JP2005180364A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Masahiko Ozaka
昌彦 尾坂
Hidetoshi Nishihara
秀俊 西原
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Abstract

【課題】給油経路でのガス噛みを防ぎ、高い信頼性を備えた密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】クランクシャフト105に開口端161が主軸部151の肩部152から密閉容器内に開口し、主軸部の軸心151aに対して偏芯穿孔したガス抜き主孔160を設け、給油経路157を形成するリード溝154とガス抜き主孔160の主軸部の軸心151a側とを連通させることにより、給油経路157の冷媒をガス抜き主孔160へ排出することができ、発泡した冷媒がリード溝154を封止しにくくなり、主軸部151への安定給油を実現できる。
【選択図】図2

Description

本発明は冷凍冷蔵庫や冷凍ショーケース等の冷凍サイクルに用いられる密閉型圧縮機に関するものである。
従来、この種の密閉型圧縮機は給油特性の向上を図り、信頼性の確保に努めてきたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
図8は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の断面図、図9は従来の密閉型圧縮機の要部拡大図である。
図8、図9において、従来の密閉型圧縮機は、密閉容器1内に冷媒(図示せず)および冷媒と相溶性のあるオイル2を封入し、圧縮要素3および圧縮要素3を駆動する電動要素4を収納している。
圧縮要素3は、主軸部51と偏芯部53とを備えたクランクシャフト5と、主軸部51を軸支する軸受部6と、軸受部6を固定するとともにシリンダ7を形成するブロック8と、シリンダ7内に往復自在に挿入されたピストン10と、偏芯部53とピストン10とを連結する連結手段であるコンロッド11とを備えている。
偏芯部53の下端には、一端がオイル2に浸かり、遠心力でオイル2を上方に搬送するオイルポンプ12が形成されるとともに、クランクシャフト5にはオイルポンプ12に連通する給油経路57が形成されている。給油経路57は偏芯部53とコンロッド11が形成する摺動部58や主軸部51と軸受部6とが形成する摺動部59,60に連通している。また、主軸部51の略中央には径を小さくした非摺動部55が設けられている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素4によってクランクシャフト5が回転し、偏芯部53の偏芯運動がコンロッド11を介してピストン10をシリンダ7内で往復運動し、冷媒(図示せず)は連続して圧縮され冷凍サイクル(図示せず)へと吐出される。
この際、冷媒とともにオイル2も一部冷凍サイクルへ吐出されるが、冷媒とオイル2とは相溶性を有しているため、冷凍サイクルへ吐出されたオイル2は冷媒とともに密閉容器1へ戻ってくる。
クランクシャフト5の回転に伴ってオイルポンプ12内ではオイル2に遠心力が働き、オイル2は給油経路57を通って上方に搬送される。その結果、給油経路57が連通する偏芯部53とコンロッド11が形成する摺動部58や主軸部51と軸受部6とが形成する摺動部59,60を潤滑している。
また、主軸部51の略中央には非摺動部55が設けられており、主軸部51と軸受部6とが形成する摺動部の面積を小さくすることで、オイル2の粘性抵抗による摺動ロスを小さくしている。
特開平8−93646号公報
しかしながら、上記従来の構成では、オイル2は冷媒と相溶性があるのでオイル2には冷媒が溶け込んでいる。オイル2に溶け込む冷媒の量は温度や圧力によって変化するが、特に長期に渡って運転しない状態が続いた際は大量の冷媒がオイル2に溶け込むことになる。さらには、冷媒がR600aに代表される塩素やフッ素を含まない炭化水素系の冷媒の場合、冷媒に対するオイルの飽和溶解量がさらに多くなるため、オイル2に溶け込む冷媒の量はさらに増える。
こういったオイル2に溶け込んだ冷媒は、密閉型圧縮機の運転に伴う圧力の低下や温度の上昇、またオイルポンプ12の回転によるオイル2の攪拌等の外乱によって、オイル2から蒸発し発泡を起こす。この現象は、オイル2がオイルポンプ12から給油経路57を通過する間にも発生し、オイルポンプ12や給油経路57の中で大量の冷媒の蒸発が発生したり、貯留したオイル2の中で発泡した冷媒の気泡を大量に吸い込んだりすると、いわゆるガス噛み現象を起こしてしまい、摺動部への給油が阻害され潤滑不良を起こしてしまうという課題を有していた。
上記のガス噛み現象は、冷媒がR600aに代表される塩素やフッ素を含まない炭化水素系の冷媒の場合には、オイル2に溶け込む冷媒の量が増えるため、さらに助長される。
