JP2005169092A - 脱臭剤及び脱臭フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 活性炭にルテニウム触媒や添着剤を担持させた脱臭剤や脱臭フィルタにおいて、ルテニウム触媒中に四酸化ルテニウムが介在すると添着剤及び触媒の効果が低下する。
【解決手段】 アルデヒド類を含む多成分複合臭気の脱臭に用いる脱臭剤であって、アルデヒド類の吸着性能に優れたアミノ基含有有機化合物を担持した第1の活性炭と、臭気成分分解性能に優れたルテニウム触媒を担持した第2の活性炭とを組み合わせて含有し、ルテニウム触媒は四酸化ルテニウムを含有しないものであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 アルデヒド類を含む多成分複合臭気の脱臭に用いる脱臭剤であって、アルデヒド類の吸着性能に優れたアミノ基含有有機化合物を担持した第1の活性炭と、臭気成分分解性能に優れたルテニウム触媒を担持した第2の活性炭とを組み合わせて含有し、ルテニウム触媒は四酸化ルテニウムを含有しないものであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、脱臭剤及び脱臭フィルタに関し、さらに詳しくは、家庭内、オフィス空間内、自動車室内等の居住空間における多種多様な臭気質の内、特にアルデヒド類を含む臭気を除去するために好適な脱臭剤及び脱臭フィルタに関する。
家庭内を始めオフィス空間内や自動車室内等の居住空間では、調理臭やトイレ臭、たばこ臭、建材等の部材臭等、多種多様な臭気が発生しており、その除去が求められている。
従来より、脱臭には主に活性炭が用いられており、この活性炭は、幅広い臭気成分に対して吸着除去能を持つと共に、安価であるという利点を有している。このような活性炭は、臭気濃度が数ppm程度以下の居住空間等での脱臭に適している。
しかし、活性炭は、その脱臭メカニズム(物理吸着)から、活性炭内の細孔に臭気成分が一定量吸着(飽和吸着)してしまうと、極端に吸着能が低下してしまうため、脱臭剤及び脱臭フィルタに用いた場合、短期間での交換を余儀なくされる。
さらに、活性炭は、幅広い臭気成分に対して吸着除去能を持つものであるが、アルデヒド類等、ある特定の臭気成分を含む脱臭を目的とした場合、活性炭粒子内の細孔での吸着力は臭気成分特有の沸点でほぼ決定してしまうため、脱臭の即効性という面では、期待する効果を得ることができないという問題がある。
活性炭の吸着能の低下に対する方策としては、特開平7−155366号公報に開示されるように、四酸化ルテニウムを含むルテニウム化合物を活性炭に含ませた脱臭剤の技術が知られている。これは活性炭に吸着した臭気成分を四酸化ルテニウムを含むルテニウム化合物で分解することで活性炭を再生し、吸着能の低下を抑制している。
また、活性炭の吸着力を高める方策としては、特開平6−304233号公報に開示されるように、例えばアニリン等を活性炭に化学添着することで特定の臭気成分系に対して強い吸着力を持たせている。
さらに、本願出願人による特開2002−200150号公報に開示されるような担体に添着剤と触媒を担持した脱臭剤では、添着剤で臭気成分の吸着力を高め、さらに吸着した臭気成分を触媒で分解することで担体の臭気成分吸着能の低下をも防止している。
しかしながら、本発明者等は、上記従来技術の内、特にルテニウム触媒に関して種々検討を重ねた結果、ルテニウム触媒中に四酸化ルテニウムが介在すると、酸化力の強い四酸化ルテニウムは担持する一部の添着成分と酸化還元反応を起こして二酸化ルテニウムに還元されると共に、添着成分の減量を引き起こすため、所望の添着量及び効果を得難いことを見出した。
したがって、アルデヒド類を含むような多成分複合臭気の脱臭を目的に、例えばアニリン等のアルデヒド類の吸着性能に優れた添着剤を添加しても、ルテニウム触媒中に四酸化ルテニウムが共存すると、臭気成分はもとより、アルデヒド類の吸着を目的とした添着剤をも分解してしまうという問題がある。
また、添着成分の減量を見越して予め余剰の添着剤を添加することは、即コスト増につながるため、好ましい解決策とはなり得ない。
特開平6−304233号公報
特開平7−155366号公報
特開2002−200150号公報
解決しようとする問題点は、活性炭にルテニウム触媒や添着剤を担持させた脱臭剤や脱臭フィルタにおいて、ルテニウム触媒中に四酸化ルテニウムが介在すると添着剤及び触媒の効果が低下する点である。
本発明の脱臭剤は、アルデヒド類を含む多成分複合臭気の脱臭に用いる脱臭剤であって、アルデヒド類の吸着性能に優れたアミノ基含有有機化合物を担持した第1の活性炭と、臭気成分分解性能に優れたルテニウム触媒を担持した第2の活性炭とを組み合わせて含有し、前記ルテニウム触媒は四酸化ルテニウムを含有しないものであることを特徴としている。
また、本発明の脱臭剤は、アルデヒド類を含む多成分複合臭気のうち、さらにアンモニアを含む多成分複合臭気の脱臭に用いる脱臭剤であって、アルデヒド類の吸着性能に優れたアミノ基含有有機化合物を担持した第1の活性炭と、臭気成分分解性能に優れたルテニウム触媒を担持した第2の活性炭と、アンモニアの吸着特性に優れた燐酸を担持した第3の活性炭とを組み合わせて含有し、前記ルテニウム触媒は四酸化ルテニウムを含有しないものであることを特徴としている。
