JP2005176721A - 温室制御システムおよび温室制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温室内の栽培環境を良好な状態に保つ。
【解決手段】温室内外の温度や温室内外の相対湿度などから換気速度を算出する。算出した換気速度から温室内床面積当たりの潜在追加蒸発散速度を求め、この潜在追加蒸発散速度を温室内床面積当たりの必要細霧発生速度とし、この温室内床面積当たりの細霧発生速度に床面積を乗じることにより温室当たりの必要細霧発生速度を求める。求めた必要細霧発生速度と細霧発生周期(Pfb(s))とから細霧発生時間(Pf(s))を算出する。もしくは、必要細霧発生速度から細霧発生ポンプの必要吐出圧力を算出する。細霧発生中、温室内が高湿度状態(例えば、相対湿度が90%以上)となると、温室への細霧の発生を停止する。
【選択図】 図1
【解決手段】温室内外の温度や温室内外の相対湿度などから換気速度を算出する。算出した換気速度から温室内床面積当たりの潜在追加蒸発散速度を求め、この潜在追加蒸発散速度を温室内床面積当たりの必要細霧発生速度とし、この温室内床面積当たりの細霧発生速度に床面積を乗じることにより温室当たりの必要細霧発生速度を求める。求めた必要細霧発生速度と細霧発生周期(Pfb(s))とから細霧発生時間(Pf(s))を算出する。もしくは、必要細霧発生速度から細霧発生ポンプの必要吐出圧力を算出する。細霧発生中、温室内が高湿度状態(例えば、相対湿度が90%以上)となると、温室への細霧の発生を停止する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して温室内の冷房を行う温室制御システムおよび温室制御方法に関するものである。
日本における温室設置面積は約5.4万haであり、農園産業の重要部分を担っている。他方、国際競争、産地間競争が激しくなる中で、経営効率化のための温室周年利用の需要が高まっている。しかし、夏季の晴天時の昼間では、換気窓を全開しても温室内は過高温となる。温室内の過高温を抑制するために、遮光カーテンが利用されているが、遮光カーテンによって日差しを遮ると、植物の光合成を妨げ、その結果生育が妨げられる。
そこで、最近では、温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して温室内の冷房を行う細霧冷房法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。この細霧冷房法を用いれば、遮光しなくても温室内の温度を適切な温度に保つことが可能となる。これにより、遮光カーテンの利用を減らし、植物の光合成を妨げ、その結果生育が妨げられることを防ぐことができる。
細霧冷房法を用いた現在の温室制御システム(以下、温室細霧冷房システムと呼ぶ)における制御方法は極めて単純である。温室細霧冷房システムには、制御盤が設けられており、この制御盤に温度指示調節計と、昼間時間設定のための24時間時刻タイマと、細霧発生時間設定タイマと、細霧発生休止時間設定タイマとが設けられている。温度指示調節計は、温室内の現在温度を指示するとともに、温室内の温度設定および設定温度の調節を可能とする。24時間時刻タイマは昼間時間の開始時刻と終了時刻の設定を可能とする。この温室細霧冷房システムでは、24時間時刻タイマによって設定された昼間時間の間、温室内の温度が設定温度に合致するように細霧冷房が行われる。
この細霧冷房において、細霧を発生するために用いられるポンプ(以下、このポンプを細霧ポンプと呼ぶ)は、室内の温度が設定温度を超えると、細霧発生時間設定タイマで定められた細霧発生時間(細霧ポンプ稼働時間)Pf(s)の間だけ作動し(図7参照)、細霧発生休止時間設定タイマで定められた細霧発生休止時間(細霧ポンプ稼働休止時間)Pb(s)の間だけ休止し、この作動と休止とを繰り返す。すなわち、Pf(s)+Pb(s)を細霧発生周期Pfb(s)として、細霧ポンプの作動と休止とを繰り返す。もしくは、必要細霧発生速度を算定した後、吐出圧力を調節する。
〔温室細霧冷房の理論的基礎の概要〕
