JP2005170878A - 抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物 - Google Patents

抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 抗菌効果が高く、貯蔵安定性のよい抗菌液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】 (a)亜鉛 0.001〜0.5質量%、(b)炭素数4〜12のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル 0.1〜10質量%、(c)陰イオン界面活性剤 5〜50質量%、及び調整量の水を含有する抗菌液体洗浄剤組成物。(a)及び(b)成分の併用による相乗作用により抗菌効果が高められるので、(a)成分の含有量を少量にすることができ、その結果、高濃度の(c)成分と併用した場合でも貯蔵安定性がよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物に関する。
一般に洗浄剤は、洗浄力の点から陰イオン界面活性剤が用いられており、特に食器洗い用の洗浄剤は、省資源の観点から、陰イオン界面活性剤濃度を高めた濃縮タイプの組成物が提案されている。また、衛生に対する意識の高まりから、洗浄剤分野においても抗菌剤等を配合し、洗浄対象物の細菌を除去したり、菌の繁殖を抑制したりするなどの研究が行われている。
しかしながら、陰イオン界面活性剤の濃度が高い食器洗い用洗浄剤組成物においては、従来用いられている抗菌剤では効果が発現し難く、満足できる抗菌効果を得るためには多くの抗菌剤を用いなければならなかった。
亜鉛化合物を殺菌剤として用いる技術はすでに知られている。特許文献1には、抗菌剤を含有する液体洗浄剤組成物が開示され、抗菌剤として亜鉛が有効であることが記載されている。特許文献2には、抗菌消臭洗浄性ワックスの技術が開示されており、抗菌作用又は消臭作用を有する金属として亜鉛が有効であることが記載されている。特許文献3には、粉末洗浄剤に抗菌剤を含有する技術が開示されており、亜鉛が抗菌剤として有効であることが記載されている。なお、抗菌剤以外の目的で亜鉛化合物を用いる技術も知られている。(特許文献4、特許文献5、特許文献6)
モノアルキルグリセリルエーテルを洗浄剤として用いる技術もすでに知られており(特許文献7、特許文献8)、モノアルキルグリセリルエーテル自体が抗菌剤として作用することも特許文献9〜11に開示されている。
特開2001−181154号公報 特開2000−198950号公報 特開平7−118696号公報 特開2001−172696号公報 特開2001−172697号公報 米国特許4992212号 特開2001−131592号公報 特開2001−19993号公報 特開昭51−76424号公報 特表平11−501954号公報 特許2898246号公報
特許文献1〜3に開示された抗菌剤としての亜鉛化合物では、陰イオン界面活性剤の濃度が高い食器洗い用洗浄剤組成物において満足できる抗菌効果を得るためには、多くの量を使用しなければならないという問題がある。また、亜鉛化合物を多量に用いると、貯蔵中に亜鉛化合物と陰イオン界面活性剤により沈澱が形成されるなどの不都合が生じるため、貯蔵安定性に問題がある。
また、特許文献7、8では、モノアルキルグリセリルエーテルは洗浄力強化、起泡性などを目的として使用されたものであり、特許文献9〜11では、モノアルキルグリセリルエーテルを抗菌剤として用いているものの、モノアルキルグリセリルエーテルの濃度が非常に高い場合にのみ効果を有するものであり、陰イオン界面活性剤の濃度が高い食器洗い用洗浄剤組成物に応用しても抗菌効果を示すものではないことを本発明者らは確認している。
本発明の一つの課題は、亜鉛の抗菌効果を相乗的に向上させることにより、高い抗菌効果を発揮する抗菌剤を提供することである。
本発明の他の課題は、亜鉛の抗菌効果を相乗的に向上させることにより、低濃度の亜鉛と高濃度の陰イオン界面活性剤を併用した場合であっても、抗菌性が高く、かつ貯蔵安定性のよい抗菌液体洗浄剤組成物を提供することである。
本発明者らは、亜鉛の抗菌効果をより高めることで含有量を減少させること、及び陰イオン界面活性剤等の他の成分と配合した場合の抗菌効果及び貯蔵安定性等を高めることを目的として研究を重ねた。その結果、低濃度の亜鉛と、界面活性剤中では抗菌効果を示さないモノアルキルグリセリルエーテルとの併用による相乗効果により、抗菌効果が飛躍的に向上し、高濃度の陰イオン界面活性剤と併用した場合の貯蔵安定性も向上することを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明は、1つの課題の解決手段として、(a)亜鉛及び(b)炭素数4〜12のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルを含有する抗菌剤を提供する。
本発明は、他の課題の解決手段として、
(a)亜鉛 0.001〜0.5質量%
(b)炭素数4〜12のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル 0.1〜10質量%
(c)陰イオン界面活性剤 5〜50質量%、及び調整量の水
を含有する抗菌液体洗浄剤組成物を提供する。