特に本背景技術においては、主軸部51の略中央には径を小さくした非摺動部55が設けられており、こういった空間には発泡した冷媒が滞留しやすく、発泡した冷媒を排出しきれず、摺動部への給油が阻害され潤滑不良を起こしてしまうという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、高い信頼性を備えた密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、クランクシャフトの主軸部の肩部に開口し主軸部の軸心に対して偏芯穿孔したガス抜き主孔を設け、給油経路とガス抜き主孔の主軸部の軸心側とを連通部で連通させたもので、ガス抜き主孔に侵入したオイルは、クランクシャフトの回転により発生する遠心力により、ガス抜き主孔の反軸心側壁面に寄るので、ガス抜き主孔がオイルで封止されることがないため、給油経路でオイルより発泡した冷媒や、貯留したオイル中で発泡した冷媒のうちオイルとともに給油経路内に搬送された冷媒を、安定して確実にガス抜き主孔より密閉容器内へ排出することができるという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、発泡した冷媒が給油経路を封止する、いわゆるガス噛み現象を防ぎ、摺動部への給油阻害を大幅に減少させることができため、摺動部へ安定した給油が可能となり、高い信頼性を備えた密閉型圧縮機を提供することができる
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に冷媒およびオイルを封入するとともに圧縮要素と電動要素を収納し、前記圧縮要素は主軸部と偏芯部とを備えたクランクシャフトと、前記クランクシャフトに設け一端が前記オイルに浸かるオイルポンプと、前記主軸部を軸支する軸受部とを備え、前記クランクシャフトに前記オイルポンプに連通する給油経路を設けるとともに、前記主軸部の肩部に開口し前記主軸部の軸心に対して偏芯穿孔したガス抜き主孔を設け、前記給油経路と前記ガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通部で連通させたもので、ガス抜き主孔に侵入したオイルはクランクシャフトの回転により発生する遠心力によりガス抜き主孔の反軸心側壁面に寄ることとなるので、ガス抜き主孔をオイルで封止することがなくなり、クランクシャフトの給油経路でオイルより発泡した冷媒や、貯留したオイル中で発泡した冷媒のうちオイルとともに給油経路内に搬送された冷媒を、ガス抜き主孔から密閉容器内へ安定して排出することができるため、摺動部への良好な給油性能を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、ガス抜き主孔は開口端に向かって主軸部の外周側へ傾斜させたもので、ガス抜き主孔に侵入したオイルを、クランクシャフトの回転により発生するガス抜き主孔の開口端へ向かう力によって素早く開口端より排出することができ、ガス抜き主孔がオイルで封止されることがなくなり、請求項1に記載の発明の効果に加えて、より良好な給油性能を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に加えて、連通部は主軸部の外周に刻設したリード溝とガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通させたものであり、クランクシャフトの回転により生じる遠心力によって、冷媒に比較して比重の大きいオイルは主軸部の外周面の最も軸心より離れた部分にもたらされるため、主軸部の外周面の最も軸心に近い部分、即ちリード溝に溜まる冷媒をガス抜き主孔より排出することができるので、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、さらに良好な給油性能を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明に加えて、主軸部は軸受部と摺動する複数の摺動部と、前記摺動部に挟まれた非摺動部を形成するとともに、連通部は前記非摺動部にあるリード溝とガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通させたものであり、発泡した冷媒が溜まる非摺動部から、冷媒をガス抜き主孔を介して効率よく排出することができるので、請求項3に記載の発明の効果に加えて、さらに良好な給油性能を得ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に加えて、前記偏芯部の下端に前記オイルポンプを設け、前記軸受部と摺動する前記主軸部の外周に刻設したリード溝と前記オイルポンプとを連通させる連通孔を前記クランクシャフトに形成するとともに、前記連通孔とガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通させたもので、発泡した冷媒を摺動部に至るよりも早くガス抜き主孔へ排出することができるので、