JP2005184665A - 圧電基板の製造方法、圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 600MHz以上の共振周波数を出力可能な極薄の振動板を備えた圧電基板を圧電ウェハを用いてバッチ処理によって量産する際に、圧電ウェハ上にバッチ処理により形成される多数の凹陥部内に位置する振動板の板厚換算偏差を最小に抑えることができる圧電基板の製造方法等を提供する。
【解決手段】 圧電ウェハ10の一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によるVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部3を形成するステップ1と、エッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、第4のエッチャントを用いた個別処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ5と、から構成される。
【選択図】 図3
【解決手段】 圧電ウェハ10の一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によるVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部3を形成するステップ1と、エッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、第4のエッチャントを用いた個別処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ5と、から構成される。
【選択図】 図3
Description
本発明は超薄肉の振動板を厚肉の環状部で一体的に包囲した構造の圧電基板の製造方法、その製造方法によって製造した圧電基板に励振電極等の導電パターンを形成した圧電振動素子、圧電振動素子をパッケージ内に気密封止した圧電振動子、更にはこの圧電振動子を用いた圧電発振器の改良に関し、特に600MHz以上の高い共振周波数を出力するために大面積の圧電ウェハに対してエッチングによって複数の凹陥部を形成することによって超薄肉の振動板をバッチ処理形成する場合においても、各振動板間の板厚換算偏差を大幅に低減することを可能とした技術に関する。
水晶振動子の如く、圧電振動素子をパッケージ内に気密封止した構造の表面実装型の圧電デバイスは、携帯電話機、ページャ等の通信機器や、コンピュータ等の電子機器等において、基準周波数発生源、フィルタ等として利用されているが、これらの各種機器の小型化に対応して圧電デバイスに対しても小型化が求められている。
また、表面実装用の圧電デバイスとしての圧電発振器は、例えばセラミック等から成るパッケージ本体の上面に形成された凹所内に、圧電振動素子と、発振回路を構成する回路部品を収納した状態で凹所開口を金属蓋により封止した構成を備えている。
従来から、上記の如き圧電デバイスに使用される圧電振動素子として、基本波周波数が50MHz以上の高周波化に対応できるように圧電基板の片側表面を一部掘削することにより凹陥部を形成してその底面を数μm程度の超薄肉の振動板とすると共に、この振動板周縁を厚肉の環状部により一体的に包囲した構造の圧電基板と、この振動板の表裏両面に夫々形成した入出力用の電極と接地電極と、から成る圧電振動素子が知られている(特開平9−55635号公報)。
このような圧電振動素子により例えば155MHz程度の高周波を出力するためには、振動板の肉厚を10μm程度に薄くする必要があるが、このように薄肉化した場合、一枚の大面積の圧電ウェハから複数の圧電基板をバッチ処理によって製造する際に、超薄肉振動板の板厚にばらつきが発生し、板厚換算偏差(dH)が大きくなる。その結果、共振周波数に大きなばらつきが発生する。
また、表面実装用の圧電デバイスとしての圧電発振器は、例えばセラミック等から成るパッケージ本体の上面に形成された凹所内に、圧電振動素子と、発振回路を構成する回路部品を収納した状態で凹所開口を金属蓋により封止した構成を備えている。
従来から、上記の如き圧電デバイスに使用される圧電振動素子として、基本波周波数が50MHz以上の高周波化に対応できるように圧電基板の片側表面を一部掘削することにより凹陥部を形成してその底面を数μm程度の超薄肉の振動板とすると共に、この振動板周縁を厚肉の環状部により一体的に包囲した構造の圧電基板と、この振動板の表裏両面に夫々形成した入出力用の電極と接地電極と、から成る圧電振動素子が知られている(特開平9−55635号公報)。
このような圧電振動素子により例えば155MHz程度の高周波を出力するためには、振動板の肉厚を10μm程度に薄くする必要があるが、このように薄肉化した場合、一枚の大面積の圧電ウェハから複数の圧電基板をバッチ処理によって製造する際に、超薄肉振動板の板厚にばらつきが発生し、板厚換算偏差(dH)が大きくなる。その結果、共振周波数に大きなばらつきが発生する。
図5(a)(b)は、155MHz以上の共振周波数を出力するために、板厚が10μmを下回る振動板をエッチングにより形成する従来方法を示す図である。
この製造方法では、ステップ1において、水晶ウェハ(圧電ウェハ)100に対して一括処理によるVHF粗調整を実施することによって複数の凹陥部101を同時に形成し、ステップ2において各凹陥部101内の振動板面を個別処理によりUHF微調整する。
即ち、まずステップ1では、厚さ80μmの水晶ウェハ100に対してパターニングによりマスクを形成し、マスクから露出したウェハ部分を振動板の板厚が10μm程度になるまでエッチングを行う。エッチングに際しては、ウェハ全体をエッチング液内に浸漬する。エッチング条件は、エッチャントは飽和NH4HF2(フッ化水素アンモニウム)、温度は85℃、エッチングレートは25nm/secである。この時点で、各個片について、共振周波数、振動板の板厚を測定した。各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のようになった。