本発明において抗菌とは、滅菌(目的とする対象物からすべての微生物を殺滅又は除去すること)、殺菌(微生物を殺すこと)、消毒(人畜に対して病原性のある特定の微生物を死滅させ、感染を防止すること)、除菌(目的とする対象物から微生物を除去すること)、静菌(微生物の繁殖を阻害又は阻止すること)のすべての意味が含まれる。
本発明の抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物は、(a)成分の亜鉛と(b)成分のモノアルキルグリセリルエーテルとの併用による相乗効果により、亜鉛の含有量を少量にした場合であっても、抗菌効果を飛躍的に高めることができる。このため、抗菌液体洗浄剤組成物において、(a)成分の亜鉛と(c)成分の高濃度の陰イオン界面活性剤を併用した場合でも、貯蔵安定性がよく、高い洗浄力と抗菌力を発揮できる。
本発明の抗菌剤は、(a)及び(b)成分を含有し、必要に応じて水に溶解して水溶液形態にしてもよく、賦形剤、バインダ等を用いて、粉末、成形物等の固体形態にしてもよい。固体形態にしたときは、使用時に水に溶解させるか、又は液体洗浄剤等の他の液剤に溶解させ、水溶液形態にする。
本発明の抗菌液体洗浄剤組成物は、(a)〜(c)成分を水に溶解した水溶液形態の組成物、又は(a)及び(b)成分を含む抗菌剤と(c)成分を水に溶解した水溶液形態の組成物であり、本発明の課題を解決できる範囲内で他の成分を含有することができる。
<(a)成分>
(a)成分の亜鉛は、亜鉛イオンとして含有されていることが好ましい。また亜鉛は、洗浄剤に溶解したときに解離した亜鉛イオンを生成する化合物として配合されることが好ましく、20℃の水100gにおける溶解度が5g以上、更には10g以上の亜鉛塩として配合することがより好ましい。
このような亜鉛塩としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、硫酸亜鉛アルミニウム、硫酸亜鉛カリウム、ヨウ化亜鉛等を挙げることができる。
(a)成分の亜鉛は、抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物の安定性を損なわない限り、(c)成分である陰イオン界面活性剤の対イオンや、後述するクエン酸、フタル酸、コハク酸などの有機ポリカルボン酸の塩の形態で含まれていてもよい。
(a)成分としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛が抗菌効果の点から好ましい。なお、亜鉛は、解離した亜鉛イオンと解離平衡にある全ての亜鉛を含むものとする。
抗菌剤における(a)成分の含有量(水溶液形態の含有量)は、十分な抗菌効果を示す点から、亜鉛として、好ましくは0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.2質量%、特に好ましくは0.005〜0.1質量%である。
抗菌液体洗浄剤組成物における(a)成分の含有量は、抗菌効果、低温保存時の貯蔵安定性や経済性の点で、亜鉛として、0.001〜0.5質量%、好ましくは0.001〜0.2質量%、より好ましくは0.005〜0.1質量%である。
<(b)成分>
(b)成分のモノアルキルグリセリルエーテルは、(a)成分と併用することにより、相乗的に抗菌効果を高めることができる成分である。
(b)成分は、炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するもので、抗菌効果の点から、好ましくはn−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、特に好ましくはn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基を有するものである。
抗菌剤における(b)成分の含有量(水溶液形態の含有量)は、抗菌効果の点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
抗菌液体洗浄剤組成物における(b)成分の含有量は、0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物における(a)及び(b)成分の含有比率〔(b)成分/(a)成分〕は、抗菌効果及び貯蔵安定性の点から、質量比で、好ましくは15〜5000、より好ましくは25〜2000、特に好ましくは100〜2000である。
(a)成分の亜鉛は含有量が少ないと抗菌効果が低下するが、(a)及び(b)成分を併用することで、抗菌効果が相乗的に高められる。このような効果の作用機構の詳細については不明であるが、溶解している(a)成分の亜鉛イオンの近傍に存在する水和水の一部又は全部が、(b)成分のモノアルキルグリセリルエーテル中の水酸基を介して置換され、菌の細胞壁に亜鉛イオンが浸透しやすくなるために、抗菌効果を発揮するものと推察される。また、モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基の種類により、菌の細胞壁への浸透性が異なることも抗菌効果に影響するものと考えられる。このため上記したとおり、抗菌効果を高める観点から、(b)成分のアルキル基として、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基を選択することが好ましい。
<(c)成分>
(c)成分は陰イオン界面活性剤であり、分子中に炭素数10〜18、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜15のアルキル基又はアルケニル基と、−SOM基及び/又は−OSOM基〔M:対イオン〕を有するものが好ましい。
