JP2005181955A - ホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック情報メディア - Google Patents

ホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック情報メディア Download PDF

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Abstract

【課題】 感度が高く保存性に優れ、気泡による欠陥のないホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック記録されたホログラフィック情報メディアを提供する。
【解決手段】 第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を少なくとも含有するバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤をそれぞれ含有し、かつ、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするホログラフィック記録メディア。 一般式(1) M(OCOR)n
【選択図】 なし

Description

本発明は大容量化、高速転送が可能なホログラフィック記録メディアに関し、さらにホログラフィック記録用組成物、ホログラフィック記録方法および情報が記録されたホログラフィック情報メディアに関する。
近年、インターネットの普及やブロードバンド化による高速大容量のデータのやり取りが増加しており、また各国政府の推進による電子政府の拡張により、各所属機関に保管されるデータの容量が急速に拡大してきている。さらに、テレビジョン放送におけるハイビジョンの普及や地上波デジタルの普及などにより今後高記憶容量の記録メディアが必要となると予想され、その中で、Blu−rayディスクやHD DVDディスク等の次世代の光記録メディアが今後普及していくと思われる。しかしながら、次々世代の記録メディアについては、種々の方式が提案されているが今だ本命不在な状態に有る。
この次々世代の記録メディアの中で、ページ方式のメモリシステム、特にホログラフィック記録が、従来のメモリ装置に代わるものとして提案され、高記憶容量でかつランダムアクセスが可能な高速転送可能な方式であることから近年注目を集めている。このホログラフィック記録については幾つかの総説(例えば、非特許文献1参照。)等に詳細が説明されている。
このホログラフィック記録における記録方式としては、例えばホログラフィック記録層の両側に透明な基材が配置されたホログラフィック記録メディアを用いた記録方法(例えば、特許文献1参照。)や、ホログラフィック記録層の片面側に配置された反射面とを備えたホログラフィック記録メディアを用いた記録方法(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
このようなホログラフィック記録メディアは、ホログラフィック露光することにより該メディア内のホログラフィック記録層内の屈折率を変化させることにより情報を記録し、この記録されたメディア内の屈折率の変化を読み取ることにより情報を再生させることを基本原理にしており、このホログラフィック記録層としては無機材料を利用した材料(例えば、特許文献3参照。)、光で構造異性化する化合物を利用した材料(例えば、特許文献4参照。)、あるいはフォトポリマーの拡散重合を利用した材料(例えば、特許文献5参照。)など種々提案されている。これらの中で、特許文献5で記載されているフォトポリマーを使用した材料においては記録層形成組成物を作製する際に揮発性溶剤を使用をするため、記録層の厚さは最大150μm程度に制限されている。さらに、重合によって引き起こされる4〜10%の体積収縮は、記録された情報を再生する際の信頼性に悪影響を与えていた。
上述した欠点を改善するために、無溶剤で比較的体制収縮の少ないカチオン重合を利用したホログラフィック記録層形成組成物(例えば、特許文献6参照。)などが提案されている。しかしながら、この記録層形成組成物においては光カチオン重合を起こすモノマー以外が液状物質であるため、ホログラフィック露光により記録層内のモノマーが光重合して形成された島状部分が移動してしまう恐れが有ったり、装置内の環境温度の変化により液状物質の体積が膨張するなどの欠点を有していた。
このような欠点を改善するためにホログラフィック露光での記録にはラジカル重合を用い、この露光前のラジカル重合可能なモノマーを保持する為にバインダーをメディア形成後に形成させる組成物(例えば、特許文献7参照。)などが提案されており、このような組成物を用いることによってホログラフィック記録層の膜厚を厚くでき、かつ体積収縮を少なくすることができる。
一方、ホログラフィック記録メディアを形成する場合において、記録層内微小な欠陥がないことが必須であるが、バインダー形成化合物として多価イソシアネートと多価アルコールを用いる場合(例えば、特許文献8、9参照。)には、多価アルコール中の水分や記録層形成組成物調製時に外部から取り込まれる水分により、イソシアネートと水との反応によって二酸化炭素が発生する場合が有り、これらが発生すると微小な欠陥になったり、酷い場合には黙視で判別できるほどの気泡が混入することが有るので、水分の混入には十分注意をする必要が有った。
Hans J. Coufal等著「Holographic Data Storage (Springer Series in Optical Sciences, Vol 76)」(Springer−Verlag GmbH & Co. KG、2000年08月) 米国特許5,719,691号明細書 特開2002−123949号公報 英国特許9,929,953号明細書 特開平10−340479号公報 米国特許4,942,112号明細書 米国特許5,759,721号明細書 米国特許6,103,454号明細書 国際公開第03/014178号パンフレット 国際公開第03/023519号パンフレット
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ホログラフィック記録層に気泡による欠陥のないホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック記録されたホログラフィック情報メディアを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を少なくとも含有するバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤をそれぞれ含有し、かつ、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするホログラフィック記録メディア。
一般式(1) M(OCOR)n
(式中、Mは鉛またはビスマスを表し、Rは直鎖、分岐のアルキル基、シクロアルキル基、あるいは置換または無置換の芳香族基、nはMが鉛の場合は1をビスマスの場合は3を表す)
(請求項2)
前記一般式(1)で表されるMがビスマスであることを特徴とする請求項1記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項3)
前記ホログラフィック記録層に含有されるバインダー形成化合物を100質量部とした際に上記一般式(1)で表される化合物の添加量が0.01質量部以上、1.00質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項4)
前記ホログラフィック記録層に含有される光重合開始剤が、ビスイミダゾール化合物、金属π錯体および下記一般式(2)で表される化合物のなかから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載のホログラフィック記録メディア。
Figure 2005181955
(式中Dye+はカチオン性色素を表し、R1〜R4は各々置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基またはシアノ基を表し、またR1〜R4は各々2個以上が互いに結合して環を形成しても良い。)
(請求項5)
前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を分光増感することができる増感色素をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項6)
前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物として、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項7)
前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物として、屈折率として少なくとも1.55以上の化合物をエチレン性不飽和結合を有する化合物全体に対して50〜100質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項8)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みをD1と第二基材の厚みをD2とし、ホログラフィック記録層の厚みをDhとした際に、0.15≦Dh/(D1+D2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項9)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、ホログラフィック記録層の厚みDhが200μm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項8記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項10)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みD1と第二基材の厚みD2との関係がD1≦D2であることを特徴とする請求項9記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項11)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材が透明であり、ホログラフィック記録層が積層された面とは反対の面に反射防止処理がなされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項12)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の材質がガラスであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項13)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第二基材のホログラフィック記録層が積層される面あるいはその反対面に反射率が70%以上の反射層が積層されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項14)
