平板によって、弾性部材の一方端面の全体に均一に力を作用させて、その弾性部材を枠状部材の空間に押し込み、そのまま弾性部材を空間内(枠状部材)に押し付けることができる。したがって、極めて簡単な構成としながら、気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を提供することができる。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記平板の穴の断面面積は前記弾性部材における一方の端面の面積よりも小さく、該端面の外周の内側に該平板の穴が配置されるように、該平板は前記枠状部材に取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、例えば、配線又は配管が弾性部材の貫通穴を貫通し、その配線又は配管と弾性部材とが枠状部材の空間を貫通し、その配線又は配管が平板の穴を貫通する構成とすることができる。そして、この平板によって、弾性部材における貫通穴が設けられている面を押すことができる。したがって、平板の平面方向と弾性部材のテーパー形状の方向とが垂直に交わるように、すなわち、弾性部材が平板に押されることで枠状部材の空間に位置する弾性部材の圧縮率が高くなるように、その平板、弾性部材および枠状部材が配置されていることが好ましい。
本発明によれば、例えば、配線又は配管が弾性部材の貫通穴を貫通し、その配線又は配管と弾性部材とが枠状部材の空間を貫通し、その配線又は配管が平板の穴を貫通する構成とすることができる。そして、この平板によって、弾性部材における貫通穴が設けられている面を押すことができる。したがって、平板の平面方向と弾性部材のテーパー形状の方向とが垂直に交わるように、すなわち、弾性部材が平板に押されることで枠状部材の空間に位置する弾性部材の圧縮率が高くなるように、その平板、弾性部材および枠状部材が配置されていることが好ましい。
また、本発明のチャンバ用貫通構造は、前記平板を前記枠状部材に押し付けながら固定する固定部材を有することが好ましい。前記固定部材は、前記平板および枠形状部材を前記チャンバの壁体に固定する部材をなすこととしてもよい。
本発明によれば、例えばネジなどによって固定部材を構成することができる。すなわち枠状部材および/又はチャンバの壁体にネジ穴を設け、平板および枠状部材を貫通させたネジをそのネジ穴にねじ込む。これにより、極めて簡便にかつ強力に、平板を枠状部材に押し付けながらその平板および枠状部材をチャンバの壁体に固定することができる。なお、ネジの代わりにヒンジなどからなる固定部材を用いてもよい。
本発明によれば、例えばネジなどによって固定部材を構成することができる。すなわち枠状部材および/又はチャンバの壁体にネジ穴を設け、平板および枠状部材を貫通させたネジをそのネジ穴にねじ込む。これにより、極めて簡便にかつ強力に、平板を枠状部材に押し付けながらその平板および枠状部材をチャンバの壁体に固定することができる。なお、ネジの代わりにヒンジなどからなる固定部材を用いてもよい。
上記目的を達成するために、本発明の液滴吐出装置は、前記チャンバ用貫通構造と、チャンバと、前記チャンバの中に入れられたワーク処理装置をなす液滴吐出手段と、前記チャンバの外に配置され前記液滴吐出装置に対して電気および液状体の少なくともいずれかを供給する外部装置と、前記電気又は液状体の伝送路をなすとともに前記弾性部材の貫通穴を貫通する配線又は配管とを有することを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出手段の周囲の気体雰囲気および温度雰囲気などを精密に調整することができ、液滴の吐出位置および吐出量などを高精度に制御できる液滴吐出装置を低コストで提供することができる。
本発明によれば、液滴吐出手段の周囲の気体雰囲気および温度雰囲気などを精密に調整することができ、液滴の吐出位置および吐出量などを高精度に制御できる液滴吐出装置を低コストで提供することができる。
また、本発明の装置製造方法は、前記液滴吐出装置を用いて、電気光学装置又は電子放出装置を製造することを特徴とする。
本発明によれば、精密に所望形状にパターニングされた薄膜などからなる高性能な電気光学装置および電子放出装置を低コストで提供することができる。ここで、電気光学装置としては、液晶表示装置、有機EL装置、PDP(Plasma Display Panel)装置および電気泳動表示装置などが挙げられる。また、電子放出装置としては、FED(Field Emission Display)装置などが挙げられる。また、前記液滴吐出装置を用いて、カラーフィルタ、金属配線、レジスト、レンズ又は光拡散体などを良好に製造することができる。
本発明によれば、精密に所望形状にパターニングされた薄膜などからなる高性能な電気光学装置および電子放出装置を低コストで提供することができる。ここで、電気光学装置としては、液晶表示装置、有機EL装置、PDP(Plasma Display Panel)装置および電気泳動表示装置などが挙げられる。また、電子放出装置としては、FED(Field Emission Display)装置などが挙げられる。また、前記液滴吐出装置を用いて、カラーフィルタ、金属配線、レジスト、レンズ又は光拡散体などを良好に製造することができる。
以下、本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造、液滴吐出装置および装置製造方法について、図面を参照して説明する。
(チャンバ用貫通構造)
本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造について、図1から図5を参照して説明する。本実施形態のチャンバ用貫通構造は、チャンバの中に収納される装置とチャンバの外に配置される装置とを接続する配線又は配管(以下、配線等という)がチャンバの壁体を貫通する部分に配置されるものである。そして、本チャンバ用貫通構造は、上記貫通部分についてシールしてチャンバ内を外部から遮断し、チャンバでの雰囲気の漏れなどを回避するものである。すなわち、本チャンバ用貫通構造は、液滴吐出装置などのワーク処理装置が入れられるチャンバの壁体を貫通するように配置される。
(チャンバ用貫通構造)
本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造について、図1から図5を参照して説明する。本実施形態のチャンバ用貫通構造は、チャンバの中に収納される装置とチャンバの外に配置される装置とを接続する配線又は配管(以下、配線等という)がチャンバの壁体を貫通する部分に配置されるものである。そして、本チャンバ用貫通構造は、上記貫通部分についてシールしてチャンバ内を外部から遮断し、チャンバでの雰囲気の漏れなどを回避するものである。すなわち、本チャンバ用貫通構造は、液滴吐出装置などのワーク処理装置が入れられるチャンバの壁体を貫通するように配置される。
図1は本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造の構成要素(部品)の一例を示す図であり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図であり、図1(c)は背面図である。すなわち、図1は、本実施形態に係るチャンバ用貫通構造の主要構成要素(部品)の一つである部品50を示している。部品50は、弾性を有する材料からなる弾性部材51で構成されている。すなわち、弾性部材51は、ゴム又はスポンジのように可逆的に変形することができる。さらに、弾性部材51は、気体又は液状体が透過しにくい材料からなることが好ましい。これは、気体又は液状体が弾性部材51を通ってチャンバ内に侵入することおよびチャンバ内の雰囲気が弾性部材51を通って外に漏れることなどを回避するためである。
