JP2005171929A - パイロット噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転条件が変化しても効率的に失火を抑制するパイロット噴射を制御することができるパイロット噴射制御装置を提供する。
【解決手段】ECU50は、アクセルセンサ20及びNEセンサ26からの信号に基づいて失火が生じているか否かを判断する。失火が生じており、更に前提条件が成立していると判断するたびに、ECU50は、水温センサ21、吸気温センサ24、大気圧センサ28からの信号に基づいて得られた水温、吸気温及び大気圧を基準値として設定する。ECU50は、基準値と現在の水温、吸気温、大気圧との変化分から、最良条件と最悪条件との間における現在の補正係数を算出する。ECU50は、算出された補正係数に基づいて、最良条件下におけるパイロット噴射量と、最悪条件下におけるパイロット噴射量とから、噴射するパイロット噴射量を算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各気筒の燃焼室に燃料を噴射するインジェクタを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
ディーゼルエンジンは、低速、低負荷の運転状態において、振動や失火が生じることがある。このような振動や失火を抑制するため、従来、燃料噴射において、メイン噴射と、それに対して先行してパイロット噴射を行うことがある。このパイロット噴射は、ディーゼルエンジンの個体差や経年変化にバラツキが影響して、燃料を安定して噴射することが難しい。そこで、パイロット噴射における、最適な燃料噴射量を算出するための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1においては、アイドル運転状態において、所定の学習開始トリガーにより学習開始を判定し、1気筒毎に1サイクル当たり複数の噴射段に均等に分割して燃料を噴射する分割噴射に強制移行する。この場合、例えばパイロット噴射の制御に関しては、メイン噴射とパイロット噴射のトータルの噴射量をメイン噴射だけで噴射した時に失火する限界まで噴射時期を遅らせた状態で、トータル噴射量は変えずにパイロット噴射の通電時間、すなわちパイロット噴射量を漸減あるいは漸増させる。そして、回転速度変動により失火限界を検出し、その失火限界の通電時間に基づいてパイロット噴射の下限値を更新記憶する。この値を用いることにより、インジェクタの個体差や経年変化によるバラツキの影響を受けることなく、微少量の燃料を安定して噴射することができる。
特開2003−27995号公報(第7図、第13図)
上述した特許文献1においては、水温60〜85℃で外気温度0〜35℃という環境の下で、イグニッションスイッチONの回数(100回毎)又は車両走行距離(10000km毎)及びアイドル判定後40秒経過という条件が、すべて成立したことを学習開始トリガーとする。すなわち、特許文献1においては、学習開始を決定するための1つの要素として環境条件が用いられている。ところで、冷却水の温度、吸気の温度及び大気圧などの環境条件は、失火の発生に影響していることが知られている。このため、学習開始の要素として環境条件を用いるだけでは、環境条件の変化に応じて変化する失火を効率的に抑制することは困難であった。更に、パイロット噴射を容易かつ効率的に算出するという要請もある。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされ、その目的は、運転条件が変化しても効率的に失火を抑制するパイロット噴射を制御することができるパイロット噴射制御装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料のメイン噴射に先立って行うパイロット噴射を制御する内燃機関のパイロット噴射制御装置であって、機関運転状態に基づいて第1パイロット噴射条件を設定するための第1の関数、並びに同機関運転状態に基づいて第2パイロット噴射条件を設定するための第2の関数を記憶する記憶手段と、失火が発生する度に、その失火が発生したときの運転条件を基準値として設定する設定手段と、前記基準値と現在の運転条件との乖離度を算出し、この乖離度に基づいて補正係数を算出する算出手段と、前記各関数に基づいて現在の機関運転状態に対応する第1パイ
ロット噴射条件及び第2パイロット噴射条件を決定するとともに、これら第1パイロット噴射条件及び第2パイロット噴射条件に対して前記補正係数による重み付けに基づいてパイロット噴射条件を決定する決定手段とを備えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイロット噴射制御装置において、前記運転条件は、冷却水温度、吸気温度、大気圧の少なくとも1つ以上の条件を含んで構成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のパイロット噴射制御装置において、前記第1パイロット噴射条件及び前記第2パイロット噴射条件は、パイロット噴射量であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のパイロット噴射制御装置において、前記第2パイロット噴射条件としてのパイロット噴射量は、最大のパイロット噴射量であって、前記決定手段は、前記基準値を設定したときに、前記パイロット噴射条件として前記第2パイロット噴射条件のパイロット噴射量を用いることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置において、前記設定手段は、前記失火が発生し、かつ所定の前提条件が成立したときにのみ、前記基準値を設定することを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置において、前記決定手段は、前記補正係数の初期設定値を保持し、前記内燃機関を起動して前記失火が発生するまでは、前記初期設定値を用いてパイロット噴射条件を決定することを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のパイロット噴射制御装置において、前記補正係数の初期設定値は、前回の運転時に用いた補正係数に基づいて算出される値を用いることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のパイロット噴射制御装置において、前記補正係数の初期設定値は、前記内燃機関の冷却水の温度に基づいて算出される値であることを要旨とする。