JP2005179546A - 自動車外装部品製造用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性および耐衝撃性に優れ、線膨張係数が小さく、導電性に優れ、かつ、良好な塗装密着性、鋼板並の塗装外観の製品が得られる、自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル(A1)、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体の水素添加物(A2)、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)、ラジカル発生剤(A4)を溶融状態で反応させて得られた変性物{成分(A)}と、ポリアミド{成分(B)}、珪酸マグネシウム(タルク){
成分(C)}、導電性カーボンブラック{成分(D)}、エチレン−ビニルアルコール共重合体{成分(E)}を特定の比率で配合した樹脂組成物において、成分(B)の連続相の中に、成分(A)が不連続相を形成して存在し、かつ、成分(C)が主に連続相である成分(B)中に存在することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自動車外装部品製造用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、剛性、耐熱性、耐衝撃性および寸法安定性(線膨張係数)などがバランスに優れ、導電性、塗装密着性などにも優れ、かつ、鋼板並の塗装外観を有する製品が得られる、自動車外装部品製造用樹脂組成物に関するものである。
従来、電気絶縁性である熱可塑性樹脂を静電塗装可能な樹脂組成物とする目的で、樹脂材料に導電性物質を混合する方法が提案され、実用化されている。一般に熱可塑性樹脂に添加される導電性物質としては、イオン性界面活性剤、非イオン性の界面活性剤、ポリエチレングリコール単位やイオン性官能基を有する高分子帯電防止剤などの有機化合物のほかに、カーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、金属粉未、金属酸化物などの無機物などが挙げられる。特に、少量の導電性物質の添加で高い導電性を得るために、カーボンブラックが使用されている。さらに、導電性物質を配合した樹脂組成物において、高導電性樹脂組成物を得る目的で、この樹脂組成物のミクロ形態を電子顕微鏡で観察した際、海相(マトリックス相、連続相)を形成する樹脂中に、カーボンブラックを高濃度、高密度で、かつ均一に含有させる方法が提案されている。しかしながら、この樹脂組成物は優れた導電性を発揮するが、その反面、成形加工性(溶融流動性)、得られた製品の機械的強度(特に靭性)が低下し、得られた製品の表面外観が低下するなど熱可塑性樹脂本来の優れた特性を犠牲にしている。
特に最近では、フェイシア、フェンダーおよびドアパネルなどの自動車外装部品の用途において、従来の熱可塑性樹脂製部品と比較して、更に高いレベルの性能が要求されるようになってきた。例えば、(a)耐衝撃性:衝突時のエネルギーを変形することによって吸収し、その後回復する特性や、低温時の衝撃破壊が延性を示す特性である。(b)寸法安定性(低線膨張率):塗装後の樹脂成形品が高温環境化に曝される際に、塗装膜と素地の樹脂部分との熱膨張率が異なるために、塗装膜の剥離や塗装膜に微細な亀裂が生じ、外観や意匠性が悪化するケースが多発する。また、樹脂製大型成形品を他の材質、例えば、木材、金属などの部品と組合せて使用する場合、高温使用環境下では部品間の熱膨張率が異なるために、寸法差や噛み合い不良といった問題が生じる。
さらに、(c)導電性:導電性を付与した樹脂製板状体(パネル)に通電し、それと反対の電荷を帯電させた塗料を樹脂製板状体に吹き付ける、いわゆる「静電塗装」技術が適用可能な、優れた導電性を発揮する樹脂材料が要求されている。これは、樹脂製板状体表面と塗料とを反対に帯電させることによって、相互に引き合う性質を利用し、塗料の付着率を向上させるものである。(d)塗装密着性:樹脂製板状体を鋼板用塗料によって塗装した際の樹脂製板状体と塗料との密着性を、鋼板表面の塗装膜と同等にすることが要求されている。
上記(a)〜(d)の特性を満足する樹脂材料、すなわち、耐衝撃性が優れていること、高温における寸法安定性が優れていること、静電塗装技術が適用できるほど導電性が優れていること、鋼板用塗料との密着性がすぐれていること、などの特性を具えていることが要求される。これら特性を具えた樹脂材料として、ポリフェニレンエーテルとポリアミドを構成成分とした樹脂組成物(ポリマーアロイ)が検討され、提案されている。例えば、ポリフェニレンエーテル(A)、ポリアミド(B)、水素化ブロック共重合体系エラストマー(C)からなる樹脂組成物であって、この樹脂組成物中に分散した(A)の分散相の直径が0.6μm以下である樹脂組成物、および、この樹脂組成物を製造する際に(A)に対しラジカル発生剤の共存下、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基を有する1,2−置換オレフィン化合物を反応させて得られた変性ポリフェニレンエーテル(a)と、(C)に対しラジカル発生剤の存在下、カルボン酸基又は酸無水物基を有する1,2−置換オレフィン化合物を反応させて得られた変性水素化ブロック化共重合体系エラストマー(c)と、ポリアミド(B)とを溶融混練することを特徴とした耐衝撃性ポリアミド組成物の製法(特許文献1)が提案されている。
また、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドおよびカーボンブラックを含む導電性樹脂混合物を製造する方法において、あらかじめカーボンブラックをポリアミド中へ均一に分散させた後、これとポリフェニレンエーテルとを混合した導電性樹脂混合物(特許文献2)や、まず、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改良剤としての不飽和ポリマーおよび官能化剤化合物を、任意にはポリアミドの一部と共に、溶融・混練し、ついで、残りのポリアミドおよび揮発物含量の低い導電性カーボンブラックと溶融・混練して調製した樹脂組成物(特許文献3)が提案されている。
