JP2005179345A - 新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸およびそれらの誘導体、それらからなる防汚塗料用配合剤、防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網並びにこれらの防汚方法 - Google Patents

新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸およびそれらの誘導体、それらからなる防汚塗料用配合剤、防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網並びにこれらの防汚方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応により形成された新規環式カルボン酸及びその金属塩、この新規環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩のうちの何れか1種以上からなる防汚塗料用配合剤(A)。上記の配合剤(A)と、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)とを含有する防汚塗料組成物。
【効果】 環境負荷が小さく、長期に亘り塗膜が所定の速度で均一に消耗し、しかも長期間優れた防汚性能を維持でき、高汚損海域で利用される船舶等にも適用できる防汚塗膜を形成しうる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸およびそれらの誘導体、それらからなる防汚塗料用配合剤、防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網およびこれらの防汚方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸およびそれらの誘導体、それらからなる防汚塗料用配合剤並びに、環境負荷が小さく、長期に亘り塗膜が所定の速度で均一に消耗し、しかも長期間優れた防汚性能を維持でき、高汚損海域または静置環境下の防汚性能に優れ、しかもこれら特性バランスに優れた防汚塗膜を形成しうるような、貯蔵安定性の良好な防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網およびこれらの防汚方法に関する。
船底、水中構造物、漁網などは、水中に長期間さらされるため、その表面には、カキ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ(海苔)等の植物類、あるいはバクテリア類などの各種水棲生物が付着・繁殖しやすい。このような動植物等が付着・繁殖すると、船底、水中構造物、漁網などは、外観が損ねられるだけでなく、その機能も害されることになる。
特に船底にこのような水棲生物が付着・繁殖すると、船全体の表面粗度が増加し、船速の低下、燃費の拡大などを招くことがある。また、バクテリア類、スライム(ヘドロ状物)、さらに大型の付着生物が、鉄鋼構造物などのような水中構造物の表面に付着・繁殖すると、構造物が腐敗したり、その水中構造物を覆う腐食防止用の塗膜が損傷したりするなど、その水中構造物の強度や機能、寿命を著しく低下させるおそれがある。また、このような水棲生物等を水中構造物から取り除くには、多大な労力、作業時間が必要となる。
このような被害を防止するために、従来より、船舶・水中構造物等の基材に防汚塗料を塗る方法が行われている。現在の防汚塗料の防汚機構を大別すると塗膜から防汚剤が抽出される抽出型(拡散型)と、塗膜の表面更新に伴って新たな防汚剤が海水に接する自己研磨型に大別される。抽出型は、経時的に表面粗度が増し、また、防汚期間が短いなどの欠点がある。
したがって、長期にわたる防汚性が要求される船舶・水中構造物等の基材には、自己研磨型の防汚塗料が好ましく用いられる。自己研磨型の防汚塗料は、得られた塗膜表面が徐々に溶解するため、塗膜表面を平滑に保つことができ、また、塗膜の溶解速度を調整することにより、長期にわたり防汚剤の溶出速度をコントロールし、長期間優れた防汚性を保持することができるという利点がある。
このような自己研磨型の防汚塗料として、天然の松から採取されるロジンとロジン系塗膜の強度を補強する合成樹脂とを含む防汚塗料組成物が知られている。
ロジンは、アビエチン酸とその異性体を主成分とする天然化合物であるが、海水に対する微溶解性が知られており、防汚塗料用樹脂として広く使用されている。
たとえば、特開平10−30071号公報(特許文献1)には、ロジン、ロジン誘導体
またはロジン金属塩からなるロジン系化合物の1種または2種以上と、有機シリルエステル基含有重合体と、防汚剤とを必須成分として含有する塗料組成物が開示されている。また、該塗料組成物からなる塗膜は、長期浸漬後にも塗膜表面に残渣層の形成がなく、クラック、剥離などの欠陥を生じず、長期にわたって、海洋生物付着防止性能を発揮でき、リコート性および艤装期間対応海洋生物付着性能に優れることが記載されている。
しかしながら、ロジン系化合物は、天然物に由来するので安定供給に不安があり、将来、資源が枯渇する危惧もある。また、ロジン系化合物は、産地、樹木の種類、精製条件、保管条件などによる品質、組成のばらつきがあり、優れた一定品質の防汚塗料組成物が得られにくいという問題点もある。
このような状況の中で、本発明者らは、防汚塗膜を形成すれば適度な溶解性を付与でき、長期防汚性を与え得るような新たな防汚塗料組成物を開発すべく、鋭意研究を行っていた。
ところで、防汚塗料組成物の開発に当たっては、以下のような問題を考慮する必要がある。
まず第一には、近年、ますます環境汚染が進み、陸地付近の海水の汚染が激しくなっており、たとえば、荷物等の積み入れのための寄港時や、艤装期間(ドック内で船舶の外板を建造した後、洋上で船舶内装部を建造する期間)中には、このような汚損の激しい海域に長期間停泊せねばならないので、高汚損環境下でも、長期にわたる高い防汚性能を発揮し得る塗膜を形成可能な防汚塗料組成物が、従来にも増して求められている。
さらに、防汚塗料は、市販された後、長期間貯蔵されることもあり、このような場合にも、塗料の変質や劣化が生じないことが要求される。
本発明者らは、このようなすべての要求を満たす塗料組成物の開発を目指し、鋭意研究を行っていたところ、特定の不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応により形成された特定の環式カルボン酸およびその金属塩が新規化合物であることを見出すと共に、これら新規環式カルボン酸およびその金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩のうちの何れか1種以上(A)が、防汚塗膜の加水分解調整剤または防汚剤の溶出助剤等として作用する防汚塗料用配合剤として好適であり、この環式カルボン酸等の化合物(A)と、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)、特にシリルエステル共重合体と、を含む防汚塗料組成物が、長期保存安定性に優れ、しかも、該組成物を塗布、硬化して形成された塗膜は、加水分解速度が好適で、長期にわたる静的環境下、動的環境下での防汚性に優れ、しかもこれら特性がバランスよく優れることなどを見出し、本願発明を完成するに至ったものである。
特開平10−30071号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、ロジンと同様に防汚塗料用配合剤として使用でき、ロジンに比してより安定供給可能であり、より品質が一定しており防汚塗料用配合剤などとして好適に使用可能な新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸またはそれらの塩などを提供することを目的としている。
また本発明は、新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸またはそれらの塩からなり、上記性能を有する防汚塗料用配合剤を提供することを目的としている。
また、本発明は、環境負荷が小さく、かつ長期に亘り塗膜が所定の速度で均一に消耗し(塗膜の均一消耗性能)、しかも長期間優れた防汚性能を維持でき(長期防汚性維持性能)、特に高汚損海域または静置環境下の防汚性能に優れ、しかもこれら特性がバランスよく優れた防汚塗膜を形成しうるような、貯蔵安定性に優れた防汚塗料組成物、該特性の防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網およびこれらの防汚方法を提供することを目的としている。
本発明に係る新規シクロアルケニルカルボン酸は、下記式[V]で表される。
また、本発明に係る新規ビシクロアルケニルカルボン酸は、下記式[VI]で表される。
新規シクロアルケニルカルボン酸[V]:
Figure 2005179345
{式[V]中、R1は、水素原子、3−メチル−2−ブテニル基(2−methyl−2
−buten−4−yl基ともいう)または2−メチル−1−プロペニル基(2−methyl−2−propen−3−yl基)を示し、
1が水素原子の場合には、R2は4−メチル−3−ペンテニル基(2−methyl−2−penten−5−yl基)を示し、R3、R4は水素原子を示し、
1が3−メチル−2−ブテニル基(2−methyl−2−buten−4−yl基
)の場合には、R2はメチル基を示し、R3、R4は水素原子を示し、
1が2−メチル−1−プロペニル基(2−methyl−2−propen−3−y
l基)の場合には、R2は水素原子を示し、R3、R4はメチル基を示す。
5、R6は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
m、nは、それぞれ0または1の数を示し(但しm、nが同時に0であることはない。)、
7、R8は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、かつ、
前記mが0の場合、R7は水素原子であり、
mが1の場合、R7は水素原子または炭化水素基であり、
前記nが0の場合、R8は水素原子であり、
nが1の場合、R8は水素原子または炭化水素基である(但し、R7およびR8が同時に
炭化水素基であることはない。)。}
新規ビシクロアルケニルカルボン酸[VI]:
Figure 2005179345
{式[VI]中、R11またはR16の何れか一方は、イソプロピル基を示し、
<A> R11がイソプロピル基の場合には、
12、R13は水素原子を示し、
14はメチル基を示し、
15、R16は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
m、nは、それぞれ0または1の数を示し(但しm、nが同時に0であることはない。)、好ましくは何れか一方が0で、他方が1であり、
17、R18は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、
k、lは0を示し、
19、R20は水素原子を示し、
21、R22は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、かつ、
前記mが0の場合、R17は水素原子であり、
mが1の場合、R17は水素原子、炭化水素基または金属原子であり、
前記nが0の場合、R18は水素原子であり、
nが1の場合、R18は水素原子または炭化水素基である(但し、R17およびR18が同時に炭化水素基であることはない。)。
<B> R16がイソプロピル基の場合には、
11、R12は水素原子を示し、
13はメチル基を示し、
14は水素原子を示し、
15は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
m、nは0を示し、
17、R18は水素原子を示し、
k、lは、それぞれ0または1の数を示し(但しk、lが同時に0であることはない。)、好ましくは何れか一方が0で、他方が1であり、
19、R20は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、
21、R22はそれぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、かつ、
前記kが0の場合、R19は水素原子であり、
kが1の場合、R19は水素原子または炭化水素基であり、
前記lが0の場合、R20は水素原子であり、
lが1の場合、R20は水素原子または炭化水素基である(但し、R19およびR20が同時に炭化水素基であることはない。)。}
本発明の好ましい態様においては、上記式[V]で表されるシクロアルケニルカルボン酸が下記式[Va]、[Vb]、[Vc]、[Vd]、[Ve]、[Vf]、[Vg]または[V
h]で表され、また、
上記式[VI]で表されるビシクロアルケニルカルボン酸が下記式[VIa]、[VIb
]、[VIc]または、[VId]で表されることが望ましい。(これらの式[Va]〜[
Vh]中、および式[VIa]〜[VId]中、炭素原子に結合している原子または基が水素原子(H)の場合は、省略して示す。以下同様。)
Figure 2005179345
Figure 2005179345
Figure 2005179345
本発明に係る新規シクロアルケニルカルボン酸または新規ビシクロアルケニルカルボン酸の製造方法では、
[J]アロオシメン、オシメン、ミルセン、α−テルピネンおよびα−フェランドレンからなる群から選ばれた少なくとも1種のテルペン系ジエン化合物(共役ジエン化合物)と、
[K]α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸と、
を付加反応させることを特徴としている。
また本発明に係る新規シクロアルケニルカルボン酸の金属塩、新規ビシクロアルケニルカルボン酸の金属塩は、式[V]または[VI]で示されるモノカルボン酸と、金属化合物との反応により得られるモノカルボン酸金属塩であり、一般的には式「(RCOO)x
M」(M:金属原子、x:金属原子の価数を示す。)で表される。
その構造、製法その他の詳細については後述する。
本発明に係る防汚塗料用配合剤(A)は、不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応により形成された環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩のうちの何れか1種以上からなっている。
本発明に係る防汚塗料用配合剤の好ましい態様では、上記環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩が、前記式[V]または[VI]で示される、シクロアルケニルカルボン酸またはビシクロアルケニルカルボン酸またはそれらの塩であることが望ましい。
本発明に係る防汚塗料組成物は、上記の防汚塗料用配合剤(A)と、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)とを含有することを特徴としている。
本発明の防汚塗料組成物は、さらに防汚剤(C)を含有していることが好ましく、上記防汚剤(C)としては、銅又は銅化合物(C1)を含有することが望ましい。
本発明においては、上記防汚剤(C)として、有機防汚剤(C2)(但し、銅又は銅化合物(C1)を除く。)を含有していてもよい。
本発明においては、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩系共重合体であることが好ましい。
本発明においては、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、
式:R1−COO−M−OH・・・・・[I]
{式[I]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、
HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属塩ま
たはエステルを形成していてもよい。Mは、金属原子を示す。}
で表される重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属化合物から誘導される成分単位、好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩から誘導される成分単位、さらに好ましくはメタアクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩または銅塩から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることが望ましい。
本発明においては、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、金属原子に結合したヒドロキシル基不含の重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位、好ましくは下記式[II]で表される重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位、より好ましくは、金属原子に結合したヒドロキシル基不含の(メタ)アクリル酸金属化合物から誘導される成分単位、特に好ましくは、亜鉛または銅原子に結合したヒドロキシル基不含の(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩から誘導される成分単位を含有する重合性不飽和カルボン酸金属化合物系共重合体であることが望ましい。
式:R1−COO−M−Ln・・・・・[II]
{式[II]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属塩ま
たはエステルを形成していてもよい。Mは、金属原子を示し、Lは、有機酸残基「−OCOR2 」(R2は、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭
化水素基、アラルキル基を示す。)を示し、nは金属Mの原子価数−1の数を示す。}
本発明においては、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩単量体(イ)、この単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を共重合してなり、
上記(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩単量体(イ)から誘導される成分単位を2〜50重量%、共重合可能な他の単量体(ロ)から誘導される成分単位を50〜98重量%(成分単位(イ)+成分単位(ロ)=100重量%)の量で含んでいる重合性不飽和カルボン酸金属塩系共重合体であることが好ましい。
本発明においては、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、重合性不飽和カルボン酸シリルエステル系共重合体、好ましくは下記式[IIIA]で表されるシリル不飽和カル
ボキシレート単量体およびこれと共重合可能な不飽和単量体からそれぞれ誘導される成分単位を分子内に有する共重合体、特に好ましくはシリル(メタ)アクリレートおよびこれと共重合可能な不飽和単量体を共重合した共重合体であることが好ましい。
式:R1−COO−Si(L123)・・・・・[IIIA]
{式[IIIA]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH
−、HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属
塩またはエステルを形成していてもよい。L1、L2、L3は、互いに同一でも異なってい
てもよく、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、アラルキル基、アルキルシリルオキシ基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。}
本発明に係る防汚塗膜は、上記何れかに記載の防汚塗料組成物から形成されている。
本発明に係る船舶および水中構造物は、上記何れかに記載の防汚塗料組成物から形成される塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明に係る漁具および漁網は、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成される塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明に係る船舶、水中構造物、漁具および漁網の防汚方法は、何れも上記の防汚塗料組成物からなる塗膜にて船舶、水中構造物、漁具あるいは漁網の表面を被覆することを特徴としている。
本発明によれば、ロジンと同様に、防汚塗膜用加水分解調整剤、防汚剤の溶出助剤などとして使用でき、しかも、ロジンに比して安定供給可能であり、より品質が一定しており、防汚塗料用配合剤などとして好適に使用可能な新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸、それらの塩などが提供される。
また、本発明によれば、上記新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸、それらの塩からなり、ロジンと同様に、防汚塗膜用加水分解調整剤、防汚剤の溶出助剤などとして使用でき、しかもロジンに比して安定供給可能であり、より品質が一定しており、防汚塗膜に好適な防汚塗料用配合剤が提供される。
また、本発明によれば、環境負荷が小さく、かつ長期に亘り塗膜が所定の速度で均一に消耗し(塗膜の均一消耗性能)、しかも長期間優れた防汚性能を維持でき(長期防汚性維持性能)、特に高汚損海域または静置環境下の防汚性能に優れ、しかもこれら特性バランスが優れた防汚塗膜を形成しうるような、貯蔵安定性に優れた防汚塗料組成物、上記防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網およびこれらの防汚方法が提供される。
以下、本発明に係る新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸およびそれらの誘導体、それらからなる防汚塗料用配合剤、防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網などについて具体的に説明する。
<新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸
およびそれらの誘導体、並びにそれらからなる防汚塗料用配合剤(A)>
(新規(ビ)シクロアルケニルカルボン酸およびそれらの誘導体)
本発明に係る新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸(シクロアルケニルカルボン酸とビシクロアルケニルカルボン酸の両方をまとめて、単に、「(ビ)シクロアルケニルカルボン酸」などともいう。)およびそれらの誘導体は、特定の共役ジエン化合物と不飽和カルボン酸との付加反応(ディールスアルダー付加反応)により形成された環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩である。