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、失火が発生したときの運転条件を基準値とし、この基準値に対する現在の運転条件の乖離度に基づく補正係数を算出する。そして、第1パイロット噴射条件と第2パイロット噴射条件に対して、補正係数による重み付けに応じたパイロット噴射条件を算出する。このため、基準となる運転条件と現在の運転条件との乖離度に応じて適切なパイロット噴射条件を決定することができる。また、失火が生じる度に基準となる運転条件が更新されるので、その時の運転条件を基準とすることができる。従って、運転条件が変化した場合においても、その変化に迅速に追従して、効率的に失火を抑制することができる。また、例えば、各内燃機関の特性のバラツキや燃料性状などの運転条件を加味して効率的に失火を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、運転条件は、失火の発生に影響する冷却水温度、吸気温度、大気圧の少なくとも1つの条件を含む。このため、失火の発生をより効率的に抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記第1パイロット噴射条件及び前記第2パイロット
噴射条件は、前記パイロット噴射量である。このため、環境条件に応じて、パイロット噴射量を変更することにより、効率的に失火を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、失火が発生して基準値が設定されると、このときのパイロット噴射条件のパイロット噴射量は、最大のパイロット噴射量と同じになる。すなわち、失火が発生したときには必ず最大のパイロット噴射量によりパイロット噴射を行うので、そのときの失火をより迅速に抑制することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本制御の顕著な効果が得られる条件を前提条件として、この前提条件が成立したときにのみ、本制御を行う。このため、効果があまり得られないような場合には制御を行わないので、より効率的に失火を抑制することができる。例えば、前提条件を「内燃機関の回転数が所定範囲内にあるとき」とすることにより、回転数が大き過ぎたり小さ過ぎたりする場合、失火の発生を誤認する可能性があるが、このような範囲においては制御を行わず、より的確な制御を行うことができる。また、例えば、前提条件を「悪条件下におけるパイロット噴射量が噴射したパイロット噴射量よりも多いとき」とすることにより、失火が生じて基準値が設定されるときには、必ず最大のパイロット噴射量と同じとなる。このため、パイロット噴射量は必ず大きくなるため、基準値を設定する際に生じる失火を迅速に抑制することができる。更に、前提条件を「所定の走行距離以上」とすることにより、内燃機関の経年変化などを考慮して、より効率的に失火を抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、内燃機関を起動して失火が発生する前は補正係数の初期設定値を用いてパイロット噴射制御を行う。このため、適切な初期設定値を用いることにより、運転条件に応じた最適値に補正係数がなるまでの時間を短くして、失火頻度を抑えることができる。
請求項7に記載の発明によれば、初期設定値として、前回の運転時に用いた補正係数に基づいて算出される値を用いる。内燃機関を前回起動した補正係数を用いることにより、内燃機関の個々の特性や燃料性状など長期にわたって変化しないような運転条件を考慮した初期設定値を得ることができる。このため、補正係数が最適値となるまでの時間をより短くして、失火頻度を効率的に抑えることができる。
請求項8に記載の発明によれば、初期設定値として、内燃機関を冷却するための冷却水の温度に基づいて算出される値を用いる。冷却水温は急激に変動しないが失火に大きく影響するため、この冷却水温に対応する初期設定値を用いることにより、補正係数の最適値となるまでの時間をより短くして、失火頻度を効率的に抑えることができる。
以下、本発明に係るパイロット噴射制御装置をディーゼルエンジンに適用した実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態における燃料噴射制御装置を示す概略構成図である。
ディーゼルエンジン1は、複数の気筒(本実施形態では4つの気筒)#1〜#4が形成されたシリンダブロック1aと、同シリンダブロック1a上に配設されたシリンダヘッド1bとを備えている。各気筒#1〜#4内には、ピストン12がそれぞれ往復動可能に収容されている。このピストン12は、コネティングロッド14を介してクランクシャフト(図示略)に連結されている。また、各気筒#1〜#4には、これら気筒#1〜#4の内壁面、ピストン12の頂面、及びシリンダヘッド1bの下面によって区画されることにより燃焼室13が形成されている。
