JP2005178090A - 射出成形用金型装置 - Google Patents

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利克 山崎
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一男 齊藤
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Akio Michinaka
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Abstract

【課題】 成形品(光学素子)を射出成形する過程においてのキャビティの温度の制御精度が向上し、樹脂の転写性および成形品精度等の品質を向上させることが可能となる射出成形用金型装置を提供すること。
【解決手段】 射出成形用金型装置を構成する部材の全体または一部に、タングステンまたはタングステン基の合金、特に、WC−Cu(タングステンカーバイト−銅)合金またはW−Cu(タングステン−銅)合金を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学素子を射出成形するための射出成形用金型装置に関し、特に、プラスチック材料を射出して、ビデオカメラ、スチルカメラ等の撮影機器のファインダー、ディスプレイ装置、あるいは、デジタルカメラ、スチルカメラ等の撮像光学装置等に用いられる光学素子である光学プリズムを成形する射出成形用金型装置に関する。
従来、光学素子の製造方法の1つとして、射出成形用金型装置内にプラスチック材料を供給し、加熱昇温/加圧成形し、その後、加圧成形された光学素子を徐冷することにより、光学素子を製造する射出成形法がある。この射出成形法は、光学素子の表面を研磨する研磨法では加工困難な非球面レンズの製造を主に対象としていたが、その特徴を生かしプリズムなどの複数の光学機能平面からなる光学素子を射出成形することにも用いられている。
このような射出成形法によって光学素子を射出成形する際には、プラスチック材料を成形品成形部(キャビティ)内に充填しやすくしたり、短時間で固化させたりするために射出成形用金型装置を加熱したり冷却したりする手段が利用されている。この射出成形の工程においては、射出成形用金型装置の温度をプラスチック材料の流動性を保持できる温度に加熱したのちにプラスチック材料の充填が行われる。そして、射出成形用金型装置のキャビティ内にプラスチック材料が充填されると、プラスチック材料の熱は射出成形用金型装置に吸収されて、射出成形用金型装置の温度が上昇する一方、プラスチック材料の温度は低下する。
射出成形用金型装置を構成する金属材料には、ステンレス鋼、熱間ダイス鋼などの鋼材が主として用いられている。しかし、鋼材は熱の伝導度としては必ずしも高くないため、成形品成形部(キャビティ)近傍に温度ムラが生じ、成形品における成形精度、品質に影響するという問題点があった。
このような問題点を解決するとともに、射出成形用金型装置に耐久性向上をも狙いとした技術として、射出成形用金型装置の非作業面(キャビティ面以外の面)の全体または一部に、銅または銅合金、特に(250W/m/K以上の熱伝導率を有する)純銅を用いることを特徴とし、銅または銅合金の厚さを10mm以上とする銅基合金を用いた射出成形用金型装置による射出成形の手法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、射出成形用金型装置において、キャビティを形成する鏡面用金型部材の構成を、キャビティ内の樹脂内圧による変形が小さな材料からなる耐圧部位と、上記耐圧部位のキャビティ側に固定され成形品形状を得る創成部位と、上記耐圧部位の外面に固定され温度を均一化する導熱部位とを備え、上記温度ムラを均一化して成形品精度、品質を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−301542号公報 特開2003−25381号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の金型装置の構造によれば、成形作業面とする部位には、通常用いられている鋼材を使用し、その下層部に銅または銅合金を形成しているが、この構造であれば実際に成形する場合の金型装置の剛性を確保しようとすれば、鋼材の厚みを厚くする方向となり、その下層に形成する銅または銅合金の熱伝導を鋼材が妨げる構造となるため、提案されている高熱伝導性の金型装置という内容に矛盾する。事実、明細の中で列挙されている熱伝導率は、鋼材とその下層に形成する銅または銅合金との境界面においては、すでに鋼材の熱伝導率とほぼ同等の伝導率まで低下しているデータが記載されている。この事により作業面に銅または銅合金の熱伝導がなされる可能性は低く、鋼材の剛性を確保すると同時に銅または銅合金を下層に配して金型装置の熱伝導性を向上させることは、実際には困難である。