次に、ステップ2では、測定した各振動板の板厚の測定値に基づいて、振動板の板厚が厚い方から順に、エッチングレートの小さいエッチャントをディスペンサにより個別に滴下してゆき、最後に板厚が最も薄い振動板面に滴下してから、所定時間の経過後にエッチャントを洗浄する(個別処理によるVHF微調整)。なお、水晶ウェハ100の一方の主面に、各凹陥部101に対応して区画形成された複数の貫通孔106を備えたガイド板105を貼り付けた状態で、各貫通孔106内にエッチャントを時間差で滴下する。
ステップ2のエッチング条件は、エッチャントは23%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃、エッチングレートは0.6nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のようになった。
しかし、平均板厚が9.7μmであるのに対して、板厚換算偏差dHが113nmと大きいため、個片間の板厚ばらつきが無視できない程度に大きくなっている。
この製造方法では、ステップ1において、水晶ウェハ(圧電ウェハ)100に対して一括処理によるVHF粗調整を実施することによって複数の凹陥部101を同時に形成し、ステップ2において各凹陥部101内の振動板面を個別処理によりUHF微調整する。
即ち、まずステップ1では、厚さ80μmの水晶ウェハ100に対してパターニングによりマスクを形成し、マスクから露出したウェハ部分を振動板の板厚が10μm程度になるまでエッチングを行う。エッチングに際しては、ウェハ全体をエッチング液内に浸漬する。エッチング条件は、エッチャントは飽和NH4HF2(フッ化水素アンモニウム)、温度は85℃、エッチングレートは25nm/secである。この時点で、各個片について、共振周波数、振動板の板厚を測定した。各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のようになった。
次に、ステップ2では、測定した各振動板の板厚の測定値に基づいて、振動板の板厚が厚い方から順に、エッチングレートの小さいエッチャントをディスペンサにより個別に滴下してゆき、最後に板厚が最も薄い振動板面に滴下してから、所定時間の経過後にエッチャントを洗浄する(個別処理によるVHF微調整)。なお、水晶ウェハ100の一方の主面に、各凹陥部101に対応して区画形成された複数の貫通孔106を備えたガイド板105を貼り付けた状態で、各貫通孔106内にエッチャントを時間差で滴下する。
ステップ2のエッチング条件は、エッチャントは23%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃、エッチングレートは0.6nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のようになった。
しかし、平均板厚が9.7μmであるのに対して、板厚換算偏差dHが113nmと大きいため、個片間の板厚ばらつきが無視できない程度に大きくなっている。
ところで、本出願人は、SONET/SDH用の光伝送装置に対応すべく622MHzの共振周波数を出力できる振動板を備えた圧電基板を歩留まり良く量産する技術を鋭意研究しているが、上述した従来のエッチング方法のステップ1、2を、エッチャント等のエッチング条件を異ならせて実施しただけでは板厚制御が難しく、622MHzの共振周波数を出力できる2.6μm程度の振動板厚において、十分に低い板厚換算偏差(例えば、12nm程度)を確保することは極めて困難である。
例えば、622MHz程度の共振周波数を出力可能な板厚を備えた複数の振動板の板厚偏差が0.1nmある場合には、周波数に換算して23kHz(37ppm)の差が発生する。
ところで、ATカットの水晶振動素子においては、水晶基板のカットアングルと、振動板の板厚と、振動板上に蒸着形成される励振電極膜(例えば、ニッケル下地に金を積層した構造)の膜厚が一定していることによって温度周波数特性を安定化させることができる。600MHzを越える共振周波数を得るための振動板にあっては、その板厚が極薄(約2.8μm)となるため、同じカットアングルの水晶基板であっても、励振電極膜を構成する金属を僅かな量増減させるだけで共振周波数が大きく変動する。例えば、ATカット水晶のウェハ切り出しに際しては、カットアングルのばらつきがプラスマイナス1分の範囲内となるように精度を高めているが、上記の如き極薄の振動板上の励振電極膜の増減量によって周波数を微調整する場合には、増減量可能な範囲は、水晶膜厚換算値として15.1nm程度しかない。
一方、振動板厚が異なる場合であっても、電極膜厚を微調整することによって共振周波数を目標値に設定することが可能ではあるが、その場合には振動板の板厚が異なることによって温度周波数特性が大きくばらつく、という不具合がある。従って、温度周波数特性を安定させつつ、共振周波数を目標値に設定するためには、振動板厚を均一化する必要がある。
特開平9−55635号公報
例えば、622MHz程度の共振周波数を出力可能な板厚を備えた複数の振動板の板厚偏差が0.1nmある場合には、周波数に換算して23kHz(37ppm)の差が発生する。
ところで、ATカットの水晶振動素子においては、水晶基板のカットアングルと、振動板の板厚と、振動板上に蒸着形成される励振電極膜(例えば、ニッケル下地に金を積層した構造)の膜厚が一定していることによって温度周波数特性を安定化させることができる。600MHzを越える共振周波数を得るための振動板にあっては、その板厚が極薄(約2.8μm)となるため、同じカットアングルの水晶基板であっても、励振電極膜を構成する金属を僅かな量増減させるだけで共振周波数が大きく変動する。例えば、ATカット水晶のウェハ切り出しに際しては、カットアングルのばらつきがプラスマイナス1分の範囲内となるように精度を高めているが、上記の如き極薄の振動板上の励振電極膜の増減量によって周波数を微調整する場合には、増減量可能な範囲は、水晶膜厚換算値として15.1nm程度しかない。