また、特定の末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の比を有するポリアミド(ア)と、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなる共重合体の一部または全部を水素化した水添ブロック共重合体(イ)と、この(イ)の共重合体にカルボン酸基またはその誘導体基を含有する分子単位が結合されている変性ブロック共重合体(ウ)からなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中の共役ジエン化合物の不飽和度が20%を越えず、かつ(ア)、(イ)、(ウ)が特定の比率からなる樹脂組成物に、(エ)エチレン−α−オレフィン系共重合体と、(オ)末端のみに酸無水物基を有するオレフィン系ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、上記の従来技術では、(a)耐衝撃性、(b)寸法安定性、(c)導電性、(d)塗装密着性、鋼板並の塗装外観などの総てを同時に満足できるような自動車外装部品製造用樹脂組成物を得ることはできなかった。
特許第2557637号公報 特許第2756548号公報 特開平10−310695号公報 特許第3330398号公報
本発明は、かかる状況にあって、(a)耐衝撃性、(b)寸法安定性、(c)導電性、(d)塗装密着性、鋼板並の塗装外観などの総てを同時に満足できる自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供することを目的として、鋭意検討の結果、本発明に到達したものである。すなわち、本発明の目的は、(1)耐熱性および耐衝撃性に優れ、(2)寸法安定性に優れ(線膨張係数が小さい)、(3)優れた導電性を発揮し、(4)塗装密着性に優れ、鋼板並の良好な塗装外観の成形品が得られる、自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解消するために、本発明では、ポリフェニレンエーテル(A1)1〜55重量%、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体の水素添加物(A2)45〜99重量%との重合体100重量部に対し、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)0.5〜5重量部、ラジカル発生剤(A4)0.03〜3重量部を溶融状態で反応させて得られた変性物{成分(A)}10〜35重量%と、98重量%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が2.2以上のポリアミド{成分(B)}65〜90重量%からなる組成物100重量部に対し、珪酸マグネシウム(タルク){成分(C)}0〜40重量部、導電性カーボンブラック{成分(D)}1〜7重量部、エチレン−ビニルアルコール共重合体{成分(E)}0.5〜7重量部が配合されてなる樹脂組成物であって、この樹脂組成物のミクロ形態を電子顕微鏡で観察した際、成分(B)の連続相の中に、成分(A)が不連続相を形成して存在し、かつ、成分(C)が主に連続相である成分(B)中に存在することを特徴とする、自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供する。
本発明は、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明の自動車外装部品製造用樹脂組成物は、剛性、耐熱性および耐衝撃性に優れ、かつ、線膨張係数が小さく、これらの物性バランスが優れている。
2.本発明の製造用樹脂組成物は導電性に優れており、この樹脂組成物から得られる成形品には、鋼板と同様に静電塗装技術が適用できる。
3.本発明の自動車外装部品製造用樹脂組成物は導電性に優れているので、静電塗装法によって塗装した製品は、良好な塗装密着性を発揮し、鋼板並の塗装外観を有する自動車外装部品が得られる。
以下本発明を詳細に説明する。
(1)成分(A)
本発明に係る自動車外装部品製造用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物と略称することがある)において、成分(A)とは、(A1)ポリフェニレンエーテル{以下、単に(A1)と略称することがある}、(A2)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体の水素添加物{以下、単に(A2)と略称することがある}、(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸{以下、単に(A3)と略称することがある}、および、(A4)ラジカル発生剤{以下、単に(A4)と略称することがある)の各成分を、溶融状態で反応させて得られた変性物を意味する。
本発明においてポリフェニレンエーテル(A1)とは、下記一般式[I]で表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよい。
Figure 2005179546