具体的には、上記炭素数を有するアルキルベンゼンスルホン酸、アルキル(又はアルケニル)硫酸エステル、アルキレンオキシド平均付加モル数1〜6のポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル、オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、α−スルホ脂肪酸、α−スルホ脂肪酸エステル及びこれらの塩が好ましい。
(c)成分は、これらの中でも特に炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)平均付加モル数が1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3であるポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル及びこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が貯蔵安定性の点から良好である。
更に、(c)成分としてポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル及びこれらの塩を用いる場合には、洗浄効果及び貯蔵安定性の点から、好ましくはアルキル基が分岐鎖1級アルキル基であるアルコール、最も好ましくは、直鎖1−アルケンをヒドロホルミル化して得られた分岐鎖アルコールに、エチレンオキサイドを付加して製造されたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
ここで、ヒドロホルミル化とは鉄、コバルト又はニッケル等のカルボニル錯体を触媒として用い、直鎖1−アルケンに一酸化炭素を付加させてアルコールを得る方法であり、直鎖アルキル基とメチル分岐アルキル基を含有するアルコールが得られる。エチレンオキサイドの平均付加モル数は、洗浄性能及び貯蔵安定性の点から、好ましくは1.5〜6.0、より好ましくは1.6〜4.0、最も好ましくは1.8〜3.0である。
このようにして得られたアルキレンオキシド付加物を更に三酸化イオウ又はクロルスルホン酸でスルホン化し、アルカリ剤で中和してポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を得ることができる。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましく、更に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることができる。
このようにして得られたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩を含むものであり、全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩中に存在するポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテルの質量比は、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%である。
抗菌液体洗浄剤組成物における(c)成分の含有量は、洗浄効果の点から、5質量%以上であるが、多量に処方した場合、低温貯蔵安定性が低下するため、5〜50質量%、好ましくは6〜40質量%、特に好ましくは7〜30質量%である。
<その他の成分>
本発明では、エタノール及び/又はプロピレングリコール(以下(d)成分という)を含有することが(a)成分の亜鉛の抗菌作用を向上させる上で好ましい。(a)成分の亜鉛を含有しない組成物に、(d)成分のエタノール、プロピレングリコールを配合しても抗菌効果は低いにもかかわらず、(a)成分と(d)成分を併用すると、(d)成分を含有しない場合と比較して抗菌効果を向上させることができる。
このような効果を得るため、抗菌剤又は抗菌液体洗浄剤組成物中の(d)成分の含有量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは2.5〜7質量%であり、(d)成分/(a)成分の含有比率は、質量比で2〜10000、好ましくは4〜1600、特に好ましくは25〜1400である。
本発明では、(c)成分以外の界面活性剤を含有することができ、特に炭素数8〜16の炭化水素基を1つと炭素数1〜3の炭化水素基を2個有するアミンオキシド型界面活性剤(以下(e)成分という)は抗菌作用を高める効果を有するため、(c)成分と併用することが好ましい。具体的に好ましい(e)成分としては、下記一般式(1)の化合物を挙げることができる。
Figure 2005170878
〔式中、Rは炭素数8〜16、好ましくは10〜16、より好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Rは炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、aは0又は1である。〕
一般式(1)の化合物において、Rは単独のアルキル基であってもよいが、やし油又はパーム核油に由来するアルキル組成を有するものが好ましい。
式中、aが1であり、Aが−COO−又は−CONH−の場合には、Rの炭素数は、C9、C11、及びC13の混合アルキル基が好ましく、C9/C11/C13のモル比は1〜30/40〜98/1〜30が好ましく、1〜20/65〜98/1〜15がより好ましい。
