JP2005164001A - 動力伝達機構の故障診断装置 - Google Patents

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Atsushi Nakayama
淳 中山
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朋亮 杉浦
Makoto Iijima
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Abstract

【課題】 出力回路の故障に伴うクラッチ等の誤作動に影響されることなく、回転数センサの故障状態を正確に判定する。
【解決手段】 無段変速機のプライマリプーリとエンジンとの間には、クラッチ等が組み込まれる前後進切換機構が設けられる。また、前後進切換機構の入力側で回転数Ntを検出するタービン回転数センサと、出力側で回転数Nsを検出するセカンダリ回転数センサとを備える。回転数Nt,Nsの一方が回転状態を示し他方が停止状態を示すと(S4)、セカンダリ回転数センサの故障状態が仮判定される(S7)。デューティー比が0%または100%の場合にはデューティー比が変更される(S9)。そして、変更されたデューティー比を認識した場合には仮判定が有効となり故障状態が確定する(S12)。一方、デューティー比を認識しない場合には仮判定が無効とされ、出力回路の故障状態が判定される(S5)。
【選択図】図8

Description

本発明は、摩擦係合機構を備える動力伝達機構の故障診断装置に関する。
摩擦係合機構を備える動力伝達機構としては、車両の動力伝達系に搭載される自動変速機や無段変速機などがある。たとえば、ベルト式無段変速機は、入力軸に設けられるプライマリプーリと、出力軸に設けられるセカンダリプーリと、これらのプーリに掛け渡される駆動ベルトとを備えており、駆動ベルトの巻き付け径を変化させることによって、変速比を無段階に変化させながら入力軸の回転は出力軸に伝達される。そして、エンジンと入力軸との間には入力軸の回転方向を切り換える前後進切換機構が設けられており、前後進切換機構内には摩擦係合機構である前進用クラッチや後退用ブレーキが組み込まれている。
また、遊星歯車式の自動変速機は、一軸上に配置された入力軸と出力軸とを備えており、入力軸と出力軸とは複数の遊星歯車列によって連結されている。この遊星歯車列のリングギヤやキャリアには、摩擦係合機構であるクラッチやブレーキが組み付けられており、クラッチやブレーキを締結することによって遊星歯車列内の動力伝達経路が切り換えられ、入力軸から出力軸に変速されたエンジン動力が伝達されるようになっている。
これら変速機の変速制御を実行するため、制御ユニットには変速特性マップが格納されており、制御ユニットは車速やスロットル開度などに基づいて変速特性マップを参照することにより変速比や変速段を設定している。このように、制御ユニットに入力される車速は、変速制御を実行する上での重要なパラメータとなっており、制御ユニットに誤った車速が入力された場合には正確に変速制御を実行することが困難となる。
そこで、変速制御に用いる車速データを保証するため、変速機構の出力側に設けられる回転数センサ、つまり車速を演算する際に用いられる回転数センサの故障診断を行うようにした判定装置が開発されている(たとえば、特許文献1参照)。これによれば、入力軸の回転数を検出する回転数センサと、出力軸の回転数を検出する回転数センサとを備えており、入力軸と出力軸とは変速機構を介して連結されている。双方の回転数センサから出力される回転数を比較判定することにより、双方の回転数が連動して検出されない場合には、回転数センサの故障状態を判定するようになっている。また、変速機構内のクラッチ等が開放される変速制御が実行される場合には、比較判定する回転数が連動せず回転数センサの故障状態を誤判定するおそれがあるため、クラッチ等が開放される変速中には回転数センサの故障診断を中止するようにしている。
特開昭62−4948号公報(第5頁、図6)
ところで、変速機に組み込まれるクラッチ等は、変速機の変速品質を向上させるため、滑らかに締結状態や開放状態に切り換える必要がある。そこで、クラッチ等の切換制御には、制御ユニットから出力されるパルス信号のデューティー比を制御するようにした、デューティー制御が採用されることが多い。たとえば、油圧クラッチにあっては、油圧制御回路に組み込まれた電磁制御弁に対してデューティー制御を実行することにより、油圧クラッチに供給する作動油圧を滑らかに昇圧させ、締結ショックを発生させることなく油圧クラッチを締結状態に切り換えている。また、電磁クラッチにあっても、電磁クラッチに組み込まれるコイルに対してデューティー制御を実行することにより、電磁力つまりクラッチ締結力を滑らかに増大させて、締結ショックを発生させることなく電磁クラッチを締結状態に切り換えている。
しかしながら、パルス信号の出力回路に短絡や断線などの障害が発生した場合には、制御ユニットにより制御されるデューティー比に関係なく、電磁制御弁や電磁クラッチは、デューティー比が1または0のパルス信号が入力されたように制御されることになる。つまり、出力回路が電源側に短絡した場合には常に通電された状態となり、出力回路が接地した場合や断線した場合には常に通電が遮断された状態となる。このように、出力回路に障害が発生した場合には、制御ユニットからの作動指令に反してクラッチ等が開放状態や締結状態に切り換えられるおそれがある。