弾性部材51には、貫通穴52が設けられている。この貫通穴52には配線等が挿入される。本実施形態では、1つの弾性部材51に3個の貫通穴52が設けられているが、1つの弾性部材51に1個の貫通穴52を設けてもよく、2個又は4個以上の貫通穴52を1つの弾性部材51に設けてもよい。また、3個の貫通穴52は、同一径の穴でも、それぞれ異なる径の穴でもよい。また、貫通穴52の断面は、円となっているが、矩形或いは長方形などの多角形であってもよい。貫通穴52の断面を長方形とすると、配線等がフラットケーブルである場合などに良好に対応することができる。また、弾性部材51における貫通穴52の周囲などには、例えば貫通穴52に沿って切り込み(図示せず)を設けてもよい。その切り込みは、貫通穴52の中心軸を軸として対象に形成されていることとしてもよい。このような切り込みを設けると、貫通穴52の内径よりも大きい外形をもつ配線等をその貫通穴52に挿入することが容易となる。
さらに、弾性部材51は、テーパー形状53を有し、弾性部材51のほぼ中央から一方端側に向けて徐々に太くなる形状をしている。弾性部材51におけるほぼ中央から他方端側は一定の太さを有している。そして、弾性部材51の他方端側の縁部54は角が取られた形状となっている。テーパー形状53は、図1に示す形状も限らず、例えば弾性部材51の一方端から縁部54まで徐々に細くなる形状としてもよい。また、弾性部材51の外形は、テーパー形状を有すればよく、例えば円錐、三角錐、四角推などの形状であってもよい。また、弾性部材51は、側面、上面および底面はそれぞれ平面で構成されている。これらにより、弾性部材51は、テーパー形状53を持った立方体となっている。
次に、本実施形態に係るチャンバ用貫通構造の他の構成要素について図2を参照して説明する。図2は本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造の構成要素(部品)の一例を示す図であり、図2(a)は正面図であり、図2(b)は側面図である。図2に示す部品60は、図1に示す部品50を圧縮しながら保持するものである。すなわち部品60は、弾性部材51が圧縮されながら挿入される所定の大きさの空間62をなす枠状部材61からなる。枠状部材61は、複数の空間62を構成している。各空間62は、外周および内周が四角い筒形状の枠の内側として形成されている。また、空間62はテーパー形状63を有しており、一方の開口側が広く、他方の開口側が狭い空間形状をなしている。
すなわち、枠状部材61における空間62の形状は、弾性部材51の外形と相似した形状(対応した形状)を有している。そして、空間62に弾性部材51が挿入されると、その弾性部材51の側面全体と枠状部材61における空間62の内周面とが全体的に密着することとなる。弾性部材51における枠状部材61の空間62に挿入される部位の断面面積は、その空間62の面積(投影面積)よりも大きいことが好ましい。このようにすると弾性部材51を枠状部材61の空間62に挿入することにより、その弾性部材51が弾性部材51によって圧縮されながら保持される。
このような構成において、部品50を部品60の空間62に挿入すると、部品60により弾性部材51が外側から力を受けて圧縮され、その弾性部材51の貫通穴52の内径は小さくなる。ここで、上記の挿入前に、貫通穴52に配線等を挿入しておくことにより、その配線等を弾性部材51で隙間無く覆うことができる。したがって、チャンバの壁体に貫通穴を設け、その貫通穴に部品60を取り付けることなどにより、配線等を良好にシールすることができるチャンバ用貫通構造を構成することができる。
このチャンバ用貫通構造において、弾性部材51のテーパー形状53は、枠状部材61と接触する部位(すなわち枠状部材61の空間62部位の内周と接触する部位)に設けられていることが好ましい。このようにすると、枠状部材61の空間62に弾性部材51を挿入するときに、その弾性部材51の細い部位から挿入することにより、小さい力で容易に所望位置に挿入をすることができる。そして、テーパー形状53がなす弾性部材51の太い部位は細い部位よりも高い圧縮率で枠状部材61の空間62部位で圧縮されるので、気体および液状体を遮断する機能を高めることができ、シール性能の高いチャンバ用貫通構造を構成することができる。
また、枠状部材61には複数の空間62が設けられており、各空間62は枠状部材61が格子形状となるように整列に配置されている。これにより、1つの部品60は、複数の弾性部材51それぞれを圧縮しながら保持することができる。したがって、複数の配線等を複数の弾性部材51と1つの枠状部材61で良好にシールできるコンパクトなチャンバ用貫通構造を構成することができる。ここで、配線等の数が少なく空間62が余る場合は例えば貫通穴52のない弾性部材51をダミー部材として設けて、そのダミー部材を余った空間62に挿入してチャンバの気密性および水密性を維持することとしてもよい。また弾性部材51の貫通穴52が余った場合は、その貫通穴52の形状に対応したダミー部材をその貫通穴52挿入することで、チャンバの気密性および水密性を維持することとしてもよい。
また、枠状部材61には、複数のネジ用穴64が設けられている。ネジ用穴64は枠状部材61を貫通している。このネジ用穴64にネジ(固定部材)を差し込み貫通させ、そのネジで枠状部材61をチャンバの壁体に固着することができる。
次に、本実施形態に係るチャンバ用貫通構造の他の構成要素について図3を参照して説明する。図3は本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造の構成要素(部品)の一例を示す正面図である。図3に示す部品70は、部品50を部品60の空間62内に押し込みさらに部品50を押し付け続ける部材となる平板71からなる。平板71には、配線等が貫通する穴72が複数設けられている。
平板71における穴72の断面面積は、弾性部材51におけるテーパー形状53側の端面の面積よりも小さい。そして、その弾性部材51の端面内に平板71の穴72が配置され、さらに弾性部材51における貫通穴52の中心軸と平板71における穴72の中心軸とが一致するように、平板71が枠状部材64に取り付けられることが好ましい。このようにすると、配線等が弾性部材51の貫通穴52を貫通し、その配線等が設置された弾性部材51が枠状部材62の空間62を貫通し、その配線等が平板71の穴72を貫通する配置構成とすることができる。
また、平板71には、複数のネジ用穴73が設けられている。このネジ用穴73の配置および大きさは、枠状部材61のネジ用穴64の配置および大きさと同一であることが好ましい。平板71のネジ用穴73にネジ(固定部材)を差し込み貫通させ、そのネジをさらに枠状部材61のネジ用穴に差し込み貫通させ、そのネジをチャンバの壁体にねじ込むことにより、平板71および枠状部材61をその壁体に固着させることができる。
