JP2005179715A - 耐摩耗性銅基合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、殊に肉盛して肉盛層を形成する場合に適する耐摩耗性銅基合金を提供する。
【解決手段】耐摩耗性銅基合金は、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上:2.7〜22.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成を有する。モリブデン炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、タンタル炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物及びハフニウム炭化物のうちの1種または2種以上:0.01〜5.0%を含むことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は耐摩耗性銅基合金に関する。本発明は例えば摺動材料に適用することができる。
従来、耐摩耗性銅基合金として、銅にベリリウムを添加した合金、コルソン合金として知られる銅−ニッケル−シリコン合金、銅基マトリックスにSiO2、Cr23、BeO等の硬質酸化物粒子を分散させた分散強化型の合金が知られている。しかしこれらの合金は凝着の問題があり、耐摩耗性は必ずしも充分な特性を有するものではない。
そこで本出願人は、銅よりも酸化し易い亜鉛やスズを含有した耐摩耗性銅基合金を開発した。このものでは亜鉛やスズの酸化物の生成により耐凝着性が改善され、銅基合金の耐摩耗性が向上する。しかしながら亜鉛やスズは銅よりも融点がかなり低いため、必ずしも満足できるものではない。殊に、レーザビーム等の高密度エネルギ熱源を用いて上記した銅基合金の肉盛層を形成する際には、肉盛の際には亜鉛やスズが蒸発し易く、合金元素の目標濃度を維持するのが容易ではなかった。そこで、近年、重量%で、ニッケル:10.0〜30.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.0〜15.0%、クロム:1.0〜10.0%、コバルト:2.0〜15.0%、並びに、モリブデン、タングステン、ニオブ及びバナジウムのうちの1種または2種以上:2.0〜15.0%を含む組成を有する耐摩耗性銅基合金が本出願人により開発されている(特許文献1:特開平8−225868号公報、特許文献2:特公平7−17978号公報)。この合金においては、Co−Mo系のシリサイド(珪化物)を有する硬質粒子とCu−Ni系のマトリックスとを主要素としている。この耐摩耗性銅基合金の耐摩耗性はCo−Mo系のシリサイドを有する硬質粒子で主として確保されており、この耐摩耗性銅基合金の耐ワレ性はCu−Ni系のマトリックスで主として確保されている。この合金は厳しい条件で使用されたとしても、耐摩耗性が高い。更に、亜鉛、スズが積極的元素として用いられておらず、肉盛する場合であっても合金元素の蒸発の不具合が少なく、ヒューム等の発生が少ない。よって、殊にレーザビーム等の高密度エネルギ熱源を用いて肉盛層を形成する肉盛用合金として適する。
上記したように特許文献3(特開平8−225868号公報)、特許文献4(特公平7−17978号公報)に係る合金は、厳しい条件で使用されたとしても、優れた耐摩耗性を示す。殊に、酸化雰囲気や大気中においては、良好なる固体潤滑性を示す酸化物が生成するため、優れた耐摩耗性を示す。
しかしながら上記したCo−Mo系のシリサイドは耐摩耗性改善効果を有するものの、硬くて脆いため、硬質粒子の面積率を高める方向に合金組成を調整すると、耐摩耗性銅基合金の耐ワレ性が低下する。殊に、耐摩耗性銅基合金が肉盛りされる場合には、ビードワレが発生することがあり、肉盛歩留まりが低下する。逆に、耐摩耗性銅基合金における硬質粒子の面積率を低くする方向に合金組成を調整すると、耐摩耗性銅基合金の耐摩耗性は低下する。
近年、上記した耐摩耗性銅基合金は様々な環境で使用されつつあり、しかもその使用条件は一層苛酷になりつつある。そこで様々な環境においても優れた耐摩耗性を発揮できることが要請されている。よって産業界においては、上記した公報に係る合金よりも、耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性をバランスよく兼ね備えている合金が要望されている。
特開平8−225868号公報 特公平7−17978号公報 特開平8−225868号公報 特公平7−17978号公報
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、殊に肉盛して肉盛層を形成する場合に適し、耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性をバランスよく兼ね備えている耐摩耗性銅基合金を提供することを課題とする。
本発明者は上記した課題のもとに鋭意開発をすすめ、硬質粒子の主要素であるCo−Mo系のシリサイドは硬くて脆い性質(一般的にはHv1200程度)を有し、ワレの起点となり易いことに着目した。そして、本発明者は、コバルト量を減少させ、代わりにモリブデン量を増加させることにより、硬くて脆い性質を有するCo−Mo系のシリサイドを減少または消失させると共に、Co−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く且つ靱性も若干高い性質をもつFe−Mo系のシリサイドの割合を増加させ得ることを知見し、これにより高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性をバランスよく高め得る耐摩耗性銅基合金を近年開発した。更に、ニオブ炭化物が含有していれば、硬質粒子の微細化に貢献でき、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性をバランスよく高め得ることを知見し、ニオブ炭化物が含有されている耐摩耗性銅基合金を近年開発した。
本発明は上記した開発の一環としてなされたものであり、コバルト量を減少させつつ、モリブデンの代わりにまたはモリブデンと共に、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上を含有させれば、硬くて脆い性質を有するCo−Mo系のシリサイドを減少または消失させ得ると共に、Co−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く且つ靱性も若干高い性質をもつシリサイドの割合を増加させ得、これにより高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を一層バランスよく高め得る耐摩耗性銅基合金を提供できることを知見した。
かかる知見に基づいて、上記した特開平8−225868号公報、特公平7−17978号公報に係る合金組成に対して、コバルト量及びニッケル量を含有させつつも、コバルト量及びニッケル量を減少させ、且つ、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上を含有させることにより、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性をバランスよく高め得る第1発明に係る耐摩耗性銅基合金を開発した。
更に第1発明に係る耐摩耗性銅基合金に、モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、バナジウムのうちの1種または2種以上を2.7〜22.0%含有すると共に、モリブデン炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、タンタル炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物及びハフニウム炭化物のうちの1種または2種以上が0.01〜5.0%含有されていれば、高温領域における耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性を更に高め得ることを知見し、かかる知見に基づいて第2発明に係る耐摩耗性銅基合金を開発した。
