JP2005180473A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
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    • F16H57/048Type of gearings to be lubricated, cooled or heated
    • F16H57/0487Friction gearings
    • F16H57/049Friction gearings of the toroid type

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  • Friction Gearing (AREA)
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Abstract

【課題】 プリセスカム18のカム面21が、バルブボディ29a内の変速比制御弁12よりも上方に存在する場合でも、このカム面21への潤滑油供給を確実に行なえる構造を実現する。
【解決手段】 運転時にアクチュエータボディ43の上面に流下した潤滑油を、このアクチュエータボディ43に設けた通油路を通じて、上記バルブボディ29aの上面に流下させる。更にこの潤滑油を、このバルブボディ29aの上面に設けた導油溝59を通じて、上記カム面21に導く。この構成により、このカム面21に十分な潤滑油を送り込んで、このカム面とリンク部材の先端部との係合部の摩耗を防止する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、自動車用の自動変速機を構成する変速ユニットとして、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速機として利用する、トロイダル型無段変速機の改良に関する。
自動車用自動変速装置として、図6〜9に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されており、例えば特許文献1、非特許文献1に記載される等により、従来から広く知られている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に1対の入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に出力側ディスク5、5を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ2個ずつのパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6はそれぞれ、特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図6、8の上下方向、図7の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸9、9を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ10、10により、これら各トラニオン7、7を上記枢軸9、9の軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
即ち、前記入力軸1と出力歯車4との間の変速比を変えるべく、上記各トラニオン7、7の傾斜角度を変える場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を、互いに逆方向(上記各ディスク2、4の回転方向に関して同方向)に、例えば、図8の右側のパワーローラ6を同図の下側に、同図の左側のパワーローラ6を同図の上側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ6、6の周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディスク5、5の内側面との転がり接触部に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板11、11に枢支された枢軸9、9を中心として、互いに逆方向に揺動(傾斜)する。この結果、上記各パワーローラ6、6の周面と上記入力側、出力側各ディスク2、5の内側面との当接位置が変化し、上記入力軸1と出力歯車4との間の回転変速比が変化する。
上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排状態は、これら各アクチュエータ10、10の数に関係なく1個の変速比制御弁12により行ない、何れか1個のトラニオン7の動きをこの変速比制御弁12にフィードバックする様にしている。この変速比制御弁12は、ステッピングモータ13により軸方向(図6の表裏方向、図8、9の左右方向)に変位させられるスリーブ14と、このスリーブ14の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール15とを有する。又、上記各トラニオン7、7と上記各アクチュエータ10、10のピストン16、16とを連結するロッド17、17のうち、何れか1個のトラニオン7に付属するロッド17の端部にプリセスカム18を固定しており、このプリセスカム18とリンク部材19とを介して、上記ロッド17の動き、即ち、上記各枢軸9、9の軸方向への変位量と回転方向への変位量との合成値を上記スプール15に伝達する、フィードバック機構を構成している。又、上記各トラニオン7、7同士の間には同期ケーブル20を掛け渡して、油圧系の故障時にも、これら各トラニオン7、7の傾斜角度を、機械的に同期させられる様にしている。
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ13により上記スリーブ14を、得ようとする変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記変速比制御弁12の所定方向の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ10、10に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ10、10が上記各トラニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記各枢軸9、9の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸9、9を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニオン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド17の端部に固定したプリセスカム18とリンク部材19とを介して上記スプール15に伝達され、このスプール15を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7が所定量変位した状態で、上記変速比制御弁12の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排が停止される。
