JP2005179153A - 黒鉛坩堝吊り下げ治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】縦方向に複数に分割された黒鉛坩堝を溶解装置に設置したり、取り出したりするために黒鉛坩堝吊り下げ治具において、黒鉛坩堝を安全かつ簡便に取り出すことができるとともに、装置コストが安価でかつ、汚染物の発生を低減し、極めて実用的な黒鉛坩堝吊り下げ治具を提供する。
【解決手段】2つの分割体からなる黒鉛坩堝2を取り扱うための黒鉛坩堝吊り下げ治具であって、吊り下げ支持可能な支持部9が設けられた台座10と、台座10上に黒鉛坩堝2の径方向に敷設された2本のレール8と、このレール8a、8b上を自在に移動可能な2本の支持フレーム6とから構成され、分割体の上縁部には係合溝3が設けられるとともに、支持フレーム6は、外側に向かう各々の先端部が下方に向けて屈曲され、係合溝3と係合可能な係合ピン7が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】2つの分割体からなる黒鉛坩堝2を取り扱うための黒鉛坩堝吊り下げ治具であって、吊り下げ支持可能な支持部9が設けられた台座10と、台座10上に黒鉛坩堝2の径方向に敷設された2本のレール8と、このレール8a、8b上を自在に移動可能な2本の支持フレーム6とから構成され、分割体の上縁部には係合溝3が設けられるとともに、支持フレーム6は、外側に向かう各々の先端部が下方に向けて屈曲され、係合溝3と係合可能な係合ピン7が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は多結晶シリコンインゴットの鋳造装置内に設置される黒鉛坩堝をこの装置外へ出し入れするための黒鉛坩堝吊り下げ治具に関する。
シリコン単結晶の製造方法の1つであるCZ法は、単結晶製造装置の真空容器内に設置した坩堝軸に、石英坩堝を収容する黒鉛坩堝を、坩堝受けを介して装着し、この石英坩堝内に充填した高純度多結晶シリコンを、前記黒鉛坩堝の外周に敷設された黒鉛ヒーターにて加熱溶解した後、シードチャックに取付けた種子結晶を融液に浸漬し、前記シードチャックおよび黒鉛坩堝を回転しながらシードチャックを引き上げてシリコン単結晶を成長させる。
通常CZ法では、単結晶の引上げが完了すると、石英坩堝内に残ったSi残湯を破棄するため、バッチ毎に石英坩堝を装填した黒鉛坩堝ともに装置外に取り出す必要がある。
また近年は基板品質の高い多結晶シリコンとともに、低コストな多結晶シリコンの需要も増加している。この多結晶シリコンは通常鋳造法によって製造される。この鋳造法の1つとして、装置上部の溶解部に石英坩堝を収容する黒鉛坩堝を装着し、この石英坩堝内に充填した高純度多結晶シリコンを、前記黒鉛坩堝の外周に敷設された黒鉛ヒーターにて加熱溶解した後、前記坩堝の底部から溶融されたシリコン融液を出湯し、装置下部に位置する凝固部で冷却固化させるという方法がある。
この方法においても石英坩堝内に残ったシリコン残湯を破棄するため、バッチ毎に石英坩堝を装填した黒鉛坩堝とともに装置外に取り出す必要がある。
特開平5−286685号公報
特開平9−194285号公報
前記黒鉛坩堝は、その中に収納する石英坩堝との熱膨張係数の違いによる石英坩堝の割れを防止するために縦方向に複数に分割された不安定な形状となっているのでハンドリングが容易でない。また単結晶の大径化に伴い、石英坩堝および黒鉛坩堝も大型化するので、その取り扱いが益々困難となる。そこで、従来、黒鉛坩堝を単結晶製造装置内に設置したり、単結晶引き上げ完了後、黒鉛坩堝を単結晶製造装置から外へ取り出すために種々の簡易装置が提案されている。