上記した効果が得られる主な理由としては、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムは、モリブデン、タングステン、バナジウムと同様に、硬質粒子内においてラーベス相及び炭化物硬質相の双方を生成させ得、これにより硬質粒子内においてCo−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く且つ靱性も若干高い性質をもつシリサイドの割合を増加させ得るためと推察される。
即ち、第1発明に係る耐摩耗性銅基合金は、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、
タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上:2.7〜22.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成を有することを特徴とするものである。
第2発明に係る耐摩耗性銅基合金は、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、
モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種または2種以上:2.7〜22.0%、
モリブデン炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、タンタル炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物及びハフニウム炭化物のうちの1種または2種以上:0.01〜5.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成を有することを特徴とするものである。
なお本明細書では特に断らない限り、%は重量%を意味する。
第1発明、第2発明に係る耐摩耗性銅基合金によれば、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、従って、耐摩耗性、耐ワレ性、被削性をバランス良く満たすことができる。殊に、後述する実施例のデータで示すように、耐ワレ性を向上させることができる。
更に、耐摩耗性銅基合金を肉盛して使用する場合には、耐摩耗性、耐ワレ性、被削性の他に、肉盛性をバランス良く満たすことができる。
第1発明、第2発明に係る耐摩耗性銅基合金によれば、一般的には、硬質相を有する硬質粒子がマトリックスに分散している組織が得られる。耐摩耗性銅基合金の代表的なマトリックスとしては、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とするシリサイドとを主要素として形成されている形態を採用できる。
硬質粒子の平均硬度はマトリックスの平均硬度よりも高い。硬質粒子は一般的にはシリサイド(珪化物)を含む形態を採用することができる。硬質粒子の他にマトリックスもシリサイド(珪化物)を含む形態を採用することができる。
ここで、硬質粒子としては、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種または2種以上を主要成分とするシリサイド(珪化物)を含む形態を採用することができる。また硬質粒子としては、モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種または2種以上を主要成分とするシリサイド(珪化物)を含む形態を採用することができる。また硬質粒子としては、モリブデン、タングステン、バナジウムのうちの1種または2種以上と、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種または2種以上を主要成分とするシリサイド(珪化物)を含む形態を採用することができる。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金によれば、一般的には、硬質粒子が分散したマトリックスの平均硬度(マイクロビッカース)としてはHv130〜250程度、殊にHv150〜200にでき、硬質粒子の平均硬度としてはマトリックスよりも硬く、Hv250〜700程度、殊にHv300〜500にできる。硬質粒子の体積比は適宜選択されるが、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち、体積比で例えば5〜70%程度、10〜60%程度、12〜55%程度とすることができる。硬質粒子の粒径は耐摩耗性銅基合金の組成や耐摩耗性銅基合金の凝固速度等にも影響されるが、一般的には、5〜3000μm、10〜2000μm、40〜600μmとすることができ、更には、50〜500μm、50〜200μmとすることができるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金に係る組成の限定理由ついて説明を加える。
ニッケル:4.7〜22.0%、殊に5.0〜20.0%
ニッケルは一部が銅に固溶して銅基のマトリックスの靱性を高め、他の一部はニッケルを主要成分とする硬質なシリサイド(珪化物)を形成して分散強化により耐摩耗性を高める。またニッケルはコバルト、鉄等と共に硬質粒子の硬質相を形成することを期待できる。上記した含有量の下限値未満では、銅−ニッケル系合金の有する特性、特に良好なる耐食性、耐熱性及び耐摩耗性が発現しにくくなり、更に、硬質粒子が減少し、上記した効果が充分に得られない。更にコバルト、鉄を添加できる量が少なくなる。上記した含有量の上限値を越えると、硬質粒子が過剰となり、靱性が低くなり、肉盛層としたときワレが発生し易くなり、更に肉盛する場合には、肉盛の相手材である対象物に対する肉盛性が低下する。上記した事情を考慮し、4.7〜22.0%、殊に、5.0〜20.0%としている。ニッケルは例えば5.3〜18%、殊に5.5〜17.0%とすることができる。なお、本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、ニッケルの上記含有量範囲の下限値としては5.2%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては例えば19.5%、19.0%、18.5%、18.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
シリコン:0.5〜5.0%
シリコンはシリサイド(珪化物)を形成する元素であり、ニッケルを主要成分とするシリサイド、または、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを主要成分とするシリサイドを形成し、更に銅基のマトリックスの強化に寄与する。
上記した含有量の下限値未満では、上記した効果が充分に得られない。上記した含有量の上限値を越えると、耐摩耗性銅基合金の靱性が低下し、肉盛層としたときワレが発生し易くなり、対象物に対する肉盛性が低下する。上記した事情を考慮し、シリコンは0.5〜5.0%としている。例えば、シリコンは1.0〜4.0%、殊に1.5〜3.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、シリコンの上記含有量範囲の下限値としては0.55%、0.6%、0.65%、0.7%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては4.5%、4.0%、3.8%、3.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
コバルト:0.01〜2.00%
コバルトは銅中にはほとんど固溶せず、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムと共にシリサイドを生成し、シリサイドを安定化させる働きをする。またコバルトは2.00%まではニッケル、鉄、クロム等と固溶体を形成し、靱性を向上させる傾向が認められる。またコバルトは融液状態における液相分離傾向を高める。マトリックスとなる液相部分から分離された液相が主として硬質粒子を生成すると考えられる。上記した含有量の下限値未満では、上記した効果が充分に得られないおそれが高い。なお、コバルトが0%である場合には、ワレ感受性が高くなる。
上記したコバルト含有量の上限値を越えると、硬質相の粗大化が激しくなり、相手攻撃性が高まり易くなり、耐摩耗性銅基合金の靱性が低くなり、更に対象物に肉盛する場合にはワレが発生し易くなる。上記した事情を考慮してコバルトは0.01〜2.00%とする。例えばコバルトは0.01〜1.97%、0.01〜1.94%、0.20〜1.90%、殊に0.40〜1.85%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、コバルトの上記含有量範囲の上限値としては1.90%、1.80%、1.60%、1.50%を例示でき、その上限値に対応する下限値としては0.02%、0.03%、0.05%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