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、さらに良好な給油性能を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明に加えて、電動要素は少なくとも電源周波数を超える運転周波数でインバータ駆動されるもので、オイルポンプより給油されるオイルの量は運転周波数に依存するので、電源周波数を越える運転周波数ではさらに多くのオイルが摺動部へ導かれ、一層多くの冷媒が発泡することとなるが、これをガス抜き主孔へ排出することができるので、請求項1から5に記載の発明の効果に加えて、電源周波数を超える運転周波数でインバータ駆動されるものにおいても良好な給油性能を得ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明に加えて、冷媒は塩素およびフッ素を含まない炭化水素系の冷媒であるので、炭化水素系の冷媒はパラフィン系のオイルへの溶解が多く、一層多くの冷媒が発泡することとなるが、これをガス抜き主孔へ排出することができるので、請求項1から6に記載の発明の効果に加えて、塩素およびフッ素を含まない炭化水素系の冷媒を用いたものにおいても良好な給油性能を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の断面図、図2は実施の形態1における密閉型圧縮機の要部拡大図、図3は図2のA−A´断面図、図4は図2のB−B´断面図である。
図1から図4において、密閉容器101内に冷媒(図示せず)およびオイル102を封入するとともに、圧縮要素103と圧縮要素103を駆動する電動要素104を収納する。
冷媒は塩素およびフッ素を含まない炭化水素系であり、オイル102は冷媒と相溶性のあるパラフィン系の鉱油である。
電動要素104は固定子141と回転子142とを備え、少なくとも電源周波数を超える運転周波数でインバータ駆動される。
圧縮要素103は、主軸部151と偏芯部153とを備えたクランクシャフト105と、主軸部151を軸支する軸受部106と、軸受部106を固定するとともにシリンダ107を形成するブロック108と、シリンダ107内に往復自在に挿入され、ピストンピン109を内設したピストン110と、偏芯部153とピストンピン109とを連結する連結手段であるコンロッド111とを備えている。
回転子142はクランクシャフト105の主軸部151に固定され、回転運動をクランクシャフト105を通じて圧縮要素103に伝達する。
クランクシャフト105には、偏芯部153の下端に一端がオイル102に浸かり、遠心力でオイル102を上方に搬送するオイルポンプ112が形成されるとともに、オイルポンプ112に連通する給油経路157が形成されている。
給油経路157は、偏芯部153とコンロッド111が形成する摺動部158や主軸部151と軸受部106とが形成する摺動部159に連通しており、軸受部106と摺動する主軸部151の外周に刻設したリード溝154と、リード溝154とオイルポンプ112を連通させる連通孔156等から形成される。
また、主軸部151には、主軸部の軸心151aに対して偏芯穿孔したガス抜き主孔160を設けており、主軸部151の偏芯部153側端面である肩部152から、開口端161が密閉容器101内に開口している。
そして、ガス抜き主孔160の主軸部の軸心151a側とリード溝の底154aとを連通部163で連通させるとともに、ガス抜き主孔160の主軸部の軸心151a側と連通孔156とを連通部164で連通させている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電動要素104にインバータから電力が供給されることで、回転子142とともにクランクシャフト105が回転し、偏芯部153の偏芯運動がコンロッド111を介してピストンピン109からピストン110へ伝わることで、ピストン110がシリンダ107内で往復運動し、冷媒(図示せず)は連続して圧縮され冷凍サイクル(図示せず)へと吐出される。
この際、冷媒とともにオイル102も一部冷凍サイクルへ吐出されるが、冷媒とオイル102とは相溶性を有しているため、冷凍サイクルへ吐出されたオイル102は冷媒とともに密閉容器101へ戻ってくる。
また、クランクシャフト105の回転に伴って、オイルポンプ112内ではオイル102に遠心力が働き、オイル102は給油経路157を通って上方に搬送される。その結果、給油経路157が連通する偏芯部153とコンロッド111が形成する摺動部158や主軸部151と軸受部106とが形成する摺動部159を潤滑している。
一方、オイル102は冷媒と相溶性があるのでオイル102には冷媒が溶け込んでいる。冷媒がオイル102に溶け込む量は温度や圧力によって変化するが、特に長期に渡って運転しない状態が続いた後は大量の冷媒がオイル102に溶け込むことになる。さらには冷媒がR600aに代表される塩素やフッ素を含まない炭化水素系の冷媒で、オイル102は冷媒と相溶性のあるパラフィン系の鉱油であるため、さらに飽和溶解量が多くなり、オイル102に溶け込む冷媒の量は増える。