この際の上記トラニオン7及び上記プリセスカム18のカム面21の変位に基づく上記変速比制御弁12の動きは、次の通りである。先ず、上記変速比制御弁12の流路が開かれる事に伴って上記トラニオン7が上記各枢軸9、9の軸方向に変位すると、前述した様に、パワーローラ6の周面と入力側ディスク2及び出力側ディスク5の内側面との当接部に発生するサイドスリップにより、上記トラニオン7が上記各枢軸9、9を中心とする揺動変位を開始する。又、上記トラニオン7の上記各枢軸9、9の軸方向変位に伴って上記カム面21の変位が、上記リンク部材19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位して、上記変速比制御弁12の切り換え状態を変更する。具体的には、上記アクチュエータ10により上記トラニオン7を中立位置に戻す方向に、上記変速比制御弁12が切り換わる。
従って上記トラニオン7は、上記各枢軸9、9の軸方向に変位した直後から、中立位置に向け、逆方向に変位し始める。但し、上記トラニオン7は、中立位置からの変位が存在する限り、上記各枢軸9、9を中心とする揺動を継続する。この結果、上記プリセスカム18のカム面21の円周方向に関する変位が、上記リンク部材19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位する。そして、上記トラニオン7の傾斜角度が、得ようとする変速比に見合う所定角度に達した状態で、このトラニオン7が中立位置に復帰すると同時に、上記変速比制御弁12が閉じられて、上記アクチュエータ10への圧油の給排が停止される。この結果上記トラニオン7の傾斜角度が、前記ステッピングモータ13により前記スリーブ14を軸方向に変位させた量に見合う角度になる。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸22により一方(図6、7の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置23を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記変速比制御弁12を図9に示した中立位置から、同図の右側(或は左側)の状態に切り換える。そして、上記各アクチュエータ10、10に設けた1対の油圧室24a、24bのうち、一方の油圧室24a(或は24b)内に、油溜(オイルパン)25から吸引され加圧された状態で給油ポンプ26の吐出口から吐出される作動油(トラクションオイル)を、上記変速比制御弁12を介して送り込む。同時に、上記1対の油圧室24a、24bのうち、他方の油圧室24b(或は24a)から吐出された作動油を、上記変速比制御弁12を介して、上記油溜25に戻す。この様な上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排により、上記各トラニオン7、7を上記各枢軸9、9の軸方向に移動させ、これら各トラニオン7、7を図7に示す位置に揺動させる。そして、上各パワーローラ6、6の周面をこの図7に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。
反対に、増速を行なう場合には、上記変速比制御弁12を、図9に示した中立位置から、同図の左側(或は右側)の状態に切り換える。そして、作動油を上記各アクチュエータ10、10の油圧室24a、24bに対し、上述の場合とは逆側に給排して、上記各トラニオン7、7を図7と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、この図7に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
尚、上記変速比制御弁12を構成するスプール15は、ばね27により、前記リンク部材19の一端に向け押圧して、この一端と上記スプール15の端部とを当接させたままとしている。又、このリンク部材19の他端と前記プリセスカム18のカム面21とは、上記ばね27の弾力に基づき、当接したままとなる。この為、このカム面21の変位は、直ちに上記スプール15に伝達される。
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、例えば特許文献2に記載されて従来から知られている。この特許文献2に記載された無段変速装置は、所謂ギヤード・ニュートラルと呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられるもので、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成る。
上述の様に、上記リンク部材19の他端と上記プリセスカム18のカム面21とは、上記ばね27の弾力に基づいて弾性的に当接している。このばね27の弾力は、走行時やエンジンの振動によって当接部ががたつかない程度の小さな値であり、当接部に作用する面圧は小さいものであるが、長期間に亙る使用によって、この当接部が摩耗する可能性がある。特に、上記振動により、微小とは言えフレッチング摩耗が発生する可能性がある。上記当接部の摩耗は、上記リンク部材19を介して変速比制御弁12を構成するスプール15の軸方向変位に繋がり、トロイダル型無段変速機の変速比制御がずれる原因となる。
この様にして生じる変速比制御のずれに就いて、例えば上記当接部が0.1mm摩耗した場合に就いて考えてみる。上記カム面21のカムリードは、上記リンク部材19のリンク比にもよるが、一般的には30〜50mm/360度程度である。仮に30mmとした場合、0.1mmの摩耗は、上記プリセスカム18が1.2度回動(傾転)した場合に於ける、上記カム面21の軸方向変位量に相当する。トロイダル型無段変速機のパワーローラの傾転角度の範囲は60度程度であるから、上記1.2度なる値は2%に相当し、無視できない値である。特に、上記特許文献2に記載された様な、ギヤード・ニュートラルと呼ばれる無段変速装置の場合、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる際に、トロイダル型無段変速機の変速比を厳密に規制する必要がある。従って、上述の様な摩耗に基づく変速比設定のずれは好ましくない。
