JP2005169818A - トリガーディスペンサ成形金型セット及びトリガーディスペンサの射出成形方法 - Google Patents

トリガーディスペンサ成形金型セット及びトリガーディスペンサの射出成形方法 Download PDF

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智一 小林
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Abstract

【課題】 その樹脂注入後の離型時に互いに摺動しながら移動される金型面の傷の発生を効果的に防止して、トリガーディスペンサのシリンダ前方への漏洩を防ぎ軽快な操作感に優れつつ、成形歩留り向上や品質管理簡略化などの生産性にも優れたトリガーディスペンサ成形金型セットを提供する。
【解決手段】 シリンダ部3内面を形成するようにその金型枠31に対して進退する略円柱状のシリンダ用金型32と、シリンダ用金型32の移動方向に対して垂直に進退してそのピン状の先端がシリンダ用金型32の側面に当接してシリンダ部3を貫通する供給孔3aを形成する供給孔用金型33と、供給孔用金型33の先端が当接するシリンダ用金型32の少なくとも当接面に被覆形成され供給孔用金型33の先端より硬度の大きい硬質メッキ層と、を有するようにトリガーディスペンサ成形金型セット30を構成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、容器開口部に装着され容器に充填された液体を霧化状態、ストリーム状態またはシャワー状態(以下、霧化状態等という)で吐出させるトリガーディスペンサを、合成樹脂を素材として射出成形するためのトリガーディスペンサ成形金型セット及びトリガーディスペンサの射出成形方法に関する。
従来の洗剤や消臭剤、ワックスなどを含む溶液や水を霧状、ストリーム状又はシャワー状にして散布するスプレーなどに適用されるトリガーディスペンサは、例えば図1に示すような構造となっている。すなわち、このトリガーディスペンサ1は、容器本体の口部分上に連結固定されるディスペンサ本体2を備えており、このディスペンサ本体2には中間部に水平前方に開口するシリンダ部3などを有するコア部20が設けられ、シリンダ部3に摺動可能にピストン4が装着され、このピストン4がディスペンサ本体2に揺動自在に取り付けたトリガーレバー5によって駆動される。これらシリンダ部3とピストン4とで構成されるシリンダ室6の容積を拡大することによりシリンダ内に負圧を生じさせて容器内の液体を吸い上げ、縮小することによりシリンダ内の圧力を上昇させてノズルヘッドから霧状等の液体を噴射できるようになっている。
なお、コア部20のシリンダ部3下部には、シリンダ内部とその下部側の容器装着部3b内とを連通するための供給孔3aが設けられており、供給孔3aを介して外気を導入して容器本体内が負圧状態となってボトルの容器本体が大気圧によって押し潰されるのを防止するようにしている。
また、ディスペンサ本体2内部のコア部20には、シリンダ部3の後部に連通して起立筒7が配置され、吸入弁機構8およびディップチューブ9を介して容器本体内と連通する。この起立筒7の上端部に吐出弁機構10を介して水平に射出筒11が設けられている。また、その先端部のノズル嵌合筒12には中心軸回りに回動可能なノズルヘッド13が設けられ、開閉や噴射状態を切り替えることができるようにしてある。そして、このトリガーレバー5を引き込んでピストン4を駆動させた後、トリガーレバー5およびピストン4を元の位置に戻すためのばね機構などが設けられている。
このトリガーレバー5を引き込んでピストン4を押し込むことにより、シリンダ室6内の液体が起立筒7、吸入弁機構8、吐出弁機構10を、射出筒11、ノズル嵌合筒12及びノズルヘッド13を介して噴射される。一方、トリガーレバー5が解放されるとばね機構によりピストン4が押し戻されてトリガーレバー5も元の位置に復帰され、このとき容器本体内の液体が吸入弁機構8を介してシリンダ部3に吸引されるようになっている。