また、本発明の脱臭フィルタは、本発明の脱臭剤を通気性支持体を用いて保持したことを特徴としている。
本発明の脱臭剤によれば、臭気成分を吸着する第1、第3の活性炭自体の吸着能に加えて、アミノ基含有有機化合物によるアルデヒド類の吸着作用及び燐酸によるアンモニアの吸着作用により、脱臭剤としての吸着能力を向上させることができる。また、さらに、臭気成分を吸着する第2の活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を用いるため、アミノ基含有有機化合物及び燐酸の減量を引き起こすことなく、脱臭剤に吸着した臭気成分を効率良く分解し、脱臭剤としての寿命を大幅に延ばすことができる。
また、本発明の脱臭フィルタによれば、本発明の脱臭剤に臭気成分を積極的に接触させることが可能となり、居住空間内における脱臭の即効性及び脱臭フィルタの長寿命化を同時に実現することができる。
以下、本発明の第1の実施形態である脱臭剤の構成について説明する。本実施形態に係る脱臭剤は、第1の活性炭に、アルデヒド類の吸着に優れたアミノ基含有有機化合物が担持されてなる第1の脱臭剤と、第2の活性炭に、臭気成分を分解し四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒が担持されてなる第2の脱臭剤とが組み合わされて構成されている。
活性炭は、種々の原料からなる活性炭を好適に使用できるが、その中でも比表面積が800〜1500m2/g程度と大きな椰子殻活性炭は、臭気吸着性能にも優れるため、特に好ましい。また、活性炭のメッシュ(粒度)は4〜100メッシュ程度の範囲内で好適に使用できる。
アミノ基含有有機化合物は、γ−グリシドキシルプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエキシシラン等のアミノ基含有有機珪素化合物や、アニリン、ジメチルトリメチル−シリルアミンをはじめとする芳香族アミン類等を用いることができ、この実施の形態では、アニリンを添着させている。
なお、アニリンの添着処理は、アニリンを含む添着溶液を調製し、この添着溶液内に活性炭を所定時間浸漬、攪拌して活性炭の細孔内にアニリンを吸着させた後に乾燥させることで、所定の重量%の割合で担持させればよい。
なお、この際の担持量は、0.5〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の割合で担持させる。この担持量が0.5重量%より少ない場合には所望の担持効果が得られないことがあり、10重量%より多い場合には活性炭本来の吸着能を阻害する恐れがあるためである。
四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒は、Ru元素を含む塩化物(塩化ルテニウム、塩化ルテニウム水和物等)を含有する溶液を調製し、この溶液内に活性炭を所定時間浸漬させ、還元、乾燥することにより活性炭の細孔内に所定の重量%の割合で担持させればよい。
なお、この際の担持量は、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の割合で担持させるのが好ましい。この担持量が0.1重量%より少ない場合には、所望の臭気成分の分解活性が得られないことがあり、また10重量%より多い場合にはルテニウム触媒の二次凝集による活性低下が起こり、コスト高に相応した分解効果を期待できないからである。
第1の脱臭剤と第2の脱臭剤の組み合わせは、第1の脱臭剤に対して、第2の脱臭剤が5〜50重量%、好ましくは7〜25重量%の割合で混合させるのがよい。第2の脱臭剤量が5重量%より少ない場合には、所望の臭気成分分解性能が得られないことがあり、50重量%より多い場合には即脱臭剤のコスト増となり、後述する一般に使用される空気調和機や空気清浄機用のフィルタに利用した場合、ユーザが安易に購入することができない価格帯のものになってしまう恐れがあるためである。
次に、本発明の第2の実施形態である脱臭剤の構成について説明する。本実施形態に係る脱臭剤は、第1の実施形態で説明した第1及び第2の脱臭剤と、第3の活性炭にアンモニアの吸着特性に優れた燐酸を担持させてなる第3の脱臭剤とを組み合わせて構成されている。
第3の活性炭への燐酸の添着処理は、燐酸を含む添着溶液を調整し、この添着溶液内に活性炭を所定時間浸漬、攪拌して活性炭の細孔内に燐酸を吸着させた後に乾燥させることで、所定の重量%の割合の燐酸を担持させればよい。
なお、この際の担持量は、5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の割合で担持させる。この担持量が5重量%より少ない場合には所望の担持効果が得られないことがあり、40重量%より多い場合には活性炭本来の吸着性能を阻害する恐れがあるためである。
第1の脱臭剤と第2及び第3の脱臭剤の組み合わせは、第1の脱臭剤に対して、第3の脱臭剤が5〜50重量%、好ましくは7〜25重量%の割合で混合させるのがよい。第2及び第3の脱臭剤量が5重量%より少ない場合には、所望の脱臭性能が得られないことがあり、50重量%より多い場合には、第1の脱臭剤量の割合が減少することになり、アルデヒド類を含む多成分複合臭気に対する所望の脱臭性能が得られない恐れがあるためである。