シリンダブロック1aにおいて気筒#1〜#4の周囲にはウォータジャケット18が形成されている。このウォータジャケット18内を流れる冷却水によって、シリンダブロック1a、特に各気筒#1〜#4の内壁部分が冷却されるようになっている。
シリンダヘッド1bには、各気筒#1〜#4の燃焼室13に対応してインジェクタ2が配設されており、同インジェクタ2の先端から燃焼室13内に燃料が噴射されるようになっている。インジェクタ2は、噴射制御用の電磁弁3を備えており、この電磁弁3の開閉動作に基づいて燃料噴射時期及び燃料噴射量が調節される。
インジェクタ2は、各気筒#1〜#4に共通のコモンレール4にそれぞれ接続されている。コモンレール4は、逆止弁7が設けられた供給配管5を介してサプライポンプ6の吐出ポート6aに接続されている。
サプライポンプ6の吸入ポート6bは、フィルタ9を介して燃料タンク8に接続されている。また、サプライポンプ6のリターンポート6c及び電磁弁3のリターンポート3aはいずれも、リターン配管11によって燃料タンク8に接続されている。
サプライポンプ6は、加圧室(図示略)と、燃料タンク8の燃料を吸入して同加圧室に供給するフィードポンプ(図示略)と、クランクシャフト(図示略)の回転に同期して往復動することにより加圧室内の燃料を加圧するプランジャ(図示略)とを備えている。ディーゼルエンジン1の運転が開始されると、プランジャにより加圧された加圧室内の燃料は吐出ポート6aから供給配管5を通じてコモンレール4に圧送されるようになっている。このサプライポンプ6の燃料圧送量は、吐出ポート6aの近傍に設けられたプレッシャコントロールバルブ10の開閉動作に基づいて調節される。
また、燃焼室13は、シリンダヘッド1bの吸気室を介して吸気通路16に接続されている。更に、燃焼室13は、シリンダヘッド1bの排気室を介して排気通路17に接続されている。
ディーゼルエンジン1には、その運転に係る各種状態量を検出するために各種センサが設けられている。アクセルペダル15の近傍には、同アクセルペダル15の踏込量(アクセル開度ACCPF)を検出するためのアクセルセンサ20が設けられている。シリンダブロック1aには、ウォータジャケット18内の冷却水の温度(水温thw)を検出するための水温センサ21が設けられている。また、コモンレール4には、その内部の燃料圧力を検出するための燃料圧センサ22が設けられている。リターン配管11には、燃料の温度を検出するための燃料温センサ23が設けられている。ディーゼルエンジン1の吸気通路16には、同吸気通路16を通過する吸入空気の温度(吸気温tha)を検出するための吸気温センサ24が設けられている。
また、ディーゼルエンジン1には、同ディーゼルエンジン1を始動させるためのスタータ19の動作状態を検知するスタータスイッチ25が設けられている。
更に、クランクシャフトに設けられたパルサ(図示略)の近傍には、NEセンサ26及び加速度センサ27が設けられている。このNEセンサ26は、クランクシャフトの時間当たりの回転数NEを測定するためのセンサである。加速度センサ27は、ディーゼルエンジン1によって駆動される車体の加速度を測定するためのセンサである。
また、車体の外部には、大気圧を測定するための大気圧センサ28が設けられている。
更に、車体には、公知のトランスミッション30が設けられている。このトランスミッション30には、シフトポジションセンサ31と、車速センサ32とが設けられている。シフトポジションセンサ31は、トランスミッション30のシフト状態を検出する。車速
センサ32は、トランスミッション30の出力軸の回転数から車速を検出する。
上述した各種センサ20〜28,31,32の出力信号は、ディーゼルエンジン1の電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)50に入力される。このECU50は、CPU、メモリ、入出力回路、及び駆動回路(いずれも図示略)等を備え、パイロット噴射制御装置として機能する。また、ECU50は、記憶手段、設定手段、算出手段及び決定手段等として機能する。そして、ECU50は、アクセルセンサ20、水温センサ21、燃料圧センサ22、燃料温センサ23、及び吸気温センサ24、大気圧センサ28の各出力信号に基づいて、アクセル開度ACCPF、水温thw、燃料圧pc、燃料温度thf、吸気温tha及び大気圧paをそれぞれ読み込む。なお、本実施形態では、水温thw、吸気温tha、大気圧paが運転条件に相当する。また、ECU50は、スタータスイッチ25の信号に基づくスタータの動作状態から、エンジンの始動や停止の信号を受信する。更に、ECU50は、NEセンサ26、加速度センサ27の出力信号に基づいて、回転数NE及び加速度を算出する。
このようにして取得した上記各種状態量に基づいて、ECU50は、燃料噴射量に係る制御を実行する。以下、こうした燃料噴射制御について説明する。本実施形態においては、パイロット噴射条件としてパイロット噴射量を決定する。
図2は、本実施形態の「燃料噴射量算出処理」の処理手順を示す流れ図である。
この処理においては、パイロット噴射量を決定するための2つのマップを用いる。この2つのマップは、図3に示す最良の運転条件下におけるパイロット噴射量決定マップと、図4に示す最悪の運転条件下におけるパイロット噴射量決定マップである。ここで、「最良の運転条件」は、環境条件(水温、吸気温及び大気圧など)、燃料性状、及びディーゼルエンジン1の特性から、最も失火が生じ難い条件であり、第1パイロット噴射条件に相当する。また、「最悪の運転条件」は、環境条件、燃料性状及びディーゼルエンジン1の特性から、最も失火が生じやすい条件のことであり、第2パイロット噴射条件に相当する。すなわち、図3に示すパイロット噴射量決定マップは第1の関数、図4に示すパイロット噴射量決定マップは第2の関数をそれぞれ表したものである。