上記当接部の摩耗に拘らず、上記トロイダル型無段変速機の変速比を厳密に規制する為には、学習制御により摩耗分を補正する制御を行なう事が考えられる。但し、この様な制御を行なうと、制御の為のプログラムが複雑になる他、摩耗を検知する為のセンサが必要になる等、コストが嵩む原因となる。しかも、上記当接部が摩耗した場合には、当接部の摩擦係数が高くなり、この当接部の摺動に対する抵抗が大きくなって、変速動作が円滑に行なわれなくなる可能性がある。
これらの事を考慮した場合、上記当接部を構成するプリセスカム18のカム面21や前記リンク部材19の端部に、浸炭窒化処理等、表面を硬化させる為の熱処理を施したり、又は、上記プリセスカム18やリンク部材19を、含油メタル等の滑り易い材料、或は焼結金属等の摩耗しにくい材料により造る事が考えられる。但し、これらの対策は、何れもコスト上昇の原因となるだけでなく、トロイダル型無段変速機の使用期間が非常に長期に亙る場合、必ずしも十分な効果を得られない可能性がある。特に、リンク部材とカム面との当接部の当接面積が狭くこの当接部の面圧が高い場合に、この当接部の摩耗に対する考慮が重要になる。例えば、特願2002−354910号には、図10に示す様に、リンク部材19aのうちで、カム面と当接する腕部28の先端部を球状とした構造が記載されている。この様な形状を有するリンク部材19aは、この腕部28の先端部とカム面とが点接触するので、このリンク部材19aの設置位置の自由度の向上を図れる反面、これら腕部28の先端部とカム面との当接部の面圧が高くなり、この当接部が摩耗し易くなる。
この様な事情に鑑みて上記特願2002−354910号には、変速比制御弁から吐出される潤滑油(各アクチュエータの作動油としての役目を兼ねたトラクションオイル)をリンク部材とカム面との当接部に導く構造が開示されている。この様な先発明に係る構造は、この構造を組み込むべきトロイダル型無段変速機の構造によっては、必ずしも有効でない場合がある。即ち、図8に示す様に、プリセスカム18が変速比制御弁12よりも下方に存在する場合には、この変速比制御弁12から吐出された潤滑油を上記プリセスカム18のカム面21に導く事は可能である。特に、このプリセスカム18の設置方向を図8とは逆にし、このカム面21を上方に向ければ、このカム面21への潤滑油供給を効率良く行なえる。
これに対して、本発明の実施例を示す図2、3に示す様に、プリセスカム18を、変速比制御弁12(図6、8、9参照)を収納したバルブボディ29よりも上方に配置する構造の場合、この変速比制御弁12から吐出した潤滑油を、上記プリセスカム18のカム面21に供給する事は難しい。この様に、上記プリセスカム18を上記バルブボディ29よりも上方に設ける事は、前記ロッド17を短くして小型化、軽量化を図る面からも、やはりロッド17を短くして、前記トラニオン7の弾性変形が上記プリセスカム18の変位に影響しにくくし、変速制御の安定化を図る面から、必要になる場合がある。特に、上記図2、3に示す様に、このカム面21が上方に向いている場合、上記プリセスカム18よりも下方に設けられた変速比制御弁12から吐出した潤滑油を上記カム面21に供給する事は不可能である。トロイダル型無段変速機を実際に自動車に搭載する場合に、上記カム面21を、オイルパン76及びケーシング42の底部に貯溜された潤滑油中に浸漬すれば、このカム面21の潤滑は確実に行なえる。但し、長期間に亙る使用に伴って上記潤滑油が減少したり、傾斜地走行或は加減速時の潤滑油移動等により、上記カム面21が潤滑油から露出する事も考えられる。従って、このカム面21の摩耗をより確実に防止する為には、トロイダル型無段変速機が運転されている限り、このカム面21に潤滑油を送り込む事が好ましい。
特開2001−317601号公報 特開2000−220719号公報 青山元男、「レッドバッチシリーズ/245/スーパー図解/クルマの最新メカが分かる本」、株式会社三推社/株式会社講談社、2001年12月20日、第92〜93頁
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、変速比制御弁とプリセスカムとの設置位置に関係なく、このプリセスカムのカム面に潤滑油を効果的に供給できる構造を備えたトロイダル型無段変速機を実現すべく発明したものである。
本発明のトロイダル型無段変速機は、入力側ディスク及び出力側ディスクと、複数の支持部材と、複数のパワーローラと、複数のアクチュエータと、変速比制御弁と、フィードバック機構とを備える。
このうちの入力側ディスク及び出力側ディスクは、それぞれが断面円弧形の凹面である互いの軸方向側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転を自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、上下方向に配置された枢軸を中心として揺動する。この枢軸は、上記入力側ディスク及び出力側ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある。
又、上記各パワーローラは、上記各支持部材に支持された状態で上記入力側ディスク及び出力側ディスク同士の間に挟持されたもので、その周面を球状凸面としている。
又、上記各アクチュエータは、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる為の油圧式のもので、上記各ディスク及び各パワーローラの下方に配置されたアクチュエータボディ内に設けられている。
又、上記変速比制御弁は、上記各アクチュエータにそれぞれ1対ずつ設けられた油圧室と、油溜及びこの油溜内の油を加圧して吐出する給油ポンプの吐出口との連通状態を切り換えて、上記各アクチュエータへの油圧の給排を制御するものである。
更に、上記フィードバック機構は、上記各支持部材の変位に応じてこの変速比制御弁の弁構成部材を変位させるものである。