ここで、前述した回転数センサの故障診断が実行された場合には、出力回路に発生した障害に伴うクラッチ等の開放により、制御ユニットにより回転数センサが故障していると誤判定されるおそれがある。つまり、出力回路に障害が発生した場合には、制御ユニットがクラッチ等の作動状態を正確に認識することができないため、誤ったクラッチ作動状態に基づいて回転数センサの故障診断を実行してしまうおそれがあり、正確に回転数センサの故障状態を判定することが困難となっていた。
本発明の目的は、摩擦係合機構の誤作動を伴う出力回路の故障状態を正確に判定することにある。
本発明の目的は、出力回路の故障に伴う摩擦係合機構の誤作動に影響されることなく、回転数センサの故障状態を正確に判定することにある。
本発明の動力伝達機構の故障診断装置は、エンジン動力を駆動輪に伝達する締結状態と、エンジン動力の伝達を遮断する開放状態とに切り換えられる摩擦係合機構と、入力されるパルス信号のデューティー比に基づいて、前記摩擦係合機構を締結状態と開放状態とに切り換える切換機構と、前記切換機構に出力するデューティー比を制御するとともに、出力したデューティー比をフィードバック回路を介して認識するパルス制御手段と、前記パルス制御手段によりデューティー比が0または1に制御された状態のもとで、パルス信号を出力する出力回路の故障状態を判定するときには、前記パルス制御手段から出力されるデューティー比を変更するデューティー比変更手段と、前記デューティー比変更手段によりデューティー比が変更された状態のもとで、前記パルス制御手段によりデューティー比の変更が認識されたときには、前記出力回路が正常であると判定する一方、デューティー比の変更が認識されなかったときには、前記出力回路が故障していると判定する故障診断手段とを有することを特徴とする。
本発明の動力伝達機構の故障診断装置は、入力軸に装着されるとともにトルクコンバータを介してエンジンに駆動される入力側回転体と、出力軸に装着されるとともに前記入力側回転体に動力伝達要素を介して連結される出力側回転体と、前記トルクコンバータに設けられるタービン軸の回転数を検出するタービン回転数センサと、前記出力軸の回転数を検出する出力回転数センサと、前記摩擦係合機構が締結状態に切り換えられ前記タービン軸と前記入力軸とが連結された状態のもとで、前記タービン回転数センサおよび前記出力回転数センサの一方が回転状態を検出するとともに他方が停止状態を検出するときには、前記タービン回転数センサまたは前記出力回転数センサが故障状態にあることを仮判定する仮判定手段とを有し、前記デューティー比変更手段は、前記パルス制御手段によりデューティー比が0または1に制御された状態のもとで、前記仮判定手段により故障状態の仮判定がなされたときには、前記パルス制御手段から出力されるデューティー比を変更し、前記故障診断手段は、前記デューティー比変更手段によりデューティー比が変更された状態のもとで、前記パルス制御手段によりデューティー比の変更が認識されたときには、前記仮判定手段による故障状態の仮判定を有効とする一方、デューティー比の変更が認識されなかったときには、前記仮判定手段による故障状態の仮判定を無効とすることを特徴とする。
本発明の動力伝達機構の故障診断装置は、前記摩擦係合機構は、前記入力軸の回転方向を切り換える前後進切換機構に組み込まれる前進用クラッチまたは後退用ブレーキであることを特徴とする。
本発明の動力伝達機構の故障診断装置は、前記切換機構は前記摩擦係合機構に作動油圧を供給制御する電磁弁であることを特徴とする。
本発明によれば、パルス制御手段がデューティー比を0または1に制御している場合、つまりパルス制御手段がフィードバックされるデューティー比を認識できない場合であっても、デューティー比変更手段によりデューティー比を変更するようにしたので、パルス信号を出力する出力回路の故障状態を判定することができる。つまり、変更されたデューティー比がパルス制御手段により認識された場合には出力回路が正常であると判定することができ、パルス制御手段により認識されなかった場合には出力回路が故障していると判定することができる。
これにより、デューティー比に基づいて摩擦係合機構を締結状態または開放状態に制御する場合には、出力回路の判定結果から摩擦係合機構の作動状態を判定することができる。よって、摩擦係合機構の締結状態や故障状態を前提とした各種制御を実行する際に、これらの各種制御を正確に実行することができる。
また、セカンダリ回転数センサやタービン回転数センサの故障状態を判定する際には、出力回路の判定結果からタービン軸とセカンダリ軸との間に設けられる摩擦係合機構の作動状態を判定することができる。このように摩擦係合機構の締結状態を判定することにより、セカンダリ回転数センサやタービン回転数センサの故障状態を確実に判定することができるため、変速制御などの各種走行制御を正確に実行することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は車両に搭載される無段変速機10を示すスケルトン図である。図1に示すように、この動力伝達機構としての無段変速機10はベルト式無段変速機であり、エンジン11に駆動される入力軸としてのプライマリ軸12と、これに平行となる出力軸としてのセカンダリ軸13とを有している。プライマリ軸12とセカンダリ軸13との間には変速機構が設けられており、プライマリ軸12の回転は変速されてセカンダリ軸13に伝達される。そして、セカンダリ軸13の回転は、減速機構14やディファレンシャル機構15を介して左右の駆動輪16,17に伝達される。