式中、aが0、又はaが1であり、Aが−OCO−、−NHCO−、−O−の場合には、Rの炭素数はC10、C12、及びC14の混合アルキル基が好ましく、C10/C12/C14のモル比は1〜30/40〜98/1〜30が好ましく、1〜20/65〜98/1〜15がより好ましい。
抗菌液体洗浄剤組成物(又は抗菌剤)中の(e)成分の含有量は、抗菌効果を向上させる点から、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%である。また、(e)成分/(c)成分の含有比率は、モル比で0.2〜2、好ましくは0.2〜1.5、特に好ましくは0.3〜1.2である。
本発明では、洗浄効果を向上させる目的から(c)成分及び(e)成分以外の界面活性剤(以下(f)成分という)を用いることができ、具体的には(e)成分以外の両性界面活性剤(以下(f−1)成分という)及び非イオン界面活性剤(以下(f−2)成分という)を挙げることができる。
(f−1)成分としては、下記一般式(2)の化合物が好適である。
Figure 2005170878
〔式中;Rは炭素数9〜23、好ましくは9〜17、より好ましくは10〜16のアル
キル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは2又は3のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1、好ましくは0である。R、Rは、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、Rはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは−COO、−SO 、−OSO 、から選ばれる基であり、特に−SO が目的の粘度に調整するために良好である。〕
一般式(2)において、Rは単独のアルキル基であってもよいが、やし油又はパーム核油に由来するアルキル組成を有するものが好ましい。
式中、bが1であり、Bが−COO−又は−CONH−の場合には、Rの炭素数はC9、C11、及びC13の混合アルキル基が好ましく、C9/C11/C13のモル比は1〜30/40〜98/1〜30が好ましく、1〜20/65〜98/1〜15がより好ましい。
式中、bが0、又はbが1であり、Bが−OCO−、−NHCO−、−O−の場合には、Rの炭素数はC10、C12、及びC14の混合アルキル基が好ましく、C10/C12/C14のモル比は1〜30/40〜98/1〜30が好ましく、1〜20/65〜98/1〜15がより好ましい。
抗菌液体洗浄剤組成物(又は抗菌剤)中の(f−1)成分の含有量は、洗浄効果の点から、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜7質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
(f−2)成分としては、下記一般式(3)の化合物、一般式(4)の化合物及び一般式(5)の化合物から選ばれる1種又は2種以上が洗浄効果の点から好ましい。
10−O−(R11O)−H (3)
〔式中、R10は、炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。cは3〜20、好ましくは4〜15、特に好ましくは5〜10の数を示す。〕
Figure 2005170878
〔式中、R12−COは炭素数8〜20、好ましくは10〜16の飽和又は不飽和のアシル基であり、R13はメチル基、エチル基又は−(CO)−Hである。また、R14は−(CO)−Hである。m、nはそれぞれ0〜5の数であり、m+nは1〜6である。〕
15−(OR16 (5)
〔式中、R15は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R16は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、dは平均値0〜6の数、eは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕
一般式(3)の化合物において特に好ましい化合物としては、下記一般式(3−1)の化合物又は一般式(3−2)の化合物を挙げることができる。
17−O(EO)−H (3−1)
〔式中、R17は平均炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、fは平均付加モル数として3〜20である。〕
18−O〔(EO)/(PO)〕−H (3−2)
〔式中、R18は平均炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。gは3〜15、hは1〜5である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕
一般式(4)の化合物において、R13はメチル基、エチル基又は−(CO)−Hであり、洗浄効果の持続性の点から好ましくはメチル基又は水素原子(m=0)である。また、R14は−(CO)−Hであり、nは洗浄効果の持続性の点から好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。
一般式(4)の化合物の好ましい具体的例としては、一般式(4−1)及び一般式(4−2)を挙げることができる。
Figure 2005170878
〔式中、R12−COは上記と同じ意味であり、kは1〜3の数である〕