例えば、図5に示す黒鉛坩堝吊り上げ治具20は、板状リンク21、22と、クランク状リンク24、25とが各節点にて回り対偶をなす4節回転連鎖構造となっており、板状リンク21と22の節点23に付設された掛止部29(あるいはアイナット29a)が吊り下げ支持部と、クランク状リンク24、25の先端部に設置された当て板31、32および係止ピン31a、32aが黒鉛坩堝との係止手段とから構成されている。当該吊り上げ具を用いれば、黒鉛坩堝外周の上部縁に設けられた係止溝(不図示)に黒鉛坩堝吊り上げ治具20の当て板31、32および係止ピン31a、32aを係合した後、あとはホイスト等によって引っ張り上げれば、黒鉛坩堝2を持ち上げられるので作業が軽減され、さらに黒鉛坩堝2に触れなくて済むので危険性がない(例えば、特許文献1参照)。
しかしながらかかる技術においては、各フレームの開閉動作を可能とするための空間を十分確保する必要がある。また、黒鉛坩堝上方でリンク部材を駆動させて接点が回転連鎖する形態なので、接点部でフレーム同士が擦れ金属屑が発生して黒鉛坩堝内に混入する可能性がある。また、この技術は複数分割された黒鉛坩堝では取り出しの際に外方へ広がるので、非分割の黒鉛坩堝のみ対応可能となる。
このような問題を解決するために、図6に示すような黒鉛坩堝ハンドリング装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
以下、図6に基づき当該発明を簡単に説明すると、内部に石英坩堝1を収納した黒鉛坩堝2は、その周方向に分割されて複数の分割体2a、2bから成り、各分割体2a、2bの上部外周面には係止溝3a、3bがそれぞれ形成されている。黒鉛坩堝2の外周に黒鉛製のリング状部材33を嵌挿し、黒鉛坩堝2の係止溝3(3a、3b)に係止ピン7(7a、7b)を係合させる。さらにこのリング状部材33を固定支持する本体部34を含む吊り上げ支持部35をクレーン等により上昇させてリング状部材33に係止された黒鉛坩堝2を吊り上げることにより、単結晶製造装置からの黒鉛坩堝2の取り出しが可能となる。さらに黒鉛坩堝2の外周面はリング状部材33で規制されているので、各分割体2a、2bの外方への開きは防止できる。
しかしながら、前記発明によると、黒鉛坩堝2の各分割体に一体物のリング状部材33を固定するので各分割体2a、2bが外側へ開くことなく吊り上げることができるが、リング状部材33は、黒鉛が最も好適で、鉄材やSUS材にテフロン(R)コーティングを施したものなど重量が大きい材料を使用するので、黒鉛坩堝2を係止したリング状部材33全体の重量が大きくなり、クレーン等の引き上げ機械を大型化する必要がある。
また、リング状部材33と本体部34との固定支持方法においては、例えばドラム缶の上端部をクランプ部材によりクランプしてクレーンにより吊り上げる形態を応用するという記述はあるものの具体的な係止方法や機構に関して明記されていないため、クランプの移動ストロークに関わる占有スペースの問題や、あるいはコンタミ(汚染物)混入の問題は基本的には解決されていない。
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、縦方向に複数に分割された黒鉛坩堝を溶解装置(特に多結晶シリコンインゴット鋳造装置)に設置したり、取り出したりするために黒鉛坩堝吊り下げ治具において、前記黒鉛坩堝を安全かつ簡便に取り出すことができるとともに、装置コストが安価でかつ、汚染物の発生を低減し、極めて実用的な黒鉛坩堝吊り下げ治具を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかる黒鉛坩堝吊り下げ治具は、縦方向に複数に分割された分割体からなる黒鉛坩堝をシリコンインゴット鋳造装置内に設置したり、あるいは取り出したりするための黒鉛坩堝吊り下げ治具であって、吊り下げ支持可能な支持部が設けられた台座と、前記台座上に前記黒鉛坩堝の径方向に敷設された、この黒鉛坩堝の分割体と同数のレールと、前記レール上を自在に移動可能な、前記黒鉛坩堝の分割体と同数の支持フレームと、から構成され、前記黒鉛坩堝の分割体は、各々の上縁部に坩堝側係合部が設けられ、前記支持フレームは、前記黒鉛坩堝の外周方向に向かう各々の先端部が、下方に向けて屈曲されるとともに、これらの屈曲された先端部には、前記坩堝側係合部と係合可能な治具側係合部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2にかかる黒煙坩堝吊り下げ治具は、請求項1に記載の黒鉛坩堝吊り下げ治具において、前記黒鉛坩堝は、2つに分割された分割体からなることを特徴とする。