ここで、図3及び図4のマップにおいて斜線で示される部分はパイロット噴射を行う範囲であり、それ以外の範囲はパイロット噴射量が「0」のパイロット噴射を行わない範囲である。なお、図3のマップから算出される最良条件下の第1パイロット噴射量をQpl、図4のマップから算出される最悪条件下の第2パイロット噴射量をQplmaxとして説明する。ここで、本実施形態の図3の第1パイロット噴射量Qpl及び図4の第2パイロット噴射量Qplmaxは、それぞれ一定値ではなく、エンジンの回転数NEや負荷に基づいて算出される値である。通常、エンジンの回転数NEや負荷が大きくなるに従って、パイロット噴射量も大きくなるように設定される。なお、本実施形態においては、エンジンの回転数NE及び負荷が機関運転状態に相当する。
本発明は、この2つのマップを用いて、ディーゼルエンジン1の個体差や運転時の環境条件などから、運転時の失火を効率的に抑制できるパイロット噴射量を算出し、算出したパイロット噴射量を用いて燃料噴射を行うものである。以下、詳細に説明する。
(失火前の処理)
まず、図2に示すように、ECU50は、失火が発生したか否かを判断する(ステップS11)。本実施形態では、ECU50は、アクセル開度ACCPFの変化が増加しており、かつエンジン回転数(NE)の変化が急激に失速している場合に失火が発生していると判断する。すなわち、
ACCPF’≧0・・・(1)
NE’’>a・・・(2)
の2式を満足したときに、ECU50は失火が発生しているとする。なお、ここで、aは定数であり、「’」は時間微分を表わす。
ECU50は、失火が生じていると判断した場合(ステップS11において「YES」の場合)には、基準値を設定するための前提条件が成立したか否かを判断する(ステップS12)。本実施形態では、前提条件として、回転数NEが所定の範囲にあり、かつ最終パイロット噴射量Qplfinが第2パイロット噴射量Qplmaxより小さいという条件が設定されている。すなわち、
N0≦NE≦N1・・・(3)
Qplfin<Qplmax・・・(4)
の2式が成立したときに、ECU50は前提条件が成立したと判断する。ここで、N0,N1は定数であり、N0〜N1は、本制御処理を行うことによりディーゼル失火を効果的に抑制できる回転数の範囲である。
次に、ECU50は、失火が生じておらず(ステップS11において「NO」の場合)、又は失火は生じているが本制御処理の前提条件が成立していない場合(ステップS12において「NO」の場合)には、基準値が設定されているか否かを判断する。具体的には、ECU50は、補正係数Kiを算出するための基準値、すなわち基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0が設定されているか否かを判断する(ステップS13)。
ここで、基準値の基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0がまだ設定されていない場合(ステップS13において「NO」の場合)には、ECU50は、予め設定された補正係数Kiの初期設定値を取得する(ステップS14)。本実施形態では、補正係数Kiの初期設定値は、「0」に設定されている。
次に、ECU50は、取得した補正係数Kiの初期設定値を用いて、最終パイロット噴射量Qplfinを決定する(ステップS20)。ECU50は、この最終パイロット噴射量Qplfinは、次の式を用いて求める。
Qplfin=Ki×Qpl+(1−Ki)×Qplmax・・・(5)
本実施形態では、補正係数Kiの初期設定値は「0」の設定されているため、最終パイロット噴射量Qplfinは第2パイロット噴射量Qplmaxとなる。そして、ECU50は、決定された最終パイロット噴射量Qplfinを用いてパイロット噴射を行う。
そして、ディーゼルエンジン1が停止されていない場合(ステップS21において「NO」の場合)には、ECU50は、ステップS11に戻って処理を継続する。
(基準値の設定)
一方、失火が生じ(ステップS11において「YES」の場合)、かつ前提条件が成立した場合(ステップS12において「YES」の場合)には、ECU50は、基準値である基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0を設定する(ステップS17)。具体的には、ECU50は、水温センサ21、吸気温センサ24、大気圧センサ28から取得した現在の水温thw、吸気温tha、大気圧paの各値を、それぞれ基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0として設定する。
次に、ECU50は、設定した基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0を用いて、補正係数Kiを算出する(ステップS18)。このとき、補正係数Kiは次の式で算出される。
Ki=A×(thw−thw0)+B×(tha−tha0)+C×(pa−pa0)
・・・(6)
ここで、A,B,Cは係数であり、thwは現在の水温、thaは現在の吸気温、paは現在の大気圧である。なお、本実施形態においては、thw−thw、tha−tha0、pa−pa0が、基準値と現在の運転条件との乖離度に相当する。また、算出される補正係数Kiは、「0」〜「1」の範囲の値を用いる。更に、係数A,B,Cは、水温thw、吸気温tha及び大気圧paが取り得る値を考慮して、失火が生じないような条件を経験に基づいて決定されている。
また、ステップS17において現在の水温thw、吸気温tha及び大気圧paを、それぞれ基準水温thw0、基準吸気温tha0、基準大気圧pa0として設定した場合、その直後のステップS18においては、thw−thw0=0、tha−tha0=0、pa−pa0=0になるため、補正係数Kiは「0」として算出される。
