JP2005178024A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 衝撃などに起因して装置本体に作用する外力レベルを低減することにより、印刷品位の低下を抑制することができ、印刷を中断する必要のない、或いは、印刷の中断期間を低減できる印刷装置を提供する。
【解決手段】 本発明の印刷装置100は、印刷ヘッド111を備えたプリンタ本体110と、プリンタ本体をその支持方向に移動可能な態様で支持するとともに、その支持力が制御可能に構成されたプリンタ支持手段130と、プリンタ本体に対する衝撃力を検出する衝撃検出手段116と、衝撃検出手段により検出された衝撃力に応じてプリンタ支持手段の支持力を制御する支持力制御手段115とを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は印刷装置に係り、特に、外部から衝撃などの応力を受ける状況で使用される移動体用印刷装置として好適な構造に関する。
従来、プリンタは、基本的に据え置き状態、即ち、固定された状態で使用することを前提として設計されており、例えば、携帯可能な機器に内蔵されたプリンタであっても、比較的頻繁に起こる外部からの衝撃による各種影響に対してはほとんど配慮がなされていないのが現状である。ただし、印刷中にプリンタに外部から強い衝撃が加わった場合には、印刷結果にぶれやムラ等の画像の乱れが現れる可能性があるため、一般的な手法として、弾性材(主にシリコンゴム等)からなる衝撃吸収体をプリンタ本体の底部に配するなどの対策が採られている。
また、車両に搭載する車載用プリンタにおいては、走行状態を各種センサにより検出し、その信号にもとづいて、振動、衝撃、横揺れ、あるいは横Gが設定値を超えたら印字を停止させることにより、安定した記録画像を得る、といった対衝撃動作制御を行っている(例えば、以下の特許文献1参照)。
特開2001−322266公報
しかしながら、上記の一般的なプリンタに用いられている弾性体は、その物性や形状により衝撃吸収能力が決まってしまい、様々な衝撃(強さ、周波数)に対応することができない。したがって、衝撃により発生した振動が長時間継続することによって印刷品位が損なわれたり、非常に強い衝撃がプリンタに作用した場合には十分に衝撃を吸収する事ができず、プリンタ構造が破損したりするという問題点がある。
また、上記の車載用プリンタでは、衝撃がプリンタに及ぼされる度に印刷を中断するようにしているため、印刷効率が著しく低下してしまうという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、衝撃などに起因して装置本体に作用する外力レベルを低減することにより、印刷品位の低下を抑制することができ、印刷を中断する必要のない、或いは、印刷の中断期間を低減できる印刷装置を提供することにある。
本発明の印刷装置は、印刷ヘッドを備えたプリンタ本体と、前記プリンタ本体をその支持方向に移動可能な態様で支持するとともに、その支持力が制御可能に構成されたプリンタ支持手段と、前記プリンタ本体に対する衝撃力を検出する衝撃検出手段と、前記衝撃検出手段により検出された衝撃力に応じて前記プリンタ支持手段の前記支持力を制御する支持力制御手段と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、プリンタ支持手段がプリンタ本体を支持方向に移動可能な態様で支持しているとともに、衝撃検出手段にて検出されたプリンタ本体に対する衝撃力に応じてプリンタ支持手段の支持力を制御することにより、プリンタ支持手段による緩衝作用を衝撃力に適した性状に調整することが可能になるため、衝撃によるプリンタ本体の影響、例えばプリンタの動作不良やプリンタ機構の損傷などに起因する印刷品位の低下を抑制することができるとともに、衝撃力のより広い範囲に対して対応することが可能になる。