具体的なポリフェニレンエーテル(A1)としては、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2、6−ジエチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2、6−ジプロピル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル、6−エチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル、6−プロピル−1、4−フェニレン)エ−テルなどが挙げられる。中でも、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ−テルが好ましい。好ましいポリフェニレンエーテル(A1)は、クロロホルム中、温度30℃で測定した固有粘度が0.2〜0.6dl/gのものである。固有粘度が0.2dl/g未満では、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が不足し、0.6dl/gを超えると最終的に得られる樹脂組成物の流動性(成形加工性)が低下し、この樹脂組成物から得られる成形品の外観も低下するので、いずれも好ましくない。固有粘度は、0.3〜0.5dl/gの範囲のものが特に好ましい
本発明においてブロック共重合体の水素添加物(A2)とは、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合弾性体であって、水素添加されてブロックBの脂肪族不飽和基が減少した水素添加ブロック共重合体を意味する。ブロックAおよびブロックBの配列構造は、線状構造、分岐構造(ラジカルテレブロック)などいずれの構造であってもよい。また、これらの構造のうちで、一部にビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とのランダム共重合部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これら構造のうちでは、線状構造のものが好ましく、A−B−A型のトリブロック構造のものが特に好ましく、A−B型のジブロック構造のものを含んでいてもよい。
ブロック共重合体の水素添加物(A2)のビニル芳香族化合物は、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどであり、中でも特に好ましいのはスチレンである。共役ジエン系化合物は、好ましくは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンである。ブロック共重合体の水素添加物(A2)におけるビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合は、10〜70重量%の範囲が好ましく、10〜40重量%の範囲がより好ましい。ブロック共重合体における脂肪族鎖部分のうち、共役ジエン系化合物に由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、ビニル芳香族化合物に由来する芳香族性不飽和結合は、その約25%以下が水素添加されていてもよい。
水素添加ブロック共重合体の水素添加物(A2)の数平均分子量は、好ましくは、50,000〜180,000の範囲である。数平均分子量が50,000未満であると、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性と寸法安定性、この樹脂組成物から得られる成形品の外観が低下し易く、また180,000を超えると、最終的に得られる樹脂組成物の流動性(成形加工性)が低下し易い。数平均分子量のより好ましい範囲は55,000〜160,000であり、中でもとりわけ好ましいのは60,000〜140,000である。
本発明において不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、および、これらの酸などが挙げられる。中でも特に好ましいのは、無水マレイン酸および/またはマレイン酸である。これらの不飽和酸無水物および/または不飽和酸は、一種でも二種以上の混合物あってもよい。
本発明においてラジカル発生剤(A4)としては、有機過酸化物、アゾ化合物などを挙げることができる。有機過酸化物の具体例として、(イ)ハイドロパーオキサイド類、例えば、t−ブチル−ハイドロパーオキサイド、キュメン−ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチル−ハイドロパーオキサイド、p−メンタン−ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなど、(ロ)ジ−アルキルパーオキサイド類、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチル−パーオキサイド、t−ブチル−キュミル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−キュミルパーオキサイドなど、(ハ)パーオキシケタール類、例えば、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシ−ブタン、2,2−ビス−t−ブチル−パーオキシ−オクタン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−シクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど、(ニ)パーオキシエステル類、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−ベンゾイルパーオキシ−ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなど、(ホ)ジアシルパーオキサイド類、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイドなどが挙げられる。
また、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などが挙げられる。その他のラジカル発生剤として、ジクミルパーオキサイドを挙げることができる。これらのラジカル発生剤のうちでも特に好ましいのは、10時間での半減期温度が120℃以上のラジカル発生剤である。