次に、ECU50は、算出した補正係数Kiを、上記(5)式に代入してパイロット噴射量を決定する(ステップS20)。このとき、補正係数Kiは「0」として算出されたので、最終パイロット噴射量Qplfinは、第2パイロット噴射量Qplmaxとなる。従って、ECU50は、図4のマップから、現在のエンジン回転数と負荷から算出される第2パイロット噴射量Qplmaxを取得し、この第2パイロット噴射量Qplmaxでパイロット噴射を行うように電磁弁3を制御する。これにより、インジェクタ2から第2パイロット噴射量Qplmaxの燃料が燃焼室13内に噴射される。
(基準値の設定後の処理)
更に、エンジンが停止されない場合(ステップS21において「NO」の場合)、ECU50は、ステップS11から再び処理を繰り返す。このとき、失火が発生しておらず(ステップS11において「NO」の場合)又は失火は発生しているが前提条件が成立していない場合(ステップS12において「NO」の場合)には、基準値が設定されているか否かを判断する(ステップS13)。
ここでは、先ほど基準値を設定したので、ECU50は、基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0が設定済みであると判断する(ステップS13において「YES」)。すると、ECU50は、補正係数Kiを算出する(ステップ18)。具体的には、ECU50は、現在の水温thw、吸気温tha及び大気圧paを取得する。そして、ECU50は、取得した水温thw、吸気温tha及び大気圧paと、基準値として設定した基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0とを、上記(6)式に代入して、補正係数Kiを算出する(ステップS18)。
次に、ECU50は、算出した補正係数Kiに基づいて最終パイロット噴射量Qplfinを算出する(ステップS20)。具体的には、まず、ECU50は、現在のエンジン回転数と現在の負荷に基づいて、図3に示すマップから第1パイロット噴射量Qplと、図4に示すマップから第2パイロット噴射量Qplmaxとを取得する。そして、ECU50は、これら取得した第1及び第2パイロット噴射量Qpl,Qplmaxを、上記(5)式に代入して、最終パイロット噴射量Qplfinを算出する。
(具体的な数値例)
次に、算出される最終パイロット噴射量Qplfinの値を、具体的な数値を用いて説明する。ここで、例えば、算出された補正係数Kiが「0.2」と算出された場合を想定する。そして、このときのエンジン回転数がNE1、負荷がQ1であったとする。ECU50は、まず図3に示すマップからエンジン回転数NE1と負荷Q1の座標にある点Dにおける第1パイロット噴射量Qplの値を取得する。また、ECU50は、図4に示すマップからエンジン回転数NE1と負荷Q1の座標にある点Fにおける第2パイロット噴射
量Qplmaxを取得する。このとき、点Dにおける第1パイロット噴射量Qplが「2」であり、点Fにおける第2パイロット噴射量Qplmaxが「4」であったと仮定する。この場合には、これらパイロット噴射量を上記(5)式に代入することにより、
Qplfin=Ki×Qpl+(1−Ki)×Qplmax
=0.2×2+(1−0.2)×4=3.6
が求められる。従って、この場合、ECU50は、「3.6」の最終パイロット噴射量Qplfinで噴射を行うように電磁弁3を制御する。
また、補正係数Kiが「0.2」と算出されたが、エンジン回転数がNE2、負荷がQ2であったとする。このとき、ECU50は、図3に示すマップからエンジン回転数NE2と負荷Q2の座標にある点Eにおける第1パイロット噴射量Qplの値を取得する。また、ECU50は、図4に示すマップからエンジン回転数NE2と負荷Q2の座標にある点Gにおける第2パイロット噴射量Qplmaxの値を取得する。このとき、点Eはパイロット噴射を行う斜線部の範囲よりも外側のパイロット噴射を行わない領域にあるため、点Eにおける第1パイロット噴射量Qplは「0」である。また、点Gにおける第2パイロット噴射量Qplmaxが「5」であったと仮定する。この場合には、これらの値を上記(5)式に代入して
Qplfin=Ki×Qpl+(1−Ki)×Qplmax
=0.2×0+(1−0.2)×5=4
となる。従って、この場合には、ECU50は、「4」の最終パイロット噴射量Qplfinで噴射を行うように電磁弁3を制御する。
すなわち、同じ補正係数Kiであっても、エンジン回転数と負荷から、より最適な最終パイロット噴射量Qplfinが算出される。なお、本実施形態では、上記(5)式から算出した最終パイロット噴射量Qplfinがパイロット噴射可能な最小量よりも小さい場合には、パイロット噴射量を「0」として、パイロット噴射を行わないようにする。
上述したステップS11〜S20までの処理を、エンジンが停止されるまで(ステップS21において「YES」となるまで)繰り返し行う。従って、ECU50は、失火が発生し(ステップS11において「YES」)、かつ前提条件が成立する(ステップS12において「YES」の場合)ごとに、基準値を設定する。そして、ECU50は、このときの基準値における補正係数Ki=「0」の第2パイロット噴射量Qplmaxとし、失火が生じない範囲で環境条件を考慮して補正係数Kiを決定する。これにより、車両に搭載されているディーゼルエンジン1の特性や環境条件を考慮したパイロット噴射量を決定し、より効果的に失火を抑制することができる。
本実施形態のディーゼルエンジン1によれば、以下のような効果を得ることができる。