以上のような構造のトリガーディスペンサ1は、熱可塑性樹脂などの合成樹脂材を素材として以下のように射出成形して製造される。
トリガーディスペンサの構成部材であるコア部を射出成形する場合、まず、容器本体に外気を供給するための供給孔を形成するための供給孔用金型を金型枠に配置してその先端が上方に突出するように保持させる。次に、シリンダ部内面を形成させるシリンダ部用金型を金型枠に挿入するように押し入れる。このとき供給孔用金型の先端はシリンダ金型の下面側に圧接されてこすりつけられた状態で摺動される。こうしてシリンダ部用金型を所定位置まで進め、各金型間に形成されたキャビティ部分内へ溶融した合成樹脂を注入して硬化させる。
しかし、上記各金型間の圧接は、そのトリガーディスペンサの成形の都度行なわれ、この圧接の反復により金型の被圧接部分が摩耗等して粗面化することとなる。このため、シリンダ用金型を後退させる際に、粗面化したシリンダ用金型下面の被圧接部分が成形後の樹脂表面を摺動通過すると、製品となるシリンダ部の下部内面部分に傷が形成される。
こうしてトリガーディスペンサ1のシリンダ部3内へ嵌合させるピストン4の気密性が妨げられ、シリンダ部3内へのピストン押込みの際の液洩れや、シリンダ部3内からのピストン抜出しの際に外気流入路を形成することとなってシリンダ部内の負圧化が不充分となり、シリンダ部3内への液体吸込みが不完全とするおそれがあった。
このような金型面の傷の発生を抑制させるための技術に関連して特許文献1には、全体を合成樹脂材で一体成形されるトリガー式液体噴出器本体の外気吸入孔の前端部よりも前方のシリンダ部分内径を、外気吸入用孔開口部分を含むシリンダ後部内径よりも大きく形成するようにして、トリガーディスペンサの型抜き時の抵抗を軽減したトリガー式液体噴出器本体が記載されている。
特開平8−266964号公報
しかしながら前記従来の特許文献1に記載のトリガーディスペンサは、金型にテーパ部を形成して上記シリンダ内面下部に生じる傷を、上記トリガー使用時の漏洩問題を生じない範囲で食い止めるようにした発明であるが、実際このパーツで組み上げたトリガーディスペンサは、ピストンとシリンダとの段差部の嵌合状態が悪いためシールが困難であり、また、トリガーのレバーを引き、連動するピストンがシリンダ内面の段差を乗り越えるとき、レバーに抵抗が増して違和感が生じる、といった課題があった。
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、その樹脂注入後の離型時に互いに摺動しながら移動される金型面の傷の発生を効果的に防止して、トリガーディスペンサのシリンダ前方への漏洩を防ぎ軽快な操作感に優れつつ、成形歩留り向上や品質管理簡略化など生産性にも優れたトリガーディスペンサ成形金型セット及びトリガーディスペンサの射出成形方法を提供することを目的とする。
請求項1のトリガーディスペンサ成形金型セットは、液体が充填される容器の開口部に装着され前記液体をそのシリンダ部に嵌合するピストンをレバー操作により往復動させることにより吸い上げてノズル部から吐出させるトリガーディスペンサの前記シリンダ部を射出成形するためのトリガーディスペンサ成形金型セットであって、
前記シリンダ部内面を形成するようにその金型枠に対して進退する略円柱状のシリンダ用金型と、前記シリンダ用金型の移動方向に対して垂直に進退してそのピン状の先端が前記シリンダ用金型の側面に当接して前記シリンダ部を貫通する供給孔を形成する供給孔用金型と、前記供給孔用金型の先端が当接する前記シリンダ用金型の少なくとも当接面に被覆形成され前記供給孔用金型の先端より硬度の大きい硬質メッキ層と、を有するように構成されている。
請求項2のトリガーディスペンサ成形金型セットは、請求項1において、前記硬質メッキ層が炭化クロムを含有する炭化クロム含有クロムメッキ層であることに特徴を有している。
請求項3のトリガーディスペンサの射出成形方法は、
容器内に保持された液体を吐出させるトリガーディスペンサの構成部材を、
金型枠に対して進退する第1の金型と、
前記第1の金型の移動方向に対して垂直に進退してその先端が第1の金型の金型面に当接する第2の金型とを用いて成形するトリガーディスペンサの射出成形方法であって、
