JP2005179569A - 六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料およびその製造方法 - Google Patents

六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】六フッ化硫黄分解ガスに耐性に優れ、しかも高い破壊靭性値を有する六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化材料を提供する。
【解決手段】1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂用硬化剤、および(c)層状粘土化合物を含むエポキシ樹脂組成物と、強化繊維材料を含み、層状粘土化合物が層剥離した状態で分散されていることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気機器や電気部品の絶縁材料または構造材料として好適な高い靭性を示す繊維強化複合材料に関する。特に、本発明は、六フッ化硫黄ガス絶縁開閉装置、六フッ化硫黄ガス絶縁変圧器、管路気中送電装置等六フッ化硫黄ガスを絶縁媒体として利用する送変電機器内での使用を可能とすべく、六フッ化硫黄分解ガスに対する耐性を有する六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化材料に関する。
六フッ化硫黄ガス絶縁開閉装置等の送変電機器において使用される絶縁構造部材は、電気絶縁性、化学的安定性、機械的強度、コスト等の観点から、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として製造されている。例えば、ガス絶縁開閉装置において、開閉動作を伝達する絶縁ロッド(操作棒)は、エポキシ樹脂を繊維に含浸させた後、加圧硬化することにより製造されている。絶縁ロッドの場合、エポキシ樹脂のみでは、繰り返される開閉動作に耐え得る機械強度を得ることができないため、繊維で強化している。
一般に、繊維強化複合材料は、その強化繊維の種類により、各種適用分野が存在する。例えば、強化繊維として炭素繊維およびガラス繊維を使用する繊維強化複合材料は、スポーツ用品、レジャー用品、航空宇宙用途、一般産業用途等に広く使用されている。しかしながら、ガス絶縁開閉装置の絶縁ロッドの場合には、電気絶縁性の観点からガラス繊維強化複合材料を用いるのが普通である。
ところで、ガス絶縁開閉装置内の遮断器や断路器を操作すると、六フッ化硫黄(SF6)ガス中でアークが発生し、それにより六フッ化硫黄ガスガスが分解してSF4やSOF2等の分解ガスが発生する(下記式1)。これら分解ガスは、装置内の微量水分と反応して、最終的にはフッ化水素(HF)ガスが発生する(下記式(2)および(3))。
SF6 → SF4、SOF2 (1)
SF4 +H2O → SOF2 + 2HF (2)
SOF2 + H2O → SO2 + 2HF (3)。
フッ化水素ガスは、ガラス繊維の構成成分である二酸化ケイ素(SiO2)を分解する性質を有する。そのため、フッ化水素ガスは、ガラス繊維強化複合材料中のガラス繊維と反応して潮解性のH2SiF6を形成し(下記式(4)および(5))、ガラス繊維強化複合材料の絶縁特性および機械特性を大きく低下させる。
SiO2 + 4HF → SiF4 + 2H2O (4)
SiF4 + 2HF → H2SiF6 (5)。
従って、六フッ化硫黄ガス絶縁開閉装置内で使用される絶縁ロッド等のガラス強化複合材料を長時間安定した状態で使用し得るようにするためには、六フッ化硫黄の分解ガスによるガラス繊維およびガラス繊維強化複合材料の劣化を抑制する必要がある。
六フッ化硫黄によるガラス繊維の劣化を防止するために、例えば特許文献1には、繊維強化複合材料に使用する強化繊維として、ホウ素およびホウ素化合物のいずれも含有しない低アルカリガラス繊維を用いることが開示されている。しかしながら、低アルカリガラス繊維は、通常のガラス繊維を使用した場合よりも六フッ化硫黄ガスの分解生成物に対する耐性が向上した複合材料を提供することができるが、六フッ化硫黄分解ガスがマトリックス樹脂を通過してガラス繊維まで到達することに変わりはなく、分解ガスに対する耐性を著しく向上させることができない。また、低アルカリガラス繊維は、通常のガラス繊維よりもコストが高い。
ところで、六フッ化硫黄ガス絶縁開閉装置等の送変電機器は、数十年単位で使用される装置であり、長期間にわたり安定に電力を送電し得ることが至上の課題となっている。前述したように、六フッ化硫黄ガス絶縁開閉装置で使用される絶縁ロッドは、繰り返される開閉操作に耐え得る機械強度が必要であるため、ガラス繊維強化複合材料が用いられているが、長期にわたる使用においては、ガラス繊維強化複合材料のマトリックス樹脂部分に亀裂が生じ、その亀裂が徐々に進展し、樹脂の機械的特性を低下させるおそれがあった。この亀裂の発生および進展を抑制するためには、マトリックス樹脂の靭性(破壊靭性)を向上させることが有効である。例えば、特許文献2や特許文献3には、エポキシ樹脂等のマトリックス樹脂の靭性を向上させるために、熱可塑性樹脂やゴム変性樹脂を添加することが開示されている。しかしながら、このような系では樹脂の粘度が著しく増加するため取り扱いが困難となり、ガラス繊維強化複合材料の製造時の作業効率が低下する。
また、ガラス繊維強化複合材料の曲げ強度等の機械的特性を向上させるためには、エポキシ樹脂等のマトリクス樹脂の弾性率を高めることが有効である。例えば特許文献4や特許文献5には、層状シリケート化合物をエポキシ樹脂に添加することが開示されている。しかしながら、特許文献4および特許文献5に開示されている手法では、層状シリケート化合物をマトリックス樹脂中に均一に分散し得ず、層状シリケートの層構造が保持されたままである。このような分散状態では、六フッ化硫黄の分解ガスは、マトリックス樹脂中の層状シリケート化合物の間の隙間を通り抜けてガラス繊維に到達し、ガラス繊維を劣化させることがわかった。