前記ホログラフィック記録メディアの形状がディスク状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項15)
前記ホログラフィック記録メディアの形状がカード状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項16)
請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録する方法において、該ホログラフィック記録メディアにホログラフィック露光する以前にバインダー形成化合物を反応させバインダーを形成させた後に、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録層内で拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することを特徴とするホログラフィック記録方法。
(請求項17)
前記ホログラフィック記録方法において、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射により安定化させることを特徴とする請求項16記載のホログラフィック記録方法。
(請求項18)
請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録する方法において、該ホログラフィック記録メディアに記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録し、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射を行うことにより記録された情報を安定化させることを特徴とするホログラフィック記録方法。
(請求項19)
第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック情報記録層が挟持され、該ホログラフィック情報記録層が、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを、上記一般式(1)で表される化合物を触媒として架橋形成されたウレタンを主成分とする領域と、屈折率が1.55以上であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を少なくともモノマー単位として含むラジカル重合させて形成したラジカル重合体を主成分とする領域とを有することを特徴とするホログラフィック情報メディア。
本発明により、感度が高く保存性に優れ、気泡による欠陥のないホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック記録されたホログラフィック情報メディアを提供することができた。
以下、本発明のホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック情報メディアについて詳述する。
本発明のホログラフィック記録メディアは、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持され、該ホログラフィック記録層が分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を少なくとも含有するバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を含有し、前記ホログラフィック記録層にさらに上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも含有することを特徴としており、上記一般式(1)の化合物を添加することにより、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物から形成されるウレタン結合を有するバインダーを温和な条件で形成できるだけではなく、ブチル錫ジラウレートなどの錫系の触媒を用いた際にみられる発泡による気泡混入や微小な空隙による欠陥を防止でき、ひいてはホログラフィック記録メディアの記録層を均一な層として形成することができる。
一般式(1)において、Rは、炭素数が4から20の範囲の直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基が好ましい。また、置換または無置換の芳香族基としてはにおける置換基としては炭素数が1から18の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、芳香族基としてはアリール基、ナフチル基が好ましい。またMで表されるものは鉛またはビスマスであり、環境への影響を考慮するとビスマスがより好ましい。
上述の一般式(1)で表される化合物は、バインダー形成化合物を100質量部とした際に上記一般式(1)で表される化合物の添加量が0.01質量部以上、1.00質量部以下の範囲で添加するのが好ましく、さらには0.01質量部以上、0.50質量部以下にするのがより好ましい。添加量がバインダー形成化合物に対して0.01質量部未満では触媒反応を誘発させるには少なすぎるため、ウレタン結合を形成させるのに時間がかかったり、温和な条件で反応させることができないことから好ましくない。また、添加量が1.00質量部よりも多い場合は、反応が急激になり記録層形成組成物を調製中に発熱、さらには組成物自体が増粘し記録メディアの作製ができなくなってしまうことから好ましくない。
次に、本発明のホログラフィック記録メディアの記録層に必須成分として添加される分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物および分子内に2個以上の水酸基を有する化合物について詳述する。
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物は後述するホログラフィック記録メディアの製造方法で詳述するバインダーを形成する為に添加されるもので、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物の具体的なものとしては、例えば1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチル−オクタン、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ビス(イソシアナートトリル)フェニルメタン、ジメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルぺンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルぺンタンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω′−ジイソシアネート−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、イソホロンジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,5−ジメチルナフタレン、ω,ω′−ジイソシアネート−n−プロピルビフェニル、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネートなどが挙げられ、さらに上記の各イソシアネート化合物の2量体又は3量体のアダクト体(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの2モルのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート2モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート3モルのアダクトなど)、これらのイソシアネートの中から選ばれる互いに異なる2種以上のイソシアネート同志のアダクト体、及びこれらのイソシアネートと2価又は3価のポリアルコール(例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパンなど)とのアダクト体(例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクトなど)などが挙げられる。尚、これらのイソシアネート化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、前述のイソシアネート化合物において、後述で詳述するホログラフィック記録用組成物で構成した記録層を積層したホログラフィック記録メディアに情報を全て記録し、この記録し終えた状態で用いられるホログラフィック情報メディアは、CDやDV同様に蛍光灯下、窓辺あるいは放置される環境温度が種々多様となる可能性がある。したがって、種々の条件で記録層の着色を抑えるものが好ましく、このように着色を抑える為には、上述の化合物の中で脂肪族系のイソシアネート化合物がより好ましい。
また、後述で詳述するホログラフィック記録用組成物で構成した記録層を積層したホログラフィック記録メディアに情報を全て記録し、この記録し終えた状態で用いられるホログラフィック情報メディアの着色を抑える為には、イソシアネート化合物と反応しうる化合物として分子内に2個以上の水酸基を有する化合物が好ましく、さらには脂肪族系のアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物がより好ましい。
このように分子内にアルコール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトール、ソルビトール等が挙げられ、さらに前記分子内にアルコール性水酸基を2個以上有する化合物を、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど2価のアルコールで変性したアルコールなどが挙げられる。尚、これらのアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、脂肪族系のアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物の分子量としては、化合物自身の揮発性、エチレン性不飽和結合を有する化合物、カチオン重合可能な官能基を有する化合物あるいは光重合開始剤との相溶性や溶解性を考慮した場合、通常分子量が100以上2000以下にするのが好ましく、また、脂肪族系のアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物の添加量としては、上述の必須成分であるイソシアネート化合物の種類や添加量により一概に規定することはできないが、イソシアネート基を有する化合物が有するホログラフィック記録用組成物中のイソシアネート基のモル数をN[mol]、前記アルコール性水酸基を化合物のホログラフィック記録用組成物中の水酸基のモル数をM[mol]とした際に、通常0.5≦N/M≦2.0であり、より好ましくは0.7≦N/M≦1.5の範囲にするのが相溶性や架橋反応のコントロールの面からより好ましい。