一方、振動板厚が異なる場合であっても、電極膜厚を微調整することによって共振周波数を目標値に設定することが可能ではあるが、その場合には振動板の板厚が異なることによって温度周波数特性が大きくばらつく、という不具合がある。従って、温度周波数特性を安定させつつ、共振周波数を目標値に設定するためには、振動板厚を均一化する必要がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、600MHz以上の共振周波数を出力可能な極薄の振動板を備えた圧電基板を圧電ウェハを用いてバッチ処理によって量産する際に、圧電ウェハ上にバッチ処理により形成される多数の凹陥部内に位置する振動板の板厚換算偏差を最小に抑えることができる圧電基板の製造方法、圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器を提供することを目的とする。
本発明では例えば、共振周波数622MHzにおいて励振電極の厚さを微調整することによる周波数調整における共振周波数温度特性のばらつきを30”以内に抑え、その結果、振動板の板厚換算偏差を15.1nm(3.5MHz相当)以内に抑えることを目的とする。
更に、工程数が増大したとしても、良品率を大幅に高めることによって、製造工程の増大によるデメリットを補って余りある効果を得ることを目的としている。
本発明では例えば、共振周波数622MHzにおいて励振電極の厚さを微調整することによる周波数調整における共振周波数温度特性のばらつきを30”以内に抑え、その結果、振動板の板厚換算偏差を15.1nm(3.5MHz相当)以内に抑えることを目的とする。
更に、工程数が増大したとしても、良品率を大幅に高めることによって、製造工程の増大によるデメリットを補って余りある効果を得ることを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によるVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートの小さい第2のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、を順次実施する製造方法において、ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を高温にて行うステップ3と、ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第2のエッチャントの2倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、から構成されることを特徴とする。
請求項2の発明は、薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によりVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、から構成されることを特徴とする。
請求項2の発明は、薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によりVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、から構成されることを特徴とする。
請求項3の発明は、薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によるVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、ステップ4を終了した圧電ウェハの凹陥部とは反対側の振動板面に対して、前記第4のエッチャントを用いた個別処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ5と、から構成されることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする圧電基板と、該圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を気密封止したパッケージと、を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4に記載の圧電振動素子、或いは請求項5に記載の圧電振動子と、発振回路とを備えたことを特徴とする圧電発振器。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする圧電基板と、該圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を気密封止したパッケージと、を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4に記載の圧電振動素子、或いは請求項5に記載の圧電振動子と、発振回路とを備えたことを特徴とする圧電発振器。
本発明は、水晶等の圧電ウェハに対して、一括処理によるVHF粗調整(ステップ1)、個別処理によるVHF微調整(ステップ2)、一括処理によるUHF粗調整(ステップ3)、一括処理によるUHF微調整(ステップ4)を順次実施することにより、圧電ウェハ上に複数の超薄肉振動板を形成する製造方法に関し、ステップ2では板厚偏差の低減によるステップ3スタート周波数を決定し、ステップ4ではエッチングレートを低減することによって制御分解能を向上する。更に、UHF微調整を振動板の他面側から個別処理により実施するステップ5により、更に偏差を低減できる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る圧電振動素子の一例としてのATカット水晶から成る水晶振動素子1の凹陥部側斜視図、及び水晶振動素子個片を連結した状態にある水晶振動素子母材の一例の要部平面図である。
この水晶振動素子1は、異方性を有した圧電結晶材料としてのATカット水晶から成る水晶基板2と、水晶基板2の両主面に夫々形成した励振電極10a、10b、及び各励振電極10a、10bから夫々延びるリード電極11a、11bと、各リード電極端部の接続パッド12a、12bと、を備えている。