そして、この様な上記フィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの支持部材にその上端部を結合したロッドの下端部に、当該支持部材を支持した枢軸と同心に結合され、この枢軸と共に軸方向及び回転方向に変位するプリセスカムと、このプリセスカムに設けたカム面の変位を上記弁構成部材に伝達してこの弁構成部材を軸方向に変位させるリンク部材とを備えたものである。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記リンク部材と上記カム面との当接部に潤滑油を、上記アクチュエータボディよりも上方から、若しくはこのアクチュエータボディ内から送り込む様に構成している。
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機の場合、変速比制御弁とプリセスカムとの設置位置に関係なく、このプリセスカムのカム面に潤滑油を効果的に供給できる。この為、トロイダル型無段変速機の構造に関係なく、このカム面とリンク部材との当接部に摩耗が発生する事を防止して、長期間に亙る使用によっても、上記トロイダル型無段変速機の変速比制御を正確に行なえる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、軸方向側面同士を対向させた状態で互いに同心に配置され、且つ、互いに同期した回転を自在とされた1対の入力側ディスクと、これら両ディスクにその軸方向側面を対向させた出力側ディスクとを備える。そして、この出力側ディスクに付着してからアクチュエータボディの上面に流下した潤滑油をカム面に送り込む。
この様に構成すれば、上記各ディスクの側面と各パワーローラの周面との転がり接触部(トラクション部)を潤滑した潤滑油(トラクションオイル)を上記カム面に効率良く導いて、このカム面とリンク部材との当接部の潤滑を効率良く行なえる。
上述の様な請求項2に記載した構造を実施する場合に、更に好ましくは、請求項3に記載した様に、上記アクチュエータボディの上面中央部に設けられた凹部に出力側ディスクの下端部が入り込んだ構造とする。そして、この凹部の底部にその上端を開口させた通油路から上記アクチュエータの下方に配置されたバルブボディの上面に流下した潤滑油を、このバルブボディの上面に設けた導油溝を通じてカム面に送り込む。
この様な構造を採用すれば、上記アクチュエータボディの上面からの上記出力側ディスクの設置高さ位置を低く抑えられる構造で、上記カム面とリンク部材との当接部の潤滑を効率良く行なえるだけでなく、トロイダル型無段変速機の伝達効率の向上も図れる。
即ち、上記凹部に出力側ディスクの下端部を入り込ませる事で、上記アクチュエータボディの上面からこの出力側ディスクの中心までの高さを小さくできて、トロイダル型無段変速機の小型・軽量化を図れる。そして、上記出力側ディスクに付着した潤滑油の一部を上記凹部に捕集し、更に上記カム面に送る事で、このカム面と上記リンク部材との当接部の潤滑を効率良く行なえる。しかも、上記凹部内に捕集された潤滑油を上記カム面に向けて送る事により、この凹部内に余分な潤滑油が溜まる事を防止できる。この結果、この凹部内に溜まった潤滑油を上記出力側ディスクの下端部が攪拌する事でこの出力側ディスクの回転抵抗が大きくなる事を防止し、上記トロイダル型無段変速機の伝達効率の向上を図れる。
本発明を実施する場合に好ましい他の構造として、請求項4に記載した様に、中空管状としたロッド内に送り込んだ潤滑油を、このロッドの径方向に形成した給油孔と、プリセスカムの上面に形成した給油溝とを通じてカム面に送り込む。
この様に構成した場合でも、このカム面とリンク部材との当接部の潤滑を効率良く行なえる。
図1〜3は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施例1を示している。本実施例は、本発明を、前述した様な、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成り、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられるギヤード・ニュートラルと呼ばれる無段変速装置で実施した場合に就いて示している。
本実施例の無段変速装置は、本発明の対象となるトロイダル型無段変速機30と、第一〜第三の遊星歯車式変速機31〜33とを組み合わせて成り、元入力軸34と出力軸35とを有する。図示の例では、これら元入力軸34と出力軸35との間に、上記トロイダル型無段変速機30の入力軸1aと、伝達軸36とを、これら両軸34、35と同心に、且つ、これら両軸34、35に対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二の遊星歯車式変速機31、32を上記入力軸1aと上記伝達軸36との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速機33をこの伝達軸36と上記出力軸35との間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
このうちのトロイダル型無段変速機30は、1対の入力側ディスク2a、2bと、一体型の出力側ディスク5aと、複数のパワーローラ6、6とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力軸1aを介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク5aは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ6、6は、上記出力側ディスク5aの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、2個ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク5aに動力を伝達する。
又、本実施例の場合、上記各パワーローラ6、6を支持するトラニオン7a、7aの長さ方向両端部に設けた、1対の折れ曲がり壁部37、37の先端部同士を、連結部材38、38により連結している。この様な各連結部材38、38は、上記パワーローラ6を跨ぐ様に設けると共に、その両端面を上記トラニオン7aの各折れ曲がり壁部37、37の先端部内側面に突き当てた状態で、ねじ85、85により、上記各トラニオン7a、7aに結合固定している。この様な連結部材38、38を設けた本実施例の場合には、これら各トラニオン7a、7aの曲げ剛性の向上を図れ、これら各トラニオン7a、7aを弾性変形しにくくできる。この結果、これら各トラニオン7a、7aの変形に基づく支持軸8aの傾斜を防止し、この支持軸8aの先半部に支持した上記各パワーローラ6、6の位置がずれるのを抑える事ができるので、変速動作を安定させる事ができる。尚、本実施例の場合、上記支持軸8aと、上記パワーローラ6を回転自在に支持するスラスト玉軸受39を構成する外輪40とを、一体に形成している。