成分(A)は、上記(A1)、(A2)、(A3)および(A4)を所定量秤量・混合し、溶融状態で反応させることによって調製することができる。成分(A)を構成する各成分の割合は、(A1)1〜55重量%と(A2)45〜99重量%とから構成される重合体成分100重量部に対し、(A3)を0.5〜5重量部、(A4)を0.03〜3重量部とする。成分(A)中で(A1)が1重量%未満では、最終的に得られる樹脂組成物の耐熱性や寸法安定性が劣り、55重量部を越えると、最終的に得られる樹脂組成物において、成分(A)の不連続相粒子が特殊な構造とならず、耐衝撃性、寸法安定性が低下する。 (A1)と(A2)との配合比率は、(A1)/(A2)が好ましくは10〜55/90〜45であり、より好ましいのは20〜45/80〜55である。
また、成分(A)を調製する際に、(A3)と(A4)とを併用しない場合や、(A4)が0.03重量部未満の場合には、成分(C)が主に成分(A)中に存在し、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、さらに樹脂組成物から得られる成形品の寸法安定性も低下し、塗装外観不良や塗装密着性が低下する。また、(A3)が5重量部を超えたり、(A4)が3重量部を超えたりすると、最終的に得られる樹脂組成物の成形時の熱安定性が低下し、成形品の外観不良が発生し易い。(A3)の配合量は好ましくは0.7〜4重量部であり、(A4)の配合量は好ましくは0.1〜2重量部である。
溶融状態で反応させる具体的方法としては、溶融状態で混合し反応させる方法が挙げられる。溶融状態で混合し反応させるには、熱可塑性樹脂について一般に実用化されている溶融・混練機を使用することができる。溶融・混練機で溶融させている間に、変性反応が起こる。溶融・混練機としては、例えば、一軸または多軸押出機、加熱ロール、バンバリーミキサーなどが挙げられる。押出機を使用する方法によるときは、例えば、(1)(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の各成分をあらかじめブレンダーなどで混合し、得られた混合物を押出機の上流部側で一括投入(フィード)し、溶融状態で反応させる方法が好適である。
(2)成分(B)本発明において成分(B)のポリアミドは、主鎖に−CONH−結合を有し、加熱することにより溶融するものをいう。その代表的なものとしては、ポリアミド−4、ポリアミド−6、ポリアミド−6・6、ポリアミド−4・6、ポリアミド−12、ポリアミド−6・10、その他従来から知られている芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸などの単量体成分を含む結晶性または非晶性のポリアミドが挙げられる。好ましいポリアミドは、ポリアミド−6、ポリアミド−6・6、半芳香族ポリアミドであり、これらと非晶性ポリアミドとの混合物であってもよい。
成分(B)のポリアミドは、98重量%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が2.2以上のものであり、2.2〜3.0の範囲のものがより好ましい。相対粘度が2.2未満であると、成分(C)が主に成分(A)中に存在し、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、この樹脂組成物から得られる成形品の寸法安定性、成形品の塗装外観不良や塗装密着性などの低下が起こる。また、相対粘度が3.0を超えると、最終的に得られる樹脂組成物の成形性が劣り、この樹脂組成物から得られる成形品の外観も低下する。また、ポリアミド樹脂は、その末端カルボン酸含量が100μeq/g以下のものが好ましく、末端カルボン酸と末端アミンの比(末端カルボン酸/末端アミン)が、0.8〜4の範囲のものが好ましい。末端カルボン酸と末端アミンの比が4を超えると、成分(A)と成分(B)との相溶性が低下する。
(3)成分(C)本発明において成分(C)の珪酸マグネシウム(タルク)とは、天然に産出されたものを機械的に微粉砕することにより得られたものを、さらに精密に分級することによって得られたものをいう。成分(C)は、最終的に得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性、寸法安定性などを向上させる。成分(C)の化学組成は含水ケイ酸マグネシウムであり、通常、SiOを58〜66重量%、MgOを28〜35重量%、HOを約5重量%含んでいる。その他少量成分としてFe3を0.03〜1.2重量%、Al3を0.05〜1.5重量%、CaOを0.05〜1.2重量%、KOを0.2重量%以下、NaOを0.2重量%以下含有しており、比重は約2.7である。
珪酸マグネシウム(タルク)は、平均粒子径が0.3〜10μmの範囲のものが好ましい。平均粒子径が0.3μm以下では、耐熱性、線膨張係数などの補強効果が不足し、10μm以上では得られる成形品の外観も悪化するので、いずれも好ましくない。平均粒子径のより好ましい範囲は、0.5〜5μmである。ここで平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製、モデル5100)を挙げることができる。また、珪酸マグネシウム(タルク)は、樹脂成分との親和性または界面結合力を高める目的で、無機表面処理剤、高級脂肪酸またはそのエステル塩などの誘導体、カップリング剤などで処理するのが好ましい。表面処理する際には、非イオン・陽イオン・陰イオン型などの各種の界面活性剤や、各種の樹脂などの分散剤による処理を併せて行うと、機械的強度および混練性の向上の観点から好ましい。
(4)成分(D)
本発明において成分(D)の導電性カーボンブラックとは、ペイントなどに着色目的で加える顔料用カーボンブラックとは違って、微細な粒子がぶどうの房状に連なった形態のものをいう。成分(D)は、最終的に得られる樹脂組成物の導電性を向上させる。成分(D)の導電性カーボンブラックは、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレー卜(DBP)吸油量が、150ml/100g以上のものが好ましく、中でも200ml/100g以上のものが特に好ましい。成分(D)の導電性カーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラックなどが挙げられる。