温室細霧冷房システムにおいて、温室内の温度の理論的最低値は、(1)屋外日射が零、(2)換気率が無限大、(3)温室被覆面から侵入する熱が零、であるときに実現され、その値は外気の湿球温度である。なお、我が国の夏期の昼間における外気の湿球温度は、天候によらず、関東では24〜25℃程度、九州では25〜26℃程度である。
現実には、日射による温室内空気の加熱に伴う温度上昇や換気率が屋外風速、換気窓開口面積などの制限により変化するなどの理由により、室内温度は外気湿球温度より数度高くなるのが普通である。
したがって、室外温度が30〜35℃かつ遮光しない場合でも、細霧冷房を適切に行えば、室内温度を30℃程度、室内湿球温度を28℃程度(室内相対湿度85%程度)に維持することが可能である。室内温度を低下させかつ室内相対湿度を適切に維持するには、換気回数を高く維持すること、適切な量の細霧を十分に気化させること、強光時には遮光することなどが効果的である。
温室細霧冷房システムにおいて、温室内の温度の理論的最低値は、(1)屋外日射が零、(2)換気率が無限大、(3)温室被覆面から侵入する熱が零、であるときに実現され、その値は外気の湿球温度である。なお、我が国の夏期の昼間における外気の湿球温度は、天候によらず、関東では24〜25℃程度、九州では25〜26℃程度である。
現実には、日射による温室内空気の加熱に伴う温度上昇や換気率が屋外風速、換気窓開口面積などの制限により変化するなどの理由により、室内温度は外気湿球温度より数度高くなるのが普通である。
したがって、室外温度が30〜35℃かつ遮光しない場合でも、細霧冷房を適切に行えば、室内温度を30℃程度、室内湿球温度を28℃程度(室内相対湿度85%程度)に維持することが可能である。室内温度を低下させかつ室内相対湿度を適切に維持するには、換気回数を高く維持すること、適切な量の細霧を十分に気化させること、強光時には遮光することなどが効果的である。
しかしながら、従来の温室細霧冷房システムでは、細霧発生時間Pf(s)や細霧発生休止時間Pb(s)を管理者が経験と勘によって設定しており、温室の換気速度(換気窓開度と屋外風速に依存する)、温室内外気温差、温室内相対湿度、遮光カーテンの開度など温室の内外の環境と制御機器の動作状態が考慮されていない。このため、温室の内外の環境が変化すると、細霧の供給量が適切とならず、温室内の温湿度が激しく変動し、栽培環境が良好な状態に保たれないことがある。
また、従来の温室細霧冷房システムでは、温室内の温度が設定温度を超えた場合、室内温度が設定温度を下回るまで、細霧ポンプの作動と休止とが繰り返される。この場合、温室への細霧の供給量が過剰となって、温室内の相対湿度が例えば90%以上の高湿度状態となり、作物がぬれ、蒸散が抑制される、病害拡大の誘因となるなどして、栽培環境が良好な状態に保たれないことがある。
また、従来の温室細霧冷房システムでは、温室内の温度が設定温度を超えた場合、室内温度が設定温度を下回るまで、細霧ポンプの作動と休止とが繰り返される。この場合、温室への細霧の供給量が過剰となって、温室内の相対湿度が例えば90%以上の高湿度状態となり、作物がぬれ、蒸散が抑制される、病害拡大の誘因となるなどして、栽培環境が良好な状態に保たれないことがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、温室内の栽培環境を良好な状態に保つことができる温室制御システムおよび温室制御方法を提供することにある。
このような目的を達成するために、第1発明は、換気口(自然換気口または強制換気口あるいはその両方)を有する温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して温室内の冷房を行う温室制御システムにおいて、温室の内外の環境に基づいて換気口からの換気の速度を算出する換気速度算出手段と、この換気速度算出手段によって算出された換気速度に基づいて温室への細霧の供給速度(細霧の発生速度)を制御する細霧供給速度制御手段とを設けたものである。
