JP2005171378A - 配線膜用Al合金膜および配線膜形成用スパッタリングターゲット材 - Google Patents

配線膜用Al合金膜および配線膜形成用スパッタリングターゲット材 Download PDF

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Abstract

【課題】 高精細な大型TVや低いプロセス温度の種々の平面表示装置に適応可能なより低抵抗で高い信頼性を有する優れた配線膜用Al合金膜とそのAl合金膜を形成するためのスパッタリング用ターゲットを提供する。
【解決手段】 添加元素としてGeを0.2〜1.5原子%、さらにNiを0.2〜2.5原子%含み、添加元素の総和が3.0原子%以下、残部実質的にAlからなる配線膜用Al合金膜である。また、上記組成の配線膜用Al合金膜を得るための、Geを0.2〜1.5原子%、さらにNiを0.2〜2.5原子%含み、添加元素の総和が3.0原子%以下、残部実質的にAlからなる配線膜形成用スパッタリングタ−ゲット材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板上に薄膜を形成して製造される平面表示装置(Flat Panel Display、以下、FPDという)等に用いられる配線膜および配線膜形成に用いられるスパッタリングタ−ゲット材に関するものである。
例えば、ガラス基板またはSiウェハ−上に薄膜を積層して製造されるFPDとしては、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDという)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、ELDという)、電子ペーパー等の種々の新規製品が活発に研究、開発がされている。
FPDの配線膜には、透明導電膜である酸化物のITO(Indium-Tin-Oxide)を用いたり、より高精細な表示の必要な場合には表示電極としてITOを、またより低抵抗で基板との密着性、耐熱性に優れる高融点金属のCrやMoおよびその合金膜を配線膜として用いている。さらに近年、15インチの液晶TVでは動画を表示するための高速駆動が必要であり、より低抵抗な配線膜としてAlおよびAl合金膜が用いられている。
Alは、耐熱性に劣ると言う欠点を有している。つまり、Al膜ではFPDや各種デバイスの製造工程中の加熱工程において、応力緩和に伴うヒロックやウィスカ−が発生し、電気的な短絡や保護膜の欠陥を引き起こす場合がある。このため、Alに添加元素を加えてAl膜を合金化したり、Al膜の表面を他の金属膜で覆う等によりヒロック等の抑制が図られている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
特許第2733006号 特開2001−350159号
また、今後、小型の携帯機器用ディスプレイ等においては、耐衝撃性や軽量化のためにガラス基板等に替えて、樹脂基板や樹脂フィルム等を用いているため、低いプロセス温度で低い抵抗値の配線膜が必要である。また、30インチ以上、さらに50インチ以上の大型LCDや自発光の有機ELDでハイビジョンTV等の高品位な表示を実現するには、高精細化とともに動画に対応した高速応答性を向上する為に、低抵抗な配線膜が必要である。
従来、上記に示したAl合金膜は、耐熱性の向上のために種々の添加元素を加え、製造プロセス中で高温の加熱処理を行うことで低抵抗な膜を得ている。例えば特許文献1に記載のAlに2原子%Ndを加えたAl−Nd合金膜は、室温で基板上に成膜した状態の比抵抗は16μΩcmであり、比抵抗が12μΩcm程度の高融点金属のMoに劣る。Al−Nd合金膜は加熱処理により急激に比抵抗が低下し、350℃以上の加熱処理等を行うことにより6μΩcm程度に低減することが可能となる。以上のようにAl合金膜は製造プロセス中での加熱処理を施すことを前提に添加元素を選定し、耐熱性の向上と低抵抗化を図っている。
このため、十分な加熱処理を行う事の出来ない樹脂基板上等では従来のAl合金膜は低い抵抗値を得難い。また、加熱工程を前提にプロセスを構築する必要があり、製造工程の自由度が少なく、種々のFPDに簡単に適応することが難しい。さらに加熱温度により抵抗値が大きく変化する問題点かある。
また、Al−Nd合金膜においては、微細配線とした場合に断線が発生する場合があり信頼性に問題がある。この原因は定かでないが、熱処理を行った際の膜の体積収縮に起因すると考えられる。このため、低温から高温までの幅広い温度範囲に繰り返し放置される厳しい環境で使用される車載用や観測機器等の表示装置に用いることが難しいという問題を有している。