これらの化合物のうちで、本発明に係る新規シクロアルケニルカルボン酸[V]またはその塩 (これらをまとめてシクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]ともいう。)は
、下記式[V]で表され、また、本発明に係る新規ビシクロアルケニルカルボン酸[VI]またはその塩 (これらをまとめてビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]と
もいう。)は、下記式[VI]で表される。
これらの新規化合物[V],[VI]は、後述するように、天然テルペン油中のジエン成分である、[J]:「アロオシメン、オシメン、ミルセン、α−テルピネンおよびα−フェランドレンからなる群から選ばれた少なくとも1種のテルペン系ジエン化合物(共役ジエン化合物)」と、
[K]:「α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸またはそのモノエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸」と
とを付加反応(デールスアルダー反応)させることにより得られる。
また、新規(ビ)シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V],[VI]は、例えば、それらのうちの新規(ビ)シクロアルケニルカルボン酸に塩などを形成させることにより、得てもよい。
新規シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]
Figure 2005179345
{但し、式[V]中、R1は、水素原子、3−メチル−2−ブテニル基(2−methy
l−2−buten−4−yl基)または2−メチル−1−プロペニル基(2−methyl−2−propen−3−yl基)を示し、
2は水素原子、メチル基、または4−メチル−3−ペンテニル基(2−methyl
−2−penten−5−yl基)を示し、
3、R4は水素原子またはメチル基を示し、かつ、
1が水素原子の場合には、R2は4−メチル−3−ペンテニル基(2−methyl−2−penten−5−yl基)を示し、R3、R4は水素原子を示し、
1が3−メチル−2−ブテニル基(2−methyl−2−buten−4−yl基
)の場合には、R2はメチル基を示し、R3、R4は水素原子を示し、
1が2−メチル−1−プロペニル基(2−methyl−2−propen−3−y
l基)の場合には、R2は水素原子を示し、R3、R4はメチル基を示す。
5、R6は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
また、式[V]中、m、nは、それぞれ0または1の数を示し(但しm、nが同時に0
であることはない。)、
7、R8は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、かつ、
前記mが0の場合、R7は水素原子であり、
mが1の場合、R7は水素原子または炭化水素基であり、
前記nが0の場合、R8は水素原子であり、
nが1の場合、R8は水素原子または炭化水素基である(但し、R7およびR8が同時に
炭化水素基であることはない。)。}
以下詳説すれば、式[V]中、R1は、水素原子、3−メチル−2−ブテニル基(2−
methyl−2−buten−4−yl基)または2−メチル−1−プロペニル基(2−methyl−2−propen−3−yl基)を示す。
ここで、上記R1が水素原子の場合には、下記式[Ve](5a)または[Vf](5b)で示
されるように、R2は4−メチル−3−ペンテニル基(2−methyl−2−pent
en−5−yl基)を示し、R3、R4は水素原子を示し、
1が3−メチル−2−ブテニル基(2−methyl−2−buten−4−yl基
)の場合には、下記式[Vc](4a)または[Vd](4b)で示されるように、R2はメチル
基を示し、R3、R4は水素原子を示し、
1が2−メチル−1−プロペニル基(2−methyl−2−propen−3−y
l基)の場合には、下記式[Va](3a)または[Vb](3b)で示されるように、R2は水
素原子を示し、R3、R4はメチル基を示す。
5、R6は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5、特に
好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を示す。
該アルキル基としては、分岐を有していてもよい鎖状のものや、上記アルキル基などの置換基を有していてもよい環状(C6以上)のものが挙げられ、中でも上記鎖状のものが製造容易、安価、防汚塗膜中に含まれていると加水分解速度の適正化、防汚剤の溶出速度の適正化などの点で好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、上記要件を満たすものが好ましい。
m、nは、それぞれ0または1の数を示す。(但し、後述するように、m、nが同時に0であることはない。)
すなわち、m、n=0の場合、「−(COO)m」、「−(COO)n」は何れも単結合「−」を示し、m、n=1の場合、「−(COO)m」、「−(COO)n」は何れもカル
ボニルオキシ基「−COO−」を示す。(後述するk、lの場合も同様である。)
7、R8は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示す。
これらR7、R8は、水素原子、炭化水素基(例:炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)を示す。
しかも、本発明では、上記式[V]中の「−(COO)mR7」部位のmが0の場合、R7
水素原子(H)を示し、mが1の場合、R7は水素原子または炭化水素基(例:炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)を示す。
すなわち、式[V]中の「−(COO)mR7」は、m=0で、R7がH(水素原子)の場合は、
「−H」を示し、また、m=1で、R7がH(水素原子)の場合は、カルボキシル基「−COOH」を示し、また、m=1で、R7が炭化水素基の場合は、「−COOR7」(エステル)を示す。
但し、上記したように、本発明では、式[V]中のm、nが同時に0であることはない。もし、m、nが同時に0(m=n=0)である場合には、「−(COO)mR7」、「−
(COO)nR8」は、何れも「−H」となり、化合物[V]はカルボン酸、またはその誘導体(例:エステル、塩など)の何れでもなくなるが、このようなものは本発明の化合物[V]に包含されない。
式[V]中の「−(COO)nR8」は、上記の「−(COO)mR7」と同様のものである。すなわち、前記nが0の場合、R8は水素原子(H)であり、nが1の場合、R8は水素原子(H)上記と同様の炭化水素基である。
よって「−(COO)nR8」は、n=0で、R8がH(水素原子)の場合は、「−H」を示し、また、n=1で、R8がH(水素原子)の場合は、カルボキシル基「−COOH」を示し、また、n
=1で、R8が炭化水素基の場合は、「−COOR8」(エステル)を示す。
本発明においては、式[V]中の上記R7およびR8が同時に炭化水素基であることはない。
すなわち、シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]は、カルボン酸またはその誘導体であり、カルボン酸としては、式(3a)〜(5b)に示すようなモノカルボン酸、あるいは式(8a)〜(8b)に示すようなモノカルボン酸(ジカルボン酸のモノエステル)が挙げられる。上記カルボン酸誘導体としては、これらのカルボン酸の金属塩が挙げられる。
本発明の好ましい態様においては、上記式[V]で表される新規シクロアルケニルカルボン酸[V]としては、具体的には、下記式
[Va]{1,5,6−トリメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロ
ヘキセン−1−イル−カルボン酸}、
[Vb]{1,4,5−トリメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−3−シクロ
ヘキセン−1−イル−カルボン酸}、
[Vc]{1,4−ジメチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)−3−シクロヘキセン
−1−イル−カルボン酸}、
[Vd]{1,3−ジメチル−2−(3−メチル−2−ブテニル)―3−シクロヘキセン
−1−イル−カルボン酸}、
[Ve]{1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−4−シクロヘキセン−1
−イル−カルボン酸}、
[Vf]{1−メチル−3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1
−イル−カルボン酸}、
[Vg]{2−メトキシカルボニル−3−(2−メチル−1−プロペニル)−5,6−ジ
メチル−4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸}、
[Vh]{2−カルボキシ−3−(2−メチル−1−プロペニル)−5,6−ジメチル−
4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸メチル}、
で表されるものが挙げられる。
これらの式[Va]〜[Vh]で示す新規シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]は、製造容易であり、安価に一定品質の物質を製造可能であり、防汚剤の溶出速度の調整剤などとして防汚塗料に配合でき、防汚塗料用配合剤として用いられるが、該化合物[V]が防汚塗膜中に含まれていると加水分解速度、防汚剤の溶出速度の適正化、防汚性の向上などの点で好ましい。
なお、本発明の上記各化合物は、生成反応の過程で異性体の混合物として得られ、その単離は非常に困難である。またこの混合物中にはこれらの異性体が各種存在することにより、防汚塗料用配合剤として使用する場合には,塗料内、塗膜内での結晶化が抑制され、
相手部材との付着性に優れ、可塑性のある塗膜が得られるという利点を有する。
従来広く用いられてきたロジンも、上記本発明の新規シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V](防汚塗料用配合剤)と同様に、多種の異性体より構成される物質であり、上記利点を有するという特徴があるが、本発明の上記シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]もこれに似ている。
Figure 2005179345
Figure 2005179345
本発明に係る新規ビシクロアルケニルカルボン酸 [VI] (ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI])は、下記式[VI]で表される。
新規ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]
Figure 2005179345
{但し、式[VI]中、R11は、水素原子またはイソプロピル基を示し、R12は水素原子を示し、R13、R14は、それぞれ水素原子またはメチル基を示し、
15、R16は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基(特にR16は、場合によりイソプロピル基)を示す。
また、m、n、k、lは、それぞれ0または1の数を示し、
17、R18、R19、R20は、それぞれ水素原子または炭化水素基(好ましくはC1〜10、より好ましくはC1〜5、特に好ましくはC1〜3のアルキル基。炭化水素基については以下同様のものが好ましい。)を示し、
m、n、kまたはlが0の場合は、それぞれに対応してR17、R18、R19またはR20は水素原子を示し、
m、n、kまたはlが1の場合は、それぞれに対応してR17、R18、R19またはR20は、水素原子または炭化水素基(好ましいものは同上)を示し、かつ下記要件(i)、(ii)を充足するものとする。
(i)R11がイソプロピル基である場合は、R12およびR13は水素原子(H)を示し、
14はメチル基を示し、k=l=0であり、R19およびR20は水素原子(H)を示す。
また、
(ii)R16がイソプロピル基である場合は、R11、R12およびR14は水素原子(H)を示し、R13はメチル基を示し、m=n=0である。(但し、何れの態様においても、R17とR18とが同時に炭化水素基であることはなく、また、R19とR20とが同時に炭化水素基であることはない。また、mとnとkとlの全てが同時に0であることはない。)。
また、R21、R22は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。}
本発明の好ましい態様では、上記式[VI]中、R11またはR16の何れか一方は、イソプロピル基を示し、かつ、式[VI]中のR11〜R22(R11を除く)、m、n、k、lは、それぞれ下記の関係を満たすものが望ましい。
以下、式[VI]中、R11がイソプロピル基である場合<A>と、R16がイソプロピル
基である場合<B>とに分けて好ましい態様を詳述する。
<A> R 11 がイソプロピル基である場合
11がイソプロピル基の場合には、式[VI]中のR12〜R22、m、n、k、lは、それぞれ下記のものを示す。
すなわち、式[VI]中のR12、R13は水素原子を示し、
14はメチル基を示し、
15、R16は、上記式[V]中のR5、R6と同様に、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、R5、R6の場合と同様のものが好ましい。
m、nはそれぞれ0または1の数(但し、m、nが同時に0であることはない。)、好ましくは何れか一方は0で、他方は1を示し、
17、R18は、上記式[V]中のR7、R8と同様に、それぞれ水素原子または炭化水素基(好ましいものは同上)を示す。(但し、R17およびR18が同時に炭化水素基であることはない。)
また、上記式[VI]中、k、lは0を示し、R19、R20は水素原子を示す。
すなわち、上記式[VI]中の「−(COO)kR19」と「−(COO)lR20」とは、「−H」を示す。よって、前記したように「m、nが同時に0であることはない」ことを考慮すると、R11がイソプロピル基の場合においては、上記式[VI]では、カルボニルオキシ基(COO)あるいはカルボキシル基(COOH)などの存在個数は1〜2個止まりであり、3〜
4個存在する態様は包含されない。
従って、R11がイソプロピル基の場合においては、ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]は、上記シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]と同様に、モノカルボン酸あるいはこれらの金属塩などである。
(なお、もし、m=n=0の場合には、「−(COO)mR17」と「−(COO)nR18」とは何れも「−H」となり、ここで上記したように「−(COO)kR19」と「−(COO)lR20
」とが「−H」であることを考慮すると、化合物[VI]はカルボン酸等でなくなるが、このようなものは本発明の化合物[VI]に包含されない。)
21、R22は、上記式[V]中のR5、R6と同様に、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
しかも、本発明では、上記式[VI]中の「−(COO)mR17」部位のmが0の場合、R17は水素原子であり、mが1の場合、R17は水素原子または炭化水素基(好ましいものは
同上)である。
よって「−(COO)mR17」についてみれば、前記式[V]中の「−(COO)mR7」の場合
と同様に、m=0で、R17がH(水素原子)の場合は、「−H」を示し、また、m=1で、R17がH(水素原子)の場合は、カルボキシル基「−COOH」を示し、また、m=1で、R17が炭化水素基の場合は、「−COOR17」(エステル)を示す。
また、上記式[VI]中の「−(COO)nR18」部位のnが0の場合、R18は水素原子で
あり、nが1の場合、R18は水素原子または炭化水素基(好ましいものは同上)である。
よって「−(COO)nR18」についてみれば、前記式[V]中の「−(COO)nR8」(ある
いは「−(COO)mR7」)の場合と同様に、「−H」、カルボキシル基「−COOH」または「
−COOR8」(エステル)を示す。
(但し、R17およびR18が同時に炭化水素基であることはない。)。
このように、R11がイソプロピル基である場合<A>には、上記式[VI]中のカルボニルオキシ基(COO)を有し得る部位である「−(COO)mR17」、「−(COO)nR18」、「
−(COO)kR19」および「−(COO)lR20」の4箇所のうちで、「−(COO)kR19」および「−(COO)lR20」は、上記の通り「−H」を示すから、ビシクロアルケニルカルボン酸系
化合物[VI]は、モノ−カルボン酸またはその誘導体(塩)となり得るが、ジ−、トリ−、テトラ−カルボン酸等とはならない。
また、上記したように式[VI]では、R17およびR18が同時に炭化水素基であることはない。よって、ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]がエステルである場合、モノ−カルボン酸エステル、ジ−カルボン酸のモノエステルなどであり、ジカルボン酸のジエステル(環状ジエステルは除く)は含まれない。
<B> R 16 がイソプロピル基である場合
16がイソプロピル基の場合には、式[VI]中のR12〜R22(R16を除く)、m、n、k、lは、それぞれ下記のものを示す。
すなわち、式[VI]中のR11、R12は水素原子を示し、
13はメチル基を示し、
14は水素原子を示し、
15は、上記と同様に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
また、上記式[VI]中、m、nは0を示し、R17、R18は水素原子を示す。
また、k、lは、それぞれ0または1の数(但しk、lが同時に0であることはない。)、好ましくは何れか一方が0で、他方が1を示す。
すなわち、上記式[VI]中の「−(COO)mR17」と「−(COO)nR18」とは、「−H」を示す。よって、下記するように「k、lが同時に0であることはない」ことを考慮すると、上記したR11がイソプロピル基の場合だけでなく、R16がイソプロピル基である場合においても、上記式[VI]では、カルボニルオキシ基(COO)あるいはカルボキシル基
(COOH)などの存在個数は1〜2個止まりであり、3〜4個存在する態様は包含されない。
従って、R16がイソプロピル基である場合においても、ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]は、上記と同様の化合物であり、モノカルボン酸あるいはその金属塩などである。
19、R20は、上記R11がイソプロピル基の場合におけるR17、R18(あるいは上記式[V]中のR7、R8)と同様に、それぞれ水素原子または同上の炭化水素基を示し、
21、R22は、上記R11がイソプロピル基の場合におけるR15、R16(あるいは上記式[V]中のR5、R6)と同様に、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
しかも本発明では、上記式[VI]中の「−(COO)kR19」部位のkが0の場合、R19
は水素原子であり、
kが1の場合、R19は水素原子または同上の炭化水素基である。
よって「−(COO)kR19」についてみれば、前記式[V]中の「−(COO)mR7」の場合
と同様に、k=0で、R19がHの場合は、「−H」を示し、また、k=1で、R19がHの場合
は、カルボキシル基「−COOH」を示し、また、k=1で、R19が炭化水素基の場合は、「
−COOR19」(エステル)を示す。
また、上記式[VI]の「−(COO)lR20」部位のlが0の場合、R20は水素原子であ
り、lが1の場合、R20は水素原子または同上の炭化水素基である。
よって「−(COO)lR20」についてみれば、上記R11がイソプロピル基の場合における
式[VI]中の「−(COO)mR17」の場合と同様に、「−H」、カルボキシル基「−COOH」または「−COOR8」(エステル)を示す。
(但し上記R11がイソプロピル基の場合と同様に、上記R16がイソプロピル基の場合においても式[VI]中のR19およびR20が同時に炭化水素基であることはない。)。}
このように、R16がイソプロピル基である場合<B>においても、上記R11がイソプロピル基の場合<A>と同様に、上記式[VI]中のカルボニルオキシ基(COO)を有し得る4
箇所のうちで、「−(COO)kR19」および「−(COO)lR20」は、上記の通り「−H」を示すから、ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]は、モノ−カルボン酸またはその誘導体(金属塩)となり得るが、ジ−、トリ−、テトラ−カルボン酸等とはならない。
なお、上記式[VI]では、m、n、k、lは、上記説明から明らかなように、m、nの少なくとも何れか一方が1である場合には、k、lの両者は0となり、また、k、lの少なくとも何れか一方が1である場合には、m、nの両者は0となる。従って、式[VI]には、モノ−カルボン酸、さらにはその塩は含まれるが、ジ−、トリ−、テトラ−カルボン酸など、2価以上の多価カルボン酸は含まれない。よって、それらトリ−、テトラ−カルボン酸のエステル、塩も含まれない。また、上記式[VI]で表されるビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]がジカルボン酸のエステルである場合には、ハーフエステル(モノエステル)を示し、ジエステルは含まれない。
本発明の好ましい態様においては、上記式[VI]で表される新規ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]としては、具体的には、下記式また、上記式[VI]で表される新規ビシクロアルケニルカルボン酸が下記式[VIa](1−i−プロピル−4−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−5−イル−カルボン酸)、
[VIb](1−i−プロピル−4−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−6−イル−カルボン酸))、
[VIc](6−i−プロピル−3−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−8
−イル−カルボン酸)または、