そして、本発明の請求項3にかかる黒煙坩堝吊り下げ治具は、請求項1または2のいずれか一項に記載の黒鉛坩堝吊り下げ治具において、前記黒鉛坩堝は、その外周部にその外径と対応した内径を有するリング状の炭素繊維強化炭素材または金属被覆炭素繊維強化炭素材を装着することを特徴とする。
さらに、本発明の請求項4にかかる黒煙坩堝吊り下げ治具は、請求項3に記載の黒鉛坩堝吊り下げ治具において、前記黒鉛坩堝は、その外周部に前記リング状の炭素繊維強化材または金属被覆炭素繊維強化炭素材を装着するための掛止部が設けられていることを特徴とする。
本発明にかかる黒鉛坩堝吊り下げ治具は、以上説明したとおりに構成されているので、以下に記載するような効果が得られる。
即ち、縦方向に複数に分割された黒鉛坩堝をシリコンインゴット鋳造装置に装着する際、台座上に平行に敷設された黒鉛坩堝の分割数と同数のレール上を対応して設けられた同数の支持フレームが水平方向に伸縮し、支持フレームと黒鉛坩堝の上端部にそれぞれ設けられた係合部同士が係合することによって黒鉛坩堝外周部を挟持するので、支持フレームの移動に必要なスペースは殆ど不要となり、吊り下げ治具と黒鉛坩堝の脱着における無駄なスペースを削減することができる。
また、治具の構成や脱着の機構が簡単なので装置コストが安価に抑えられ、さらに支持フレームとレール部材とが擦れて、金属屑、異物等が発生しても、レールを敷設している台座が異物落下防止板の役割を果たすので、異物が石英坩堝内に落ちることがなく、コンタミの混入も防止できる。
そして、黒鉛坩堝の外周部に装着する開き防止リングとして、炭素繊維強化炭素材を用いるので、クレーンの重量負荷を軽減できる。また、黒鉛坩堝の外周部に掛止部を設けることによって、この開き防止リングを簡単・確実に装着することができる。
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
最初に図4を用いて多結晶シリコン鋳造装置全体の構成について説明する。図4は本発明の一実施形態を用いた多結晶シリコン鋳造装置を示した図である。装置上部の溶解部12には石英坩堝1が収容された黒鉛坩堝2が装着され、この石英坩堝1内に充填した高純度シリコン原料を、黒鉛坩堝2の外周に敷設されたヒーター14、15、16にて加熱溶解した後、石英坩堝1、黒鉛坩堝2の底部から溶融されたシリコン融液を出湯し、装置下部に位置する凝固部13で鋳型18の中に注湯して、底部の冷却板19から抜熱することにより冷却固化させ多結晶シリコンのインゴットを得る。その後、装置上部にある蓋17をあけ、本発明にかかる吊り下げ治具Xを用いて、石英坩堝1および黒鉛坩堝2を取り出して、石英坩堝1内に残ったシリコン残湯を破棄した後、石英坩堝1および黒鉛坩堝2を装置内に戻し、再び多結晶シリコンインゴットを製造する。
次に、上述の多結晶シリコン鋳造装置に用いられる本発明にかかる黒鉛坩堝吊り下げ治具および黒鉛坩堝について説明する。図1は、図4のA部の拡大図であり、図2は、図1の上視図である。
内部に石英坩堝1を収納した黒鉛坩堝2は複数の分割体2a、2bから構成されている。このように黒鉛坩堝2は、縦方向に複数に分割されたものを使用するが、その理由は、黒鉛坩堝2と石英坩堝1は、中のシリコン原料を充填して、これを溶解させるため、約1600℃の高温に加熱される。このとき石英と黒鉛の熱膨張率の違いにより、石英坩堝1が割れることがあるからである。ここで縦方向に複数に分割された黒鉛坩堝2を使用することにより黒鉛坩堝2と石英坩堝1の間にかかるストレスを緩和することができ、石英坩堝1の割れを防止することができる。また黒鉛坩堝2を分割型にしておくことにより黒鉛坩堝2から石英坩堝1を容易に取り外すことが可能になる。