ここで、衝撃検出手段は、プリンタに作用する衝撃を検出するための加速度センサを含むことが好ましい。また、衝撃検出手段は、衝撃力の大きさ、或いは、衝撃力の方向と大きさ、を所定の時間間隔で計測するように構成されていることが好ましい。さらに、衝撃検出手段の検出対象がプリンタ支持手段の支持方向に受ける衝撃力成分の大きさである場合には、この衝撃力成分の大きさのみを検出して、これに応じた支持力を実現すればよい。また、衝撃検出手段の検出対象が衝撃力の方向と大きさである場合には、衝撃力の方向と大きさに応じてプリンタ支持手段の支持方向に作用する衝撃力成分を導出し、この衝撃力成分に応じた支持力を実現するようにしてもよい。
本発明において、前記プリンタ本体の異なる部位を支持する複数の前記プリンタ支持手段を有することが好ましい。これによれば、プリンタ本体の異なる部位が複数のプリンタ支持手段により支持されることにより、衝撃によるプリンタ本体への影響をさらに低減することができる。特に、3箇所以上にプリンタ支持手段を設けることで安定した支持状態を得ることができるとともに、上記のプリンタ支持手段のみでプリンタ本体を支持することが可能になるため、衝撃や振動による影響をさらに低減することができる。
本発明において、前記支持力制御手段は、前記衝撃力の大きさに応じて前記プリンタ支持手段の振動減衰性能を制御することが好ましい。これによれば、衝撃力の大きさに応じてプリンタ本体に適した振動減衰性能が与えられるので、衝撃力の広い範囲に対して適切な緩衝作用を与えることができる。例えば、衝撃力が大きい場合には振動減衰性能を高めて振動を早期に終息させ、印刷品位を確保することができる。逆に、衝撃力が大きい場合に振動減衰性能を低減させてプリンタに加わる応力を低減し、応力に起因する歪やプリンタ機構の損傷などを防止することも可能である。
本発明において、前記支持力制御手段は、前記支持力を前記衝撃力の位相と逆位相で変化させることが好ましい。これによれば、プリンタ支持手段の支持力の位相が衝撃力の位相に対して逆位相となるように制御することにより、プリンタ支持手段により振動エネルギーを効率的に吸収することができる。したがって、特に連続的に衝撃を受けるような状況にあっては印刷品位の低下を抑制する上で効果的である。
本発明において、前記プリンタ支持手段は、前記プリンタ本体を支持する弾性要素と、前記支持力を可変に構成する支持力変更手段とを有することが好ましい。これによれば、弾性要素によってプリンタ本体に加わる応力を緩和することができるとともに、支持力変更手段によって衝撃の態様に応じた支持力を設定できるため、より広範囲の状況に対応することが可能になる。
本発明において、前記支持力変更手段は電磁アクチュエータであることが望ましい。これによれば、電磁アクチュエータを用いることにより、電磁アクチュエータに供給する駆動電位や駆動極性を制御することで、きわめて容易かつ迅速に支持力を変更することが可能になるため、プリンタ支持手段のダンパー性能を制御したり、衝撃力の位相に応じて支持力を制御したりといったことを容易に実施できる。
本発明において、前記プリンタ本体を異なる方向から支持する複数の前記プリンタ支持手段を有し、前記衝撃検出手段は前記衝撃力の方向を検出し、前記支持力制御手段は、前記衝撃力の方向に応じて複数の前記プリンタ支持手段の支持力を個別に制御することが好ましい。これによれば、衝撃力の方向に応じて異なる支持方向を有する複数のプリンタ支持手段を個別に制御することにより、衝撃力の方向に対応した適切な支持態様を実現することができるため、衝撃によるプリンタ本体の影響をさらに低減でき、印刷品位の低下もさらに抑制できる。
本発明によれば、支持方向に移動可能な態様でプリンタ本体を支持するプリンタ支持手段の支持力を制御することにより、プリンタ本体の動作を中断することなく、衝撃によるプリンタ本体の影響を低減することができる。したがって、車載用プリンタ、或いは、携帯電話や携帯型情報端末などの携帯機器に搭載されるプリンタなどの各種の移動体用プリンタとしてきわめて有効である。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る印刷装置(移動体用プリンタ)の支持構造を模式的に示す概略構成図である。この印刷装置100は、印刷ヘッド111を備えたプリンタ本体110と、プリンタホルダ120とを有し、プリンタ本体110は、プリンタ支持手段130を介してプリンタホルダ120に接続されている。
