JP2005179618A - 防汚膜およびこれを備えた部材または機器 - Google Patents

防汚膜およびこれを備えた部材または機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 微弱照明光下でも高速・高分解の特性を示す防汚膜およびこれを備えた部材または機器を提供すること。
【解決手段】 酸化チタンと、W、V、Yのうちの少なくとも1つを含む金属酸化物と、V、Ti、Zn、Cuのうちの少なくとも1つを含むポリフィリナ−ト化合物の少なくとも3種を含むことを特徴とする防汚膜およびこれを備えた部材または機器。
【選択図】図3

Description

本発明は、防汚膜およびこれを備えた部材または機器に関し、より具体的には汚染分解作用を有する防汚膜およびこれを備えた部材または機器に関する。
近年、電気製品、電気機器など多くの家庭電化製品や企業などで使用される事務機器製品、例えばコンピューターなどには環境への配慮が特に求められている。これらの製品は利用上、特に、手で操作する操作部が頻繁に人体に接触し、手垢や人糞などの種々の有機物が付着するためによく汚れる。このことは美観を損ねるのみならず不快感を喚起させる。このため、製品を構成する部材に人体が接触してもクリ−ンな面が維持される機能が今日強く求められている。
従来、製品構成部材のクリーン化のために種々の取り組みがなされており、その一例として、人体が接触する部材そのものの改良や、黒色顔料などの添加で改良が加えられてきたものの、利用条件、室内での特性、長期間の利用などで効果が乏しく、不充分であり限界があった。係る点を改良する技術として、吸収波長を可視域に有する可視光型光触媒の開発がなされてきている。このような触媒の例として、チタン中にAl、Bなどの元素をスパッタでド−プした技術がある(特許文献1)。また、酸化チタンをブラウン管面(特許文献2)や、プロジェクションテレビ受像機(特許文献3)に備える試みがなされている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、スパッタリングによるため、元素ド−プなどの制御が困難であり、このため特性の安定化が得にくい。また特許文献2および3に開示の技術は、部材面上に備えている材料が酸化チタンの原料であるため、利用空間である室内での使用には特性が不充分であるという課題を有している。
特開2001-212457号公報(第7頁、発明の実施の形態参照) 特開平11-162379号公報(第2頁、発明の実施の形態参照) 特開平10-068998号公報(第3頁、発明の実施の形態参照)
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、安価で、特性が安定しており、実施が容易であるなどの特徴を有する可視光型光触媒を利用した防汚材料、特に基材の形状に限定されず、微弱光下でも高速・高分解の特性を示す防汚膜およびこれを備えた部材または機器を提供することにある。
本発明は、酸化チタン、金属酸化物(酸化チタンを除く)(以下、本発明においては、単に「金属酸化物」といえば酸化チタン以外の金属酸化物を意味している)およびポリフィリナ−ト化合物の少なくとも3種を含むことを特徴とする防汚膜に関する。
本発明の防汚膜に含有される主材料としての酸化チタンは、二酸化チタンである。酸化チタンは、防汚膜形成過程で形成されたものでも良く、例えば、防汚膜用コート液にメタチタン酸、酸化ナトリウムを用い、最終的に形成される防汚膜中で酸化チタンが得られるようにしてもよい。メタチタン酸は、OH基を有するため、コート液に分散させやすいという利点がある。
酸化チタンは、300nm以下の紫外領域しか動作しないので分解能力に限界があるため、本発明は図2に示すように酸化チタンに可視光波長範囲の青紫から赤色までの個々に吸収波長を有する物質n、n2、n・・・nを適宜混合し、これにより吸収する波長の多重化をはかることによって高効率・高フォトン化の膜を実現するものである。本発明の防汚膜に含有される金属酸化物およびポリフィリナ−ト化合物(本明細書においてはこれらの化合物を「可視光吸収アシスト剤」と言うこともある)は、可視光領域に最大の吸収度を有しており、それぞれ固有の特定波長を吸収して、酸化チタンに電子を伝導し、バンドギャップエネルギ−準位に変化をもたらす。吸収波長の異なるいくつかの材料を使用すると、可視光領域で波長多重の吸収が得られ効果的である。