本発明で用いられる分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物、例えばスチレン誘導体、アリル基を有する化合物或いは不飽和オレフィンなど本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限なく用いることができるが、記録メディアにした際の基材との密着やバインダー形成化合物との相溶性などを考慮する場合には、分子内にアシルオキシ基或いはアシルアミド基を有する化合物が好ましく、さらにラジカル重合する際の立体障害の点から(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。尚、本発明で言う(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。
本発明においては、前述した一般式(1)で表される化合物を触媒として分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物と反応させて形成されるバインダーに対して、拡散重合で得られるエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合体との屈折率差をより顕著に持たせるためには、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の屈折率としてバインダー形成化合物よりも高いものを用いるか、或いは低いものを用いるのが好ましい。特にバインダー形成化合物の屈折率が1.50前後の化合物を用いる場合に、エチレン性不飽和結合を有する化合物としては1.55以上の化合物を用いるのが高屈折率のエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合体が得られることから好ましい。
このような、屈折率が1.55以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、一般に分子内に窒素、酸素、硫黄およびリンなどのヘテロ原子、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子、あるいは芳香環を二個以上有する化合物が挙げられ、このような化合物の具体的なものとしては、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールメタアクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールアクリレート、ヒドロキシエチル化βーナフトールアクリレート、トリブルモフェニルアクリレート、トリブルモフェニルメタアクリレート、トリヨードフェニルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド変性テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキサイド変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、特開平6−301322号、特開2000−344716号、同2003−29604号等に記載されたフルオレン骨格を有する化合物などを挙げることができる。
また、バインダー形成化合物から形成されたバインダーとエチレン性不飽和結合を有する化合物の拡散重合物との間で屈折率差を設けるという目的を阻害しない範囲で、ホログラフィック記録層組成物を調製する際の相溶性や粘度調整、さらにはホログラフィック露光時の拡散重合を制御する等の目的で、屈折率が1.55未満の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をさらに添加してもよく、このような(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物として置換または無置換のフェノール、ノニルフェノール及び2−エチルヘキサノールの(メタ)アクリレート、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物としては、置換または無置換のビスフェノールA、ビスフェノールF、フルオレン及びイソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールののジ(メタ)アクリレートド等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びイソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等があり、(メタ)アクリロイル基を4個以上有する化合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ウレタン結合を主鎖とするウレタンアクリレート、エステル結合を主鎖とするポリエステルアクリレート等の従来公知の(メタ)アクリロイル基含有系ノマー・オリゴマーなども本発明においては適時選択して用いることができる。
尚、前述した分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物は、一種単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良く、通常ホログラフィック記録用組成物中1.0質量%以上、50質量%以下であり、さらには4.0質量%以上、40質量%以下にするのが好ましく、エチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させ高屈折率の重合体を形成させる場合には、分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物全体に対して、上述した屈折率が1.55以上の化合物を通常50〜100質量%含有するのが好ましく、さらには60〜100質量%含有するのがより好ましい。
本発明のエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合させる為の光重合開始剤は、光によりラジカルを発生できるものであれば特に制限はなく、従来から公知の、ベンゾイン及びその誘導体、ベンゾフェノンなどのカルボニル化合物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジベンゾチアゾリルスルフィドなどの硫黄化合物、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物、2−トリブロモメタンスルホニル−ピリジンなどのハロゲン化物、四級アンモニウム塩或いは置換または無置換のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩などのオニウム化合物、2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどのビスイミダゾール化合物、鉄アレーン錯体やチタノセン錯体などの金属π錯体などの光重合開始剤を適時選択して用いることができ、これらの中で特にビスイミダゾール化合物、金属π錯体および後述する一般式(2)で表される化合物のなかから選ばれる少なくとも1種の化合物が感度や安定性の面からより好ましく、さらに金属π錯体の中では特に鉄アレーン錯体がより好ましい。
このようなビスイミダゾール化合物の具体的なものとしては、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)ビイミダゾ−ル、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−カルボキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾ−ル、2,2′−ビス(p−シアノフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(m−フルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−フルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ヘキシルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ヘキシルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(3,4−メチレンジオキシフェニル−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス[m−(ベータフェノキシ−エトキシフェニル)]ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−メトキシフェニル)−4,4′−ビス(o−メトキシフェニル)−5,5′−ジフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−フェニルスルフォニルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−スルファモイルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(4−ビフェニイイル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(1−ナフチル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(1−ナフチル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(9−フェナントリイル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ジフェニル−4,4′,5,5′−テトラキス(4−ビフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ジフェニル−4,4′,5,5′−テトラキス(2,4−キシリイル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(3−ピリジル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(3−チエニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−トリル)−4,4′−ビス(o−トリル)−5,5′−テトラフェニルビイミダゾ−ル、2,2′−ビス(2,4−キシリル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′,4,4′,5,5′−ヘキサキス(p−ベンジルチオフェニル)ビイミダゾール、2,2′,4,4′,5,5′−ヘキサ(1−ナフチル)ビイミダゾール、2,2′,4,4′,5,5′−ヘキサフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロ−5−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロ−5−スルフォフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等を挙げることができ、さらに「Photoinitiators