JP2005168430A - 食品用の日持ち向上剤および偏性嫌気性細菌増殖抑制剤 - Google Patents

食品用の日持ち向上剤および偏性嫌気性細菌増殖抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 食品に添加してもその味質を損なうことがない程度の少量添加で偏性嫌気性細菌(特にクロストリジウム属に属する細菌)の生育を十分抑制できる日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌増殖抑制剤を提供する。
【解決手段】 グリセリン脂肪酸エステルを主成分とし、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として含有することを特徴とする、食品用日持ち向上剤(もしくは食品における偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ発酵粉末、無機酸塩、および有機酸塩を含むことを特徴とする、上記の食品用日持ち向上剤(もしくは食品における偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
上記の食品用日持ち向上剤(もしくは食品における偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)を配合してなる、脱酸素包装食品(特に固形または粘性の高い食品)。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品用の日持ち向上剤および偏性嫌気性細菌増殖抑制剤に関し、より具体的には、グリセリン脂肪酸エステルとトウモロコシ発酵粉末、あるいはさらに無機酸、有機酸、ホップ抽出物等を組み合わせることにより、食品中の腐敗細菌や食中毒細菌、特にクロストリジウム属菌と呼ばれる偏性嫌気性細菌の増殖を強固に抑制し、食品の日持ちを向上させることが可能な食品用日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌増殖抑制剤、およびそれを配合した食品に関する。
技術背景
包装食品は、それ自体運搬や販売に便利であるだけではなく外部からの微生物汚染を防止し、真空やガス置換包装あるいは脱酸素剤などを使用したものでは内部が嫌気状態になるために、好気性微生物の生育が阻止されて保存性を高めるなどの効果があるが、酸素を嫌う嫌気性微生物の生育阻止効果は期待できず、そればかりかかえってその生育を助長すると言った逆効果とも成り得る。特に、クロストリジウムと称される偏性嫌気性の芽胞形成細菌の中には、ボツリヌス菌やウェルシュ菌などの食中毒菌が含まれ食品衛生上問題となる為、これら偏性嫌気性細菌を抑制する技術が求められている。従来から食品中の偏性嫌気性菌(特にクロストリジウム属菌)の増殖を抑える方法としては、レトルト殺菌処理や保存料あるいは日持ち向上剤などを食品中に添加する方法があるが、今日の食品メーカーの要求としては、単に保存効果だけではなく安全性はもちろん官能的評価やコスト、そして表示の問題も重要な要素であることから、レトルト殺菌や保存料の使用は敬遠されがちであり、比較的日持ち向上剤の使用に要望が傾いている。日持ち向上剤としては有機酸やアミノ酸、グリセリン脂肪酸エステルや天然素材抽出物などが利用されているが,これらにより顕著な微生物抑制効果を期待するには食品全体の風味にもある程度影響を与えてしまうほどの添加量が必要であると言う問題点があった。
特開2002−253147号公報(特許文献1)には、とうもろこしを非病原性バチルス属細菌を接種して発酵させた成分には、Bacillus subtilisStaphylococcus aureusEscherichia coliSalmonella typhimuriumLactobacillus plantarumSaccharomyces cerevisiaeAspergillus nigerに対し抗菌力があることが開示されている。
特開2000−270821号公報(特許文献2)には、脂肪酸モノエステル(モノカプリン、モノカプリリン、モノラウリリン)およびε−ポリリジン並びにグリシンを有効成分とする食品保存剤に関し、一般細菌およびカビに対して優れた静菌効果を示すことが開示されている。
特開平6−153882号公報(特許文献3)には、ホースラディシュから抽出・製造された抗菌性物質と、ソルビン酸、酢酸、フマル酸、アジピン酸、ホップ抽出物、リゾチーム、ポリリジン、甘草抽出抗菌性物質、唐辛子抽出物等から選ばれた1種または2種以上を含有する食品用保存剤に関し、カビおよびバチルス・ズブチルスに対し抗菌力があることが開示されている。
特許第3042574号公報(特許文献4)、特許第3040295号公報(特許文献5)、特許第3040294号公報(特許文献6)、特許第3040293号公報(特許文献7)、特許第3040282号公報(特許文献8)には、乳酸菌によって生産されたバクテリオシンと、ポリリジン、ペクチン、キトサン、唐辛子抽出物、ワサビ抽出物、ホップ抽出物およびアルコールなる群から選ばれた少なくとも1種の物質を含有する食品用保存剤に関し、外観的な変化によって抗菌力があることが開示されている。