鉄:2.7〜22.0%、殊に3.0〜20.0%
鉄は基本的にはコバルトと同様な働きをし、コスト高なコバルトと置き換えることができる。鉄は銅基のマトリックスにはほとんど固溶せず、主に、鉄、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの少なくとも1種を含むシリサイドとして硬質粒子中に存在し易い。上記したシリサイドを多く生成させるために、鉄を2.7〜22.0%、殊に3.0〜20.0%としている。上記した含有量の下限値未満では、硬質粒子が減少して耐摩耗性が低下し、上記した効果が充分に得られない。上記した含有量を越えると、硬質粒子における硬質相の粗大化が激しくなり、耐摩耗性銅基合金の耐ワレ性が低下し、更に相手攻撃性が高まる。上記した事情を考慮して前記したように鉄を2.7〜22.0%、殊に3.0〜20.0%としている。例えば、鉄は3.1〜19.0%、殊に3.5〜18.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、鉄の上記含有量範囲の上限値としては21.0%、19.0%、18.0%、16.0%を例示でき、その上限値に対応する鉄の下限値としては3.0%、3.3%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
クロム:1.0〜15.0%
クロムは基本的には鉄やコバルトと同様な働きをし、銅基のマトリックスにはほとんど固溶せず、ニッケルの一部及びコバルトの一部と合金化して、耐酸化性を高める。更にクロムは硬質相に存在し、更に融液状態における液相分離傾向を高める。上記した含有量の下限値未満では、上記した効果が充分に得られない。上記した含有量の上限値を越えると、硬質相の粗大化が激しくなり、相手攻撃性が高まる。上記した事情を考慮してクロムは1.0〜15.0%としている。例えばクロムは1.0〜10.0%、殊に1.1〜8.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、クロムの上記含有量範囲の下限値としては例えば1.1%、1.2%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては例えば7.0%、6.0%、4.0%、3.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上:2.7〜22.0%、殊に3.0〜20.0%
タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムは、モリブデン、タングステン、バナジウムと同様に、シリコンと結合してシリサイド(一般的には、靱性を有するシリサイド)を硬質粒子内に生成し、高温における耐摩耗性と潤滑性とを高める。このシリサイドはCo−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く、靱性が高い。よって硬質粒子内に生成し、高温における耐摩耗性と潤滑性とを高める。タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムは、硬質粒子においてラーベス相及び炭化物の双方を生成させ得ると推察される。上記したタンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを主要成分とするシリサイドは、500〜700℃程度の比較的低い温度領域においても、しかも酸素分圧が低い環境においても、固体潤滑性に富む酸化物を生成し易い。この酸化物は、使用時に銅基のマトリックスの表面を覆い、相手材とマトリックスとの直接接触を避けるのに有利となる。これにより自己潤滑性が確保される。
タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上が上記した含有量の下限値未満では、耐摩耗性が低下し、改善効果が充分に発揮されない。また上限値を越えると、硬質粒子が過剰となり、靱性が損なわれ、耐ワレ性が低下し、ワレが発生し易くなる。上記した事情を考慮して2.7〜22.0%、殊に3.0〜20.0%としている。例えば、3.0〜19.0%、殊に3.0〜18.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上の上記含有量範囲の下限値としては3.2%、4.0%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては18.0%、17.0%、16.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上と共に、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上とが含有されていても良い。この場合についても基本的には同様の働きが得られる。従って、モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、バナジウムのうちの1種または2種以上を、2.7〜22.0%、殊に3.0〜20.0%含有することができる。
ここで、モリブデン、タングステン、バナジウムのうちの1種または2種以上と、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種または2種以上とを、合計で2.7〜22.0%含有することができる。
モリブデン炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、タンタル炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物及びハフニウム炭化物のうちの1種または2種以上:0.01〜5.0%
これらの炭化物は、硬質粒子の核生成作用を期待でき、硬質粒子の微細化を図り、耐ワレ性及び耐摩耗性を両立させるのに貢献できると推察される。これらの炭化物は、一つの元素の炭化物である単炭化物でも良いし、あるいは、複数の元素の炭化物である複合炭化物でも良い。上記した炭化物が上記含有量の下限値未満では、改善効果は必ずしも充分ではない。上記含有量の上限値を越えると、耐ワレ性を阻害する傾向が認められる。上記した事情を考慮して0.01〜5.0%としている。好ましく、0.01〜4.5%、0.05〜4.0%、更には、0.05〜3.0%、0.05〜2.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、上記した炭化物の上記含有量範囲の上限値としては4.7%、3.0%、2.5%、2.0%を例示でき、その下限値に対応する下限値としては0.02%、0.04%、0.1%を例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、上記した炭化物と共にニオブ炭化物が併有されていても良い。また上記した炭化物は必要に応じて含有されるものであり、上記した炭化物が含有されていない場合でも良い。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、次の少なくとも一つの実施形態を採用することができる。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、例えば、対象物に肉盛される肉盛合金として用いることができる。肉盛方法としては、レーザビーム、電子ビーム、アーク等の高密度エネルギ熱源を用いて溶着して肉盛する方法が例示される。肉盛の場合には、本発明に係る耐摩耗性銅基合金を粉末またはバルク体として肉盛用素材とし、その粉末またはバルク体を被肉盛部に集合させた状態で、上記したレーザビーム、電子ビーム、アーク等の高密度エネルギ熱源に代表される熱源を用いて溶着して肉盛することができる。また上記した耐摩耗性銅基合金は、粉末またはバルク体に限らず、ワイヤ化、棒状化した肉盛用素材としても良い。レーザビームとしては炭酸ガスレーザビーム、YAGレーザビーム等の高エネルギ密度をもつものが例示される。肉盛される対象物の材質としてはアルミニウム、アルミニウム系合金、鉄または鉄系合金、銅または銅系合金等が例示される。