or Free−Radical−Initiated Photoimaging Systems」,Chem.Rev.,93,p.435〜448 (1993)、S.P.Pappas編「Radiation Curing:Scienceand Technology,Plenum Press, New York,(1992)」のp.407〜412などに記載された化合物などを挙げることができ、鉄アレーン錯体の具体的なものとしては、例えば(η6−m−キシレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)テトラフルオロボレート、(η6−o−キシレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)トリフレート、(η6−o−キシレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−p−キシレン類)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)トリフレート、(η6−アセトフェノン)(η5−メチルシクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−キシレン類(混合異性体))(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−キシレン類(混合異性体))(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアルセネート、(η6−クリセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート、(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアルセネート、(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)テトラフルオロボレート、(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)トリフレート、(η6−フルオレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−ヘキサメチルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート、(η6−ペリレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−メシチレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート、(η6−メシチレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−メシチレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート及び(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ブチルトリフェニルボレートなどを挙げることができる。
さらに後述で述べるホログラフィック露光する際に用いる露光光源波長に対して、該光重合開始剤のホログラフィック露光に使用されるレーザー光源の波長に対して吸収を持たない、或いは持っていたとしても極僅かで有る場合には、光重合開始剤の分光波長を波長増感させるための増感色素を併用するのがより好ましい。
尚、ここで用いる光重合開始剤の分光波長を波長増感させるための増感色素としては当分野で使用されている各種色素を挙げることができ、例えばミヒラーケトン等のカルボニル誘導体、クマリン誘導体、メチン誘導体、ポリメチン誘導体、トリアリールメタン誘導体、インドリン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、オキサジン誘導体、アクリジン誘導体、シアニン誘導体、カルボシアニン誘導体、メロシアニン誘導体、ヘミシアニン誘導体、ローダシアニン誘導体、アザメチン誘導体、スチリル誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、ポルフィラジン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピロメテン誘導体および2,5−チオフェジル(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)等の光学増白剤等の各種色素を単独或いは必要に応じて二種以上併用して用いても良い。
このような光重合開始剤または増感色素の具体的なものとしては、例えば米国特許第5,027,436号、同5,096,790号、同5,147,758号、同5,204,467号、同5,256,520号、同6,011,180号、欧州特許第255,486号、同256,981号、同277,915号、同318,893号、同401,165号、同565,488号、同1,349,006号、特開平2−236553号、同5−46061号、同5−216227号、同5−247110号、同5−257279号、同6−175554号、同6−175562号、同6−175563号、同6−175566号、同6−186899号、同6−195015号、同6−202540号、同6−202541号、同6−202543号、同6−202544号、同6−202548号、同6−324615号、同6−329654号、同7−13473号、同7−28379号、同7−84502号、同7−84503号、同7−181876号、同9−106069号、同9−309907号、特開2002−60429号、同2002−62786号、同2002−244535号、同2002−296764号等明細書に記載されているものを適時選択して用いることができる。
さらに、上記一般式(2)で表される光重合開始剤も本発明では好適に用いることができ、この光重合開始剤では光ラジカル開始剤とホログラフィック露光する露光光源波長に対して該開始剤を分光増感させるための増感色素との組み合わせによる開始剤系と比較して、ラジカルを生成するホウ素アニオン部が増感色素であるカチオン性色素の近傍に存在するためラジカルを効率良く発生させることができると同時に、カチオン性色素の構造を変化させることにより、容易にホログラフィック露光に使用される光源波長に合わせることができる。
一般式(2)において、ホウ素アニオンからラジカルを効率良く発生させるためには、ホウ素アニオン部のR1〜R4で表される置換基のうち少なくとも一つが置換または無置換のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基或いはアルキニル基で有り、他の置換基が置換または無置換のアリール基、ヘテロ環基であることが好ましい。
さらに一般式(2)で表される化合物における、Dye+で表されるカチオン性色素としては、従来から種々の分野で用いられているカチオン性色素を適時選択して用いることができるが、その中でメチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメタン色素、インドリン色素、アジン色素、チアジン色素、キサンテン色素、オキサジン色素、アクリジン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダシアニン色素、アザメチン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素及び下記一般式(3)で表される配位金属錯体が好ましい。
一般式(3) Mea +(L)b
式中、Meは金属原子を、aは1〜4の整数を表し、またLは配位子を、bは1〜6の整数を表す。
さらに、前記一般式(3)中のLで表される配位子は金属イオンに対して2座以上でキレート可能な色素であることが、配位金属錯体の安定性の面から、さらにはホログラフィック露光する露光光源波長が500nm以上の場合に分光極大波長を合わせやすいことから好ましい。
このような2座以上でキレート可能な色素としては下記の色素を挙げることができる。
Figure 2005181955
式中、X1はアゾ結合に結合する炭素の隣接位の少なくとも一つが窒素、酸素、硫黄、セレンもしくはテルル原子で置換され、少なくとも一つの環が5〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を完成するのに必要な原子群を表し、X2は少なくとも一つの環が5〜7個の炭素環または複素環を完成するのに必要な原子群を表し、それぞれの炭素環または複素環は置換されていても良い。Gはキレート化基を表し、Wは−COR7または−CSR7を表し、Yは−O−、−S−、−N=、−NH−または−NR8−を表し、ZはОまたはSを表し、mとnは1〜5の整数を表す。R5及びR6は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アニリノ基、アシルアミノ基、アルキルウレイド基、アリールウレイド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシ基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アニリノ基、アシルアミノ基、アルキルウレイド基、アリールウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