本発明の防汚膜に含有される金属酸化物は、上記のような特性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはW、V、Yを少なくと一つ含む酸化物または硝酸酸化物、例えば酸化タングステン(λMax550nm)、酸化硫酸バナジウム(λMax450nm)、硝酸イットリウム(λMax390nm)等が例示できる。
金属酸化物は、防汚膜形成過程で形成されたものでも良く、例えば、防汚膜用コート液にタングステン酸、酸化ナトリウムを用い、最終的に形成される防汚膜中で酸化タングステンが得られるようにしてもよい。タングステン酸は、OH基を有するため、コート液に分散させやすいという利点がある。
本発明の防汚膜に含有されるポリフィリナ−ト化合物は、上記のような特性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくV、Ti、Zn、Cuのうちの少なくとも1つを含むポリフィリナ−ト化合物、例えば5,10,15,20−テトラフェニルポリフィリナ−トバナジウム(IV)オキサイド(本明細書において「VPP」と略することもある(λMax550nm))、オキソ〔5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポリフィリナ−ト〕チタニウム(IV)(TiPP(λMax430nm))、5,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィリナ−ト銅(II)(CuPP(λMax410nm))または5,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィリナ−ト亜鉛(ZnPP(λMax420nm))等が例示できる。
金属酸化物とポリフィリナ−ト化合物は、酸化チタンに対して適正に混合されることが必要である。金属酸化物とポリフィリナ−ト化合物の混合合計が、酸化チタンに対して0.5〜0.15(×10-3)(酸化チタンに対してのモル比)含有されるようにする。この含有範囲は、分解効力が最大に得られること、膜になった時の透明性、表面強度、密着性、コ−ト液を調整する時のゲル化や、ポットライフ等の点から好ましいものである。
酸化チタン以外の金属酸化物とポリフィリナ−ト化合物の両者の混合比率は本発明においては特に限定はなく、加える物質の吸収波長によってスペクトル感度が発生する程度でよい。スペクトル強度が異なるなら強度を合わせるような混合量でよいし、同じ程度の強度であれば同程度で混合すると効果は同じように得られる。
好ましい防汚膜の一例は、酸化チタン、酸化タングステン、5,10,15,20−テトラフェニルポリフィリナートバナジウム(IV)オキサイドまたはオキソ〔5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポリフィリナ−ト〕チタニウム(IV)からなる膜である。他の好ましい防汚膜の一例は、メタチタン酸、酸化珪素、酸化ナトリウム、W、V、Yを含む金属酸化物、およびV、Ti、Zn、Cuの元素を含むポリフィリナ−ト化合物からなるコート材料組成物から形成されてなるものである。他の好ましい防汚膜の一例は、メタチタン酸、酸化珪素、酸化ナトリウム、酸化タングステン、5,10,15,20−テトラフェニルポリフィリナートバナジウム(IV)オキサイドまたはオキソ〔5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポリフィリナ−ト〕チタニウム(IV)からなるコート材料組成物から形成されてなるものである。
なお、本発明で使用される可視光吸収アシスト剤は、酸化チタンとの混合性、取り扱い、入手の容易さ、価格の他に、有害性、廃棄など法令適用に制限されないことなども考慮して選択されることは重要である。
基材と防汚膜の間に、プライマー膜を有していてもよい。防汚膜は、プライマー膜と組み合わされた状態で基材上に備えられると、アクリルのようなプラスチック透明基材はもとより、ガラス、鋼鈑にもおいても透明性、クリーニング効果、機械的強度、機材との密着性を持たせることができる。
また、プライマー膜は、防汚膜の均一性、被覆性を改良する役割があることに加え、触媒作用が基材に直接作用しない防壁の役割を有する。特に基材が樹脂等の有機材料である場合に有用である。またプライマー材料として、より耐熱性のあるものを使用すると、防汚膜の乾燥温度をより高く設定でき、防汚膜機能をさらに向上できる。
プライマー膜の構成材料としては、種々の樹脂を適用可能であり、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂(ポリ酸化珪素)等例示できる。またシリコーン系樹脂を使用する場合、基材がアクリル板等の比較的耐熱性が低い材料であっても、防汚部材を従来よりも高温度でアニール処理することができ、防汚効果をより向上させることができる。