本発明の目的は、上述の問題点を鑑みてなされたものであり、今後の高精細な大型TVや低いプロセス温度の種々の平面表示装置に適応可能な、より低抵抗で高い信頼性を有する優れた配線膜用Al合金膜とそのAl合金膜を形成するためのスパッタリング用ターゲット材を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するべく、鋭意検討を行った結果、AlにNiとGeを所定量添加してAl合金膜とすることにより、配線膜として優れた耐熱性、信頼性と低抵抗なAl合金膜が得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明の配線膜用Al合金膜は、添加元素としてGeを0.2〜1.5原子%、さらにNiを0.2〜2.5原子%含み、添加元素の総和が3.0原子%以下、残部実質的にAlからなるAl合金膜である。
また、好ましくは、添加元素としてGeを0.2〜0.8原子%、さらにNiを1.0〜2.0原子%含み、添加元素の総和が2.5原子%以下、残部実質的にAlからなる配線膜用Al合金膜である。
また、本発明は上記組成の配線膜用Al合金膜を得るための、添加元素としてGeを0.2〜1.5原子%、さらにNiを0.2〜2.5原子%含み、添加元素の総和が3.0原子%以下、残部実質的にAlからなる配線膜形成用スパッタリングタ−ゲット材である。
また、好ましくは、添加元素としてGeを0.2〜0.8原子%、さらにNiを1.0〜2.0原子%含み、添加元素の総和が2.5原子%以下、残部実質的にAlからなる配線膜形成用スパッタリングタ−ゲット材である。
本発明は、低抵抗かつ耐熱性、信頼性を有したAl合金膜であるために、今後低抵抗化が必要な大型液晶TVや電子ペ−パ−等のFPD用配線膜としてきわめて有効なものとなる。また、本発明の配線膜用Al合金膜を形成する場合、ターゲット材を用いたスパッタリングが最適である。スパッタリング法でFPDの大面積の基板に安定に、ターゲット材とほぼ同組成の膜が形成できるためであり、本発明の配線膜用Al合金膜を安定に形成することが可能となる。
本発明の重要な特徴は、平面表示装置等の電子部品に要求される低抵抗かつ耐熱性、パタ−ン形成、断線を抑制した高信頼性といった配線膜に要求される課題を解決するのに最適な合金構成として、AlにGeとNiを複合添加したAl合金膜を見いだしたところにある。
以下に本発明の配線膜用Al合金膜で、添加元素にGeとNiを選定した理由およびその添加量を選定した理由を説明する。
AlにGeを添加する効果は、Al合金膜の加熱時のマイグレーションを抑制して耐熱性を向上させることと耐食性を改善できることである。その改善効果の理由は明確でないが、次のように推測される。一般に、表示装置等で金属膜を形成する方法として、代表的にはスパッタリング法が用いられている。スパッタリング法により基板上に薄膜を形成した際には、添加元素は非平衡状態で固溶される。Alに対して約400℃で約2原子%の固溶域を有する元素であるGeは、Alに固溶することでAlそのものの性質を変化させ、Alのマイグレ−ションを抑制する。さらに、AlへのGeの固溶が粒界腐食も防ぐために表示装置等を製造する際に使用される薬液等による腐食に対する耐食性を向上させ、信頼性の高いAl合金膜とすることが可能となる。
さらに、Niを添加することで耐熱性向上にさらに高い効果が得られる。この理由は以下のように推測している。NiはAlおよびGeと化合物を形成する元素であり、AlやGeの原子移動を抑制し、微細で緻密な膜組織となるとともに膜中ボイドが減少する。また、加熱処理を実施した場合には、Alと化合物を形成するNiと、Alに固溶しているGeが、Alの原子の移動を抑制する。さらに、加熱処理によりAl−Ge−Ni合金は平衡状態に近づくために、低温域でAlとの固溶域の少ないGeは、Alと分離し、NiGe化合物もしくはAlNiGeの複合化合物を形成しようとする。そして、これらの化合物が粒界や膜表面に析出することで、Alの粒成長とヒロックの発生が抑制されるので高い耐熱性を有することが可能となると考えられる。
これらの改善効果は、Geの添加量が0.2原子%未満では十分ではなく、添加量が多くなるとともに抵抗値が増加するため、添加量は0.2〜1.5原子%の範囲であることが望ましい。さらにNiを添加する効果は0.2原子%未満では十分でなく添加量によりその改善効果は増加するが2.5原子%を越えると低い抵抗値を維持できなくなる。さらにAl−Ge−Ni合金膜として、耐熱性、信頼性と低い抵抗値を得るためには、GeとNiの添加量の総和は3.0原子%以下であることが望ましい。