前記第1の金型の前記第2の金型との少なくとも当接面を、前記第2の金型の先端より硬度の大きい硬質メッキ層で被覆し、
前記各金型が組み込まれた金型枠のキャビティ内に溶融した合成樹脂を注入する樹脂注入工程と、
前記合成樹脂の硬化後に前記トリガーディスペンサの構成部材から前記第1の金型と前記第2の金型を離型させる金型離型工程と、を備えたことを特徴とする。
請求項4のトリガーディスペンサの射出成形方法は、容器内に保持された液体を吐出させるトリガーディスペンサの構成部材を、金型枠に対して進退される第1の金型と、前記第1の金型の移動方向に対して垂直に進退してその先端が第1の金型の金型面に当接する第2の金型とを用いて成形するトリガーディスペンサの射出成形方法であって、
前記第1の金型の前記第2の金型との少なくとも当接面を炭化クロム含有クロムメッキで被覆し、前記各金型が組み込まれた金型枠のキャビティ内に溶融した合成樹脂を注入する樹脂注入工程と、前記合成樹脂の硬化後に前記トリガーディスペンサの構成部材から前記第1の金型と前記第2の金型を離型させる金型離型工程と、を備えるように構成される。
請求項1のトリガーディスペンサ成形金型セットは、シリンダ部内面を形成するようにその金型枠に対して進退する略円柱状のシリンダ用金型と、前記シリンダ用金型の移動方向に対して垂直に進退してそのピン状の先端が前記シリンダ用金型の側面に当接して前記シリンダ部を貫通する供給孔を形成する供給孔用金型と、前記供給孔用金型の先端が当接する前記シリンダ用金型の当接面に被覆形成され前記供給孔用金型の先端より硬度の大きい硬質メッキ層と、を有するので、
シリンダ用金型と供給孔用金型どうしの圧接または摺動によってシリンダ用金型に発生する圧接傷または摺動傷を効果的に防止することができ、トリガーディスペンサを射出成形する際の成形歩留りを向上させ生産性に優れている。
請求項2のトリガーディスペンサ成形金型セットは、前記硬質メッキ層を炭化クロムを含有する炭化クロム含有クロムメッキ層とすることもできるので、トリガーディスペンサ成形金型セットの耐久性をさらに高めてその経済性とメンテナンス性に優れている。
請求項3及び請求項4のトリガーディスペンサの射出成形方法は、第1の金型における第2の金型との当接面を、硬質メッキ又は炭化クロム含有クロムメッキで被覆しているので、溶融した合成樹脂の硬化後に前記第1の金型を前記金型枠から後退させる際に第1の金型面の損傷を防ぐことができ、その生産性や経済性に優れている。
図2は、本発明のトリガーディスペンサ成形金型セットが適用されて成形されるトリガーディスペンサを構成するコア部の断面図であり、図3はトリガーディスペンサ成形金型セットのキャビティ内で成形されたコア部の状態を示す断面模式図である。
図2に示すように、コア部20は、図1に示すトリガーディスペンサ1の中核部分となってピストン4が嵌合されるシリンダ部3や、シリンダ部3と直交して配列されディップチューブ9が取り付けられる起立筒7を備えている。
ノズル部21は、トリガーディスペンサ1のノズルヘッド13に連通している。
弁部22,23は、シリンダ部3内に設けられて起立筒7と連結され吸入弁機構8を構成する。
また、図3には、コア部20を熱可塑性樹脂などの合成樹脂を素材として射出成形するためのトリガーディスペンサ成形金型セット30を示しており、
各金型が取り付けられる金型枠31、シリンダ部3内面を形成して金型枠31に対して進退される略円柱状のシリンダ用金型32、シリンダ用金型32の移動方向に対して垂直に進退してそのピン状の先端がシリンダ用金型32の側面に当接してシリンダ部3を貫通する供給孔3aを形成するための供給孔用金型33、
シリンダ用金型32の移動方向に対して垂直に進退して容器に保持された液体をディップチューブ9を介して吸い上げる起立筒7の部分を形成させるための起立筒用金型34を備えている。
本発明のトリガーディスペンサ成形金型セット30は、金型枠31、シリンダ用金型32、供給孔用金型33、起立筒用金型34などを有して構成された射出成形用金型の組合せである。
