JP2003022710A - 低誘電型絶縁材料とその製造方法 - Google Patents
低誘電型絶縁材料とその製造方法Info
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Abstract
/無機複合型材料において、絶縁材料の絶縁性の基準と
なる誘電特性を向上させた熱硬化性樹脂による低誘電型
絶縁材料とその製造方法に関する。 【解決手段】活性な化学結合あるいは官能基が付加され
た四級アンモニウム塩が層間に存在する層状粘土化合物
を熱硬化性樹脂と混合することで、樹脂との反応の生起
あるいは相互作用を付与させ、層状粘土化合物のシリケ
ート層を樹脂中に均一分散させると共に、高温域におけ
る優れた誘電特性を発現させる。
Description
機化合物を組み合わせた有機及び無機複合型材料におい
て、絶縁材料の絶縁性の基準となる誘電特性を向上させ
た熱硬化性樹脂による低誘電型絶縁材料とその製造方法
に関する。
質及び接着性に優れていることから、電子デバイス用の
IC基板、封止材料、産業及び重電用機器のモールド材
料、含浸材料、絶縁材料として幅広く使用されている。
は、絶縁性、高熱伝導性、耐熱性、機械的性質、電気的
性質、接着性、高靭性、ガスバリヤ性、高弾性など種々
の性能が必要とされ、樹脂にシリカ、アルミナ、窒化ホ
ウ素等の無機化合物を充填することで、使用目的に応じ
た特性を得ている。
圧化、使用環境の過酷化、或いは電気・電子機器の小型
化、大容量化、高周波帯域での使用に伴い、絶縁材料の
高性能化、信頼性の向上、品質の安定化が求められてい
る。特に絶縁材料の誘電率及び誘電正接が低く制御され
ていることは、大電圧化や高周波帯での使用等において
非常に有利となる。
無機化合物の充填では、無機化合物自体の誘電率及び誘
電正接が高いため、高熱伝導性や高耐熱性等の特性を樹
脂に付与すると同時に優れた誘電特性を樹脂に付与する
ことは困難であった。
において、層状粘土化合物の層間に存在する金属陽イオ
ンを有機化合物で置換した層状粘土化合物をポリアミド
等の熱可塑性樹脂に分散させることで、その耐熱性や機
械強度を向上させる技術は、例えば特開平11-181309
号、特開平11-315204号、特開平11-310702号、特開平11
-92677号、特開平11-92594号、特開平10-324810号、特
開平10-158431号、特開平9-111116号の各公報にも見ら
れるように知られている。
オンの置換率を変化させることで、複合型材料の誘電特
性を制御するようにした技術については知られていな
い。
めになされたもので、優れた誘電特性を有する低誘電型
絶縁材料を提供することを目的とする。
成するため、以下のような技術手段を講じた低誘電型絶
縁材料とその製造方法とするものである。
材料中に層間に金属イオンを有する層状粘土化合物を分
子レベルで均一に分散させる。
層状粘土化合物が熱硬化性樹脂中において均一に分散す
ることで、絶縁材料の誘電率及び誘電正接を制御するこ
とができる。
応する発明の低誘電型絶縁材料において、層状粘土化合
物の層間に存在する金属陽イオンが四級アンモニウム塩
により置換され、その置換の割合が50%以上とする。
層間に存在する金属陽イオンを四級アンモニウム塩で置
換する割合により絶縁材料の誘電特性を制御することが
でき、更に置換の割合が50%以上とすることで、絶縁
材料の誘電率及び誘電正接を樹脂自身が有するそれより
も低くすることができる。
応する発明の低誘電型絶縁材料において、前記層状粘土
化合物は、その表面が静電的に帯電した無機微粒子から
なり、且つ層間に四級アンモニウム塩が存在する。
層状粘土化合物の表面が帯電していることで、静電的な
斥力により凝集を抑制することができる。更に層状粘土
化合物の層間に四級アンモニウム塩が存在することで、
熱硬化性樹脂又は有機溶剤との親和性が増し、凝集を抑
制することができる。
応する発明の低誘電型絶縁材料において、前記層状粘土