第2の脱臭剤と第3の脱臭剤の組み合わせは、第2の脱臭剤:第3の脱臭剤=1:0.3〜1:3.0の重量比率の範囲内、好ましくは第2の脱臭剤:第3の脱臭剤=1:0.5〜1:2.0の重量比率の範囲内で混合させるのがよい。第2の脱臭剤1部に対して、第3の脱臭剤が0.3部より少ない場合には、所望の脱臭性能が得られないことがあり、3.0部より多い場合には、第1の脱臭剤量の割合が減少することになり、アルデヒド類を含む多成分複合臭気に対する所望の脱臭性能が得られない恐れがあるためである。
次に、本発明の第3の実施形態である脱臭フィルタの構成について説明する。本実施形態の脱臭フィルタは、上記第1及び第2の実施形態の脱臭剤が通気性支持体としてのフィルタ本体に付加されている。
このフィルタ本体は、通気性のある不織布と不織布とで脱臭剤層を狭持したシート状のものを、フィルタとしての有効面積を確保するため、プリーツ加工を施し、さらに所定ピッチでフレームに固定することにより形成されている。
不織布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等から、通気性、強度、加工性に応じた素材を一種又は二種以上混合した混合物を用いることが可能である。
この際の不織布の目付量は10〜100g/m2、好ましくは20〜50g/m2のものを使用する。10g/m2より少ない場合には、所望の強度、加工性、不織布による集塵性能が得られないことがあり、100g/m2より多い場合には、通気性が低く、空気調和機や空気清浄機用のフィルタに利用した場合、送風用のファンに過大な負担をかけることになってしまう恐れがあるためである。
第1及び第2の実施形態の脱臭剤をシート状に加工した場合には、脱臭剤を100〜400g/m2、好ましくは150〜300g/m2担持させる。担持量が100g/m2より少ないと所望の脱臭性能が得られないことがあり、400g/m2より多い場合には通気性が低く、空気調和機や空気清浄機用のフィルタに使用した場合、送風用のファンに過大な負担をかけることになってしまう恐れがあるためである。
不織布間に脱臭剤を狭持する方法は、熱可塑性樹脂からなる不織布を用いて加熱圧着するか、またはバインダ、ホットメルト等の接着剤を使用することができる。
プリーツ加工は、折幅10〜50mm、好ましくは15〜35mmの範囲内で加工することができる。折幅が10mmより小さい場合には、脱臭剤への臭気成分の接触効率が低く、所望の1パス脱臭性能が得られないことがあり、50mmより大きい場合、空気調和機や空気清浄機用のフィルタとしてはスペースを取りすぎることになり、流路の確保、他の部品への過大な制限が起きる恐れがあるためである。
プリーツのピッチは、3〜15mm、好ましくは4〜10mmの範囲内で加工することができる。ピッチが3mmより小さい場合には、通気抵抗が高くなり、空気調和機や空気清浄機用のフィルタに利用した場合、送風用のファンに過大な負担をかけることになり、15mmより大きい場合、所望の1パス脱臭性能が得られない恐れがあるためである。
プリーツ加工を施したシート状フィルタをフレームに固定する方法は、樹脂または厚紙からなる板状フレームにバインダ、ホットメルト等の接着剤を使用して、所定のプリーツピッチで固定することができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、この実施例は、本発明の構成の一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。
(実施例1)
活性炭にアニリンを4重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して50重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤。
活性炭にアニリンを4重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して50重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤。
(実施例2)
活性炭にアニリンを4重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して25重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤。
活性炭にアニリンを4重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して25重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤。
(実施例3)
活性炭にアニリンを4重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
活性炭にアニリンを4重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