これら複数の金型を金型枠31内に固定配置した後、溶融状態の合成樹脂をその樹脂供給孔から所定圧力で注入して、冷却硬化させることにより前記所定形状のコア部20を連続して形成させることができる。
シリンダ用金型32や供給孔用金型33、起立筒用金型34は、スチールなどの金属材料によって形成されており、この先端が金型枠31に対して進退することにより金型間に溶融した合成樹脂が注入されるキャビティを設定したり、そのキャビティ内で成形硬化されたトリガーディスペンサ1のコア部20を離型したりできるようになっている。
シリンダ用金型32は略円柱状に形成されその全面または後述する供給孔用金型33との接触面に所定の炭化クロム含有クロムメッキなどの硬質メッキ処理がなされる。
供給孔用金型33は、起立筒用金型34内に嵌装されており、シリンダ用金型32の離型時の進退方向に対して直交して進退されシリンダ部3と容器装着部3bとの間に貫通した供給孔3aを形成させる機能を有している。
起立筒用金型34は容器内の液体を吸い上げるためのディップチューブ9などが装着される起立筒7を形成させる金型部分であり、この起立筒用金型34の裾部34a内に供給孔用金型33が並列して嵌装されている。
供給孔用金型33の先端がその成形時において当接するシリンダ用金型32の当接面及びその近傍には所定厚み例えば5〜500μmの厚みの硬質メッキ層が形成され、供給孔用金型33の先端よりもその硬度が大きく、かつ摩擦係数が小さくなるように設定されている。これによって、コア部20を連続して射出成形する際において、シリンダ用金型32の型抜き時に供給孔用金型33の先端が圧接されて摺動するのに伴う傷の発生を効果的に抑制することができる。
なお、硬質メッキ層の硬度(Ha)は、供給孔用金型33先端の硬度(Hb)に対して、1.5Hb〜3Hbの範囲となるようにすることが望ましい。これは硬質メッキ層の硬度Haが1.5Hbより小さくなると、両金型同士の当接及びその摺動による傷の発生が極端に大きくなるような傾向が生じ、逆に硬度がHaが3Hbを超えるようにすると供給孔用金型33側の摩耗量が大きくなるため、供給孔用金型33のピン交換などにかかるメンテナンス費用が大きくなるような不具合が生じるからである。
前記各金型の母材には、S45Cなどの炭素鋼やSCM材などのクロムモリブデン鋼などが用いることができる。これらの母材表面、特に供給孔用金型33の先端が当接するシリンダ用金型32の当接面及びその近傍もしくはシリンダ用金型32の全面を、クロム合金メッキや炭化クロム含有クロムメッキでコーティングしておくことで表面硬さを、供給孔用金型33の硬度より大きくして耐摩耗性や耐久性を高めておくことが好ましい。
ここで、クロム合金中に分子間結合力の強い炭化クロム(Cr236)を例えば5μm以上の深さまで含有させることによって母材表面との密着性を高め、その表面を均一かつ滑らかに仕上げ、摩擦係数を小さくして耐摩耗性を向上させるとともに、剥離やクラックといった現象の発生頻度を極力少なくすることができる。
炭化クロムを含有するクロム合金の母材表面へのコーティングはメッキ処理により形成させることができ、例えば、ダイクロン処理(千代田第一工業(株))があげられる。このようなメッキ処理を施した後、供給孔用金型33のピン先が接触する部分のシリンダ用金型32の表面粗さを整えるために、バフ研磨やショットブラストなどの表面処理を施しても良い。
炭化クロムを含む炭化クロム含有クロムメッキ層を金型面に形成させるためのメッキ浴としては、例えば6価もしくは3価のクロムイオンを含むシュウ酸浴や、ギ酸浴、クエン酸浴などを適用できる。このようなメッキ浴で形成される非晶質クロムの多くはメッキ皮膜中に数wt%の炭素を含んでおり、この炭素量の調整によって炭化クロムを生成させてメッキ皮膜の特性を設定することができる。硫酸クロム(III)―シュウ酸浴ではシュウ酸添加量を変化させることで、炭素含有量を広範囲に変化させることできる。