化合物の層間に存在する四級アンモニウム塩が、飽和炭
素結合、不飽和炭素結合、エーテル結合、スルフィド結
合、エステル結合、アミド結合からなる化学結合群又は
アルキル基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、
アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、ニトリル基、チ
オール基、スルホン酸基、ハロゲン基からなる官能基群
のうち、少なくとも一種を含んでいる。
化学結合或いは官能基が樹脂と反応又は水素結合等より
相互に作用し合うことで、層状粘土化合物と樹脂との相
溶性を向上させると共に、樹脂と層状粘土化合物との界
面の接着性を向上させ、樹脂の分子鎖を拘束することで
絶縁材料の優れた誘電特性を導くことができる。
応する発明の低誘電型絶縁材料において、前記層状粘土
化合物がスメクタイト群、マイカ群、バーミキュライト
群の鉱物群の中から選択された少なくとも一種である。
スメクタイト群又はマイカ群、或いはバーミキュライト
群に属する層状粘土化合物は、シリケート層が積層した
構造を有し、その層間にイオン、 分子、 クラスターを
イオン交換することができるため、層間距離を制御した
層間化合物を得ることができる。また、イオン交換の処
理を行う温度、時間を変化させることにより、その交換
の割合を制御することができる。
請求項7のいずれかに記載の低誘電型絶縁材料を電気又
は電子機器用或いは産業又は重電機器用の絶縁材料若し
くは構造部材として用いる。
縁材料若しくは構造部材によれば、熱硬化性樹脂に配合
する層状粘土化合物の層間における四級アンモニウム塩
の存在量を変えることで、絶縁材料の誘電率を制御した
低誘電型絶縁材料を得ることができるため、電気又は電
子機器用或いは産業又は重電機器用の絶縁材料若しくは
構造部材に必要とされる誘電特性を満たす材料を提供す
ることができる。
と無機化合物を組み合わせた有機及び無機複合型材料か
らなる低誘電型材料の製造方法において、熱硬化性樹脂
に層間に四級アンモニウム塩が存在する層状粘土化合物
を混合し、所定時間経過後硬化剤を添加しながらさらに
混合し、その後型に流し込んで樹脂中に残った泡を除去
した後、加熱処理して硬化させる。
よれば、層状粘土化合物が熱硬化性樹脂中において均一
分散させることができ、絶縁材料の誘電率及び誘電正接
を制御することができ、また層間に存在する金属陽イオ
ンを四級アンモニウム塩で置換する割合により絶縁材料
の誘電特性を制御することができる。
応する発明の低誘電型絶縁材料の製造方法において、前
記層状粘土化合物を熱硬化性樹脂に混合する際、ケトン
類、アルコール類、極性溶媒、界面活性剤、両親媒性化
合物、シランカップリング剤のうちから選択された少な
くとも一種の分散助剤を添加する。
よれば、層状粘土化合物の樹脂への分散性及び相溶性を
向上することができるため、凝集を抑制し均一に分散す
ることができる。特に、界面活性剤、両親媒性化合物、
シランカップリング剤のいずれか一種を用いた場合
は、層状粘土化合物と樹脂間を結合、或いは、相互に作
用し合う効果を付与することができるため、凝集を抑制
すると共に、前記誘電特性の発現を補助することができ
る。
応する発明の低誘電型絶縁材料の製造方法において、前
記層状粘土化合物の配合量を、熱硬化性樹脂100重量
部当たり、30重量部以下とする。
よれば、層状粘土化合物の配合量が30重量部以上で起
こる樹脂の脆化を抑制し、優れた誘電特性の付与と機械
的強度の低下を防ぐことができる。
に説明する。
化合物によって構成され、熱硬化性樹脂中に層状粘土化
合物が均一に分散することで、複合型材料の誘電率及び
誘電正接が制御された低誘電型絶縁材料とするものであ
る。
樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂、不飽
和ポリエステル、ウレタン樹脂、ノボラック樹脂、エボ