[VId](6−i−プロピル−3−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−7
−イル−カルボン酸)で表されるものが挙げられる。
これらの式[VIa]〜[VId]で示す新規ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]は、製造容易、安価、一定品質などの利点を有し、防汚塗料用配合剤などとして、特に防汚剤の溶出速度の調整剤などとして防汚塗料に配合でき、該化合物[VI]が防汚塗膜中に含まれていると加水分解速度、防汚剤の溶出速度の適正化などの点で好ましい。
Figure 2005179345
防汚塗料用配合剤(A)
本発明に係る防汚塗料用配合剤(A)は、不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応(ディールスアルダー付加反応)により形成された環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(例:環式カルボン酸のエステル、金属塩など)のうちの何れか1種以上からなっている。
本発明に係る防汚塗料用配合剤の好ましい態様では、上記環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(例:環式カルボン酸のエステル、金属塩)が、前記の新規シクロアルケニルカルボン酸または新規ビシクロアルケニルカルボン酸、またはそれらの塩[V]、[VI]であることが望ましい。
<新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸を
含む環式カルボン酸、それらの誘導体の製造>
本発明に係る上記新規シクロアルケニルカルボン酸、新規ビシクロアルケニルカルボン酸(両者をまとめて環式カルボン酸ともいう)またはそれらの塩の製造方法を含めて、本発明に係る環式カルボン酸、それらのエステルまたはそれらの塩の製造方法では、
[J]アロオシメン、オシメン、ミルセン、α−テルピネンおよびα−フェランドレンからなる群から選ばれた少なくとも1種のテルペン系ジエン化合物(共役ジエン化合物)と、
[K]α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸またはそのモノエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸、それらのエステルまたはそれらの塩(不飽和カルボン酸系化合物)と、
を付加反応させている。
また本発明では、先ず、テルペン系ジエン化合物[J]と、上記不飽和カルボン酸系化合物[K]のうちの不飽和カルボン酸とを反応させ、次いで、エステル化、塩の形成等を行ってもよい。
このような製法で得られる新規環式カルボン酸またはその塩をはじめ、上記製法で得られる環式カルボン酸、それらのエステルまたはそれらの塩は、上記したように防汚塗料用配合剤などとして前述した理由から好適に使用し得る。
また本発明では、上記以外の環式カルボン酸、それらのエステルまたはそれらの塩であっても、防汚塗料用配合剤などとして好適に使用でき、これらも、不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応(ディールスアルダー付加反応)などを利用することにより形成される。
上記新規化合物[V]、[VI]を含めて、上記環式カルボン酸を合成する際に用いられる上記共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、アロオシメン、オシメン、ミルセン等の鎖状化合物;フラン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、α−テルピネン、α−フェランドレン等の環状化合物等が挙げられる。
本発明においては、上記共役ジエン化合物のうちでは、ブタジエン、シクロペンタジエン、アロオシメン、ミルセン、α−テルピネンが好ましい。
また、上記共役ジエン化合物は、分子量54〜600の共役ジエンであることが得られる塗膜の防汚性と適切な消耗性の点で好ましい。
本発明に係る新規化合物[V]、[VI]を含めて、上記環式カルボン酸を合成する際に用いられ、共役ジエンに付加する不飽和化合物(ジエノフィル)としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の各種化合物等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、プロピオル酸(HC≡CCOOH)等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノフェネチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノペンチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノペンチル、シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸のハーフエステルであるモノアルキルエステル(アルキル基炭素数:C1〜20);マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノ−ペンタクロロフェニルなどの不飽和ジカルボン酸のハーフエステルであるモノアリールエステルなどが挙げられる。
上記不飽和カルボン酸のうちでは、(メタ)アクリル酸が好ましい。
その他のジエノフィルとしては、p−ベンゾキノン等が挙げられる。
なお、本発明で使用されるジエノフィルとしては、上記不飽和カルボン酸の他、不飽和結合に隣接して、カルボニル基(このような基を有する化合物としては、p−ベンゾキノンなどが対応)、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アセトキシ基、フェニル基、スルホン基、オキシメチル基、アミノメチル基、シアノメチル基などの活性基を有するものであってもよい。
このような共役ジエン化合物とジエノフィルの1種である不飽和カルボン酸との付加反応(ディールスアルダー反応)により生成する環式カルボン酸としては、例えば、
下記式(1)で示され、シクロペンタジエン(CPD)とアクリル酸(AA)との付加反応により生成するビシクロ[2,2,1]2−ヘプテン−6−イル−カルボン酸「化合物A−1」などの単環式カルボン酸(1モルの質量Mw:138)、
下記式(2)で示され、シクロペンタジエン(CPD)と メタクリル酸(MAA)と
の付加反応により生成する6−メチル−ビシクロ[2,2,1]2−ヘプテン−6−イル−カルボン酸「化合物A−2」(Mw:152)などの単環式カルボン酸、
下記式(3)で示され、アロオシメンとメタクリル酸(MAA)との付加反応により生ずる1,5,6−トリメチル−3(2−メチル−1−プロペニル)4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸「化合物A−3a」(Mw:222)、1,4,5−トリメチル−2(2−メチル−1−プロペニル)3−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸「化合物A−3b」(Mw:222)などの単環式カルボン酸、
下記式(4)で示され、オシメンとメタクリル酸(MAA)との付加反応により生ずる1,4−ジメチル−3(3−メチル−2−ブテニル)4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸「化合物A−4a」(Mw:222)、1,3−ジメチル−2(3−メチル−2−ブテニル)3−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸「化合物A−4b」(Mw:222)などの単環式カルボン酸、
下記式(5)で示され、ミルセンとメタクリル酸(MAA)との付加反応により生ずる1−メチル−4(4−メチル−3−ペンテニル)4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸「化合物A−5a」(Mw:222)、1−メチル−3(4−メチル−3−ペンテニル)3−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸「化合物A−5b」(Mw:222)などの単環式カルボン酸、
下記式(6)で示され、α−テルピネンとアクリル酸(AA)との付加反応により生ずる1−i−プロピル−4−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−5−イル−カ
ルボン酸「化合物A−6a」(Mw:208)、1−i−プロピル−4−メチル−ビシク
ロ[2,2,2]2−オクテン−6−イル−カルボン酸「化合物A−6b」(Mw:208)などの2環式カルボン酸、
下記式(7)で示される、α−フェランドレンとアクリル酸(AA)との付加反応により生ずる6−i−プロピル−3−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−8−イル−カルボン酸「化合物A−7a」(Mw:208)、6−i−プロピル−3−メチル−ビシクロ[2,2,2]2−オクテン−7−イル−カルボン酸「化合物A−7b」(Mw:208)などの2環式カルボン酸等が挙げられる。
また、下記式(8)で示され、アロオシメンとモノメチルマレイン酸との付加反応により生ずる[Vg]:{2−メトキシカルボニル−3−(2−メチル−1−プロペニル)−
5,6−ジメチル−4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸}「化合物8a」(Mw:266)、
[Vh]:{2−カルボキシ−3−(2−メチル−1−プロペニル)−5,6−ジメチル
−4−シクロヘキセン−1−イル−カルボン酸メチル}「化合物8b」(Mw:266)などの単環式カルボン酸、等が挙げられる。(Mw:mole weightの略称。)
これら化合物(環式カルボン酸)は、通常、種々の異性体を含む混合物として得られ、単離の困難性、また異性体混合物を防汚塗料用配合剤として用いた場合の優れた特性、例えば、塗料、塗膜内で結晶化が抑制され、付着性に優れ、可塑性のある塗膜が得られるなどの特性を考慮して、それらの混合物の形態(状態)で用いられることが多い。
これらの環式カルボン酸の合成は、公知のディールスアルダー反応を利用する方法にて行うことができる。また合成に際しては、必要に応じて固体酸など公知の触媒を用いることができる。反応生成物は、精製せずに用いることができるが、公知の減圧蒸留、再結晶化等の方法で精製して用いてもよい。
これらの環式カルボン酸は、共役ジエン化合物と不飽和カルボン酸のディールスアルダ
ー反応により合成できる。共役ジエン化合物と不飽和カルボン酸を反応させる際には触媒を使用することが好ましく、触媒としては、例えば、活性白土、ヘテロポリ酸などの固体酸が挙げられる。上記反応に際しては、共役ジエン化合物と不飽和カルボン酸に、例えば、活性白土の如き触媒を、共役ジエン化合物に対して0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%の量で加え、反応温度:60〜100℃、好ましくは70〜90℃の温度で、反応時間:6〜60時間、好ましくは12〜40時間で、圧力:0.8〜10
気圧、好ましくは0.9〜5気圧の条件下で反応させることにより、本発明に係る環式カルボン酸(通常、異性体混合物)が含まれた反応生成物を得ることができる。
反応生成物は、上記したように精製せずにそのまま用いることができるが、必要に応じてろ過により不溶物を除去したり、蒸留により未反応物等の低沸点物(本発明に係る所望の環式カルボン酸に比して通常、未反応物は低沸点である。)を除去して用いることもできる。また、公知の精留、減圧蒸留、再結晶、溶媒分別などの方法で精製して用いてもよい。
Figure 2005179345
Figure 2005179345
Figure 2005179345
これらの環式カルボン酸のうちでは、付番(2)、(3)、(5)及び、前記(8)は、得られる防汚塗膜の防汚性と適切な消耗性の点で特に好ましい。
これらの環式カルボン酸のうちで、付番(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)は新規物質である。
なお、例えば、上記式(1)(あるいは式(2))で示されるカルボン酸「化合物A−1」(あるいは「化合物A−2」)には、用いられる原料であるシクロペンタジエン(C
PD)への(メタ)アクリル酸の付加方向・位置により、またエンド体/エキソ体の生成
により、下記の4種の異性体がそれぞれ存在する。
Figure 2005179345
後述するカルボン酸(AD−1)、(AD−3)等の製造例でも同様である。
また、上記カルボン酸製造用の原料としてアロオシメンを用いる場合、このアロオシメン自体が下記のような3種の異性体の混合物である。
Figure 2005179345
よって、上記式(3)で示される、得られる「化合物A−3」(カルボン酸)には、下記24種の異性体が考えられる。後述するカルボン酸(AD−4)〜(AD−5)等の製造例でも同様である。
Figure 2005179345
Figure 2005179345
本発明に係る防汚塗料用配合剤は、上記したように不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応により形成された環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩のうちの何れか1種以上からなるが、この防汚塗料用配合剤を構成する前記環式カルボン酸誘導体としては、例えば、環式カルボン酸のエステル化物、アミド化物、水素化物、不均化物、熱処理物、ビニルエーテル付加物、マイケル付加物、またはディールスアルダー付加物等が挙げられる。
環式カルボン酸のエステル化物(環式カルボン酸エステル)としては、具体的には、環式カルボン酸と炭素数1〜18、好ましくは1〜8のアルコールとから形成されるエステルが挙げられ、より具体的には、環式カルボン酸のアルキルエステル、環式カルボン酸ア
リールエステル等の炭化水素エステルが挙げられる。
環式カルボン酸のアミド化物(環式カルボン酸アミド)としては、具体的には、環式カルボン酸と炭素数1〜18、好ましくは1〜8のアミンとから形成されるアミドが挙げられ、より具体的には、アルキルアミド、アリールアミド等の炭化水素基含有アミドが挙げられる。
環式カルボン酸の水素化物としては、たとえば、環式カルボン酸分子中の炭素炭素二重結合への水素付加により得られる化合物、または、環式カルボン酸分子中のシクロ炭素環を水素付加開裂して得られる化合物などを挙げることができる。
環式カルボン酸の熱処理物としては、たとえば不活性ガス中で、環式カルボン酸を250〜350℃に加熱処理して得られるものが挙げられる。
このような熱処理をすると、たとえば、環式カルボン酸の分子間で反応が起こり、不均化物が得られる場合もある。なお、このような不均化物も本発明の環式カルボン酸の誘導体として使用し得ることはいうまでもない。
環式カルボン酸のビニルエーテル付加物は、環式カルボン酸のカルボキシル基に、炭素数1〜18、好ましくは1〜8のアルキル基、アリール基等の炭化水素基含有ビニルエーテルが1個付加したものである。このようなビニルエーテル付加物は、たとえば、特開2001−262076号公報に開示された方法を利用することにより製造することができる。
環式カルボン酸のマイケル付加物としては、たとえば、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、シアノ酢酸エステルなどの炭素数1〜18、好ましくは1〜8の活性メチレン化合物と環式カルボン酸(またはそのエステル)中の分極した炭素炭素二重結合が付加反応して形成する化合物を挙げることができる。
また不飽和環式カルボン酸の二重結合にカルボキシル基が自己マイケル付加した化合物を挙げることができる。
環式カルボン酸のディールスアルダー付加物としては、環式カルボン酸の炭素炭素二重結合に、炭素数4〜50、好ましくは4〜20のジエン成分が付加して形成する化合物を挙げることができる。
本発明に係る新規(ビ)シクロアルケニルカルボン酸の金属塩は、式[V]又は[VI]で示されるモノカルボン酸と金属化合物との反応により得られるモノカルボン酸金属塩であり、一般的には式(α):「(RCOO)xM」(RCOOは環式カルボン酸残基を
示し、Mは金属原子、xは金属原子の価数を示す。)で表される。
但し、上記式(α)には、さらに水、酸、塩基などの配位子が結合・配位などしていてもよく、さらに金属塩として金属とカルボン酸(より正確にはカルボン酸中のカルボキシル基)が当量比(金属当量数/カルボン酸の当量数=1/1)で構成されおらず、金属が当量比より過多(金属当量数/カルボン酸の当量数>1/1)であるカルボン酸金属過多塩、あるいはこれとは反対に金属が当量比未満の量であるカルボン酸金属塩であってもよい。(なお、カルボン酸金属過多塩の語義等については本願出願人が先に提案した特許出願2000−290907号に対応する特開2002−97406号公報参照。)
環式カルボン酸の金属塩または環式カルボン酸誘導体の金属塩としては、環式カルボン酸または上記環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)と、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、ストロンチウム、マンガン、ニッケル等の金属またはこれらの金属原子が含まれた金属化合物との反応で形成される金属塩が挙げられる。このような中でも、特に、亜鉛
または銅の金属塩が、塗膜消耗性および防汚性の点から好ましい。
カルボン酸金属塩は、公知の種々の方法、例えば、下記の複分解法、熔融法、直接法などにより製造することができる。
[複分解法]
複分解法は、これらのカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩などの(水)溶液中に金属塩(硫酸銅など)の水溶液を入れ、複分解してカルボン酸金属塩を生成させ、溶媒抽出などの方法で精製する方法である。
[熔融法]
熔融法は、金属の酸化物、酢酸塩、水酸化物などを金属担体のカルボン酸と加熱することにより、水あるいは酢酸を留去してカルボン酸金属塩を得る方法である。
この熔融法では、必要に応じて有機溶媒中で反応を行い、共沸などにより水あるいは酢酸を留去してもよい。
[直接法]
直接法は、金属そのものと、カルボン酸とを直接反応させて、カルボン酸金属塩を得る方法である。
これらのカルボン酸金属塩は、これらのカルボン酸を用いて塗料を製造する過程においても容易に製造することができる。
例えば、カルボン酸亜鉛塩は、亜鉛華(酸化亜鉛)とこれらのカルボン酸を混合することで容易に得ることができる。
この方法では、予めこれらのカルボン酸と亜鉛華とを必要に応じて公知の塗料用溶媒の存在下に、ディスパー、各種ミルなどを用いた分散方法により混練してカルボン酸亜鉛塩を得た後、塗料組成物に配合されるような種々の成分をこれ(カルボン酸金属塩)に配合して所望の塗料組成物(防汚塗料組成物)を調製してもよい。
また、塗料を調製する際の配合成分中にこれらのカルボン酸と亜鉛華とが存在すると、得られた塗料中にはこれらのカルボン酸金属塩が生成している。
この方法では、金属塩の生成速度を高めるために、水を添加してもよく、また反応により生成する水や添加した水分を除去するために適宜公知の脱水剤を使用してもよい。
また、このような成分(A)は、後述する自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)、特にシリルエステル共重合体との相溶性に優れ、また、これら成分(A)、(B)を含む防汚塗料組成物により、塗膜を形成した際に、適度な海水への溶出性を示し、塗膜消耗促進性、防汚性向上などの優れた特性を有する。
上記成分防汚塗料用配合剤(A)は、下記のような本発明に係る防汚塗料組成物中に含まれる加水分解可能な自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)、特にシリルエステル系共重合体(不揮発分)100重量部に対し、0.1〜300重量部、好ましくは1〜200重量部、さらに好ましくは5〜100重量部、特に好ましくは5〜50重量部の範囲で含まれていると、得られる防汚塗料組成物からなる塗膜(防汚塗膜)は、加水分解性樹脂塗膜の加水分解速度が適度に調整され、その結果、塗膜の長期に亘る防汚性能、特に高汚損海域または静置環境下での防汚性能が発揮されるため好ましい。
また、上記防汚塗料用配合剤(A)は、防汚塗料組成物(溶剤を除く)100重量部中に、通常、0.01〜90重量部、好ましくは0.1〜50重量部となるような量で用いられることが同様の理由により望ましい。
<防汚塗料組成物>
本発明に係る防汚塗料組成物には、上記の防汚塗料用配合剤((A)または(AD)と記す。)と、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)とが含有されている。
このような防汚塗料組成物は、錫化合物等の環境負荷の大きな防汚剤を実質上不含であることが好ましく、その結果、環境への悪影響がない塗膜を形成できる。しかも、該塗膜には、加水分解調整剤または溶出助剤等として作用する防汚塗料用配合剤(A)が含まれているから、該塗膜中に含まれている自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)の加水分解速度が良好に制御され、塗膜の消耗速度は、長期にわたり安定(一定)するため、防汚剤の溶出速度も一定で徐放性に優れ、しかも長期防汚性に優れ、特に高汚損海域で運行される船舶、また静置環境下で使用される水中構造物、漁具・漁網等にも好適に適用できる。
自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)
この塗膜形成成分である自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)としては、重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(B-a)および/または「金属原子に直接結合したヒドロキシル基(−OH)不含の重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位を含有する重合性不飽和カルボン酸金属化合物系共重合体」(B-b)が用いられる。
前者の重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(B-a)としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(i)が好ましく、また後者の「金属原子に直接
結合したヒドロキシル基(−OH)不含の重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位を含有する重合性不飽和カルボン酸金属化合物系共重合体」(B-b)としては、金属原子に結合したヒドロキシ基(ヒドロキシル基)不含の(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(ii)が好ましく用いられる。