また、上記特許文献2によれば、成形品成形部(キャビティ)を構成する部位は、耐圧性を確保するため、一般的に金型部材として使用されている鋼材を材料として構成しており、高熱伝導率を有する部材は、上記鋼材の外面(型板側周辺)に配されている。この構造であれば型板と高熱伝導率を有する部位との熱伝導性においては良好な配置となるが、この導熱部位からキャビティを構成する部位までの距離が遠くなることに加えてキャビティを構成する部材自体は鋼材であるため、熱伝導率は向上しないことにより成形品の転写性、精度の向上に有効な高熱伝導は得られない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形品(光学素子)を射出成形する過程においてのキャビティの温度の制御精度が向上し、樹脂の転写性および成形品精度等の品質を向上させることが可能となる射出成形用金型装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の射出成形用金型装置は、上記射出成形用金型装置を構成する部材の全体または一部に、タングステンまたはタングステン基の合金を用いることを特徴とする。
また、本発明の射出成形用金型装置は、上記合金が、WC−Cu(タングステンカーバイト−銅)合金またはW−Cu(タングステン−銅)合金であることが望ましい。
また、本発明の射出成形用金型装置は、上記部材が、熱交換を必要とする部材であることが望ましい。
また、本発明の射出成形用金型装置は、上記部材が、キャビティ近傍の部材であることが望ましい。
また、本発明の射出成形用金型装置は、上記部材が、キャビティ近傍の入れ子、スライド部材、中子のうち少なくとも何れか1つの部材であることが望ましい。
また、本発明の射出成形用金型装置は、上記WC−Cu合金または上記W−Cu合金が、Cu(銅)の成分比が3〜25重量%の間であることが望ましい。
また、本発明の射出成形用金型装置は、上記射出成形用金型装置が、光学素子を射出成形することが望ましい。
本発明によれば、金型装置のキャビティを構成する部材(入れ子、中子、スライド部材等)の材質としてタングステンまたはタングステン基の合金を用いているので、上記部材に接している温度調節媒体とキャビティとの熱伝導率および熱交換率が良好となり、成形品(光学素子)を射出成形する過程においてのキャビティの温度の制御精度が向上し、樹脂の転写性および成形品精度等の品質を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用した射出成形用金型装置の構成の概略を説明するための図である。
図1において、射出成形用金型装置1には、固定側固定入れ子(鏡面入れ子)2Aと、スライド部材側入れ子(鏡面入れ子)2Bと、可動側固定入れ子(鏡面入れ子)2Cとによってキャビティ3が形成されている。固定側固定入れ子(鏡面入れ子)2Aは、固定側型板6に固定され、スライド部材側入れ子(鏡面入れ子)2Bは、スライド駒5に固定され、可動側固定入れ子(鏡面入れ子)2Cは、円筒状のスリーブ4に固定されている。
固定側型板6は、固定側取付け板7に取付けられており、固定側型板6及び固定側取付け板7にかけてスプルーブッシュが配置されており、スプルーブッシュとキャビティ3とがランナー部によって連通している。溶融樹脂は、スプルーブッシュ、ランナー部を介してキャビティ3に充填されることにより、プリズム等の光学素子が成形される。
アンギュラピン8は、パーティングライン9を境に型開する方向とは異なる方向へスライド駒5を移動させ、アンダーカット部を形成するキャビティ3のみを独立して離型させる。
そして、射出成形用金型装置1を構成する部材、特に熱交換を必要とする部材の全体または一部に、タングステンまたはタングステン基の合金を用いる。熱交換を必要とする部材とは、キャビティ近傍の部材、例えば、キャビティ近傍の入れ子である固定側固定入れ子(鏡面入れ子)2A、スライド部材側入れ子(鏡面入れ子)2B、若しくは可動側固定入れ子(鏡面入れ子)2C等の入れ子、スライド部材、または中子等であり、これらのうち少なくとも何れか1つの部材が、タングステンまたはタングステン基の合金を用いる。