プライマー膜を構成する上記樹脂は、プライマー膜形成過程で形成されてもよく、例えば、反応硬化性のオルガノシラン化合物、アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーを含有するコート液を塗布硬化して形成させたものでもよい。入手、価格、溶媒、可撓性、透明性などの観点からは、アクリル系エマルジョンが好適に使用できるが、特にそのエマルジョンでなければならないものではない。
3−アミノプロピルトリエトキシシランまたは3−アミノプロピルトリメトキシシランのオルガノシランから形成されたプライマー膜は、基材との密着性、防汚膜との相溶性がよく、かつ薄い透明な膜として形成できる。
プライマー膜は基材と防汚膜の中間に積層されるので、プライマー構成材料は防汚膜の構成材料、防汚膜との濡れ性、コート容易性、表面状態の良否等を総合的に勘案して選択すればよい。
基材は、アクリル樹脂等各種樹脂、ガラス、鋼板等、電子デバイスあるいは機器に使用されている種々のものが使用可能であり、その種類、形状にかかわらずいずれも使用可能である。プラスチック基材等、耐熱性の低い基材にも本発明を適用することができるのである。
以下、本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態であり、基材1の上に、プライマー膜2および防汚膜3が順次形成された構成を有する防汚部材の模式的断面図である。防汚膜3上に必要に応じて保護膜を形成してもよい。
基材上に形成されるプライマー膜は、アクリル樹脂および/またはスチレン樹脂等を適当な溶媒に溶解させた溶液、アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーをアルコール、水等の分散媒に分散させたエマルジョン溶液、または反応硬化性オルガノシラン化合物溶液を塗布、乾燥、加熱等を通じて形成される。
プライマーコート液の好ましい材料構成の例を以下に挙げる。
(i)アクリル酸、アクリルニトリル、スチレン、セルローズ、シアノ化物のエマルジョン1種以上とアルコール類、水の混合物;
(ii)3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリメトキシシランのオルガノシランからなる溶液;
(iii)(ポリ)酸化珪素、エタノール、 イソブタノールおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルを含むシリコーン溶液等
プライマー膜は、基材と防汚膜の中間に積層されるので、材料の選択基準は、防汚膜の材料に含有される成分によって、濡れ性、コ−ト容易性、表面状態の良否から適正化することが必要であり、部材の材質、表面状態の観点から、防汚膜の完成度を高めるためにもエマルジョンの適正抽出を考慮することは重要である。
プラスチック基材上へのプライマー膜の形成は、防汚膜の均一性、被覆性を改良する役割があること、触媒作用が基材に直接作用しない防壁として機能するものでもあり、基材の種類によっては省くことも可能であるが、直接坊膜をコ−トよりも成膜の仕上がりは優れる。エマルジョンの種類は上記のみに本願が制約されることはないが、入手、価格、溶媒、可とう性、透明性などを考えると、上記(i)のアクリル系プライマーコート液が好ましい。
上記(ii)のプライマーコート液から形成されるプライマー膜は、プライマー膜の材料が反応性であり、基材との密着性、防汚膜との相溶性がよく、薄い透明な膜を製造できる。
また、上記(iii)のプライマーコート液から形成されるプライマー膜は耐熱性があるため、防汚膜の乾燥温度を高く設定でき、防汚膜の結晶化にもよく、防汚機能性がさらに発揮される。
防汚膜は、酸化チタン、金属ポルフィリン、その他必要に応じて酸化珪素等の充填剤をアルコール、水等の希釈溶媒に分散させた溶液を基材またはプライマー膜上に塗布後、乾燥、加熱することにより形成される。該溶液は、通常、酸化チタン粒子の凝集を防止するために塩酸等の無機酸で酸性に調整されている。酸化チタンに代えてメタチタン酸を用いる場合は、酸化ナトリウムの添加を要する。