プライマリ軸12には入力側回転体であるプライマリプーリ20が設けられており、このプライマリプーリ20はプライマリ軸12に一体となった固定プーリ20aと、これに対向してプライマリ軸12に軸方向に摺動自在となって装着される可動プーリ20bとを有している。また、セカンダリ軸13には出力側回転体であるセカンダリプーリ21が設けられており、このセカンダリプーリ21はセカンダリ軸13に一体となった固定プーリ21aと、これに対向してセカンダリ軸13に軸方向に摺動自在となって装着される可動プーリ21bとを有している。
プライマリプーリ20とセカンダリプーリ21との間には動力伝達要素である駆動ベルト22が掛け渡されており、プライマリプーリ20とセカンダリプーリ21との溝幅を変化させ、駆動ベルト22の巻き付け径の比率を変化させることにより、プライマリ軸12の回転が無段階に変速されてセカンダリ軸13に伝達される。駆動ベルト22のプライマリプーリ20に対する巻き付け径をRpとし、セカンダリプーリ21に対する巻き付け径をRsとすると、変速比はRs/Rpとなる。
プライマリプーリ20の溝幅を変化させるために、プライマリ軸12にはプランジャ23が固定され、可動プーリ20bにはプランジャ23の外周面に摺動自在に接触するプライマリシリンダ24が固定されており、プランジャ23とプライマリシリンダ24とによって作動油室25が区画されている。一方、セカンダリプーリ21の溝幅を変化させるために、セカンダリ軸13にはプランジャ26が固定され、可動プーリ21bにはプランジャ26の外周面に摺動自在に接触するセカンダリシリンダ27が固定され、プランジャとセカンダリシリンダ27とによって作動油室28が区画されている。それぞれのプーリ20,21の溝幅は、プライマリ側の作動油室25に導入されるプライマリ圧Ppと、セカンダリ側の作動油室28に導入されるセカンダリ圧Psとを調整することで設定される。
また、プライマリプーリ20にエンジン動力を伝達するため、クランク軸11aとプライマリ軸12との間にはトルクコンバータ30と前後進切換機構31とが設けられている。トルクコンバータ30はクランク軸11aに連結されるポンプシェル30aとこれに対面するタービンランナ30bとを備えており、タービンランナ30bにはタービン軸32が連結されている。また、トルクコンバータ30内には、走行状態に応じてクランク軸11aとタービン軸32とを締結するためのロックアップクラッチ33(以下、L/Uクラッチという)が組み込まれている。
このL/Uクラッチ33の一方面側にはアプライ室33aが形成され、他方面側にはリリース室33bが形成されており、アプライ室33aとリリース室33bには調圧された作動油が供給制御されるようになっている。アプライ室33aに油圧を供給する一方、リリース室33bから油圧を排出すると、L/Uクラッチ33はトルクコンバータ30のフロントカバー30cに係合する締結状態となり、クランク軸11aとタービン軸32とが直結された状態となる。また、アプライ室33aから油圧を排出する一方、リリース室33bに油圧を供給すると、L/Uクラッチ33はフロントカバー30cから離れる開放状態となり、クランク軸11aとタービン軸32との連結は解除され、作動するトルクコンバータ30を介してエンジン動力がタービン軸32に伝達される状態となる。そして、リリース室33b内の油圧を調圧することにより、L/Uクラッチ33はフロントカバー30cに対してスリップ状態つまり半クラッチ状態となる。
前後進切換機構31は、ダブルピニオン式の遊星歯車列34、摩擦係合機構である前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36を備えており、前進用クラッチ35と後退用ブレーキ36とを作動させることで前後進切換機構31内の動力伝達経路を切り換えることができる。前進用クラッチ35は、タービン軸32に固定されるクラッチドラム35aと、プライマリ軸12に固定されるクラッチハブ35bとを備えている。クラッチドラム35aとクラッチハブ35bとの間には複数の摩擦プレート35cが設けられており、これら摩擦プレート35cに対面するようにクラッチドラム35a内には油圧ピストン35dが収容されている。クラッチドラム35aと油圧ピストン35dとによって区画されるクラッチ圧室35eに作動油を供給することにより、前進用クラッチ35は締結状態に切り換えられ、タービン軸32の回転をプライマリプーリ20に伝達して車両を前進させることができる。
また、後退用ブレーキ36を構成するミッションケース37と遊星歯車列34のリングギヤ34aとの間には、複数の摩擦プレート36aが設けられており、これら摩擦プレート36aに対面するように油圧ピストン36bが設けられている。ミッションケース37と油圧ピストン36bとにより区画されるブレーキ圧室36cに作動油を供給することにより、後退用ブレーキ36は締結状態に切り換えられ、遊星歯車列34を介して逆転されたタービン軸32の回転をプライマリプーリ20に伝達して車両を後退させることができる。なお、前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36を共に解放状態に切り換えると、タービン軸32とプライマリ軸12とは切り離され、前後進切換機構31はプライマリ軸12に動力を伝達しないニュートラル状態に切り換えられる。