プリンタ本体110には、例えば、上記印刷ヘッド111を移動可能に案内するガイド構造112と、ガイド構造112を支持固定するフレーム113と、印刷ヘッド111の位置を制御する駆動機構114と、印刷ヘッド111及び駆動機構を制御する制御手段(例えば、CPU,メモリ、入出力手段などを含むマイクロプロセッサユニットなど)115とを備えている。ここで、印刷ヘッド111は図示例ではインクを液滴として吐出するインクジェットヘッドであるが、熱転写ヘッドなどの他の印刷方式を用いるものであってもよい。また、ガイド構造112は図示例ではキャリッジシャフトで構成されるが、ガイドレールなどの他の案内構造であってもよい。さらに、駆動機構114は図示例ではモータとこれにより駆動され印刷ヘッド111に接続された駆動ベルトで構成されるが、輪列やリンク機構などであってもよい。
また、プリンタホルダ120は、プリンタ本体110を収容する枠体形状に構成されている。そして、プリンタ本体110を支持するプリンタ支持手段130は、プリンタホルダ120の内部に配置されている。特に、プリンタ支持手段130は、外部から視認できない位置、或いは、人手によりアクセスできない位置に配置されていることが望ましい。
本実施形態では、プリンタ支持手段130によりプリンタ本体110とプリンタホルダ120とは固定されている。これにより、プリンタ本体110が衝撃などでプリンタホルダ120から外れて飛び出すことがないように構成することができる。
プリンタホルダ120は、例えば自動車に搭載される場合には、ダッシュボード内、ダッシュボード上、あるいは助手席の床などに固定され、電車あるいは航空機などでは床あるいはテーブルなどに固定される。さらに、携帯電話、携帯型情報端末、携帯時計などの携帯機器に搭載される場合には、携帯機器の筐体やその内部に構成された構造(フレームなど)に固定される。
プリンタ支持手段130は一つだけであっても構わないが、プリンタ本体110の異なる部位を支持するように複数設けられることが好ましい。特に、3箇所以上にそれぞれプリンタ支持手段130を配置することが望ましい。このようにすれば、プリンタ本体110を安定した状態で支持できるとともに、プリンタ支持手段のみで支持することが可能になり、後述する支持性能をより高めることができる。この結果、プリンタ本体110が前後あるいは横方向からの衝撃で傾いたり、破損したりすることのないように構成することができる。
また、プリンタ本体110には衝撃検出手段として加速度センサ116が備えられており、印刷装置100の電源が投入されている状態では、常に所定の時間間隔でプリンタ本体110の加速度の方向と大きさが計測されるように構成されている。この時間間隔としては、上記制御手段115の制御態様に応じて適切に制御可能な時間が設定される。例えば、0.001〜0.05秒程度の時間間隔が好ましい。
なお、図1に示す本実施形態では、プリンタ本体110に設けられた印刷ヘッド111のインク吐出方向は図示上下方向であり、この方向が最も衝撃に弱いため、上記プリンタ支持手段130はこのインク吐出方向にプリンタ本体110を移動可能な態様で支持するように、すなわち、インク吐出方向を支持方向として、その支持方向に緩衝作用を奏することができるように構成されている。そして、上記加速度センサ116にてインク吐出方向の加速度を計測し、この加速度に応じて制御手段115はプリンタ支持手段130の支持力を制御するようになっている。
図2は、本実施形態のプリンタ支持手段130の構造を示す縦断面図である。このプリンタ支持手段130には、ケース131と、このケース131の中に配置された衝撃を吸収するためのダンパー機能部とを有する。このダンパー機能部は電磁アクチュエータ132と、弾性体133とによって構成されている。電磁アクチュエータ132は、永久磁石によって磁化された磁性材料から成る可動鉄芯132Aと、コイル132Bに通電することで磁化される磁性材料から成る固定鉄芯132Cとによって構成される。一方、弾性体133は可動鉄芯132Aと固定鉄芯132Cとの間に配置されている。すなわち、この弾性体133は可動鉄芯132Aと固定鉄芯132Cとで挟持されている。弾性体133は、シリコンゴムなどの弾性素材、或いは、板ばねやコイルスプリングなどのばね材によって構成することができる。