特開昭56−71227号公報 特開昭62−148533号公報 特開昭58−83031号公報 特開平6−13624号公報 特開平10−36523号公報
従って、本発明は、ガス絶縁開閉装置等六フッ化硫黄ガスまたは六フッ化硫黄ガスを含む混合ガスを絶縁媒体とする送変電機器で使用可能であり、しかも靭性に優れ信頼性の高いガラス繊維強化複合材料を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、六フッ化硫黄分解ガスに耐性に優れ、しかも高い破壊靭性値を有する六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、層状粘土化合物は比較的少量の添加量で、エポキシ樹脂の機械的特性や耐熱特性等の性質を改善することができるが、層状粘土化合物がエポキシ樹脂中で均一に分散しないと、例えば機械的強度においては、層状粘土化合物の凝集体が起点となり破壊が進展するため、逆に強度の低下を引き起こす可能性があることを見いだした。この知見に基づきさらに検討した結果、層状粘土化合物を層剥離した状態でエポキシ樹脂に分散させることにより、所期の目的を達成し得ることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の側面によれば、(a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂用硬化剤、および(c)層状粘土化合物を含むエポキシ樹脂組成物と、強化繊維材料を包含し、前記層状粘土化合物が層剥離した状態で分散されていることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料が提供される。
さらに、本発明の第2の側面によれば、(a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂用硬化剤および(c)層状粘土化合物を含み、前記層状粘土化合物が層剥離した状態で分散されているエポキシ樹脂組成物を強化繊維材料に含浸させ、得られたプリプレグを硬化させることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の側面によれば、本発明の繊維強化複合材料を使用してなることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁用絶縁構造部材が提供される。
本発明による六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料は、従来のガラス繊維強化複合材料に比べて、優れた六フッ化硫黄分解ガス耐性を有し、しかも樹脂部分における亀裂の発生および進展が抑制されている。そのため、本発明による六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料をガス絶縁開閉装置、管路気中送変電装置、ガス絶縁変圧器、その他のガス絶縁電気機器における絶縁材料または構造材料として使用することにより、六フッ化硫黄分解ガスに対する耐性に優れ、安全性を大幅に向上させて装置または機器を提供することができ、その工業的価値は極めて大きいといえる。
本発明による六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料は、(a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂用硬化剤、および(c)層状粘土化合物を含むエポキシ樹脂組成物と、強化繊維材料を包含する。層状粘土化合物は層剥離した状態で分散されている。この繊維強化複合材料は、上記エポキシ樹脂組成物を強化繊維材料と組み合わせ、硬化させることによって製造することができる。
まず、本発明繊維強化複合材料においてマトリックス樹脂として使用されるエポキシ樹脂は、炭素原子2個と酸素原子1個からなる三員環(エポキシ基)を1分子中に2個以上有する硬化し得る化合物であればよく、その種類は限定されるものではない。そのようなエポキシ樹脂の例を挙げると、エピクロルヒドリンとビスフェノール類等の多価フェノール類または多価アルコールとの縮合によって得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール−ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾール−ノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとガルボン酸との縮合によって得られるグリジジルエステル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートやエピクロルヒドリンとヒダントイン類との反応によって得られるヒダントイン型エポキシ樹脂のような複素環式エポキシ樹脂等である。これらエポキシ樹脂は、2種以上の混合物として用いることができる。
本発明において、エポキシ樹脂には、常温(25℃)で固体のエポキシ樹脂(本明細書において、「固体エポキシ樹脂」ということがある)と、常温(25℃)で液体のエポキシ樹脂(本明細書において、「液体エポキシ樹脂」ということがある)が含まれる。例えば、市販の汎用ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート)の場合、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数を示すエポキシ当量が450以上であるか、重量平均分子量が900以上であるエポキシ樹脂は、常温で固体であり、またエポキシ当量が270以下であるか、重量平均分子量が470以下のエポキシ樹脂は、常温で液体である。
エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ樹脂と化学反応してエポキシ樹脂を硬化させるものであれば、その種類は特に制限されない。そのような硬化剤の例を挙げると、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等のアミン系硬化剤、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ヘッド酸、無水メチルハイミック酸、ドデセニル無水コハク酸、無水ポリアゼライン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物硬化剤、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤、ポリサルファイド、チオエステルなどのポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、フェノール系硬化剤、ルイス酸系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等である。これら硬化剤は、単独で、または2種類以上の混合物として使用することができる。特に、酸無水物硬化剤は、ポットライフが長く、硬化時の発熱が小さいため、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化剤として望ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合される層状粘土化合物は、SiO4四面体が二次元状に配列したシート(シリケート層)から構成されており、このシートが互層した構造を有している。通常の層状粘土化合物では、シリケート層間にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等の層間陽イオンが存在している。
本発明において、層状粘土化合物は、好ましくは、スメクタイト群、マイカ群およびバーミキュライト群からなる群の中から選択することができる。スメクタイト群に属する層状粘土化合物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライト、ステブンサイト、ノントロナイト等が挙げられる。マイカ(雲母)群に属する層状粘土化合物としては、白雲母、黒雲母、パラゴナイト、レビトライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト、クロライト、フロゴパイト、レピドライト、マスコバイト、バイオタイト、パラゴナイト、マーガライト、テニオライト、テトラシリシックマイカ等が挙げられる。バーミキュライト群に属する層状粘土化合物としては、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタヘドラルバーミキュライトが挙げられる。これら層状粘土化合物の中でも、エポキシ樹脂への分散性の点から、スメクタイト群に属する層状粘土化合物が望ましい。これらの層状粘土化合物は、単独でまたは2種類以上の混合物として使用することができる。
ところで、これらの層状粘土化合物は、通常存在する陽イオンとのイオン交換により、その層間に、他のイオン、分子、クラスター等の種々の物質を保持することできる。本発明において、層状粘土化合物の層間には、エポキシ樹脂に対する親和性を層状粘土化合物に付与できる有機化合物を挿入することが好ましい。そのような有機化合物としては、イオン交換処理により層間挿入される度合を考慮すると、第四級アンモニウムイオンが望ましい。第四級アンモニウムイオンとしては、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、ジヘキシルジメチルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ヘキサトリメチルアンモニウムイオン、オクタトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、ドコセニルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリエチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオン、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムイオン、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムイオン、ジオレイルジメチルアンモニウムイオン、N−メチルジエタノールラウリルアンモニウムイオン、ジプロパノールモノメチルラウリルアンモニウムイオン、ジメチルモノエタノールラウリルアンモニウムイオン、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムイオン、ジメチルヘキサデシルオクタデシルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらの第四級アンモニウムイオンは単独で、または2種類以上の混合物として使用することができる。
第四級アンモニウムイオンを挿入することにより、層間距離を長くし、しかも層間を親油性とすることができるので、エポキシ樹脂に対する親和性が向上し、エポキシ樹脂中により一層均一に分散させることができる。従って、エポキシ樹脂に優れた機械特性と耐熱性を付与することができる。