(5)成分(E)
本発明において成分(E)のエチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレンとビニルアルコールのランダム共重合体によって得られるものをいう。成分(E)は、最終的に得られる樹脂組成物の塗装密着性を向上させる。成分(E)は、エチレンの共重合比率が20〜60モル%のものが好ましく、さらに好ましいのは40〜50モル%のものである。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、(株)クラレから「エバール」の商品名で市販されている。
(6)その他の成分
本発明に係る自動車部品製造用樹脂組成物には、少なくとも、上記成分が配合されてなる(含有する)が、これら成分のほかに、本発明の効果を損なわない種類と量の他の各種樹脂添加剤を配合する(含有させる)ことができる。各種樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、耐侯性改良剤、紫外線吸収剤、造核剤、発泡剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤、染料、顔料、有機充填剤、補強剤、分散剤などが挙げられる。
(7)各成分の配合割合と配合方法
本発明に係る自動車外装部品製造用樹脂組成物は、成分(A)10〜35重量%と成分(B)65〜90重量%からなり、かつ、成分(A)と成分(B)の樹脂成分合計100重量部に対し、成分(C)を10〜40重量部、成分(D)を1〜7重量部、成分(E)を0.5〜7重量部の割合で配合したものである。成分(A)と成分(B)の配合割合において、成分(A)が10重量%未満では、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性や寸法安定性が劣り、35重量%を越えると流動性や耐熱性が低下し、さらには、成分(C)が主に成分(A)の中に存在して、成形品の塗装外観や塗装密着性が低下するので好ましくない。成分(A)と成分(B)の配合比率は、好ましくは15〜35/65〜85であり、より好ましくは20〜35/65〜80である。
次に、成分(A)と成分(B)とより構成される樹脂成分合計100重量部に対する成分(C)、成分(D)、成分(E)の配合比率を規定した理由を説明する。成分(C)が10重量部未満では、最終的に得られる樹脂組成物の剛性や寸法安定性の改善効果が小さく、40重量部を越えると耐衝撃性が低下するので好ましくない。成分(D)が1重量部未満では導電性が不十分であり、7重量部を越えると耐衝撃性および流動性が低下するので好ましくない。また、成分(E)が0.5重量部未満では塗装密着性の改善効果が小さく、7重量部を越えると寸法安定性や耐熱性が低下するので好ましくない。
本発明に係る自動車外装部品製造用樹脂組成物は、上記成分および比率で構成されているが、特に優れた耐衝撃性、寸法安定性(低線膨張係数)、塗装外観および塗装密着性を発揮する樹脂組成物のペレット、または、射出成形品から切り出した小片について、そのミクロ形態{微細構造(fine texture)、モルフォロジー(morphology)など}を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察すると、成分(C)の存在位置(場所)が塗装外観および塗装密着性に大きく影響していることが分かった。ミクロ形態を観察する方法は、ペレットまたは射出成形品から小片を、例えば、クライオ装置を装備した超ミクロトーム(ライカ社製、ULTRCUT CUT)で、ダイヤモンドナイフを使用し、−100℃の温度で厚さ100nm超薄切片に切り出し、切り出した小片の表面を四酸化オスミウムおよび四酸化ルテニウムで染色した後、透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子社製、型式:JEM1200EXII型)を用いて容易に観察することができる。
また、タルクを添加する前の樹脂組成物の場合、押出機により成分(A)と成分(B)を溶融・混練した樹脂組成物を、押出機シリンダー途中でサンプリングし、または、ペレット化したあとサンプリングし、以下の方法で分散形態を観察する。また、最終組成物のタルクの存在位置および分散形態を観察する場合、上記した手順でペレットまたは射出成形品から小片を切り出し、小片の表面を上記した手順で染色した後、透過型電子顕微鏡によって観察すると、樹脂成分のうち、成分(B)が最も濃色に観察され、成分(C)は樹脂成分に比べ重原子を多く含んでいるので暗色に観察される。
上記の方法で観察したところ、次のような特性を示すことが分かった。すなわち、本発明に係る樹脂組成物は透過型電子顕微鏡写真によれば、成分(B)が連続相を形成し、成分(B)の連続相中に成分(A)が不連続相を形成し存在し、かつ、成分(C)が主に連続相である成分(B)中に存在する。成分(C)が主に不連続相である成分(A)中に存在すると、得られる製品の塗装外観や塗装密着性が著しく低下する。さらに、成分(A)の不連続相の粒径を2μm以下にして成分(B)中に分散させてから成分(C)を添加した場合に、成分(C)は、主に成分(B)の連続相中に存在させることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物のミクロ形態{微細構造(fine texture)またはモルフォロジー(morphology)}を、上記のような特異なミクロ形態とするには、溶融・混練法によるのが好ましい。溶融・混練の代表的な方法として、熱可塑性樹脂について一般に実用化されている溶融・混練機を使用する方法が挙げられる。溶融・混練機としては、例えば、一軸または多軸押出機、加熱ロール、バンバリーミキサーなどが挙げられる。溶融・混練法の具体的方法としては、例えば、(1)まず、成分(A)を溶融状態で反応させ、続いて押出機シリンダーの中流部分で成分(B)を投入(フィード)し、成分(A)と成分(B)を溶融反応させ、好ましくは、成分(A)の粒子径を2μm以下になるように成分(B)中に分散させてから、さらに押出機シリンダー下流部分から成分(C)、成分(D)を溶融・混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットとする方法が挙げられる。