図2は無段変速機10の油圧制御系および電子制御系を示す概略図である。図2に示すように、プライマリプーリ20やセカンダリプーリ21に作動油を供給するため、無段変速機10にはエンジン11に駆動されるオイルポンプ40が設けられている。オイルポンプ40の吐出口に接続されるセカンダリ圧路42は、セカンダリプーリ21の作動油室28に接続されるとともにセカンダリ圧調整弁43の調圧ポート43aに接続されている。このセカンダリ圧調整弁43によって調圧されるライン圧つまりセカンダリ圧Psは、駆動ベルト22に対してトルク伝達に必要な張力を与える圧力に調整される。
また、セカンダリ圧調整弁43の排出ポート43cには潤滑圧路44が接続され、この潤滑圧路44にはセカンダリ圧Psを調圧した際に排出された作動油が案内される。潤滑圧路44には図示しない潤滑圧調整弁が設けられており、この潤滑圧調整弁によりセカンダリ圧調整弁43のドレイン圧を元圧として潤滑圧が調圧されるようになっている。このように調圧された潤滑圧は、駆動ベルト22の潤滑部、プライマリプーリ20のキャンセル油室20c、そしてL/Uクラッチ33のリリース室33bに供給されるようになっている。
さらに、セカンダリ圧路42はプライマリ圧調整弁45の入力ポート45aに接続されており、プライマリ圧調整弁45の出力ポート45bから延びるプライマリ圧路46はプライマリプーリ20の作動油室25に接続されている。プライマリ圧調整弁45によって、セカンダリ圧Psは目標変速比などに応じたプライマリ圧Ppに調圧され、プライマリプーリ20の溝幅が設定される。
ここで、プライマリ圧Ppはセカンダリ圧Psを減圧した圧力であるが、作動油室25の受圧面積は作動油室28に比べて大きく設定されるため、プライマリ圧Ppを制御することにより、プライマリプーリ20の溝幅を変化させるとともに、駆動ベルト22を介してセカンダリプーリ21の溝幅を変化させることができる。セカンダリ圧調整弁43とプライマリ圧調整弁45はそれぞれ電磁圧力制御弁であり、CVT制御ユニット41からソレノイドコイル43b,45cに供給される電流値を制御することによって、セカンダリ圧Psとプライマリ圧Ppとを調圧することができる。
プライマリプーリ20やセカンダリプーリ21の溝幅を制御して無段変速機10の変速比を制御するCVT制御ユニット41は、図示しないマイクロプロセッサ(CPU)を備えており、このCPUにはバスラインを介してROM、RAMおよびI/Oポートが接続される。ROMには制御プログラム、変速特性マップおよびエンジントルクマップなどが格納されており、RAMにはCPUで演算処理したデータが一時的に格納されるようになっている。また、I/Oポートを介してCPUには各種センサから車両の走行状態を示す検出信号が入力される。
CVT制御ユニット41に検出信号を入力する各種センサとしては、クラッチドラム35aの外周側に設けられタービン軸32のタービン回転数Ntを検出するタービン回転数センサ50、セカンダリプーリ21のセカンダリ回転数Nsを検出する出力回転数センサとしてのセカンダリ回転数センサ51、アクセル開度Aoを検出するアクセルペダルセンサ52、スロットルバルブのスロットル開度Toを検出するスロットル開度センサ53、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ54などがある。また、CVT制御ユニット41にはエンジン制御ユニット56が接続されており、無段変速機10とエンジン11とは相互に協調して制御される。なお、プライマリ軸12のプライマリ回転数Npを検出するプライマリ回転数センサは、無段変速機10の低コスト化を図るために削減されている。
図3はプライマリプーリ20の目標プライマリ回転数Npdと車速Vとの関係を示す変速特性線図である。図3に示すように、たとえば、車両を停止状態から加速させるため、アクセルペダルを全開まで踏み込んだ場合には、目標プライマリ回転数Npdは変速比が最大となる特性線LOWに沿ってA点に達する。次いで、変速比をオーバードライブ側に変化させるとともに目標プライマリ回転数Npdを若干上昇させながらB点に達し、変速比を更にオーバードライブ側に変化させるとともに目標プライマリ回転数Npdを低下させながらC点に達する。この状態からアクセルペダルを解放した場合には、変速比が最小となる特性線ODに沿ってD点まで減速した後に、D点からE点にかけて変速比をロー側に変化させながら更に減速する。そして、変速比をロー側に維持した状態で車両が停止することになる。
図3に示す複数本の破線は、それぞれ所定のスロットル開度Toに対応した車速Vと目標プライマリ回転数Npdとの関係を示す特性線であり、複数本の細線は、それぞれ所定の変速比に対応した車速Vと目標プライマリ回転数Npdとの関係を示す特性線である。実際の走行においては、車速Vとスロットル開度Toに基づいて、A点からE点で示される太線の範囲内で適切な目標プライマリ回転数Npdが設定されるとともに、目標プライマリ回転数Npdとセカンダリ回転数Nsとに基づいて目標変速比isが算出される。そして、この目標変速比isを得るために必要なプライマリ圧Ppがプライマリ圧調整弁45によって調圧される。また、CVT制御ユニット41は、プライマリ圧Ppをフィードバック制御するため、タービン回転数Ntとセカンダリ回転数Nsとに基づいて実変速比iを算出する。そして、実変速比iと目標変速比isとに基づいてプライマリ圧Ppがフィードバック制御され、プライマリプーリ20の溝幅が調整される。