また、前述の一般式(4)中のMea +で表される金属イオンとしては、銀(I)、アルミニウム(III)、金(III)、セリウム(III,IV)、コバルト(II,III)、クロム(III)、銅(I,II)、ユウロピウム(III)、鉄(II,III)、ガリウム(III)、ゲルマニウム(IV)、インジウム(III)、ランタン(III)、マンガン(II)、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II,IV)、ロジウム(II,III)、ルテニウム(II,III,IV)、スカンジウム(III)、珪素(IV)、サマリウム(III)、チタン(IV)、ウラン(IV)、亜鉛(II)、ジルコニウム(IV)等が挙げられ、これらの中で2座配位の色素の場合は、4座或いは6座で配位可能な金属イオンが好ましく、また3座配位の色素の場合は、6座で配位可能な金属イオンが好ましい。特に好ましい金属イオンとしては亜鉛(II)、ニッケル(II)、コバルト(II,III)、銅(II)、ロジウム(II,III)、ルテニウム(II,III)、パラジウム(II)、白金(II,IV)を挙げることができる。
上述したエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合させる為の光重合開始剤としては、光重合開始剤の分子量やエチレン性不飽和結合を有する化合物中のエチレン性不飽和結合の占める割合により一概に決めることはできないが、通常エチレン性不飽和結合を有する化合物に対して通常0.01質量部〜25質量部の範囲で用いるのが好ましい。又、増感色素の添加量としては、光重合開始剤に対して0.01〜25質量部の範囲で用いるのが好ましい。
次に、記録メディアを構成する第一の基材及び第二の基材について説明する。尚、ここで言う第一の基材とは記録メディアに対して、情報を記録するためのホログラフィック露光する際に情報光及び参照光が入射する側の基材或いは再生するための再生光を照射する側の基材のことであり、第二の基材とは前記第一の基材とはホログラフィック記録層を挟んで反対の基材のことを指す。
本発明の記録メディアに用いられる第一の基材及び第二の基材としては、透明であり使用環境温度で伸縮や曲がりを発生しないもの、さらには上述した記録用組成物に対して不活性なものであれば特に制限なく用いることができ、このような基材としては、石英ガラス、ソーダガラス、カリガラス、鉛クリスタルガラス、ほう珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、チタンクリスタルガラス或いは結晶化ガラスなどのガラス、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン及びポリエーテルスルホン、ポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミド、ポリアミド、環状オレフィン系開環重合物などのポリオレフィンなどの各種樹脂を挙げることができる。
前述の基材の中で、ホログラフィック露光する際の環境温度や湿度に対する厚み変動や気体透過性、ホログラフィック露光時に使用する光源波長の光の透過率の観点から、情報光及び参照光が入射する側である第一の基材の材質としてはガラスにするのがより好ましい。また、第二の基材は第一の基材同様、材質としてはガラスが好ましいが、ホログラフィック記録された情報をCCDで読み出す際に焦点補正機構を設けた装置であれば、伸縮率や厚み変動が押さえられたガラスのような基材ではなく樹脂からなる基材であっても良い。
また、情報光及び参照光が入射する側の第一の基材の入射する光の透過率は70%以上が好ましく、さらには80%以上がホログラフィック記録層に到達する光のロスが少ないことからより好ましい。このように透過率をなるべく上げるためには、ホログラフィック記録層が積層された面とは反対の第一の基材面に反射防止処理を施したものが好ましく、このような反射防止処理としては第一の基材よりも屈折率が低ければ特に制限はないが、例えばAlF3、MgF2、AlF3・MgF2、CaF2等の無機金属フッ化物、フッ化ビニリデン、テフロン(R)などのフッ素原子を含有するホモポリマー、コポリマー、グラフト重合体、ブロック重合体さらにはフッ素原子を含有する官能基で修飾した変性ポリマー等の有機フッ化物などが、基材として前述で詳述したものよりも屈折率が低くなることから好ましい。
尚、基材上にフッ素系の化合物からなる層を設ける方法としては、支持体やフッ素系の化合物の種類により一概に決めることはできないが、ゾル−ゲル法、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法或いは塗工法などの公知の方法、或いは特開平7−27902号、特開2001−123264号、同2001−264509号公報等に記載された方法などを適時選択して用いることができる。
このような反射防止層は基材の表面処理や材質などにより一概に規定することはできないが、通常0.001〜20μmの範囲であり、好ましくは0.005〜10μmの範囲である。
また、特開2002−123949号、国際公開第99/57719号等のホログラフィック記録・再生装置に用いられるような記録メディアに対しては、第二の基材ホログラフィック記録層が積層される面或いはその反対面に反射層が設けられることが好ましく、このように反射層を設ける場合には反射させる光の波長に対して反射率を70%以上にするのが好ましく、さらには80%以上にするのがより好ましい。
このような反射層は、所望する反射率が得られれば特に材質に制限はないが、通常、金属などの薄膜を基材表面に設けることにより積層することができる。例えば、このような反射層を形成するためには真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの公知の方法によって金属薄膜として、金属の単結晶または多結晶として積層することができ、金属薄膜を積層するために用いられる金属としては、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、インジウム、セレン、錫、タンタル、クロム、鉛、金、銀、白金、ニッケル、ニオブ、ゲルマニウム、珪素、モリブデン、マンガン、タングステン、パラジウム等の金属を一種或いは二種以上併用などにより形成することができる。この金属薄膜層の厚みは、所望する反射率を得ることができればどのような膜厚であっても構わないが、通常1〜3000nmの範囲であり、好ましくは5〜2000nmの範囲である。
一方、ホログラフィック記録メディアにおいては、ホログラフィック記録層をできるだけ厚くすることで、高記憶容量の記録メディアを作製することができるが、該記録メディアの使用環境や記録された情報の読み取り誤差などを考慮した場合、本発明においては、第一の基材の厚みをD1、第二の基材の厚みをD2、ホログラフィック記録層の厚みをDhとした際に、0.15≦Dh/(D1+D2)≦2.0の関係を満たすことが好ましい。
ここで、0.15>Dh/(D1+D2)ではホログラフィック記録層の膜厚を厚くできないし、或いはたとえ記録層の膜厚を厚くしたとしても基材の厚みが厚くなり、記録メディア全体が厚くなってしまう。この場合、記録メディア単体としての質量が重く装置の駆動系への負荷が生じる場合があることから好ましくない。また、Dh/(D1+D2)>2.0の場合には、記録層の膜厚を確保しつつ記録メディアの厚みを薄くすることは可能となるが、基材の厚みに対して記録層の膜厚が厚くなり、記録メディアの面精度や使用環境温度における記録層の膜厚ムラ、不慮の応力が掛かった際に記録層の膜厚変動、さらには第一の基材と第二の基材がずれてしまう場合が有ることから好ましくない。
さらに、ホログラフィック露光時のエネルギー損失の面から第一の基材の厚みD1、第二の基材の厚みD2の関係がD1≦D2であることが好ましく、また記録メディアの平面性を確保するためにはD1とD2の厚みの比率としては0.20≦D1/D2≦1.00の範囲にするのがより好ましい。
また、ホログラフィック記録層の厚みDhとしては記録層の回折効率やダイナミックレンジ、空間分解能などにより一概に決められないが、通常200μm以上、2.0mm以下であることが好ましく、200μm未満では高記憶容量の記録メディアを得ることができず、2.0mmよりも厚い場合には、記録メディアの面精度や使用環境温度における記録層の厚みムラが生じる場合が有ることから好ましくない。
一方記録メディアの形状としては、該記録メディアに使用されるホログラフィック記録・再生装置に適したものであれば特に制限はないが、例えば米国特許第5,719,691号、特開2002−123949号等に記載された装置に用いるものであればディスク状をしたものが好ましく、国際公開第99/57719号などに記載された装置を用いるのであればカード状のものが好ましい。
上述で詳述した、記録メディアの作製する方法としては、セーフライト下で常温或いは必要に応じて加温してホログラフィック記録用組成物を混合することによりホログラフィック記録層形成組成物を調製し、ホログラフィック露光時の重合阻害を押さえるために脱気した後に、第一の基材上に常温或いは必要に応じて加温したホログラフィック記録層形成組成物を付し、次いで第二の基材を所定の記録層の厚みとなるように気泡が入らないように貼合後、最後に端部を封止することにより記録メディアを製造することができる。また、セーフライト下で第一の基材と第二の基材を所定の間隙を有するように型に固定し、常温或いは必要に応じて加温したホログラフィック記録用組成物を気泡が入らないように射出成形もしくは気泡が入らないように減圧吸引させることにより第一の基材と第二の基材間に充填し、最後に端部を封止することにより記録メディアを作製することができる。尚、ここで言うセーフライト下とは、光重合開始剤が活性となる光の波長をカットした状態での作業を指す。
また、貼合により記録メディアを作製する場合には、ホログラフィック記録層形成組成物を前述した第一の基材上ではなく、第二の基材上に付しても良いし、第一及び第二の基材の両方に付しても良い。さらに、第一の基材、ホログラフィック記録層及び第二の基材の端部を封止する場合には、封止できるような湿分硬化型の接着剤に代表される液状の封止材を架橋させ封止させても良いし、予めホログラフィック記録層が所定の膜厚を確保するためのリング上の端部封止材などを用いて封止させても良い。
次に、ホログラフィック記録メディアに情報を記録する方法について詳述する。