特許第3261175号公報(特許文献9)、特許第3261174号公報(特許文献10)には、ラクトフェリン関連抗菌性ペプチドとグリセリン脂肪酸エステル類等の抗菌作用を有する化学物質との任意の混合物による抗菌剤に関し、エシェリキア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウスに対して抗菌力があることが開示されている。
特開平7−147952号公報(特許文献11)には、モノカプリンがクロストリジウム属菌に対して抗菌作用を示すことが記載されており、また、特開平7−147953号公報(特許文献12)および特開2002―345447号公報(特許文献13)には、ショ糖脂肪酸エステルがクロストリジウム属菌に対して抗菌作用または発育抑制作用を有することが記載されている。
しかしながら、脂肪酸エステル類等の抗菌剤を食品、特に固形食品(ハンバーグ、ロールチキン、ハム、ソーセージ等)に添加する場合、実用的な抗菌力を得るためには多量の抗菌剤を使用する使用する必要があり、その結果食品の風味にも影響を与えてしまうという問題があった。
特開2002−253147号公報 特開2000−270821号公報 特開平6−153882号公報 特許第3042574号公報 特許第3040295号公報 特許第3040294号公報 特許第3040293号公報 特許第3040282号公報 特許第3261175号公報 特許第3261174号公 報特開平7−147952号公報 特開平7−147953号公報 特開2002−345447号公報
本発明は、食品に添加してもその味質を損なうことがない程度の少量添加で目的の微生物(偏性嫌気性細菌、特にクロストリジウム属に属する細菌)の生育を十分抑制できる日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、グリセリン脂肪酸エステルを主成分として用い、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として用いることにより、あるいはさらに無機酸、有機酸、ホップ抽出物を組み合わせることにより、食品(特に固形あるいは粘性の高い食品)に少量添加するだけで偏性嫌気性細菌であるクロストリジウム属菌の生育を抑えて、食品の日持ちを向上させることができ、それにより上記の目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の構成を要旨とする食品用日持ち向上剤、もしくは食品における偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤に関するものである。
(1)グリセリン脂肪酸エステルを主成分とし、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として含有することを特徴とする、食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
(2)グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ発酵粉末、無機酸塩および有機酸塩を含むことを特徴とする、上記の食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
(3)ホップ抽出物をさらに添加することを特徴とする、上記の食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
(4)グリセリン脂肪酸エステルとしてモノカプリンまたはモノラウリン、無機酸塩としてピロリン酸ニ水素ナトリウム、有機酸塩として酢酸ナトリウムを用いることを特徴とする、上記の食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
(5)偏性嫌気性細菌(特に、クロストリジウム属菌)の増殖抑制作用を有する、上記の食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)。
(6)上記構成の食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)を食品に配合してなる、脱酸素包装食品(特に、固形または粘性の高い食品)。
本発明による食品用日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌増殖抑制剤の使用により、すなわち、グリセリン脂肪酸エステルを主成分として用い、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として用いることにより、食品に添加してもその味質を損なうことがない程度の少量添加で目的微生物(偏性嫌気性細菌、特にクロストリジウム属菌)の生育を十分抑制し、食品の日持ちを向上させることができる。