このように、無段変速機10の変速制御を実行するため、目標プライマリ回転数Npdに基づいて目標変速比isが算出され、実変速比iによってフィードバック制御された目標変速比isに基づいてプライマリ圧Ppが算出されることになる。実変速比iを算出する際には、タービン回転数Ntとセカンダリ回転数Nsとが用いられることになるが、前後進切換機構31の前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36が締結された状態のもとでは、タービン回転数Ntがプライマリ回転数Npに対応するため、実変速比iを正確に算出することができる。また、目標プライマリ回転数Npdを算出する際の車速Vは、セカンダリ回転数Nsに基づいて演算されるようになっている。
また、CVT制御ユニット41は変速制御を確実に実行するため、変速制御に用いられるタービン回転数センサ50やセカンダリ回転数センサ51が正常に作動しているか否かを判定する。タービン回転数センサ50やセカンダリ回転数センサ51の作動判定を行う際には、前進用クラッチ35または後退用ブレーキ36が締結された状態のもとで、タービン回転数Ntとセカンダリ回転数Nsとが共に回転状態または停止状態を示しているか否かが判定される。つまり、回転数Nt,Nsの一方が回転状態を示すとともに他方が停止状態を示す場合には、タービン回転数センサ50やセカンダリ回転数センサ51が故障していると判定されることになる。
続いて、L/Uクラッチ33、前進用クラッチ35、後退用ブレーキ36に対して作動油を供給制御するための油圧制御回路について説明する。図4は油圧制御回路の一部を示す油圧回路図である。なお、図4の油圧回路図は符号aの部位で図2の概略図に示す油圧回路と接続されている。図4に示すように、前述したオイルポンプ40に接続されるセカンダリ圧路42はクラッチ圧調整弁60の入力ポート60aに接続されており、クラッチ圧調整弁60の出力ポート60bにはクラッチ圧路61が接続されている。クラッチ圧調整弁60により調圧されたクラッチ圧は、クラッチ圧路61を介して前進用クラッチ35のクラッチ圧室35eや後退用ブレーキ36のブレーキ圧室36cに供給されるようになっている。
また、L/Uクラッチ33、前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36と、オイルポンプ40との間にはスイッチ弁62が設けられている。このスイッチ弁62を切換作動させることにより、L/Uクラッチ33のアプライ室33aに連通するアプライ圧路63、リリース室33bに連通するリリース圧路64、前進用クラッチ35のクラッチ圧室35eに連通する前進用クラッチ圧路65、後退用ブレーキ36のブレーキ圧室36cに連通する後退用ブレーキ圧路66と、前述した潤滑圧路44およびクラッチ圧路61との接続状態を切り換えることができる。
このスイッチ弁62は、弁収容孔が形成されるハウジング62aと、弁収容孔に移動自在に収容されるスプール弁軸62bとを備えており、パイロット圧室62cにパイロット圧を供給制御することにより、ロックアップ開放位置とロックアップ締結位置との2位置に切り換えられる。スイッチ弁62の作動制御は、電磁切換弁 (ON−OFFソレノイドバルブ) 67によって行われ、CVT制御ユニット41より電磁切換弁67に通電がなされると、電磁切換弁67からスイッチ弁62に対してパイロット圧が供給され、スイッチ弁62はロックアップ締結位置に切り換えられる。一方、電磁切換弁67に対する通電が遮断されると、パイロット圧の供給が遮断され、スイッチ弁62はロックアップ開放位置に切り換えられる。
図4に示すように、スイッチ弁62がロックアップ開放位置に切り換えられると、リリース圧路64と潤滑圧路44とが連通状態となり、アプライ圧路63と排出ポート62dとが連通状態となる。これにより、L/Uクラッチ33は開放状態に切り換えられ、エンジン動力はトルクコンバータ30を介してタービン軸32に伝達されることになる。なお、リリース室33bに供給された作動油は、アプライ室33aに流れ込んだ後にアプライ圧路63からオイルパンに排出される。
一方、スイッチ弁62がロックアップ締結位置に切り換えられると、アプライ圧路63とクラッチ圧路61とが連通状態となり、リリース圧路64とスリップ圧路68とが連通状態となる。このスリップ圧路68には油圧作動弁であるスリップ圧調整弁69が設けられており、スリップ圧調整弁69を介してスリップ圧路68と排出ポート69aとは連通状態となっている。これにより、L/Uクラッチ33は締結状態に切り換えられ、エンジン動力はクランク軸11aから直接にタービン軸32に伝達されることになる。
ここで、スリップ圧調整弁69は圧力調整弁であり、リリース室33bから排出される作動油の圧力を調圧することができる。スリップ圧調整弁69は、弁収容孔が形成されるハウジング69bと、弁収容孔に移動自在に収容されるスプール弁軸69cとを備えており、パイロット圧室69dにパイロット圧を供給制御することにより、前進用クラッチ締結位置とロックアップ締結位置との間でスプール弁軸69cの位置を調整することができる。
スリップ圧調整弁69の作動制御は、電磁圧力制御弁(デューティーソレノイドバルブ)70によって行われる。この電磁圧力制御弁70は、CVT制御ユニット41から出力されるパルス信号のデューティー比に応じて、スリップ圧調整弁69に供給するパイロット圧を調圧することができる。たとえば、デューティー比を1から0に向けて制御した場合、つまり電磁圧力制御弁70に供給する電力を減少させた場合には、電磁圧力制御弁70から出力されるパイロット圧を徐々に上昇させることができ、スリップ圧調整弁69をロックアップ締結位置から前進用クラッチ締結位置に向けて滑らかに制御することができる。