この発明によれば、温室の内外の環境、例えば温室内外の温度や温室内外の相対湿度などから換気速度が算出され、この算出された換気速度に基づいて温室への細霧の発生速度が制御される。この細霧の発生速度の制御によって、温室内外の環境に拘わらず、常に適切な量の細霧を温室内に供給することが可能となる。
なお、温室の内外の環境に基づく換気速度については、例えば、温室の熱収支式から導かれる式を使用して算出することができる。この式によって換気速度の算定が困難な場合は、温室内外の温度,換気口開度などから概算することも可能である。
換気速度に基づく温室への細霧の発生速度については、例えば、換気速度から温室内床面積当たりの潜在追加蒸発散速度を求め、この潜在追加蒸発散速度を温室内床面積当たりの必要細霧発生速度とし、この温室内床面積当たりの必要細霧発生速度に床面積を乗じることにより温室当たりの必要細霧発生速度を求めるというようにして算出する。
細霧の発生速度の制御については、例えば、必要細霧発生速度と細霧発生周期(Pfb(s))とから、実際の細霧発生速度が必要細霧発生速度となるような細霧発生時間(Pf(s))を算出する。この算出した細霧発生時間(Pf(s))のあいだ細霧ポンプを作動させ、Pfb(s)−Pf(s)として得られる細霧発生休止時間Pb(s)のあいだ細霧ポンプを休止させ、この作動と休止とを繰り返すことにより、温室への細霧の発生速度が必要細霧発生速度となる。
なお、細霧発生休止時間Pb(s)を零とし、すなわち細霧を連続発生させるものとし、細霧発生ポンプの吐出圧力や細霧発生ノズルの使用数を調整することによって細霧発生速度を制御するようにしてもよい。
なお、温室の内外の環境に基づく換気速度については、例えば、温室の熱収支式から導かれる式を使用して算出することができる。この式によって換気速度の算定が困難な場合は、温室内外の温度,換気口開度などから概算することも可能である。
換気速度に基づく温室への細霧の発生速度については、例えば、換気速度から温室内床面積当たりの潜在追加蒸発散速度を求め、この潜在追加蒸発散速度を温室内床面積当たりの必要細霧発生速度とし、この温室内床面積当たりの必要細霧発生速度に床面積を乗じることにより温室当たりの必要細霧発生速度を求めるというようにして算出する。
細霧の発生速度の制御については、例えば、必要細霧発生速度と細霧発生周期(Pfb(s))とから、実際の細霧発生速度が必要細霧発生速度となるような細霧発生時間(Pf(s))を算出する。この算出した細霧発生時間(Pf(s))のあいだ細霧ポンプを作動させ、Pfb(s)−Pf(s)として得られる細霧発生休止時間Pb(s)のあいだ細霧ポンプを休止させ、この作動と休止とを繰り返すことにより、温室への細霧の発生速度が必要細霧発生速度となる。
なお、細霧発生休止時間Pb(s)を零とし、すなわち細霧を連続発生させるものとし、細霧発生ポンプの吐出圧力や細霧発生ノズルの使用数を調整することによって細霧発生速度を制御するようにしてもよい。
第2発明は、換気口を有する温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して温室内の冷房を行う温室制御システムにおいて、設定される換気設定温度とこの換気設定温度よりも高い細霧供給設定温度(細霧発生設定温度)を閾値として記憶する閾値記憶手段と、温室内の温度が換気設定温度よりも高くなった場合に換気口を開く換気口制御手段と、温室内の温度が細霧供給設定温度よりも高くなった場合に温室への細霧の発生を開始する細霧供給開始手段と、温室への細霧供給中に温室内が所定の値を上回る高湿度状態となった場合に温室への細霧の供給を停止する細霧供給停止手段とを設けたものである。
この発明によれば、温室内の温度が換気設定温度よりも高くなると、換気口が開かれる。温室内の温度がさらに上昇し、細霧発生設定温度よりも高くなると、温室への細霧の発生が開始される。この温室への細霧発生中、温室内が所定の値を上回る高湿度状態(例えば、相対湿度が90%以上)となると、温室への細霧の発生が停止される。これにより、温室への細霧の供給が抑制され、温室内が高湿度状態となることが避けられる。