ナイト等が挙げられるが、特にエポキシ樹脂が好まし
く、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹
脂、脂環式エポキシ樹脂のいずれを用いてもよい。
SWN(コープケミカル株式会社製、商品名)を用いる。
このSWNの層間にはナトリウムイオンが存在してお
り、そのナトリウムイオンを四級アンモニウム塩で置換
する割合を変化させてある。
ブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウ
ムイオン、ジヘキシルジメチルアンモニウムイオン、ジ
オクチルジメチルアンモニウムイオン、ヘキサトリメチ
ルアンモニウムイオン、オクタトリメチルアンモニウム
イオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキ
サデシルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルト
リメチルアンモニウムイオン、ドコセニルトリメチルア
ンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオ
ン、セチルトリエチルアンモニウムイオン、ヘキサデシ
ルアンモニウムイオン、テトラデシルジメチルベンジル
アンモニウムイオン、ステアリルジメチルベンジルアン
モニウムイオン、ジオレイルジメチルアンモニウムイオ
ン、N−メチルジエタノールラウリルアンモニウムイオ
ン、ジプロパノールモノメチルラウリルアンモニウムイ
オン、ジメチルモノエタノールラウリルアンモニウムイ
オン、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニ
ウムイオン、ジメチルヘキサデシルオクタデシルアンモ
ニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、テトラメチ
ルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム等が挙げ
られるが、特にジメチルヘキサデシルオクタデシルアン
モニウム、トリオクチルメチルアンモニウムが好まし
い。
均一に分散させて低誘電率材料を得る場合の一例を説明
する。
ト807(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)10
0重量部当たり、上記層状粘土化合物を10重量部添加
して混合を行う。混合を進めるに従い、白濁していた樹
脂に透明感が認められるようになる。この時点で硬化剤
MCD(日本化薬株式会社製、商品名)と硬化促進剤DY
061(チバガイギー株式会社製、商品名)を添加し、更
に混合を行う。その後、混合した樹脂を金型に流し込
み、真空状態にすることで樹脂中に残った泡を除去し、
恒温槽で樹脂に熱を加えて硬化させることで、低誘電型
絶縁材料を得ることができる。
に対して、次のような測定を実施した。すなわち、ナト
リウムイオンの四級アンモニウム塩による置換の割合を
変化させたSWNを配合して作製した数種類の絶縁材料
の誘電率をGRブリッジGR1616(General Radio社製)に
より測定した。
するナトリウムイオンの四級アンモニウム塩による置換
の割合の関係は、図1に示すように置換の割合が50%
以上となると絶縁材料の誘電率が低下する。また、絶縁
材料の誘電正接においても同様の効果が得られ、層状粘
土化合物の層間に存在するナトリウムイオンを四級アン
モニウム塩で置換する割合を50%以上にすると誘電正
接を低く抑制できることが判る。
ける低分子量体の存在が誘電正接を大きくする要因とな
る。
在する四級アンモニウム塩は、樹脂の硬化反応を促進す
る作用があり、絶縁材料中に低分子量体が残留するのを
抑制できるため、優れた誘電正接を有する絶縁材料を得
ることができる。
土化合物に関する他の実施例として、層間に存在するナ
トリウムイオンが予め全て四級アンモニウム塩で置換さ