このような構成により、枠状部材61の空間62内に配置されその空間62からはみ出している弾性部材51の端面を、平板73がその空間62の内部方向に押すことができる。これにより、平板73は、弾性部材51の端面の全体に均一に力を作用させ、その弾性部材51を枠状部材61の空間62内に圧縮しながら押し込み、そのまま弾性部材51を空間62内に押し付けていることができる。
次に、本実施形態に係るチャンバ用貫通構造の全体構成およびその組立手順について図4を参照して説明する。図4は本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造の一例を示し、図4(a)は組立図であり、図4(b)は組上がった全体構成の模式断面図である。本実施形態のチャンバ用貫通構造100は、図1に示す部品50と図2に示す部品60と図3に示す部品70と図4に示すネジ80とで構成されている。
本実施形態のチャンバ用貫通構造100の組立手順例について説明する。先ず、弾性部材51からなる部品50を部品60の空間62に挿入して仮配置する。ここで、弾性部材51は細い端部(縁部54)側から空間62の内部に挿入される。また、空間62のテーパー形状63側すなわち広い開口側から弾性部材51は挿入される。そして、空間62のテーパー形状63の部位と弾性部材51のテーパー形状53の部位とが接触するように、弾性部材51が空間62に挿入される。このとき、弾性部材51のテーパー形状53部位の少なくとも一部は空間62からはみ出している。次いで、配線7を弾性部材51の貫通穴52に通す。配線7は、チャンバの中に収納される装置とチャンバの外に配置される装置とを接続する前記配線等に相当するものである。
次いで、上記のように部品50が仮配置された部品60に、部品70を取り付ける。この取り付けは複数のネジ80によって行う。すなわち、ネジ80を部品70のネジ用穴73および部品61のネジ用穴64に挿入し、そのネジ80をチャンバの壁体33にネジ込むことにより、部品60に部品70を締結するとともに、部品60および部品70を壁体33に固着する。
この締結過程においては、部品70がネジ80によって図中の矢印方向に押される。これにより、部品70の一方側の側面が部品60に仮配置されている弾性部材51のテーパー形状53側の端面を押すこととなる。したがって、弾性部材51のテーパー形状53部位が部品70により空間62内に圧縮されながら押し込まれ、弾性部材51の貫通穴52の内径は小さなり、配線7が弾性部材51で隙間無く覆われる。これらにより、チャンバの壁体33を貫通する配線7が良好にシールされ、チャンバの内部と外部とが良好に遮断される。すなわち、気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造100が構成される。
本実施形態においては、ネジ80の代わりに、ヒンジなどからなる固定機構(固定部材)を用いてもよい。ここで、ヒンジとは、蝶番の構造を有するものであり、曲げを伝えない構造であり、力を伝えるものである。また、本実施形態において、壁体33と枠状部材61との間にパッキンなどを配置してもよい。このようにすると、さらに気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造100にすることができる。
また、弾性部材51の形状は、ネジ80を締め付けていってもその弾性部材51が枠状部材61の空間62内に入り過ぎない(又は空間62から抜け落ちない)形状としてもよい。具体的には、例えば、弾性部材51の断面が「T」字形状になるように、弾性部材51のテーパー形状53側端の縁に凸形状部を設ける。弾性部材51は複数の層構造をしていてもよく、各層は弾性率又は発泡率のことなる部材からなることとしてもよい。また、弾性部材51の側面又は露出部全体に、グリースなどの潤滑材を塗布してもよい。このようにすると、弾性部材51を枠状部材61の空間62内へ配置することが容易になるとともに、弾性部材51と枠状部材61との間を良好に密着させることができ、さらに気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造にすることができる。また、本実施形態では、複数の弾性部材51を1つの枠状部材71で押さえつける構成としているが、枠状部材71を弾性部材51ごとに分割した構成として、その分割した1つの枠状部材71で1つの弾性部材51を押さえつける構成としてもよい。
次に、本実施形態に係るチャンバ用貫通構造における配線7をシールする構成の詳細について図5を参照して説明する。図5は本発明の実施形態に係るチャンバ用貫通構造におけるシール構成部分を示す部分断面図である。そして、図5(a)は枠状部材61に弾性部材51を仮配置して、弾性部材51の貫通穴52に配線7を通した状態を示し、図5(b)は平板71に力F1を加えた状態を示している。
弾性部材51は、図5(a)に示すように、枠状部材61がなす空間62のテーパー形状63の部位と弾性部材51のテーパー形状53の部位とが接触するように、その空間62に挿入され仮配置される。この仮配置状態では、枠状部材61の空間62の内周面と弾性部材51の外周面とは全体的に接触しているが、その弾性部材51はほとんど圧縮されていない。したがって、弾性部材51の貫通穴52の径は縮小されていない。そこで、この仮配置状態では、貫通穴52の内径よりも小さい外形の配線7をその貫通穴52に楽に通することができる。
次いで、図5(b)に示すように、平板71に力F1を加える。この力F1は図4に示すように、ネジ80を締めることで発生させることができる。すると平板71は弾性部材51のテーパー形状53側の端面を押す。これにより弾性部材51は力F1の押す方向に移動される力を受ける。ここで、弾性部材51はテーパー形状53を有し、このテーパー形状53に密着するように枠状部材61がなす空間62のテーパー形状63が配置されている。そこで、弾性部材51のテーパー形状53部位は、空間62のテーパー形状63部位で挟みつけられるように力F2を受ける。これにより、その弾性部材51のテーパー形状53部位は圧縮され、そのテーパー形状53部位の貫通穴52の内径が小さくなり、そのテーパー形状53部位において配線7が弾性部材51で隙間無く覆われることとなる。したがって、配線7が弾性部材51で良好にシールされる。
これらにより、本実施形態のチャンバ用貫通構造は、極めて簡単な構成としながら、気密性および水密性の高いチャンバ用貫通構造を提供することができる。また、本実施形態のチャンバ用貫通構造は、手間をかけることなく簡便に組立および分解することができるので、チャンバを用いた各種装置の交換およびメンテナンスなどの労力を低減でき、製造コストを下げることができる。また、本実施形態のチャンバ用貫通構造は、様々な太さおよび形状の配線等について、1つの形態のチャンバ用貫通構造で対応することができ、安価なチャンバ用貫通構造を提供することができる。また、本実施形態のチャンバ用貫通構造は、チャンバに設置したものを分解してそれを再利用することもできる。また、本実施形態のチャンバ用貫通構造では、弾性部材51の外形が平面を有するので、その平面部位が枠状部材61の空間62の内周面に良好に密着し、気密性および水密性をさらに高めることができる。
(液滴吐出装置)