なお、本発明(第1、第2発明)において、温室は換気口を有することを前提とするが、遮光カーテンはあってもなくてもよい。すなわち、遮光カーテンは高温抑制のためのやむを得ない手段であり、強光時にも細霧冷房によって温室内の温度が適切に制御されるのであれば、遮光カーテンは必ずしも必要としない。また、本発明は、温室制御方法としてシステムに適用することも可能である。
第1発明によれば、温室の内外の環境に基づいて換気速度が算出され、この算出された換気速度に基づいて温室への細霧の発生速度が制御されるものとなり、これにより、温室内外の環境に拘わらず、常に適切な量の細霧を温室内に供給することが可能となり、温室内の激しい温湿度変動をなくして、温室内の栽培環境を良好な状態に保つことができるようになる。
第2発明によれば、温室への細霧発生中、温室内が所定の値を上回る高湿度状態となると、温室への細霧の発生が停止されるものとなり、これにより、温室への細霧の供給が抑制され、温室内が高湿度状態となることが避けられ、温室内の栽培環境を良好な状態に保つことができるようになる。
第2発明によれば、温室への細霧発生中、温室内が所定の値を上回る高湿度状態となると、温室への細霧の発生が停止されるものとなり、これにより、温室への細霧の供給が抑制され、温室内が高湿度状態となることが避けられ、温室内の栽培環境を良好な状態に保つことができるようになる。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明の一実施の形態を示す温室細霧冷房システムのシステム構成図である。同図において、1は植物を栽培するための温室、2は温室1の内部に設けられた温度センサ、3は温室1の内部に設けられた湿度センサ、4は温室1の外部に設けられた温度センサ、5は温室1の外部に設けられた湿度センサ、6は温室1の外部に設けられた日射計、7は温室1内の細霧による冷房を制御する細霧冷房制御装置、8は細霧冷房制御装置7によってオン/オフ制御される、もしくは吐出圧力を制御される細霧ポンプである。
なお、温室1には、換気口として天窓9(9−1,9−2)が設けられている。天窓9(9−1,9−2)の上部には開閉可能にルーフ10(10−1,10−2)が設けられている。また、天窓9(9−1,9−2)の下部には、展張可能に遮光カーテン11(11−1,11−2)が設けられている。ルーフ10の天窓9に対する開閉や遮光カーテン11の天窓9に対する展張は、天窓&カーテン制御装置12によって制御されるようになっている。
また、温室1内には、細霧ポンプ8を介して供給される水の循環通路(パイプ)13が巡らされており、このパイプ13に多数のノズル14を設け、これらのノズル14によって細霧を発生させ、温室1内に供給するようにしている。このノズル14は換気の給気口付近に集中的に配置されてもよいし、温室内空間に分散して配置されてもよい。
細霧冷房制御装置7は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して制御装置としての各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、温度センサ2を介して入力される室内温度Tdi、温度センサ4を介して入力される室外温度Tdo、湿度センサ3を介して入力される室内相対湿度Ri、湿度センサ5を介して入力される室外相対湿度Ro、日射計6を介して入力される屋外日射束Soや閾値として設定される換気設定温度Tv、細霧発生設定温度(細霧供給設定温度)Tf、遮光カーテン温度Tcなどに基づいて、細霧ポンプ8のオン/オフを制御したり、ルーフ10や遮光カーテン11の開閉を制御する。なお、強制換気の場合は、Tdiとして排気口の気温を用いるのがよい。
なお、本実施の形態において、細霧発生設定温度Tfは換気設定温度Tvよりも高い値(Tf>Tv)として設定され、遮光カーテン設定温度Tcは細霧発生設定温度Tfよりも高い値(Tc>Tf)として設定され(図4参照)、これらが閾値として細霧冷房制御装置7内に記憶されている。また、本実施の形態において、細霧発生設定温度Tfは、換気設定温度Tvよりも5℃以上高い値として設定されている。
以下、図3および図6に示すフローチャートに従って、細霧冷房制御装置7が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。なお、参考として、図2にこの温室細霧冷房システムで用いられる変数や係数のリストを示す。