この実施形態に係る水晶基板2は、平面2軸方向x、zのうちの一方の結晶軸方向(励起された波の伝搬方向)、例えばx軸方向に長尺な矩形平板状の基板本体の一方の主面上に凹陥部3をエッチングにより形成することにより、凹陥部3の内底面に超薄肉の振動板4を位置させると共に、振動板4の外周縁を厚肉の環状部5にて一体的に保持した構成を備えている。環状部5のx軸方向に位置する一辺5Aは、x軸方向へ所定長延長形成されて平板状の張り出し部6となっている。張り出し部6の両面上には、振動板4の両主面に夫々形成された各励振電極10a、10bから夫々引き出された各リード電極11a、11bと接続された接続パッド12a、12bが位置している。各電極、パッドは、所定のマスクを用いた蒸着、スパッタリング等により圧電基板上に形成される導体膜である。
この水晶振動素子1の振動板4により、例えば622MHzの共振周波数を出力せんとする場合には、振動板4の肉厚は約2.6μm程度となる。
図1(b)はこの水晶振動素子を多数縦横(7×8=56個)に連結した状態(分割前)のウェハを示しており、分割ラインLに沿って切断することにより水晶振動素子個片が得られる。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る圧電振動素子の一例としてのATカット水晶から成る水晶振動素子1の凹陥部側斜視図、及び水晶振動素子個片を連結した状態にある水晶振動素子母材の一例の要部平面図である。
この水晶振動素子1は、異方性を有した圧電結晶材料としてのATカット水晶から成る水晶基板2と、水晶基板2の両主面に夫々形成した励振電極10a、10b、及び各励振電極10a、10bから夫々延びるリード電極11a、11bと、各リード電極端部の接続パッド12a、12bと、を備えている。
この実施形態に係る水晶基板2は、平面2軸方向x、zのうちの一方の結晶軸方向(励起された波の伝搬方向)、例えばx軸方向に長尺な矩形平板状の基板本体の一方の主面上に凹陥部3をエッチングにより形成することにより、凹陥部3の内底面に超薄肉の振動板4を位置させると共に、振動板4の外周縁を厚肉の環状部5にて一体的に保持した構成を備えている。環状部5のx軸方向に位置する一辺5Aは、x軸方向へ所定長延長形成されて平板状の張り出し部6となっている。張り出し部6の両面上には、振動板4の両主面に夫々形成された各励振電極10a、10bから夫々引き出された各リード電極11a、11bと接続された接続パッド12a、12bが位置している。各電極、パッドは、所定のマスクを用いた蒸着、スパッタリング等により圧電基板上に形成される導体膜である。
この水晶振動素子1の振動板4により、例えば622MHzの共振周波数を出力せんとする場合には、振動板4の肉厚は約2.6μm程度となる。
図1(b)はこの水晶振動素子を多数縦横(7×8=56個)に連結した状態(分割前)のウェハを示しており、分割ラインLに沿って切断することにより水晶振動素子個片が得られる。
以下、本発明の一実施形態に係る水晶基板(圧電基板)2を、大面積の水晶ウェハをエッチングすることによって板厚換算偏差少なく量産する方法について説明する。
なお、この実施形態において行った実験では、622MHzを目標周波数とはしておらず、それよりも高い周波数である758MHzを目標周波数としている。共振周波数758MHzを出力可能な板厚を有した振動板は、622MHzの共振周波数を出力可能な振動板よりも更に薄い板厚となるため、振動板厚が薄い方の水晶基板の加工実験において板厚偏差を十分に抑えることができる場合には、当然のことながら板厚が厚い方の加工においては板厚偏差を抑制することは更に容易となることが明らかである。
図3(a)(b)(c)は、夫々本発明の製造方法の実施形態の説明図、(d)は各ステップにおけるエッチング条件を示す図である。
まず、図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法によるエッチング手順を示す工程図である。ステップ1、2は、図5(a)にて示した従来例のステップ1、2と同じである。図2(a)及び(b)は水晶ウェハの構成図、及び個別エッチングの手順を示す図である。
即ち、第1の実施形態に係る製造方法では、ステップ1において、水晶ウェハ(圧電ウェハ)10に対して一括処理によるVHF粗調整を実施することによって複数の凹陥部11を同時に形成し、更にステップ2において各凹陥部11内の振動板面を個別処理によりVHF微調整する。ステップ2では、水晶ウェハ10の一方の主面に、各凹陥部11に対応して区画形成された複数の貫通孔16を備えたガイド板15を貼り付けた状態で、各貫通孔16内にエッチャントを時間差で滴下する。更に、ステップ3では、ステップ1と同一条件でUHF粗調整を一括して行い、ステップ4ではエッチングレートの小さいエッチャントによりUHF微調整を一括処理により実施する。
即ち、まずステップ1では、厚さ80μmの水晶ウェハ10に対してパターニングによりマスクを形成し、振動板4(凹陥部3)を形成する矩形の領域だけを露出させ、それ以外のウェハ面領域を隠蔽する。次いで、マスクから露出したウェハ部分を、振動板4の板厚が10μm程度になるまで、第1のエッチャントを用いてエッチングを行う。エッチングに際しては、ウェハ全体をエッチング液内に浸漬した一括処理を実施する。エッチング条件は、第1のエッチャントは飽和NH4HF2(フッ化水素アンモニウム)、温度は高温(85℃)、エッチングレートは25nm/secであった。この時点で、各個片について、共振周波数、振動板の板厚を測定した。各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び振動板の板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=160MHz、H=10.5μm、dH=374nmとなった。
一般的(JIS Z8703)には、常温とは5℃〜35℃の温度範囲であり、この発明においても、この範囲内の任意の値とすればよい。またここで高温とは、常温よりも20℃以上高い状態のことを指す。