れているSAN、STN(コープケミカル株式会社製、
商品名)を熱硬化性樹脂中に分散させることでも、絶縁
材料誘電率及び誘電正接を低くすることができる。
粘土化合物の層間に存在するナトリウムイオンを四級ア
ンモニウム塩で置換する割合を変化させた層状粘土化合
物を熱硬化性樹脂中に分散させることにより、マトリク
ス樹脂の誘電率及び誘電損失を制御することができる。
明する。
散させる層状粘土化合物の層間に金属イオンとして存在
するナトリウムイオンと、四級アンモニウム塩とにより
構成され、層間のナトリウムイオンが任意の割合で四級
アンモニウム塩により置換された低誘電型絶縁材料とす
るものである。
級アンモニウム塩により置換する場合の一例を説明す
る。
2gを水:アルコール=1:1の溶液に分散させる。炭
素数が1〜4のアルコールを用いた場合、SWNの分散
性が良好で、特にエタノールが好ましい。SWNを分散
させた溶液に四級アンモニウム塩4gを加え、100℃
で攪拌を行う。
アンモニウム塩による置換の割合の関係を示す。置換の
割合は攪拌時間の増加に伴い上昇し、最終的には飽和に
達する。希望の置換の割合に対応する攪拌時間で攪拌を
終了し、SWNが分散する溶液を濾過し、濾過により得
られたSWNを水或いは水:アルコール=1:1の溶液
で洗浄を行う。
置換により生じたナトリウムイオン、余分な四級アンモ
ニウム塩が残留しないようにすることが必要である。そ
のため、濾過物の洗浄液の電気伝導度を測定し、伝導度
がほぼ零であることを確認する。その後、濾過により得
られたSWNを100℃で数日間乾燥を行うことで、層
間のナトリウムイオンを四級アンモニウム塩で置換する
割合を変化させた層状粘土化合物を得ることができる。
入された層状粘土化合物は、その層間の距離が広がると
共に、層間の雰囲気が親油性となり、樹脂への分散性及
び相溶性が向上する。以下に、層状粘土化合物の層間距
離が四級アンモニウム塩の挿入により拡大され、その分
散性が向上した例について述べる。
ている層状粘土化合物と四級アンモニウム塩が100%
の置換の割合で挿入された層状粘土化合物SAN及びS
TNの広角X線回折の結果を示すものである。
トリウムイオンが存在しているスメクタイト、(b)は
層間に四級アンモニウムイオンが存在しているスメクタ
イト(SAN)、(c)は層間に四級アンモニウムイオ
ンが存在しているスメクタイト(STN)である。
由来するものであり、そのピーク位置は層状粘土化合物
のシリケート層間隔の距離を示している。層間にナトリ
ウムイオンが存在しているスメクタイトの層間距離が1
3.46Åであるのに対し、四級アンモニウム塩が挿入
された層状粘土化合物SAN及びSTNはそれぞれ2
2.07Å、18.24Åとなっており、層間距離が広
がっていることを確認できる。
て、層状粘土化合物をエポキシ樹脂100重量部当た
り、10重量部の層状粘土化合物を加えて混合した後、
樹脂の状態を目視により確認し、分散の程度を評価した
結果を表1に示す。
は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828
(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂エピコート807(油化シェルエ
ポキシ株式会社製、商品名)、脂環式エポキシ樹脂CY
179(チバガイギー株式会社製、商品名)を用いた。
リウムイオンが存在しているスメクタイトを樹脂と混合
した場合、樹脂が白濁する、或いは層状粘土化合物が沈
殿していまい分散性が悪かった。一方、四級アンモニウ
ム塩が挿入され層間が拡大されたスメクタイトはいずれ
の樹脂に対しても、樹脂に透明感が確認できるほど良く
分散することが確認できた。
粘土化合物の層間に存在するナトリウムイオンを四級ア
ンモニウム塩で置換する割合を、置換反応を行う攪拌時
間により制御することができ、任意の置換の割合を有す
るSWNを得ることできる。
ンモニウム塩には、層状粘土化合物の層間距離を広げる