〔細霧発生開始手順〕
細霧冷房制御装置7は、温度センサ2からの室内温度Tdiおよび湿度センサ3からの室内相対湿度Riを入力し(図3に示すステップ301)、入力された室内温度Tdiと換気設定温度Tvとを比較する(ステップ302)。室内温度Tdiが換気設定温度Tv以下であれば、ステップ302のNOに応じてステップ301へ戻り、室内温度Tdiと室内相対湿度Riの入力を繰り返す。なお、図1において、遮光カーテン11は展張されていないものとする。
細霧冷房制御装置7は、温度センサ2からの室内温度Tdiおよび湿度センサ3からの室内相対湿度Riを入力し(図3に示すステップ301)、入力された室内温度Tdiと換気設定温度Tvとを比較する(ステップ302)。室内温度Tdiが換気設定温度Tv以下であれば、ステップ302のNOに応じてステップ301へ戻り、室内温度Tdiと室内相対湿度Riの入力を繰り返す。なお、図1において、遮光カーテン11は展張されていないものとする。
室内温度Tdiは、諸要因の関数として、下記(1)式に示すように表現することができる(非特許文献1参照)。この式において、aは遮光係数(遮光カーテン資材の遮光率(%)と遮光カーテンの閉鎖率(%)の積を10,000で除した値:Soから温室内純放射束を推定するための係数)、lは気化熱、Eは蒸発散速度、Cpは湿り空気の比熱、Vは換気速度(床面積あたり毎秒質量換気量)、kは外壁熱貫流係数、wは壁床面積比(壁面積/床面積)を示す。
Tdi=Tdo+(a・So−lE)/(Cp・V+k・w) ・・・・(1)
Tdi=Tdo+(a・So−lE)/(Cp・V+k・w) ・・・・(1)
この(1)式から分かるように、室内温度Tdiは、室外温度Tdo、温室内純放射束a・Soが大であるほど高くなり、蒸発散速度Eが大であるほど低くなる。
室内温度Tdiが換気設定温度Tvよりも高くなると(ステップ302のYES)、細霧冷房制御装置7は天窓&カーテン制御装置12へ指令を送り、ルーフ10を上げ、天窓9を開く(ステップ303)。ルーフ10の天窓9に対する開き量は、室内温度Tdiと換気設定温度Tvとの差に応じて、Tdi=Tvとなるように制御される。
天窓9が全開とされ、かつ室内温度Tdiが細霧発生設定温度Tfよりも高くなると(ステップ304のYES)、細霧冷房制御装置7は細霧ポンプ8に指令を送り、この細霧ポンプ8のオン/オフ制御を開始する(ステップ305)。すなわち、図7に示したように、細霧ポンプ8を細霧発生時間Pf(s)の間だけ作動させ、細霧発生休止時間Pb(s)の間だけ休止させ、Pf(s)+Pb(s)を細霧発生周期Pfb(s)として、この作動と休止とを繰り返す。細霧ポンプ8が作動すると、パイプ13を介してノズル14に水が供給され、ノズル14が細霧を発生する。このノズル14から供給される細霧が気化する際に熱を奪うことによって温室1内の冷房(細霧冷房)が行われる。
細霧冷房中、細霧冷房制御装置7は室内相対湿度Riをチェックし、室内相対湿度Riが90%を上回ると(ステップ306のYES)、温室1内が高湿度状態にあると判断し、細霧冷房を停止する(ステップ307)。これにより、温室1への細霧の供給が抑制され、温室1内が高湿度状態となることが避けられ、温室1内の栽培環境が良好な状態に保たれる。
なお、温室1内の空気の絶対湿度(室内空気絶対湿度)Xiと温室1内の空気の飽和絶対湿度(室内空気飽和絶対湿度)Xisを求め、Xi>0.9・Xisの場合に細霧冷房を停止したり(図5(a)に示すステップ306’,307)、温室1内の湿球温度(室内湿球温度)Twiと温室1の外の湿球温度(室外湿球温度)Twoを求め、Twi<Two+2℃の場合に細霧冷房を停止するようにしてもよい(図5(b)に示すステップ306”,307)。
図5に示した例において、室内空気絶対湿度Xiや室内空気飽和絶対湿度Xis、室内湿球温度Twiは、室内温度Tdiと室内湿度Riとから計算によって求めることができ、室外空気絶対湿度Xoや室外空気飽和絶対湿度Xos、室外湿球温度Twoは、室外温度Tdoと室外湿度Roとから計算によって求めることができる。