なお、この実施形態において行った実験では、622MHzを目標周波数とはしておらず、それよりも高い周波数である758MHzを目標周波数としている。共振周波数758MHzを出力可能な板厚を有した振動板は、622MHzの共振周波数を出力可能な振動板よりも更に薄い板厚となるため、振動板厚が薄い方の水晶基板の加工実験において板厚偏差を十分に抑えることができる場合には、当然のことながら板厚が厚い方の加工においては板厚偏差を抑制することは更に容易となることが明らかである。
図3(a)(b)(c)は、夫々本発明の製造方法の実施形態の説明図、(d)は各ステップにおけるエッチング条件を示す図である。
まず、図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法によるエッチング手順を示す工程図である。ステップ1、2は、図5(a)にて示した従来例のステップ1、2と同じである。図2(a)及び(b)は水晶ウェハの構成図、及び個別エッチングの手順を示す図である。
即ち、第1の実施形態に係る製造方法では、ステップ1において、水晶ウェハ(圧電ウェハ)10に対して一括処理によるVHF粗調整を実施することによって複数の凹陥部11を同時に形成し、更にステップ2において各凹陥部11内の振動板面を個別処理によりVHF微調整する。ステップ2では、水晶ウェハ10の一方の主面に、各凹陥部11に対応して区画形成された複数の貫通孔16を備えたガイド板15を貼り付けた状態で、各貫通孔16内にエッチャントを時間差で滴下する。更に、ステップ3では、ステップ1と同一条件でUHF粗調整を一括して行い、ステップ4ではエッチングレートの小さいエッチャントによりUHF微調整を一括処理により実施する。
即ち、まずステップ1では、厚さ80μmの水晶ウェハ10に対してパターニングによりマスクを形成し、振動板4(凹陥部3)を形成する矩形の領域だけを露出させ、それ以外のウェハ面領域を隠蔽する。次いで、マスクから露出したウェハ部分を、振動板4の板厚が10μm程度になるまで、第1のエッチャントを用いてエッチングを行う。エッチングに際しては、ウェハ全体をエッチング液内に浸漬した一括処理を実施する。エッチング条件は、第1のエッチャントは飽和NH4HF2(フッ化水素アンモニウム)、温度は高温(85℃)、エッチングレートは25nm/secであった。この時点で、各個片について、共振周波数、振動板の板厚を測定した。各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び振動板の板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=160MHz、H=10.5μm、dH=374nmとなった。
一般的(JIS Z8703)には、常温とは5℃〜35℃の温度範囲であり、この発明においても、この範囲内の任意の値とすればよい。またここで高温とは、常温よりも20℃以上高い状態のことを指す。
次に、ステップ2では、測定した各振動板4の板厚の測定値に基づいて、振動板の板厚が厚い方から順に、エッチングレートの小さい第2のエッチャントをディスペンサにより個別に滴下してゆき、最後に板厚が最も薄い振動板面に滴下してから、所定時間の経過によりエッチャントを洗浄する。
ステップ2のエッチング条件は、第2のエッチャントは23%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃(常温)、エッチングレートは0.6nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=172MHz、H=9.7μm、dH=113nmとなった。
次にステップ3では、ステップ2を終了した圧電ウェハ10の各凹陥部3内の振動板面に対して、第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を高温85℃にて行う。エッチングに際しては、ステップ1にて使用したマスクをそのまま使用する。この結果、平均の共振周波数f=783MHz、振動板の平均板厚H=2.14μmであった。
ところで、ステップ3のエッチング条件では、エッチングレートが25nm/secと、極めて大きいため、板厚の微調整が困難であり、目標板厚にアジャストすることが困難である。
そこで、次のステップ4において、エッチングレートが1.5nm/secであるエッチャントを使用して微調整を行うようにした。
即ち、ステップ4では、ステップ3を終了した圧電ウェハ10の凹陥部3内の振動板4面に対して、エッチングレートが第2のエッチャントの2倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて実施した。
即ち、ステップ4のエッチング条件は、第3のエッチャントは、23%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃(常温)、エッチングレートは1.5nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=797MHz、H=2.10μm、dH=119nmとなった。
このdH=119nmという板厚換算偏差は、ステップ2のdH=113nmと近似した値となっている。
ステップ2のエッチング条件は、第2のエッチャントは23%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃(常温)、エッチングレートは0.6nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=172MHz、H=9.7μm、dH=113nmとなった。
次にステップ3では、ステップ2を終了した圧電ウェハ10の各凹陥部3内の振動板面に対して、第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を高温85℃にて行う。エッチングに際しては、ステップ1にて使用したマスクをそのまま使用する。この結果、平均の共振周波数f=783MHz、振動板の平均板厚H=2.14μmであった。