その他、(2)ペレット化した成分(A)と成分(B)を押出機ホッパーからバレル1に投入(フィード)し、成分(A)と成分(B)を溶融反応させ、好ましくは、成分(A)の粒子径を2μm以下になるように成分(B)中に分散させてから、押出機シリンダーの中流以降の部分から成分(C)、成分(D)を投入して溶融・混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレット化する方法などが挙げられる。さらには、(3)まず、ペレット状の成分(A)とペレット状の成分(B)とを押出機ホッパーに投入し、溶融状態で混練して、好ましくは、成分(A)の粒子径を2μm以下になるように成分(B)中に分散させてからペレット化して、得られたペレットに成分(C)、成分(D)を混合して押出機によって溶融・混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットとする方法も挙げられる。さらに、このようにして得られた成分(A)〜成分(D)からなるペレットに、成分(E)をドライブレンドして配合するのが、耐熱性や耐衝撃性の観点から好ましい。
本発明に係る樹脂組成物から自動車外装部品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に採用されている成形法、すなわち射出成形法、中空成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などによることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は以下に記載した例に限定されるものではない。実施例および比較例において使用した原材料の略称、物性・特性は、以下に記載したとおりである。なお、以下の実施例、比較例において配合量は重量部を意味する。
(A1)PPE:ポリフェニレンエーテル(三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルであって、クロロホルム中、温度30℃で測定した固有粘度が0.40dl/gのもの)である。(A2)SEBS:スチレン含有量29重量%、分子量80,000であって、A−B−A型のスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、商品名:クレイトンG1650)である。(A3)無水マレイン酸:無水マレイン酸(三菱化学社製、商品名:無水マレイン酸)である。(A4)ラジカル発生剤:1、3−ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックス14、半減期の10時間後の分解温度が121℃)である。
(B−1):ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド1007J、98%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が2.2、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比3.5)である。(B−2):ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド1010J、98%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が2.5、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比2.6)である。(B−3):ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド1020J、98%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が3.5、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比1.0)である。(B−4)(比較例用):ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド1005J、98%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が2.0、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比4.8)である。
(C)タルク:平均粒子径1.8μmのタルク(松村産業社製、商品名:ハイフィラー#5000PJ)である。
(D)導電性CB:BET法表面積1270m/g、DBP吸油量495ml/100gのカーボンブラック(ライオン社製、商品名:ケッチェンブラックEC600JD)。
(E)EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、商品名:エバールG156A、エチレン含量47モル%)である。
[成分(A)の調製]
上記の(A1)〜(A4)および(C)タルクの各成分を、表―1に示す割合で秤量し、ヘンシェルミキサーによって均一に混合した。得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を使用して、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数400rpmの条件下で溶融し反応させ、ペレット化して変性物(A−1)〜(A−3)を調製した。
Figure 2005179546
[試験片の作製]