効果があり、且つ層間に存在することで、層間の雰囲気
を親油性とするため、層状粘土化合物の樹脂中での分散
性を高くし、相溶性を向上させることができる。
明する。
る層状粘土化合物において、その表面が帯電した状態に
し、且つ層状粘土化合物の層間に四級アンモニウム塩を
存在させた低誘電型絶縁材料とするものである。
物等の無機微粒子は、表面が静電的に帯電しており、そ
の帯電の大きさはゼータ電位で表される。一般にゼータ
電位の絶対値が大きいほど微粒子同士間に静電的な斥力
が働き凝集しにくくなり、絶対値が小さいほど微粒子同
士の斥力が小さくなり凝集しやすくなるため、ゼータ電
位は微粒子の分散性を表す指標として用いることができ
る。
N、 STN)のゼータ電位とその分散性の一例を説明
する。
粘土化合物、SAN及びSTNは層間に四級アンモニウ
ム塩が存在する層状粘土化合物である。各層状粘土化合
物を有機溶媒中で薄く白濁する程度加えた後、超音波を
照射して分散させた。有機溶剤としては、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、テトラヒド
ロフラン、アセトンが好ましく、本実施例ではアセトン
を使用し、ゼータ電位測定装置ELS−8000(大塚
電子製)を用いて測定を行った。各層状粘土化合物のゼ
ータ電位と平均粒径を表2に示す。
絶対値が20mV以上であれば良好な分散性が得られる
ことが知られている。上記表2に示した層状粘土化合物
のゼータ電位の絶対値はいずれも50mV以上となって
おり、SAN及びSTNの平均粒径が150nm、10
0nmであることから凝集が抑制されていることが確認
されている。
層状粘土化合物であるSWNは、そのゼータ電位の絶対
値は69mVと大きいにもかかわらず、平均粒径は12
29nmと大きく、凝集が認められている。つまり、S
AN及びSTNのように、層間における四級アンモニウ
ム塩が存在することで、有機溶剤との親和性が増加し凝
集が抑制されている。
粘土化合物の表面が帯電した状態にあることで、その静
電的な斥力により凝集を抑制することができ、また層状
粘土化合物の層間に四級アンモニウム塩を存在させるこ
とで熱硬化性樹脂又は有機溶剤との親和性が増し、凝集
を抑制することができる。
明する。
て、層状粘土化合物を熱硬化性樹脂中に混合する際に、
層状粘土化合物の分散性を高めるため、熱硬化性樹脂と
の層状粘土化合物の混合時にケトン類、アルコール類、
極性溶媒、界面活性剤、両親媒性化合物、シランカップ
リング剤のうち少なくとも一種を分散助剤として添加し
た低誘電型絶縁材料とするものである。この場合、分散
助剤は樹脂100重量部当たり1〜10重量部配合する
のが好ましい。
としてアセトン、メチルエチルケトン等が、アルコール
類としてはメタノール、エタノール、プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等が、極性溶媒としてはジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチ
ル−2−ピロリドン、アセトニトリル等が、界面活性剤
及び両親媒性化合物としては、ドデシル硫酸ナトリウ
ム、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビス
(2−エチルヘキシルスルホこはく酸ナトリウム)(A
erosol OT)、オレイン酸ナトリウム、ポリア
クリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキ
シメチルセルロース(CMC)、ポリりん酸ナトリウ
ム、ヘキサメタりん酸ナトリウム、セチルトリメチルア
ンモニウムブロミド(CTAB)、シランカップリング
剤としてはg−グリシドオキシ−プロピルトリメトキシ
シラン、g−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル
−トリメトキシシラン等が挙げられる。