ところで、ステップ3のエッチング条件では、エッチングレートが25nm/secと、極めて大きいため、板厚の微調整が困難であり、目標板厚にアジャストすることが困難である。
そこで、次のステップ4において、エッチングレートが1.5nm/secであるエッチャントを使用して微調整を行うようにした。
即ち、ステップ4では、ステップ3を終了した圧電ウェハ10の凹陥部3内の振動板4面に対して、エッチングレートが第2のエッチャントの2倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて実施した。
即ち、ステップ4のエッチング条件は、第3のエッチャントは、23%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃(常温)、エッチングレートは1.5nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=797MHz、H=2.10μm、dH=119nmとなった。
このdH=119nmという板厚換算偏差は、ステップ2のdH=113nmと近似した値となっている。
次に、第1の実施形態に係る製造方法では、板厚換算偏差dHが119nmである。従って、例えば目標とする共振周波数fを758MHz、平均板厚Hを2.21μm、板厚換算偏差dHを15nmとした場合には、第1の実施形態に係る製造方法では、上記目標達成が困難である。
そこで、本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態におけるステップ2の段階で板厚を揃える精度を高めておけば、最終的なステップ4において更に板厚換算偏差を小さくすることができるのではないか、という発想に基づいて検討がなされた。
即ち、図3(b)は本発明の第2の実施形態に係る製造方法におけるエッチング手順を示す図であり、第2の実施形態に係る製造方法では、ステップ1において、水晶ウェハ(圧電ウェハ)10に対して一括処理によるVHF粗調整を実施することによって複数の凹陥部11を同時に形成し、更にステップ2において各凹陥部11内の振動板面を個別処理によりVHF微調整する。ステップ2では、偏差を可能な限り低減することにより、次のステップ3のスタート周波数を決定する。ステップ2においては、図3(a)のステップ2におけるエッチャントの1/3程度のエッチングレートのエッチャントを使用することにより、板厚換算偏差をdH=40nm程度に減少させている。ステップ3、4は、図3(a)の実施形態と同様である。なお、ステップ4では、エッチングレートを低減することにより、制御分解能の向上を図っている。
即ち、まずステップ1におけるエッチングは、図3(a)のステップ1と同様である。各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び振動板の板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=161MHz、H=10.4μm、dH=236nmとなった。
そこで、本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態におけるステップ2の段階で板厚を揃える精度を高めておけば、最終的なステップ4において更に板厚換算偏差を小さくすることができるのではないか、という発想に基づいて検討がなされた。
即ち、図3(b)は本発明の第2の実施形態に係る製造方法におけるエッチング手順を示す図であり、第2の実施形態に係る製造方法では、ステップ1において、水晶ウェハ(圧電ウェハ)10に対して一括処理によるVHF粗調整を実施することによって複数の凹陥部11を同時に形成し、更にステップ2において各凹陥部11内の振動板面を個別処理によりVHF微調整する。ステップ2では、偏差を可能な限り低減することにより、次のステップ3のスタート周波数を決定する。ステップ2においては、図3(a)のステップ2におけるエッチャントの1/3程度のエッチングレートのエッチャントを使用することにより、板厚換算偏差をdH=40nm程度に減少させている。ステップ3、4は、図3(a)の実施形態と同様である。なお、ステップ4では、エッチングレートを低減することにより、制御分解能の向上を図っている。
即ち、まずステップ1におけるエッチングは、図3(a)のステップ1と同様である。各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び振動板の板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=161MHz、H=10.4μm、dH=236nmとなった。
次に、ステップ2では、測定した各振動板4の板厚の測定値に基づいて、振動板の板厚が厚い方から順に、図3(a)のステップ2で用いたエッチャントよりも更にエッチングレートの小さい第4のエッチャントをディスペンサにより個別に滴下してゆき、最後に板厚が最も薄い振動板面に滴下してから、所定時間の経過によりエッチャントを洗浄する。
ステップ2のエッチング条件は、第2のエッチャントは13%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃(常温)、エッチングレートは0.2nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=172MHz、H=9.8μm、dH=40nmとなった。
このようにステップ2において、エッチングレートを低下させたことにより、図3(a)のステップ2に比して更に大きな時間差を設けたエッチング液の個別滴下が可能となり、高精度な微調整が可能となり、板厚偏差を更に低減させることに成功した。
次にステップ3では、ステップ2を終了した圧電ウェハ10の各凹陥部3内の振動板面に対して、第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を高温85℃にて行う。この結果、平均の共振周波数f=743MHz、振動板の平均板厚H=2.25μmであった。