各成分を、後記する表―2に示す割合で秤量し、実施例および比較例に記載の方法で溶融・混練して調製した樹脂組成物を、熱風乾燥機によって温度120℃で5時間乾燥し、射出成形機(東芝機械社製、形式:IS150)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形して、ASTM試験片、および幅150×長さ150×厚さ3mmの平板状試験片を作成した。
[評価方法]
(1)ミクロ形態の観察:まず、成分(C)を添加する前の組成物の分散形態を観察するために、成分(A)と成分(B)との溶融混合物のペレットをサンプリングするか、または、押出機シリンダーの途中(後記する押出機のバレル5部分)より混練物をサンプリング(これらサンプルを試料aとする)した。さらに、最終的に得られた樹脂組成物中のタルクの存在位置および分散形態を観察するために、射出成形法によって製造した平板状試験片からサンプリング(試料bとする)した。試料aおよび試料bから、クライオ装置(REICHERT-NSSEI FCS)を装着した超ミクロトーム(ライカ社製、ULTRACUT CUT)で、ダイヤモンドナイフを使用し、温度−100℃で厚さ100nmの超薄切片を切り出した。切り出した超薄切片を、四酸化オスミウムおよび四酸化ルテニウムで染色した後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、型式:JEM1200EXII型)を使用してミクロ形態(分散状態、界面周囲長の比)を観察した。
(1-1)連続相/不連続相:試料bに含まれる樹脂成分のうち、成分(A)が最も濃色に観察され、連続相/不連続相が判定できる。
(1-2) 成分(C)の存在位置:試料bにおいて、成分(C)は成分(A)および成分(B)に比べ重原子を多く含んでいるため無染色でも暗色に観察されるので、存在位置が確認できる。任意試料b20個を選び、成分(A)および成分(B)に含まれる成分(C)の多寡を観察し、多い方を成分(C)の存在位置と判定した。
(1-3)成分(A)の分散粒子径:試料a中の成分(A)の任意の一次粒子径30個を選び、{(長径+短径)/2}の平均値で算出した。
(2)流動長(単位:cm):射出成形機(東芝機械社製、形式:IS150)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出圧力1000kg/cm、射出時間10秒、型厚2mmの条件下で、バーフロー長(流動長)を測定した。この値が大きい程、流動性に優れている。
(3)線膨張係数(単位:1/℃): ASTM D696に準拠して測定した。測定温度範囲は、23〜80℃とした。
(4)DTUL(単位:℃):ASTM D648に準拠して、0.45MPaの荷重下で測定した。
(5)面衝撃強度(単位:J):平板状成形品について、自動車鋼板用塗料を使用して以下のように塗装した後、ハイレート衝撃試験機(島津製作所)を用いて、ポンチ径1/2インチ、サポート径3インチ、打ち抜き速度1m/sec.とし、その吸収エネルギーを測定する方法である。この値が大きいほど、衝撃強度が優れている。塗装方法は、次のとおりである。平板状成形品の表面に、まず、塗装用スプレーハンドガン(デビルビス社製、型式名:JGA502IIIエアキャップ43FF)によって、自動車外板用中塗り塗料(関西ペイント社製、商品名:TP−65−2グレー、日本ペイント社製、商品名:ORGA P−30 8105グレー)を塗布し、130℃で12分間焼き付けた。つぎに、ベース塗料(関西ペイント社製、商品名:マジクロンTB516)、およびクリヤー塗料(関西ペイント社製、商品名:KINO−1200TW)を塗布し、140℃で18分間焼き付けた。
(6)体積抵抗率(単位:Ωcm):ASTM2号ダンベル試験片(厚さ3.2mm)の平行部分を長さ50mmとなるように両端を切断し、切断により生じた両端面に銀ペーストを全面塗布し、室温で乾燥した後に、テスターで該両端面間の抵抗値(RL:単位Ω)を測定し、体積抵抗率R(単位:Ωcm)を、式、R=RL×AL/L、{
式中、ALは試験片の断面積(単位:cm2 )を、Lは、試験片の長さ(単位:cm)を意味する。}、より算出した。
(7)塗装外観:上記(5)と同種の平板状試験片について、まず、試験片の表面に自動車外板用中塗り塗料{上記(5)におけると同種}を塗布し、130℃で12分間焼き付けた。つぎに、上塗り塗料{上記(5)におけると同種}およびクリヤー塗料{上記(5)におけると同種}を塗布し、140℃で18分間焼き付けた。塗料の塗布面について、目視観察して塗装外観を塗装した鋼板と比較して評価した。静電塗装付鋼板と同等以上のものを○、劣るものを×と表示した。
(8)塗装密着性:上記(5)と同種の平板状試験片の表面に、上記(7)におけると同様の手順で、自動車外板用中塗り塗料{上記(5)におけると同種}を塗布し、130℃で12分間焼き付けた。つぎに、上塗り塗料{上記(5)におけると同種}およびクリヤー塗料{上記(5)におけると同種}を塗布し、140℃で18分間焼き付けた。塗料の塗布面に、一辺が1mm幅で碁盤目状スリットを100個刻設し、この上にセロハンテープを貼着した後、セロハンテープを剥離し、塗料の塗布面の剥離数により評価する方法である。碁盤目が全く剥離しないものを○、碁盤目100個中1個以上剥離したもの×と表示した。
[実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例4]
まず、成分(A)と成分(B)とを表―2に示す割合で秤量し、タンブラーミキサーによって均一に混合した。この混合物を、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を使用し、バレル1より投入(フィード)し、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数400rpmの条件で溶融・混練して、溶融混合物Xを得た。つぎに、溶融混合物Xのペレットと、成分(C)とを表―2に示す割合で秤量し、タンブラーミキサーによって均一に混合した混合物を、二軸押出機(上に同じ)を使用し、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数400rpmの条件で、バレル1より投入(フィード)して溶融混練し、さらにバレル7から成分(D)を投入し、溶融混練してペレット化した。さらに、このペレットに、表―2に示した割合で成分(E)をドライブレンドし、上記した射出成形法で試験片を作成し、得られた試験片につき上記方法で各種物性値を測定し、測定結果を表―2に示した。なお試料aは、バレル5より成分(C)を投入する前にサンプリングした溶融混合物Xである。