さらに配線膜として、最も望まれる低い抵抗値の維持と耐熱性、信頼性を満たすにはGeは0.2〜0.8原子%、Niは1.0〜2.0原子%、添加する元素の総量を2.5原子%以下である。
また、本発明のAl合金膜は、配線パターンへの加工を行う際に実施される薬液を用いたウェットエッチング時にも、微細な膜組織を有しているために、配線幅を安定に形成することが可能である。さらに、本発明で選定したGeとNiはドライエッチング時にエッチングガスに含まれるハロゲン元素と反応しても揮発性の低い生成物を発生しない。このため、本発明のAl−Ge−Ni合金膜は、ドライエッチングの際に残渣が生じにくいため、より精細な配線パターンを形成できるドライエッチングの適用も可能である。
また、本発明のAl合金膜は、LCD等のFPDにおける画素電極であるITO(Indium-Tin-Oxcide)膜と製造工程中のフォトエッチング工程を経た後も電気的なコンタクトを得ることも可能である。従来の純AlやAl−Nd合金等のAl系膜は、フォトエッチング工程での薬液浸積時に、局部電池作用によってITO膜とAl系膜との接触界面にAlの酸化物を生じてコンタクトが得られなくなるため、ITO膜とAl系膜との間にCr、Mo、Ti等のバリヤ膜を形成していた。本発明のAl合金膜では、Alに電極電位を上げる効果のあるNiと、Alと分離してNiの界面への移動を促進するGeを適量添加することで、ITO膜との接触界面の局部電池作用を抑制し、電気的なコンタクトを維持することが可能となるため、従来のAl系膜とITO膜の間に形成していたCr、Mo、Ti等のバリヤ膜をなくした配線、電極を形成することも可能となる。この際の、NiおよびGeの添加量は、Geを0.2〜0.8原子%、Niを1.0〜2.0原子%、添加する元素の総量を2.5原子%以下とすることが、ITOとのコンタクト性と低抵抗を維持する上から好ましい。
また、Geと同様の効果が期待できる元素としてSiがあるが、SiはAlに添加した場合の抵抗値の増加と耐熱性、耐食性の効果がGeより劣るため、Geが最も望ましい。
また、Niと同様の効果が期待できる元素としてCoやFe、Pd、Ptもあるが、Co、FeはNiに比較して添加した場合の抵抗値の増加が大きいため、また、Pd、Ptは高価な元素であるため、NiがGeと組み合わせる場合に最も望ましく優れた特性を有するAl合金膜が得られる。
本発明のAl合金膜は、上述のように、Alの欠点を改善し、必要最少量のGeとNiを添加することで、成膜時から容易に比抵抗で12μΩcm以下の低い電気抵抗を得ることが可能であり、配線膜としての利用に適している。
本発明のAl合金膜を形成する際に用いる基板として、ガラス基板、Siウェハーを用いることが好適である。これらの基板は表示装置を製造する上でプロセス安定性に優れるとともに、本発明のAl合金膜を形成する際に基板を加熱することで、室温で成膜する場合よりも低い抵抗値を有するAl合金膜を得ることが可能となる。
また、本発明のAl合金膜は成膜ままでも低い抵抗値を有しているために、十分な加熱を行えない樹脂基板上にデバイスを形成するシ−トディスプレイやフレキシブルディスプレイ等の配線膜としても好適である。
また、本発明の配線膜を形成する場合、本発明の配線膜と同じ組成を有するAl合金膜形成用スパッタリングターゲット材を用いたスパッタリングが最適である。スパッタリング法ではターゲット材とほぼ同組成の膜が形成できるためであり、本発明のAl合金膜を安定に形成することが可能となる。
ターゲット材の製造方法については種々あるが、一般にターゲット材に要求される高純度、均一組織、高密度等を達成できるものであれば良い。例えば、真空溶解法により所定の組成に調整した溶湯を金属製の鋳型に鋳込み、さらにその後、鍛造、圧延等の塑性加工により板状に加工し、機械加工により所定の形状のターゲットに仕上げることで製造できる。また、さらに均一な組織を得るために粉末焼結法、またはスプレ−フォ−ミング法(液滴堆積法)等で急冷凝固したインゴットを用いても良い。
なお、本発明の配線膜用Al合金膜および配線膜形成用スパッタリングターゲット材は、添加元素以外の成分元素は実質的にAlとしているが、本発明の作用を損なわない範囲で、ガス成分である酸素、窒素、炭素等の不可避的不純物を含んでもよい。例えば、ガス成分の酸素、窒素、炭素は各々50ppm以下であり、ガス成分を除いた純度として99.9%以上であることが望ましい。
また、表示素子を製造する場合に用いる基板は、上述のようにガラス基板、Siウェハー等が好適であるが、スパッタリングで薄膜を形成できるものであればよく、例えば樹脂基板、絶縁処理を施した金属基板、その他樹脂箔、金属箔等でもよい。