こういったオイル102に溶け込んだ冷媒は、密閉型圧縮機の運転に伴う圧力の低下や温度の上昇、攪拌等の外乱によって蒸発、発泡を起こす。この現象はオイル102がオイルポンプ112から給油経路157を通過する間にも発生し、オイルポンプ112や給油経路157の中で大量の冷媒の蒸発が発生する。
さらに、インバータ駆動により電源周波数を超える運転周波数で運転されると、オイルポンプ112より給油されるオイル102の量は運転周波数の増加に伴って多くなるため、オイル102に溶解した冷媒は主軸部151での受熱により一層多く発泡する。
しかしながら、こうして給油経路157で発生した大量の冷媒は、連通部163,164を介してガス抜き主孔160から密閉容器101内へと排出することができるため、給油経路157で発泡した冷媒が給油経路157を封止するといった、いわゆるガス噛み現象を防ぎ、摺動部158,159などへの給油阻害を減少させることができる。
ここで、クランクシャフト105の回転により生じる遠心力によって、冷媒に比較して比重の大きいオイル102は外周面の最も主軸部の軸心151aより離れた部分に分布しやすい。そのため、主軸部151と軸受部106との摺動によって発泡した冷媒は、オイル102に比較して比重が小さいので主軸部151の外周面の最も主軸部の軸心151aに近い部分であるリード溝の底154aの方に分布することになる。従って、ガス抜き主孔160の主軸部の軸心151a側とリード溝154とが連通部163で連通していることで、連通部163はオイル102によって封止されにくく、リード溝154に溜まる冷媒をガス抜き主孔160へ効率よく排出することができる。
一方、ガス抜き主孔160は主軸部の軸心151aに対して偏芯穿孔しているため、ガス抜き主孔160に侵入したオイル102はクランクシャフト105の回転により発生する遠心力によりガス抜き主孔160の反軸心側壁面に寄り、ガス抜き主孔160の軸心側にはオイル102が存在しない空間が確保される。
つまり、このガス抜き主孔160の軸心側に確保されるオイル102が存在しない空間が冷媒が抜ける通路となり、かつその通路に連通部163,164が連通するため、給油経路157で発生したり、貯留したオイル102の中で発泡し給油経路157に搬送された大量の冷媒は、連通部163,164を介してガス抜き主孔160から密閉容器101内へと極めて安定して排出することができるのである。
その結果、発泡した冷媒が給油経路157を封止する、いわゆるガス噛み現象を防ぎ、摺動部158,159への給油阻害を大幅に減少させることができる。
従って、偏芯部153とコンロッド111が形成する摺動部158や、主軸部151と軸受部106とが形成する摺動部159へ安定した給油が可能となり、高い信頼性を備えた密閉型圧縮機を提供することができる。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の断面図、図6は本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の要部拡大図、図7は図6のC−C´断面図である。
以下、図5、図6、図7に基づいて本実施の形態について説明する。なお、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省く。実施の形態1とは主にクランクシャフトの構成が異なり、他の構成は同じである。
圧縮要素203を形成するクランクシャフト205には、偏芯部253の下端に一端がオイル102に浸かり、遠心力でオイル102を上方に搬送するオイルポンプ112が形成されるとともに、オイルポンプ112に連通する給油経路257が形成されている。
給油経路257は、偏芯部253とコンロッド111が形成する摺動部264や主軸部251と軸受部106とが形成する摺動部255,259に連通しており、軸受部106と摺動する主軸部251の外周に刻設したリード溝254と、リード溝254と給油経路257とを連通させる連通孔256等から形成される。
主軸部251には、主軸部251の径を小さくすることで形成された非摺動部258が摺動部255,259の間に設けられている。
また、主軸部251には、主軸部の軸心251aに対して偏芯穿孔したガス抜き主孔260を設けており、主軸部251の偏芯部253側端面である肩部252から密閉容器101内に開口端261が開口している。そして、ガス抜き主孔260は開口端261に向かって主軸部251の外周側へ傾斜させている。
そして、ガス抜き主孔260の主軸部の軸心251a側と、非摺動部258に位置するリード溝254の底部とを連通部263で連通させている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電動要素104にインバータ装置(図示せず)から電力が供給されることで、回転子142とともにクランクシャフト205が回転し、偏芯部253の偏芯運動がコンロッド111を介してピストンピン109からピストン110へ伝わることで、ピストン110がシリンダ107内で往復運動し、冷媒(図示せず)は連続して圧縮され冷凍サイクル(図示せず)へと吐出される。
