JP2005177594A - 連続塗装方法及び連続塗装装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 縦パスライン10を搬送される鋼帯Sに、上流側の予備塗装装置22で塗料Pを予備塗装し、下流側の本塗装装置40で塗料Pを本塗装する連続塗装装置において、予備塗装装置22が、鋼帯Sの表面との接触位置Xa1、Xa2において鋼帯Sの進行方向と逆向きに進行して回転する予備塗装ロール24a、24bと、溢れ出る塗料Pを予備塗装ロール24a、24bの表面に供給するノズル26とを有する構成とし、ロールコータからなる本塗装装置40が、鋼帯Sの表面との接触位置Xbにおいて鋼帯Sの進行方向と逆向きに進行して回転するアプリケータロール42を有する構成とする。
【選択図】 図1
Description
リバースロールコータ方式のロールコータを用いて、ローピングの発生を防止しつつ帯状被塗装体を連続塗装する技術として、ノズルから吹き出した塗料により帯状被塗装体を予備塗装し、予備塗装された塗料が乾燥硬化する前に、ロールコータにより目標膜厚の塗料を本塗装するという連続塗装方法及び連続塗装装置(従来技術1)がある(特許文献1参照)。
本発明は、上記した従来の技術の問題点を除くためになされたものであり、その目的とするところは、塗装欠陥なしに帯状被塗装体を連続塗装でき、周辺が塗料で汚染されることを防止できる連続塗装方法及び連続塗装装置を提供することである。
また、予備塗装において、塗料がノズルから溢れ出て予備塗装ロールの表面に付着するので、ノズルから溢れ出る塗料の溢出量を調整すれば、塗料がノズルや予備塗装ロールから落下したり飛散することは容易に防止され、周辺機器類が予備塗装の塗料により汚染されることも容易に防止される。
塗料として、例えば、クロメート処理液、潤滑材含有樹脂、着色用塗料等の各種塗料を挙げることができる。
複数の鋼帯コイルを連続して連続塗装装置に供給する場合、鋼帯の表面には溶接部が存在している。この溶接部は帯状被塗装体の表面上で盛り上がっており、溶接部の盛り上がりに予備塗装ロールがぶつかり、予備塗装ロールが跳ね上がる等しやすく、溶接部通過後に予備塗装ロールへ達する鋼帯の定常部において、予備塗装ロールの表面と帯状被塗装体の表面との安定した接触が妨げられる場合がある。このような場合、予備塗装ロールの表面から帯状被塗装体の表面への塗料の転写が妨げられ、塗装ムラの塗装欠陥が生じてしまう。帯状被塗装体が高速搬送され、連続塗装の速度も高速化すると、かかる塗装ムラが大きくなってしまう。また、溶接部の盛り上がりと予備塗装ロールとの接触により、予備塗装ロールの表面が傷ついてしまう場合もある。
ここで、帯状被塗装体の溶接部が、アプリケータロールがある位置を通過するときに、アプリケータロールの表面を帯状被塗装体の表面から離すようにすると、溶接部近傍において、アプリケータロールによる本塗装に塗装ムラ等の塗装欠陥が生じることもなく、また、アプリケータロールに傷を付けることもないので好ましい。
請求項3の発明によると、タンクがノズルよりも高所にあり、タンクとノズルとの高低差により、タンク内の塗料がノズルへ流れ、ノズルから溢れ出る。タンク内で塗料の液面の位置が一定となっているので、タンク内の塗料の液面とノズルとの高低差も一定となっており、ノズルへの塗料の流量も一定に保たれ、ノズルから溢れ出る塗料の溢出量も一定に保たれる。ノズルからの塗料の溢出量が一定に保たれるので、予備塗装ロールの表面に付着する塗料の量も一定し、予備塗装ロールによる予備塗装が同一の安定した条件下で行われる。
なお、塗料タンク内における塗料の液位は、例えば、塗料をオーバーフローさせる等の方法によって容易に制御され、一定に保たれる。
請求項4の発明により、請求項1の発明を実施できる。したがって、帯状被塗装体は、予備塗装装置で予備塗装ロールによって予備塗装され、本塗装装置でロールコータのアプリケータロールによって本塗装され、帯状被塗装体の塗装状態は均一かつ美麗なものとなる。また、ノズルからの塗料の溢出量を調整することにより、周辺機器類が塗料により汚染等されることは容易に防止される。