本発明のAl合金膜は、安定した特性を得るために膜厚としては100〜300nmとすることが好ましい。膜厚が100nm未満であると、膜が薄いために表面散乱の影響が大きくなり抵抗値が増加し易くなる。一方、膜厚が300nmを超えると、結晶粒が成長して膜表面形態の凹凸が大きくなり平滑性が保てなくなるとともに、膜応力によって膜が剥がれ易くなったり、膜を形成する際に時間が掛かり、生産性が低下するためである。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
まず、以下に述べる方法でAl合金タ−ゲット材を製造した。
Alに各種の添加元素を加えたAl合金膜の目標組成と実質的に同一となるように原料を配合し真空溶解炉にて溶解した後、鋳造することでAl合金インゴットを作製した。次に塑性加工により板状に加工した後、機械加工により直径100mm、厚さ5mmのスパッタリングターゲット材を作製した。
上記で作製した種々の組成のターゲット材を用いてスパッタリング法により寸法100×100mmの平滑なガラス基板上に膜厚200nmの純Al膜およびAl合金膜を形成し、4探針法により比抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。
また、表示装置としての所定の製造工程を経た後での膜特性の変化を評価するために、上記で形成した純Al膜およびAl合金膜の耐熱性を評価した。まず、上記で形成した純Al膜およびAl合金膜を大気中で温度250℃、1時間の加熱処理を施した後に比抵抗を測定した。その後、基板を10×10mmに切断し、その際の純Al膜およびAl合金膜の膜表面状況を電解放射型走査型電子顕微鏡(以下FE−SEMという)により観察し、それぞれに関して2.5×2.5μmの視野で各10箇所でのヒロック等の突起の発生状態を確認した。FE−SEMによる膜表面観察は、膜面に対して斜め45゜方向から観察し、観察倍率は5万倍で行った。そして、膜表面にヒロックが発生していない物を良好として○、膜表面にヒロックの発生している物を×と評価して、加熱処理後の比抵抗とともに膜表面評価として表1に示す。
図1に純Al膜(試料No.1)、Al−2原子%Nd膜(試料No.2)と、本発明のAl−0.6原子%Ge−1.5原子%Ni膜(試料No.5)、Al−0.6原子%Ge−1.0原子%Ni膜(試料No.10)、Al−0.3原子%Ge−1.0原子%Ni膜(試料No.18)の膜表面をFE−SEMで観察した写真を示す。純Alでは膜表面に大きな突起であるヒロックが多数発生している。Al−2原子%Nd膜とAl−0.6原子%Ni−1.5原子%Ge膜では、ヒロックが発生していない良好な膜であることがわかる。また、Al−2原子%Nd膜よりも、Al−0.6原子%Ge−1.5原子%Ni膜、Al−0.6原子%Ge−1.0原子%Ni膜、Al−0.3原子%Ge−1.0原子%Ni膜の方が膜の結晶粒が細かく膜表面が平滑であるので、耐熱性に優れている事がわかる。
また、図3に、本発明である試料No.10のAl−0.6原子%Ge−1.0原子%Niターゲット材、試料No.18のAl−0.3原子%Ge−1.0原子%Niターゲット材の光学顕微鏡写真を示す。
表1および図1から、純Al膜(試料No.1)は、低い比抵抗を有するが、加熱処理を行なうと膜表面にヒロックと呼ばれる大きな突起が観察されることが分かる。Al−2原子%Nd膜はヒロックの発生はないが比抵抗が高い。一方、本発明のAlにGeとNiを添加したAl合金膜では、成膜時に12μΩcm以下、加熱処理後に6μΩcm以下の低い比抵抗とヒロックの発生のない高い耐熱性を有していることがわかる。さらに、試料No.3〜14の評価結果から、GeとNiの添加量は各々の元素の添加量が少ないとヒロックの抑制効果が十分でなく、添加量の総和が3.0原子%を越えると比抵抗が高くなることが分かる。
また、試料No.15〜17からGe、Niに近い元素であるSi、Ga、Coを添加した場合には、低い比抵抗が得難く、GeとNiが最も低い比抵抗が得られる組合せであることがわかる。
つぎに、表2に示す純Al膜およびAl合金膜を表示装置に実装して長時間使用した場合を想定した信頼性評価を行った。まず、寸法100×100mmのガラス基板上に、図2に示す幅20μm、高さ5μm、テ−パ−角45°の凸部2を各々の凸部の間隔を200μmとして形成したガラス基板1を用意した。この凸部2を形成したガラス基板1上に実施例1で作製した純AlおよびAl合金ターゲット材のうち表2に示す組成のターゲット材を用いて、スパッタリング法により膜厚200nmの純Al膜およびAl合金膜3を形成した。その後、フォトエッチング工程により、燐酸、硝酸、酢酸混合液でエッチングを施して、ガラス基板上1に形成した凸部2に対して直角に交差する短冊状になるように純Al膜およびAl合金膜パターンに加工した。
