JP2005178016A - インクジェット用紙 - Google Patents

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【課題】この発明は、カールが少なくプリンタ印字時での搬送トラブルを防止することができる高米坪の塗工タイプインクジェット用紙に関するものである。
【解決手段】塗工タイプの高米坪のインクジェット用紙において、前記インクジェット用紙の米坪が150g/m以上であって、光学式配向性試験機(FOT)で測定したインク受理層を設けてある面の前記インク受理層を除去した基紙の繊維配向比を1.8以下、前記インク受理層の反対側の面の繊維配向比と前記インク受理層の繊維配向比との比率を1.2以下に設定して成ることを特徴とするインクジェット用紙。
【選択図】なし

Description

この発明は、カールが少なくプリンタ印字時のトラブルを防止することができる高米坪の塗工タイプインクジェット用紙に関するものである。
水性インクで印字するインクジェット方式プリンタは、カラー化が容易であること等に加えて、画像が鮮明であるといった様々な特徴を有することから近年急速に普及している。
インクジェット方式プリンタの性質上、インクジェット用紙には、インク吸収性が良く、インク滴が用紙の表面或いは内部に必要以上に拡散浸透しないという性質を有することが要求される。そのため、例えば特許文献1のように、インクジェット用紙における塗工タイプの基シートの表面及び裏面に異なる塗料を塗布し、一方をインク受理層として、上述した性質を有するインクジェット用紙を提案している。
しかし、基シートに紙を使用する場合には、外気の湿度、温度の変化により、カール(紙面の湾曲)が発生しやすく、プリンタ印字時の搬送性の低下といった問題があった。
この問題を解決するため、例えば、特許文献2では、アルミナ又はアルミナ水和物を含有する多孔質層を基紙上に設けることによって、コックリング(紙面の波うち)の発生がないインクジェット用紙を提案している。
しかし、高米坪の用紙の場合は、普通紙に比べてカールや搬送性の低下といった問題が顕著であり、特許文献1、2の方法では高米坪の用紙のカールあるいはコックリングを改善することができないといった問題があった。また、高米坪の用紙は主に額装用として使用する場合が多く、インクジェット方式プリンタで印字後も見栄えが悪く、保管や鑑賞がしにくいといった問題があった。
特開平11−105412号公報 特開2001−63206号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであり、本発明は、高米坪のインクジェット用紙であって、カールやコックリングを防止し、プリンタ印字時の搬送性等のトラブルを防止したインクジェット用紙を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、塗工タイプの高米坪のインクジェット用紙において、前記インクジェット用紙の米坪が150g/m以上であって、光学式配向性試験機(FOT)で測定したインク受理層を設けてある面の前記インク受理層を除去した基紙の繊維配向比を1.8以下、前記インク受理層の反対側の面の繊維配向比と前記インク受理層の繊維配向比との比率を1.2以下に設定して成るインクジェット用紙を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記インクジェット用紙における原料のパルプフリーネスは300cc以上であるインクジェット用紙を提供することによって、また、前記インクジェット用紙は重量灰分で2〜5%の填料を含むインクジェット用紙を提供することによって、さらにまた、前記インクジェット用紙に5〜15g/mの顔料が塗布されているインクジェット用紙を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に関わる米坪が150g/m以上の高米坪のインクジェット用紙によれば、繊維配向比、繊維配向比の比率を制御することにより、カールあるいはコックリングがなくなり、印字中の搬送性を向上させることができる。さらには、用紙原料のパルプフリーネスを300cc以上にすることにより、カールを防止することができる。填料が重量灰分で2〜5%で、顔料が5〜15g/mを塗布することにより、印字後の見栄え、鑑賞のしやすさを向上させることができる。
本発明における高米坪のインクジェット用紙の米坪は、その上限値は特に限定されないが、本発明者等の鋭意研究によれば、このインクジェット用紙の米坪は150〜200g/mであることが好ましいことが判明している。この米坪が150g/mより少ないインクジェット用紙(低米坪のインクジェット用紙)の場合には、高米坪のインクジェット用紙特有の搬送性の低下をきたし、インクジェット方式プリンタで印字後の見栄えが悪く、保管や鑑賞がしにくいといった問題が少ないため、以下に詳述する繊維配向比等を調整しても、本発明によって得られる効果と同等の効果を得ることができない。
本発明における繊維配向比とは、パルプ繊維の並び方を数値化したものである。この繊維配向比の測定には、様々な測定法があるが、本発明における高米坪のインクジェット用紙の繊維配向比は、株式会社東洋精機製作所製の光学式配向性試験機(FOT)によって測定を行って得たものである。具体的には、用紙の目に対して方向を1度ごとに変えて反射強度を測定し、反射強度の最大値と最小値との比率を繊維配向比としている。