本発明のホログラフィック記録方法に於ける第一の態様は、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持され、該ホログラフィック記録層が、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を少なくとも含有するバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤および上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも含有する記録層が積層されたホログラフィック記録メディアにホログラフィック記録する方法において、ホログラフィック露光の前に分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを上記一般式(1)で表される化合物を触媒として反応させることによりバインダーを形成させた後に、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録層内で拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することを特徴としている。
一般に厚膜の層を付す場合には希釈するための溶剤無しに記録層形成組成物を調製するため、固体或いは高粘度の組成物では、均一膜厚を得る或いは組成物調製時に巻き込まれた気泡の除去が難しくなる。そのため、記録層形成組成物を調製した際に常温または加温した状態で流動性が必要となる。この記録層形成組成物が特に常温で液状でかつ低粘度の場合には、記録メディアとして平面性を確保するのが難しかったり、ホログラフィック露光で情報を記録した後の、エチレン性不飽和結合を有する化合物により形成された重合体が記録層内で位置がずれてしまう可能性が有るので好ましくない。
そこで、上述の必須成分を含有するホログラフィック記録メディアに対して、ホログラフィック露光の前に分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物および分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを必須成分とするバインダー形成化合物を架橋させることによりバインダーとし、平面性の確保とホログラフィック露光時に、エチレン性不飽和結合を有する化合物を有する化合物が拡散重合することにより形成された重合体の、ホログラフィック記録層内での移動を防止させることができる。
上述のようにしてバインダーが形成された後で、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することができる。
尚、本記録方法における上述のバインダーを形成させるための架橋反応は、反応可能な官能基の組み合わせを全て架橋させても良いし、実技上支障の生じない範囲で一部のみ架橋させても良い。さらに、ホログラフィック記録メディアに情報を記録後には、記録されたホログラフィック情報を固定化する目的で、光及び必要に応じて加えられる熱により、記録層内に残存しているエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合開始剤で光重合、および残存するバインダー形成化合物の未架橋の官能基同士を熱架橋させてしまうのが好ましい。この場合、露光に用いる光は記録メディア全体に一括露光させるのが好ましく、加熱する場合には一括露光前、一括露光と同時或いは一括露光後のいずれであっても良いし、複数の加熱処理を組み合わせても良い。
本発明のホログラフィック記録方法に於ける第二の態様は、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持され、該ホログラフィック記録層が分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を少なくとも含有するバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤および上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも含有する記録層が積層されたホログラフィック記録メディアにホログラフィック記録する方法において、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録し、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射を行うことにより記録された情報を安定化させること特徴としている。
本態様は、前述の第一の態様とは異なり、記録層形成組成物を調製した際に、加温した状態では流動するが常温では流動しない組成物、或いは剪断応力が加わらない限り常温ではゲル化、或いはチキソ性を有する記録層形成組成物により記録層が形成されたホログラフィック記録メディアに対して有効な記録方法である。
このような記録メディアにおいては、該記録メディアの平面性の確保と、エチレン性不飽和結合を有する化合物の拡散重合により形成された重合体の移動防止に対して、実技上問題ないレベルにすることはできるが、さらなる記録情報保存性を向上させる目的で、ホログラフィック記録メディアに情報を記録し終えた後に、光及び熱により、記録層内に残存しているエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合開始剤で光重合、および残存するバインダー形成化合物の未架橋の官能基同士を熱架橋させてしまうのが好ましい。この場合、上述の第一の態様と同様に露光に用いる光は記録メディア全体に一括露光させるのが好ましく、記録メディアを加熱する場合は一括露光前、一括露光と同時或いは一括露光後のいずれであっても良いし、幾つかの加熱処理を組み合わせても良い。
また、本発明の第一及び第二の態様の記録方法に用いられる、ホログラフィック記録メディアを記録・再生する装置としては、本発明の記録メディアに対して記録・再生可能なものであれば特に制限はなく、そのような記録・再生する装置としては、例えば米国特許第5,719,691号、同5,838,467号、同6,163,391号、同6,414,296号、米国公開公報2002−136143号、特開平9−305978号、同10−124872号、同11−219540号、特開2000−98862号、同2000−298837号、同2001−23169号、同2002−83431号、同2002−123949号、同2002−123948号、同2003−43904号、国際公開第99/57719号、同02/05270号、同02/75727号等に記載されたもの挙げることができる。
上に述べた記録・再生する装置に用いられるレーザーとして光源としては、記録メディア中の光重合開始剤を活性化しホログラフィック記録可能、及び記録されたホログラムを読み取ることのできるレーザー光源であれば特に制限なく用いることができ、このような光源としては青紫色領域の半導体レーザー、アルゴンレーザー、He−Cdレーザー、周波数2倍YAGレーザー、He−Neレーザー、Krレーザー、近赤外領域の半導体レーザーなどを挙げることができる。
また、記録前のホログラフィック記録メディアおよび記録された情報が少なく追記する可能性が有るホログラフィック記録メディアは、通常ホログラフィック記録に用いられる光源の波長をλnmとした際に、(λ+100)nm以下、好ましくは(λ+200)nm以下の光に対して少なくとも遮光できるケースやカセットなどに保管して置かれ、該記録メディアにレーザー光を露光し記録するときのみケースやカセットから取出し、遮光下でレーザー光を照射することにより情報が記録される。
さらに、本発明のホログラフィック記録方法により情報が記録された記録メディアは、前述した遮光できるケースやカセットなどから取り出して、CDやDVDなどと同様に明室で取り扱うことができるホログラフィック情報メディアとして使用できる。このホログラフィック情報メディアは、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック情報記録層が挟持され、該ホログラフィック情報記録層が、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを、上記一般式(1)で表される化合物を触媒として架橋形成されたウレタンを主成分とする領域と、屈折率が1.55以上であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を少なくともモノマー単位として含むラジカル重合させて形成したラジカル重合体を主成分とする領域とを有することを特徴としており、このホログラフィック情報メディアでは、通常の取り扱われる条件での情報が記録された情報記録層の着色がほとんど生じない為、経時による再生装置での読み出し劣化がほとんど無い。
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
尚、ホログラフィック記録層形成組成物を調製する際に用いたバインダー形成化合物(A−1〜6)、ウレタン硬化触媒(B−1〜4)、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C−1〜4)、光重合開始剤(D−1〜6)、増感色素(E−1〜11)を以下に示す。
〈バインダー形成化合物〉
(A−1)2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート
(A−2)ヘキサメチレンジシシシアネートのポリイソシアネ−ト体(旭化成(株)製、デュラネートD−101)
(A−3)ヘキサメチレンジシシシアネートのポリイソシアネート体(旭化成(株)製、デュラネートTSE−100)
(A−4)グリセリンのポリプロピレンオキサイド付加物(平均分子量1000:日本油脂(株)製、ユニオールTG−1000)
(A−5)ポリプロピレングリコール(平均分子量400:日本油脂(株)製、ユニオールD−400)
(A−6)ポリプロピレングリコール(平均分子量1000:日本油脂製、ユニオールD−1000)
〈ウレタン硬化触媒〉
(B−1)ジブチル錫ジラウレート
(B−2)オクチル酸鉛
(B−3)ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)
(B−4)ビスマストリスラウレート
〈エチレン性不飽和結合を有する化合物〉
(C−1)EO変性トリブロモフェニルアクリレート(屈折率*1=1.564:第一工業製薬(株)製、ニューフロンティアBR−31)
(C−2)ヒドロキシエチル化β−ナフトールアクリレート(屈折率=1.583:新中村化学(株)製、NKエステルА−NP−1E)
(C−3)9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン(屈折率=1.615:大阪ガス(株)製、BPEFA)
(C−4)フェノキシエチルアクリレート(屈折率=1.519)
尚、屈折率*1はスチレン50%溶液として25℃で測定した。
〈光重合開始剤、増感色素〉
光重合開始剤(D−1〜6)および増感色素(E−1〜11)を以下に示す。
(D−1)チタノセン系光重合開始剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、イルガキュア−784)