次に、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置について、図6および図7を参照して説明する。本実施形態の液滴吐出装置は上記実施形態のチャンバ用貫通構造を構成要素とするものである。インクジェットプリンタのインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)は、微小なインク滴(液滴)をドット状に精度良く吐出することができることから、例えば機能液滴(吐出対象液)に特殊なインク又は発光性或いは感光性の樹脂等を用いることにより、各種部品の製造分野への応用が期待されている。本液滴吐出装置は、有機EL装置又はカラーフィルタ等のいわゆるフラットディスプレイの製造装置に適用される。そして、本液滴吐出装置は、不活性ガスの雰囲気中において、液滴吐出ヘッドから発光材料等の機能液滴を吐出して、例えば有機EL装置の発光機能を為す各画素のEL発光層および正孔注入層を形成するものである。
次に、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置について、図6および図7を参照して説明する。本実施形態の液滴吐出装置は上記実施形態のチャンバ用貫通構造を構成要素とするものである。インクジェットプリンタのインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)は、微小なインク滴(液滴)をドット状に精度良く吐出することができることから、例えば機能液滴(吐出対象液)に特殊なインク又は発光性或いは感光性の樹脂等を用いることにより、各種部品の製造分野への応用が期待されている。本液滴吐出装置は、有機EL装置又はカラーフィルタ等のいわゆるフラットディスプレイの製造装置に適用される。そして、本液滴吐出装置は、不活性ガスの雰囲気中において、液滴吐出ヘッドから発光材料等の機能液滴を吐出して、例えば有機EL装置の発光機能を為す各画素のEL発光層および正孔注入層を形成するものである。
図6は、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置における液滴吐出部の平面視模式図である。図7は、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の側面視模式図である。実施形態の液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド3を搭載した液滴吐出部(ワーク処理装置)2と、この液滴吐出部2に機能液等を供給する付帯装置4とを備えている。液滴吐出部2は、チャンバ装置5の内部に収容されており、チャンバ装置5の外部に設けた付帯装置4との間は、各種の接続チューブからなる配管6および各種の接続ケーブルからなる配線7により接続されている。すなわち、液滴吐出部2は、搭載した液滴吐出ヘッド3により、ワークである基板Wに発光材料(機能液)を吐出して有機EL装置のEL発光層等を形成するものであり、この液滴吐出ヘッド3の吐出動作を含む一連の製造工程を、チャンバ装置5で構成する不活性ガス(窒素ガス)の雰囲気中で行うようにしている。
液滴吐出部2は、石定盤等で構成した機台11と、機台11上に設置したX軸テーブル12およびこれに直交するY軸テーブル13と、Y軸テーブル13に吊設するように設けたメインキャリッジ14と、メインキャリッジ14に搭載したヘッドユニット15とを有している。詳細は後述するが、ヘッドユニット15には、サブキャリッジ16を介して、複数の液滴吐出ヘッド3が搭載されている。
また、液滴吐出部2には、複数の液滴吐出ヘッド3に機能液(発光材料)を供給するサブタンク18が組み込まれているとともに、複数の液滴吐出ヘッド3を吐出駆動するヘッドドライバ19が組み込まれている。さらに、液滴吐出部2には、液滴吐出ヘッド3の定期的なフラッシング(全吐出ノズルからの機能液の捨て吐出)を受けるフラッシングユニット、液滴吐出ヘッド3のノズル面をワイピングするワイピングユニット(いずれも図示省略)、および、液滴吐出ヘッド3の機能液吸引並びに保管を行うクリーニングユニット20が組み込まれている。
X軸テーブル12は、X軸方向の駆動系が構成するリニアモータ駆動のX軸スライダ23を有し、これにθテーブル24および基板Wをエアー吸引する吸着テーブル25を搭載して構成されている。また、Y軸テーブル13は、Y軸方向の駆動系を構成するボールねじおよびサーボモータ駆動のY軸スライダ26を有し、これに上記のメインキャリッジ14を吊設するブリッジプレート27を搭載して構成されている。
そして、メインキャリッジ14に搭載したヘッドユニット15には、サブキャリッジ16を介して、複数の液滴吐出ヘッド3が搭載されている。特に詳細は図示しないが、サブキャリッジ16には、12個の液滴吐出ヘッド3が搭載されており、これら液滴吐出ヘッド3は、6個づつに二分され、主走査方向に対し所定の角度傾けて配設されている。
本実施形態の液滴吐出部2では、液滴吐出ヘッド3の駆動(機能液滴の選択的吐出)に同期して基板Wが移動する構成であり、液滴吐出ヘッド3のいわゆる主走査は、X軸テーブル12のX軸方向への往復動作により行われる。また、これに対応していわゆる副走査は、Y軸テーブル13により液滴吐出ヘッド3のY軸方向への往動動作により行われる。
チャンバ装置5は、チャンバルーム(気密チャンバ)31と、チャンバルーム31に温度および水分管理された不活性ガスを供給するガス供給装置32とを備えており、いわゆるクリーンルームの形態を有している。チャンバルーム31には、不活性ガスである窒素ガスが導入される。チャンバルーム31に収容された液滴吐出部2は、窒素ガスの雰囲気に曝され、窒素ガスの雰囲気中で稼動する。
一方、付帯装置4は、図示しないがキャビネット形式の共通機台に搭載したパーソナルコンピュータ(PC)41と、液滴吐出部2を統括制御するコントローラ42と、上記のサブタンク18に機能液を供給するメインタンク43とを備える。また、付帯装置4は、吸着テーブル25等に接続された真空吸引装置44、クリーニングユニット20等のエアーシリンダおよびメインタンク43に接続された圧縮エアー供給装置45、並びにクリーニングユニット20等に吸引ポンプ21を介して接続された廃液タンク46を備えている。なお、ここで圧縮エアー供給装置45の供給エアーには、温度および水分が管理された不活性ガスが用いられている。
例えば、パーソナルコンピュータ41は、生成した液滴吐出ヘッド3の吐出パターンデータを、液滴吐出部2のヘッドドライバ19に送出する。コントローラ42は、サブタンク18に設けたレベルセンサ22の検出結果に基づいて、圧縮エアー供給装置45を介してメインタンク43の機能液供給を制御する。そして、パーソナルコンピュータ41およびヘッドドライバ19間、並びにレベルセンサ22およびコントローラ42間は、チャンバルーム31の壁体(主に側壁の上部)33を貫通する配線貫通ユニット101を介して配線7により接続されている。この配線貫通ユニット101は、上記本実施形態のチャンバ用貫通構造100として構成されている。
また、サブタンク18およびメインタンク43間は、チャンバルーム31の壁体(主に側壁の下部)33を貫通する配管貫通ユニット102を介して配管6により接続されている。この配管貫通ユニット102も、上記本実施形態のチャンバ用貫通構造100として構成されている。同様に、吸着テーブル25および真空吸引装置44間、クリーニングユニット20のエアーシリンダおよび圧縮エアー供給装置45間、並びにクリーニングユニット20の吸引ポンプ21および廃液タンク46間は、チャンバルーム31の壁体(主に側壁の下部)33を貫通する配管貫通ユニット103を介して、配管6により接続されている。この配管貫通ユニット103も、上記本実施形態のチャンバ用貫通構造100として構成されている。