本発明による食品用日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤は、基本的に、グリセリン脂肪酸エステルを主成分とし、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として用いることを特徴とするものであることは上記したところである。ここで、食品用日持ち向上剤とは、一般に食品中の細菌、本発明においては偏性嫌気性細菌の生育を抑え、食品の変質、味質の変化を抑制してその日持ち(保存性)を向上させるものである。また、対象となる食品は、真空や窒素置換包装あるいは脱酸素剤等を使用した包装など、内部の酸素が少ないもしくは嫌気状態の包装の食品(以下、脱酸素包装食品ともいう)であれば特に限定されないが、例えば調理肉(ハンバーグ、ハム、ソーセージなど)、缶詰、ビン詰、シチュー、カレー、ソース、菓子類などがあげられる。
グリセリン脂肪酸エステルは、食品中の偏性嫌気性細菌(特にクロストリジウム属菌)の増殖を抑制する作用を有するもので、具体的には例えば、カプリン酸モノグリセリンエステル(モノカプリン)、カプリル酸モノグリセリンエステル(モノカプリリン)、ラウリン酸モノグリセリンエステル(モノラウリン)、ミリスチン酸モノグリセリンエステル(モノミリスチン)等があげられるが、モノカプリン、モノラウリンが好ましく、モノカプリンが特に好ましい。
トウモロコシ発酵粉末は、上記グリセリン脂肪酸エステルの食品中での分散を均一にするための分散剤としての役割を果たすものであり、グリセリン脂肪酸エステル単独では食品中(特に固形または粘性の高い食品中)で極めて不十分な偏性嫌気性細菌抑制作用を良好なものとすることができる。このようなトウモロコシ発酵粉末は、トウモロコシの種実を発酵させたものであればその製造方法は特に限定されないが、例えば、トウモロコシの種実をあらかじめアルカリ処理して表皮を分解した後に非病原性バチルス属細菌を接種して発酵させるか、あるいは上記食品用細菌を接種した後にアルカリ処理して発酵させたものが好ましい例としてあげられる。このような方法の具体例は、例えば前記特開2002−253147号公報(特許文献1)に記載されている。その概要は、トウモロコシの種実をあらかじめアルカリ処理(pH7.5〜9.5)した後に非病原性バチルス属細菌(B. subutilisなど)を接種して発酵させるか、あるいは該細菌を接種した後にアルカリ処理して発酵させ、それを粉砕して得られた粉砕物があげられる。後記の実施例3には、上記の方法に基づく具体的方法の一例が記載されている。
本発明による上記剤(食品用日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)は、グリセリン脂肪酸エステルおよびトウモロコシ発酵粉末の他に、さらに無機酸塩、有機酸塩および/またはホップ抽出物を添加してもよい。
無機酸塩は、pH調整剤としての機能を有しており、例えばピロリン酸二ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が例示されるが、ピロリン酸二ナトリウムが特に好ましい。
有機酸塩は、無機酸塩と同様にpH調整剤としての機能を有しており、例えば酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等が例示されるが、酢酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明におけるホップ抽出物は、通常ホップの種実を炭酸ガスを用いて臨界抽出したものであり、抗菌性および味質の改良の役割を果たす。このようなホップ抽出物としては、実用的にはアサマ化成社から市販されているものを使用することができる。
本発明による上記剤は、上記の成分の他、必要に応じてデキストリン、糖類、デンプン、塩類等をさらに加えてもよい。
本発明による食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)は、基本的に上記のような成分によって構成され、細菌特に偏性嫌気性細菌の生育抑制効果と同時に該剤が添加された食品の味質に対する影響をできるだけ軽減させることを目的としている。このような本発明剤は、上記各成分を使用して液状(水溶液等)、粉末状、ペースト状等の所望の形態とすることができるが、粉末状の形態が好ましい。本発明剤において、主成分であるグリセリン脂肪酸エステルと分散剤としてのトウモロコシ発酵粉末の配合比は、通常1〜5:10〜60、好ましくは1〜2:30〜50である。また、本発明剤中の上記各成分の配合割合(液状の場合は溶媒以外の成分中)は、通常、グリセリン脂肪酸エステル0.1〜5.0%、トウモロコシ発酵粉末10〜60%、ホップ抽出物0.1〜5.0%、無機酸塩5.0〜50%、有機酸塩5.0〜40%、デキストリン1.0〜20%(重量)等である。本発明剤が液状、ペースト状の場合の溶媒は、通常水、アルコール等であり、液状剤の場合、成分の濃度は通常グリセリン脂肪酸エステルとして0.1〜3%程度でよい。