(D−2)(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート
(D−3)(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート
(D−4)2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール
(D−5)(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(1+)ブチルトリフェニルボレート
Figure 2005181955
Figure 2005181955
《ホログラフィック記録層形成組成物の調製》
(ホログラフィック記録層形成組成物1)
セーフライト下で、57.82gのバインダー形成化合物(前出A−4)に36.0mgの2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノールと67.1mgのウレタン硬化触媒(前出B−1)を混合溶解し溶液1を調製した。別途7.92gのバインダー形成化合物(前出A−1)、23.75gのバインダー形成化合物(前出A−2)、8.00gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出C−1)および2.00gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出C−4)を混合溶解して溶液Aを調製し、次いでこの溶液Aに0.500gの光重合開始剤(前出C−1)を添加溶解した後に、先に記載した溶液1に添加し、最後に調製した組成物を窒素で脱空気を施した後、超音波洗浄器で内包されている気体成分を除去し、比較となるホログラフィック記録層形成組成物1を調製した。
(ホログラフィック記録層形成組成物2〜27)
上述したホログラフィック記録層形成組成物1において、溶液1を表1に記載した添加量のバインダー形成化合物とウレタン硬化触媒、さらに新たに表1に記載した増感色素および2−メルカプトベンズチアゾール(2MBT)を添加溶解し、また、溶液Aを表1に記載した添加量のバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物および光重合開始剤に変更した以外はホログラフィック記録層形成組成物1と同様な方法でホログラフィック記録層形成組成物2〜27を調製した。
Figure 2005181955
《ホログラフィック記録メディアの作製》
(作製方法1)
第一の基材と第二の基材として、厚み0.5mm(d1、d2)のガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理した。この第一の基材の反射防止処理していない面上に表2に記載の記録層の厚み(Dh)となるようにポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサーとし、表1に記載したホログラフィック記録用組成物を第一の基材に付し、次いで第二の基材の反射防止処理していない面をホログラフィック記録用組成物上に空気層を巻き込まないように貼合しスぺーサーを介して第一の基材と第二の基材を貼合させた。最後に、端部を湿分硬化型の接着剤で封止し、表2に記載した熱処理条件で熱処理しホログラフィック記録メディア1〜16を作製した。
Figure 2005181955
(作製方法2)
厚み0.5mm(d1)のガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理を施すことにより第一の基材を、厚み0.5mm(d2)のガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が90%となるようにアルミ蒸着を施して第二の基材をそれぞれ作製した。次いで、前述の第一の基材の反射防止処理していない面上に表3記載の記録層の厚み(Dh)となるようにポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサーとし、表1に記載したホログラフィック記録層形成組成物を第一の基材に付し、次いで第二の基材のアルミ蒸着した面をホログラフィック記録用組成物上に空気層を巻き込まないように貼合しスぺーサーを介して第一の基材と第二の基材を貼合させた。最後に、端部を湿分硬化型の接着剤で封止し、表3に記載した熱処理条件で熱処理しホログラフィック記録メディア17〜36を作製した。
Figure 2005181955
《ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価》
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価1)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを、米国特許第5,719,691号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、作製したホログラフィック記録メディアの記録層内の均一性、感度(記録エネルギー)およびに屈折率のコントラストついて測定、評価を行い、得られた結果を表4に示した。
(記録層内の均一性)
バインダー形成直後のホログラフィック記録メディアを黙視およびデジタル顕微鏡で観察し、記録層内に存在する気泡を下記の下記の基準で評価した。
(目視評価)
ホログラフィック記録メディアを黙視で観察し以下の基準で評価した。
4:目視では気泡が認められない
3:目視で微小な気泡が観察される
2:目視で直径1.0mm以下の気泡が観察される
1:目視で直径1.0mmよりも大きな気泡が観察される
(デジタル顕微鏡評価)
デジタル顕微鏡((株)キーエンス製、デジタルHFマイクロスコープVHー8000)で、数ヶ所で倍率を1〜3000倍、焦点を第一基材側から第二基材側へ可変でずらしていき、気泡が観察された場合はその大きさの最大値を測定し評価した。
(感度の測定)
セーフライト下でホログラフィック記録メディアに、Nd:YAGレーザー(532nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、Nd:YAGレーザー(532nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S1)として測定した。
(屈折率のコントラストの評価)
屈折率のコントラストは、下記の方法に従って測定した回折効率より求めた。回折効率の測定は、日本分光工業(株)製のART25C型分光光度計を用い、幅3mmのスリットを有したフォトマルチメータを、試料を中心にした半径20cmの円周上に設置した。幅0.3mmの単色光を、試料に対し45度の角度で入射し、試料からの回折光を検出した。正反射光以外で最も大きな値と、試料を置かず直接入射光を受光した時の値との比を回折効率とし、得られたホログラムの回折効率から屈折率のコントラスト(Δn)を求めた。
Figure 2005181955
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、気泡の混入も少なく、感度および屈折率のコントラストも良好な結果を示すことが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価2)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを、米国特許第5,719,691号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、作製したホログラフィック記録メディアの記録層内の均一性および屈折率のコントラストの測定・評価は上述の評価1と同様の方法で、下記の方法で感度(記録エネルギー)を、評価1と同様の方法で記録層内の均一性および屈折率のコントラストを評価した。得られた結果を表5に示した。
(感度の測定)
セーフライト下でホログラフィック記録メディアに、Nd:YAGレーザー(532nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下でNd:YAGレーザー(532nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S1)として測定した。
Figure 2005181955
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、気泡の混入も少なく、感度および屈折率のコントラストも良好な結果を示すことが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価3)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを、特開2002−123949号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、感度(記録エネルギー)について測定、評価を行い、評価1と同様の方法で記録層内の均一性を評価した。得られた結果を表6に示した。
(感度の測定)
セーフライト下でホログラフィック記録メディアに、Nd:YAGレーザー(532nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下でNd:YAGレーザー(532nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S2)として測定した。
Figure 2005181955
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、気泡の混入も少なく、感度および屈折率のコントラストも良好な結果を示すことが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価4)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを、米国特許第5,719,691号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、作製したホログラフィック記録メディアの記録層内の均一性および屈折率のコントラストの測定・評価は上述の評価1と同様の方法で、下記の方法で感度(記録エネルギー)を評価した。得られた結果を表7に示した。
(感度の測定)
セーフライト下でホログラフィック記録メディアに、青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下で青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S3)として測定した。
Figure 2005181955