また、黒鉛坩堝2を構成する分割体2a、2bは、各々の上縁部に坩堝側係合部として係止溝3a、3bが設けられている。これらは、後述する支持フレーム6(6a、6b)に設けられた治具側係合部である係止ピン7(7a、7b)と係合できるように構成されている。詳細については後述する。
吊り下げ治具Xは、台座10と複数のレール8と複数の支持フレーム6とから構成される。複数のレール8および複数の支持フレーム6については、いずれも分割した黒鉛坩堝2の分割数と同数で構成される。この実施形態では、黒鉛坩堝2は分割型2a、2bの2つから構成されているので、レール8a、8bおよび支持フレーム6a、6bの2つずつによって構成される。
図1および図2に示すように、台座10上には、レール8a、8bが、それぞれの長手方向が黒鉛坩堝2の径方向となるように敷設され、各々のレール8a、8bの上には、支持フレーム6a、6bがそれぞれ取り付けられ、その長辺部は、レール8a、8b上を径方向(図2の太矢印方向)に自在に移動できるように構成されている。
なお、レール8a、8bおよび支持フレーム6a、6bは、台座10を黒鉛坩堝2上の所定位置に配置したときに、黒鉛坩堝2の分割体2a、2bと、各々が対応するように配置される。
台座10にはワイヤー11を取りつけて、吊り下げ支持するための支持部としてフック9が設けられている。このフック9は1つでも構わないし、複数であっても構わないが、ワイヤー11で吊り下げたときの安定性から3箇所以上に重心をとってレール8や支持フレーム6を避けて取りつけるのがよい。
図3(a)は図1におけるB部の拡大図であり、本発明にかかる吊り下げ治具と黒鉛坩堝との係合部を示すものである。図3(b)は図3(a)におけるC−C’方向の切断したときの構造図、図3(c)はD−D’方向に切断したときの構造図を示す。
図1および図3(a)に示すように、支持フレーム6a、6bの黒鉛坩堝2の外周方向に向かう短辺部の先端部は下方に向けて、略直角となるように屈曲され、屈曲された先端部に治具側係合部として係止ピン7a、7bが設けられている。係止ピン7は、例えば、図3(b)に示すように外周形状を略円形として形成される。このように支持フレーム6a、6bの先端部は、略直角となるように屈曲されていれば、係止ピン7a、7bを加工後の先端部に対して略垂直となるように設ければよいので、加工が簡単となる。また、支持フレーム6a、6bが可動とする領域も小さくてすむので望ましい。
そして、これらの治具側係合部、すなわち係止ピン7a、7bは、既に述べた黒鉛坩堝2の各分割体2a、2bの上縁部に設けられた坩堝側係合部、すなわち係止溝3a、3bと係合可能として構成されている。すなわち、係止ピン7aと係止溝3a、係止ピン7bと係止溝3bは、いずれの組合せにおいても、嵌挿して係合できるように、例えば、係止ピンの外寸と係止溝の内寸とが、係止溝の側をやや大きくした略同寸となるように構成される。
例えば、係止溝3としては、15mm程度の深さでφ10程度の大きさに形成すればよい。また円に限定されるものではなく、多角形形状にすることも可能である。さらに、係止溝3は、一部材に複数設けて、各々と係止ピン7とが係合するようにしても構わない。
また、黒鉛坩堝2の分割体2a、2bを貫通して形成することも可能であるが、係止ピン7を係合溝3に貫通させて係合したときに、石英坩堝1に直接あたると石英坩堝が破損する可能性があるので、黒鉛坩堝2の分割体2a、2bの内側を数mm程度残すか、係止ピン7の長さを黒鉛坩堝2の分割体2a、2bの厚み以上に長くしないなどの方法を取ったほうがよい。