シリケートは、ケトン類、 アルコール類、 極性溶媒に
対して非常によく分散するため、樹脂中においてもこれ
らを1〜10重量部添加することで、層状粘土化合物の
凝集を抑え、分散性を増加させることができる。
粘土化合物の表面に吸着することで、層状粘土化合物の
ゼータ電位の絶対値が大きくなる。これにより、層状粘
土化合物間の静電的な斥力が大きくなり、層状粘土化合
物の二次凝集が抑制され、分散性を高めることができ
る。
層状粘土化合物との界面を架橋することができるため樹
脂の分子鎖の運動を拘束することで、熱硬化性樹脂がガ
ラス転移点以上のゴム状領域にある場合の誘電率及び誘
電損失の増加を抑制することができる。
化性樹脂との層状粘土化合物の混合時にケトン類、アル
コール類、極性溶媒、界面活性剤、両親媒性化合物、シ
ランカップリング剤のうち少なくとも一種が分散助剤と
して添加されていることで、層状粘土化合物と熱硬化性
樹脂との親和性が増加し、層状粘土化合物の二次凝集が
抑制され、熱硬化性樹脂中において均一に分散させるこ
とができる。
明する。
る層状粘土化合物として、スメクタイト群、マイカ群、
バーミキュライト群、雲母群からなる鉱物群から選ばれ
た少なくとも一種を用いた低誘電型絶縁材料とするもの
である。
層した構造を有し、その層間にイオン、 分子、 クラス
ターをイオン交換することができるため、シリケート層
の層間に四級アンモニウム塩等の有機化合物を容易に挿
入することができる。
粘土化合物としては、モンモリロナイト、ヘクトライ
ト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライト、ステブ
ンサイト、ノントロナイト等が挙げられる。
しては、クロライト、フロゴパイト、レピドライト、マ
スコバイト、バイオタイト、パラゴナイト、マーガライ
ト、テニオライト、テトラシリシックマイカ等が挙げら
れる。
粘土化合物としては、トリオクタヘドラルバーミキュラ
イト、ジオクタヘドラルバーミキュライトが挙げられ、
雲母群属する層状粘土化合物としては、白雲母、黒雲
母、パラゴナイト、レビトライト、マーガライト、クリ
ントナイト、アナンダイト等が挙げられる。
る層状粘土化合物が好ましい。
タイト群或いはマイカ群に属する層状粘土化合物は、シ
リケート層が積層した構造を有し、その層間にイオン、
分子、 クラスターをイオン交換することができるた
め、層間距離を制御した層間化合物を得ることができ
る。また、イオン交換の処理を行う温度、時間を変化さ
せることにより、その交換の割合を制御することができ
る。
明する。
ける層状粘土化合物が、熱硬化性樹脂100重量部当た
り、30重量部以下とした低誘電型絶縁材料とするもの
である。
になると熱硬化性樹脂が脆くなることが確認されてい
る。以下に層状粘土化合物の配合量と絶縁材料の曲げ破
壊強さの関係から、層状粘土化合物の配合量を規定した
例を示す。
ト807(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)10
0重量部当たり、層状粘土化合物STNを0、10、2
0、30重量部添加して混合を行った後、硬化剤MCD
(日本化薬株式会社製、商品名)と硬化促進剤DY061
(チバガイギー株式会社製、商品名)を添加し、更に混合
を行う。
真空状態にすることで樹脂中に残った泡を除去し、恒温
槽で樹脂に熱を加え硬化させることで試験片(幅10m
m×厚さ3mm×長さ80mm)を作製し、その機械強
度を3点曲げ試験(JIS−K7203「硬化プラスチ
ックの曲げ試験方法」)により測定した。
ロスヘッド移動速度:2mm/min、 測定温度:R
Tである。
係を示す図である。この図4から明らかなように、ST
Nの配合量が30重量部になると絶縁材料の曲げ破壊強
さが低下するのが確認できる。
化合物が二次凝集しやすくなり、その凝集箇所を基点に
破壊が進行するため脆くなり、破壊強度が低下する。以
上より、熱硬化性樹脂への層状粘土化合物の配合量は3