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、気泡の混入も少なく、感度および屈折率のコントラストも良好な結果を示すことが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価5)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを、特開2002−123949号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法で感度(記録エネルギー)を、評価1と同様の方法で記録層内の均一性を評価した。得られた結果を表8に示した。
(感度の測定)
セーフライト下でホログラフィック記録メディアに、青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下で青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S4)として測定した。
Figure 2005181955
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、気泡の混入も少なく、感度および屈折率のコントラストも良好な結果を示すことが分かる。
(ホログラフィック情報メディアの評価)
記録された情報を固定化し作製した本発明のホログラフィック情報メディアを下記の条件で保存し、保存前後で各情報メディアに合った方法でデジタルパターンを再生評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量の保存前後の差を以下の方法で評価し、得られた結果を表9に示した。また、併せてホログラフィック情報メディアの着色度合を下記の方法で評価し、得られた結果を表10に示した。
(耐熱保存性)
ホログラフィック情報メディアを50℃、2週間保存し、保存前後の最小露光感度差(ΔSh)を求めた。
最小露光感度差(ΔSh)=保存後の最小露光感度(S2h)−保存前の最小露光感度(S1h)
(耐光保存性)
温度25℃で、7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で1週間保存、保存前後の最小露光感度差(ΔSw)を求めた。
最小露光感度差(ΔSw)=保存後の最小露光感度(S2w)−保存前の最小露光感度(S1w)
(着色度合の評価)
作製したホログラフィック記録メディアをホログラフィック露光せずに7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理しホログラフィック情報メディアを作製した。次いで下記の条件で保存し、保存前後で各情報メディアの透過率を日立製作所(株)製、日立分光光度計U−4100で測定し、以下の方法で評価した。
(耐熱保存性)
ホログラフィック情報メディアを80℃、2週間保存、保存前後の400nmの透過率差(ΔTh)を求めた。
透過率差(ΔTh)=保存前の透過率(T1h)−保存後の透過率(T2h)
(耐光保存性)
温度35℃で、7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で1週間保存、保存前後の400nmの透過率差(ΔTh)を求めた。
透過率差(ΔTw)=保存前の透過率(T1w)−保存後の透過率(T2w)
Figure 2005181955
Figure 2005181955
上表から、本発明のホログラフィック情報メディアは着色も少なく、再生する為の感度低下も無い良好な結果を示すことが分かる。

Claims (19)

  1. 第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を少なくとも含有するバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤をそれぞれ含有し、かつ、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするホログラフィック記録メディア。
    一般式(1) M(OCOR)n
    (式中、Mは鉛またはビスマスを表し、Rは直鎖、分岐のアルキル基、シクロアルキル基、あるいは置換または無置換の芳香族基、nはMが鉛の場合は1をビスマスの場合は3を表す)
  2. 前記一般式(1)で表されるMがビスマスであることを特徴とする請求項1記載のホログラフィック記録メディア。
  3. 前記ホログラフィック記録層に含有されるバインダー形成化合物を100質量部とした際に上記一般式(1)で表される化合物の添加量が0.01質量部以上、1.00質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のホログラフィック記録メディア。
  4. 前記ホログラフィック記録層に含有される光重合開始剤が、ビスイミダゾール化合物、金属π錯体および下記一般式(2)で表される化合物のなかから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載のホログラフィック記録メディア。
    Figure 2005181955
    (式中Dye+はカチオン性色素を表し、R1〜R4は各々置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基またはシアノ基を表し、またR1〜R4は各々2個以上が互いに結合して環を形成しても良い。)
  5. 前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を分光増感することができる増感色素をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  6. 前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物として、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  7. 前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物として、屈折率として少なくとも1.55以上の化合物をエチレン性不飽和結合を有する化合物全体に対して50〜100質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  8. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みをD1と第二基材の厚みをD2とし、ホログラフィック記録層の厚みをDhとした際に、0.15≦Dh/(D1+D2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  9. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、ホログラフィック記録層の厚みDhが200μm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項8記載のホログラフィック記録メディア。
  10. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みD1と第二基材の厚みD2との関係がD1≦D2であることを特徴とする請求項9記載のホログラフィック記録メディア。
  11. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材が透明であり、ホログラフィック記録層が積層された面とは反対の面に反射防止処理がなされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  12. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の材質がガラスであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  13. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第二基材のホログラフィック記録層が積層される面あるいはその反対面に反射率が70%以上の反射層が積層されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  14. 前記ホログラフィック記録メディアの形状がディスク状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  15. 前記ホログラフィック記録メディアの形状がカード状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録する方法において、該ホログラフィック記録メディアにホログラフィック露光する以前にバインダー形成化合物を反応させバインダーを形成させた後に、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録層内で拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することを特徴とするホログラフィック記録方法。
  17. 前記ホログラフィック記録方法において、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射により安定化させることを特徴とする請求項16記載のホログラフィック記録方法。
  18. 請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録する方法において、該ホログラフィック記録メディアに記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録し、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射を行うことにより記録された情報を安定化させることを特徴とするホログラフィック記録方法。
  19. 第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック情報記録層が挟持され、該ホログラフィック情報記録層が、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを、上記一般式(1)で表される化合物を触媒として架橋形成されたウレタンを主成分とする領域と、屈折率が1.55以上であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を少なくともモノマー単位として含むラジカル重合させて形成したラジカル重合体を主成分とする領域とを有することを特徴とするホログラフィック情報メディア。
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