(実施例4)
活性炭にアニリンを8重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
活性炭にアニリンを8重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
(実施例5)
活性炭にアニリンを8重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭と、活性炭に燐酸を27重量%の割合で担持させた第3の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合、且つ第3の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合、さらに第2の活性炭:第3の活性炭=1:1の重量比率となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
活性炭にアニリンを8重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭と、活性炭に燐酸を27重量%の割合で担持させた第3の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合、且つ第3の活性炭が第1の活性炭に対して10重量%の割合、さらに第2の活性炭:第3の活性炭=1:1の重量比率となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
(実施例6)
活性炭にアニリンを8重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭と、活性炭に燐酸を15重量%の割合で担持させた第3の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して15重量%の割合、且つ第3の活性炭が第1の活性炭に対して45重量%の割合、さらに第2の活性炭:第3の活性炭=1:3の重量比率となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
活性炭にアニリンを8重量%の割合で担持させた第1の活性炭と、活性炭に四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒を5重量%の割合で担持させた第2の活性炭と、活性炭に燐酸を15重量%の割合で担持させた第3の活性炭とを、第2の活性炭が第1の活性炭に対して15重量%の割合、且つ第3の活性炭が第1の活性炭に対して45重量%の割合、さらに第2の活性炭:第3の活性炭=1:3の重量比率となるように組み合わせた脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
(比較例1)
無処理の活性炭からなる脱臭剤。
無処理の活性炭からなる脱臭剤。
(比較例2)
無処理の活性炭からなる脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
無処理の活性炭からなる脱臭剤を、バインダを介してポリエステルからなる不織布で熱圧着によって狭持した集塵脱臭シートをさらにプリーツ加工した集塵脱臭フィルタ。
(性能評価)
上記の実施例及び比較例の脱臭剤及び集塵脱臭フィルタの性能を、以下の試験方法で評価した。
上記の実施例及び比較例の脱臭剤及び集塵脱臭フィルタの性能を、以下の試験方法で評価した。
実施例1、2及び比較例1で得られた脱臭剤20gを3Lのテドラーバッグ内に据え置き、アセトアルデヒド2000ppm/窒素ガスを注入し、一定時間毎にテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。その測定結果を図1に示す。測定値が低いほど性能が良好であることを示す。同図において、特に測定開始初期の測定値から脱臭即効性があることを知ることができ、以降の経時変化から触媒分解特性を知ることができる。
実施例1、2は比較例1に対して良好な脱臭即効性を示し、かつ触媒分解効果によって脱臭剤を再生することで脱臭剤量以上の脱臭能力を示した。さらに触媒分解特性は実施例1、2における四酸化ルテニウムを含有しないルテニウム触媒によって自在にコントロールすることができることが判った。
実施例3及び比較例2で得られた集塵脱臭フィルタを60mm×60mmに裁断し、3Lのテドラーバッグ内に据え置き、アセトアルデヒド2000ppm/窒素ガスを注入し、一定時間毎にテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。その測定結果を図2に示す。測定値が低いほど性能が良好であることを示す。同図において、特に測定開始初期の測定値から脱臭即効性があることを知ることができ、以降の経時変化から触媒分解特性を知ることができる。
実施例3は比較例2に対して良好な脱臭即効性及び触媒分解効果を示している。本発明の脱臭剤は脱臭性能を損なうことなくフィルタに適用できることが判った。