また、タングステン基の合金としては、WC−Cu(タングステンカーバイト−銅)合金、W−Cu(タングステン−銅)合金等の合金がある。特に、合金を構成するCu(銅)の成分比が3〜25重量%の間であると、より効果的である。
図2は、本発明を適用した射出成形用金型装置に用いる合金の混合比率と硬度との関係を示す表を表した図である。
銅の混合比が10%(パーセンテージは何れも重量%)の合金、すなわち銅10%にタングステン90%の合金の場合、硬度(ヴィッカース硬度Hv)は、300であり、銅の混合比が増えるにつれ、硬度はほぼ直線的に下がっている。そして、銅の混合比が30%の合金、すなわち銅30%にタングステン70%の合金の場合、硬度(Hv)は、210である。
図3は、本発明を適用した射出成形用金型装置に用いる合金の混合比率と熱伝導度との関係を示す表を表した図である。
銅の混合比が0%の場合、すなわちタングステン100%の場合、熱伝導度は、80[W/m・K]であり、銅の混合比が2%でタングステン98%の場合、熱伝導度は、87[W/m・K]となる。そして、銅の混合比が3%でタングステン97%の場合、熱伝導度は、89[W/m・K]、銅の混合比が5%でタングステン95%の場合、熱伝導度は、95[W/m・K]と、銅の混合比が増えるにつれ、熱伝導度はほぼ直線的に上がっている。そして、銅の混合比が100%の場合、すなわち純銅の場合、熱伝導度は、384[W/m・K]である。
図4は、図2および図3に示した表をグラフ化した図である。
銅の混合比が増えるにつれ、硬度はほぼ直線的に下がっており、熱伝導度はほぼ直線的に上がっている。
以上、銅とタングステンの合金において、銅の混合比を変えて硬度および熱伝導度を測定した結果、銅の混合比が概ね3〜25重量%の間において、顕著な効果が得られることを確認した。3〜25重量%の間とした理由は、第1に射出成形時の射出圧力に耐え得る機械的強度として硬度(Hv)が230以上を確保する必要があること、第2に熱を外部に効率的に放出するための熱伝導度として90[W/m・K]以上でないと顕著な効果が見込まれないことである。
以上、射出成形用金型装置を構成する部材、特に熱交換を必要とする部材(キャビティ近傍の部材、例えば、キャビティ近傍の入れ子である固定側固定入れ子(鏡面入れ子)、スライド部材側入れ子(鏡面入れ子)、若しくは可動側固定入れ子(鏡面入れ子)等の入れ子、スライド部材、または中子等)の全体または一部に、タングステンまたはタングステン基の合金を用いた理由を説明してきたが、それまでに至った他の材料の検討経過(金属材料の組み合わせと検討結果)について補足説明する。
射出成形用金型装置を構成する部材、特に熱交換を必要とする部材に、熱伝導度の高い材料を用いるための前提条件として、射出成形時の射出圧力に十分耐え得る機械的強度が、従来の部材(ステンレス鋼材)より熱伝導度が高い事(代表値として硬度(Hv)が230以上)が必要である。以上を踏まえて材料探索と検討を行った。以下に記載は、検討を行った順に番号付けしてある。
(1)検討1:WC(タングステンカーバイト)単体
熱伝導度は優れている。しかし熱伝導度が一定であるため、熱伝導をコントロールする事が不可能である。
また、機械的強度も良好である。しかし、加工が困難(加工性が悪い)であり、材料コストおよび加工コストが大きくなってしまう。
(2)検討2:W(タングステン)単体
熱伝導度は優れている。しかし熱伝導度が一定であるため、熱伝導をコントロールする事が不可能である。
また、機械的強度も良好である。しかし、加工が困難(加工性が悪い)であり、材料コストおよび加工コストが大きくなってしまう。
(3)検討3:Cu(銅)単体
熱伝導度は優れている。しかし熱伝導度が一定であるため、熱伝導をコントロールする事が不可能である。
また、材料コストおよび加工コストは小さく優れている。ステンレス鋼材との組み合わせで使う場合、にステンレス鋼材との熱膨張率差が大きい欠点があり、機械的強度も弱い。
(4)検討4:Fe−Cu(鉄−銅混合)
材料コストおよび加工コストは小さく優れている。銅の混合比を可変にすることにより機械的強度を確保することも可能である。一方、熱伝導をコントロールすることは不可能である。