ステップ4では、ステップ3を終了した圧電ウェハ10の凹陥部3内の振動板4面に対して、エッチングレートが第2のエッチャントの2倍以上(第4のエッチャントの7倍以上)である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて実施した。
即ち、ステップ4のエッチング条件は、図3(a)のステップ4のエッチング条件と同じであり、このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=765MHz、H=2.19μm、dH=74nmとなった。
このdH=74nmという板厚換算偏差値は、目標とする板厚換算偏差を15nmとした場合には、不十分な値ではあるが、図3(a)のステップ4における板厚換算偏差であるdH=119nmと比べれば大幅に向上していることが明らかである。
ステップ2のエッチング条件は、第2のエッチャントは13%に稀釈したHF(フッ化水素)、温度は21℃(常温)、エッチングレートは0.2nm/secであった。このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=172MHz、H=9.8μm、dH=40nmとなった。
このようにステップ2において、エッチングレートを低下させたことにより、図3(a)のステップ2に比して更に大きな時間差を設けたエッチング液の個別滴下が可能となり、高精度な微調整が可能となり、板厚偏差を更に低減させることに成功した。
次にステップ3では、ステップ2を終了した圧電ウェハ10の各凹陥部3内の振動板面に対して、第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を高温85℃にて行う。この結果、平均の共振周波数f=743MHz、振動板の平均板厚H=2.25μmであった。
ステップ4では、ステップ3を終了した圧電ウェハ10の凹陥部3内の振動板4面に対して、エッチングレートが第2のエッチャントの2倍以上(第4のエッチャントの7倍以上)である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて実施した。
即ち、ステップ4のエッチング条件は、図3(a)のステップ4のエッチング条件と同じであり、このようにして得られた各個片の振動板を平均した共振周波数(f)、振動板の平均板厚(H)、及び板厚換算偏差(dH)は、夫々図示のように、f=765MHz、H=2.19μm、dH=74nmとなった。
このdH=74nmという板厚換算偏差値は、目標とする板厚換算偏差を15nmとした場合には、不十分な値ではあるが、図3(a)のステップ4における板厚換算偏差であるdH=119nmと比べれば大幅に向上していることが明らかである。
ところで、図3(b)のステップ4において、2μmオーダーにまで板厚が低減した水晶基板を、目標値であるf=758MHz、H=2.21μm、dH=15nmを達成するまで加工するために、更にウェットエッチングを実施した場合には、振動板に穿孔が発生する等の虞が当初憂慮された。即ち、個片サイズが小さくなると、水晶ウェハ上の凹陥部も過小になるため、一括エッチングを実施した場合には凹陥部の開口面積が1.5〜2倍に拡大してしまう虞が高まる。このため、個別調整によって凹陥部の拡大を避ける必要があるが、このような加工はコストが増大するばかりでなく、個別調整したとしても振動板が損傷する虞は残るものと憂慮された。しかし、実際に図3(c)に示した第3の実施形態に係る製造方法においてステップ5によるエッチングを追加実施したところ、振動板が損傷することなく、目標値を達成できることが判明した。
即ち、図3(c)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法の工程図であり、この製造方法は、図3(b)の製造方法のステップ4の後にステップ5を付加した構成が特徴的である。
ステップ5では、第2、第3の製造方法のステップ2と同じエッチング条件(13%HF、21℃、0.2nm/sec)で、振動板の凹陥部とは反対側の面から個別エッチング(UHF微調整)を実施する。個別エッチングに際しては、図2(b)に示した如きガイド15を、水晶ウェハの裏面側に貼り付けた状態で各貫通孔16内にエッチャントを滴下し、所定時間経過後に洗浄する。
その結果、f=754MHz、H=2.22μm、dH=12nmを達成することに成功した。この実施形態により得られた水晶基板の板厚換算偏差dHは、図3(a)のステップ4に比してほぼ1/10となっている。
なお、このように2μmオーダーの振動板に対して更なるエッチングを施しながら、振動板が損傷しないのは、ステップ5においては、エッチングレートが最も小さい第4のエッチャントを用いた個別の微調整を行っていることと、凹陥部3の開口面積が過小であるために、振動板4の面積も過小となり、その分だけ環状部5による支持力が有効に作用して十分な保形性を維持できていることに原因があると考えられる。
次に、図4は図3(c)の第3の実施形態に係る製造方法を用いて、振動板の目標共振周波数を622MHzとする水晶ウェハを加工した場合の共振周波数分布を示しており、これを板厚偏差に換算した場合、1.20nmに抑えることができた。
即ち、図3(c)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法の工程図であり、この製造方法は、図3(b)の製造方法のステップ4の後にステップ5を付加した構成が特徴的である。
ステップ5では、第2、第3の製造方法のステップ2と同じエッチング条件(13%HF、21℃、0.2nm/sec)で、振動板の凹陥部とは反対側の面から個別エッチング(UHF微調整)を実施する。個別エッチングに際しては、図2(b)に示した如きガイド15を、水晶ウェハの裏面側に貼り付けた状態で各貫通孔16内にエッチャントを滴下し、所定時間経過後に洗浄する。
その結果、f=754MHz、H=2.22μm、dH=12nmを達成することに成功した。この実施形態により得られた水晶基板の板厚換算偏差dHは、図3(a)のステップ4に比してほぼ1/10となっている。