防汚膜コート液は材料構成によっては、適切な遷移元素の種類、混合比率に違いが生じ、コート液のポットライフ、ゲル化、膜としての透明性、強度、クリーン効果が異なってくる。金属酸化物とポリフィリナ−ト化合物は酸化チタンに対して、前記したように0.5〜0.15(酸化チタンに対してのモル比(×10-3))の範囲内で添加混合すればよいが、、希釈溶媒に用いている水、アルコール以外の成分混入によっては、化合物の種類と混合比率によって好適な組み合わせがあり、ゲル化などが発生しないようにコート液を調製する必要がある。
本発明は、新規な防汚膜を提供した。
本発明の防汚膜は、照明光で高速・高分解のクリーニング効果を発揮する。
本発明の防汚膜は、プライマー膜と組み合わせると、防汚膜の均一性、透明性の確保、強度促進、およびアニ−ル処理の向上がさらに発揮される。
本発明の防汚膜を装備するデバイス用部材または機器は、一般使用条件下でもクリーンな表面が確保される。
以下実施例を列挙して説明する。
(実施の形態1)
基材として50×50×2mmtのアクリル板を用いた。基材上に信越シリコ−ン(株)製のKP-851のシリコ−ン化合物を用いて、スピンコーティング(1000rpm、3sec、2cc滴下)し、塗布膜を室温下で24時間放置し、さらに60℃、30分乾燥させて、厚み1μmのプライマー膜を形成した。
プライマー膜上に、表1に示す材料構成で防汚膜3を形成し、サンプル1〜4を得た。防汚膜コート液の主材として、サンプルNo.1および2は酸化チタン(4)、エタノ−ル(20)、メタノ−ル(5)、1−プロパノ−ル(5)、HCl(0.5)、HNO(0.2)、水(残)を用い、サンプルNo.3および4はメタチタン酸(9)、酸化珪素(12)、酸化ナトリウム(1)、エタノ−ル(5)、水(残)を用い、これらコート液の主材に、表1に示す可視光吸収アシスト剤を混合し、防汚膜コート液とした。なお、コート液は、総重量を50gとし、コート液を構成する各成分の構成割合(重量%)を左記「( )」内に示している。表1中の「( )」の値もコート液50g中の重量%の値を示している。
防汚膜は、温度23℃、湿度30%RH下、スピンコ−ティング法によって、厚みが約0.1μm(アルファステップ触針段差計による)になるように形成した。
プライマー膜形成後、室温で1日放置して充分乾燥させた後、80℃で30〜60分間加熱し、サンプルを得た。
比較として、アシスト化合物を含まない酸化チタンのみのサンプル(No.5)と、基材のみのサンプル(No.6)を評価した。
Figure 2005179618
表1中、VPPは、5,10,15,20−テトラフェニルポリフィリナートバナジウム(IV)オキサイド;
TiPPは、オキソ〔5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポリフィリナ−ト〕チタニウム(IV);
CuPPは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィリン銅(II)を表している。
評価は、各サンプル面に10×10mmの大きさのスタンプ用赤インキを10kgの力で押圧して付着させ、そして照射源にホワイト蛍光灯FL-40を用い、その30cm下でサンプルに照射し、分解の経時変化を追跡することにより行った。分解の程度は、サンプル面に残存するインキの残存率を%で示した。残存率は、観察と赤外分光(エス・ティ・ジャパン製;トラベルIR-1)による染料成分のスペクトル強度比で求めた。結果を図3に示した。
酸化チタンのみの防汚膜が形成されている比較サンプル(No.5)は経時に応じてゆっくりではあるがインキが分解し、残存率も低下していく様子が見られる。一方、防汚膜が備えられていない基材のみのサンプル(No.6)では、時間とは関係なしにインキは分解することなく、その表面は初期状態のままであった。
表1に示すように、可視光吸収化合物の酸化金属とポリフィリナ−ト化合物を混合したコ−ト液からなるNo.1〜No.4の各サンプルは、特性差があるものの、いずれもインキの分解作用が大きく現れており、5〜6日後にはほとんど100%分解してインキの残存率がほぼ0%に近いものもあるという顕著な効果が確認できた。
サンプルNo.1〜No.4は、防汚膜の可視光を吸収による酸化還元作用が強くなったためと考えられる。したがって、本発明により金属酸化物、ポリフィリナ−ト化合物のような可視光吸収アシスト剤を混合した防汚膜は、赤インキを見本とする有機物の分解が通常の蛍光灯による照明下でも充分行われ、クリ−ンな表面状態を確保できることが判明した。
(実施の形態2)
可視吸収アシスト剤の混合比は、コ−ト液の状態や、表面、効果において非常に重要である。
実施の形態1で説明したサンプルNo.1とサンプルNo.4の構成において、混合化合物の合計混合モル比を、表2に示すように0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5とした6種類のサンプル(サンプルNo.7〜18)について試験を行った。