この際、冷媒とともにオイル102も一部冷凍サイクルへ吐出されるが、冷媒とオイル102とは相溶性を有しているため、冷凍サイクルへ吐出されたオイル102は冷媒とともに密閉容器101へ戻ってくる。
また、クランクシャフト205の回転に伴って、オイルポンプ112内ではオイル102に遠心力が働き、オイル102は給油経路257を通って上方に搬送される。その結果、給油経路257が連通する偏芯部253とコンロッド111が形成する摺動部264や、主軸部251と軸受部106とが形成する摺動部255,259を潤滑している。
また、主軸部251の略中央には非摺動部258が設けられていることで、主軸部251と軸受部106とが形成する摺動部の面積を小さくでき、その結果、オイル102の粘性抵抗による摺動ロスを小さくしている。
一方、オイル102は冷媒と相溶性があるのでオイル102には冷媒が溶け込んでいる。冷媒が溶け込む量は温度や圧力によって変化するが、特に長期に渡って運転しない状態が続いた後は大量の冷媒がオイル102に溶け込むことになる。さらには冷媒がR600aに代表される塩素やフッ素を含まない炭化水素系の冷媒で、オイル102は冷媒と相溶性のあるパラフィン系の鉱油であるため、さらに飽和溶解量が多くなり、オイル102に溶け込む冷媒の量は増える。
こういったオイル102に溶け込んだ冷媒は、密閉型圧縮機の運転に伴う圧力の低下や温度の上昇、攪拌等の外乱によってオイル102から蒸発し発泡を起こす。この現象は、オイル102がオイルポンプ112から給油経路257を通過する間にも発生し、オイルポンプ112や給油経路257の中で大量の冷媒の蒸発する現象が発生する。
さらにインバータ駆動により電源周波数を超える運転周波数で運転されると、オイルポンプ112より給油されるオイル102の量は運転周波数の増加に伴って多くなるため、オイル102に含まれた冷媒は主軸部251での受熱により一層多く発泡する。
しかしながら、給油経路257で発生した大量の冷媒は連通部263を介してガス抜き主孔260から密閉容器101内へと排出することができるため、給油経路257で発泡した冷媒が給油経路257を封止する、いわゆるガス噛み現象を防ぎ、摺動部255,259,264への給油阻害を減少させることができる。
ここで、クランクシャフト205の回転により生じる遠心力によって、冷媒に比較して比重の大きいオイル102は外周面の最も主軸部の軸心251aより離れた部分に分布しやすい。従って、主軸部251と軸受部106との摺動によって発泡した冷媒は、オイル102に比較して比重が小さいので外周面の最も主軸部の軸心251aに近い部分、即ちリード溝254の底の方に分布することになる。特に、本実施の形態においては主軸部251には径を小さくした非摺動部258が設けられているが、こういった空間には発泡した冷媒が特に滞留しやすい。
しかしながら、本実施の形態では、ガス抜き主孔260の主軸部の軸心251a側と非摺動部258に位置するリード溝254とが連通部263で連通していることで、連通部263がオイル102によって封止されにくく、非摺動部258やリード溝254に滞留した冷媒をガス抜き主孔260へ効率よく排出することができる。
一方、ガス抜き主孔260は主軸部の軸心251aに対して偏芯穿孔しているため、ガス抜き主孔260に侵入したオイル102はクランクシャフト205の回転により発生する遠心力によりガス抜き主孔260の反軸心側壁面に寄り、ガス抜き主孔260の軸心側にはオイル102が存在しない空間がガス抜き主孔260の軸心側に確保される。つまり、冷媒が抜ける通路が確保され、かつその通路に連通部263が連通するため、給油経路257で発生したり、貯留したオイル102の中で発泡し給油経路257に搬送された大量の冷媒は、連通部263を介してガス抜き主孔260から密閉容器101内へと極めて安定して排出することができるのである。
さらに、ガス抜き主孔260は開口端261に向かって、主軸部251の外周側へ傾斜させているため、ガス抜き主孔260に侵入したオイル102は、クランクシャフト205の回転により発生する遠心力により開口端261より密閉容器101内へと滞留することなく排出されるため、ガス抜き主孔260内にはオイル102がほとんど存在せず、冷媒が抜ける通路がより確実に形成されることになる。
従って、給油経路257で発生したり、貯留したオイル102の中で発泡し給油経路257に搬送された冷媒を、より確実に開口端261より密閉容器101内へと排出することができ、冷媒が給油経路257を封止する、いわゆるガス噛み現象を防ぎ、摺動部255,259,264などへの給油阻害を大幅に減少させることができる。
その結果、偏芯部253とコンロッド111が形成する摺動部や主軸部251と軸受部106とが形成する摺動部へ安定した給油が可能となり、高い信頼性を備えた密閉型圧縮機を提供することができる。