対象物を構成するアルミニウム合金の基本組成としては鋳造用のアルミニウム合金、例えば、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Zn系等を例示できる。対象物としては内燃機関や外燃機関等の機関が例示される。内燃機関の場合には動弁系材料が例示される。この場合には、排気ポートを構成するバルブシートに適用しても良いし、吸気ポートを構成するバルブシートに適用しても良い。この場合には、本発明に係る耐摩耗性銅基合金でバルブシート自体を構成しても良いし、本発明に係る耐摩耗性銅基合金をバルブシートに肉盛することにしても良い。但し、本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、内燃機関などの機関の動弁系材料に限定されるものではなく、耐摩耗性が要請される他の系統の摺動材料、摺動部材、焼結材にも使用できるものである。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金としては、肉盛に用いられる場合には、肉盛後の肉盛層を構成しても良いし、肉盛前の肉盛用合金でも良い。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、例えば銅基の摺動部材及び摺動部位に適用することができ、具体的には、内燃機関に搭載される銅基の動弁系材料にも適用することができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、肉盛用、鋳造用、焼結用として用いることができる。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1を参考例と共に具体的に説明する。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(Aシリーズ,Aはタンタルの含有を意味する)の組成(分析組成)を表1に示す。分析組成は基本的には配合組成と整合する。実施例1の組成はコバルトが2%以内であり、タンタルを含有しており、表1に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、タンタル:2.7〜22.0%、残部:銅を含む組成内に設定されている。なお、表1に示す試料i、試料a、試料c、試料e、試料g、試料xは、モリブデンを含有するものの、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムを含有しておらず、請求項1の組成範囲から外れており、参考例を示す。
上記した各試料は、高真空中で溶解した合金溶湯をガスアトマイズ処理して製造した粉末である。粉末の粒度は5μm〜300μmである。ガスアトマイズ処理は、高温の溶湯をノズルから非酸化性雰囲気(アルゴンガスまたは窒素ガスの雰囲気)において噴出させることにより行った。上記した粉末はガスアトマイズ処理で形成されているため、成分均一性が高い。
そして図1に示すように、肉盛の対象物であるアルミニウム合金(材質:AC2C)で形成された基体50を用い、上記した試料(粉末状)を基体50の被肉盛部51に載せて試料層53を形成した状態で、炭酸ガスレーザのレーザビーム55をビームオシレータ57により揺動させると共に、レーザビーム55と基体50とを相対的に移動させ、これによりレーザビーム55を試料層53に照射処理し、以て試料53を溶融凝固させて肉盛層60(肉盛厚み:2.0mm、肉盛幅:6.0mm)を基体50の被肉盛部51に形成した。
このときガス供給管65からシールドガス(アルゴンガス)を肉盛箇所に吹き付けつつ行った。上記した照射処理では、ビームオシレータ57によりレーザビーム55を試料層53の幅方向(矢印W方向)に振った。上記した照射処理では、炭酸ガスレーザのレーザ出力を4.5kW、レーザビーム55の試料層53でのスポット径を2.0mm、レーザビーム55と基体50との相対走行速度を15.0mm/sec、シールドガス流量を10リットル/minとした。他の試料についても同様に肉盛層をそれぞれ形成した。
各試料で形成した肉盛層について調べたところ、硬質相を有する硬質粒子が肉盛層のマトリックスに分散していた。耐摩耗性銅基合金に占める硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。マトリックスの平均硬度、硬質粒子の平均硬度、硬質粒子のサイズは前述した範囲内であった。
各試料を用いて形成した肉盛層について肉盛時のワレ発生率を調べた。更に摩耗試験を行い、各試料を用いて形成した肉盛層に関する摩耗量も調べた。摩耗試験は、図2に示すように肉盛層101をもつ試験片100を第1ホルダ102に保持すると共に、誘導コイル104が外周囲に巻回された円筒形状の相手材106を第2ホルダ108に保持した状態で、相手材106を誘導コイル104で高周波誘導加熱しつつ、相手材106を回転せ、相手材106の軸端面を試験片100の肉盛層101に押しつけることにより試験を行った。試験条件としては、荷重を2.0MPa、摺動速度を0.3m/sec、試験時間を1.2ksec、試験片100の表面温度を323〜523Kとした。相手材106としては、JIS−SUH35相当材の表面に耐摩耗合金ステライトを被覆したものを用いた。更に切削試験を行い、各試料を用いて形成した肉盛層の被削性についても調べた。切削試験は、肉盛層を形成したシリンダヘッドを切削刃具1個で切削加工できる加工台数で評価した。
表1は、各試料の組成を示す他に、肉盛層における肉盛り時のワレ発生率(%)、摩耗試験における肉盛層の摩耗重量(mg)、切削試験における肉盛層の被削性(台数)の試験結果を示す。ここで、ワレ発生率が少ないほど、耐ワレ性が良好であることを示す。摩耗重量が少ないほど、耐摩耗性が良好であることを示す。台数が多いほど、被削性が良好であることを示す。
参考例である試料i、試料a、試料c、試料e、試料g、試料xによれば、コバルト量を2%以下に減少させているため、硬くて脆い性質を有するCo−Mo系のシリサイドを減少または消失させると共に、Co−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く且つ靱性も若干高い性質をもつシリサイドの割合を増加させ得るため、高温領域における耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性をバランスよく高めることができる。
しかしながら近年はますます厳しい要求特性となっており、耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性を更にバランスよく高めることが要請されている。ここで、表1に示すように、参考例に係る試料iについては、摩耗重量及び被削性は良好であるものの、耐ワレ性は必ずしも充分ではない。参考例に係る試料aについては、摩耗重量は良好であるものの、耐ワレ性及び被削性は必ずしも充分ではない。参参考例に係る試料c,試料gについては、耐ワレ性及び被削性は良好であるものの、摩耗重量が大きい。
これに対して実施例1に係る各試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く0%であり、耐ワレ性は良好であった。タンタル含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であり、耐ワレ性は良好であった。
更に、摩耗重量についてみると、参考例に係る試料c、試料gで形成した肉盛層については、耐摩耗性改善効果が認められるものの、摩耗重量はまだ多く、10mgを越えており、必ずしも充分ではなかったが、これに対して実施例1に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は10mg以下であり低くく、耐摩耗性改善効果は良好であった。殊に、試料A2、試料A7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。
被削性については、参考例に係る試料aで形成した肉盛層については、加工台数が少なく、充分ではなかったが、実施例1に係る試料で形成した肉盛層については摩耗重量は低く、良好な耐摩耗性が得られた。従って、表1に示す試験結果から理解できるように、実施例1に係る各試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例2)