細霧冷房中、室内温度Tdiが上昇し、遮光カーテン設定温度Tcよりも高くなると(ステップ308のYES)、細霧冷房制御装置7は天窓&カーテン制御装置12へ指令を送り、遮光カーテン11を展張する(ステップ309)。この場合、遮光カーテン11は全閉とはせずに、30〜60%閉(例えば、50%閉)とする。これは、一定値以上の換気速度Vを確保するためである。
〔細霧発生時間の計算手順〕
細霧冷房制御装置7は、ステップ305において細霧冷房を開始すると、図6に示すフローチャートに従って細霧発生時間Pf(s)を算出する。この細霧発生時間Pf(s)によって温室1への細霧の発生速度(細霧の供給速度)が定められる。
細霧冷房制御装置7は、ステップ305において細霧冷房を開始すると、図6に示すフローチャートに従って細霧発生時間Pf(s)を算出する。この細霧発生時間Pf(s)によって温室1への細霧の発生速度(細霧の供給速度)が定められる。
まず、計測値として入力される室内温度Tdiと室内湿度Riとから、室内空気エンタルピIi、室内湿球温度Twi、室内空気絶対湿度Xiおよび室内空気飽和絶対湿度Xisを算出する(ステップ601)。次に、計測値として入力される室外温度Tdoと室外湿度Roとから、室外空気エンタルピIo、室外湿球温度Two、室外空気絶対湿度Xoおよび室外空気飽和絶対湿度Xosを算出する(ステップ602)。
そして、室内空気エンタルピIi、室外空気エンタルピIo、室内温度Tdi、室外温度Tdo、屋外日射束So、外壁熱貫流係数k、床面積比w、温室床面における地中伝熱フラックスFsおよび遮光係数aを下記(2)式に代入して換気速度Vを算出する(ステップ603)。この(2)式は、温室の熱収支式(非特許文献1の162頁参照)から導いたものである。
V=(a・So−(Tdi−Tdo)・k・w−Fs)/(Ii−Io) ・・・・(2)
V=(a・So−(Tdi−Tdo)・k・w−Fs)/(Ii−Io) ・・・・(2)
なお、上記(2)式において、屋外日射束Soは日射計6を介して細霧冷房制御装置7へ与えられる。また、遮光係数aは、遮光カーテン資材の遮光率と遮光カーテンの閉鎖率の積から求められる。遮光カーテン11が全開とされている場合、遮光係数aは0となる。また、外壁熱貫流係数k、床面積比w、温室床面における地中伝熱フラックスFsは細霧冷房制御装置7に予め設定されている。
次に、細霧冷房制御装置7は、室内空気絶対湿度Xiと室外空気絶対湿度Xoと換気速度Vとから、下記(3)式に従って、細霧発生前の温室内床面積当たりの蒸発散速度Wcを求める(ステップ604)。
Wc=V・(Xi−Xo) ・・・・(3)
Wc=V・(Xi−Xo) ・・・・(3)
また、細霧発生前の室外湿球温度Twoを細霧発生後の室内温度の最低室温予測値(Tdimin )とする(ステップ605)。そして、細霧発生後の最低室温予測値Tdimin (細霧発生前の室外湿球温度Two)における室内空気絶対湿度Xiと室内空気飽和絶対湿度Xisと換気速度Vとから、下記(4)式に従って、温室内床面積当たりの潜在追加蒸発散速度Wsを求める(ステップ606)。なお、この(4)式における係数の0.9は、室内相対湿度Riを90%に維持するためである。
Ws=V・(0.9Xis−Xi) ・・・・(4)
Ws=V・(0.9Xis−Xi) ・・・・(4)
そして、細霧冷房制御装置7は、ステップ606で求めた温室内床面積当たりの潜在追加蒸発散速度Wsを温室内床面積当たりの必要細霧発生速度とし(ステップ607)、この温室内床面積当たりの必要細霧発生速度Wsに床面積を乗じて温室当たりの必要細霧発生速度Wgを求める(ステップ608)。そして、この求めた温室当たりの必要細霧発生速度Wgと細霧発生周期Pfb(s)とから、実際の細霧発生速度が必要細霧発生速度Wgとなるような細霧発生時間Pf(s)を算出する(ステップ609)。
この算出した細霧発生時間Pf(s)のあいだ細霧ポンプ8を作動させ、Pfb(s)−Pf(s)として得られる細霧発生休止時間Pb(s)のあいだ細霧ポンプ8を休止させ、この作動と休止とを繰り返すことにより、温室1への細霧の発生速度が必要細霧発生速度Wgとなる。