なお、実施の形態1、2で示した構成では、冷媒を塩素およびフッ素を含まない炭化水素系の冷媒、オイルを炭化水素系の冷媒に相溶性のあるパラフィン系のオイルとして説明したが、塩素を含まないHFC系の冷媒とその冷媒に相溶性のあるエステル系のオイルとの組み合わせにおいても同様の作用、効果が得られる。
また、電源周波数を超える運転周波数でインバータ駆動される電動要素を用いて説明したが、電源周波数を下回る運転周波数でインバータ駆動される電動要素、インダクション駆動される電動要素においても同様の作用、効果が得られる。
また、電動要素が圧縮要素の上側にある密閉型圧縮機として図示したが、電動要素が圧縮要素の下側にある密閉型圧縮機においても同様の効果、作用が得られる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、給油経路の冷媒をガス抜き主孔へ排出することで、良好な給油特性を得ることが可能となるので、高い信頼性を得ることができ、冷凍冷蔵庫や冷凍ショーケース等の用途以外にも空調機や除湿機等の冷凍サイクルの用途にも適用することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の断面図 本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の要部拡大図 図2のA−A´断面図 図2のB−B´断面図 本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の断面図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の要部拡大図 図6のC−C´断面図 従来の密閉型圧縮機の断面図 従来の密閉型圧縮機の要部拡大図
符号の説明
101 密閉容器
102 オイル
103,203 圧縮要素
104 電動要素
105,205 クランクシャフト
106 軸受部
112 オイルポンプ
151,251 主軸部
151a,251a 主軸部の軸心
152,252 肩部
153,253 偏芯部
154,254 リード溝
156,256 連通孔
157,257 給油経路
158,159,255,259,264 摺動部
160,260 ガス抜き主孔
161,261 開口端
163,164,263 連通部
258 非摺動部

Claims (7)

  1. 密閉容器内に冷媒およびオイルを封入するとともに圧縮要素と電動要素を収納し、前記圧縮要素は主軸部と偏芯部とを備えたクランクシャフトと、前記クランクシャフトに設け一端が前記オイルに浸かるオイルポンプと、前記主軸部を軸支する軸受部とを備え、前記クランクシャフトに前記オイルポンプに連通する給油経路を設けるとともに、前記主軸部の肩部に開口し前記主軸部の軸心に対して偏芯穿孔したガス抜き主孔を設け、前記給油経路と前記ガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通部で連通させた密閉型圧縮機。
  2. ガス抜き主孔は開口端に向かって主軸部の外周側へ傾斜させた請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 連通部は主軸部の外周に刻設したリード溝とガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通させたものである請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 主軸部は軸受部と摺動する複数の摺動部と、前記摺動部に挟まれた非摺動部を形成するとともに、連通部は前記非摺動部にあるリード溝とガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通させたものである請求項3に記載の密閉型圧縮機。
  5. 偏芯部の下端にオイルポンプを設け、主軸部の外周に刻設したリード溝と前記オイルポンプとを連通させる連通孔を前記クランクシャフトに形成するとともに、前記連通孔とガス抜き主孔の前記主軸部の軸心側とを連通させた請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  6. 電動要素は少なくとも電源周波数を超える運転周波数でインバータ駆動される請求項1から5のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  7. 冷媒は塩素およびフッ素を含まない炭化水素系の冷媒である請求項1から6のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105351171A (zh) * 2015-12-24 2016-02-24 常熟市淼泉压缩机配件有限公司 压缩机用曲轴

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