請求項5の発明により、請求項2の発明を実施できる。したがって、溶接部によって予備塗装及び本塗装に塗装ムラ等の塗装欠陥が生じることは防止される。
請求項6の発明に係る連続塗装装置は、請求項4又は5に記載の連続塗装装置であって、前記ノズルよりも高所に位置し、内部の塗料の液面の位置が一定に保たれ、前記ノズルとの高低差により塗料を前記ノズルへ流して供給し、前記ノズルから塗料を溢れ出させるタンクを有する。
請求項6の発明により、請求項3の発明を実施できる。したがって、ノズルへの塗料の流量は一定に保たれ、ノズルからの塗料の溢出量も一定に保たれ、予備塗装ロールによる予備塗装が同一の安定した条件下で行われる。また、塗料が飛散することはなく、落下する塗料を容易に受け止めることができ、周辺機器等が塗料で汚染されることは容易に防止される。
図1に示すように、帯状被塗装体である鋼帯Sの縦パスライン10があり、鋼帯Sが一対の搬送ロール12によって上流側から下流側へ所定の速度で連続搬送可能に構成されている。鋼帯Sは表面に複数の溶接部14を有しており、各溶接部14は鋼帯Sの表面上で盛り上がっている。
搬送ロール12の上流側にセンサ16が設置されており、搬送ロール12の下流側に連続塗装装置が設置されている。センサ16は、縦パスライン10を搬送されてくる鋼帯Sの溶接部14を検出可能に構成されている。
一対の予備塗装装置22のうち、一方の予備塗装装置22について説明する。
図2に示すように、一方の予備塗装装置22は、予備塗装ロール24a、ノズル26、液受けパン28とを有する。
予備塗装ロール24aは表面をゴム被覆されたゴムロールであり、ロールチョック30に軸止されている。ロールチョック30は第1の直動案内装置のスライダ34に搭載されており、ロールチョック30は第1のピストンシリンダ32と連なっている。
ノズル26は予備塗装ロール24aの直下に位置しており、ロールチョック30がノズル26を支承している。ロールチョック30を介して、ノズル26は予備塗装ロール24aと一体化しており、ノズル26と予備塗装ロール24aとの相対的位置関係は固定されており、予備塗装ロール24aが直動案内装置の案内レール36に案内されて移動すると、ノズル26も一緒に移動する構成となっている。また、ノズル26は、後述する上部タンク66から供給ライン76aによってつながっている。
一対の予備塗装装置22のうち、他方の予備塗装装置22も上記した一方の予備塗装装置22と同じ構成となっており、予備塗装ロール24aと同じ予備塗装ロール24b、ノズル26、液受けパン28とを有する。
各本塗装装置40は、アプリケータロール42、ピックアップロール44、ミータリングロール46及び塗料パン48とを有するロールコータである。
ピックアップロール44は表面をクロムメッキ等された金属ロールであり、ピックアップロール44の表面とアプリケータロール42の表面とは、接触位置Xcにおいて互いに接触している。ピックアップロール44は、接触するアプリケータロール42の回転方向と同じ向きに回転可能に構成されている。
ポンプ64は、吸い込み側が下部タンク62につながっており、吐出側が上部タンク66の後述する貯留槽68へ吐出ライン74によってつながっている。吐出ライン74の途中からは供給ライン76bが分岐して塗料パン48の塗料槽50につながっている。この分岐点より下流側の吐出ライン74には流量弁80cが設置されており、供給ライン76bにも流量弁80bが設置されている。
本実施の形態は上記のように構成されており、次に、その作用について説明する。
連続塗装装置のポンプ64が作動し、下部タンク62内の塗料Pがポンプ64によって吐出ライン74へ吐出される。吐出ライン74へ吐出された塗料Pは、一部が吐出ライン74をそのまま流れて上部タンク66の貯留槽68へ連続流入する。吐出ライン74へ吐出された塗料Pの残りは、供給ライン76bを流れて塗料パン48の塗料槽50に連続流入する。