本発明は、上記食品用日持ち向上剤もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤を配合してなる脱酸素包装食品(前記)にも関する。本発明において対象となる食品は、脱酸素包装食品であれば特に限定されないが、前述のように、例えば調理肉(ハンバーグ、ハム、ソーセージなど)を真空包装したもの、缶詰、気密性の高い容器で密封包装したカレー、シチュー、ソース類、脱酸素剤を入れて包装した菓子類などがあげられる。本発明剤の食品への配合割合は、対象食品の種類や形態、目的菌類(偏性嫌気性細菌、特にクロストリジウム属細菌)の増殖抑制期間、食品の味質への影響等の度合いによって適宜変更することが可能であるが、好ましくは食品固形重量当り無機酸塩0.1〜0.5%、有機酸塩0.1〜0.5%、トウモロコシ発酵粉末0.3〜0.6%、ホップ抽出物0.001〜0.1%、グリセリン脂肪酸エステル0.001〜0.5%程度である。無機酸塩、有機酸塩及びグリセリン脂肪酸エステルの種類は特に限定はされないが、対象食品および抑制対象微生物等によって前記に例示したものから適宜選択するのが望ましい。
以下に、本発明による食品用日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤)の効果、およびそれを配合した本発明食品について、実施例によってさらに説明するが本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1] モノグリセライドの増殖抑制試験
グリセリン脂肪酸エステルの内、モノグリセライドのモノカプリリン、モノカプリン、モノラウリン及びモノミリスチンの4種類について各々試験用基礎培地(GAM寒天培地:ニッスイ)へ0.1%量添加して試験用寒天平板培地を作製し、これに前培養液(クックミート培地)に生育させた供試菌株を1白金耳量(1μl)画線塗抹して、35℃で7日間嫌気培養を行い、生育状態を無添加基礎培地と比較観察し判定した(判定法は表2参照)。また、供試菌株には食品から分離したクロストリジウム属菌9株及びクロストリジウム属菌の標準菌株3株を使用した。その結果(表1)、クロストリジウム属菌に対していずれのモノグリセライドも生育抑制効果を示したが、最も顕著に示したものはモノカプリンであり、次にモノラウリン、モノカプリリン、モノミリスチンの順であった。以上から、クロストリジウム属菌の生育抑制にはモノグリセライド特にモノカプリンが有効であることがわかった。
Figure 2005168430
Figure 2005168430
[実施例2] モノカプリンの添加濃度試験
実施例1で最も効果を認めたモノカプリンについて、その添加量と生育抑制力について調査した。試験方法は実施例1に準じ、添加濃度は0.01%、0.05%、0.1%の3段階とした。その結果(表3)、0.01%の添加においてもクロストリジウム属菌の生育を完全に阻止するのに充分な量であることがわかった。
Figure 2005168430
[実施例3] 日持ち向上製剤の増殖抑制試験
モノグリセライドのモノカプリンにクロストリジウム属菌の顕著な抑制効果を認めたことから、実際にモノカプリンを配合した日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌増殖抑制剤)を作製した。作製にあたってとうもろこし発酵粉末をベースに、これにモノカプリンを2.0%、ホップ抽出物を1.0%加えたものを作製した(配合割合:ピロリン酸ニ水素ニナトリウム30%、酢酸ナトリウム20%、とうもろこし発酵粉末41%、グリセリン脂肪酸エステル2%、ホップ抽出物1.0%、デキストリン6.0%)。試験方法は実施例1に準じて行い、日持ち向上剤の添加量は0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、3.0%及び4.0%とした(表5参照)。その結果(表4)、添加量0.5%からクロストリジウム属菌に対する生育抑制効果は徐々に現れ、1.0%添加でほとんどの供試菌株においてその生育抑制効果が認められ、1.5%添加に至っては供試した全てのクロストリジウム属菌の生育を完全に阻止した。
とうもろこし発酵粉末は、乾燥・粉砕したとろもろこしを水酸化カルシウム水溶液に48時間浸漬した後、浸漬液より取り出し、納豆菌を接種して発酵させ、この発酵液のpHを6.5〜7.5に調整した後、殺菌し、濾過液を真空濃縮後噴霧乾燥機で乾燥して得た。
ホップエキスは、ホップペレットを抽出槽に充填し、二酸化炭素を用いて臨界抽出を行い、分離槽40℃の条件でホップエキスの抽出分離を行った。
Figure 2005168430
Figure 2005168430
[実施例4] ハンバーグ添加試験
実施例3において作製した日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌増殖抑制剤)を実際にハンバーグに添加し(1.0%添加、1.5%添加、2.0%添加)、虐待試験(27℃・72時間)を行うことによりクロストリジウム属菌に対する抑制効果を調べた(ハンバーグ配合:表7参照、製造法:練り肉+日持ち向上剤添加→打ち出し成形→表面焼成→真空包装→ボイル(90℃・45分)→水冷→急冷保管(表7参照))。その結果(表6)、日持ち向上剤無添加区では虐待試験後にはクロストリジウム属菌が104 / gオーダーにまで増殖していたが,1.0%、1.5%及び2.0%添加のいずれの場合においてもクロストリジウム属菌は検出されず、ハンバーグにおけるクロストリジウム属菌の抑制効果が確認できた。また、初発における官能評価では1.5%と2.0%添加においては無添加と比較して若干の異味を感じたが、1.0%添加ではその差をほとんど感じなかった。