上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(i)としては、例えば、特開平8
−209005号公報、特開平9−286933号公報などに記載されているような樹脂:Rp−COOM−OH(式中、Rp:基体樹脂、M:2価金属原子である亜鉛原子、銅原子。)等を用いることができる。
また、上記共重合体(ii)すなわち、金属原子に結合したヒドロキシ基(ヒドロキシル基)不含の(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体(ii)としては、本願出願人が先に提案した特開平11−323209号公報の[0036]〜[0049]欄に記載の(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体、あるいは特開平11−302572号公報の[0015]〜[
0044]欄に記載の樹脂などを用いることができる。
本発明では、上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩系共重合体(i)としては、
式:R1−COOM−OH・・・・・[I]
{式[I]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、
HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合を含有する有機基を示し、−COOHは金
属塩またはエステルを形成していてもよい。Mは、金属原子例えば、Zn、Cuを示す。}
で表される重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることが好ましい。
さらには、上記共重合体(i)が、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩から誘導される
成分単位を含有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体であることが望ましく、特に上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩系共重合体中の金属原子Mが亜鉛(Zn)、銅(Cu)であることが好ましく、さらにはMが亜鉛(Zn)である(メタ)アク
リル酸ヒドロキシ亜鉛塩から誘導される成分単位を含有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩系共重合体であることが塗膜の物性の点で望ましい。
また本発明では、金属原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体(ii)としては、
式:R1−COO−M−Ln・・・・・[II]
{式[II]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−のうちの何れかの不飽和結合含有有機基を示し、−CO
OHは金属塩またはエステルを形成していてもよい。Mは、金属原子、好ましくはSi以外の金属原子を示し、
Lは、有機酸残基「−OCOR2 」(R2は、アルキル基好ましくはC1〜25のアル
キル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基好ましくはフェニル基、アラルキル基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。またこの有機酸残基としては、有機酸の1種である本発明の新規シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]、新規ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]由来の有機酸残基であってもよい。)を示し、このLは、R1と同一でも異なっていてもよい。
nは金属Mの原子価数−1の数を示す。}
で表される重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体が挙げられる。
さらに好ましくは、該共重合体(ii)が、金属原子に結合したヒドロキシル基不含の(メタ)アクリル酸金属化合物から誘導される成分単位を含有する共重合体であることが好ましく、特に金属原子MがZn、Cuであり、亜鉛または銅原子に結合したヒドロキシル基不含の(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩から誘導される成分単位を含有する共重合体であることが望ましい。
本発明で用いられる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、このような(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体としては、重合性単量体の(メタ)アクリル酸金属化合物(イ)およびこの金属化合物(単量体(
イ))と共重合可能な「他の単量体」(ロ)を共重合してなり、(メタ)アクリル酸金属化
合物(イ)成分単位が通常0.01〜99.99重量%、好ましくは2〜50重量%の量で含まれ、この単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)成分単位が残部量すなわち99.99〜0.01重量%好ましくは98〜50重量%(但し、(イ)+(ロ)の合計は100重量%)で含まれているものが挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体、重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩系共重合体などの表記における「○○系」(例:(メタ)アクリル酸金属化合物系)なる文言は、例えば、該共重合体を製造する際に、必須成分として「○○」(例:(メタ)アクリル酸金属化合物)またはその誘導体等の類縁化合物が用いられることを意味し、必ずしも、用いられる成分中、最大量で、あるいは50%以上の量で用いられる場合に限定されない。
上記(メタ)アクリル酸金属化合物を構成する金属Mとしては、周期律表のIb、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属が挙げられ、具体的には、Cu、Zn、Ni、Co、Pb、Al、Sn、Mg等の2価以上の金属が挙げられ、中でもCu、Znが好ましい。
このような(メタ)アクリル酸金属化合物(イ)は、塩、エステルあるいは錯体である。
<重合性不飽和カルボン酸金属塩系共重合体(B1)>
上記式[II]中、例えば、MがCu、Zn、Mgなど、Si以外の金属原子である場合には、このような(メタ)アクリル酸金属化合物(モノマー)は、下記式(B-11)で表さ
れる。
1−COO−M−Ln・・・・・(B-11)
[式(B-11)中、R1、M、L、nは、それぞれ式[II]の場合と基本的には同様である。特に、この式(B-11)では、R1は、上記式[II]の場合と同様の有機基を示し、MはCu、Zn、Mgなど、Si以外の上記金属を示し、LはR1と同一でも異なっていてもよ
い同上の有機基であり、好ましくは上記カルボン酸残基(−OCOR2)を示し、nは上
記に同じ。]
上記式(B-11)中、Lがカルボン酸残基(−OCOR2)である場合、このような基を誘導し得るカルボン酸(HOCOR2)としては、鎖状でも、脂環、芳香環などを有して
いてもよく、主に1価のカルボン酸であるプロピオン酸、吉草酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、バーサチック酸、アビエチン酸(ロジン中に含有される酸)、ナフテン酸、(メタ)アクリル酸、安息香酸、本発明の前記新規シクロアルケニルカルボン酸系化合物[V]、新規ビシクロアルケニルカルボン酸系化合物[VI]などが挙げられる。
このような式(B-11)で表される(メタ)アクリル酸金属系化合物としては、具体的
には、例えば、
メタクリル酸亜鉛:[(CH2=C(CH3)−COO−)2Zn]、アクリル酸亜鉛:
[(CH2=CH−COO−)2Zn]、メタクリル酸マグネシウム:[(CH2=C(C
3)−COO−)2 Mg]、アクリル酸マグネシウム:[(CH2=CH−COO−)2
Mg]、メタクリル酸銅:[(CH2=C(CH3)−COO−)2Cu]、アクリル酸銅
:[(CH2=CH−COO−)2 Cu]、バーサチック酸亜鉛メタクリレート:[(C
2=C(CH3)−COO−)(( C373C−COO−)Zn]、バーサチック酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C373C−COO−)Zn]、
ナフテン酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(ナフテン酸残基)Zn]、ナフテン酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(ナフテン酸残
基)Zn]、安息香酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)((
65)COO−)Zn]、安息香酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)
(( C65)COO−)Zn]、安息香酸マグネシウムメタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(C65COO−)Mg]、バーサチック酸マグネシウムアクリ
レート:[(CH2=CH−COO−)(( C373C−COO−)Mg]、バーサチ
ック酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)((C373C−CO
O−)Cu]、安息香酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)((
65)COO−)Cu]、ナフテン酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(ナフテン酸残基)Cu]、ナフテン酸銅アクリレート:[(CH2=CH−C
OO−)(ナフテン酸残基)Cu]等あるいはそれらの水和物等を例示することができる。
上記(メタ)アクリル酸金属化合物(イ)と共重合可能な「他の単量体」(ロ)としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の何れであってもよく、(メタ)アクリル酸エステル類、水酸基および/またはアミノ基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
これら「他の単量体」のうちで、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ
)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族系の単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、等の脂環族系の単量体;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、等の芳香族系単量体;等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸金属化合物(イ)と共重合可能な「他の単量体」(ロ)のうちで、水酸基および/またはアミノ基を有するビニル系単量体(ロ)としては、水酸基およびアミノ基のうちの何れかを1個以上有していれば、単量体であっても2〜3量体等であってもよく、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を1個有するものが挙げられる。その他、2-ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ-
ブチルラクトン、ε-カプロラクトン等との付加物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2〜3量体;グリセロール(
メタ)アクリレート等の水酸基を複数個有する単量体;等が挙げられる。
アミノ基を有する単量体(ロ)としては、第1級〜第3級の何れであってもよく、(メタ)アクリルアミド、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第1〜第2級アミノ基含有単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その他、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等が挙げられる。
その他、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸類や、これらのカルボン酸類から誘導されるエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メ
チルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
このような(メタ)アクリル酸金属化合物(単量体(イ))および「その他の単量体」(
ロ)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような単量体(イ)および(ロ)は、炭素−炭素不飽和結合部位で共重合して、(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体を形成している。該共重合体中において、これら単量体(イ)、(ロ)から誘導される成分単位(イ)、(ロ)は、ランダムあるいはブロックに配列していてもよく、通常ランダムに配列していることが多い。
このような単量体(イ)および(ロ)が共重合されてなる(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜100,000程度であり、ガラス転移温度Tgは、−20℃〜+100℃程度である。
この(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体は、防汚塗料組成物中に、樹脂固形分として、通常、1〜99重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは15〜50重量%の量で含まれていることが好ましい。このような量で(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体が防汚塗料組成物中に含まれていると、充分な防汚効果を有し、持続性のある消耗性を発揮できるため好ましい。
また、この(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体は該防汚塗料組成物中の溶剤を除く成分の合計100重量部に対して、通常1〜99重量部、好ましくは10〜70重量部
の量で含まれていることが望ましい。この(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体が、このような範囲内で防汚塗料組成物中に含まれる場合、塗膜表面が長期にわたり安定した消耗性及び防汚性に優れる傾向にある。
上記の(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体は、特公平7−64985号公報、特開平4−80205号公報、特開平4−80269号公報、特開平4−80270号公報、特開昭63−128008号公報、特開昭63−128084号公報、特開平1−16809号公報、特開平5−171066号公報、特開平10−158547号公報さらには特開平11−302572号公報等に開示された方法に準じるかまたは参照することにより、容易に製造することができる。このような(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体は、例えば、次の(1)〜(4)のいずれかの方法にて製造することが可能である。
(1)第一の方法として、(メタ)アクリル酸金属化合物(イ)、および、この金属化合物(単量体(イ))と共重合可能な、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等の他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、t−ブチルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、上記共重合体を形成させることができる。
(2)第二の方法として、(メタ)アクリル酸等の不飽和二重結合含有カルボン酸(イ-1)、この単量体(イ-1)と共重合可能な他の単量体(ロ)および飽和脂肪族カルボン酸金属化合物、飽和脂環式カルボン酸金属化合物または芳香族カルボン酸金属化合物(ハ)を有機溶剤と混合し、t−ブチルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、上記共重合体を形成させることができる。
(3)第三の方法として、まず、(メタ)アクリル酸等の不飽和二重結合含有カルボン酸(イ-1)およびこの単量体(イ-1)と共重合可能な他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、t−ブチルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、上記不飽和二重結合含有カルボン酸(イ-1)由来のカルボキシル基を側鎖末端に有する共重合体を形成させる。
次いで、この共重合体と、この共重合体のカルボキシル基に銅(Cu)などの金属原子Mを導入可能な酢酸銅等のカルボン酸金属化合物と、さらにこの金属原子Mに結合し、側鎖末端にカルボン酸残基(−OCOR2、R2:同上)等の末端基(L)を導入可能なプロピオン酸、吉草酸、オレイン酸、リノール酸等のカルボン酸(HOCOR2、R2:同上)と、水(純水)とを反応器に入れ、60〜180℃の温度で、1〜10時間反応させた後、120〜140℃に昇温して副生する酢酸などを分離除去することにより、側鎖に「−COO−M−Ln、M,Ln:同上」が導入された加水分解性の(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体が得られる。
(4)第四の方法として、まず、上記第三の方法と同様に、(メタ)アクリル酸等の不飽和二重結合含有カルボン酸(イ-1)およびこの単量体(イ-1)と共重合可能な他の単量体(
ロ)を、t−ブチルパーオキシオクトエート、AIBN等のラジカル重合開始剤の存在下
に重合させて、上記不飽和二重結合含有カルボン酸(イ-1)由来のカルボキシル基を側鎖末端に有する共重合体を形成させる。
次いで、この共重合体と、この共重合体のカルボキシル基に亜鉛(Zn)などの金属原子Mを導入可能な酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属酸化物と、さらにこの金属原子Mに結合し
、側鎖末端にカルボン酸残基等の末端基(L)を導入可能なプロピオン酸、吉草酸、オレイン酸、リノール酸等のカルボン酸と、水(純水)とを反応器に入れ、60〜180℃の温度で、1〜10時間反応させた後、110〜120℃に昇温して副生する反応水などを分離除去することにより、側鎖に「−COO−M−Ln、M,Ln:同上」が導入された加水分解性の(メタ)アクリル酸金属化合物系共重合体が得られる。
<重合性不飽和カルボン酸シリルエステル系共重合体(B2)>
次に、上記共重合体(B)が重合性不飽和カルボン酸シリルエステル系共重合体である場合について説明する。
このようにMがSiである場合は、式[II]中、n=3となり、式(B-12):
1−COO−Si−L3・・・・・(B-12)
[式(B-12)中、R1は、上記[II]の場合と同様の有機基を示し、Lは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ、炭素数1〜25、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10で分岐を有していてもよい鎖状アルキル基;シクロアルキル基;芳香族炭化水素基、好ましくはフェニル基;同上のアルキル基のアルキルシリルオキシ基の何れかを示し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表される重合性不飽和カルボン酸シリルエステル(モノマー)となる。
従って、該重合性不飽和カルボン酸シリルエステル系共重合体は、上記重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単位を分子内に有する共重合体である。
すなわち、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−で表される不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは
金属塩またはエステルを形成していてもよい。
3個のL、すなわちL1、L2、L3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ
、水素原子;炭素数1〜25、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10で分岐を有していてもよい鎖状アルキル基;シクロアルキル基;芳香族炭化水素基、好ましくはフェニル基;同上のアルキル基のアルキルシリルオキシ基の何れかを示し(これらの基は置換基を有していてもよい)、好ましくは、
これらL1、L2、L3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ、炭素数1〜
25、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜6で分岐を有していてもよい鎖状アルキル基;好ましくは炭素数3〜10、さらに好ましくは3〜8のシクロアルキル基;置換基を有していてもよいフェニル基;の何れかを示す。これらのLは、R1と同一でも異なっていてもよい。
なお、このような共重合体(B)は、下記式[IIIA]で示されるシリル不飽和カルボキ
シレート単量体およびこれと共重合可能な不飽和単量体からそれぞれ誘導される成分単位を分子内に有する共重合体である。
式:R1−COO−Si(L123)・・・・・[IIIA]
(式[IIIA]中のR1、L1、L2、L3は上記に同じ。なお、3個のL、すなわちL1、L2
、L3は、それぞれ下記式[III]中のR12、R13、R14と同様のものである。)
以下、この重合性不飽和カルボン酸シリルエステル(B-12)から誘導される成分単位
を含有する重合性不飽和カルボン酸シリルエステル系共重合体(B2)(シリルエステル共重合体とも言う。)について詳説する。
本発明で使用されるシリルエステル共重合体(B2)は、重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単位を含有している。