上部タンク66の塗料排出部70へオーバーフローした塗料Pは、戻りライン78cを流れて下部タンク62へ流入する。
鋼帯Sが搬送ロール12によって縦パスライン10を下流側から上流側へ連続搬送され、一対の予備塗装装置22同士の間に入る。
一方の予備塗装装置22では、接触位置Xa1において、予備塗装ロール24aの表面が鋼帯Sの表面に接触しており、予備塗装ロール24aは鋼帯Sの進行方向と逆向きにリバース回転している。予備塗装ロール24aの表面には、ノズル26から溢れ出た塗料Pが付着しており、接触位置Xa1において、予備塗装ロール24aの表面に付着している塗料Pが鋼帯Sの表面に転写される。
接触位置Xa1及び接触位置Xa2において、鋼帯Sは両面を予備塗装され、予備塗装された鋼帯Sが下流側の本塗装装置40へ搬送される。
第1のピストンシリンダ32が作動し、予備塗装ロール24a、ロールチョック30及びスライダ34が一体となって第1の直動案内装置の案内レール36に案内されて移動し、接触位置Xa1で予備塗装ロール24aの表面が鋼帯Sの表面から離れる。溶接部14が接触位置Xa1を通過すると、接触位置Xa1で予備塗装ロール24aの表面が鋼帯Sの表面と再び接触する。したがって、接触位置Xa1において、予備塗装ロール24aが溶接部14とぶつかって跳ね上がったりすることはなく、予備塗装ロール24aによる予備塗装が、溶接部14によって妨げられることもない。
また、ノズル26から溢れ出る塗料Pの溢出量を容易かつ厳密に制御できるので、ノズル26や予備塗装ロール24a、24bから塗料Pがたれ落ちることを容易に防止できる。
さらに、予備塗装ロール24aの表面と鋼帯Sの表面との接触位置Xa1は、予備塗装ロール24bの表面と鋼帯Sの表面との接触位置Xa2よりも、上流側に位置しているので、予備塗装ロール24aの表面と予備塗装ロール24bの表面とが互いに接触することは防止されている。したがって、予備塗装ロール24a、24bの表面に付着する塗料Pの幅が、鋼帯Sの幅よりも大きく、予備塗装ロール24a、24bの表面の塗料Pの一部が鋼帯Sの表面に付着せずに残ったとしても、予備塗装ロール24a、24bの表面が互いに接触してそれぞれの表面に残った塗料Pが飛散したりすることはない。
本塗装装置40では、接触位置Xbにおいて、アプリケータロール42の表面が鋼帯Sの予備塗装された表面に接触しており、アプリケータロール42は鋼帯Sの進行方向と逆向きにリバース回転している。
本塗装装置40において、アプリケータロール42、ピックアップロール44、ミータリングロール46に付着した塗料Pが、下方へ落下することがあっても、落下した塗料Pは塗料パン48の塗料槽50に受け止められる。アプリケータロール42が、前記第2ピストンシリンダの動きにより移動するが、アプリケータロール42の下方には常に塗料槽50があり、移動するアプリケータロール42から塗料Pが落下しても、落下した塗料Pは塗料槽50に入る。したがって、アプリケータロール42、ピックアップロール44、ミータリングロール46に付着した塗料Pが下方の予備塗装装置22や搬送ロール12を汚染することはない。
また、本実施の形態において、上部タンク66の堰72の上端の高さが可変となっているが、代わりに、上部タンク66の設置高さを可変に構成し、貯留槽68内の塗料Pの液面と各ノズル26との高低差の調整を行うことも可能である。
本試験では、発明例1〜4として、本実施の形態と同様の構成を有する連続塗装装置を使用し、塗料を鋼帯に連続塗装した。また、比較例1〜4として、予備塗装部を有しない点を除いて、本実施の形態と同様の構成を有する連続塗装装置を使用し、塗料を鋼帯に連続塗装した。
連続塗装した各鋼帯は、縦パスラインにより搬送される亜鉛メッキ鋼帯であり、その板厚は0.7mm、板幅は1200mmである。鋼帯に塗装した塗料は、樹脂入りクロメート水溶液であり、本塗装後のウェット膜厚の目標値を10μmとした。樹脂入りクロメート水溶液の粘度は、水の粘度とほぼ同じ値である。