Figure 2005179618
評価は、市販のハンドクリーム(商品名:アトリックス:ニベア社製)を、指に取り、各サンプル(10mm×10mm)面に10kgの押圧で任意に付着させた。
照射源にホワイトFL-40(蛍光灯)(松下電器産業社製)を用いた。ハンドクリームを付着させたサンプルを、蛍光灯30cm下に照射して70時間放置後に、サンプル面に残存する油脂成分のハンドクリームの分解率を、指紋の分解率(%)で示して比較評価した。結果を図2に示した。
図4によると混合比を変化させて構成したこれらのサンプルは、混合比率によって分解特性が異なるものの、いずれも可視光吸収アシスト剤を全く含まないサンプルよりも分解が大きく、混合モル比が0.5〜1.5の範囲において最大値をもつことがわかった。図4中の比較サンプルは、サンプル(No.5)である。
コート液を構成する化合物の混合比は適正範囲(最適値)を持つ。この適正範囲において調製されたコート液を画像用または表示用部材などへ塗布し防汚膜を形成すると、人糞、空気汚染などを自然分解が可能なことわかる。
(実施の形態3)
本発明の防汚膜を備える部材や機器について説明する。
基材としてデバイス用部材または機器によく利用されるアクリルパネル(250×250×1mmt)とガラスパネル(100×100×0.5mmt)、鋼鈑(50×50×0.5mmt)を用いた。
表3に示した基材表面上に、表3に示すような材料構成のプライマー膜および防汚膜の2層を形成し、6種類のサンプルNo.19〜No.24を調製した。
Figure 2005179618
プライマー膜の原料は、信越化学工業(株)製のKP-851、KP-854、KBM-903、チタン工業(株)製のPCU-103、日本曹達(株)製のNR-300A、大橋化学(株)製のKS-600を用いた。プライマー膜は、実施の形態1と同様に、スピンコ−ティング(1000rpm、3sec、2cc滴下)で回転塗布したあと、室温下で24時間放置後、さらに60℃で30分で乾燥させて、厚さ1μmに形成した。
防汚膜は、実施の形態1におけるサンプルNo.1で示した構成のコート液を基本にして、実施の形態1と同様にして、厚み約0.1μmに形成した。
以上作成したサンプルを防汚効果以外に、透明性、表面強度、接着性の評価を加えてデバイス化への応用を検討した。
防汚効果は、実施の形態1と同様に赤インキを付着させて、5日後の残存率で比較した。
透明性はヘーズメーター(日本電色(株)製のヘ−ズ計)を用いて測定したヘーズ値で評価した。
以上の結果を表4にまとめた。
なお、透明性以外の評価はサンプルの試作後に行った。
Figure 2005179618
各サンプルは防汚効果を有していることに加え、ヘーズ値が1〜2.5%あり、その値は、透明性の感触をもつ3%以下にある。
表面強度は、基材の材質に依存した数値が見られ、やや硬いかまたは充分硬い表面を有している。接着性評価では、ほとんど「剥がれ」が見られず、2層は充分に基材に密着していることがわかった。
以上の結果から明らかなように、本発明の防汚膜は、人体や空中に存在する有機物質、臭気物質、菌などが堆積した時、光照射によってこれらを分解して水、炭酸ガスまたは無害な物質へと化学変化させ、表面はセルフクリ−ン効果によって永続的に清浄面を保つことができる。
本発明の防汚膜は、プライマー膜と組み合わせて基材上に形成すると、アクリルのようなプラスチック基材はもとより、ガラスや鋼鈑においても透明性、クリ−ニング効果、機械的強度、機材との密着性を発揮する優れた防汚部材である。
本発明の防汚膜は、電子機器などの表示部に多用されるアクリル基材のみならず、人体が接触する機器の操作部など、一般のプラスチックやガラス基板などにも応用可能である。本発明の防汚膜が備えられたデバイス用部材または機器は高品質なクリ−ン、環境対応型の商品として提供することができる。
本発明の防汚膜は、人体や空中に存在する有機物質(例えば油脂等)、臭気物質、菌などが堆積した時、光照射によってこれらを分解して水、炭酸ガスまたは無害な物質へと化学変化させ、表面はセルフクリ−ン効果によって永続的に清浄面を保つことができる。そして、室内照明光などの可視光の環境下で高速、高分解の特性が発揮されるため、応用範囲は極めて広い。
本発明の応用可能な商品としては、例えば、コ−ンスピ−カ−ネット、ビデオ機器やオーディオ機器の液晶表示部、情報機器、例えばパーソナルコンピューターの筐体やキーボード、電子楽器の鍵盤、レジ光学読みとり機、液晶テレビ、電子卓上計算機、OHPなどのアクリル、ポリカ−ボネ−トなどの透明プラスチック部材やガラス部材、またCSアンテナの電波受像機の鋼鈑類などがある。