炭素量が異なる非晶質クロムメッキにおける結晶構造は示差走査熱量分析やX線回折などにより分析することができる。例えば非晶質クロムメッキの示差走査熱量分析では、第一及び第二の発熱ピークが認められ、炭素量が増加するにつれて第一の発熱ピークは高温側に、第二の発熱ピークは低温側にそれぞれシフトし、その発熱量は増加する。第一の発熱ピークは、非晶質クロムメッキにおけるクロムの結晶化に対応し、高温側の第二の発熱は、その発熱量と炭素量が比例することから炭化クロムの結晶化に関係していると推定され、メッキ皮膜に含有される炭素量はメッキ皮膜の構造に大きな影響を与えていると考えられる。
非晶質クロムメッキに含まれる炭化物は、メッキの硬さを増加するほか、潤滑性をもたらし、耐摩耗性に優れると期待され、硬質クロムメッキの代替として有望視されている非晶質Ni-P合金メッキなどに比べて、優れた耐摩耗性を示す。
さらに、通常の工業用クロムメッキでは加熱により高温での耐摩耗性は低下する。これにたいして非晶質クロムは、そのビッカース硬度が約Hv1000以上と通常のクロムメッキより硬く、300℃程度の熱処理によってさらに硬化させることできる特長を有している。このため、他の表面硬化処理であるPVD、CVDなどによる成膜法に比べて低温で処理でき、素材を軟化させることなく素材表面に耐体磨耗に優れた硬化層を形成することができる。
射出成形用の合成樹脂としては公知の熱可塑性樹脂が適用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、6および66ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、末端にヒドロキシル基を有するポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリオキシメチレン、末端にメルカプト基を有するポリフェニレンサルファイド、主鎖にエステルを有するポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる他、これらの共重合体も適用できる。これらの中では特にポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。
以上のように構成されたトリガーディスペンサ成形金型セット30を適用してトリガーディスペンサ1の構成部材であるコア部20を射出成形するトリガーディスペンサの射出成形方法の一例について図面を参照しながら説明する。
最初の樹脂注入工程においては、図3に示すように金型枠31に各金型(シリンダ用金型32(第1の金型)、供給孔用金型33(第2の金型)、起立筒用金型34などを組み込んで配置する。次に、各金型間に形成されるキャビティ内に加熱されて溶融状態となったポリエステル系樹脂などの合成樹脂を図示しない樹脂供給孔から所定圧力で注入して、所定時間、冷却硬化させて保持することによってコア部20を形成させる。
以降の金型離型工程においては、図4に示すように、第1の金型であるシリンダ用金型32を金型枠31に対して後退させてコア部20から離型させる。このとき、第2の金型である供給孔用金型33の先端はシリンダ用金型32下部に当接したままで摺動されるが、この当接面及びその周囲が炭化クロムを含有するクロムメッキにより被覆され供給孔用金型33より硬度の高い硬質メッキ層を有するので、シリンダ用金型32が傷付けられることなく保護され、コア部20の連続成形に対して必要な耐久性を備えている。
最後に図5に示すように供給孔用金型33及び起立筒用金型34を引き下げるように金型枠31から離脱させることによって、トリガーディスペンサ1を構成するコア部20を取り出すことができる。このように成形されたコア部20は、前述したようにシリンダ用金型32の金型面に炭化クロム含有クロムメッキが施されて摺動傷などがなく潤滑性と耐久性に優れるので、シリンダ部3の欠陥に伴うピストン移動の際の液漏れや、トリガー動作の不良などのおそれがなく、トリガーディスペンサ1の生産歩留りを良好に維持させることができる。
また、上記の例では前記シリンダ用金型32と前記供給孔用金型33が摺動する例として、金型離型工程において前記金型32を前記金型枠31から後退させた後、前記金型33を離脱させている場合を挙げているが、前記金型32と33の組付け配置の順序と後退離脱の順序を変更し、前記金型32と33に圧接のみ生じるようにした場合についても前記シリンダ用金型32に生じやすい圧接傷の防止に有効である。