一般式(5)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであってもよく、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。
アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができ、これらの中でも、特に炭素数5又は6のアルドペントース及びアルドヘキソースが好ましく、更にグルコースが最も好ましい。
一般式(5)の化合物は、上記還元糖とR15−(OR16)−OHとを酸触媒を用い、アセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であってもよく、通常のアセタール構造であってもよい。
(f−1)成分は、特に一般式(5)の化合物が洗浄効果の点から好ましく、抗菌液体洗浄剤組成物(又は抗菌剤)中の含有量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜7質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
また(f−1)成分は、一般式(3)の化合物、一般式(4)の化合物及び一般式(5)の化合物を併用することも洗浄効果の点から好ましく、一般式(3)の化合物、一般式(4)の化合物及び一般式(5)の化合物の抗菌液体洗浄剤組成物(又は抗菌剤)中における合計含有量は、好ましくは2.5〜21質量%、より好ましくは3.5〜17質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
本発明の抗菌剤又は抗菌液体洗浄剤組成物では、貯蔵安定性及びゲル化防止の点から、ハイドロトロープ剤及び/又はゲル化防止剤(以下(g)成分という)を含有することができる。
ハイドロトロープ剤としては、炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換したベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましく、より具体的好ましい化合物としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム、カリウム又はマグネシウム塩が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸が良好である。ハイドロトロープ剤の含有量は、好ましくは1.5〜6質量%、より好ましくは1.5〜5質量%、特に好ましくは2〜4質量%である。
ゲル化防止剤としては、例えば特表平11−513067号公報に記載されているゲル化防止重合体、好ましくはポリアルキレングリコールを挙げることができるが、含有量が多すぎると洗浄効果を低下させる場合があるため、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以下であるが、理想的には配合しないで組成物を設計することが好ましい。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が200〜3000のポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の抗菌剤又は抗菌液体洗浄剤組成物では、更に通常の液体洗浄剤に配合されている成分である、香料成分、防腐剤、濁り剤、着色剤、保湿剤等を含有することができる。
<抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物>
抗菌剤(水溶液の形態にする場合)及び抗菌液体洗浄剤組成物は、上記した成分を水に溶解して水溶液の形態にする。水は全体として100質量%にする調整量であるが、好ましい水の含有量は、貯蔵安定性の点から、好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは40〜60質量%である。
抗菌剤(水溶液の形態にした場合)及び抗菌液体洗浄剤組成物の20℃におけるpHは好ましくは4〜8、より好ましくは5.5〜8にすることが、貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。
pHを上記内の範囲に安定的に入れるため、緩衝作用を有する化合物を用いることが好適である。緩衝作用を有する化合物としては、化学便覧基礎編改訂3版、丸善株式会社製、II−355、表10・33に記載の化合物を挙げることができる。
具体的な好ましい化合物としては、クエン酸、フタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩、塩化アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、四硼酸ナトリウムから選ばれる化合物を単独又は複数組合わせて用い、上記好ましい緩衝作用を有するように調製することが好適である。
本発明では、特にクエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩がより好ましく、特にクエン酸、コハク酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩が最も好適である。なお、クエン酸、コハク酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩は、緩衝作用は優れるが、多量に用いると抗菌効果を低下させる場合があるため、好ましくは0.01〜0.7質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲内で含有するように用いることが好ましい。