以下、本発明の実施例2を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(Tシリーズ、Tはチタンの含有を意味する)の組成を表1に示す。実施例1の組成はコバルトが2%以内であり、チタンを含有しており、表1に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、チタン:2.7〜22.0%、残部:銅を含む組成内に設定されている。
各試料で形成した肉盛層について調べたところ、硬質相を有する硬質粒子が肉盛層のマトリックスに分散していた。耐摩耗性銅基合金に占める硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。マトリックスの平均硬度、硬質粒子の平均硬度、硬質粒子のサイズは前述した範囲内であった。
表2に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例2に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。チタン含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。
摩耗重量についてみると、実施例2に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は8mg以下であり、低かった。殊に、試料T2、試料T7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多く、充分であった。従って、表2に示す試験結果から理解できるように、実施例2に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例3)
以下、本発明の実施例3を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(Zシリーズ,Zはジルコニウムの含有を意味する)の組成を表3に示す。実施例3の組成はコバルトが2%以内であり、ジルコニウムを含有しており、表3に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、ジルコニウム:2.7〜22.0%、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表3に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例3に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。ジルコニウム含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例3に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は9mg以下であり、低かった。殊に、試料Z2、試料Z7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表3に示す試験結果から理解できるように、実施例3に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例4)
以下、本発明の実施例4を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(Hシリーズ,Hはハフニウム含有を意味する)の組成を表4に示す。実施例4の組成はコバルトが2%以内であり、ハフニウムを含有しており、表4に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、ハフニウム:2.7〜22.0%、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表4に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例4に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。ハフニウム含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例4に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は7mg以下であり、低かった。殊に、試料H2、試料H6,H7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表4に示す試験結果から理解できるように、実施例4に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例5)
以下、本発明の実施例5を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(WCシリーズ,WCはタングステン炭化物の含有を意味する)の組成を表5に示す。実施例5の組成はコバルトが2%以内であり、タングステン及びタングステン炭化物を含有しており、表5に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、タングステン:2.7〜22.0%、タングステン炭化物:0.01〜5.0%(1.2%)、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表5に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例5に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。タングステン及びタングステン炭化物含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例5に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は8mg以下であり、低かった。殊に、試料WC1、試料WC7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表5に示す試験結果から理解できるように、実施例5に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例6)
以下、本発明の実施例6を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(ACシリーズ,ACはタンタル炭化物の含有を意味する)の組成を表6に示す。実施例6の組成はコバルトが2%以内であり、タンタル及びタンタル炭化物を含有しており、表6に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、タンタル:2.7〜22.0%、タンタル炭化物:0.01〜5.0%(1.2%)、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表6に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例6に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。タンタル及びタンタル炭化物含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例6に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は8mg以下であり、低かった。殊に、試料AC2、試料AC7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表6に示す試験結果から理解できるように、実施例6に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例7)