0重量部以下が好ましい。また、層状粘土化合物の配合
量が熱硬化性樹脂100重量部当たり、0.1未満であ
ると誘電率及び誘電正接を低く制御する効果が発現しな
くなる傾向もあるため、0.1重量部以上が好ましい。
誘電特性を絶縁材料に付与すると同時に、機械強度を低
下させないための最適な層状粘土化合物の配合量を規定
することができる。
明する。
粘土化合物において、層間に存在する四級アンモニウム
塩が、飽和炭素結合、不飽和炭素結合、エーテル結合、
スルフィド結合、エステル結合、アミド結合からなる化
学結合群又はアルキル基、水酸基、カルボキシル基、カ
ルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、ニ
トリル基、チオール基、スルホン酸基、ハロゲン基から
なる官能基群から少なくとも一種を含む構造を有する低
誘電型絶縁材料とするものである。
を有する。また、エポキシ樹脂の有するグリシジル環も
非常に高い活性を有するため、上記の化学結合或いは官
能基を有する四級アンモニウム塩が層間に存在する層状
粘土化合物を熱硬化性樹脂に添加し、熱エネルギーやせ
ん断力を加えながら混合することで、化学結合或いは官
能基を有する四級アンモニウム塩と熱硬化性樹脂の間
に、反応を生起させる或いは相互作用の付与することが
でき、層状粘土化合物のシリケート層を樹脂中に均一に
分散させることができると同時に、熱硬化性樹脂の分子
鎖を拘束し高温域において優れた誘電特性を発現させる
ことができる。以下に実施例を示す。
層間に存在する層状粘土化合物SEN(コープケミカル
株式会社製、商品名)を、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂エピコート807(油化シェルエポキシ株式会社
製、商品名)100重量部当たり、10重量部を添加す
る。層状粘土化合物SENを添加した熱硬化性樹脂をビ
ーカーに入れた後、シリコーンオイルバスを用いて10
0℃で加熱しながら、攪拌機で混合を行う。四級アンモ
ニウム塩が有する水酸基は、エポキシ樹脂のグリシジル
環を開環させエーテル結合を形成し、四級アンモニウム
塩とエポキシ樹脂が連結したオリゴマーが生成する。
塩或いはエポキシ樹脂と反応していくことで、エポキシ
樹脂の分子鎖が層状粘土化合物SENのシリケート層に
より拘束された3次元の網目構造が形成される。また、
混合を開始した直後は、樹脂は白濁しているが、混合を
続けていくと、樹脂は粘度が増加すると共に透明になっ
てくる。粘度の増加、樹脂の透明性は、層状粘土化合物
SENが均一に分散していることの証拠と言える。その
後、硬化剤MCD(日本化薬株式会社製、商品名)と硬化
促進剤DY061(チバガイギー株式会社製、商品名)
により硬化することで、低誘電型絶縁材料を得ることが
できる。
化学結合或いは官能基が付加された四級アンモニウム塩
が層間に存在する層状粘土化合物を熱硬化性樹脂と混合
することで、樹脂との反応の生起或いは相互作用を付与
させ、層状粘土化合物のシリケート層を樹脂中に均一に
分散させることができると共に、高温域における優れた
誘電特性を発現させることができる。
明する。
実施の形態により得られた低誘電型絶縁材料を電気・電
子機器用及び産業・重電機器用の絶縁材料或いは構造部
材に使用するものである。
は、小型化、 大容量化、 高周波帯域での使用、 大電
圧化、 使用環境の過酷化が求められており、これに伴
い絶縁材料或いは構造部材の高性能化、 信頼性の向
上、 品質の安定化が期待されている。特に絶縁材料の
誘電率及び誘電正接が低く制御されていることは、大電
圧化や高周波帯での使用等においては非常に重要であ
り、本発明の低誘電型絶縁材料はこの要求に合致するも
のである。
気・電子機器用及び産業・重電機器用の絶縁材料或いは
構造部材の例としては、IC基板、LSI素子用層間絶
縁膜、積層基板、半導体用の封止材、ガス開閉装置用絶
縁スペーサ、遮断器用絶縁ロッド、発電機用コイルの含