更に、本実施例の場合には、上記出力側ディスク5aの軸方向両端部を、それぞれがスラストアンギュラ型である1対の玉軸受41、41により、回転自在に支持している。この為に本実施例の場合には、ケーシング42の内側に、アクチュエータボディ43及び連結板44を介して、1対の支柱45、45を設けている。これら各支柱45、45はそれぞれ、前記入力軸1aを挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト部46a、46bを、円環状の支持環部47、47により連結して成る。上記入力軸1aは、この支持環部47、47の内側を緩く挿通している。
又、上記各支柱45、45の下端部は、上記アクチュエータボディ43の上面に、それぞれ複数本ずつのボルト48、48により結合固定している。この為に上記アクチュエータボディ43の上面には、上記各支柱45、45の下端部を内嵌する為の凹部49、49を形成している。又、これら各支柱45、45の下端部には、下端面に開口する複数のねじ孔を形成している。これら各支柱45、45は、それぞれの下端部を上記各凹部49、49に内嵌した状態で、上記アクチュエータボディ43を下方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト48、48により、上記アクチュエータボディ43の上面の所定位置に固定している。
これに対して上記各支柱45、45の上端部は、前記連結板44の下面に、それぞれボルト50、50により結合固定している。この為に上記連結板44の下面には、上記各支柱45、45の上端部を内嵌する為の凹部51、51を形成している。又、これら各支柱45、45の上端部には、上端面中央部に開口する1個ずつのねじ孔を形成している。これら各支柱45、45は、それぞれの上端部を上記各凹部51、51に内嵌した状態で、上記連結板44を上方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト50、50により、上記連結板44の下面に固定している。又、上記連結板44は上記ケーシング42の天板部73の下面に、円筒状のスリーブ86、86により位置決めした状態で組み付けている。
上記1対の支柱45、45は、上述の様に上記アクチュエータボディ43の上面と上記連結板44の下面との間に、掛け渡す様に連結固定している。この状態で、上記各支柱45、45の両端部近傍に設けた、前記各支持ポスト部46a、46bのうち、下側の支持ポスト部46a、46aは、上記アクチュエータボディ43の上面の直上位置に存在する。そして、これら両支持ポスト部46a、46aに、前記各トラニオン7a、7aの上下両端部を支持する1対の支持板52a、52bのうちの下側の支持板52aに形成した支持孔53a、53aを、がたつきなく外嵌している。又、上側の支持ポスト部46b、46bは上記連結板44の下面の直下位置に存在する。そして、上記両支柱45、45の支持ポスト部46b、46bに、上記1対の支持板52a、52bのうちの上側の支持板52bに形成した支持孔53b、53bを、がたつきなく外嵌している。上記両支持板52a、52bにそれぞれ1対ずつ形成した、上記支持孔53a、53b同士の、前記入力軸1aの軸方向に関するピッチは、適正に規制されている。従って、上記各支持ポスト部46a、46bに上記各支持孔53a、53bをがたつきなく外嵌した状態で、上記1対の支柱45、45の上下両端部同士のピッチが適正に規制される。
又、上記1対の支柱45、45により互いに結合された、上記アクチュエータボディ43と上記連結板44とのうちのアクチュエータボディ43は、前記ケーシング42の内側下部に固定している。一方、上記連結板44はこのケーシング42内の内側上部に、上述の様にスリーブ86、86を介して設置されている。この様に、上記アクチュエータボディ43と連結板44とを介して上記ケーシング42内の所定位置に固定された、上記両支柱45、45の中間部に設けられた前記各支持環部47、47は、それぞれ前記入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク5aとの側面同士の間に存在する各キャビティ(空間)の中央部に配置される。この出力側ディスク5aは、この様な各支持環部47、47により、前記入力軸1aの中間部周囲に、前記両玉軸受41、41により、回転自在に支持している。
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力軸1aの基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、前記元入力軸34を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力軸1aを回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク5aの軸方向両側面と前記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置23aとして、油圧式のものを使用している。又、ギヤポンプ等の油圧源により、この押圧装置23a及び変速の為に前記各トラニオン7a、7aを変位させる為の油圧式のアクチュエータ10、10、並びに後述する低速用クラッチ54及び高速用クラッチ55を断接させる為の油圧シリンダに、圧油を供給自在としている。
上記各アクチュエータ10、10のうち、何れか1個のアクチュエータ10に付属のロッド17aの下端部に、変速比制御の為のフィードバック機構を構成する、プリセスカム18を固定している。即ち、上記ロッド17aの下端部で前記アクチュエータボディ43の下面から下方に突出した部分に上記プリセスカム18を外嵌している。このプリセスカム18の内周面と上記ロッド17aの外周面とは非円形同士の嵌合として、これらプリセスカム18とロッド17aとの相対回転を阻止している。このプリセスカム18は、この状態で、上記ロッド17aの下端に螺合したナット56により下面を抑え付け、このロッド17aの下端部に固定している。尚、この状態でカム面21は、上記プリセスカム18の上面に位置する。
この様にして上記ロッド17aの下端部に支持固定された上記プリセスカム18の上面(カム面21)は、上記アクチュエータボディ43の下方に設置されたバルブボディ29aの下面よりも、更に下方に位置する。このバルブボディ29aの一部は入隅状に凹んでおり、この凹んだ部分に、上記プリセスカム18を配置している。そして、上記アクチュエータボディ43の上面中央部に設けた凹部57で捕集し、通油路58を通じて上記バルブボディ29aの上面に流下した潤滑油を、上記カム面21に送り込む様にしている。