以下、本発明の実施例7を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(TCシリーズ,TCはチタン炭化物の含有を意味する)の組成を表7に示す。実施例7の組成はコバルトが2%以内であり、チタン及びチタン炭化物を含有しており、表5に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、チタン:2.7〜22.0%、チタン炭化物:0.01〜5.0%(1.2%)、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表7に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例7に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。チタン及びチタン炭化物含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例7に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は10mg以下であり、低かった。殊に、試料TC2、試料TC7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表7に示す試験結果から理解できるように、実施例7に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例8)
以下、本発明の実施例8を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(ZCシリーズ,ZCはジルコニウム炭化物の含有を意味する)の組成を表8に示す。実施例8の組成はコバルトが2%以内であり、ジルコニウム及びジルコニウム炭化物を含有しており、表8に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、ジルコニウム:2.7〜22.0%、ジルコニウム炭化物:0.01〜5.0%(1.2%)、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表8に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例8に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。ジルコニウム及びジルコニウム炭化物含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例8に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は10mg以下であり、低かった。殊に、試料ZC2、試料ZC7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表7に示す試験結果から理解できるように、実施例7に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
(実施例9)
以下、本発明の実施例9を具体的に説明する。本実施例においても基本的には実施例1と同様な条件で肉盛層を形成した。本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料(HCシリーズ,HCはハフニウム炭化物の含有を意味する)の組成を表9に示す。実施例9の組成はコバルトが2%以内であり、ハフニウム及びハフニウム炭化物を含有しており、表9に示すように、重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、ハフニウム:2.7〜22.0%、ハフニウム炭化物:0.01〜5.0%(1.2%)、残部:銅を含む組成内に設定されている。
表9に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例9に係る試料で形成した肉盛層については、ワレ発生率は低く、0%であった。ハフニウム及びハフニウム炭化物含有量を変化させても、ワレ発生率は0%であった。摩耗重量についてみると、実施例9に係る試料で形成した肉盛層については、摩耗重量は10mg以下であり、低%かった。殊に、試料HC2、試料HC7で形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性についても、加工台数が多くく、充分であった。従って、表9に示す試験結果から理解できるように、実施例9に係る試料の耐摩耗性銅基合金で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。殊に耐ワレ性が良好であることがわかった。
Figure 2005179715
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(顕微鏡観察)
本発明材に相当する上記した試料A5で形成した肉盛層の顕微鏡組織を観察したところ、硬質相を有する多数の硬質粒子が肉盛層のマトリックスの全体に分散していた。硬質粒子の粒径は10〜100μm程度であった。EPMA分析装置を用いて上記組織を調べたところ、硬質粒子は、鉄−タンタルを主要成分とするシリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素として形成されていた。肉盛層を構成するマトリックスは、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とする網目状のシリサイドとを主要素として形成されていた。また肉盛層のマトリックスの硬度(マイクロビッカース)はHv150〜200程度であり、硬質粒子の平均硬度はマトリックスの平均硬度よりも硬く、Hv300〜500程度であった。硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。
なお、本実施例に係る耐摩耗性銅基合金は、融液状態において液相分離傾向が高く、互いに混じり合いにくい複数種類の液相が生成し易く、分離した液相がそれぞれの比重差、伝熱状況等により上下に分離し易い性質をもつと考えられる。この場合、粒状となった液相が急冷凝固すると、粒状の液相が粒状の硬質粒子を生成するものと考えられる。
更に、上記した炭化物(タンタル炭化物,TaC)を含む試料AC5の組成をもつ銅基合金で形成された肉盛層の顕微鏡組織についても観察したところ、硬質相を有する多数の硬質粒子がマトリックスの全体に分散していた。硬質粒子の粒径は10〜100μm程度であった。EPMA分析装置を用いて上記組織を調べたところ、前述同様に、硬質粒子は、鉄−タンタルを主要成分とするシリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素として形成されていた。上記した硬質粒子を構成するシリサイドは、ラーベス相であることが本発明者等によりX線回折分析装置を用いて確認されている。
図3は、バルブシートに適用した場合において、肉盛層である自己(バルブシート)の摩耗重量、相手材(バルブ)の摩耗重量についての試験結果を示す。図3に示す参考例Aは、表1に示す試料iの組成を有する耐摩耗性銅基合金をレーザビームで肉盛して形成した肉盛層に基づく。参考例Bは、NbCを1.2%含有する組成をもつ表1に示す試料xで形成した耐摩耗性銅基合金をレーザビームで肉盛して形成した肉盛層に基づく。本明細書では前述したように特にことわらない限り、%は重量%を示す。
コバルトリッチの従来材(型式:CuLS50)としては、Niを15%、Siを2.9%、Coを7%、Moを6.3%、Feを4.5%、Crを1.5%、残部を実質的にCuとした合金でレーザビームにより肉盛層を形成し、同様に摩耗試験を行った。
比較例として、鉄系焼結材(組成:Fe:残部、C:0.25〜0.55%、Ni:5.0〜6.5%、Mo:5.0〜8.0%、Cr:5.0〜6.5%)で試験片を形成し、同様に摩耗試験を行った。
図3に示すように、本発明材(試料WC5に相当)によれば、参考例A,Bの場合と同様に、自己である耐摩耗性銅基合金(バルブシート)の摩耗量が少なく、相手材(バルブ)の摩耗量も少なかった。これに対して従来材の場合及び鉄系焼結材の場合には、自己の(バルブシート)の摩耗量が多く、相手材(バルブ)の摩耗量も多かった。
更に、上記した従来材(型式:CuLS50)について高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成を調整した合金を用い、この合金で形成した試料層にレーザビームを照射することにより、バルブシートとなる肉盛層を個別に形成し、肉盛層におけるワレ発生率を試験した。ここで、高耐摩耗成分配合とは 肉盛時に生成される硬質粒子における硬質相比率の増加をねらった配合組成を意味する。低耐摩耗成分配合とは、肉盛時に生成される硬質粒子における硬質相比率の減少をねらった配合組成を意味する。同様に、参考例1、参考例2について高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成をそれぞれ調整し、試験を行った。同様に、本発明材についても、高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成を調整し、試験を行った。