pH調整剤としては、塩酸や硫酸等の酸剤、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸剤と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
本発明の抗菌剤及び抗菌液体洗浄剤組成物は、抗菌処理が必要な全ての用途、例えば各種硬質表面(浴室周り、台所周り、トイレ周り、床等)やスポンジの抗菌洗浄処理に適用することができ、抗菌剤は、抗菌液体洗浄剤組成物の製造原料としても適用できる。
表1に示す成分(合計で100質量%とする質量%表示)を用いて、抗菌液体洗浄剤組成物を調製した。これら組成物の抗菌効果を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
<抗菌効果の評価>
寒天平板培地上、37±1℃で24時間培養した大腸菌を用いて、0.3%ニュートリエント培地、3°DH硬水中で、菌濃度が3.5×10〜3.5×10cfu/mlになるように調整した。
次に、容量110mlのねじ口瓶に入っている、直径2.4cm、高さ3cmの円柱状に加工した食器用スポンジに、0.5mlの上記菌液を接種させ、滅菌ガラス棒で均一に揉み込んだ。瓶を密閉後、25℃で1時間馴染ませ、表1の組成物0.5mlをスポンジに接種した。(このとき、対照として菌の発育に影響しない0.05%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween#80,東京化成工業(株)製)で同じ処理を行った。)次に、新しい滅菌ガラス棒で均一にスポンジに揉み込み、再び密閉し、25℃で18時間放置した。
放置後、ねじ口瓶に20mlの中和剤を添加し、滅菌ガラス棒で均一にスポンジに揉み込んだ。この液を用いて希釈系列を作成し、平板塗沫法によりコロニー数を測定した。
なお、抗菌効果は、対照試料の菌数の常用対数値から上記試験後の菌数の常用対数値を引くことにより得られる数値(除菌活性値)を用いて判断した。数値が大きいほど抗菌効果が高いことを示し、2以上の除菌活性値を示せば、洗浄剤として適用した場合の抗菌効果があるものと判断される。
<低温安定性の評価>
表1の組成物を、広口規格ビン(PS No.11)に100ml入れ、−5℃で20日保存後の液の外観の変化を調製直後と比較して、下記の基準で評価した。
外観に変化が見られない……○
ゲル化、分離、沈殿形成などの外観の変化が見られる……×
Figure 2005170878
表1から明らかなとおり、実施例1、2の組成物は、除菌活性値及び低温貯蔵安定性の両方が優れていた。特に実施例1(硫酸亜鉛0.017質量%とモノアルキルグリセリルエーテル3質量%の併用)の除菌活性値が6.8であり、比較例1(硫酸亜鉛0.017質量%単独)の除菌活性値が4.9で、比較例3(モノアルキルグリセリルエーテル3質量%単独)の除菌活性値が1.7であることから、(a)及び(b)成分の併用による相乗効果により、抗菌効果が飛躍的に向上していることが確認された。
表1中の各成分の詳細は以下のとおり;
GE−2EH:2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル(モノグリセリルエーテル98質量%)
ES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム[原料アルコールは、1−デセン及び1−ドデセン50/50(重量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEOを平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸の割合は42重量%であった。
AO:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
スルホベタイン:ラウリルジメチルスルホベタイン
ノニオン1:アルキル基の組成がC12/C14=60/40の混合アルキルでグルコシド平均縮合度1.5のアルキルグルコシド
ノニオン2:C12、C13混合アルキル2級アルコールに、EOを平均12モル付加させたもの(ソフタノール120H、日本触媒株式会社製)
ポリプロピレングリコール:平均分子量1000のもの
防腐剤:プロキセルBDN(アビシア株式会社製)
pHは、0.1規定硫酸水溶液及び0.1規定水酸化ナトリウム水溶液で調節した。



Claims (4)

  1. (a)亜鉛及び(b)炭素数4〜12のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルを含有する抗菌剤。
  2. (a)成分及び(b)成分の質量比〔(b)/(a)〕が15〜5000の範囲である請求項1記載の抗菌剤。
  3. (a)亜鉛 0.001〜0.5質量%
    (b)炭素数4〜12のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル 0.1〜10質量%
    (c)陰イオン界面活性剤 5〜50質量%、及び調整量の水
    を含有する抗菌液体洗浄剤組成物。
  4. (a)成分及び(b)成分の質量比〔(b)/(a)〕が15〜5000の範囲である請求項3記載の抗菌液体洗浄剤組成物。





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