Figure 2005168430
Figure 2005168430
[実施例5] ロールチキン添加試験
実施例3において作製した日持ち向上剤(もしくは偏性嫌気性細菌増殖抑制剤)を実際にロールチキンに1.0%添加し、虐待試験(27℃・72時間)を行うことによりクロストリジウム属菌に対する抑制効果を調べた(ロールチキン配合:表9参照、製造法:鶏肉→塩漬→スチーム(85℃・40分)→真空包装→ボイル(85℃・40分)→水冷→急冷保管(表9参照))。その結果(表8)、日持ち向上剤無添加区では虐待試験後にはクロストリジウム属菌が3検体中1検体で陰性であったが他の2検体は102 / gオーダーと105 / gオーダーにまで増殖していた。これに対し日持ち向上剤を1.0%添加した場合には、3検体全て陰性となり、ロールチキンにおけるクロストリジウム属菌の抑制効果が確認できた。また、初発における官能評価では添加と無添加の差は全く感じられなかった。
Figure 2005168430
Figure 2005168430
[実施例6]日持ち向上剤成分の組合せによる効果(ハンバーグ)
合い挽き肉30kg、玉ねぎ9kg、パン粉3kg、水3kg、食塩0.3kg、香辛料及び調味料0.6kgを配合したハンバーグの基本組成に対し、表10に示す各種の保存剤成分を該表に示す割合になるように添加し,これらを混合して100gずつの大きさに成形、表面を鉄板焼きしてから包装した後に95℃で45分のボイルを行い、冷却してハンバーグを作製した。これを一試験区当り5個ずつ用意し、27℃で72時間の保存試験を行い、クロストリジウム属菌の菌数測定を行った。その結果いずれの検体もクロストリジウム属菌が1g当り100未満である場合を生育抑制効果あり(○)とし、1000以上の菌数が検出された場合を生育抑制効果なし(×)と判断した。また、1g当り100以上1000未満の場合は生育抑制効果が弱い(△)と判定した。
Figure 2005168430

Claims (12)

  1. グリセリン脂肪酸エステルを主成分とし、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として含有することを特徴とする、食品用日持ち向上剤。
  2. グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ発酵粉末、無機酸塩および有機酸塩を含むことを特徴とする、請求項1に記載の食品用日持ち向上剤。
  3. ホップ抽出物をさらに添加することを特徴とする、請求項2に記載の食品用日持ち向上剤。
  4. グリセリン脂肪酸エステルとしてモノカプリンまたはモノラウリン、無機酸塩としてピロリン酸ニ水素ナトリウム、有機酸塩として酢酸ナトリウムを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品用日持ち向上剤。
  5. 偏性嫌気性細菌の増殖抑制作用を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品用日持ち向上剤。
  6. グリセリン脂肪酸エステルを主成分とし、トウモロコシ発酵粉末を分散剤として含有することを特徴とする、食品における偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤。
  7. グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ発酵粉末、無機酸塩および有機酸塩を含むことを特徴とする、請求項6に記載の偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤。
  8. ホップ抽出物をさらに添加することを特徴とする、請求項7に記載の偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤。
  9. グリセリン脂肪酸エステルとしてモノカプリンまたはモノラウリン、無機酸塩としてピロリン酸ニ水素ナトリウム、有機酸塩として酢酸ナトリウムを用いることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤。
  10. 偏性嫌気性細菌がクロストリジウム属に属する細菌である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤。
  11. 請求項1〜5および請求項6〜10のいずれか1項に記載の食品用日持ち向上剤または偏性嫌気性細菌の増殖抑制剤を配合してなる、脱酸素包装食品。
  12. 食品が固形または粘性の高い食品である、請求項11に記載の脱酸素包装食品。
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