繊維配向比の調節は、インクジェット用紙の製造工程において、原料噴出速度(ジェットスピード)とワイヤー速度の比(J/W値)を変更すること、及びリップ開度を変更することにより制御することができる。
本発明の本発明の高米坪のインクジェット用紙のインク受理層側の繊維配向比と反対面の繊維配向比の比率(反対面/インク受理層側)が1.2以下であることが好ましい。繊維配向比の比率を1.2以下にすることにより、本発明の高米坪のインクジェット用紙のカールあるいはコックリングを防止することができる。
また、高米坪のインクジェット用紙のインク受理層を除去した基紙の繊維配向比は1.8以下であることが好ましい。インク受理層を除去した基紙の繊維配向比が1.8より大きいと、カールの発生を防止することができない場合がある。
インク受理層に使用される顔料の塗布量は、5〜15g/mが好ましく、12〜14g/mがより好ましい。顔料の塗布量が5g/mより少ないと印字の濃度、色彩性、鮮明性が低くなり、良好な画像が得られない。また、顔料の塗布量が15g/mより多いと塗工又は含浸後の乾燥工程における乾燥負荷が高まり、塗工又は含浸速度の低下に伴う生産性の低下ばかりでなく、高負荷の乾燥では、インク受理層を構成する塗被組成物中のバインダーが蒸発する溶媒と共にインク受理層の表面に移動して、その表面の空隙量を低下させることにより、印字時に地汚れ等が発生する場合がある。また、必要に応じて、顔料を基紙の両面に塗布しても良い。
インク受理層に使用される顔料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、吸い酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が適宜使用され、単独で使用してもよいが複数組合せて使用してもよい。
また、バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、陽性化澱粉、ウレタンのエステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、合成タンパク、大豆タンパク等のタンパク質類、スチレン、ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン・酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、これらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のバインダーを適宜使用でき、単独で使用しても良いが、複数組合せて使用しても良い。
さらに、分散剤、潤滑剤、増粘剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等の種々の助剤を使用目的に応じて適宜配合することができる。
本発明におけるパルプフリーネスとは、JIS P 8121のカナダ標準ろ水度試験方法によって測定される値である。
カールの防止という観点から、パルプフリーネスの値は大きいほど好ましく、繊維の伸縮性はパルプフリーネスの値が大きいほど伸縮しにくくなる。繊維が伸縮しにくくなるとカールやコックリングを好適に防止することができる。従って、本発明の高米坪のインクジェット用紙のパルプフリーネスの値は300cc以上が好ましい。
本発明の高米坪のインクジェット用紙は、填料の重量灰分を2〜5%となるようにすると好ましい。填料の重量灰分を2〜5%にすることにより、インクの裏抜けが防止され、かつ、繊維間結合が弱まるためカールが抑制される。
填料の重量灰分を2%より小さくするとにすると、高米坪のインクジェット用紙の不透明度が向上せず、印字の際にインクが裏抜けしてしまうことがあるので好ましくない。
また、填料の重量灰分を5%より大きくするとにすると、剛度が低下しやすく、紙粉発生量が増加するため、好ましくない。
本発明の高米坪のインクジェット用紙に用いることができる填料としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、珪酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、アルミノ珪酸塩、シリカ、パイロフェライト、セリサイト、ベントナイト等の鉱物質填料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子及び熱膨張性微小中空粒子やその他有機系填料が適宜使用され、単独で使用してもよいが複数組合せて使用してもよい。なお、安価であるという点からタルク又は炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。
本発明の高米坪のインクジェット用紙は、基紙が1層であっても、2層、又はそれ以上の層であってもよい。また、高米坪のインクジェット用紙の原料も特に限定されず、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、ダグラスファー、ラジアータパイン、杉、松等の針葉樹、ユーカリ、オーク等の広葉樹を主原料にしたクラフトパルプ(KP)、セミケミカルパルプ(SCP)、砕木パルプ(GP)、ケミグランドパルプ(CGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ディインクングパルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等を使用することができる。なお、高米坪のインクジェット用紙の作製方法についても特に限定されない。