・本実施形態では、失火が発生するたびに、その失火が発生したときの環境条件(水温thw、吸気温tha及び大気圧pa)を基準値と設定した(ステップS17)。そして、この運転条件の変化(乖離度)に基づいて、現在の運転条件における、最悪条件と最良条件の間の補正係数Kiを算出した(ステップS18)。そして、この補正係数Kiに基づいて、第2パイロット噴射量Qplmaxと第1パイロット噴射量Qplとから最終パイロット噴射量Qplfinを算出した。このため、環境条件等を加味して、効率的にパイロット噴射量を決定し、失火を抑制することができる。
・本実施形態では、図3に示す最も失火が生じ難い条件における最良の運転条件下におけるパイロット噴射量決定マップと、図4に示す最も失火が生じやすい最悪の運転条件下におけるパイロット噴射量決定マップを用いた。これらのマップは、環境条件(水温、吸気温及び大気圧など)、燃料性状、及びディーゼルエンジン1の特性を考慮して作成されている。そして、第1パイロット噴射量が運転状態に対して最小のパイロット噴射量であ
り、第2パイロット噴射量が運転状態に対して最大のパイロット噴射量である。最終パイロット噴射量は、第1パイロット噴射量と第2パイロット噴射量の間で調節されるため、広い範囲で条件が変化しても、その条件に適用することができる。従って、パイロット噴射量を調整して、失火の発生を抑制することができる。
・本実施形態では、第1パイロット噴射量Qpl及び第2パイロット噴射量Qplmaxは、エンジンの回転数及び負荷から算出されるマップを用いた。このため、そのときのエンジンの回転数及び負荷に適したパイロット噴射量を設定することができる。従って、ディーゼルエンジン1における失火を効率的に抑制することができる。
・本実施形態では、基準値として基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0を用いた。水温thw、吸気温tha、大気圧paは、ディーゼルエンジン1の失火発生に影響を与えるため、これらの環境条件の変化に対応して、失火を効率的に抑制することができる。
・本実施形態では、前提条件として、エンジンの回転数NEが所定の範囲にあり、かつ最終パイロット噴射量Qplfinが第2パイロット噴射量Qplmaxより小さいという条件を用いた。すなわち、エンジンの回転数NEを所定範囲内にある場合に本制御を行う。回転数が大き過ぎたり、小さ過ぎたりする場合、失火判断を誤認する可能性があるが、このような範囲においては制御を行わず、より的確な制御を行うことができる。また、前提条件を「最終パイロット噴射量Qplfinを第2パイロット噴射量より小さいとき」とすることにより、失火が生じて基準値が設定されるときのパイロット噴射量は、それよりも小さくなることはない。このため、失火が生じた場合には、必ずパイロット噴射量が大きくなるため、基準値を設定する際に生じる失火を迅速に抑制することができる。
・本実施形態では、失火が発生して基準値が設定された場合(ステップS17)には、補正係数Kiを「1」とした。このため、失火が発生したときには、最悪の条件における第2パイロット噴射量Qplmaxと同じになる。すなわち、失火が発生したときには必ず最大の第2パイロット噴射量Qplmaxによりパイロット噴射を行うので、そのときの失火をより迅速に抑制することができる。
・本実施形態では、補正係数Kiを「0」以上「1」以下の値とし、(5)式を用いてパイロット噴射量を算出した。このため、失火が発生したときには、悪条件におけるパイロット噴射量と同じになるとともに、そのときを「1」として補正係数Kiに応じて第2条件のパイロット噴射量を考慮しながら、噴射されるパイロット噴射量を容易に算出することができる。
・本実施形態では、ディーゼルエンジン1を起動して最初の失火が生じるまでは、初期設定値の「0」を補正係数Kiとして用いた。このため、失火が発生したときの最終パイロット噴射量Qplfinは第2パイロット噴射量Qplmaxとなるため、発生した失火を迅速に抑制することができる。
・本実施形態では、アクセル開度ACCPFの変化が増加し、かつエンジン回転数NEの変化が所定値よりも低下しているときに、ステップS17以下の制御を行った。このような場合、失火が生じている可能性が高いため、適切に失火であるとして、第2パイロット噴射量Qplmaxでパイロット噴射することにより、効率的に失火を抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態においては、補正係数Kiの初期設定値を「0」とした。これに代えて
、補正係数Kiの初期設定値として、前回のトリップ(エンジンを起動してから停止するまでの1回の連続運転)のときに多用された補正係数Kiや、前回のトリップにおける最後の補正係数Kiを用いてもよい。具体的には、現在のトリップで多用された補正係数Kiや最終の補正係数Kiを、ECU50に次回の初期設定値として記憶させる。前回のトリップにおける補正係数Kiを使用することにより、ディーゼルエンジン1の個々の特性や燃料性状など長期にわたって変動しない条件を考慮した補正係数Kiに早期にすることができる。また、エンジンが起動してから補正係数Kiが最適値となるまでの時間を短くして、失火頻度を抑えることができる。
また、補正係数Kiの初期設定値として、水温thwによる1次元マップから算出される値を用いてもよい。すなわち、水温thwに対応した補正係数Kiの初期設定値をECU50に記憶させる。水温thwは急激に変動しないが失火に大きく影響するため、この水温thwに対応する初期設定値を用いることにより、補正係数Kiの最適値となるまでの時間を短くして、失火頻度を抑えることができる。
○上記実施形態においては、基準値として、基準水温thw0、基準吸気温tha0及び基準大気圧pa0を用いた。これに限定されず、例えば、吸気圧、燃料性状、インジェクタの経年変化などの条件を基準値としてもよい。すなわち、上記(5)式を気圧、燃料性状、インジェクタの使用期間を加味する補正係数Kiが算出されるような式にすればよい。これにより、他の運転条件の変化に基づいて失火を効率的に抑制することができる。