発明例1〜4及び比較例1〜4において、鋼帯の搬送速度、予備塗装ロール、ピックアップロール、ミータリングロール及びアプリケータロールの各表面の回転速度、予備塗装装置のノズルへの塗料の流量を、それぞれ、次の表1に示す値に設定した。
さらに、発明例1〜4で塗料を鋼帯に連続塗装した後、連続塗装装置周辺への塗料の飛散の有無を調査したが、搬送ロールやセンサを含めて連続塗装装置周辺への塗料の飛散は認められなかった。
12 搬送ロール
14 鋼帯の溶接部
16 センサ
22 予備塗装装置
24a、24b 予備塗装ロール
26 ノズル
28 液受けパン
30 ロールチョック
32 第1のピストンシリンダ
34 スライダ
36 案内レール
40 本塗装装置
42 アプリケータロール
44 ピックアップロール
46 ミータリングロール
48 塗料パン
50 塗料槽
52 塗料パンの塗料排出部
54 塗料パンの堰
60 塗料循環装置
62 下部タンク
64 ポンプ
66 上部タンク
68 貯留槽
70 上部タンクの塗料排出部
72 上部タンクの堰
74 吐出ライン
76a、76b 供給ライン
78a、78b、78c 戻りライン
80a、80b、80c 流量弁
h 貯留槽内の液面とノズルとの高低差
G 近接部分の間隙
P 塗料
S 鋼帯
Xa1、Xa2 予備塗装ロール表面と鋼帯表面との接触位置
Xb アプリケータロール表面と鋼帯表面との接触位置
Xc ピックアップロール表面とアプリケータロール表面との接触位置
Xg ミータリングロール表面とピックアップロール表面との近接位置
Claims (6)
- パスラインを搬送される帯状被塗装体に、上流側で塗料が予備塗装され、予備塗装後、下流側で塗料がロールコータのアプリケータロールにより本塗装される連続塗装方法であって、
ノズルから塗料を溢れ出させて、塗料を回転する予備塗装ロールの表面に付着させ、
塗料を付着させた前記予備塗装ロールの表面を、帯状被塗装体の表面に接触させ、
前記予備塗装ロールの表面と帯状被塗装体の表面との接触位置において、前記予備塗装ロールの表面を、帯状被塗装体の進行方向と逆向きに進行させ、塗料をこの予備塗装ロールの表面から帯状被塗装体の表面に転写させて、前記予備塗装を行うことを特徴とする連続塗装方法。 - 前記予備塗装ロールの表面と帯状被塗装体の表面との接触位置を、帯状被塗装体が有する溶接部が通過するときに、前記予備塗装ロールの表面を帯状被塗装体の表面から離すことを特徴とする請求項1に記載の連続塗装方法。
- 前記ノズルよりも高所にタンクを設け、このタンク内の塗料の液面の位置を一定に保ち、タンクと前記ノズルの高低差により、塗料をタンクから前記ノズルへ流して供給し、この供給した塗料を前記ノズルから溢れ出させることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続塗装方法。
- パスラインを搬送される帯状被塗装体に、上流側で予備塗装装置が塗料を予備塗装し、予備塗装後、下流側で本塗装装置のロールコータが有するアプリケータロールが塗料を本塗装する連続塗装装置であって、
前記予備塗装装置は、帯状被塗装体の表面との接触位置において帯状被塗装体の進行方向と逆向きに進行して回転する予備塗装ロールと、溢れ出る塗料をこの予備塗装ロールの表面に供給するノズルとを有することを特徴とする連続塗装装置。 - 前記予備塗装ロールは、帯状被塗装体の表面から離脱可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の連続塗装装置。
- 前記ノズルよりも高所に位置し、内部の塗料の液面の位置が一定に保たれ、前記ノズルとの高低差により塗料を前記ノズルへ流して供給し、前記ノズルから塗料を溢れ出させるタンクを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の連続塗装装置。
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