ここで、可動鉄芯132Aはプリンタ本体110に固定され、固定鉄芯132Cはケース131を介して上記プリンタホルダ120に固定される。そして、可動鉄芯132Aは固定鉄芯132Cに対して固定されていない状態(つまり、離反可能な状態)となっている。より具体的には、固定鉄芯132Cはケース131に固定され、弾性体133もまたケース131に固定されている。一方、可動鉄芯132Aは弾性体133に当接しているだけであり、弾性体133には固定されていない。
このプリンタ支持手段130では、コイル132Bが通電されていない状態でも、常に可動鉄芯132Aは固定鉄芯132Cに磁気吸引力で引き付けられ、これによってプリンタ本体110がプリンタホルダ120に保持されているため、プリンタ本体110がプリンタホルダ120から飛び出すことが防止できる。また、プリンタ支持手段130に弾性体133が設けられていることにより、ある範囲までの衝撃は弾性体133のみによって吸収できるため、電磁アクチュエータ132を駆動する頻度が大幅に低減され、消費電力を抑えられる。
図3及び図4には電磁アクチュエータ132が駆動された時のプリンタ支持手段130の状態を示す。アクチュエータ132では、コイル132Bに所定方向の電流を流すことにより、図3に示すように、固定鉄芯132Cにより可動鉄芯132Aを引き付ける磁気吸引力を発生する磁界が形成される。また、これとは逆向きの電流をコイル132Bに流すと、図4に示すように、固定鉄芯132Cにより可動鉄芯132Aを押し返す磁気反発力を発生する磁界が形成される。したがって、電磁アクチュエータ132は、コイル132Bに流す電流の大きさ及びその向きによってプリンタ支持手段130の支持力を変化させることができる支持力変更手段となっている。
例えば、プリンタ本体110の振動を抑制するように制御手段115を動作させる場合について説明すると、プリンタ本体110が上向きに応力を受けるときには、加速度センサ116により計測された加速度の方向によって上記応力の向きが検出され、その衝撃力の大きさが所定の閾値を超えると、制御手段115によりコイル132Bに通電され、固定鉄芯132Cが図3のように磁化されて、応力の向きとは逆向き(図3の矢印の向き;すなわち下向き)に磁気吸引力が作用し、可動鉄芯132Aがさらに強く固定鉄芯132Cに引き付けられる。これによって、磁気吸引力により上向きの力を受けたプリンタ本体110を元の位置に引き戻す作用と、弾性体133の衝撃吸収作用により、衝撃レベルを瞬時に低減させることができる。
逆に、プリンタ本体110が下向きの応力を受けるときには、加速度センサ116により計測された加速度の方向により応力の向きが検出され、その衝撃力の大きさが閾値(上記閾値とは別の値であってもよい。)を超えると、制御手段115によりコイル132Bに通電され、固定鉄芯132Cが図4のように磁化されて、応力の向きとは逆向き(図4の矢印の向き;すなわち上向き)に磁気反発力が作用し、可動鉄芯132Aが上方に押し戻される。これによって、磁気反発力により下向きの力を受けたプリンタ本体110を押し返す作用と、弾性体133の衝撃吸収作用により、衝撃レベルを瞬時に低減させることができる。
また、本実施形態では、電磁アクチュエータ132の磁気吸引力の強さを、衝撃力の大きさ、すなわち検出された加速度の大きさに応じて調整するようにしている。すなわち、図5に示すように、加速度センサ116により検出された加速度計側値に対して電磁アクチュエータ132のコイル132Bに流す電流設定値を比例させるように制御することにより、広い範囲の衝撃力に対応可能となり、かつ過不足のない衝撃吸収作用を実現できるため、効率的に振動を低減、減衰させることができる。この結果、従来例で示したようなプリント機構の対衝撃動作制御(=衝撃作用と同時に印刷動作を中断する制御態様)は不要になる。なお、加速度計測値と電流設定値との関係は、図示例のような比例関係に限らず、適宜の対応関係に設定することができる。