上記凹部57は、上記アクチュエータボディ43の上面から前記出力側ディスク5aの中心までの高さを小さくして、前記トロイダル型無段変速機30の小型・軽量化を図るべく、上記アクチュエータボディ43と上記出力側ディスク5aとの干渉防止の為に設けている。この様な凹部57は、この出力側ディスク5aの回転方向に関して中央部が深く、両端部に向かう程浅くなる、略三日月形に形成している。上記通油路58は、この様な凹部57の中央部で最も深くなった部分と、上記アクチュエータボディ43の下面とを連通させている。
この様な通油路58から流下した潤滑油を、上記カム面21に送り込む為に、上記バルブボディ29の上面に、導油溝59を形成している。この導油溝59の上流端は上記通油路58の直下位置に存在し、下流端は上記入隅状に凹んだ部分の側面部分で、上記カム面21に向けて開口している。上記凹部57内に捕集され、上記通油路58から上記導油溝59の上流端に流下した潤滑油は、この導油溝59を流れて上記側面部分から上記カム面21に向けて流下し、このカム面21とリンク部材19aの腕部28の先端部(図8〜10参照)との当接部を潤滑する。
又、本実施例の場合には、前記出力側ディスク5aの中心孔に、中空回転軸60の基端部(図1の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸60の外周面と出力側ディスク5aの内周面との間に止め輪を掛け渡す事により、これら中空回転軸60と出力側ディスク5aとを、軸方向の相対変位を阻止した状態で結合している。又、上記中空回転軸60を、エンジンから遠い側(図1の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク5aの回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸60の先端部(図1の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速機31を構成する為の、第一の太陽歯車61を直接形成(固設)している。
一方、上記入力軸1aの先端部(図1の右端部)で上記中空回転軸60から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、第一のキャリア62を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力軸1aとが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア62の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速機31、32を構成する為の遊星歯車63〜65を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア62の片半部(図1の右半部)周囲に第一のリング歯車66を、回転自在に支持している。
上記各遊星歯車63〜65のうち、前記トロイダル型無段変速機30寄り(図1の左寄り)で上記第一のキャリア62の径方向に関して内側に設けた遊星歯車63は、上記第一の太陽歯車61に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速機30から遠い側(図1の右側)で上記第一のキャリア62の径方向に関して内側に設けた遊星歯車64は、前記伝達軸36の基端部(図1の左端部)に固設した第二の太陽歯車67に噛合している。又、上記第一のキャリア62の径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車65は、上記内側に設けた遊星歯車63、64よりも軸方向寸法を大きくして、これら両遊星歯車63、64に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車65と上記第一のリング歯車66とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二の遊星歯車式変速機31、32同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
一方、前記第三の遊星歯車式変速機33を構成する為の第二のキャリア68を、前記出力軸35の基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア68と上記第一のリング歯車66とを、前記低速用クラッチ54を介して結合している。又、上記伝達軸36の先端寄り(図1の右端寄り)部分に、第三の太陽歯車69を固設している。又、この第三の太陽歯車69の周囲に第二のリング歯車70を配置し、この第二のリング歯車70と前記ケーシング42等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ55を設けている。更に、上記第二のリング歯車70と上記第三の太陽歯車69との間に配置した複数組の遊星歯車71、72を、上記第二のキャリア68に回転自在に支持している。これら各遊星歯車71、72は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア68の径方向に関して内側に設けた遊星歯車71を上記第三の太陽歯車69に、同じく外側に設けた遊星歯車72を上記第二のリング歯車70に、それぞれ噛合している。
上述の様に構成する本実施例の場合、入力軸1aから1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ6、6を介して一体型の出力側ディスク5aに伝わった動力は、前記中空回転軸60を通じて取り出される。そして、上記低速用クラッチ54を接続し、上記高速用クラッチ55の接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速機30の変速比を変える事により、上記入力軸1aの回転速度を一定にしたまま、前記出力軸35の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。