本発明は、容器開口部に装着され容器に充填された液体を霧化状態等で吐出させるトリガーディスペンサを射出成形する技術分野に広く適用することができ、これによって、樹脂硬化後の離型時に互いに摺動しながら移動される金型面の傷の発生を効果的に防止して、トリガーディスペンサの生産性を高めることができる。
トリガーディスペンサの断面図 トリガーディスペンサ成形金型セットで成形されるコア部の断面図 トリガーディスペンサ成形金型セットへの樹脂注入工程の説明図 トリガーディスペンサのコア部における第1の金型離型工程の説明図 トリガーディスペンサのコア部における第2の金型離型工程の説明図
符号の説明
1 トリガーディスペンサ
2 ディスペンサ本体
3 シリンダ部
3a 供給孔
3b 容器装着部
4 ピストン
5 トリガーレバー
7 起立筒
8 吸入弁機構
9 ディップチューブ
10 吐出弁機構
11 射出筒
12 ノズル嵌合筒
13 ノズルヘッド
20 コア部
21 ノズル部
22、23 弁部
30 トリガーディスペンサ成形金型セット
31 金型枠
32 シリンダ用金型(第1の金型)
33 供給孔用金型(第2の金型)
34 起立筒用金型
34a 起立筒用金型

Claims (4)

  1. 液体が充填される容器の開口部に装着され前記液体をそのシリンダ部に嵌合するピストンをレバー操作により往復動させることにより吸い上げてノズル部から吐出させるトリガーディスペンサの前記シリンダ部を射出成形するためのトリガーディスペンサ成形金型セットであって、
    前記シリンダ部内面を形成するようにその金型枠に対して進退する略円柱状のシリンダ用金型と、
    前記シリンダ用金型の移動方向に対して垂直に進退してそのピン状の先端が前記シリンダ用金型の側面に当接して前記シリンダ部を貫通する供給孔を形成する供給孔用金型と、
    前記供給孔用金型の先端が当接する前記シリンダ用金型の少なくとも当接面に被覆形成され前記供給孔用金型の先端より硬度の大きい硬質メッキ層と、
    を有することを特徴とするトリガーディスペンサ成形金型セット。
  2. 前記硬質メッキ層が炭化クロムを含有する炭化クロム含有クロムメッキ層であることを特徴とする請求項1記載のトリガーディスペンサ成形金型セット。
  3. 容器内に保持された液体を吐出させるトリガーディスペンサの構成部材を、
    金型枠に対して進退する第1の金型と、
    前記第1の金型の移動方向に対して垂直に進退してその先端が第1の金型の金型面に当接する第2の金型とを用いて成形するトリガーディスペンサの射出成形方法であって、
    前記第1の金型の前記第2の金型との少なくとも当接面を、前記第2の金型の先端より硬度の大きい硬質メッキ層で被覆し、
    前記各金型が組み込まれた金型枠のキャビティ内に溶融した合成樹脂を注入する樹脂注入工程と、
    前記合成樹脂の硬化後に前記トリガーディスペンサの構成部材から前記第1の金型と前記第2の金型を離型させる金型離型工程と、
    を備えたことを特徴とするトリガーディスペンサの射出成形方法。
  4. 容器内に保持された液体を吐出させるトリガーディスペンサの構成部材を、
    金型枠に対して進退する第1の金型と、
    前記第1の金型の移動方向に対して垂直に進退してその先端が第1の金型の金型面に当接する第2の金型とを用いて成形するトリガーディスペンサの射出成形方法であって、
    前記第1の金型の前記第2の金型との少なくとも当接面を炭化クロム含有クロムメッキで被覆し、
    前記各金型が組み込まれた金型枠のキャビティ内に溶融した合成樹脂を注入する樹脂注入工程と、
    前記合成樹脂の硬化後に前記トリガーディスペンサの構成部材から前記第1の金型と前記第2の金型を離型させる金型離型工程と、
    を備えたことを特徴とするトリガーディスペンサの射出成形方法。
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