また、図6に示すように、電磁アクチュエータ132に、プリンタ本体110に作用する振動(衝撃)の位相に対して逆位相で支持力を変化させることにより、速やかに振動を低減、減衰させることもできる。具体的には、加速度センサ116によって得られる加速度計測値(図示一点鎖線)の位相とは逆相で電流設定値(図示破線)を変化させることにより、電磁アクチュエータ132を動作させない場合(図示実線)と比較すると、きわめて迅速にプリンタ本体110の振動を低減することができる。
すなわち、プリンタ本体110の振動時において上向きの応力が生じている期間では、電磁アクチュエータ132を図3に示すように動作させ、図中矢印の磁気吸引力により、通常の位置にプリンタ本体110が引き戻される。一方、下向きの応力が生じている期間では、電磁アクチュエータ132を図4に示すように動作させ、図中矢印の磁気反発力により、通常の位置にプリンタ本体110が押し戻される。このとき、プリンタ本体110に作用する衝撃(加速度)の方向と大きさは、所定の時間間隔で常に計測されているため、検出された加速度の向きに応じて固定鉄芯132Cの磁化方向を切り替えれば良く、この制御方法により効率的に振動を減衰させることができる。
また、この場合でも、既に図5で示したように、加速度の大きさに応じて磁化の強さ(コイル電流の大きさ)を変えられるため、広い範囲の衝撃力に対応可能となり、過不足のない衝撃吸収作用を実現できるため、効果的に振動を低減、減衰させる事ができる。
なお、上記の実施形態では、プリンタ本体110に作用する衝撃によって生ずる振動をプリンタ支持手段130によって抑制するようにプリンタ支持手段130の支持力を制御する方法について説明したが、本発明は上記の制御態様に限定されるものではない。例えば、プリンタ本体110に作用する衝撃力が或る限界値を超えた場合には、プリンタ支持手段130の支持力を一時的に低下させることにより、プリンタ本体110が受ける応力を一定レベル以下に抑制するように制御することもできる。
図7は、本発明に係る上記実施形態の変形例を示す概略構成図である。この変形例の印刷装置200では、上記実施形態の印刷装置100と同様に構成されたプリンタ本体210及びプリンタホルダ220を有するので、同一部分(印刷ヘッド211、ガイド構造212、フレーム213、駆動構造214、制御手段215、加速度センサ216)の説明及び図示は省略する。
この変形例のプリンタ本体210は、異なる支持方向を有する複数のプリンタ支持手段230X,230Y,230Zを備えている。ここで、プリンタ支持手段230Xは、上記実施形態と同様に図示上下方向、すなわち、印刷ヘッドのインク吐出方向を支持方向としているが、プリンタ支持手段230Y,230Zは、図示左右方向、すなわち水平方向を支持方向としている。これらのプリンタ支持手段230X、230Y,230Zはそれぞれがプリンタ本体210の異なる部位を支持するように複数ずつ設けられていることが好ましく、特にそれぞれのプリンタ支持手段が3箇所以上設けられていることが望ましい。上記のように異なる支持方向を有する複数のプリンタ支持手段230X,230Y,230Zを設けることで、プリンタ本体110の受ける衝撃や振動をより完全に近い形で吸収することができる。
なお、プリンタ支持手段230Yと230Zは図示例では同一の支持方向を有し、相互に逆向きにプリンタ本体210を支持しているが、プリンタ支持手段230Yと230Zとが水平面上の相互に異なる支持方向を有していてもよい。例えば、プリンタ支持手段230Yと230Zの支持方向が共に水平面上で直交する方向となっていてもよい。