このように、本実施の形態では、温室1の内外の環境に拘わらず、温室1への細霧の発生速度が必要細霧発生速度Wgとされるので、常に適切な量の細霧が温室1内に供給されるようになり、温室1内の激しい温度変動をなくして、温室1内の栽培環境を良好な状態に保つことができるようになる。
なお、上述した実施の形態では、細霧発生時間Pf(s)を調整することによって細霧発生速度を制御するようにしたが、細霧発生休止時間Pb(s)を零とし、すなわち細霧を連続発生させるものとし、細霧発生ポンプ8の吐出圧力やノズル(細霧発生ノズル)14の使用数を調整することによって細霧発生速度を制御するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、換気速度Vを温室の熱収支式から導いた(2)式によって求めるようにしたが、この式によって換気速度Vの算定が困難な場合には、室内温度Tdiや室外温度Tdo、天窓9の開度などから概算するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、遮光カーテン11を設けた例で説明したが、強光時にも細霧冷房によって温室1内の温度が適切に制御されるのであれば、遮光カーテン11は必ずしも必要としない。
1…温室、2,4…温度センサ、3,5…湿度センサ、6…日射計、7…細霧冷房制御装置、8…細霧ポンプ、9(9−1,9−2)…天窓、10(10−1,10−2)…ルーフ、11(11−1,11−2)…遮光カーテン、12…天窓&カーテン制御装置、13…循環通路(パイプ)、14…ノズル(細霧発生ノズル)。
Claims (4)
- 換気口を有する温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して前記温室内の冷房を行う温室制御システムにおいて、
前記温室の内外の環境に基づいて前記換気口からの換気の速度を算出する換気速度算出手段と、
この換気速度算出手段によって算出された換気速度に基づいて前記温室への細霧の供給速度を制御する細霧供給速度制御手段と
を備えたことを特徴とする温室制御システム。 - 換気口を有する温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して前記温室内の冷房を行う温室制御システムにおいて、
設定される換気設定温度とこの換気設定温度よりも高い細霧供給設定温度を閾値として記憶する閾値記憶手段と、
前記温室内の温度が前記換気設定温度よりも高くなった場合に前記換気口を開く換気口制御手段と、
前記温室内の温度が前記細霧供給設定温度よりも高くなった場合に前記温室への細霧の供給を開始する細霧供給開始手段と、
前記温室への細霧供給中に前記温室内が所定の値を上回る高湿度状態となった場合に前記温室への細霧の供給を停止する細霧供給停止手段と
を備えたことを特徴とする温室制御システム。 - 換気口を有する温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して前記温室内の冷房を行う温室制御方法において、
前記温室の内外の環境に基づいて前記換気口からの換気の速度を算出する工程と、
算出された前記換気速度に基づいて前記温室内の温度を設定温度に保つように前記温室への細霧の供給速度を制御する工程と
を備えたことを特徴とする温室制御方法。 - 換気口を有する温室へ細霧を供給し、この細霧が気化する際に奪う熱を利用して前記温室内の冷房を行う温室制御方法において、
設定される換気設定温度とこの換気設定温度よりも高い細霧供給設定温度を閾値として記憶する工程と、
前記温室内の温度が前記換気設定温度よりも高くなった場合に前記換気口を開く工程と、
前記温室内の温度が前記細霧供給設定温度よりも高くなった場合に前記温室への細霧の供給を開始する工程と、
前記温室への細霧供給中に前記温室内が所定の値を上回る高湿度状態となった場合に前記温室への細霧の供給を停止する工程と
を備えたことを特徴とする温室制御方法。
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