(a)重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単位
重合性不飽和カルボン酸シリルエステルとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ二塩基酸などα,β-不飽和ジカルボン酸などのシリルエステル、またα,β−不飽和ジカルボン酸のハーフエステルのシリルエステルが挙げられる。
このような重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単位としては、下記式[III]で表されるシリル(メタ)アクリレート成分単位が好ましい。
Figure 2005179345
式[III]中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し、−COOHは、金属塩またはエステルを形成していてもよく、R11は、水素原子またはメチル基を示し、R12、R13、R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、同上の炭素数のアルキル基(すなわち、炭素数1〜25、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜6で分岐を有していてもよい鎖状アルキル基)、同上の炭素数のシクロアルキル基(すなわち、好ましくは炭素数3〜10、さらに好ましくは3〜8のシクロアルキル基)、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基好ましくはフェニル基、含まれるアルキル基が同上の炭素数であるアルキルシリルオキシ基の何れかを示す。
また、フェニル基などの芳香族炭化水素基中の水素原子と置換可能な置換基としては、アルキル、アリール、ハロゲンなどが挙げられる。
このようなシリル(メタ)アクリレート(系)成分単位を誘導しうるシリル(メタ)アクリレート(類)は、下記式(III-a0)で表される。
式(III-a0):
Figure 2005179345
式(III-a0)中、R0は、上記式[III]中のR0と同様のものであって、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し、R11は、上記式[III]中のR11と同様の
ものであって、水素原子またはメチル基を示し、R12、R13、R14も上記式[III]中のR12、R13、R14と同様のものであって、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ上
記と同様の水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルシリルオキシ基の何れかを示す。
このようなシリル(メタ)アクリレート(III-a0)としては、具体的には、たとえば、
(メタ)アクリル酸トリメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリブチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリsec-ブチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリiso-ブチルシリルエステル等のようにR12、R13およびR14が同一のシリル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ジsec−ブチル−メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸モノメチルジプロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸メチルエチルプロピルシリルエステル等のようにR12、R13およびR14のうちの1部または全部が互いに異なったシリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
以上のシリル(メタ)アクリレートは組み合わせて用いることができる。
このようなシリル(メタ)アクリレートのうちでは、R12、R13およびR14が、それぞれ独立にメチル基、エチル基、n−、iso-プロピル基、sec-,tert-,iso-ブチル基等の
炭素数が1〜18程度のアルキル基であるものが好ましく、さらにはR12が分岐アルキル基またはシクロアルキルであるものが好ましい。R13およびR14は、R12と同一であっても異なっていてもよい。さらには、R12、R13およびR14の総炭素数が5〜21程度のものが好ましい。このようなシリル(メタ)アクリレートのうちでは、特にシリル(メタ)アクリレート共重合体合成の容易性、あるいはこのようなシリル(メタ)アクリレート共重合体を用いてなる防汚塗料組成物の造膜性、貯蔵安定性、研掃性の制御のしやすさなどを考慮すると、(メタ)アクリル酸トリiso-プロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリiso-ブチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリsec-ブチルシリルエステルが最も好ましく用いられる。
(b)極性基含有(メタ)アクリレートから誘導される成分単位
本発明では、上記(a)重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単位
とともに、(b)極性基含有(メタ)アクリレートから誘導される成分単位を有しているこ
とが望ましい。なお。必ずしも(b)成分単位はシリルエステル共重合体中に含まれている
必要はない。
極性基含有(メタ)アクリレートから誘導される成分単位としては、極性基を有する(メタ)アクリレート系単量体から誘導される成分単位であれば特に制限されないが、下記式[IV]で表される成分単位が好ましい。
Figure 2005179345
[式[IV]中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し、R15は、水素原子またはメチル基を示し、Zは、酸素原子または−NR17を示し、
Zが酸素原子である場合には、R16は置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基または式:―(R18O)nHで表されるポリアルキレングリ
コール基(ただし、R18は、アルキレン基であり、nは2〜50の整数を示す)または式:−(RxO)nyで表されるアルコキシポリアルキレングリコール基(ただし、Rxはアルキレン基であり、Ryはアルキル基でありnは1〜100の整数を示す)を示し、
Zが−NR17である場合には、R17は、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシ基の何れかで置換されていてもよいアルキル基を示し、R16は水素原子を示す。]
上記式[IV]中のヒドロキシアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ましくは2〜9であり、また上記ヒドロキシシクロアルキル基の炭素数は、好ましくは3〜10、さらに好ましくは3〜8であり、上記ポリアルキレングリコール基中のアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜4である。アルコキシポリアルキレングリコール基中のアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜4であり、アルキル基の炭素数は1〜8、さらに好ましくは2〜4でありアルキル基は環状構造を形成していてもよい。置換アミノ基としては、炭素数1〜6のモノまたはジアルキルアミノ基が挙げられ、アシル基としては炭素数1〜6のアルカノイル基、炭素数1〜6のアルコキシ基などが挙げられる。
このような不飽和単量体成分単位(b)を誘導しうる不飽和単量体は、下記式(IV-a)で表
される。
Figure 2005179345
式(IV-a)中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し、R15は、上記式[IV]中のR15と同様のものであって、水素原子またはメチル基を示し、Zは、上記式[IV]中のZと同様のものであって、酸素原子または−NR17を示す。
Zが酸素原子である場合には、R16は置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基または式:−(R18O)nHで表されるポリアルキレングリ
コール基(ただし、R18は、アルキレン基であり、nは2〜50の整数を示す)または式:−(RxO)nyで表されるアルコキシポリアルキレングリコール基(ただし、Rxはアルキレン基であり、Ryはアルキル基でありnは1〜100の整数を示す)を示し、
Zが−NR17である場合には、R17は、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシ基の何れかで置換されていてもよいアルキル基を示し、R16は水素原子を示す。]
このような不飽和単量体(IV-a)としては、式(IV-a)中、Zが酸素原子であるものの場合には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=2)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=4)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=5)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=8)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=10)、ポリエチレン
グリコールモノメタクリレート(n=15)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n=5)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n=9)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n=12)、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=45)等が挙げられる。
また、上記式(IV-a)中、Zが−NR17であるものの場合には、具体的には、たとえば
、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
これらの不飽和単量体(IV-a)は、1種または2種以上組み合わせて用いることができ
る。
これらの不飽和単量体(IV-a)のうちでは、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましく、
ヒドロキシル基含有モノマーのうちでは2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレートなどを用いると、適度の溶出性を有する防汚塗膜が得られるため好ましい。
不飽和単量体成分単位(c)
シリルエステル共重合体は、通常、上記成分単位(a)および上記成分単位(b)とともに不飽和単量体成分単位(c)を含有している。この不飽和単量体成分単位(c)は、上記成分単位(a)、(b)の何れとも異なる成分単位である。
このような不飽和単量体成分単位(c)を誘導しうる不飽和単量体(c-1)としては、具体的には、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン類;

酢酸ビニル、安息香酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;
クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、フマル酸エステル類、マレイン酸エステル類等が挙げられ、これらのうちでは、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、ビニルエステル類が適度の塗膜強度を有する防汚塗膜が得られるため好ましい。
以上の不飽和単量体は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明では、シリルエステル共重合体(B2)中に、上記重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位(a)は、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%の量で、極性基
含有(メタ)アクリレート成分単位(b)は0〜40重量%、好ましくは0.01〜20%
の量で、その他の不飽和単量体成分単位(c)は5〜80重量%、好ましくは10〜60重
量%((a)+(b)+(c)=100重量%)の量で含まれていることが、塗膜強度と消耗性の
点で望ましい。
またこのようなシリルエステル共重合体(B2)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、20万以下、好ましくは5000〜10万であることが、該シリルエステル共重合体(B2)を配合した防汚塗料調製の容易性、得られた防汚塗料の貯蔵安定性、塗装作業性、防汚塗膜の消耗速度、耐クラック性などの点で望ましい。
シリルエステル共重合体(B2)の製造
このようなシリル(メタ)アクリレート共重合体(B2)を得るには、上記式(III-a0)で表されるシリル(メタ)アクリレート(a1)20〜80重量%と、上記式(IV-a)で表される
不飽和単量体(b1)0〜40重量%と、上記単量体(III-a0)および(IV-a)と共重合しうる他の不飽和単量体(c1)5〜80重量%(ただし(a1)+(b1)+(c1)=100重量%)をラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の各種方法にてランダム重合させればよい。また、このような重合の際には、連鎖移動剤などを用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、従来より公知のアゾ化合物、過酸化物などを広く用いることができ、アゾ化合物としては、具体的には、たとえば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、
過酸化物としては、たとえば、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシオクテート、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩(カリ塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、従来より公知のものを使用でき、例えば、特開2002−206069号公報の[0077]〜[0086]欄に記載された、下記に例示したメルカプト化合物等が挙げられる。
Figure 2005179345
Figure 2005179345
(なお、後述するポリマー(共重合体)の製造例(S−8)では、上記式(M−1)で示される連鎖移動剤「ポリ(n=4)エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)」を使用。)
上記重合物を防汚塗料に用いる場合には、上記各種重合法のうちでは、有機溶剤中で重合が行われる溶液重合法や塊状重合法が好ましく、溶液重合の際用いられる有機溶剤としては、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;
ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;
等が挙げられる。これらの溶剤は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
シリルエステル共重合体(B2−1)
本発明では、シリルエステル共重合体(B2)として、
下記式(III-a)で表されるシリル(メタ)アクリレート成分単位(d):
Figure 2005179345
(式(III-a)中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し、R20は、水素原子またはメチル基を示し、R21およびR22は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10の直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R23は、環構造または分岐を有していてもよい炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数が6〜10の置換されていてもよいフェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基を示す。)、および
下記式(III-b)で表されるシリル(メタ)アクリレート成分単位(e):
Figure 2005179345
(式(III-b)中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し、R20は、水素原子またはメチル基を示し、R24およびR25は、それぞれ独立に、炭素数が3〜10の分岐またはシクロアルキル基を示し、R26は、炭素数が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10の分岐またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10の置換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシリルオキシ基を示す。)
を含むシリル(メタ)アクリレート共重合体を使用することもできる。
以下、このシリル(メタ)アクリレート共重合体(B2−1)を構成する各成分単位(d)
、(e)、(f)について順次説明する。
シリル(メタ)アクリレート成分単位(d)
シリル(メタ)アクリレート成分単位(d)は、下記式(III-a)で表される。
Figure 2005179345
式(III-a)中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子(H)を示し
、R20は、水素原子またはメチル基を示し、R21およびR22は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6の直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシリルオキシ基を示す。直鎖アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。
上記フェニル基中の水素原子と置換可能な置換基としては、アルキル、アリール、ハロゲンなどが挙げられる。
23は、環構造または分岐を有していてもよい炭素数が1〜18、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜9のアルキル基、炭素数が6〜10、好ましくは6〜8の置換されていてもよいフェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基:「(CH3)3SiO−」である。
このようなアルキル基としては、上記例示した直鎖状アルキル基の他;
iso-プロピル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、neo-ペンチル基等の
分岐状アルキル基;
シクロヘキシル基、エチリデンノルボニル基等の脂環構造(シクロヘキサン環、ノルボルナン環)を有する脂環式アルキル基;
等が挙げられる。
これらのうちでは、R21、R22、R23としては、互いに同一でも異なっていてもよいが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、トリメチルシリルオキシ基が好ましく、特に、メチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基が好ましい。
このようなシリル(メタ)アクリレート成分単位(d)を誘導しうるシリル(メタ)アク
リレート(d1)は、下記式(III-a-1)で表される。
Figure 2005179345
式(III-a-1)中、R0、R20、R21〜R23は、上記成分単位(d)を示す上記式(III-a)中の
0、R20、R21〜R23と同様のものである。
このようなシリル(メタ)アクリレート(III-a-1)としては、具体的には、たとえば、
(メタ)アクリル酸トリメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−ペンチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−ヘキシルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−ヘプチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−オクチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−ノニルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn−デシルシリルエステルのようにR21、R22、R23が同一の脂肪族系シリル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸トリフェニルシリルエステルの他、(メタ)アクリル酸トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルエステル等のR21、R22、R23が同一の芳香族系あるいはシロキサン系シリル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸ジメチルn−プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸イソプロピルジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジn-ブチル-iso-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸n-ヘキシル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸sec-ブチル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸モノメチルジn-プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸メチルエチルn-プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸エチリデンノルボルニル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリメチルシリルオキシ−ジメチルシリルエステル(CH2=C(CH3)COOSi(CH3)2(OSi(CH3)3)、CH2=CHCOOSi(CH3)2(OSi(CH3)3)