このように、CVT制御ユニット41から電磁圧力制御弁70に供給されるパルス信号のデューティー比を制御することにより、スリップ圧路68と排出ポート69aとの連通状態を制御することができるため、リリース室33bから排出ポート69aに流れ込む作動油を絞ることができ、L/Uクラッチ33を滑らかに締結状態に切り換えることができる。また、スリップ圧調整弁69によってスリップ圧を適宜調圧することにより、L/Uクラッチ33を半クラッチ状態で維持することもできる。
また、クラッチ圧室35eおよびブレーキ圧室36cとスイッチ弁62との間にはマニュアル弁71が設けられ、クラッチ圧路61と電磁切換弁67との間にはリバースシグナル弁72が設けられている。マニュアル弁71とリバースシグナル弁72とは、運転者に操作されるセレクトレバーに連動して切換作動するようになっている。つまり、マニュアル弁71とリバースシグナル弁72とは、セレクトレバーによって設定されるドライブレンジ(Dレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、パーキングレンジ(Pレンジ)、スポーツレンジ(Sレンジ)に対応した5位置に切り換えられる。
マニュアル弁71には、前進用クラッチ圧路65、後退用ブレーキ圧路66、そしてスイッチ弁62に接続されるクラッチブレーキ圧路73が接続されている。運転者のセレクトレバー操作により、Dレンジに設定される場合には前進用クラッチ圧路65とクラッチブレーキ圧路73とが連通状態となり、Rレンジに設定される場合には後退用ブレーキ圧路66とクラッチブレーキ圧路73とが連通状態となる。ここで、前述したスイッチ弁62がロックアップ締結位置に切り換えられると、クラッチ圧路61とクラッチブレーキ圧路73とが連通状態となるため、Dレンジの場合には前進用クラッチ35が締結状態に維持される。
また、スイッチ弁62がロックアップ開放位置に切り換えられた場合には、スリップ圧路68とクラッチブレーキ圧路73とが連通状態となるため、ここで前述したスリップ圧調整弁69を前進用クラッチ締結位置に向けて作動させることにより、クラッチ圧路61に案内されたクラッチ圧を、スリップ圧調整弁69、スイッチ弁62、マニュアル弁71の順に案内して前進用クラッチ35に供給することができる。しかも、スリップ圧調整弁69によってスリップ圧路68とクラッチ圧路61との連通状態を制御することができるため、前進用クラッチ35に供給する油圧を徐々に上昇させることができ、前進用クラッチ35を滑らかに締結することができる。
なお、リバースシグナル弁72には、電磁切換弁67に接続されるパイロット圧路74とクラッチ圧路61とが接続されている。運転者によりDレンジが設定された場合にはパイロット圧路74とクラッチ圧路61とが連通状態となり、電磁切換弁67に油圧が供給されるため前述したスイッチ弁62の切り換えが可能になる一方、Rレンジが設定された場合にはパイロット圧路74とクラッチ圧路61とが遮断状態となり、スイッチ弁62はロックアップ開放位置に保持されることになる。つまり、L/Uクラッチ33と後退用ブレーキ36との同時締結を防止する回路構造となっている。また、Rレンジが設定された場合には、リバースシグナル弁72からパイロット圧路74を介して、クラッチ圧調整弁60にパイロット圧が供給されるため、クラッチ圧はDレンジの場合よりも低い圧力に調圧される。
続いて、セレクトレバーがNレンジからDレンジに切り換えられた場合の油圧供給経路について説明する。図5(A)は運転者によりNレンジが選択された場合の油圧回路図であり、図5(B)は運転者によりDレンジに選択された場合の油圧回路図である。なお、黒塗りした各油路は作動油の供給状態を示し、斜線を付した各油路は作動油の排出状態を示している。また、図5(B)に示す油圧供給経路の状態はL/Uクラッチ33が締結されていないDレンジの状態を示している。
図5(A)に示すように、運転者がセレクトレバーをNレンジに設定した場合には、マニュアル弁71がN位置に切り換えられるため、前進用クラッチ圧路65と排出ポート71aとが連通状態となり、前進用クラッチ35は開放状態に切り換えられる。また、CVT制御ユニット41により、電磁切換弁67に対する通電制御が実行されるとともに、電磁圧力制御弁70に対して供給されるパルス信号のデューティー比は1つまり100%に制御される。このため、電磁切換弁67と電磁圧力制御弁70とは共にパイロット圧を出力しない低圧状態に制御され、スイッチ弁62とスリップ圧調整弁69とは共にロックアップ開放位置に作動する。なお、ロックアップ開放位置に作動したスイッチ弁62を介して、スリップ圧路68とクラッチブレーキ圧路73とは連通状態となっている。
また、図5(B)に示すように、運転者によりセレクトレバーがNレンジからDレンジに切り換えられた場合には、マニュアル弁71がD位置に切り換えられるため、前進用クラッチ圧路65とクラッチブレーキ圧路73とが連通状態に切り換えられる。この状態のもとで、電磁圧力制御弁70に供給されるパルス信号のデューティー比は1から0(100%から0%)に向けて徐々に制御されるため、スリップ圧調整弁69は、クラッチ圧路61とスリップ圧路68とを連通する前進用クラッチ締結位置に向けて作動し、クラッチ圧路61を流れる作動油が調圧されてスリップ圧路68に供給される。そして、スリップ圧路68に供給された作動油は、クラッチブレーキ圧路73と前進用クラッチ圧路65とを経て前進用クラッチ35に供給される。このように、Dレンジが設定された場合には、スリップ圧調整弁69を介して調圧された作動油により、前進用クラッチ35が滑らかに締結状態に切り換えられ、車両を前進走行させることが可能となる。