鉄−銅が相溶であるため、溶融状態により混合比と熱伝導との相関がとれないという欠点がある。このため合金バルク内の熱伝導状態のばらつきが大きくなってしまう。
以上の検討1乃至検討4までを受けて、Cu(銅)と相溶でない(非相溶)組み合わせとなる合金を検討した。
(5)検討5:W−Cu(タングステン−銅合金)
合金化させても非相溶である。機械的強度は銅(Cu)の混合比が25%までであれば優れている。また、熱伝導度も優れており、かつ熱伝導のコントロールが可能である(タングステン(W)と銅(Cu)との混合比と、熱伝導度とがほぼ直線的に得られる。)。
また、従来、タングステン(W)−銅(Cu)の合金は、射出成形分野(特に、プラスチック光学素子成形の分野)においては適用実績がない。
以上の検討結果から、射出成形用金型装置を構成する部材、特に熱交換を必要とする部材(キャビティ近傍の部材、例えば、キャビティ近傍の入れ子である固定側固定入れ子(鏡面入れ子)、スライド部材側入れ子(鏡面入れ子)、若しくは可動側固定入れ子(鏡面入れ子)等の入れ子、スライド部材、または中子等)の全体または一部に、タングステンまたはタングステン基の合金を用いることとした。また、タングステン基の合金として、タングステン(W)−銅(Cu)の合金を用いることとし、特に、タングステン(W)−銅(Cu)の合金における銅(Cu)の混合比として3乃至25%のものが効果的であることが判明した。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される射出成形用金型装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
本発明を適用した射出成形用金型装置の構成の概略を説明するための図である。 本発明を適用した射出成形用金型装置に用いる合金の混合比率と硬度との関係を示す表を表した図である。 本発明を適用した射出成形用金型装置に用いる合金の混合比率と熱伝導度との関係を示す表を表した図である。 図2および図3に示した表をグラフ化した図である。
符号の説明
1 射出成形用金型装置
2A 固定側固定入れ子(鏡面入れ子)
2B スライド部材側入れ子(鏡面入れ子)
2C 可動側固定入れ子(鏡面入れ子)
3 キャビティ
4 スリーブ
5 スライド部材
6 固定側型板
7 固定側取付け板
8 アンギュラピン
9 パーティングライン


Claims (7)

  1. 射出成形用金型装置において、
    前記射出成形用金型装置を構成する部材の全体または一部に、タングステンまたはタングステン基の合金を用いることを特徴とする射出成形用金型装置。
  2. 前記合金は、WC−Cu(タングステンカーバイト−銅)合金またはW−Cu(タングステン−銅)合金であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型装置。
  3. 前記部材は、熱交換を必要とする部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形用金型装置。
  4. 前記部材は、キャビティ近傍の部材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の射出成形用金型装置。
  5. 前記部材は、キャビティ近傍の入れ子、スライド部材、中子のうち少なくとも何れか1つの部材であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の射出成形用金型装置。
  6. 前記WC−Cu合金または前記W−Cu合金は、Cu(銅)の成分比が3〜25重量%の間であることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の射出成形用金型装置。
  7. 前記射出成形用金型装置は、光学素子を射出成形することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の射出成形用金型装置。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017059468A1 (de) * 2015-10-05 2017-04-13 Plansee Se Komponente einer kunststoffverarbeitungsmaschine

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