また、層状粘土化合物の層間に存在する第四級アンモニウムイオンが、所定の官能基を有することがさらに望ましい。そのような官能基としては、エーテル基、スルフィド基、エステル基、アミド基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、ニトリル基、チオール基、スルホン酸基、ハロゲン基、不飽和炭化水素基等を例示することができる。このような官能基は、化学的に高い活性を有している。また、エポキシ樹脂の有するグリシジル環も非常に高い活性を有するため、これらの官能基とエポキシ樹脂の間に相互作用または化学反応を生起させることが可能となる。例えば、水酸基は、エポキシ樹脂のグリシジル環を開環させエーテル結合を形成し、第四級アンモニウムイオンとエポキシ樹脂が連結したオリゴマーが生成する。このオリゴマーが再び、第四級アンモニウムイオンまたはエポキシ樹脂と反応していくことにより、エポキシ樹脂の分子鎖が層状粘土化合物のシリケート層により拘束された3次元の網目構造が形成される。これにより、層状粘土化合物がエポキシ樹脂の補強材の役目を果たし、曲げ試験おいて優れた破壊強度を発現し、また、高温領域においても、室温と同程度の弾性率を維持することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂用硬化促進剤を含有することができる。エポキシ樹脂用硬化剤として酸無水物を使用する場合には、硬化促進剤として第三級アミンまたはその塩、第四級アンモニウム化合物、イミダゾール、アルカリ金属アルコキシドが適している。
エポキシ樹脂用硬化促進剤は、その添加量により、エポキシ樹脂の硬化反応速度を制御することができる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、層状粘土化合物の分散性を向上させ、あるいは分散した層状粘土化合物の再凝集を抑制するために分散助剤を含有することができる。そのような分散助剤としては、ケトン類、アルコール類、極性溶媒、界面活性剤、両親媒性化合物、シランカップリング剤等を例示することができる。より具体的には、ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン等を例示することができる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等を例示することができる。極性溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル等を例示することができる。界面活性剤および両親媒性化合物としてはドデシル硫酸ナトリウム、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)(Aerosol OT)、オレイン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)等を例示することができる。シランカップリング剤としてはγ−グリシドオキシープロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ビニルトリェトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン等を例示することができる。これらの分散助剤は単独または2種類以上の混合物として使用することができる。
界面活性剤または両親媒性化合物は層状粘土化合物の表面に吸着することで、層状粘土化合物が有するゼータ電位の絶対値を大きくすることができる。一般的に、層状粘土鉱物、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、金属酸化物等の無機微粒子は、表面が静電的に帯電しており、その帯電の大きさはゼータ電位で表される。そのゼータ電位の絶対値が大きいと微粒子同士間に静電的な斥力が働き凝集しにくくなるため、層状粘土化合物をエポキシ樹脂中に均一に分散させることができる。また、以下詳述するように、本発明の一実施の形態では、層状粘土化合物を固体エポキシ樹脂中で高い剪断応力を加えて、層状粘土鉱物を層間で剥離させ分散させた後、液体エポキシ樹脂と混合し、エポキシ用硬化剤と場合に応じてエポキシ用硬化促進剤によりエポキシ化合物を硬化させている。この液体エポキシ樹脂と混合する工程で、固体エポキシ樹脂中で分散した層状粘土化合物が再び集まり凝集してしまう可能性がある。上記分散助剤は、第四級アンモニウムイオンが層間に存在する層状粘土化合物をこれらの分散助剤に非常によく分散するため、樹脂中においてもこれらを添加することで、その分散性を向上させることができる。これらの作用により、層状粘土化合物を、エポキシ樹脂中により一層均一に分散させることが可能となり、分散した層状粘土化合物が、エポキシ樹脂の高次構造を構成する高分子鎖を補強する効果を促進することができる。さらに、シランカップリングは、層状粘土化合物とエポキシ樹脂との接着性をも向上させることができる。これにより、樹脂硬化物における層状粘土化合物と樹脂との接着界面が強固なものとなり、機械的強度の優れた絶縁材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料において、強化材として用いられる繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等を例示することができる。これら繊維は、単独で、または2種類以上を併用して用いることができる。一般に、電気・電子用繊維強化複合材料に使用される強化繊維としては、電気特性に優れたEガラスが用いられる。また、強化繊維の形態に特に制限はなく、クロス、ロービング、マット、短繊維の形態で使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、層状粘土化合物(c)は、エポキシ樹脂(a)100重量部当たり、1〜30重量部の割合で含有されることが好ましい。また、エポキシ樹脂用硬化剤(b)は、エポキシ樹脂100重量部当たり、80〜100重量部の割合で含有されることが好ましい。さらに、硬化促進剤(d)は、エポキシ樹脂100重量部当たり、0.1〜1重量部の割合で含有されることが好ましい。また、分散助剤は、層状粘土化合物(b)100重量部当たり、0.1〜1重量部の割合で含有されることが好ましい。