ここで、従来材について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:20.0%、Si:2.90%、Mo:9.30%、Fe:5.00%、Cr:1.50%、Co:6.30%である。従来材について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:16.0%、Si:2.95%、Mo:6.00%、Fe:5.00%、Cr:1.50%、Co:7.50%である。参考例1について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:17.5%、Si:2.3%、Mo:17.5%、Fe:17.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%である。参考例1について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:5.5%、Si:2.3%、Mo:5.5%、Fe:4.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%である。
参考例2について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Ni:17.5%、Si:2.3%、Mo:17.5%、Fe:17.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%、NbC:1.2%である。参考例2について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Ni:5.5%、Si:2.3%、Mo:5.5%、Fe:4.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%、NbC:1.2%である。
また、本発明材について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:17.5%、Si:2.3%、W:17.5%、Fe:17.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%、WC:1.2%である。本発明材について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:5.5%、Si:2.3%、W:5.5%、Fe:4.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%、WC:1.2%である。
ワレ発生率の試験結果を図4に示す。図4に示すように、従来材に係る高耐摩耗成分配合をした試験片については、ワレ発生率は極めて高かった。これに対して、参考例1については、高耐摩耗成分配合、低耐摩耗成分配合をした肉盛層については、ワレ発生率は0%であり、極めて低かった。参考例2についても、高耐摩耗成分配合、低耐摩耗成分配合をした肉盛層については、ワレ発生率は0%であり、極めて低かった。本発明材(WC5に相当)についても、高耐摩耗成分配合、低耐摩耗成分配合をした肉盛層について、ワレ発生率は0%であり、極めて低かった。
更に、上記した従来材、参考例1、参考例2、本発明材について、それぞれ高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成を調整した合金を用い、各合金で形成した試料層にレーザビームを照射することにより、バルブシートとなる肉盛層を個別にシリンダヘッドに形成した後に、肉盛層を切削刃具(超硬バイト)で切削加工し、切削刃具1個当たりの切削可能なシリンダヘッド加工台数を調べた。その試験結果を図5に示す。
図5に示すように、従来材については、高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合をした試験片共に、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数は少なく、被削性は低かった。
これに対して、参考例1に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、参考例1に係る低耐摩耗成分配合をした試験片、参考例2に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、参考例2に係る低耐摩耗成分配合をした試験片については、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数はかなり多く、被切削性は良好であった。
本発明材に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、本発明材に係る低耐摩耗成分配合をした試験片については、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数はかなり多く、参考例1,2と同様に、被切削性は良好であった。上記した鉄系焼結材についても、同様に被削性を試験したところ、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数は180台程度であり少なく、被削性は低かった。
上記した試験結果を総合的に評価すれば、本発明に係る耐摩耗性銅基合金の肉盛層で内燃機関の動弁系部品であるバルブシート自体を形成したり、本発明に係る耐摩耗性銅基合金の肉盛層をバルブシートに積層したりすれば、バルブシートの耐摩耗性を改善でき、更に相手攻撃性も抑えることができ、相手材であるバルブの摩耗量も抑えることができることがわかる。更に耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、殊に肉盛して肉盛層を形成する場合に有利である。
(適用例)
図6及び図7は適用例を示す。この場合、車両用の内燃機関11の燃焼室に連通するポート13に耐摩耗性銅基合金を肉盛してバルブシートを形成する。この場合、アルミニウム合金で形成された内燃機関11の燃焼室に連通する複数のポート13の内縁部には、リング形状をなす周縁面10が設けられている。散布器100Xを周縁面10に接近させた状態で、本発明に係る耐摩耗性銅基合金からなる粉末100aを周縁面10に堆積させて粉末層を形成すると共に、レーザ発振器40から発振したレーザビーム41をビームオシレータ58により揺動させつつ粉末層に照射することにより肉盛層15を周縁面10に形成する。この肉盛層15はバルブシートとなる。肉盛の際にはガス供給装置102からシールドガス(一般的にはアルゴンガス)を肉盛箇所に供給し、肉盛箇所をシールドする。
(その他)
上記した実施例ではガスアトマイズ処理により耐摩耗性銅基合金の粉末を形成しているが、これに限らず、溶湯を回転体に衝突させて粉末化するメカニカルアトマイズ処理などの粉末化処理、あるいは、粉砕装置を用いた機械的粉砕処理により肉盛用の耐摩耗性銅基合金の粉末を形成しても良い。
上記した実施例は、内燃機関の動弁系を構成するバルブシートに適用した場合であるが、これに限られるものではない。場合によっては、バルブシートの相手材であるバルブを構成する材料、あるいは、バルブに肉盛される材料に適用することができる。内燃機関はガソリンエンジンでも、ディーゼルエンジンでも良い。上記した実施例は肉盛する場合に適用しているが、これに限らず、場合によっては溶製品、焼結品などにも適用できる。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。実施の形態、実施例に記載されている語句の形容は、一部であっても各請求項に記載できるものである。なお、表1〜表9に記載されている組成成分の含有量の数字は、請求項または付記項に記載の組成成分の上限値または下限値として規定することができるものである。
上記した記載から次の技術的思想も把握することができる。
(付記項1)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層。
(付記項2)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛摺動部材。
(付記項3)付記項1または付記項2において、レーザビーム、電子ビーム、アークから選択される高密度エネルギ熱源により形成された肉盛層または肉盛摺動部材。