なお、運転者によりセレクトレバーがNレンジからRレンジに切り換えられた場合には、マニュアル弁71を介して後退用ブレーキ圧路66とクラッチブレーキ圧路73とが連通状態に切り換えられるため、スリップ圧調整弁69を介して調圧された作動油を後退用ブレーキ36に供給することができ、後退用ブレーキ36を締結状態に切り換えて車両を後退走行させることが可能となる。つまり、電磁圧力制御弁70は、前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36を締結状態と開放状態とに切り換える切換機構として機能する電磁弁となっている。
以下、L/Uクラッチ33を滑らかに開放するため、そして前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36を滑らかに締結するために、パルス制御手段であるCVT制御ユニット41から電磁圧力制御弁70に対して実行されるデューティー制御について説明する。図6はCVT制御ユニット41を示す概略図であり、電磁圧力制御弁70に対するパルス信号の出力回路を示している。
図6に示すように、CVT制御ユニット41はパルス信号のデューティー比を制御するためCPU41aと駆動回路41bとを備えている。CPU41aは各種入力信号に基づいてデューティー比を演算し、このデューティー比に対応する制御信号を制御ライン41cを介して駆動回路41bに出力する。そして、制御信号に基づいて駆動回路41bはパルス信号を形成するとともに、出力回路を構成する給電ライン41dを介して電磁圧力制御弁70のソレノイドコイル70aにパルス信号を出力する。
また、CVT制御ユニット41は、給電ライン41dから分岐してCPU41aに接続されるフィードバック回路としてのフィードバックライン41eを備えており、CPU41aにはフィードバックライン41eを介してパルス信号が入力される。このように、CPU41aには駆動回路41bによって形成されたパルス信号が入力されるため、オン信号とオフ信号との間に所定の閾値を設定することにより、オン信号からオフ信号に変化するタイミングと、オフ信号からオン信号に変化するタイミングとを検出することができ、フィードバックされたパルス信号のデューティー比を認識することができる。これにより、CPU41aによって演算したデューティー比と、フィードバックされたデューティー比とを比較して、パルス信号の出力状況を診断することができる。
しかしながら、駆動回路41bにより形成されたパルス信号のデューティー比が0%または100%である場合、つまりフィードバックによりCPU41aに入力されるデューティー比が0%または100%である場合には、オン信号とオフ信号とが交互に繰り返されることがないため、CPU41aはデューティー比を認識することができず、パルス信号の出力状況を正確に診断することが困難となっていた。たとえば、CPU41aによって演算したデューティー比が0%であるのに対して、駆動回路41bの異常によりデューティー比が100%に形成されて出力された状況であっても、この出力状況をCPU41aは異常と診断することができなかった。
ここで、CVT制御ユニット41から電磁圧力制御弁70に対してパルス信号を出力する給電ライン41d上に短絡や断線などの障害が発生した場合には、CPU41aによるデューティー比の演算状況に関係なく、電磁圧力制御弁70はデューティー比が0%または100%のパルス信号が入力されたように制御される。つまり、図6に示す給電ライン41dが短絡により接地した場合や断線した場合には、電磁圧力制御弁70に対する通電が遮断されるため、デューティー比が0%に制御された場合と同様に電磁圧力制御弁70が制御されることになる。一方、給電ライン41dが電源側に短絡した場合には、電磁圧力制御弁70に対して常に電流が供給されるため、デューティー比が100%に制御された場合と同様に電磁圧力制御弁70が制御されることになる。
特に、給電ライン41dが電源側に短絡した場合にあっては、電磁圧力制御弁70に対して通電がなされるため、スリップ圧調整弁69に対してパイロット圧は供給されず、スリップ圧調整弁69はロックアップ締結位置に切り換えられる。これにより、クラッチ圧路61とスリップ圧路68とが遮断されることになり、Dレンジが設定されていた場合には前進用クラッチ35が開放され、Rレンジが設定されていた場合には後退用ブレーキ36が開放されることになる。
しかも、DレンジまたはRレンジに設定された状態のもとで、給電ライン41dが電源側に短絡した場合には、CPU41aによって演算したデューティー比が0%であるのに対して、駆動回路41bによりデューティー比が100%に形成された状況と同じ状況になるため、CPU41aはこの出力状況を異常と診断することができないとともに、この出力異常に伴う前進用クラッチ35の開放を認識することができなかった。
続いて、このような給電ライン41dの短絡に伴って開放される前進用クラッチ35の開放状況を図7に従って説明する、図7は、前進用クラッチ35に供給される油圧と、電磁圧力制御弁70に入力されるパルス信号のデューティー比との変動状態を示す線図である。なお、セレクトレバーがNレンジからDレンジに切り換えられた後に、給電ライン41dが電源側に短絡した状態を示している。