上に述べたように、本発明の繊維強化複合材料のマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂中において、層剥離した状態で分散されている。図1に、本発明の一実施の形態に係る六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料11の内部構造を模式的に示す。図1に示す繊維強化複合材料11は、例えばガラス繊維マット基材12a、12bにエポキシ樹脂13が含浸され、硬化された形態のものである。エポキシ樹脂13中において、層状粘土化合物は、層剥離し、その剥離したシリケート層14が、エポキシ樹脂13中に分散している。
このように層状粘土化合物を層剥離した状態でエポキシ樹脂中に分散させるためには、図2に示すように、撹拌子211を備えた混合装置21に、液体エポキシ樹脂22と層状粘土化合物23とともに剪断力付与材として無機充填材24を添加し、その混合物を撹拌・混合することができる。層状粘土化合物の粒径は50〜15nmと非常に微小であるため、エポキシ樹脂に添加する前には数μmの大きさの凝集体として存在していることがある。しかし、層状粘土化合物とその層状粘土化合物よりも多い量の無機充填材(平均粒径1〜100μm)をエポキシ樹脂に混合し、これを撹拌・混合することにより、無機充填材により層状粘土化合物に剪断力が付与され、凝集体であった層状粘土化合物をエポキシ樹脂中に分散させ、さらに層状粘土化合物を層剥離させ、その層剥離したシリケート層をエポキシ樹脂中に均一に分散させることができる。そのような無機充填材としては、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素(BN)、炭窒化ホウ素(BCN)、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等を例示することができる。これら無機充填材は、単独で、または2種類以上の混合物として使用することができる。
上記エポキシ樹脂22と層状粘土化合物23と無機充填材24を十分に混合し、層状粘土化合物23を層剥離させ、エポキシ樹脂中に分散させた後、エポキシ樹脂と反応することのない有機希釈剤25で希釈してエポキシ樹脂の粘度を低下させ、遠心分離管26に移し、遠心分離を行う。有機希釈剤25としては、加熱または真空下でエポキシ樹脂から除去し得る有機溶媒を使用することができ、例えば、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、アセトニトリル等を例示することができる。有機希釈剤の使用量は、エポキシ樹脂の粘度を低下させ、遠心分離処理による無機充填材24の沈降を円滑に行わせるに十分なものである。ろ過、減圧ろ過等により分離除去できる程度のものである。この遠心分離処理により、層状粘土化合物が層剥離して生じたシリケート層28は希釈されたエポキシ樹脂27中に分散したままであるが、無機充填材24は、沈降する。デカンテーションにより、シリケート層28が分散した希釈エポキシ樹脂27を取り出すことができる。有機希釈剤は、真空または加熱を用いて除去することができる。
こうして得られたシリケート層が分散したエポキシ樹脂にエポキシ樹脂用硬化剤と場合に応じて硬化促進剤を添加して、所望のエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
図3は、層状粘土化合物を層剥離した状態でエポキシ樹脂中に分散させるための別の方法を示すフロー図である。図3に示す方法では、固体エポキシ樹脂31に層状粘土化合物32を添加した後、固体エポキシ樹脂の軟化点の温度で、高い剪断力の下で両者を混合する(高剪断力混合)。かかる混合は、高いトルク下での混合を行える混合機(例えば、東洋精機製作所社製商品名ラボプラストミル)を用いて行うことができる。これにより、非常に大きな剪断力でエポキシ樹脂31と層状粘土化合物32の混合物を撹拌することができ、剪断力の効果により層状粘土化合物の層間でシリケート層を剥離させ、シリケート層をエポキシ樹脂中に均一に分散することができる。また、固体エポキシ樹脂は、その分子量が大きいため、エポキシ樹脂の高分子鎖が層状粘土化合物に絡み付き、混合時の剪断力を層状粘土化合物に伝達し、層間での剥離を引き起こし、分散させることができる。このように、固体エポキシ樹脂中で層状粘土化合物を、剪断力を加えて混合することにより均一に分散させることが可能となる。他方、液体エポキシ樹脂に層状粘土化合物を添加した後、高剪断力混合機を用いて混合しても、液体エポキシ樹脂は固体エポキシ樹脂と比較し、分子量も小さく、また粘度も低いため、混合時に必要な剪断力が発生しない。このため、層状粘土化合物は分散せず、凝集体のまま樹脂中に残ってしまう。
このように、固体エポキシ樹脂は、層状粘土化合物を分散する際には、非常に有効な分散媒体になるが、室温で固体状態であることからその取り扱いが難しくなる。換言すると、作業性が悪いといえる。これを、解決するために、層状粘土化合物を固体エポキシ樹脂で均一に分散させた後、液体エポキシ樹脂33を添加し、例えば万能混合機で混合することにより、層剥離した層状粘土化合物が均一に分散し、しかも、室温で液体状態の作業性のよいエポキシ樹脂組成物を得ることができる。層剥離した層状粘土化合物が分散したエポキシ樹脂混合物にエポキシ樹脂用硬化剤34と場合に応じて硬化促進剤35を添加し、さらに混合して、所望のエポキシ樹脂組成物36を得ることができる。
なお、遠心分離の代わりにろ過(減圧ろ過を含む)によっても無機充填材を分離除去することができる。
ところで、層状粘土化合物の分散状態は、X線回折測定により確認することができる。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させたとき、広角X線回折測定において2θ=3〜10°の範囲内に反射ピークが観察されない状態で層状粘土化合物が層剥離している。上に述べたように、層状粘土化合物は、SiO4四面体が二次元上に配列したシリケート層から構成されている。この構造がエポキシ樹脂組成物の硬化物中で維持されていると、広角X線回折測定において、2θ=3〜10°の範囲内に強い反射ピークが観察される。なお、このX線回折測定に使用する試験片は、エポキシ樹脂樹脂組成物を金型に流し込み、真空下で脱泡した後、100℃で3時間一次硬化させ、さらに150℃で15時間二次硬化させて得られる板状試験片(縦30mm×幅20mm×厚さ1mm)とすることができる。