これらにより、本実施形態の液滴吐出装置によれば、配線7および配管6がチャンバルーム31の壁体33を貫通する部位について、配線貫通ユニット101および配管貫通ユニット102,103により良好にシールすることができる。したがって、本実施形態の液滴吐出装置によれば、液滴吐出部2が収容されるチャンバルーム31内の密閉状態を簡単な貫通構造で良好に保つことができる。また、配線貫通ユニット101および配管貫通ユニット102,103の組立および分解は非常に簡便に実行することができるので、配線7および配管6などの取り外しが必要となる液滴吐出ヘッド3などの交換・メンテナンスなどを簡便に行うことができる。ここで、例えば液滴吐出ヘッド3にインクなどを送る配管6は気泡の混入を嫌うので、継ぎ目を設けることは好ましくない。本実施形態の液滴吐出装置によれば、チャンバルーム31の壁体33を貫通する部位で配管6に継ぎ目が生じないので、インクを良好な状態で液滴吐出ヘッド3に供給することができ、描画性能を高めることができる。
(有機EL装置)
上記実施形態の液滴吐出装置を用いて製造される有機EL装置の構造および製造方法について、図8から図20を参照して説明する。図8から図20は、有機EL素子を含む有機EL装置の製造プロセスと共にその構造を表す断面図である。この製造プロセスは、バンク部形成工程と、プラズマ処理工程と、正孔注入/輸送層形成工程および発光層形成工程からなる発光素子形成工程と、対向電極形成工程と、封止工程とを具備して構成されている。
上記実施形態の液滴吐出装置を用いて製造される有機EL装置の構造および製造方法について、図8から図20を参照して説明する。図8から図20は、有機EL素子を含む有機EL装置の製造プロセスと共にその構造を表す断面図である。この製造プロセスは、バンク部形成工程と、プラズマ処理工程と、正孔注入/輸送層形成工程および発光層形成工程からなる発光素子形成工程と、対向電極形成工程と、封止工程とを具備して構成されている。
バンク部形成工程では、基板501に予め形成した回路素子部502上および電極511(画素電極ともいう)上の所定の位置に、無機物バンク層512aと有機物バンク層512bを積層することにより、開口部512gを有するバンク部512を形成する。このように、バンク部形成工程には、電極511の一部に、無機物バンク層512aを形成する工程と、無機物バンク層の上に有機物バンク層512bを形成する工程が含まれる。
まず無機物バンク層512aを形成する工程では、図8に示すように、回路素子部502の第2層間絶縁膜544b上および画素電極511上に、無機物バンク層512aを形成する。無機物バンク層512aを、例えばCVD法、コート法、スパッタ法、蒸着法等によって第2層間絶縁膜544bおよび画素電極511の全面にSiO2、TiO2等の無機物膜を形成する。
次にこの無機物膜をエッチング等によりパターニングして、電極511の電極面511aの形成位置に対応する下部開口部512cを設ける。このとき、無機物バンク層512aを電極511の周縁部と重なるように形成しておく必要がある。このように、電極511の周縁部(一部)と無機物バンク層512aとが重なるように無機物バンク層512aを形成することにより、発光層510b(図17から図20参照)の発光領域を制御することができる。
次に有機物バンク層512bを形成する工程では、図9に示すように、無機物バンク層512a上に有機物バンク層512bを形成する。有機物バンク層512bをフォトリソグラフィー技術等によりエッチングして、有機物バンク層512bの上部開口部512dを形成する。上部開口部512dは、電極面511aおよび下部開口部512cに対応する位置に設けられる。
上部開口部512dは、図9に示すように、下部開口部512cより広く、電極面511aより狭く形成することが好ましい。これにより、無機物バンク層512aの下部開口部512cを囲む第1積層部512eが、有機物バンク層512bよりも電極511の中央側に延出された形になる。このようにして、上部開口部512d、下部開口部512cを連通させることにより、無機物バンク層512aおよび有機物バンク層512bを貫通する開口部512gが形成される。
次にプラズマ処理工程では、バンク部512の表面と画素電極の表面511aに、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域を形成する。このプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、バンク部512の上面(512f)および開口部512gの壁面並びに画素電極511の電極面511aを、親液性を有するように加工する親液化工程と、有機物バンク層512bの上面512fおよび上部開口部512dの壁面を、撥液性を有するように加工する撥液化工程と、冷却工程とに大別される。
まず、予備加熱工程では、バンク部512を含む基板501を所定の温度まで加熱する。加熱は、例えば基板501を載せるステージにヒータを取り付け、このヒータで当該ステージごと基板501を加熱することにより行う。具体的には、基板501の予備加熱温度を、例えば70〜80℃の範囲とすることが好ましい。
次に、親液化工程では、大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。このO2プラズマ処理により、図10に示すように、画素電極511の電極面511a、無機物バンク層512aの第1積層部512eおよび有機物バンク層512bの上部開口部512dの壁面ならびに上面512fが親液処理される。この親液処理により、これらの各面に水酸基が導入されて親液性が付与される。図10では、親液処理された部分を一点鎖線で示している。
次に、撥液化工程では、大気雰囲気中で4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行う。CF4プラズマ処理により、図11に示すように、上部開口部512d壁面および有機物バンク層の上面512fが撥液処理される。この撥液処理により、これらの各面にフッ素基が導入されて撥液性が付与される。図11では、撥液性を示す領域を二点鎖線で示している。
次に、冷却工程では、プラズマ処理のために加熱された基板501を室温、またはインクジェット工程(機能液滴吐出工程)の管理温度まで冷却する。プラズマ処理後の基板501を室温、または所定の温度(例えばインクジェット工程を行う管理温度)まで冷却することにより、次の正孔注入/輸送層形成工程を一定の温度で行うことができる。
次に、発光素子形成工程では、画素電極511上に正孔注入/輸送層および発光層を形成することにより発光素子を形成する。発光素子形成工程には、4つの工程が含まれる。即ち、正孔注入/輸送層を形成するための第1組成物を各画素電極上に吐出する第1機能液滴吐出工程と、吐出された第1組成物を乾燥させて画素電極上に正孔注入/輸送層を形成する正孔注入/輸送層形成工程と、発光層を形成するための第2組成物を正孔注入/輸送層の上に吐出する第2機能液滴吐出工程と、吐出された第2組成物を乾燥させて正孔注入/輸送層上に発光層を形成する発光層形成工程とが含まれる。