即ち、この状態では、上記入力軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア62と、上記中空回転軸60と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車61との差動成分が、前記第一のリング歯車66から、上記低速用クラッチ54、上記第二のキャリア68を介して、上記出力軸35に伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速機30の変速比を所定値にする事で上記出力軸35を停止させられる他、このトロイダル型無段変速機30の変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸35を、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機30の変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸35を、車両を前進させる方向に回転させられる。
更に、上記低速用クラッチ54の接続を断ち、上記高速用クラッチ55を接続した状態では、上記出力軸34を、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア62と、上記中空回転軸60と共にこの第一のキャリア62と逆方向に回転する前記第一の太陽歯車61との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速機31の遊星歯車63の回転が、別の遊星歯車65を介して、前記第二の遊星歯車式変速機32の遊星歯車64に伝わり、前記第二の太陽歯車67を介して、前記伝達軸36を回転させる。そして、この伝達軸36の先端部に設けた第三の太陽歯車69と、この第三の太陽歯車69と共に前記第三の遊星歯車式変速機33を構成する第二のリング歯車70及び遊星歯車71、72との噛合に基づき、前記第二のキャリア68及びこの第二のキャリア68に結合した上記出力軸35を、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速機30の変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸35の回転速度を速くできる。
何れの場合でも、前記元入力軸34及び入力軸1aが回転している限り、前記両入力側ディスク2a、2bが回転し、前記各パワーローラ6、6を介して、これら両入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク5aとの間で動力の伝達を行なわせる。この場合に、これら各ディスク2a、2b、5aの側面と上記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)や、転がり軸受を主とする各可動部の潤滑を行なわせる為に、前記ケーシング42の天板部73内に、給油通路74を設けている。上記元入力軸34の回転時に、このケーシング42の前端(図1の左端)開口部を塞いだ隔壁75内に設けた給油ポンプ26が、このケーシング42の下端開口部を塞いだオイルパン76から吸引した潤滑油を加圧してから、上記給油通路74内に押し出す。
この様にして給油通路74内に押し出された潤滑油は、前記連結板44内に設けた別の給油通路77、この連結板44に対し前記各支柱45、45の上端部を結合した、中空管状のボルト50、50を通じて、これら各支柱45、45の上部内側に設けられた給油チャンバ79、79内に送り込む。この様にして各給油チャンバ79、79内に送り込まれた潤滑油は、上記各支柱45、45に設けられた給油ノズル80、80から上記各ディスク2a、2b、5aの側面の内径寄り部分に噴出する。この結果これら各ディスク2a、2b、5aの側面の内径寄り部分に付着した潤滑油は、遠心力に基づいてこれら各ディスク2a、2b、5aの側面を径方向外方に移動しつつ、上記各面同士の転がり接触部を潤滑する。
又、上記出力側ディスク5aの両側面に付着した潤滑油の一部は、前記アクチュエータボディ43の上面中央部に設けた凹部57に捕集され、前記通油路58を通じて前記バルブボディ29aの上面に流下する。そして、この様にしてバルブボディ29aの上面に流下した潤滑油は、前記導油溝59を通じて前記プリセスカム18の上面に設けられた前記カム面21に送り込まれる。この結果、このカム面21と前記リンク部材19aの腕部28の先端部との当接部に、常に十分な潤滑油が存在する状態となり、この当接部の摩耗防止を十分に図れる。又、上記凹部57内に捕集された潤滑油は、上記通油路58を通じて絶えず下方に流下する為、この凹部57内に上記出力側ディスク5aの下端部を浸す程の潤滑油が溜まる事はない。従って、この凹部57内に溜まった潤滑油を上記出力側ディスク5aの下端部が攪拌する事で、この出力側ディスク5aの回転抵抗が大きくなる事を防止して、上記トロイダル型無段変速機の伝達効率の向上を図れる。
又、本実施例の場合には、上記給油通路74内に押し出された潤滑油を、上記連結板44内に設けた上記別の給油通路77から、前記各トラニオン7a、7a内に設けた、更に別の給油通路81、81内に送り込む様にしている。そして、これら各給油通路81、81内に送り込まれた潤滑油を、上記各トラニオン7a、7aに隣接して設けた各転がり軸受に送り込む様にしている。これら各転がり軸受を潤滑した後の潤滑油の一部も、上記凹部57に捕集され、上記カム面21と腕部28の先端部との当接部に送られる。
図4〜5は、請求項1、4に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、下端部にプリセスカム18を固定したロッド17bを中空管状にして、このロッド17b内に給油通路82を設けている。この給油通路82は、トラニオン7a内に設けた給油通路81(図2参照)と通じており、この給油通路82には、上述した実施例1と同様の構造により、潤滑油を送り込み自在としている。又、上記ロッド17bの中間部下端寄り部分で、上記プリセスカム18の上面(カム面21)位置に対応する部分に給油孔83を、上記給油通路82と上記ロッド17bの外周面とを連通させる状態で形成している。更に、上記プリセスカム18の上面で上記給油孔83並びに上記カム面21の上端寄り部分と整合する部分に、図4に示す様な給油溝84を形成している。尚、上記ロッド17bの下端部外周面と上記プリセスカム18の内周面との断面形状は、小判形等、互いにがたつきなく嵌合する非円形としている。従って、上記給油孔83と上記給油溝84とをそれぞれ適正位置に形成しておけば、組立作業時にこれら給油孔83と給油溝84との位相を合わせる作業は容易である。