以上のようにして調製したエポキシ樹脂組成物と強化繊維材料と組合せ、エポキシ樹脂を硬化させることによって、本発明の六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料を得ることができる。用いる強化繊維材料が、クロス、マット、ロービングの形態にある場合には、それらの強化繊維材料にエポキシ樹脂組成物を含浸させ、プリプレグを得、得られたプリプレグを積層してエポキシ樹脂の硬化に供することができる。あるいは短繊維の形態にある強化繊維材料を用いた場合には、これをエポキシ樹脂組成物と混合し、通常の成形方法で成形して所望の繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料は、優れた六フッ化硫黄分解ガス耐性を示し、しかもマトリックス樹脂部分における亀裂の発生と進展が抑制されている。そのため、この繊維強化複合材料を、ガス絶縁開閉装置、管路気中送変電装置、ガス絶縁変圧器、その他のガス絶縁電気機器における絶縁材料または構造材料として使用することができる。
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1
液体エポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート(Ep)828)100重量部を60℃に予熱した後、第四級アンモニウムイオンが層間に挿入されている層状粘土化合物(コープケミカル社製、商品名:STN)10重量部を添加し、万能混合撹拌機(ダルトン社製、商品名:5DMV−r型)を用いて10分間混合した。その後、この混合物に無機充填材として粒子状シリカ(龍森社製、商品名クリスタライトA1、平均粒径12μmの結晶性石英)を240重量部添加し、真空下、60℃で3時間混合・撹拌した。混合終了後、この混合物を、その混合物と同量のアセトンで希釈し、希釈液を遠心分離操作に供し、上澄み液を取り出し、加熱下または真空下でアセトンを除去した。得られた混合物に、エポキシ樹脂用酸無水物系硬化剤(日本化薬社製、商品名:カヤハード(MCD))80重量部とアミン系硬化促進剤(チバガイギー社製、商品名:DY061)0.3重量部を添加し、混合することによって繊維強化複合材料用樹脂組成物を得た。ついで、この樹脂組成物を電気絶縁用ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、商品名:MS130(目抜平織)に含浸させた後、加熱加圧によりプリプレグを作製した。このプリプレグを積層し、加圧しながら加熱硬化させることによって、六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料を得た。
実施例2
固体エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(チバガイギー社製、商品名:CT200)20重量部を120℃に予熱した後、第四級アンモニウムイオンが層間に挿入されている層状粘土化合物(コープケミカル社製、商品名:STN)10重量部を添加し、万能混合撹拌機(ダルトン社製、商品名:5DMV−r型)を用いて10分間混合した。その後、この混合物を高いトルクによる混合が可能な混合機(東洋精機製作所社製、商品名:ラボプラストミル)へ移し、固体エポキシ樹脂が軟化する温度(CT200の場合は約50℃)まで降温した後、ラボプラストミル混合機でさらに30分間混合した。ラボプラストミル混合機での混合終了後、この混合物を再び万能混合機へ移し、液体エポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:Ep828)80重量部およびアミン系硬化促進剤(日本火薬社製、商品名:カヤハード(MCD)0.3重量部を添加し、混合することによって繊維強化複合材料用樹脂組成物を得た。ついで、この樹脂組成物を電気絶縁用ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、商品名:MS130(目抜平織)に含浸させた後、加熱加圧によりプリプレグを作製した。このプリプレグを積層し、加圧しながら加熱硬化させることによって、六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料を得た。
実施例3
層状粘度化合物と固体エポキシ樹脂との混合時に、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A187)1重量部を添加した以外は、実施例2と同様にして、繊維強化複合材料を得た。
比較例1
液体エポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート(Ep)828)100重量部に、エポキシ樹脂用酸無水物系硬化剤(日本化薬社製、商品名:カヤハード(MCD))80重量部とアミン系硬化促進剤(チバガイギー社製、商品名:DY061)0.3重量部を添加し、万能混合撹拌機(ダルトン社製、商品名:5DMV−r型)を用いて10分間真空下に混合することによって、繊維強化複合材料用樹脂組成物を得た。ついで、この樹脂組成物を電気絶縁用ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、商品名:MS130(目抜平織)に含浸させた後、加熱加圧によりプリプレグを作製した。このプリプレグを積層し、加圧しながら加熱硬化させることによって、繊維強化複合材料を得た。
比較例2