)等のようにR21、R22およびR23のうちの一部または全部が互いに異なった脂肪族系のシリル(メタ)アクリレート類;
等が挙げられる。
本発明においては、シリル(メタ)アクリレート(III-a-1)は、1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。
(シリル(メタ)アクリレート成分単位(e))
シリル(メタ)アクリレート成分単位(e)は、下記式(III-b)で表される。
Figure 2005179345
式(III-b)中、R0は、水素原子または−COOH、好ましくは水素原子を示し、R20は、水素原子またはメチル基を示し、R24およびR25は、それぞれ独立に、炭素数が3〜10、好ましくは3〜8の分岐アルキル基または炭素数が3〜10、好ましくは3〜9のシクロアルキル基を示す。
上記分岐アルキル基としては、上記式(III-a)中のものと同様に、iso-プロピル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、neo-ペンチル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、エチリデンノルボルニル基が挙げられる。
26は、炭素数が1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10、好ましくは3〜9の分岐またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10、好ましくは6〜8の置換されていてもよいフェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基を示す。
このR26中の直鎖アルキル基、分岐またはシクロアルキル基、フェニル基などとしては、具体的には、上記と同様の基を挙げることができる。
これらのうちでは、R24、R25、R26としては、互いに同一でも異なっていてもよいが、同一の場合には、iso-プロピル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基が好ましく、特に、iso-プロピル基、sec-ブチル基が好ましい。
また、R24、R25、R26の一部または全部が異なる場合には、R24、R25は互いに同一でも異なっていてもよいが、R24、R25としては、iso-プロピル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が好ましく、R26としては、メチル基、エチル基、プロピル基
、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、トリメチルシリルオキシ基が好ましい。
このようなシリル(メタ)アクリレート成分単位(e)を誘導しうるシリル(メタ)アク
リレート(e1)は、下記式(III-b-1)で表される。
Figure 2005179345
式(III-b-1)中、R0、R20、R24、R25、R26は、成分単位(e)を示す上記式(III-b)中のR0、R20、R24、R25、R26と同様のものである。
このようなシリル(メタ)アクリレート(III-b-1)としては、具体的には、たとえば、
(メタ)アクリル酸トリiso-プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリiso-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリsec-ブチルシリルエステルのようにR24、R25およびR26が同一のシリル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−シクロヘキシルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−フェニルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−トリメチルシロキシシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−メチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−エチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−トリメチルシリルオキシシリルエステル、
(メタ)アクリル酸iso-プロピル−sec-ブチル−メチルシリルエステルのようにR24、R25およびR26のうちの1部または全部が互いに異なったシリル(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
本発明においては、このようなシリル(メタ)アクリレート(III-b-1)は、1種または
2種以上組み合わせて用いることができる。
このようなシリル(メタ)アクリレートのうちでは、特にシリル(メタ)アクリレート共重合体合成の容易性、あるいはこのようなシリル(メタ)アクリレート共重合体を用いてなる防汚塗料組成物の造膜性、貯蔵安定性、研掃性の制御のしやすさなどを考慮すると、シリル(メタ)アクリレート(III-b-1)のうちの、
(メタ)アクリル酸トリメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn-プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリn-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸n-ヘキシル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸n-オクチル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸iso-プロピル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸エチリデンノルボルニル−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリメチルシリルオキシ−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ビス(トリメチルシリルオキシ)−メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルエステルから選択される何れか1種または2種以上と、
シリル(メタ)アクリレート(III-b-1)のうちの、
(メタ)アクリル酸トリiso-プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリiso-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリsec-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−メチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−トリメチルシリルオキシシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−トリメチルシリルオキシシリルエステルから選択される何れか1種または2種以上と、
を組み合わせて用いることが好ましい。
さらには、
シリル(メタ)アクリレート(III-b-1)のうちの、(メタ)アクリル酸トリn-ブチルシ
リルエステルと、
シリル(メタ)アクリレート(III-b-1)のうちの、(メタ)アクリル酸トリiso-プロピルシリルエステルとを組み合わせて用いることが好ましい。
(不飽和単量体成分単位(f))
不飽和単量体成分単位(f)は、上記成分単位(d)および上記成分単位(e)と共に本発明の
シリル(メタ)アクリレート共重合体を構成しており、しかも上記成分単位(d)、(e)の何れとも異なる成分単位であって、このような不飽和単量体成分単位(f)を誘導しうる不飽
和単量体(f1)としては、前記式(IV-a)で表される(b)極性基含有(メタ)アクリレートまたは前記不飽和単量体成分単位(c)を誘導しうる不飽和単量体(c-1)が挙げられる。
このような単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-,iso-,tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の疎水性(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、アルコキシポリエチレングリコールモノ(
メタ)アクリレート、アルコキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の
親水性(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン類;
酢酸ビニル、安息香酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類

イタコン酸エステル群、マレイン酸エステル群等の有機カルボン酸エステル類;
等が挙げられ、これらのうちでは、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、有機カルボン酸ビニルエステル類が適度の塗膜強度を有する防汚塗膜が得られるため好ましい。
親水性(メタ)アクリル酸エステル類を使用すると塗膜の消耗性を増大させることができ、この目的ではアクリルアミド誘導体などの親水性を有するコモノマーの使用も可能である。
これらの不飽和単量体(f1)は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明においてはシリル(メタ)アクリレート共重合体には、上記シリル(メタ)アクリレート成分単位(d)は、0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜25重量%の量で、
シリル(メタ)アクリレート成分単位(e)は10〜70重量%、好ましくは30〜65重
量%の量で、上記(d)及び(e)以外の不飽和単量体成分単位(f)は20〜70重量%、好ま
しくは30〜60重量%((d)+(e)+(f)=100重量%)の量で含まれていることが、
塗膜へのクラックの発生防止、塗膜の耐剥離性、塗膜強度、消耗性の点で望ましい。
またこのようなシリル(メタ)アクリレート共重合体(B2−1)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、20万以下、好ましくは3000〜10万、さらには5000〜10万、特に好ましくは5000〜8万であることが、該シリル(メタ)アクリレート共重合体を配合した防汚塗料調製の容易性、得られた防汚塗料の塗装作業性、防汚塗膜の消耗速度、耐クラック性などの点で望ましい。
(シリル(メタ)アクリレート共重合体(B2−1)の製造)
このようなシリル(メタ)アクリレート共重合体(B2−1)を得るには、上記式(III-a-1)で表されるシリル(メタ)アクリレート(d1)0.5〜50重量%と、上記式(III-b-1)で表されるシリル(メタ)アクリレート(e1)10〜70重量%と、上記単量体(d1)および(e1)と共重合しうる他の不飽和単量体(f1)20〜70重量%(ただし(d1)+(e1)+(f1)=100重量%)をラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の各種方法にてランダム重合させればよい。また、このような重合の際には、前述したような連鎖移動剤などを用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、従来より公知のアゾ化合物、過酸化物などを広く用いることができ、アゾ化合物としては、具体的には、たとえば、2,2'-アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロ
ニトリル)等が挙げられ、
過酸化物としては、たとえば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーオキシアセテート
、tert-ブチルパーオキシオクテート、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩(カリ塩、アンモニウム
塩)等が挙げられる。
上記重合物を防汚塗料に用いる場合には、上記各種重合法のうちでは、有機溶剤中で重合が行われる溶液重合法や塊状重合法が好ましく、溶液重合の際用いられる有機溶剤としては、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;
ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;
等が挙げられる。これらの溶剤は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明の防汚塗料組成物には、上記防汚塗料用配合剤(A)と、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)とが必須成分として含有されているが、成分(A)は、通常、0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%の量で、成分(B)は、通常1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の割合で含まれていることが望ましい。
このような量で、成分(A)と(B)とが防汚塗料組成物中あるいは防汚塗膜中に含まれていると、得られる塗膜は、含まれる成分(A)の加水分解速度が良好に調整される結果、長期防汚性、特に高汚損海域または静置環境下での防汚性能に優れる傾向がある。
また、防汚塗料用配合剤(A)は、防汚塗料組成物中に含まれる成分(A)と成分(B)との合計((A)+(B))100重量部中に、通常、0.01〜90重量部、好ましくは0.1〜75重量部の量で、また、共重合体(B)成分(不揮発分)は、残部量、すなわち、通常、10〜99.99重量部、好ましくは25〜99.9重量部の量で含まれていることが、塗膜の防汚性、適度の塗膜消耗性および塗膜物性等の点から望ましい。
このように成分(A)と、成分(B)とが含有された防汚塗料組成物によれば、塗料の貯蔵安定性が良好で、塗膜にクラックが発生しにくく、塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防汚性能あるいは防汚性のうち特に高汚損環境下における防汚性や、長期防汚性に優れ、適度な硬度を有する防汚塗膜が得られる。
このような本発明に係る防汚塗料組成物は、さらに、各種添加剤を含有していてもよい。
すなわち、本発明に係る防汚塗料組成物は、上記防汚塗料用配合剤(A)、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)を必須成分として含有しているが、この(A)成分および(B)成分以外に、防汚剤(C)(特に、(C1)銅および/または銅化合物、(C2)有機防汚剤)、酸化亜鉛(亜鉛華)(D)、脱水剤(E)、タレ止め・沈降防止剤、ロジン等の溶出促進成分(F)、着色顔料、体質顔料などの各種顔料、アクリル樹脂、ポリアルキルビニルエーテル(ビニルエーテル系(共)重合体)(G)などの各種樹脂、塩素化パラフィン等の可塑剤(H)、消泡剤、色別れ防止剤、レベリング剤、溶剤などの各種添加剤などのような成分を含有していてもよい。
以下に、このような各種添加剤について説明する。
[防汚剤(C)]
防汚剤(C)としては、無機系、有機系の何れであってもよく、従来より公知のものを広く用いることができるが、本発明においては、特に、銅および/または銅化合物(C1)、有機防汚剤(C2)が好ましい。
本発明に係る防汚塗料組成物に含有させる銅および/または銅化合物(C1)(ピリチオン類などの有機銅化合物を除く。以下同様。)について以下に説明する。
本発明で用いられる銅化合物(C1)としては、無機系の銅化合物であれば何れであってもよく、このうち無機系の銅化合物としては、たとえば、亜酸化銅、チオシアン酸銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基性硫酸銅、塩化銅、酸化銅等が挙げられ、好ましくは亜酸化銅、チオシアン化銅(ロダン銅)が用いられる。
このような銅化合物は、銅に代えて、あるいは銅とともに1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような銅および/または銅化合物(C1)は、本発明の防汚塗料組成物100重量%中に、合計で通常、1〜70重量%、好ましくは3〜65重量%の割合で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成物中に含まれる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)好ましくはシリルエステル系共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、該銅および/または銅化合物(C1)は、合計で通常、3〜1400重量部、好ましくは10〜1300重量部の量で含まれていることが望ましい。
この銅および/または銅化合物が、該防汚塗料組成物中にこの範囲で含まれていると、防汚性に優れた防汚塗膜を形成することができる。
本発明においては、防汚剤として、上記銅および/または銅化合物(C1)とともに、あるいは上記銅および/または銅化合物(C1)に代えて、有機防汚剤(C2)を用いることができる。有機防汚剤(C2)としては、たとえば、金属ピリチオン類、有機銅化合物などを用いることができるが、特に金属ピリチオン類が好ましい。
金属ピリチオン類としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、鉛などの金属ピリチオン類を例示できる。上記金属ピリチオン類のうちでは、銅ピリチオン、ジンクピリチオンが好ましく、とくに銅ピリチオンが好ましい。
有機系の銅化合物としては、たとえば、塩基性酢酸銅、オキシン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、カッパービス(エチレンジアミン)−ビス(ドデシルベンゼンスルホネート)、ナフテン酸銅、ロジン酸銅、ビス(ペンタクロロフェノール酸)銅などが挙げられる。
上記有機防汚剤は、本発明の防汚塗料組成物中に、合計で通常、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜25重量%の割合で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成物中に含まれる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)好ましくはシリルエステル系共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、有機防汚剤は、合計で通常、0.3〜300重量部、好ましくは2〜200重量部の量で含まれていることが望ましい。
本発明においては、ピリチオン系化合物とともに、あるいはこのピリチオン系化合物に代えて下記の防汚剤(他の防汚剤)を含有していてもよく、このような他の防汚剤としては、従来より公知の各種防汚剤を用いることができ、具体的には、たとえば、
テトラメチルチウラムジサルファイド、カーバメート系の化合物(例:ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート)、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ-s-トリアジン、4,
5−ジクロロ-2-n-オクチル-4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,6−トリクロロ
フェニルマレイミド、ピリジン-トリフェニルボラン、アミン−トリフェニルボラン等を
挙げることができる。
本発明においては、このような防汚剤をジンクピリチオン、銅ピリチオン等のピリチオン系化合物(金属ピリチオン類)とともに、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。たとえば、銅ピリチオンおよび/またはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることができる。
また、この防汚塗料組成物中に含まれる銅および/または銅化合物(C1)、有機防汚剤(C2)などの各種防汚剤の合計含有量は、防汚塗料組成物調製時に用いられる防汚剤
、被膜形成性共重合体などの種類あるいはこのような防汚塗料組成物が塗布形成される船舶等の種類(船舶では、外航−内航用、各種海水域用、木造−鋼鉄船用等)などにもより一概に決定されないが、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)好ましくはシリルエステル系共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、防汚剤総量として通常10〜1400重量部の量で、好ましくは20〜1300重量部の量で含有されていることが望ましい。
この防汚剤総量が上記範囲内にあると、耐クラック性に優れ、また、防汚性に優れる傾向にある。
たとえば、防汚塗料組成物の防汚剤として銅ピリチオンと亜酸化銅(Cu2O)とを組
み合わせて用いる場合、銅ピリチオンは、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発物)好ましくはシリルエステル共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して2〜200重量部の量で、また、この亜酸化銅は、同様の共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して通常10〜1300重量部程度の量で防汚塗料組成物中に含有されていることが望ましい。
[酸化亜鉛(亜鉛華)(D)]
本発明に係る防汚塗料組成物には、酸化亜鉛(亜鉛華)(D)が含有されていてもよい。このように酸化亜鉛が配合された防汚塗料組成物では、得られる塗膜強度が向上し、塗膜の研掃性を効果的に制御できる。
また、このような酸化亜鉛は、消耗度調整、塗膜硬度調整の観点から、この防汚塗料組成物中に、通常、0.5〜35重量%、好ましくは1〜25重量%の割合で含まれていることが望ましい。また、この酸化亜鉛は、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)、好ましくはシリルエステル共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、通常1.5〜1200重量部、好ましくは4〜600重量部の量で防汚塗料組成物中に含有