この変形例において、プリンタ本体210に設けられた加速度センサ216は、衝撃力の向きをも検出することができるように構成されている。そして、その検出された衝撃力の向きに応じて異なる支持方向を有する複数のプリンタ支持手段230X,230Y,230Zを個別に制御する。例えば、加速度センサ216が検出する衝撃力の向きが上下方向であれば、上記実施形態と同様にプリンタ支持手段230Xの支持力を制御すればよいが、衝撃力の向きが上下方向とは異なる場合には、その向きに応じて衝撃力の上下方向成分を用いてプリンタ支持手段230Xを制御し、衝撃力の水平方向成分を用いてプリンタ支持手段230Y,230Zを制御する。もちろん、プリンタ支持手段230Yと230Zの支持方向が相互に異なるのであれば、検出された衝撃力のそれぞれの支持方向成分に応じてプリンタ支持手段230Yと230Zとを相互に異なる態様で個別に制御してもよい。
ここで、相互に直交する3軸方向をそれぞれ支持方向とする3種のプリンタ支持手段を設けることが理想的であるが、効果的に振動を低減、減衰させるためには、少なくとも、印刷ヘッド211のインク吐出方向と、印刷ヘッド211(キャリッジ)の移動方向(すなわち、ガイド構造212の案内方向)の2つの方位をそれぞれ支持方向とする2種のプリンタ支持手段を設けることが好ましい。また、加速度センサ216としては、相互に直交する3軸方向の加速度をそれぞれ検出し、検出された各方向の加速度を用いて異なる支持方向を有する複数のプリンタ支持手段を個別に制御することが好ましい。このような態様でも、本発明で言う衝撃力の向きを検出していることになる。すなわち、本発明において衝撃の方向と大きさを検出する衝撃検出手段には、直接の検出量如何に拘らず、実質的に衝撃の方向と大きさを何らかの形で検出するものが広く包含される。
図8は、上記実施形態及び変形例に用いることのできる衝撃検出手段及び制御手段の構成例を示す概略構成図である。衝撃検出手段は、上記の加速度センサ116と、この加速度センサ116から検出信号をサンプリングする加速度計測部126とを有する。また、制御手段115には、プリンタ支持手段130の支持力を制御するための支持力制御系(支持力制御手段)115Sと、プリンタ本体110の印刷動作を制御する印刷制御系115Pとを有している。支持力制御系115Sには、電磁アクチュエータ132の駆動の有無を判定する駆動判定部115Aと、電磁アクチュエータ132の駆動電流値を設定する駆動量設定部115Bと、電磁アクチュエータ132の電流の向きを設定する駆動極性設定部115Cとが設けられている。
駆動判定部115Aでは、加速度計測値の大きさを既定の閾値と比較することにより、電磁アクチュエータ132を駆動するか否かを判定する。一般的には、加速度計測値が閾値以上となった場合にアクチュエータ132を駆動し、加速度計測値が閾値を下回る場合にはアクチュエータ132を駆動しないとの判定を行う。なお、上記の閾値は、加速度計測値の符号や加速度の方向によって異なる値となっていてもよい。
駆動量設定部115Bでは、加速度計測値の大きさに対応するコイル132Bに流される電流設定値が設定される。この電流設定値は、図5に示すような加速度計測値と電流設定値との既定の関係に基づいて決定される。これによって、加速度計測値の変化に合わせた電磁アクチュエータ132の磁力調整が行われ、加速度計測値の大きさに適合した振動減衰能力(ダンパー性能)がプリンタ支持手段に与えられる。
駆動極性設定部115Cでは、加速度の計測方向(加速度計測値の符号)に応じてコイル132Bに流される電流の向きが設定される。一般には、加速度の向きと逆向きの支持力が発生するように電流の向きが決定される。
なお、これらの駆動判定部115A、駆動量設定部115B及び駆動極性設定部115Cは、それぞれが実体的構成を有する制御回路として構成されていてもよいが、CPU(中央処理ユニット)、メモリ、入出力回路等を含むマイクロプロセッサユニット(MPU)で制御手段115を構成したときには、それぞれが、メモリ内に格納され、CPUなどで実行されるコンピュータプログラム(支持力制御用プログラム)によって実現される機能実現手段として位置付けられる。なお、加速度計測部126もまた制御手段115によって実現されるように構成されていても構わない。