さらに、係止溝3はその上端が黒鉛坩堝2の分割体2a、2bの上縁部から10mm程度離れた下方の位置に形成した方がよい。このようにすることにより吊り下げ治具Xにより黒鉛坩堝2とその中にある石英坩堝1を持ち上げたときの強度を確保することができる。
そして、係止溝3の位置と黒鉛坩堝2の中心軸とを含む平面上に、黒鉛坩堝2の分割体2a、2bの重心が位置するように、係止溝3の位置を定めることが望ましい。このようにすれば、係止溝3に対して係止ピン7を係合させて保持する際に、黒鉛坩堝2が左右に振れて傾くことがなく、バランスを保って保持することができるからである。特に、係止溝3および係止ピン7が略円形状の場合に有効である。
また図3(c)に示すように、支持フレーム6は、その断面形状が略コの字型となった構造体とし、レール8は、これに対応した略T字形状の構造体とすれば、相互にかみ合わされて、落下を防止し、水平方向への移動を可能にすることができる。なお、レール8と支持フレーム6の位置関係についてはその一例を図3(c)に示したが、落下を防止でき、水平方向に移動が可能であればこれに限定されるものではない。例えば、ベアリングなどの機構部を有するようにすれば、スムースに摺動することが可能となる。
台座10、支持フレーム6、フック9、レール8はSUSなどにより構成すればよい。また台座10とレール8、台座10とフック9は溶接やネジ止めなどにより固定することができる。
また、複数の分割体2a、2bから構成される黒鉛坩堝2は、その外周部に開き防止リング4を装着することが望ましい。開き防止リング4は、黒鉛坩堝2の外径と対応した略同寸の内径をもち、一体型のリング形状にする。このようにすることにより、黒鉛坩堝2の分割体2a、2bを確実に固定することができる。
黒鉛坩堝2の外周部には、掛止部として、例えば段差5を設けて開き防止リング4を掛止できるように構成することが望ましい。開き防止リング4が下方へ摺り落ちることなく、確実に黒鉛坩堝2に装着されるからである。
また、開き防止リング4を複数本用いて黒鉛坩堝2を固定するようにしてもよく、さらに確実に黒鉛坩堝2を固定することが可能となる。このように開き防止リング4を複数本用いるときは、黒鉛坩堝2の外周部の外径を場所によって異ならせておき、これらの部位の外径に対応する互いに異なった内径を有する開き防止リング4(4a、4b)を用いて、黒鉛坩堝2に装着すればよい。例えば、図1に示すように、黒鉛坩堝2の上部から開き防止リング4bを段差5bに装着し、次に、より小さい内径を有する開き防止リング4aを段差5aに装着する。このように、黒鉛坩堝2の外周部の外径を下から上へ向けて小さくなるように形成しておけば、開き防止リング4をその内径が大きいものから小さいものへと順番に黒鉛坩堝2の上部から簡単に装着することができるので望ましい。
この開き防止リング4は、炭素繊維強化炭素材から成り、例えばその表面にモリブデンあるいはシリコンを被覆した金属被覆炭素繊維強化炭素材を用いてもよい。開き防止リング4として炭素繊維強化炭素材を使用する理由は、黒鉛製材料と比べて軽量であり、同等の強度を有するためである。また炭素繊維強化炭素材の表面をモリブデンやシリコンで被覆した金属被覆炭素繊維強化炭素材を用いれば、発塵をより抑制するので、シリコン溶湯へのコンタミ混入を低減できる。
分割型の黒鉛坩堝2を固定する方法としては、開き防止リング4を装着する以外にもネジ止めや、止め金で止める方法、黒鉛坩堝2の分割体2a、2b自体に加工を施し、分割体同士で固定する方法も可能である。しかし、作業性や製造コストの観点から開き防止リング4で固定したほうがよい。
次に、上述した本発明にかかる黒鉛坩堝吊り下げ治具Xの使用方法について説明する。
図1に示すように、黒鉛坩堝2をシリコンインゴット鋳造装置内に装着する場合は、台座10に設けられた支持部であるフック9a、9b、9cにワイヤーを掛け、クレーンを操作して吊り下げ治具Xを黒鉛坩堝2上方まで下降させ、支持フレーム6を軸心方向に動かして先端の係止ピン7を黒鉛坩堝2上縁部に空けられた係止溝3に嵌挿することにより、2本の支持フレーム6で黒鉛坩堝2外周を挟持する。