されていることが望ましい。
[無機脱水剤(E)]
本発明に係る防汚塗料組成物には、無機系あるいは有機系の脱水剤、好ましくは無機系の脱水剤(無機脱水剤(E))が配合されていてもよい。このように脱水剤が配合された防汚塗料組成物では、貯蔵安定性を一層向上させることができる。
脱水剤としては、具体的には、たとえば、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系
吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソほう酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブT1)等が挙げられ、特に無機系脱水剤(D)としては、無水石膏、モレキュラーシーブが好ましく用いられる。このような無機脱水剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような脱水剤、特に無機脱水剤は、上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)好ましくはシリルエステル系共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、通常、0.02〜100重量部、好ましくは0.2〜50重量部の量で配合することが好ましい。
また、このような無機脱水剤は、この防汚塗料組成物中に、合計で通常、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜8重量%の量で含まれていることが望ましい。このような量で無機脱水剤が防汚塗料組成物中に含まれていると、貯蔵安定性が向上する傾向がある。
[溶出促進成分(F)]
本発明に係る防汚塗料組成物には、溶出促進成分(F)(ただし、上記(B)成分は、溶出促進成分(F)には含めない。)が含まれていてもよく、たとえば、ロジン、ロジン誘導体、有機カルボン酸および有機カルボン酸金属塩などが挙げられる。
ロジンには、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどがあるが、本発明ではいずれをも使用することができる。ロジン誘導体としては、たとえば、不均化ロジン、低融点不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、アルデヒド変性ロジン、ロジンのポリオキシアルキレンエステル、還元ロジン(ロジンアルコール)、ロジンの金
属塩(ロジンの銅塩、亜鉛塩、マグネシウム塩など)、ロジンアミン等が挙げられる。これらのロジンおよびその誘導体は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
有機カルボン酸としては、たとえば、炭素数5〜30程度の脂肪酸、合成脂肪酸、ナフテン酸が挙げられる。有機カルボン酸の金属塩としては、Cu塩、Zn塩、Mg塩、Ca塩等が挙げられる。なお有機カルボン酸の金属塩としては、有機カルボン酸金属過多塩を使用しても、また、等当量比あるいはそれ以下の当量比の有機カルボン酸と金属とからなる塩を使用してもよい。
これらの溶出促進成分は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
防汚塗料組成物がこれらの溶出促進成分を含有する場合には、防汚塗料組成物100重量部中に、0.1〜30重量%、好ましくは、0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%の量で含有されていることが望ましい。溶出促進成分の配合割合は、塗膜の防汚性能および耐水性能の観点からこの範囲にあることが望ましい。
また防汚塗料組成物中に含まれる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発物)、好ましくはシリルエステル共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、該溶出促進成分は、合計で通常、0.3〜600重量部、好ましくは2〜300重量部の量で含まれていることが望ましい。
この溶出促進成分が、該防汚塗料組成物中にこの範囲にあると、防汚性や塗膜の消耗性に優れるようになる傾向がある。
[ビニルエーテル系(共)重合体(G)]
ビニルエーテル系(共)重合体は、ビニルエーテル成分単位を有し、得られる塗膜の耐クラック性、耐剥離性、溶出速度安定性等の向上に寄与し、塗膜形成成分としても機能する。
上記ビニルエーテル系(共)重合体として具体的には、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどを例示することができる。
このようなビニルエーテル系(共)重合体(G)は、防汚塗料組成物100重量部中に、合計で通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成物中に含まれる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)、好ましくはシリルエステル共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、該ビニルエーテル系(共)重合体は、通常、0.3〜60重量部、好ましくは0.6〜40重量部の量で含まれていることが望ましい。
このビニルエーテル系(共)重合体が、該防汚塗料組成物中にこの範囲にあると、得られる塗膜の耐クラック性、耐剥離性、溶出速度安定性に優れるようになる傾向がある。
また、ビニルエーテル系(共)重合体に代えて、あるいはビニルエーテル系(共)重合体とともに、各種の親水性基含有重合体を使用することができる。このような親水性基含有重合体としては、(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(共)重合体のような各種(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(共)重合体などが挙げられ、これらの使用によって、ビニルエーテル系(共)重合体と同様の効果を得ることが可能である。
[可塑剤(H)]
可塑剤としては、正リン酸エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等、通常、塗料用に用いられる可塑剤が使用される。これらの可塑剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。

このような可塑剤を配合する場合には、可塑剤は、この防汚塗料組成物中に、たとえば、0.1〜10重量%の量で配合される。
これらの可塑剤は、得られる防汚塗料組成物からなる塗膜(本明細書中では、「防汚塗膜」とも言う)の耐クラック性の向上に寄与するが、これら可塑剤のうちで、塩素化パラフィンまたはトリクレジルフォスフェート(TCP)などの正リン酸エステルが好ましく用いられる。
この塩素化パラフィンとしては、直鎖状でもよく分岐を有していていてもよく、室温で液状でも固体(粉体)でもよい。このような塩素化パラフィンとしては、東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「トヨパラックスA-70」などが挙げられる。本発明において
は、このような塩素含有率、炭素数などの異なる2種以上の塩素化パラフィンを適宜組み合わせて用いることができる。
(H)可塑剤として、このような塩素化パラフィンを用いる場合は、防汚塗料組成物100重量部中に、通常、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成物中に含まれる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)、好ましくはシリルエステル共重合体(B)(不揮発分)100重量部に対して、該塩素化パラフィンは、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部の量で含まれていることが望ましい。また、この塩素化パラフィンの量がこの範囲にあると、塗膜のクラックの抑制効果、塗膜強度および耐ダメージ(衝撃)に優れるようになる。
また、(H)可塑剤として、正リン酸エステルを用いる場合、防汚塗料組成物100重量%中に、通常、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%の量で含まれていることが望ましい。
また防汚塗料組成物中に含まれる自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)(不揮発分)、好ましくは重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単位を含有するシリルエステル共重合体(不揮発分)100重量部に対して、正リン酸エステルは、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部の量で含まれていることが望ましい。
このように可塑剤(H)として正リン酸エステルが含まれていると、割れ、剥がれの少ない塗膜が形成でき、また塗膜の消耗度を速めることができる。
<その他の成分>
本発明に係る防汚塗料組成物は、上記成分以外に、タレ止め・沈降防止剤、着色顔料、体質顔料などの各種顔料、上記ビニルエーテル系(共)重合体を除くアクリル樹脂などの各種樹脂、消泡剤、色別れ防止剤、レベリング剤などの各種添加剤など、下記のような成分を含有していてもよい。
[タレ止め・沈降防止剤]
タレ止め・沈降防止剤としては、従来より公知のものが任意量で配合されていてもよい。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは水添ヒマシ油ワックス、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックスが用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロンA-603-20X」、「ディスパロン4200-20」等の商品名で上市されているものが挙げられる。
[顔料、溶剤]
顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種顔料(例:チタン白、ベンガラ、有機赤色顔料、タルクなど)を用いることができる。なお、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。
顔料の形態として針状、扁平状、鱗片状のものを使用することにより塗膜の耐クラック性を一層向上させることが可能である。
溶剤としては、たとえば、脂肪族系、芳香族系(例:キシレン、トルエン等)、ケトン系、エステル系、エーテル系など通常、防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。また、本発明に係る防汚塗料組成物中に含まれる溶剤には、上記重合性不飽和カルボン酸金属化合物系共重合体を調製する際に使用した溶媒が含まれていてもよい。
[各種樹脂]
各種樹脂としては、その他の樹脂分であるアクリル酸(共)重合体、アクリル酸エステル(共)重合体、メタアクリル酸(共)重合体、メタアクリル酸エステル(共)重合体、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共)重合体などのアクリル樹脂が挙げられる。さらに、たとえば、特開平4-264170号公報、特開平4-264169号公報、特開平4-264168号公報、特開平2-196869号公報、特表昭60-500452号、特
開昭63−215780号公報、特表昭60-500452号(特公平5−32433号
公報)、特開平7-18216号公報に記載されてシリルエステル系(共)重合体が、本
発明に係る防汚塗料組成物に含まれていてもよい。
[防汚塗料組成物の製造]
本発明に係る防汚塗料組成物は、従来より公知の方法を適宜利用することにより製造することができ、たとえば、防汚塗料用配合剤(A)、自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)、必要に応じて、防汚剤(C)(特に、(C1)銅および/または銅化合物、(C2)有機防汚剤など)、(D)酸化亜鉛、(E)脱水剤(例:無水石膏、モレキュラーシーブ)、(F)溶出促進成分、(G)ビニルエーテル系(共)重合体、(H)可塑剤、タレ止め・沈降防止剤、顔料、および、溶剤などを一度にあるいは任意の順序で加えて撹拌・混合・分散等すればよい。
この防汚塗料組成物は、一液性で貯蔵安定性に優れ、防汚塗料の付着性、耐久性、防汚性といった各種要求性能を満足するものである。
上記のような防汚塗料組成物を水中・水上構造物すなわち海洋構造物(例:原子力発電所の給排水口)、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁具(例:ロープ、漁網)などの各種成形体(基材)の表面に常法に従って1回〜複数回塗布・硬化させれば、耐クラック性、防汚性に優れた防汚塗膜被覆船舶または海洋構造物などが得られる。なお、この防汚塗料組成物は、直接上記船舶または海洋構造物等の表面に塗布してもよく、また予め防錆剤、プライマーなどの
下地材が塗布された船舶または海洋構造物等の表面に塗布してもよい。さらには、既に従来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明の防汚塗料組成物による塗装が行われている船舶、海洋構造物等の表面に、補修用として本発明の防汚塗料組成物を上塗りしてもよい。このようにして船舶、海洋構造物等の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されないが、たとえば、30〜150μm/回程度である。
[発明の効果]
本発明によれば、塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防汚性能(防汚活性)、特に高汚損海域や静置環境下における防汚性や長期防汚性に優れ、塗膜にクラックが発生しにくく適度な硬度を有し、しかもこれら特性がバランスよく優れた防汚塗膜が形成でき、貯蔵安定性が高い防汚塗料組成物が得られる。
また本発明によれば、このような優れた特性を有する塗膜および該塗膜で被覆され、上記特性を有する船舶、水中構造物、漁具または漁網が提供される。
また本発明によれば、このような防汚塗料組成物を用いた、環境汚染のおそれの極めて少ない防汚方法が提供される。
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例等において、特にその趣旨に反しない限り、「部」は重量部の意味である。
IR,MSの測定条件は以下の通り。
<IR測定条件>
パーキンエルマー社製、「FT−IR」Spectrum One。
測定法:neat法、KBr板使用。
<MS測定条件>
Agilent社製、「5973MSD」。
測定法:EI法。
<ジシクロペンタジエンの熱分解によるシクロペンタジエンの製造>
攪拌機、脱水器及びコンデンサー、加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にジシクロペンタジエン600部を仕込み、160〜170℃で8時間加熱攪拌し、シクロペンタジエン400部を得た。
[防汚塗料用配合剤の製造例]
<防汚塗料用配合剤(AD−1)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にアクリル酸(AA)720部を仕込み、25℃〜35℃で攪拌しながらシクロペンタジエン(CPD)660部を2時間かけて滴下した。滴下後、室温で2時間攪拌しGC(ガスクロマトグラフィー)純度93%の防汚塗料用配合剤(AD−1)を得た。
防汚塗料用配合剤(AD−1)のIRスペクトルを図1に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−1)は、前記式(1)で表される環式カルボン酸「化合物A-1」:
Figure 2005179345
に相当し、前述した異性体混合物である。
<防汚塗料用配合剤(AD−2)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器に防汚塗料用配合剤[AD−1:
Figure 2005179345
] 1380部、酸触媒の活性白土2.7部を仕込み、170℃で40時間加熱攪拌し、分子量約1600の褐色固体状の防汚塗料用配合剤[AD−2:
Figure 2005179345
、酸触媒存在下に(AD−1)の自己マイケル付加により生成したポリエステルモノカルボン酸]を得た。
防汚塗料用配合剤(AD−2)のIRスペクトルを図2に示す。
<防汚塗料用配合剤(AD−3)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にメタクリル酸(MAA)860部、シクロペンタジエン792部を仕込み、40℃で24時間加熱攪拌し、GC(ガスクロマトグラフィー)純度80%の防汚塗料用配合剤[AD−3(A−2):
Figure 2005179345
]を得た。
防汚塗料用配合剤(AD−3)のIRスペクトルを図3に示し、またそのMSスペクトルを図4に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−3)は、前記式(2)で表される環式カルボン酸「化合物A−2」に相当し、前述した異性体混合物である。なお、この混合物では再現性よく同一のIRスペクトルが得られる。
<防汚塗料用配合剤(AD−4)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にアロオシメン960部、メタクリル酸525部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部を仕込み40℃で24時間加熱攪拌した。その後減圧で未反応原料を留去し、褐色の粘調液体状の防汚塗料用配合剤(AD−4) 220部を得た。
防汚塗料用配合剤(AD−4)のIRスペクトルを図5に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−4)は、前記式(3)(すなわち下記式(3))で表される環式カルボン酸「化合物A-3」:
Figure 2005179345
に相当し、前述した異性体混合物である。
<防汚塗料用配合剤(AD−5)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にアロオシメン1016部、メタクリル酸540部、活性白土0.9部及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.0部を仕込み、90℃で24時間加熱攪拌し、反応を終了した。その後減圧蒸留により目的物を精製(160〜170℃/2mmHg)し、黄色透明の液体状の防汚塗料用
配合剤(AD−5) 1055gを得た。
防汚塗料用配合剤(AD−5)はその後室温で結晶化により固化した。
結晶化した防汚塗料用配合剤(AD−5)の融点をDSCにより測定したところ、58℃であった。
防汚塗料用配合剤(AD−5)のIRスペクトルを図6に示し、MSスペクトルを図7に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−5)は、前記式(3)で表される環式カルボン酸「化合物A−3」に相当し、前述した異性体混合物である。
<防汚塗料用配合剤(AD−6)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にミルセン1030部、メタクリル酸470部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部を仕込み、90℃で8時間加熱攪拌し、反応を終了した。その後減圧で未反応原料を留去し、褐色粘調液体状の防汚塗料用配合剤(AD−6) 890部を得た。
防汚塗料用配合剤(AD−6)のIRスペクトルを図8に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−6)は、前記式(5)(すなわち下記式(5))で表される環式カルボン酸「化合物A−5」:
Figure 2005179345
に相当し、前述した異性体混合物である。
<防汚塗料用配合剤(AD−7)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にミルセン1070部、メタクリル酸506部、活性白土0.9部及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.0部を仕込み、90℃で16時間加熱攪拌し、反応を終了した。その後減圧蒸留により目的物を精製(160〜170℃/2mmHg)し、黄色透明の液体状の防汚塗料用配合剤(AD−7) 861部を得た。
防汚塗料用配合剤(AD−7)のIRスペクトルを図9に示し、MSスペクトルを図10に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−7)は、前記式(5)で表される環式カルボン酸「化合物A−5」に相当し、前述した異性体混合物である。
<防汚塗料用配合剤(AD−8)の製造>
攪拌機、コンデンサー及び加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にアロオシメン953部、モノメチルマレイン酸867部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.0部を仕込み、40℃で24時間加熱攪拌し、反応を終了した。その後減圧蒸留により未反応原料を留去し、黄色透明で粘調液体状の防汚塗料用配合剤(AD−8) 1450部を得た。
この防汚塗料用配合剤(AD−8)のIRスペクトルを図11に示し、MSスペクトルを図12に示す。
この防汚塗料用配合剤(AD−8)は、下記式(8)で表される環式カルボン酸に相当し、前述した異性体混合物である。
Figure 2005179345
[共重合体の製造例]
<共重合体(S−1)の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にキシレン100部を仕込み窒素気流下で85℃の温度条件に加熱攪拌を行った。同温度を保持しつつ滴下装置より上記反応器内にトリイソプロピルシリルアクリレート50部、メチルメタクリレート50部及び重合開始剤の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を2時間かけて滴下した。その後同温度で4時間攪拌を行った後2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部を加え、更に同温度で4時間攪拌を行い、無色透明の共重合体(S−1)溶液を得た。