○上記実施形態においては、失火が発生し、かつ前提条件が成立したときにのみ、基準値を設定した(ステップS17)。これに限らず、失火が発生する場合には、いつでも基準値を設定してもよいし、他の前提条件を用いてもよい。ここで、他の前提条件とは、例えば、水温thwが30℃以上の場合にのみ行うなど所定の環境条件となった場合や、走行距離が所定以上となった場合などである。これにより、水温thwなどが安定して最適値となる補正係数Kiの値に近い場合にのみ本制御を行うことができ、運転条件を加味して失火をより効果的に抑制することができる。
○上記実施形態においては、補正係数Kiを算出する(5)式の係数A,B,Cは、それぞれ無関係に独立しているとして説明した。これに代えて、それぞれ相互に関係した値となっている係数A,B,Cを用いてもよい。
○上記実施形態においては、アクセル開度ACCPFの変化が増加しており、かつエンジン回転数NEの変化が急激に失速している場合に失火が発生していると判断した。これに限らず、失火が発生しているか否かの判断は、他の手法により判断してもよい。また、失火が発生しているか否かを判断するときの定数aの値は、トランスミッション30のシフトポジションセンサ31に基づいて設定してもよい。例えば、クラッチ継合時でないニュートラルポジションをシフトポジションセンサ31が検出した場合の定数aは、クラッチ継合時の場合の定数aより小さく設定する。これにより、動力が継合されている場合に生じやすいエンジン回転数の変化の変動を考慮して失火を判断することができる。
○上記実施形態においては、最悪条件下における第2パイロット噴射量Qplmaxと最良条件下における第1パイロット噴射量Qplとに基づいて最終パイロット噴射量Qplfinを算出した。これに限らず、ディーゼルエンジン1がパイロット噴射を行うときの運転条件が常にそれら2つの条件の間となるような条件におけるパイロット噴射量を用いれば、最悪条件や最良条件におけるパイロット噴射量でなくてもよい。すなわち、適用されるディーゼルエンジン1において最大のパイロット噴射量と、最小のパイロット噴射量の値に関連する2つの値があれば、最悪条件下におけるパイロット噴射量及び最良条件下におけるパイロット噴射量を用いなくてもよい。
○上記実施形態においては、パイロット噴射条件として最終パイロット噴射量Qplfinを用いた。パイロット噴射条件は、これに限られるものではなく、例えばパイロット噴射時期、パイロット噴射圧などであってもよい。
○上記実施形態においては、サプライポンプ6からコモンレール4内に燃料を圧送し、同コモンレール4からインジェクタ2に対して燃料を供給する構成を採用した。これに限らず、いわゆる分配型のサプライポンプを用いるようにし、同ポンプから各インジェクタ2に対して燃料を供給するようにした構成を採用することもできる。
○上記各実施形態では、本発明に係る燃料噴射制御装置をディーゼルエンジンに適用するようにしたが、インジェクタから燃焼室内に直接燃料を噴射供給する直噴式ガソリンエンジンに適用することもできる。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記運転条件は、前記内燃機関の経年変化係数、内燃機関の個体差係数の少なくとも1つ以上の条件を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置。
従って、この(a)に記載の発明によれば、運転条件は、環境条件に基づく値以外に、内燃機関の経年変化や個体差による運転条件に関する値である。このため、内燃機関の経年変化や個体差に応じてより効率的に失火を抑制することができる。
(b)前記第1パイロット噴射量は、最小のパイロット噴射量であって、
前記決定手段は、前記補正係数を用いて、前記第1パイロット噴射量と、前記第2パイロット噴射量との間のパイロット噴射量を算出することを特徴とする請求項3に記載のパイロット噴射制御装置。
従って、この(b)に記載の発明によれば、補正係数による重み付けを行ったパイロット噴射量を第1パイロット噴射量と第2パイロット噴射量とから算出するので、パイロット噴射量は、第1パイロット噴射量と第2パイロット噴射との間のパイロット噴射量として算出される。そして、第1パイロット噴射量が運転状態に対して最小のパイロット噴射量であり、第2パイロット噴射量が運転状態に対して最大のパイロット噴射量である。最終パイロット噴射量は、第1パイロット噴射量と第2パイロット噴射量の間で調節されるため、広い範囲で条件が変化しても、その条件に適用することができる。従って、パイロット噴射量を調整して、失火の発生を抑制することができる。
(c)前記補正係数は、0以上1以下の値であり、
前記決定手段は、前記傾向度と第1パイロット噴射量との積と、1から前記補正係数を減算した値と第2パイロット噴射量との積と、の和によって、前記パイロット噴射量を算出することを特徴とする請求項3〜8、前記(a)、(b)のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置。
従って、この(c)に記載の発明によれば、補正係数は0以上1以下の値であり、決定手段は、前記補正係数と第1パイロット噴射量との積と、1から前記補正係数を減算した値と第2パイロット噴射量との積とを算出する。そして、決定手段は、算出した2つの積を足すことによりパイロット噴射量を算出する。このため、失火が発生したときには、悪条件におけるパイロット噴射量と同じになるとともに、そのときの補正係数を1とする重み付けにより第1及び第2パイロット噴射量に基づくパイロット噴射量を容易に算出する
ことができる。
(d)前記所定の前提条件は、前記内燃機関の回転数が所定範囲内にあり、かつ前記悪条件下におけるパイロット噴射量が噴射したパイロット噴射量よりも多くなっている場合であることを特徴とする請求項5に記載のパイロット噴射制御装置。