さらに、室内換気扇、空気清浄機の換気扇、太陽熱温水器パネル、太陽電池パネル、電子レンジやオ−ブンレンジなどの窓部がある。部品関連ではセンサ−部の表示部、信号機のガラス面など、これら以外にも、多種多様な商品への応用が可能である。
基材上にプライマー膜と防汚膜とが積層された防汚部材の模式的断面図。 吸収波長の多重化を説明するためのスペクトル図。 付着物の残存率と経過時間の関係を示すグラフ。 付着物分解率と可視光アシスト剤の混合モル比の関係を示すグラフ。
符号の説明
1 基材
2 プライマー膜
3 防汚膜

Claims (9)

  1. 酸化チタンと、W、VまたはYを少なくとも1つを含む金属酸化物と、V、TiまたはCuを少なくとも1つを含むポリフィリナ−ト化合物の少なくとも3種を含むことを特徴とする防汚膜。
  2. 金属酸化物とポリフィリナ−ト化合物の合計の混合比率が、酸化チタンに対してモル比で0.5〜1.5(×10-3)であることを特徴とする、請求項1に記載の防汚膜。
  3. 金属酸化物が、酸化タングステン、ポリフィリナ−ト化合物が5,10,15,20−テトラフェニルポリフィリナートバナジウム(IV)オキサイドまたはオキソ〔5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポリフィリナ−ト〕チタニウム(IV)であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の防汚膜。
  4. 防汚膜が、メタチタン酸、酸化珪素、酸化ナトリウム、W、VまたはYを少なくとも1つを含む金属酸化物、およびV、Ti、ZnまたはCuの元素を少なくとも1つを含むポリフィリナ−ト化合物の3種以上からなる組成物から形成されてなることを特徴とする防汚膜。
  5. 防汚膜が、メタチタン酸、酸化珪素、酸化ナトリウム、酸化タングステン、5,10,15,20−テトラフェニルポリフィリナートバナジウム(IV)オキサイドまたはオキソ〔5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポリフィリナ−ト〕チタニウム(IV)かななる防汚膜。
  6. 請求項1〜5いずれかの防汚膜および該防汚膜の下にプライマー膜を有してなり、該防汚膜が酸化珪素、エタノ−ル、イソブタノ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルを含むシリコ−ン溶液から成膜されたものであることを特徴とする、プライマー膜および防汚膜との2層膜を備えることを特徴とするデバイス用部材または機器。
  7. プライマー膜が、3−アミノプロピルトリエトキシシランまたは3−アミノプロピルトリメトキシシランのオルガノシラン溶液で形成されてなることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス用部材または機器。
  8. プライマー膜が、アクリル酸、アクリルニトリル、スチレン、セルロ−ズ、シアノ化物のうちの少なくとも1つ以上含むエマルジョンを含み、かつアルコ−ルと水とを含む溶液から形成されてなることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス用部材または機器。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の防汚膜を有するデバイス部材または機器。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008149312A (ja) * 2006-11-20 2008-07-03 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 可視光応答性光触媒とその触媒活性促進剤並びに環境汚染有機物質の光分解法

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JP2008149312A (ja) * 2006-11-20 2008-07-03 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 可視光応答性光触媒とその触媒活性促進剤並びに環境汚染有機物質の光分解法

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