次いで、吊り下げ治具Xで吊り下げた黒鉛坩堝2をシリコンインゴット鋳造装置の溶解部内にクレーンで操作して搬送し、黒鉛坩堝2内部に装填した石英坩堝1を溶解部に底部にセットされた坩堝受けに装着する。黒鉛坩堝の分割体2a、2bは開き防止リング4によって規制されているので開くことなくシリコン鋳造装置に設置される。黒鉛坩堝2からの吊り下げ治具Xの取り外しは、支持フレーム6を規定の位置まで外方に開き、クレーンを操作して吊り下げ治具Xを上昇させればよい。
上述したように吊り下げ治具Xを黒鉛坩堝2から脱着する場合、支持フレーム6が黒鉛坩堝2から僅かに外れるような小さなストロークで、水平方向にのみ移動させればよいので、吊り下げ治具Xと黒鉛坩堝2の脱着における無駄なスペースは不必要となる。
また、黒鉛坩堝2から吊り下げ治具Xの脱着の際には台座10上に設けられたレール8上の支持フレーム6を開閉するが、レール8を敷設する台座10が異物落下防止板の役割も果たすので、支持フレーム6とレール8部材とが擦れて、金属屑、異物等が発生しても、異物が石英坩堝1内に落ちることはない。
なお、本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。
例えば、上述の説明では黒鉛坩堝2が縦方向に2つに分割された分割体2a、2bからなる例によって説明している。このように黒鉛坩堝2の分割体を2つとすれば、十分に本発明の効果を奏することができ、構造も極めて簡単となるので好ましいが、必ずしもこれに限るものではなく、複数に分割された黒鉛坩堝2を同数のレール8と支持フレーム6を用いて扱うようにしても構わない。この場合、各々のレール8は台座10上において、分割体に設けられた坩堝側係合部の位置に対応させて、黒鉛坩堝2の径方向に敷設すればよい。
また、上述の説明では、台座10上に敷設したレール8は、黒鉛坩堝2の半径とほぼ同じ長さを有するような例によって説明したが、これに限るものではなく、支持フレーム6を安定して保持するとともに、支持フレーム6をレール8上で、治具側係合部と坩堝側係合部とが係合・解除できるストロークだけ動かせる長さであればよい。
そして、上述の説明では、台座10は、レール8、支持フレーム6、支持部9を設置できる最低限の大きさを有するような例によって説明したが、これに限るものではなく、例えば、石英坩堝1の上方の開口部をすべてカバーできる大きさとしても構わない。このようにすれば、支持フレーム6の移動に起因するコンタミを防ぐことができるばかりでなく、搬送中のごみなどの混入によるコンタミをも防止することができる。
さらに、上述の説明では、開き防止リング4を設ける際に、黒鉛坩堝2の外周部の外径を場所によって異ならせた場合、それぞれの場所においては一定の外径となるように構成して、その外径に対応した内径を有する開き防止リング4を装着した例によって説明した。しかしながら、黒鉛坩堝2の外周部としては下から上へ向けて小さくなるテーパ形状としてもよい。この場合、開き防止リング4の内径として、テーパ形状となった黒鉛坩堝2の外周部の外径の最大値よりも小さく、最小値よりも大きくなるようにすればよく、選択の自由度が高まる。また、段差5などの掛止部を設けなくてもよく、さらに開き防止リング4の内径の加工誤差や熱膨張などの収縮によって変動があったとしても、必ず黒鉛坩堝2の外周部において、その内径と対応したポイントが存在するため、確実に黒鉛坩堝2を固定できる。また、必要に応じて開き防止リング4の個数を自由に増やすことも可能である。さらに、万一、黒鉛坩堝2を分割しようとする方向に大きな力がかかったときにも、開き防止リング4はテーパ形状となった黒鉛坩堝2の外周部を上に向けて移動可能な状態で装着されているため、黒鉛坩堝2や開き防止リング4それ自体を破損する恐れが減少する。