[実施例4]
まず、成分(A)と成分(B)とを表―2に示す割合で秤量し、タンブラーミキサーによって均一に混合した。この混合物を二軸押出機(上に同じ)を使用し、バレル1より投入し、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数400rpmの条件で溶融・混練してペレット化した。このペレットに、表―2に示した割合で成分(E)をドライブレンドし、上記した射出成形法で試験片を作成し、得られた試験片につき上記方法で各種物性値を測定し、測定結果を表―2に示した。また、バレル5より成分(C)を投入する前に試料aをサンプリングした。
Figure 2005179546
表―1と表―2から、次のことが明らかになる。
1.実施例1〜実施例4の樹脂組成物は、そのミクロ形態を観察したところ、成分(B)が連続相を形成し、成分(A)が成分(B)中で不連続相を形成して存在し、成分(C)は主に成分(B)中に存在していた。また、成分(C)を添加する前の成分(A)の分散粒子径はいずれも2μm以下であった。
2.このようなミクロ形態を有する実施例1〜実施例4の樹脂組成物は、耐衝撃性、寸法安定性などの物性バランスに優れており、この組成物から得られる成形品は塗装密着性に優れ、塗装外観にも優れている。
3.これに対し、成分(B)を相対粘度が請求項1で規定する下限以下の2.0のものとした比較例1の樹脂組成物は、実施例の樹脂組成物とは異なり、成分(C)が主に成分(A)中に存在し、耐衝撃性、寸法安定性に劣り、さらに成形品は塗装密着性、塗装外観に劣る。
4.また、(A3)の無水マレイン酸を請求項1で規定する下限以下の量とした比較例2の樹脂組成物は、実施例の樹脂組成物とは異なり、成分(C)が主に成分(A)中に存在し、耐衝撃性、寸法安定性に劣り、さらに成形品は塗装密着性、塗装外観に劣る。
5.さらに、成分(A)と成分(B)の重量比を請求項1で規定する範囲外の40/60とした比較例3の樹脂組成物、および、成分(A)を調製する際に成分(C)を添加した比較例4の樹脂組成物は、成分(C)が主に成分(A)中に存在し、寸法安定性に劣り、成形品の塗装密着性、塗装外観なども劣る。
従来、樹脂組成物製の外装部品を鋼板とを一体化させた製品に対し、静電塗装技術を適用する検討が行われていた。しかし、樹脂組成物製の外装部品は耐熱性、耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性、外観および塗装密着性などの諸物性を同時に満たすことは困難であったので、実用化されるまでに至っていなかった。本発明に係る自動車外装部品製造用樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性、塗装密着性などに優れているので、自動車外装部品製造用の樹脂材料として好適である。得られた自動車用外装部品は鋼板と一体化した製品として、鋼板用の静電塗装装置に移送し、鋼板用の塗料を用いて100〜180℃の温度範囲で塗装することができる本発明に係る樹脂組成物を材料として製造される自動車用外装部品としては、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、テールゲートパネル、フロントパネル、ボンネット、ルーフパネル、バンパー、ライセンスガーニッシュ、トランクリッド、ロッカーモール、リアガーニッシュ、ドアガーニッシュなどが挙げられる。

Claims (4)

  1. ポリフェニレンエーテル(A1)1〜55重量%、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体の水素添加物(A2)45〜99重量%との重合体100重量部に対し、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)0.5〜5重量部、ラジカル発生剤(A4)0.03〜3重量部を溶融状態で反応させて得られた変性物{成分(A)}10〜35重量%と、
    98重量%濃硫酸中、樹脂濃度1重量%、温度23℃で測定した相対粘度が2.2以上のポリアミド{成分(B)}65〜90重量%からなる組成物100重量部に対し、珪酸マグネシウム(タルク){成分(C)}0〜40重量部、
    導電性カーボンブラック{成分(D)}1〜7重量部、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体{成分(E)}0.5〜7重量部が配合されてなる樹脂組成物であって、この樹脂組成物のミクロ形態を電子顕微鏡で観察した際、成分(B)の連続相の中に、成分(A)が不連続相を形成して存在し、かつ、成分(C)が主に連続相である成分(B)中に存在することを特徴とする、自動車外装部品製造用樹脂組成物。
  2. 樹脂組成物が、あらかじめ成分(A)および成分(B)を溶融反応させ、得られた溶融反応物に成分(C)を配合し混練させて調製されたものである、請求項1に記載の自動車外装部品製造用樹脂組成物。
  3. 樹脂組成物が、成分(B)の連続相中に成分(A)を粒子径2μm以下の径にして分散させた後、その溶融反応物に成分(C)を配合し混練させて調製されたものである、請求項1および請求項2記載の自動車外装部品製造用樹脂組成物。
  4. 成分(A)〜成分(D)を溶融混練してペレット化した後、成分(E)をドライブレンドしたものである、請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の自動車外装部品製造用樹脂組成物。
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