実施例4、及び5、6で得られた集塵脱臭フィルタを60mm×60mmに裁断し、3Lのテドラーバッグ内に据え置き、アセトアルデヒド2000ppm/窒素ガスを注入し、一定時間毎にテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。その測定結果を図3に示す。測定値が低いほど性能が良好であることを示す。同図において、特に測定開始初期の測定値から脱臭即効性があることを知ることができ、以降の経時変化から触媒分解特性を知ることができる。
実施例5は実施例4に対して、同等レベルの脱臭即効性及び触媒分解効果を示しているが、実施例6は実施例4、5に対して、第1の活性炭量の減量の影響を受けて脱臭即効性が若干損なわれていることを示している。
実施例4、及び5、6で得られた集塵脱臭フィルタを30mm×30mmに裁断し、脱臭評価用調整ガスを集塵脱臭フィルタに通過させることができる筒状の試験装置に組み込み、アセトアルデヒド30ppm/窒素ガス及びアンモニア30ppm/窒素ガスを一定量供給した際の集塵脱臭フィルタ通過後のアセトアルデヒド及びアンモニア濃度をガスクロマトグラフィー及びガス検知管を用いて測定し、脱臭効率を算出した。その結果を図4に示す。数値が高いほど性能が良好であることを示す。
実施例5は実施例4に対して、アセトアルデヒドの脱臭効率はほぼ同等レベルで且つアンモニアの脱臭効率が向上していることを示している。また、実施例6は実施例4、5に対して、第3の活性炭の増量効果でアンモニアの脱臭効率は向上しているが、反面第1の活性炭量の減量の影響を受けてアセトアルデヒドの脱臭効率が損なわれていることを示している。
本発明の脱臭剤及び脱臭フィルタは、添着剤及び触媒の効果を低下することなく、アルデヒド類を含む多成分複合臭気及びアルデヒド類を含む多成分複合臭気のうち、さらにアンモニアを含む多成分複合臭気の脱臭に適用することができ、脱臭剤の性能、寿命を向上させることができることがわかった。
なお、本発明による脱臭フィルタは、一般用あるいは車室内用の空調や空気清浄機に好適である。
Claims (13)
- アルデヒド類を含む多成分複合臭気の脱臭に用いる脱臭剤であって、アルデヒド類の吸着性能に優れたアミノ基含有有機化合物を担持した第1の活性炭と、臭気成分分解性能に優れたルテニウム触媒を担持した第2の活性炭とを組み合わせて含有し、前記ルテニウム触媒は四酸化ルテニウムを含有しないものであることを特徴とする脱臭剤。
- 前記第2の活性炭は、Ru元素を含む塩化物を含有する溶液内に活性炭を所定時間浸漬させ、還元、乾燥して活性炭の細孔内にルテニウム触媒を所定の重量%担持させたものであることを特徴とする請求項1記載の脱臭剤。
- 前記第1及び第2の活性炭が椰子殻活性炭であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱臭剤。
- 前記アミノ基含有有機化合物が前記第1の活性炭に対して0.5〜10重量%の割合で担持されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の脱臭剤。
- 前記アミノ基含有有機化合物がアニリンであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の脱臭剤。
- 前記ルテニウム触媒が前記第2の活性炭に対して0.1〜10重量%の割合で担持されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の脱臭剤。
- 前記第2の活性炭が前記第1の活性炭に対して5〜50重量%の割合で組み合わされていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の脱臭剤。
- アルデヒド類を含む多成分複合臭気のうち、さらにアンモニアを含む多成分複合臭気の脱臭に用いる脱臭剤であって、アルデヒド類の吸着性能に優れたアミノ基含有有機化合物を担持した第1の活性炭と、臭気成分分解性能に優れたルテニウム触媒を担持した第2の活性炭と、アンモニアの吸着特性に優れた燐酸を担持した第3の活性炭とを組み合わせて含有し、前記ルテニウム触媒は四酸化ルテニウムを含有しないものであることを特徴とする脱臭剤。
- 前記第3の活性炭が椰子殻活性炭であることを特徴とする請求項8記載の脱臭剤。
- 前記燐酸が前記第3の活性炭に対して5〜40重量%の割合で担持されていることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の脱臭剤。
- 前記第2及び第3の活性炭が前記第1の活性炭に対して5〜50重量%の割合で組み合わされていることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか一項記載の脱臭剤。
- 前記第2の活性炭と前記第3の活性炭の重量比率が、第2の活性炭:第3の活性炭=1:0.3〜1:3.0の範囲内であることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか一項記載の脱臭剤。
- 請求項1〜請求項12のいずれか一項記載の脱臭剤を通気性支持体を用いて保持したことを特徴とする脱臭フィルタ。
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