浸樹脂、発電機用タービンエンド部仕上げワニス、絶縁
塗料、FRP用樹脂、パワーユニット絶縁・封止材、用
高熱伝導絶縁シート、ケーブル被覆材料、注型絶縁部
品、成形絶縁部品等が挙げられる。
粘土化合物を熱硬化性樹脂中に均一に分散させること
で、優れた誘電特性を有する低誘電型絶縁材料を提供す
ることができ、電気又は電子機器或いは産業又は重電機
器用絶縁材料若しくは構造部材としてその工業的価値は
非常に大きい。
により得られる、層状粘土化合物の層間に存在するナト
リウムイオンの四級アンモニウム塩による置換の割合と
絶縁材料の誘電特性との関係を示す図である。
により得られる、層状粘土化合物の層間に存在するナト
リウムイオンの四級アンモニウム塩による置換反応の攪
拌時間と置換の割合との関係を示す図である。
により得られる層状粘土化合物の層間間隔を示す図であ
る。
により得られる、層状粘土化合物の配合量と絶縁材料の
曲げ破壊強さとの関係を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 高分子化合物と無機化合物を組み合わせ
た有機及び無機複合型材料において、層間に金属イオン
を有する層状粘土化合物を熱硬化性樹脂中に均一分散さ
せたことを特徴とする低誘電型絶縁材料。 - 【請求項2】 請求項1記載の低誘電型絶縁材料におい
て、前記層状粘土化合物は、層間に存在する金属陽イオ
ンが四級アンモニウム塩により置換され、その置換の割
合が50%以上であることを特徴とする低誘電型絶縁材
料。 - 【請求項3】 請求項1記載の低誘電型絶縁材料におい
て、前記層状粘土化合物は、その表面が静電的に帯電し
た無機微粒子からなり、且つ層間に四級アンモニウム塩
が存在することを特徴とする低誘電型絶縁材料。 - 【請求項4】 請求項2記載の低誘電型絶縁材料におい
て、前記層状粘土化合物は、層間に存在する四級アンモ
ニウム塩が、飽和炭素結合、不飽和炭素結合、エーテル
結合、スルフィド結合、エステル結合、アミド結合から
なる化学結合群又はアルキル基、水酸基、カルボキシル
基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ
基、ニトリル基、チオール基、スルホン酸基、ハロゲン
基の官能基群のうち、少なくとも一種を含むことを特徴
とする低誘電型絶縁材料。 - 【請求項5】 請求項1記載の低誘電型絶縁材料におい
て、前記層状粘土化合物は、スメクタイト群、マイカ
群、バーミキュライト群の鉱物群の中から選択された少
なくとも一種であることを特徴とする低誘電型絶縁材
料。 - 【請求項6】 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載
の低誘電型絶縁材料を用いたことを特徴とする電気又は
電子機器用或いは産業又は重電機器用の絶縁材料若しく
は構造部材。 - 【請求項7】 高分子化合物と無機化合物を組み合わせ
た有機及び無機複合型材料からなる低誘電型絶縁材料の
製造方法において、熱硬化性樹脂に層間に四級アンモニ
ウム塩が存在する層状粘土化合物を混合し、所定時間経
過後硬化剤を添加しながらさらに混合し、その後型に流
し込んで樹脂中に残った泡を除去した後、加熱処理して
硬化させたことを特徴とする低誘電型絶縁材料の製造方
法。 - 【請求項8】 請求項7記載の低誘電型絶縁材料の製造
方法において、前記層状粘土化合物を前記熱硬化性樹脂
に混合する際、ケトン類、アルコール類、極性溶媒、界
面活性剤、両親媒性化合物、シランカップリング剤の中
から選択された少なくとも一種の分散助剤を添加するこ
と特徴とする低誘電型絶縁材料の製造方法。 - 【請求項9】 請求項7記載の低誘電型絶縁材料の製造
方法において、前記層状粘土化合物の配合量を、熱硬化
性樹脂100重量部当たり、30重量部以下にしたこと
を特徴とする低誘電型絶縁材料の製造方法。
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