(付記項4)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層を有する内燃機関用の動弁系部材(例えばバルブシート)。
(付記項5)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金を用い、耐摩耗性銅基合金を基体に被覆することを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項6)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金の粉末材料を用い、粉末材料を基体に被覆して粉末層を形成し、粉末層を融液化した後に凝固させることにより耐摩耗性に優れた肉盛層を形成することを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項7)付記項6において、肉盛層は急熱、急冷により形成されることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項8)付記項6において、粉末層の融液化は、レーザビーム、電子ビーム、アークから選択される高密度エネルギ熱源により行われることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項9)付記項5または付記項6において、基体はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されていることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項10)付記項5または付記項6において、基体は内燃機関用の動弁系部品または動弁系部位(例えばバルブシート)であることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項11)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成されたバルブシート合金。
(付記項12)マトリックスに硬質粒子が分散しており、硬質粒子は、シリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素としており、マトリックスは、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とするシリサイドとを主要素とすることを特徴とする各請求項に記載の耐摩耗性銅基合金。
(付記項13)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された粉末材料。
(付記項14)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛用の粉末材料。
(付記項15)各請求項に記載の耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層が基体に積層されていることを特徴とする摺動部材。
(付記項16)アルミニウムまたはアルミニウム合金を基材とする基体に、各請求項に記載の耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層が積層されていることを特徴とする摺動部材。
以上のように、本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、例えば、内燃機関のバルブシートやバルブなどの動弁系部材に代表される摺動部材の摺動部分を構成する銅基合金に適用することができる。
耐摩耗性銅基合金で形成した試料層にレーザビームを照射することにより肉盛層を形成している状態を模式的に示す斜視図である。 肉盛層を有する試験片に対して耐摩耗試験を行っている状態を模式的に示す構成図である。 本発明材、参考例等の肉盛層の摩耗重量を示すグラフである。 本発明材、参考例等の肉盛層について、シリンダヘッド1台当たりのバルブシートのワレ発生率を示すグラフである。 本発明材、参考例等の肉盛層について、切削刃具1個当たりのシリンダヘッド加工台数を示すグラフである。 適用例に係り、内燃機関のポートに耐摩耗性銅基合金を肉盛してバルブシートを形成する過程を模式的に示す概略図である。 適用例に係り、内燃機関のポートに耐摩耗性銅基合金を肉盛してバルブシートを形成する過程を模式的に示す要部の斜視図である。

Claims (10)

  1. 重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、
    タンタル、チタン、ジルコニウム及びハフニウムのうちの1種または2種以上:2.7〜22.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成を有することを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  2. 重量%で、ニッケル:4.7〜22.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.7〜22.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、
    モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種または2種以上:2.7〜22.0%、
    モリブデン炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、タンタル炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物及びハフニウム炭化物のうちの1種または2種以上:0.01〜5.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成を有することを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  3. 請求項1または請求項2において、シリサイドが分散していることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  4. 請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、マトリックスと前記マトリックスに分散した硬質粒子とを備えており、前記マトリックスの平均硬度はHv130〜250であり、硬質粒子の平均硬度は前記マトリックスよりも硬いことを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  5. 請求項4において、前記硬質粒子の平均粒径は5〜3000μmであることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  6. 請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項において、肉盛用合金として用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  7. 請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項において、高密度エネルギビームで溶融された後、凝固する肉盛用合金として用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  8. 請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項において、基材に被覆される肉盛層を構成していることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  9. 請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項において、摺動部材に用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  10. 請求項1〜請求項9のうちのいずれか一項において、内燃機関用の動弁系部材に用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
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