得られた共重合体(S−1)の加熱残分(105℃熱風乾燥機中で、3時間乾燥後の加熱残分)は、51.2wt%であり、25℃における粘度は408cpsであり、GPCにより測定した数平均分子量(Mn)は6618であり、重量平均分子量(Mw)は19434であった。GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
装置:東ソー社製 HLC−8120GPC。
カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000。
6mm I.D.、15cm。
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)。
流速:0.500ml/min。
検出器:RI。
カラム恒温槽温度:40℃。
<共重合体(S−2)〜共重合体(S−8)の製造>
上記共重合体(S−1)を製造する際に、滴下する共重合用モノマー配合成分を表1に示すように変えた以外は、上記と同様にして共重合体(S−2)〜共重合体(S−8)を重合し、前記と同様にこれらの共重合体(溶液)の物性値を測定した。
結果を併せて表1に示す。
<共重合体(S−9)の製造>
(モノマー(K−1)の製造工程)
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)85.4部及び酸化亜鉛40.7部を仕込み、攪拌しながら75℃に昇温した。その後同温度で滴下装置よりメタクリル酸43.1部、アクリル酸36.1部、水5.0部からなる混合物を3時間かけて滴下した。更に2時間同温度で攪拌した後プロピレングリコールモノメチルエーテル36.0部を加えて反応を終了し、モノマー溶液(K−1)を得た。
(共重合体S−9の製造工程)
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル15.0部、キシレン57.0部及びエチルアクリレート4部を仕込み窒素気流下で100℃の温度条件に加熱攪拌を行った。同温度を保持しつつ滴下装置より上記反応器内にメチルメタクリレート1.0部、エチルアクリレート66.2部、2−メトキシエチルアクリレート5.4部、上記製造例で得たモノマー溶液(K−1) 52部、キシレン10部、α−メチルスチレンダイマー1.0部及び重合開始剤の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.5部、2,2’−アゾビスメチルブチロニトリル7.0部の混合物を6時間かけて滴下した。その後t−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7.0部の混合物を30分かけて滴下し、更に1時間30分同温度で加熱攪拌した後キシレン4.4部を添加して淡黄色透明の共重合体(S−9)溶液を得た。
得られた共重合体(S−9)溶液の加熱残分(105℃熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残分)は、45.6wt%であり、25℃におけるガードナー粘度はYであった。(なお、この共重合体はカラム内で吸着され、この共重合体のGPCによる正確な分子量測定はできなかった。)
[防汚塗料組成物の調製例]
(実施例1〜24、比較例1〜7)
表2〜表4に示す配合組成の配合成分を、ガラスビーズをメディア(混合分散媒体)としたペイントシェーカーに仕込み、2時間振とうした後、100メッシュのフィルターにて濾過して所望の防汚塗料組成物を得た。
該防汚塗料組成物について常温で2ヶ月間貯蔵後の貯蔵安定性を評価した。
評価結果を表2〜表4に併せて示す。
(貯蔵安定性)
貯蔵安定性の評価は、塗料(防汚塗料組成物)試作直後と常温2ヶ月間貯蔵後の粘度(ストーマー粘度計により測定した25℃におけるKu値)を測定し、それらを比較し、その増加度により以下の基準で評価した。
(評価基準)
5:粘度の増加が10未満。
4:粘度の増加が10以上20未満。
3:粘度の増加が20以上30未満。
2:粘度の増加が30以上。
1:流動性が無くKu値の測定が不可。
また、該防汚塗料組成物を用いた塗膜の静置防汚性、消耗度、塗膜状態の評価を下記のようにして行った。
結果を表2〜表4に併せて示す。
(静置防汚試験)
寸法が100mm×300mm×2mm(厚)のサンドブラスト鋼板にエポキシ系ジンクリッチプライマーを乾燥膜厚で20μmとなるように塗装した翌日に、変性エポキシ系防食塗料を乾燥膜厚で200μmとなるように塗装した後、さらにその翌日に上記表2〜表4に示す供試防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が100μmとなるように塗装し、試験板を得た。
長崎湾に設置した試験筏より供試試験板を水深約1mの地点に懸垂し、24ヶ月経過の時点で試験板へのマクロ生物(フジツボ、セルプラ等)の付着面積を評価した。
(評価基準)
5:付着なし。
4:5%未満の付着。
3:5%以上15%未満の付着。
2:15%以上40%未満の付着。
1:40%以上の付着。
(塗膜の消耗度、塗膜状態の評価)
(イ)塗膜の消耗度の評価
直径300mm、厚さ3mmの円盤状サンドブラスト鋼板にエポキシ系ジンクリッチプライマーを乾燥膜厚で20μmとなるように塗装した翌日に、変性エポキシ系防食塗料を乾燥膜厚で200μmとなるように塗装した後、7日間室内で乾燥した。
その後、隙間500μmのアプリケーター用い供試防汚塗料組成物を上記円盤状サンドブラスト鋼板の円の中心から半径方向に放射状に塗装し、試験板を得た。(なお、このアプリケーターは、実質上、脚長(隙間)500μmの脚付き箱状の容器で、容器底部に塗料流出口を具備しており、該容器を被塗装面である鋼板上に載置し、塗料を収容した状態で、該容器を鋼板上で所定方向に移動させ、塗料を流出口から流出させると、脚長(隙間)に対応した厚みで塗装できる塗装装置である。)
モーターにこの試験板を取り付け、25℃の海水を入れた恒温槽中で、周速15ノットで2ヶ月間連続して回転し、円周付近の消耗度(膜厚減少)を測定した。
また、膜厚減少測定時の塗膜状態を目視で観察し、以下の基準にて評価を行った。
(評価基準)
5:塗膜に異常を認めない。
4:部分的に微細なワレを認める。
3:全体的に微細なワレを認める。
2:部分的に顕著なワレを認める。
1:全体的に顕著なワレを認める。
なお、以下の表中で用いられる商品名等で表されている配合成分の化合物名、製造販売元等は、以下の通り。
(1)「WWロジン」:中国産WWロジン、
(2)トール油ロジン:商品名「ハートールR−X」(ハリマ化成(株)製)、
(3)ロダン銅:日本化学産業(株)製、
(4)「無水石膏D−1」:(株)ノリタケカンパニーリミテッド製、IIICaSO4、白
色粉末、平均粒径15μm、
(5)「ディスパロン4200−20」:酸化ポリエチレンワックス、楠本化成(株)製、20%キシレンペースト、
(6) 「ディスパロンA630−20X」:脂肪族アマイドワックス、楠本化成(株)製
、20%キシレンペースト。
Figure 2005179345
Figure 2005179345
Figure 2005179345
Figure 2005179345
図1は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−1)のIRスペクトルを示す。 図2は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−2)のIRスペクトルを示す。 図3は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−3)のIRスペクトルを示す。 図4は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−3)のMSスペクトルを示す。 図5は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−4)のIRスペクトルを示す。 図6は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−5、化合物A−3)のIRスペクトルを示す。 図7は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−5、化合物A−3)のMSスペクトルを示す。 図8は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−6)のIRスペクトルを示す。 図9は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−7)のIRスペクトルを示す。 図10は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−7)のMSスペクトルを示す。 図11は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−8)のIRスペクトルを示す。 図12は、本発明の実施例あるいは比較例で用いられる防汚塗料用配合剤(AD−8)のMSスペクトルを示す。

Claims (26)

  1. 下記式[V]で表される新規シクロアルケニルカルボン酸または下記式[VI]で表される新規ビシクロアルケニルカルボン酸またはそれらの塩:
    Figure 2005179345
    {式[V]中、R1は、水素原子、3−メチル−2−ブテニル基または2−メチル−1−
    プロペニル基を示し、
    1が水素原子の場合には、R2は4−メチル−3−ペンテニル基を示し、R3、R4は水素原子を示し、
    1が3−メチル−2−ブテニル基の場合には、R2はメチル基を示し、R3、R4は水素原子を示し、
    1が2−メチル−1−プロペニル基の場合には、R2は水素原子を示し、R3、R4はメチル基を示す。
    5、R6は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
    m、nは、それぞれ0または1の数を示し(但しm、nが同時に0であることはない。)、
    7、R8は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、かつ、
    前記mが0の場合、R7は水素原子であり、
    mが1の場合、R7は水素原子または炭化水素基であり、
    前記nが0の場合、R8は水素原子であり、
    nが1の場合、R8は水素原子または炭化水素基である(但し、R7およびR8が同時に
    炭化水素基であることはない。)。}、
    Figure 2005179345
    {式[VI]中、R11またはR16の何れか一方は、イソプロピル基を示し、
    <A> R11がイソプロピル基の場合には、
    12、R13は水素原子を示し、
    14はメチル基を示し、
    15、R16は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
    m、nはそれぞれ0または1の数を示し(但しm、nが同時に0であることはない。)、
    17、R18は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、
    k、lは0を示し、
    19、R20は水素原子を示し、
    21、R22は、それぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、かつ、
    前記mが0の場合、R17は水素原子であり、
    mが1の場合、R17は水素原子または炭化水素基であり、
    前記nが0の場合、R18は水素原子であり、
    nが1の場合、R18は水素原子または炭化水素基である(但し、R17およびR18が同時に炭化水素基であることはない。)。
    <B> R16がイソプロピル基の場合には、
    11、R12は水素原子を示し、
    13はメチル基を示し、
    14は水素原子を示し、
    15は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
    m、nは0を示し、
    17、R18は水素原子を示し、
    k、lはそれぞれ0または1の数を示し(但しk、lが同時に0であることはない。)、
    19、R20は、それぞれ水素原子または炭化水素基を示し、
    21、R22はそれぞれ水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、かつ、
    前記kが0の場合、R19は水素原子であり、
    kが1の場合、R19は水素原子または炭化水素基であり、
    前記lが0の場合、R20は水素原子であり、
    lが1の場合、R20は水素原子または炭化水素基である(但し、R19およびR20が同時に炭化水素基であることはない。)。}
  2. 上記式[V]で表されるシクロアルケニルカルボン酸が下記式[Va]、[Vb]、[Vc]、[Vd]、[Ve]、[Vf]、[Vg]または[Vh]で表され、また、
    上記式[VI]で表されるビシクロアルケニルカルボン酸が下記式[VIa]、[VIb]、[VIc]または、[VId](但し、各式中、炭素原子に結合した水素原子は省略。)で表されることを特徴とする請求項1に記載のシクロアルケニルカルボン酸またはビシ
    クロアルケニルカルボン酸またはそれらの塩(式中、Meはメチル基を示す。):
    Figure 2005179345
    Figure 2005179345
    Figure 2005179345
  3. [J]アロオシメン、オシメン、ミルセン、α−テルピネンおよびα−フェランドレンからなる群から選ばれた少なくとも1種のテルペン系ジエン化合物(共役ジエン化合物)と、
    [K]α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸と
    を付加反応させることを特徴とする、請求項1〜2の何れかに記載のシクロアルケニルカルボン酸、ビシクロアルケニルカルボン酸の製造方法。
  4. 不飽和カルボン酸と共役ジエン化合物との付加反応により形成された環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩のうちの何れか1種以上からなる防汚塗料用配合剤。
  5. 上記請求項4における環式カルボン酸、環式カルボン酸誘導体(金属塩を除く)、環式カルボン酸の金属塩、環式カルボン酸誘導体の金属塩が、請求項1〜2の何れかに記載のシクロアルケニルカルボン酸またはビシクロアルケニルカルボン酸またはそれらの塩である請求項4に記載の防汚塗料用配合剤。
  6. (A)請求項4〜5の何れかに記載の防汚塗料用配合剤と、
    (B)自己研磨型防汚塗料用共重合体と、
    を含有することを特徴とする防汚塗料組成物。
  7. さらに防汚剤(C)を含有する請求項6に記載の防汚塗料組成物。
  8. 上記防汚剤(C)として、銅又は銅化合物(C1)を含有する請求項7に記載の防汚塗料組成物。
  9. 上記防汚剤(C)として、有機防汚剤(C2)(但し、銅又は銅化合物(C1)を除く。)を含有する請求項7〜8の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  10. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩系共重合体である請求項6〜9の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  11. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、
    式:R1−COO−M−OH・・・・・[I]
    {式[I]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、
    HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属塩ま
    たはエステルを形成していてもよい。Mは、金属原子を示す。}で表される重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属化合物から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることを特徴とする請求項6〜10の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  12. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることを特徴とする請求項6〜11の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  13. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩または銅塩から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることを特徴とする請求項6〜12の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  14. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、金属原子に結合したヒドロキシル基不含の重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位を含有する重合性不飽和カルボン酸金属化合物系共重合体である請求項6〜13の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  15. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、
    式:R1−COO−M−Ln・・・・・[II]
    {式[II]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属塩ま
    たはエステルを形成していてもよい。Mは、金属原子を示し、Lは、有機酸残基「−OCOR2 」(R2は、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭
    化水素基、アラルキル基を示す。)を示し、nは金属Mの原子価数−1の数を示す。}
    で表される重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることを特徴とする請求項6〜14の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  16. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、金属原子に結合したヒドロキシル基不含の(メタ)アクリル酸金属化合物から誘導される成分単位を含有する共重合体である請求項6〜15の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  17. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、亜鉛または銅原子に結合したヒドロキシル基不含の(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩から誘導される成分単位を含有する共重合体である請求項6〜16の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  18. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩単量体(イ)、この単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を共重合してなり、
    上記(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩単量体(イ)から誘導される成分単位を2〜50重量%、共重合可能な他の単量体(ロ)から誘導される成分単位を50〜98重量%(成分単位(イ)+成分単位(ロ)=100重量%)の量で含んでいる重合性不飽和カルボン酸金属塩系共重合体である請求項6〜17の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  19. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、重合性不飽和カルボン酸シリルエステル系共重合体である請求項6〜18の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  20. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、
    式:R1−COO−Si(L123)・・・・・[IIIA]
    {式[IIIA]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH
    −、HOOC−CH=C(CH3)−の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属
    塩またはエステルを形成していてもよい。L1、L2、L3は、互いに同一でも異なってい
    てもよく、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、アラルキル基、アルキルシリルオキシ基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。}
    で表されるシリル不飽和カルボキシレート単量体およびこれと共重合可能な不飽和単量体からそれぞれ誘導される成分単位を分子内に有する共重合体であることを特徴とする請求項19に記載の防汚塗料組成物。
  21. 上記自己研磨型防汚塗料用共重合体(B)が、シリル(メタ)アクリレートおよびこれと共重合可能な不飽和単量体を共重合した共重合体である請求項19〜20の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  22. 請求項6〜21の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成されている防汚塗膜。
  23. 請求項6〜21の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成される塗膜で被覆されていることを特徴とする船舶または水中構造物。
  24. 請求項6〜21の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成される塗膜で被覆されていることを特徴とする漁具または漁網。
  25. 請求項6〜21の何れかに記載の防汚塗料組成物からなる塗膜にて船舶または水中構造物の表面を被覆することを特徴とする船舶または水中構造物の防汚方法。
  26. 請求項6〜21の何れかに記載の防汚塗料組成物からなる塗膜にて漁具または漁網の表面を被覆することを特徴とする漁具または漁網の防汚方法。
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