まず、第1機能液滴吐出工程では、液滴吐出法により、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を電極面511a上に吐出する。すなわち、この吐出は、図6および図7に示す本実施形態の液滴吐出装置1を用いて行う。そして、この第1機能液滴吐出工程以降は水および酸素の無い窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。したがって、図1から図7に示す本実施形態のチャンバ用貫通構造を備えたチャンバを用いて、第1機能液滴吐出工程以降の処理をすることが好ましい。なお、画素電極上にのみ正孔注入/輸送層を形成する場合は、有機物バンク層に隣接して形成される正孔注入/輸送層は形成されない。
図12に示すように、液滴吐出ヘッドHに正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を充填し、液滴吐出ヘッドHの吐出ノズルを下部開口部512c内に位置する電極面511aに対向させ、液滴吐出ヘッドHと基板501とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された第1組成物滴510cを電極面511a上に吐出する。ここで、液滴吐出ヘッドHおよび基板501等は上記雰囲気のチャンバ内に収容されている。
ここで用いる第1組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)およびその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。なお、正孔注入/輸送層形成材料は、R・G・Bの各発光層510bに対して同じ材料を用いても良く、発光層毎に変えても良い。
図12に示すように、吐出された第1組成物滴510cは、親液処理された電極面511aおよび第1積層部512e上に広がり、下部、上部開口部512c、512d内に満たされる。電極面511a上に吐出する第1組成物量は、下部、上部開口部512c、512dの大きさ、形成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、第1組成物中の正孔注入/輸送層形成材料の濃度等により決定される。また、第1組成物滴510cは1回のみならず、数回に分けて同一の電極面511a上に吐出しても良い。
次に正孔注入/輸送層形成工程では、図13に示すように、吐出後の第1組成物を乾燥処理および熱処理して第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、電極面511a上に正孔注入/輸送層510aを形成する。乾燥処理を行うと、第1組成物滴510cに含まれる極性溶媒の蒸発が、主に無機物バンク層512aおよび有機物バンク層512bに近いところで起き、極性溶媒の蒸発に併せて正孔注入/輸送層形成材料が濃縮されて析出する。
これにより図13に示すように、乾燥処理によって電極面511a上でも極性溶媒の蒸発が起き、これにより電極面511a上に正孔注入/輸送層形成材料からなる平坦部510aが形成される。電極面511a上では極性溶媒の蒸発速度がほぼ均一であるため、正孔注入/輸送層の形成材料が電極面511a上で均一に濃縮され、これにより均一な厚さの平坦部510aが形成される。
次に第2機能液滴吐出工程では、機能液滴吐出法により、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層510a上に吐出する。この第2機能液滴吐出工程では、正孔注入/輸送層510aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層510aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で正孔注入/輸送層510aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層510a上に吐出しても、正孔注入/輸送層510aと発光層510bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層510bを均一に塗布できないおそれがある。そこで、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層510aの表面の親和性を高めるために、発光層を形成する前に表面改質工程を行うことが好ましい。
そこでまず、表面改質工程について説明する。表面改質工程は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質用溶媒を、機能液滴吐出法、スピンコート法またはディップ法により正孔注入/輸送層510a上に塗布した後に乾燥することにより行う。
例えば、機能液滴吐出法による塗布は、図14に示すように、液滴吐出ヘッドHに、表面改質用溶媒を充填し、液滴吐出ヘッドHの吐出ノズルを基板(すなわち、正孔注入/輸送層510aが形成された基板)に対向させ、液滴吐出ヘッドHと基板501とを相対移動させながら、吐出ノズルから表面改質用溶媒510dを正孔注入/輸送層510a上に吐出することにより行う。そして、図15に示すように、表面改質用溶媒510dを乾燥させる。
次に第2機能液滴吐出工程では、機能液滴吐出法により、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層510a上に吐出する。図16に示すように、液滴吐出ヘッドHに、青色(B)発光層形成材料を含有する第2組成物を充填し、液滴吐出ヘッドHの吐出ノズルを下部、上部開口部512c、512d内に位置する正孔注入/輸送層510aに対向させ、液滴吐出ヘッドHと基板501とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された第2組成物滴510eとして吐出し、この第2組成物滴510eを正孔注入/輸送層510a上に吐出する。
発光層形成材料としては、ポリフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープして用いる事ができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープすることにより用いることができる。
非極性溶媒としては、正孔注入/輸送層510aに対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。このような非極性溶媒を発光層510bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層510aを再溶解させることなく第2組成物を塗布できる。
図16に示すように、吐出された第2組成物510eは、正孔注入/輸送層510a上に広がって下部、上部開口部512c、512d内に満たされる。第2組成物510eは1回のみならず、数回に分けて同一の正孔注入/輸送層510a上に吐出しても良い。この場合、各回における第2組成物の量は同一でも良く、各回毎に第2組成物量を変えても良い。
次に発光層形成工程では、第2組成物を吐出した後に乾燥処理および熱処理を施して、正孔注入/輸送層510a上に発光層510bを形成する。乾燥処理は、吐出後の第2組成物を乾燥処理することにより第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発して、図17に示すような青色(B)発光層510bを形成する。
続けて、図18に示すように、青色(B)発光層510bの場合と同様にして、赤色(R)発光層510bを形成し、最後に緑色(G)発光層510bを形成する。なお、発光層510bの形成順序は、前述の順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。