なお、このように2μmオーダーの振動板に対して更なるエッチングを施しながら、振動板が損傷しないのは、ステップ5においては、エッチングレートが最も小さい第4のエッチャントを用いた個別の微調整を行っていることと、凹陥部3の開口面積が過小であるために、振動板4の面積も過小となり、その分だけ環状部5による支持力が有効に作用して十分な保形性を維持できていることに原因があると考えられる。
次に、図4は図3(c)の第3の実施形態に係る製造方法を用いて、振動板の目標共振周波数を622MHzとする水晶ウェハを加工した場合の共振周波数分布を示しており、これを板厚偏差に換算した場合、1.20nmに抑えることができた。
以上のように本発明の第3の製造方法によれば、カットアングルのばらつきが1分以内のATカット水晶基板をエッチングによって板厚換算偏差が15nm程度に収まるように加工することができた。従って、水晶ウェハ上の各個片の振動板の板厚が均一化するため、各振動板4上に形成した励振電極用の金属量を増減させて周波数微調整する際の作業性が向上すると共に、温度周波数安定性も確保することができる。
なお、本発明の製造方法により製造した水晶基板上に励振電極、リード電極を夫々形成した水晶振動素子をパッケージ内に気密封止することにより水晶振動子を構築することができ、更にこの水晶振動素子と、発振回路とを組み合わせることによって発振器を構築することができる。
なお、上記実施形態では、圧電結晶材料として水晶を例示したが、これは一例に過ぎず、本発明はあらゆる圧電結晶材料から成る圧電基板に対して適用することができる。
なお、本発明の製造方法により製造した水晶基板上に励振電極、リード電極を夫々形成した水晶振動素子をパッケージ内に気密封止することにより水晶振動子を構築することができ、更にこの水晶振動素子と、発振回路とを組み合わせることによって発振器を構築することができる。
なお、上記実施形態では、圧電結晶材料として水晶を例示したが、これは一例に過ぎず、本発明はあらゆる圧電結晶材料から成る圧電基板に対して適用することができる。
1 水晶振動素子、2 水晶基板、3 凹陥部、4 振動板、5 環状部、6 張出し部、10a、10b 励振電極、11a、11b リード電極、12a、12b 接続パッド。
Claims (6)
- 薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、
圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によるVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートの小さい第2のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、を順次実施する製造方法において、
ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を高温にて行うステップ3と、
ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第2のエッチャントの2倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、
から構成されることを特徴とする圧電基板の製造方法。 - 薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、
圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によりVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、
該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、
ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、
ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、から構成されることを特徴とする圧電基板の製造方法。 - 薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板の製造方法であって、
圧電ウェハの一方の主面に対してエッチングレートの大きい第1のエッチャントを用いた一括処理によるVHF粗調整を高温にて行うことにより凹陥部を形成するステップ1と、
該圧電ウェハの各凹陥部内の振動板面に対してエッチングレートが極めて小さい第4のエッチャントを用いた個別処理によるVHF微調整を常温にて行うステップ2と、
ステップ2を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、前記第1のエッチャントを用いた一括処理によるUHF粗調整を常温にて行うステップ3と、
ステップ3を終了した圧電ウェハの凹陥部内の振動板面に対して、エッチングレートが第4のエッチャントの7倍以上である第3のエッチャントを用いた一括処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ4と、
ステップ4を終了した圧電ウェハの凹陥部とは反対側の振動板面に対して、前記第4のエッチャントを用いた個別処理によるUHF微調整を常温にて行うステップ5と、から構成されることを特徴とする圧電基板の製造方法。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする圧電基板と、該圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えたことを特徴とする圧電振動素子。
- 請求項4に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を気密封止したパッケージと、を備えたことを特徴とする圧電振動子。
- 請求項4に記載の圧電振動素子、或いは請求項5に記載の圧電振動子と、発振回路とを備えたことを特徴とする圧電発振器。
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