従って、この(d)に記載の発明によれば、基準値を設定するときには、エンジンの回転数NEを所定範囲内としているので、回転数が大き過ぎたり、小さ過ぎたりする場合、失火判断を誤認する可能性があるが、このような範囲においては制御を行わず、より的確な制御を行うことができる。また、前提条件を「最終パイロット噴射量Qplfinを第2パイロット噴射量より小さいとき」とすることにより、失火が生じて基準値が設定されるときのパイロット噴射量は、それよりも小さくなることはない。このため、失火が生じた場合には、必ずパイロット噴射量が大きくなるため、基準値を設定する際に生じる失火を迅速に抑制することができる。
(e)前記設定手段は、アクセル開度変化が増加し、かつ前記内燃機関の回転数の変化が所定の変化基準値よりも低下しているときに失火が発生しているとして、このときの運転条件を基準値として設定することを特徴とする請求項1〜8、前記(a)〜(d)のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置。
従って、この(e)に記載の発明によれば、アクセル開度変化が増加し、かつエンジン回転数の変化が急に低下しているときに失火が発生しているとして基準値を設定する。このため、適切に失火の発生に応じて制御を行うことができ、効率的に失火を抑制することができる。
(f)前記設定手段は、前記内燃機関の出力軸が動力部に伝達されている場合の第1の前記変化基準値は、前記内燃機関の出力軸が動力部に伝達されていない場合の第2の前記変化基準値より大きい値であることを特徴とする前記(e)に記載のパイロット噴射制御装置。
従って、この(f)に記載の発明によれば、例えば内燃機関の出力軸が動力部に接続されており、路面の変動などにより動力部からの変動を受けて失火と誤認されやすい場合には、変化基準値が大きい。これにより、動力部からの内燃機関の回転数による変動を受けても、失火の発生を適切に判断することができ、効率的に失火を抑制することができる。
(g)請求項1〜8及び前記(a)〜(f)に記載のパイロット噴射制御装置を備えたことを特徴とする内燃機関。
従って、この(g)に記載の発明によれば、その時々の運転条件を考慮して失火を効率的に抑えることのできる内燃機関を提供することができる。
本発明の一実施形態における燃料噴射制御装置の概略構成図。 実施形態における処理手順を説明するための流れ図。 最良条件下の第1パイロット噴射量を算出するためのマップ例を示す略図。 最悪条件下の第2パイロット噴射量を算出するためのマップ例を示す略図。
符号の説明
Ki…補正係数、NE…内燃機関としてのエンジンの回転数、pa…大気圧、pa0…基準大気圧、Qpl…第1パイロット噴射量、Qplmax…第2パイロット噴射量、Qplfin…噴射するパイロット噴射量、tha…吸気温、tha0…基準吸気温、th
w…水温、thw0…基準水温、50…パイロット噴射制御装置としての電子制御装置。

Claims (8)

  1. 燃料のメイン噴射に先立って行うパイロット噴射を制御する内燃機関のパイロット噴射制御装置であって、
    機関運転状態に基づいて第1パイロット噴射条件を設定するための第1の関数、並びに同機関運転状態に基づいて第2パイロット噴射条件を設定するための第2の関数を記憶する記憶手段と、
    失火が発生する度に、その失火が発生したときの運転条件を基準値として設定する設定手段と、
    前記基準値と現在の運転条件との乖離度を算出し、この乖離度に基づいて補正係数を算出する算出手段と、
    前記各関数に基づいて現在の機関運転状態に対応する第1パイロット噴射条件及び第2パイロット噴射条件を決定するとともに、これら第1パイロット噴射条件及び第2パイロット噴射条件に対して前記補正係数による重み付けに基づいてパイロット噴射条件を決定する決定手段と
    を備えることを特徴とするパイロット噴射制御装置。
  2. 前記運転条件は、冷却水温度、吸気温度、大気圧の少なくとも1つ以上の条件を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパイロット噴射制御装置。
  3. 前記第1パイロット噴射条件及び前記第2パイロット噴射条件は、パイロット噴射量であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパイロット噴射制御装置。
  4. 前記第2パイロット噴射条件としてのパイロット噴射量は、最大のパイロット噴射量であって、
    前記決定手段は、前記基準値を設定したときに、前記パイロット噴射条件として前記第2パイロット噴射条件のパイロット噴射量を用いることを特徴とする請求項3に記載のパイロット噴射制御装置。
  5. 前記設定手段は、前記失火が発生し、かつ所定の前提条件が成立したときにのみ、前記基準値を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置。
  6. 前記決定手段は、前記補正係数の初期設定値を保持し、
    前記内燃機関を起動して前記失火が発生するまでは、前記初期設定値を用いてパイロット噴射条件を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のパイロット噴射制御装置。
  7. 前記補正係数の初期設定値は、前回の運転時に用いた補正係数に基づいて算出される値を用いることを特徴とする請求項6に記載のパイロット噴射制御装置。
  8. 前記補正係数の初期設定値は、前記内燃機関の冷却水の温度に基づいて算出される値であることを特徴とする請求項7に記載のパイロット噴射制御装置。
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