加速度センサ116の検出信号は加速度検出部126によって読み出され、ここで検出された加速度の方向およびその大きさが分析、処理され、その結果(計測データ)が制御手段115に送られる。制御手段115は、上記の計測データに基づいて駆動判定部115A、駆動量設定部115B及び駆動極性設定部115Cにて、それぞれ電磁アクチュエータ132の駆動の有無を判定し、電流設定値を決定し、電流の向きを設定し、これらの結果に応じた制御信号を駆動回路部125に出力する。駆動回路部125は、上記制御信号に応じた適宜の駆動信号を電磁アクチュエータ132に対して送出し、これによって上記の駆動の有無、電流設定値及び電流の向きに対応したプリンタ支持手段の動作を実現する。
尚、本発明の印刷装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、プリンタ支持手段としては、上記のように電磁アクチュエータと弾性体を組み合わせた構造に限らず、弾性要素と支持力変更手段とを備えた構造であれば如何なるものであっても構わない。例えば、弾性要素として気体(例えば空気ばね)を用い、この気体の圧力を変更する支持力変更手段としてシリンダ構造を有するものなどが挙げられる。
本発明に係る実施形態の印刷装置を模式的に示す概略構成図。 同実施形態のプリンタ支持手段の構造を示す概略縦断面図。 同実施形態のプリンタ支持手段の駆動状態を示す概略縦断面図。 プリンタ支持手段の電磁アクチュエータを図3とは逆極性で駆動した状態を示す概略縦断面図。 電流設定値と加速度計測値との関係を示すグラフ。 振動時の加速度計測値と支持力との関係を示すグラフ。 実施形態の変形例を示す概略構成図。 プリンタ支持手段の制御系の構成を示す概略構成ブロック図。
符号の説明
100…印刷装置、110…プリンタ本体、111…印刷ヘッド、115…制御手段、115P…印刷制御系、115S…支持力制御系、115A…駆動判定部、115B…駆動量設定部、115C…駆動極性設定部、116…加速度センサ、120…プリンタホルダ、125…駆動回路部、126…加速度計測部、130…プリンタ支持手段、131…ケース、132…電磁アクチュエータ、132A…可動鉄芯、132B…コイル、132C…固定鉄芯、133…弾性体

Claims (7)

  1. 印刷ヘッドを備えたプリンタ本体と、
    前記プリンタ本体をその支持方向に移動可能な態様で支持するとともに、その支持力が制御可能に構成されたプリンタ支持手段と、
    前記プリンタ本体に対する衝撃力を検出する衝撃検出手段と、
    前記衝撃検出手段により検出された衝撃力に応じて前記プリンタ支持手段の前記支持力を制御する支持力制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記プリンタ本体の異なる部位を支持する複数の前記プリンタ支持手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記支持力制御手段は、前記衝撃力の大きさに応じて前記プリンタ支持手段の振動減衰性能を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記支持力制御手段は、前記支持力を前記衝撃力の位相と逆位相で変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  5. 前記プリンタ支持手段は、前記プリンタ本体を支持する弾性要素と、前記支持力を可変に構成する支持力変更手段とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
  6. 前記支持力変更手段は電磁アクチュエータであることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  7. 前記プリンタ本体を異なる方向から支持する複数の前記プリンタ支持手段を有し、前記衝撃検出手段は前記衝撃力の方向を検出し、前記支持力制御手段は、前記衝撃力の方向に応じて複数の前記プリンタ支持手段の支持力を個別に制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の印刷装置。
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