純Al膜およびAl合金膜パタ−ンの形状は、幅5、10、20、30μmの短冊状のパタ−ンを各々25本づつ計100本形成した素子を1ブロック(30×30mm)とし、100×100mmのガラス基板上に9ブロック形成した。その後に、保護膜となる酸化シリコンを上記の純AlおよびAl合金膜上にスパッタリングにより約3μm形成し、さらにスピンコ−トによりポリイミド膜を3μm形成した。ポリイミドは窒素雰囲気中で350℃の温度でキュアした。その後、上記パタ−ンを有する1ブロックを切断して切り離し、作製した短冊状の純Al膜およびAl合金膜の両端から5Vの電圧を印加し、温度60℃、湿度80%の高温高湿の環境に300時間放置した後の比抵抗の変化と断線した本数を測定した。純Al膜およびAl合金膜パターンの断線した本数の割合および腐食状態を評価し、その結果を表2に示す。
表2から純Alは耐食性が低いために腐食し、その断線率が高いことが分かる。Al−2原子%Ndは腐食していないが断線率が純Al膜よりも高く信頼性に劣ることがわかる。それに対して本発明のAlにGeとNiを添加した試料No.5、6、10、11、18のAl合金膜は腐食の発生もなく断線率が低く、信頼性が高いことがわかる。
また、試料No.3、12のAl合金膜からGe、Niとも添加量が少ない場合は断線率が高くなり、腐食が発生する場合があることが分かる。
また、表3に示す純Al膜およびAl合金膜とITO膜との電気的なコンタクトに関する評価を行った。平滑な25×50mmのガラス基板上1に、スパッタリング法により膜厚200nmの純Al膜およびAl合金膜3を形成し、エッチングにより幅5mmの短冊状のパタ−ンを形成した。さらに、この純Al膜およびAl合金膜上に一部積層構造となるようにマスクスパッタリングによって膜厚200nmのITO膜4を形成した膜積層パターンを作製した。この膜積層パターンの断面模式図を図4に示す。この膜積層パターンを用いて4端針プロ−ブ5で、純Al膜およびAl合金膜パタ−ンとITO膜間の抵抗値を測定し、膜積層時のITOコンタクト性として表3に示す。また、上記の膜積層パターンを、東京応化製のアルカリ現像液であるNMD−3に60秒間浸漬させた後の膜積層パターンを用いて、再度純Al膜およびAl合金膜パタ−ンとITO膜間の抵抗値を4端針プロ−ブで測定した。その結果を現像液浸漬後のITOコンタクト性として表3に示す。なお、表3に測定不能と表記したものは、導通が得られていないことを示している。
表3に示すように、純Al膜やAl−Nd膜ではフォトエッチング工程を経た後は、電気的な導通が得られないが、本発明のAl合金膜では同様の工程を経た後にも電気的な導通が得られていることがわかる。
本発明例および比較例の膜を250℃で加熱した後の膜表面の5万倍の電解放射型走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2における凸部を有するガラス基板上を示す模式図である。 本発明のターゲット材の例を示す光学顕微鏡によるミクロ組織写真である。 実施例3におけるITOコンタクト性を評価した膜積層パターンの断面模式図である。
符号の説明
1.ガラス基板
2.凸部
3.純AlおよびAl合金膜
4.ITO膜
5.4端針プローブ

Claims (4)

  1. 添加元素としてGeを0.2〜1.5原子%、さらにNiを0.2〜2.5原子%含み、添加元素の総和が3.0原子%以下、残部実質的にAlからなることを特徴とする配線膜用Al合金膜。
  2. 添加元素としてGeを0.2〜0.8原子%、さらにNiを1.0〜2.0原子%含み、添加元素の総和が2.5原子%以下、残部実質的にAlからなることを特徴とする請求項1に記載の配線膜用Al合金膜。
  3. 添加元素としてGeを0.2〜1.5原子%、さらにNiを0.2〜2.5原子%含み、添加元素の総和が3.0原子%以下、残部実質的にAlからなることを特徴とする配線膜形成用スパッタリングタ−ゲット材。
  4. 添加元素としてGeを0.2〜0.8原子%、さらにNiを1.0〜2.0原子%含み、添加元素の総和が2.5原子%以下、残部実質的にAlからなることを特徴とする請求項3に記載の配線膜形成用スパッタリングタ−ゲット材。
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