液体エポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート(Ep)828)100重量部を60℃に予熱した後、第四級アンモニウムイオンが層間に挿入されている層状粘土化合物(コープケミカル社製、商品名:STN)10重量部を添加し、万能混合撹拌機(ダルトン社製、商品名:5DMV−r型)を用いて10分間真空混合した。その後、エポキシ樹脂用酸無水物系硬化剤(日本化薬社製、商品名:カヤハード(MCD))80重量部とアミン系硬化促進剤(チバガイギー社製、商品名:DY061)0.3重量部を添加し、混合することによって、繊維強化複合材料用樹脂組成物を得た。ついで、この樹脂組成物を電気絶縁用ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、商品名:MS130(目抜平織)に含浸させた後、加熱加圧によりプリプレグを作製した。このプリプレグを積層し、加圧しながら加熱硬化させることによって、繊維強化複合材料を得た。
比較例3
実施例1で使用した層間に第四級アンモニウムイオンが挿入された層状粘土化合物(STN)の代わりに、層間にナトリウムイオンが存在する層状粘土化合物(コープケミカル社製、商品名:SWN)を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化複合材料を得た。
以上の実施例1〜3及び比較例1〜3において調製した繊維強化複合材料用樹脂組成物の組成を表1に示す。
Figure 2005179569
<六フッ化硫黄分解ガス耐性の評価>
繊維強化複合材料の六フッ化硫黄分解ガス耐性を評価するため、実施例1〜3および比較例1〜3で作製した繊維強化複合材料から試験片(縦100mm×幅100mm×厚さ1mm)を切り出した。これらの試験片をフッ化水素水溶液(濃度25%)を用いて一定の濃度で平衡状態としたフッ化水素雰囲気の容器中、室温で、24時間維持(暴露)した後、JIS−K6691「熱硬化性プラスチック一般試験方法(表面抵抗)」に従い、試験片表面の絶縁抵抗を測定した。前述のように、六フッ化硫黄ガスはアーク等により分解して最終的にはガラス繊維を劣化させるフッ化水素を生成することから、このフッ化水素雰囲気中での暴露試験は、硬化樹脂の六フッ化硫黄分解ガス耐性を評価する加速試験として合理的な試験方法である。
表2に、実施例1〜3および比較例1〜3で作製した繊維強化複合材料のフッ化水素への暴露前と後の表面絶縁抵抗を示す。
Figure 2005179569
表2に示す結果から、実施例1〜3の繊維強化複合材料は、比較例1の繊維強化複合材料と比較して、フッ化水素雰囲気暴露後の試験片表面における絶縁抵抗の低下が少ないことがわかる。比較例1の繊維強化複合材料は、層状粘土化合物が配合されていないため、フッ化水素がガラス繊維と反応し、潮解性のH2SiF6が生成し、これが導電パスを形成し、表面の絶縁抵抗を低下させている。これに対し、実施例1〜3の繊維複合材料は、層状粘土化合物が充填されているため、層状粘土化合物がフッ化水素ガスの樹脂中への進入を抑制するため、表面抵抗の低下を少なくしている。
しかしながら、比較例2および3の繊維強化複合材料には、層状粘土化合物が含まれているにもかかわらず、フッ化水素雰囲気暴露後の試験片表面における絶縁抵抗が、実施例1〜3の繊維強化複合材料と比べて、大きく低下している。これは、層状粘土化合物の分散状態の違いによるものである。そこで、実施例1〜3および比較例2〜3の繊維強化複合材料における層状粘土化合物の分散状態を以下のようにして評価した。
<層状粘土化合物の分散状態の評価>
実施例1〜3および比較例2〜3で調製した繊維強化複合材料用樹脂組成物を金型に流し込み、真空下で脱泡した後、100℃で3時間一次硬化させ、さらに150℃で15時間二次硬化させて、評価用の板状試験片(縦30mm×幅20mm×厚さ1mm)を作製し、X線回折(XRD)測定装置(理学社製、型式:XRD−B)を用いて、これらの板状試験片のX線回折を測定した。結果を図4に示す。図4から明らかなように、実施例1〜3で調製した樹脂組成物から作製した板状試験片には、2θ=3〜10°の範囲に反射ピークが観察されない。これは、層状粘土化合物が層間で剥離し、剥離したシリケート層が樹脂中に均一に分散していることを示すものである。すなわち、実施例1〜3の繊維強化複合材料は、本来フッ化水素に対する優れた耐性を有する層状粘土化合物が均一に分散しているため、樹脂中へのフッ化水素の進入および樹脂中におけるフッ化水素の拡散を防止するというガスバリア性が十分に発現されている。それ故、実施例1〜3の繊維強化複合材料においては、樹脂表面でのフッ化水素に起因する上記導電パスの形成が抑制されるため、六フッ化硫黄分解ガスに対し優れた耐性が発揮されている。
これに対し、比較例1〜3で調製した樹脂組成物から作製した板状試験片には、2θ=3〜10°の範囲に層状粘土化合物の層構造に由来する反射ピークが観察される。これは、層状粘土化合物が層間で剥離することなく、層構造をそのまま維持していることを示すものである。そのため、比較例1〜3の繊維強化複合材料においては、フッ化水素は、層構造を維持したままの層状粘土化合物間を通り抜けガラス繊維を劣化させ、試験片の表面抵抗の大幅な低下をもたらしたものである。なお、比較例3は、実施例1とは使用する層状粘土化合物が相違するだけである。実施例1で使用した層状粘土化合物は層間に第四級アンモニウムイオンが存在するものであり、比較例1で使用した層間にナトリウムイオンが存在する層状粘土化合物に比べて、層剥離が容易に生じ、分散性に優れている。層間にナトリウムイオンが存在する層状粘土化合物を層剥離させるためには、実施例1の混合撹拌条件を一層強化させるべきであることが示唆される。
<破壊靭性値の測定>
エポキシ樹脂中の層状粘土化合物が、樹脂中での亀裂の発生およびその亀裂の進展を抑制する効果を評価するために、破壊靭性値の測定を行った。