本発明の高米坪のインクジェット用紙は、サイズ剤等を任意に塗布することも可能である。
以下、本発明に係る高米坪のインクジェット用紙の効果を確認するために、以下のような試料を作製し、カール挙動性及び搬送性を評価する試験を行った。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る6種類の高米坪のインクジェット用紙(以下、試料1乃至試料6とする)と、試料1乃至試料6と比較検討するための3種類の高米坪のインクジェット用紙(以下、比較試料1乃至比較試料3とする)を調整した。
試料1は、米坪が200g/mになるように、基紙の原料としてパルプフリーネスを300ccまで叩解した広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を抄紙用原料パルプとして用い、填料としてJIS K 5101による350mesh残渣0.5%以下のタルクを配合し、重量灰分が3%となるようにして長網抄紙機を用いて抄造した。
なお、インク受理層として顔料を塗布する前の塗工層の繊維配向比は1.6に、インク受理層側と反対面側の繊維配向比の比率(反対面側/インク受理層側)が1.1となるように調整した。
次に、顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して、バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、定着剤として4級アンモニウム塩10部
を含む塗工液を塗布し、試料1とした。なお、試料1乃至試料6と比較試料1乃至比較試料3の顔料塗布量は同等の条件とした。
試料2〜6及び比較試料1〜3は試料1と同様の手順で抄造し、表1に示すように、米坪、パルプフリーネス、繊維配向比、繊維配向比の比率、填料をそれぞれ試料1と異なる数値に変化させて試験を行った。
各試料用紙を20.0cm×15.0cmにカットし、温度が20度で湿度が50%RHの条件で平衡状態になった後に、温度が20度で湿度が80%RHの条件に移し、試料用紙のカール挙動性を評価した。温度が20度で湿度が80%RHの条件に移した5分後の試料用紙を、カール凸側を下に向け水平面がある台上に置き、四隅の水平面からの距離をJISで規定する定規で測定し、その平均値をカール度とした。カール度の平均が2mm未満であった場合は○(優れている)を、カール度の平均が2mm以上5mm以下の場合は△(やや劣る)を、カール度の平均が5mmを越えた場合は×(悪い)とした。
搬送性の評価は、温度が20度で湿度が80%RHの条件で市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM950C)で20.0cm×15.0cmにカットした試料用紙を100枚連続で印字を行って搬送性を評価した。試験を行った100枚の試料用紙中、インクジェットプリンタの給紙部から試料用紙が給紙されないといった問題や、インクジェットプリンタ内部で試料用紙が詰まるといった問題が生じた試料用紙が1枚もない場合は○(優れている)、かかる問題を生じだ試料用紙が1〜5枚あった場合は△(やや劣る)、6枚以上あった場合は×(悪い)とした。
表1にインク受理層側の繊維配向比、インク受理層側の繊維配向比と反対面側の比率、パルプフリーネス、填料、顔料と共にカール挙動性と搬送性の評価を示した。
Figure 2005178016
表1から明らかなように、本発明に関わるインクジェット用紙、すなわち用紙の米坪が150〜200g/m、繊維配向比が1.8以下、繊維配向比の比率が1.2以下で、かつ、用紙原紙のパルプフリーネスが300cc以上、填料が重量灰分で2〜5%である試料1〜6のインクジェット用紙によれば、カール挙動性及び搬送性の面で優れていることがわかる。
上記要件のいずれか一つを充足しない比較試料1〜4では、十分な評価結果を得ることができない。

Claims (4)

  1. 塗工タイプの高米坪のインクジェット用紙において、前記インクジェット用紙の米坪が150g/m以上であって、光学式配向性試験機(FOT)で測定したインク受理層を設けてある面の前記インク受理層を除去した基紙の繊維配向比を1.8以下、前記インク受理層の反対側の面の繊維配向比と前記インク受理層の繊維配向比との比率を1.2以下に設定して成ることを特徴とするインクジェット用紙。
  2. 前記インクジェット用紙における原料のパルプフリーネスは300cc以上である請求項1に記載のインクジェット用紙。
  3. 前記インクジェット用紙は重量灰分で2〜5%の填料を含む請求項1または2に記載のインクジェット用紙。
  4. 前記インクジェット用紙に5〜15g/mの顔料が塗布されている請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット用紙。
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