次に対向電極形成工程では、図19に示すように、発光層510bおよび有機物バンク層512bの全面に陰極503(対向電極)を形成する。なお,陰極503は複数の材料を積層して形成しても良い。例えば、発光層に近い側には仕事関数が小さい材料を形成することが好ましく、例えばCa、Ba等を用いることが可能であり、また材料によっては下層にLiF等を薄く形成した方が良い場合もある。また、上部側(封止側)には下部側よりも仕事関数が高いものが好ましい。これらの陰極(陰極層)503は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、発光層510bの熱による損傷を防止できる点で好ましい。
また、フッ化リチウムは、発光層510b上のみに形成しても良く、更に青色(B)発光層510b上のみに形成しても良い。この場合、他の赤色(R)発光層および緑色(G)発光層510b、510bには、LiFからなる上部陰極層503bが接することとなる。また陰極503の上部には、蒸着法、スパッタ法、CVD法等により形成したAl膜、Ag膜等を用いることが好ましい。また、陰極503上に、酸化防止のためにSiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
最後に、図20に示す封止工程では、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で、有機EL素子504上に封止用基板505を積層する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極503にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極503に侵入して陰極503が酸化されるおそれがあるので好ましくない。そして最後に、フレキシブル基板の配線に陰極503を接続するとともに、駆動ICに回路素子部502の配線を接続することにより、本実施形態の有機EL装置500が得られる。
なお、画素電極511および陰極(対向電極)503の形成において、液滴吐出ヘッドHによる液滴吐出方式を採用してもよい。すなわち、液状体の電極材料を液滴吐出ヘッドHにそれぞれ導入し、これを液滴吐出ヘッドHから吐出して、画素電極511および陰極503をそれぞれ形成する(乾燥工程を含む)。
これらにより、本実施形態の製造方法によれば、精密に管理された安定な雰囲気内で液滴吐出方式を実行して有機EL装置を製造することができ、発光材料の変質等を良好に回避することができるので、高品質な有機EL装置を低コストで提供することができる。
上記本実施形態のチャンバ用貫通構造又は液滴吐出装置1を用いた製造方法は、電子放出装置、PDP装置および電気泳動表示装置の製造等に適用することができる。電子放出装置の製造方法では、複数の液滴吐出ヘッド3にR、G、B各色の蛍光材料を導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、蛍光材料を選択的に吐出して、電極上に多数の蛍光体を形成する。なお、電子放出装置は、FED(電界放出ディスプレイ)を含む上位の概念である。
PDP装置の製造方法では、複数の液滴吐出ヘッド3にR、G、B各色の蛍光材料を導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、蛍光材料を選択的に吐出して、背面基板上の多数の凹部にそれぞれ蛍光体を形成する。電気泳動表示装置の製造方法では複数の液滴吐出ヘッド3に各色の泳動体材料を導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、泳動体材料を選択的に吐出して、電極上の多数の凹部にそれぞれ泳動体を形成する。なお、帯電粒子と染料とから成る泳動体は、マイクロカプセルに封入されていることが、好ましい。
また上記本実施形態のチャンバ用貫通構造又は液滴吐出装置1を用いた製造方法は、スペーサ、金属配線、レンズ、レジストおよび光拡散体などの形成にも、適用可能である。スペーサの形成方法は、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成すべく多数の粒子状のスペーサを形成するものである。そして、スペーサの形成方法では、スペーサを構成する粒子材料を液中に分散させ液状に調整した材料を、複数の液滴吐出ヘッド3に導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、粒子材料を選択的に吐出して少なくとも一方の基板上にスペーサを形成する。例えば、液晶表示装置や電気泳動表示装置における2枚の基板間のセルギャップを構成する場合に有用であり、その他この種の微小なギャップを必要とする半導体製造技術に適用できる。
金属配線の形成方法では、複数の液滴吐出ヘッド3に液状金属材料を導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、液状金属材料を選択的に吐出して、基板上に金属配線を形成する。例えば、液晶表示装置におけるドライバと各電極とを接続する金属配線や、上記の有機EL装置におけるTFT等と各電極とを接続する金属配線に適用することができる。また、この種のフラットディスプレイの他、一般的な半導体製造技術に適用できる。
レンズの形成方法では、複数の液滴吐出ヘッド3にレンズ材料を導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、レンズ材料を選択的に吐出して、透明基板上に多数のマイクロレンズを形成する。例えば、上記のFED装置におけるビーム収束用のデバイスとして適用可能である。また、各種の光デバイスに適用可能である。
レジスト形成方法では、複数の液滴吐出ヘッド3にレジスト材料を導入し複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、レジスト材料を選択的に吐出して、基板上に任意形状のフォトレジストを形成する。例えば、上記の各種表示装置おけるバンクの形成は元より、半導体製造技術の主体を為すフォトリソグラフィー法において、フォトレジストの塗布に広く適用可能である。
光拡散体形成方法では、基板上に多数の光拡散体を形成する光拡散体形成方法であって、複数の液滴吐出ヘッド3に光拡散材料を導入し、複数の液滴吐出ヘッド3を主走査および副走査し、光拡散材料を選択的に吐出して多数の光拡散体を形成する。この場合も、各種の光デバイスに適用可能である。
これらにより、本実施形態のチャンバ用貫通構造又は液滴吐出装置を用いた製造方法によれば、簡単な構造であって、各種の接続ラインに対応できながら、チャンバにおける接続ラインの貫通部からの内部雰囲気の漏れ(リーク)を確実に防止することができる。そこで、本実施形態のチャンバ用貫通構造および液滴吐出装置は、チャンバに関連する各種装置の交換およびメンテナンスを阻害することなく、チャンバ内のワーク処理において高品質のワークを得ることができ、且つ内部雰囲気の漏れによる環境汚染等を確実に防止することができる。したがって、製造コストを抑えながら信頼性および安全性の高い装置を提供することができる。