また、上述の説明では、黒鉛坩堝2の外周部に段差5の形状を有する掛止部を設けて、開き防止リング4を掛止するようにしたが、これに限るものではなく、掛止部として、例えば、耐熱合金や黒鉛などで形成した板状体などを外部から黒鉛坩堝2の外周部に機械的に取着できるように構成してもよい。このようにすれば、黒鉛坩堝2の下方から開き防止リング4を黒鉛坩堝2の外周部に装着することができるようになる。下方から開き防止リング4を装着した後に、掛止部を開き防止リング4の下に取着すれば、黒鉛坩堝2を確実に固定することができるのである。
1:石英坩堝
2:黒鉛坩堝
2a、2b:黒鉛坩堝の分割体
3、3a、3b:坩堝側係合部である係止溝
4、4a、4b:開き防止リング
5、5a、5b:掛止部である段差
6、6a、6b:支持フレーム
7、7a、7b:治具側係合部である係止ピン
8、8a、8b:レール
9、9a、9b、9c:支持部であるフック
10:台座
11:ワイヤー
12:溶解部
13:凝固部
14、15、16:ヒーター
17:蓋
18:インゴット
19:冷却板
X:吊り下げ治具
2:黒鉛坩堝
2a、2b:黒鉛坩堝の分割体
3、3a、3b:坩堝側係合部である係止溝
4、4a、4b:開き防止リング
5、5a、5b:掛止部である段差
6、6a、6b:支持フレーム
7、7a、7b:治具側係合部である係止ピン
8、8a、8b:レール
9、9a、9b、9c:支持部であるフック
10:台座
11:ワイヤー
12:溶解部
13:凝固部
14、15、16:ヒーター
17:蓋
18:インゴット
19:冷却板
X:吊り下げ治具
Claims (4)
- 縦方向に複数に分割された分割体からなる黒鉛坩堝をシリコンインゴット鋳造装置内に設置したり、あるいは取り出したりするための黒鉛坩堝吊り下げ治具であって、
吊り下げ支持可能な支持部が設けられた台座と、
前記台座上に前記黒鉛坩堝の径方向に敷設された、この黒鉛坩堝の分割体と同数のレールと、
前記レール上を自在に移動可能な、前記黒鉛坩堝の分割体と同数の支持フレームと、から構成され、
前記黒鉛坩堝の分割体は、各々の上縁部に坩堝側係合部が設けられ、
前記支持フレームは、前記黒鉛坩堝の外周方向に向かう各々の先端部が、下方に向けて屈曲されるとともに、これらの屈曲された先端部には、前記坩堝側係合部と係合可能な治具側係合部が設けられていることを特徴とする黒鉛坩堝吊り下げ治具。 - 前記黒鉛坩堝は、2つに分割された分割体からなることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛坩堝吊り下げ治具。
- 前記黒鉛坩堝は、その外周部にその外径と対応した内径を有するリング状の炭素繊維強化炭素材または金属被覆炭素繊維強化炭素材を装着することを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の黒鉛坩堝吊り下げ治具。
- 前記黒鉛坩堝は、その外周部に前記リング状の炭素繊維強化材または金属被覆炭素繊維強化炭素材を装着するための掛止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の黒鉛坩堝吊り下げ治具。
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---|---|---|---|
JP2003425486A JP2005179153A (ja) | 2003-12-22 | 2003-12-22 | 黒鉛坩堝吊り下げ治具 |
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JP2003425486A JP2005179153A (ja) | 2003-12-22 | 2003-12-22 | 黒鉛坩堝吊り下げ治具 |
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