上述の様に構成する本実施例の場合、トロイダル型無段変速機の運転時に上記トラニオン7a内の給油通路81に送り込まれた潤滑油の一部が、上記別の給油通路82と、上記給油孔83と、上記給油溝84とを通じて上記カム面21の上端寄り部分に送り出される。この様にカム面21の上端寄り部分に送り出された潤滑油は、重力により、このカム面21の下方に向けて移動する為、このカム面21全体に潤滑油が存在する状態となる。この結果、このカム面21とリンク部材19aの腕部28の先端部(図10参照)との当接部に、常に十分な潤滑油が存在する状態となり、この当接部の摩耗防止を十分に図れる。
尚、請求項1、4に対応する発明を実施する場合、ロッド17b内の給油通路82への潤滑油の送り込みは、必ずしもトラニオン7aの上端部から行なう必要はない。例えば、アクチュエータボディ43内に設けた潤滑油通路の下流端を上記ロッド17b内の給油通路82に通じさせて、この給油通路82内への潤滑油の送り込みを行なう事もできる。更には、請求項4からは外れる(請求項1には属する)が、上記アクチュエータボディ43の一部で上記プリセスカム18のカム面21の直上位置に、このアクチュエータボディ43内に設けた潤滑油通路の下流端を開口させて、このアクチュエータボディ43から上記カム面21に、直接潤滑油を流下させる事もできる。
本発明の実施例1を示す断面図。 図1の拡大A−A断面図。 図2のB部拡大図。 本発明の実施例2を示す、図3と同様の図。 実施例2に組み込むプリセスカムの斜視図。 本発明の対象となるトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。 図6のC−C断面図。 図6のD−D断面図。 変速比を制御する為の機構を示す模式図。 リンク腕の1例を示す斜視図。
符号の説明
1、1a 入力軸
2、2a、2b 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5 出力側ディスク
6 パワーローラ
7、7a トラニオン
8、8a 支持軸
9 枢軸
10 アクチュエータ
11 支持板
12、12a 変速比制御弁
13 ステッピングモータ
14、14a スリーブ
15、15a スプール
16 ピストン
17、17a、17b ロッド
18 プリセスカム
19、19a リンク部材
20 同期ケーブル
21 カム面
22 駆動軸
23、23a 押圧装置
24a、24b 油圧室
25 油溜
26 給油ポンプ
27 ばね
28 腕部
29、29a バルブボディ
30 トロイダル型無段変速器
31 第一の遊星歯車式変速機
32 第二の遊星歯車式変速機
33 第三の遊星歯車式変速機
34 元入力軸
35 出力軸
36 伝達軸
37 折れ曲がり壁部
38 連結部材
39 スラスト玉軸受
40 外輪
41 玉軸受
42 ケーシング
43 アクチュエータボディ
44 連結板
45 支柱
46a、46b 支持ポスト部
47 支持環部
48 ボルト
49 凹部
50 ボルト
51 凹部
52a、52b 支持板
53a、53b 支持孔
54 低速用クラッチ
55 高速用クラッチ
56 ナット
57 凹部
58 通油路
59 導油溝
60 中空回転軸
61 第一の太陽歯車
62 第一のキャリア
63 遊星歯車
64 遊星歯車
65 遊星歯車
66 第一のリング歯車
67 第二の太陽歯車
68 第二のキャリア
69 第三の太陽歯車
70 第二のリング歯車
71 遊星歯車
72 遊星歯車
73 天板部
74 給油通路
75 隔壁
76 オイルパン
77 給油通路
79 給油チャンバ
80 給油ノズル
81 給油通路
82 給油通路
83 給油孔
84 給油溝
85 ねじ
86 スリーブ

Claims (4)

  1. それぞれが断面円弧形の凹面である互いの軸方向側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転を自在に支持された入力側ディスク及び出力側ディスクと、これら入力側ディスク及び出力側ディスクの中心軸に対し捻れの位置にありそれぞれが上下方向に配置された枢軸を中心として揺動する複数の支持部材と、これら各支持部材に支持された状態で上記入力側ディスク及び出力側ディスク同士の間に挟持された、その周面を球状凸面とした複数のパワーローラと、これら各ディスク及び各パワーローラの下方に配置されたアクチュエータボディ内に設けられた、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる為の油圧式の複数のアクチュエータと、これら各アクチュエータにそれぞれ1対ずつ設けられた油圧室と油溜及びこの油溜内の油を加圧して吐出する給油ポンプの吐出口との連通状態を切り換えて上記各アクチュエータへの油圧の給排を制御する変速比制御弁と、上記各支持部材の変位に応じてこの変速比制御弁の弁構成部材を変位させるフィードバック機構とを備え、このフィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの支持部材にその上端部を結合したロッドの下端部に、当該支持部材を支持した枢軸と同心に結合され、この枢軸と共に軸方向及び回転方向に変位するプリセスカムと、このプリセスカムに設けたカム面の変位を上記弁構成部材に伝達してこの弁構成部材を軸方向に変位させるリンク部材とを備えたものであるトロイダル型無段変速機に於いて、このリンク部材と上記カム面との当接部に潤滑油を、上記アクチュエータボディよりも上方から、若しくはこのアクチュエータボディ内から送り込む事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 軸方向側面同士を対向させた状態で互いに同心に配置され、且つ、互いに同期した回転を自在とされた1対の入力側ディスクと、これら両ディスクにその軸方向側面を対向させた出力側ディスクとを備え、この出力側ディスクに付着してからアクチュエータボディの上面に流下した潤滑油をカム面に送り込む、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. アクチュエータボディの上面中央部に設けられた凹部に出力側ディスクの下端部が入り込んでおり、この凹部の底部にその上端を開口させた通油路から上記アクチュエータの下方に配置されたバルブボディの上面に流下した潤滑油を、このバルブボディの上面に設けた導油溝を通じてカム面に送り込む、請求項2に記載したトロイダル型無段変速機。
  4. 中空管状としたロッド内に送り込んだ潤滑油を、このロッドの径方向に形成した給油孔と、プリセスカムの上面に形成した給油溝とを通じてカム面に送り込む、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
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