また、本実施形態の有機EL装置の製造方法、電子放出装置の製造方法、PDP装置の製造方法、液晶表示装置の製造方法および電気泳動表示装置の製造方法によれば、管理された安定な雰囲気により、各装置におけるフィルタ材料又は発光材料の変質等を防止することができるため、製造効率の向上および高品質な装置の提供をすることができる。また、本実施形態の製造方法によれば、スペーサ、金属配線、レンズ、レジストおよび光拡散体などを、管理された安定な雰囲気内で製造でき、構成材料の変質等を抑えることができるので、高品質で低価格な電子デバイス又は光デバイスを提供することができる。
(電子機器)
次に、上記実施形態のチャンバ用貫通構造又は液滴吐出装置を用いて製造された装置(例えば有機EL装置)を備えた電子機器について説明する。
図21(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図21(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記実施形態の有機EL装置からなる表示部を示している。図21(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図21(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記実施形態の有機EL装置からなる表示部を示している。図21(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図21(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記実施形態の有機EL装置からなる表示部を示している。
次に、上記実施形態のチャンバ用貫通構造又は液滴吐出装置を用いて製造された装置(例えば有機EL装置)を備えた電子機器について説明する。
図21(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図21(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記実施形態の有機EL装置からなる表示部を示している。図21(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図21(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記実施形態の有機EL装置からなる表示部を示している。図21(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図21(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記実施形態の有機EL装置からなる表示部を示している。
図21に示す電子機器は、上記実施形態のチャンバ用貫通構造又は液滴吐出装置を用いて製造されているので、高品質な画像を表示できるなど高性能であって、寿命が長い装置として、低価格で提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。本発明に係るチャンバ用貫通構造は、密閉が要求される全ての装置の配線および配管などに適用することができる。
6…配管、7…配線、33…壁体、50,60,70…部品、51…弾性部材、52…貫通穴、53…テーパー形状、54…縁部、61…枠状部材、62…空間、63…テーパー形状、64…ネジ用穴、71…平板、72…穴、73…ネジ用穴、80…ネジ、100…チャンバ用貫通構造
Claims (15)
- ワーク処理装置が入れられるチャンバの壁体を貫通するチャンバ用貫通構造であって、
配線又は配管が挿入される貫通穴を有するとともに、弾性を有する弾性部材と、
前記弾性部材が圧縮されながら挿入される所定の大きさの空間をなす枠状部材とを備えることを特徴とするチャンバ用貫通構造。 - 前記弾性部材の外形は、テーパー形状を有することを特徴とする請求項1に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記弾性部材の外形における前記枠状部材と接触する部位は、テーパー形状を有することを特徴とする請求項1に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記弾性部材の外形は、円錐形状又は多角推形状であることを特徴とする請求項1に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記弾性部材の外形は、平面を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記弾性部材の外形は、前記枠状部材の空間形状と相似した形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記弾性部材における前記枠状部材に挿入される部位の断面面積が該枠状部材の前記空間の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記枠状部材は、前記空間を複数有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記枠状部材における複数の空間は、該枠状部材が格子形状となるように整列されていることを特徴とする請求項8に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記弾性部材を前記枠状部材の空間に押し付ける部材となるものであって、前記配線又は配管が貫通する穴を有する平板を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記平板の穴の断面面積は前記弾性部材における一方の端面の面積よりも小さく、該端面の外周の内側に該平板の穴が配置されるように、該平板は前記枠状部材に取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記平板を前記枠状部材に押し付けながら固定する固定部材を有することを特徴とする請求項10又は11に記載のチャンバ用貫通構造。
- 前記固定部材は、前記平板および枠形状部材を前記チャンバの壁体に固定する部材をなすことを特徴とする請求項12に記載のチャンバ用貫通構造。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載のチャンバ用貫通構造と、
チャンバと、
前記チャンバの中に入れられたワーク処理装置をなす液滴吐出手段と、
前記チャンバの外に配置され前記液滴吐出装置に対して電気および液状体の少なくともいずれかを供給する外部装置と、
前記電気又は液状体の伝送路をなすとともに前記弾性部材の貫通穴を貫通する配線又は配管とを有することを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項14に記載の液滴吐出装置を用いて、電気光学装置又は電子放出装置を製造することを特徴とする装置製造方法。
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JP2009119395A (ja) * | 2007-11-16 | 2009-06-04 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 塗布システムおよび塗布方法 |
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