すなわち、実施例1〜3および比較例1〜3で調製した繊維強化複合材料用樹脂組成物を金型に流し込み、真空下で脱泡した後、100℃で3時間一次硬化させ、さらに150℃で15時間二次硬化させて、破壊靭性値測定用コンパクトテンション試験片を作製した。これら試験片にかみそり刃で初期クラックを入れ、破壊靭性値(KIC)を測定した。なお、試験片の形状および試験方法は、ASTM D5045−91に従った。結果を表3に示す。
Figure 2005179569
表3に示す結果から、実施例1〜3で調製した樹脂組成物から作製した試験片は、比較例実施例1〜3で調製した樹脂組成物から作製した試験片よりも、高い靭性値を示すことがわかり、樹脂中での亀裂の発生および亀裂の進展が抑制されていることが確認された。
一般に、エポキシ樹脂は、初期状態では線状の低分子量化合物であるが、硬化剤との混合物を加熱することにより、分子間で橋かけ反応(硬化反応)が進行し、三次元構造を持つ不溶・不融の物質となる。しかしながら、エポキシ樹脂は、硬化終了後の冷却過程で体積が収縮するため、樹脂内部に歪(内部応力)を持つようになる。このような状態の樹脂に外力が加わると、内部応力による亀裂の発生や三次元架橋構造形成による伸びの減少により、破壊挙動(亀裂の進展)を示す。実施例1〜3の試験片は、上に述べたように、層状粘土化合物が層剥離し、剥離したシリケート層がエポキシ樹脂中に均一に分散している。この均一に分散したシリケート層がエポキシ樹脂の三次元構造を拘束しているため、エポキシ樹脂に外力が加わっても、内部応力による亀裂の発生を低減することができる。また、分散したシリケート層は、亀裂の進展に対する抵抗力となるため、エポキシ樹脂を強靭性化させることができる。
実施例2と実施例3で調製した樹脂組成物から得た試験片の破壊靭性値を比べると、実施例3のものの方が高くなっている。これは、実施例3で添加したシランカップリング剤が、剥離したシリケート層のエポキシ樹脂に対する濡れ性を向上させた結果である。濡れ性の向上により、シリケート層とエポキシ樹脂との接着界面が強固なものとなり、エポキシ樹脂の三次元構造をより強く拘束することができ、エポキシ樹脂をより強靭性化させることができる。
他方、比較例1で調製した樹脂組成物には層状粘土化合物が配合されておらず、また比較例2および3で調製した樹脂組成物では、上に述べたように、層状粘土化合物が層構造を維持した状態または凝集体としてエポキシ樹脂に存在している。そのため、層状粘土化合物によるエポキシ樹脂の三次元構造の拘束が行えず、また層状粘土化合物が亀裂の進展に対する抵抗力となることができず、エポキシ樹脂を強靭性化させることができない。
本発明の一実施の形態に係る六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料の内部構造を示す模式図。 本発明の一実施の形態に従い層状粘土化合物をエポキシ樹脂に層分離した状態で分散させるための方法を説明する図。 本発明の一実施の形態に従いエポキシ樹脂組成物を製造する工程を示すフロー図。 実施例1〜3および比較例1〜3で調製したエポキシ樹脂組成物の硬化物のX線回折測定結果を示すグラフ。
符号の説明
11…六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料、12a、12b…ガラス繊維マット基材、13…エポキシ樹脂、14,28…層状粘土化合物の剥離したシリケート層、21…混合装置、211…撹拌子、22…液体エポキシ樹脂、23,32…層状粘土化合物、24…無機充填材、26…遠心分離管、27…有機希釈剤で希釈されたエポキシ樹脂、31…固体エポキシ樹脂、33…液体エポキシ樹脂、34…エポキシ樹脂用硬化剤、35…硬化促進剤、36…エポキシ樹脂組成物。

Claims (7)

  1. (a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂用硬化剤、および(c)層状粘土化合物を含むエポキシ樹脂組成物と、強化繊維材料を包含し、前記層状粘土化合物が層剥離した状態で分散されていることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料。
  2. 前記層状粘土化合物が、前記エポキシ樹脂組成物を硬化させたとき、X線回折測定において2θ=3〜10°の範囲内に反射ピークが観察されない状態で存在していることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料。
  3. 前記層状粘土化合物が、スメクタイト群、マイカ群、バーミキュライト群からなる鉱物群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化複合材料。
  4. 前記の層状粘土化合物が、その層間に第四級アンモニウムイオンを有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  5. 前記分散した層状粘土化合物が、ケトン類、アルコール類、極性溶媒、界面活性剤、両親媒性化合物およびシランカップリング剤の中から選択された少なくとも一種の分散助剤によりその凝集が抑制されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  6. (a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂用硬化剤および(c)層状粘土化合物を含み、前記層状粘土化合物が層剥離した状態で分散されているエポキシ樹脂組成物を強化繊維材料に含浸させ、得られたプリプレグを硬化させることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁機器用繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料を使用してなることを特徴とする六フッ化硫黄ガス絶縁用絶縁構造部材。
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