図7に示すように、セレクトレバーがNレンジからDレンジに切り換えられると、CVT制御ユニット41によりデューティー比が100%から0%に向けて制御されるため、前進用クラッチ35に供給される油圧が徐々に上昇し、前進用クラッチ35は滑り状態つまり半クラッチ状態となる。そして、デューティー比が0%に達すると、前進用クラッチ35に供給される油圧が最大となり、前進用クラッチ35が完全に締結された状態に切り換えられる。
この状態のもとで、給電ライン41dが電源側に短絡した場合には、デューティー比が100%に制御された状況と同じ状況になり、スリップ圧調整弁69が排出ポート69aとスリップ圧路68とを連通するロックアップ締結位置に切り換えられるため、前進用クラッチ35に供給されていた油圧がスリップ圧調整弁69を介して排出され、前進用クラッチ35が開放されることになる。
このように、出力回路上の障害によって前進用クラッチ35が開放されるとともに、この開放状態をCVT制御ユニット41が認識していない状況のもとで、前述したセカンダリ回転数センサ51の故障判定が実行された場合には、CVT制御ユニット41により誤判定が引き起こされるおそれがある。つまり、CVT制御ユニット41が前進用クラッチ35の開放状態を認識していない状況下で、車両が停止した場合には、タービン回転数センサ50に検出されるタービン回転数Ntは回転状態を示す一方、セカンダリ回転数センサ51に検出されるセカンダリ回転数Nsは停止状態を示すことになるため、CVT制御ユニット41はセカンダリ回転数センサ51が故障状態にあると誤判定することになる。
このような誤判定を引き起こすことなくセカンダリ回転数センサ51の故障状態を判定するため、デューティー比変更手段、故障診断手段および仮判定手段であるCVT制御ユニット41は、以下に示す手順に従ってセカンダリ回転数センサ51の故障判定を実行する。図8は、セカンダリ回転数センサ51の故障判定を実行する際の手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、まずステップS1では、エンジン11が始動されているか否かが判定され、ステップS2では、CVT制御ユニット41からクラッチ締結信号が出力されているか否かが判定される。これらの条件を満たした場合には、ステップS3に進み、駆動回路41bにより形成されたパルス信号が正常であるか否かが判定される一方、ステップS1,S2の条件を満たさなかった場合には、再びステップS1から各種条件が判定されることになる。なお、ステップS3では、CPU41aにより演算されたデューティー比と、フィードバックされたデューティー比とが比較判定されることになる。
ステップS3において、パルス信号が正常であると判定された場合には、ステップS4に進み、セカンダリ回転数センサ51の故障判定が実行される一方、ステップS3において、パルス信号が正常でないと判定された場合には、ステップS5に進み、出力回路上の故障が判定されてルーチンを抜ける。
ステップS4において、タービン回転数センサ50に検出されるタービン回転数Ntと、セカンダリ回転数センサ51に検出されるセカンダリ回転数Nsとが共に回転状態または停止状態を示す場合には、続くステップS6に進み、セカンダリ回転数センサ51は正常であると判定されてルーチンを抜ける。一方、ステップS4において、タービン回転数センサ50およびセカンダリ回転数センサ51の一方が回転状態を検出するとともに他方が停止状態を検出した場合には、ステップS7に進み、セカンダリ回転数センサ51が故障状態にあると仮判定される。そして、ステップS8において、CPU41aにより演算されたデューティー比が0%または100%であるか否かが判定される。
ステップS8において、演算されたデューティー比が0%または100%である場合、つまりフィードバックされるデューティー比をCPU41aが認識できない状況下においては、ステップS9に進み、CPU41aにより演算されたデューティー比を若干変更して出力する。つまり、ステップS8においてデューティー比が100%であった場合には、ステップS9においてデューティー比を例えば95%まで低下させる一方、デューティー比が0%であった場合には、デューティー比を例えば5%まで上昇させる。このようにデューティー比を変更した状態のもとで、続くステップS10に進み、フィードバックされるデューティー比をCPU41aが認識するか否かが判定される。
一方、ステップS8において、演算されたデューティー比が0%または100%ではない場合、つまりフィードバックされるデューティー比をCPU41aが認識できる状況下にあっては、前述と同様にステップS10において、フィードバックされたデューティー比をCPU41aが認識するか否かが判定される。
このように、CPU41aが認識できるデューティー比でパルス信号を出力した状態のもとで、ステップS10においてフィードバックされたデューティー比をCPU41aが認識した場合には、ステップS11に進み、パルス信号を出力する出力回路が正常であると判定される。つまり、電磁圧力制御弁70が正常に作動しており前進用クラッチ35が開放されているおそれがないため、続くステップS12に進み、ステップS7での仮判定が有効となりセカンダリ回転数センサ51の故障状態が判定されてルーチンを抜ける。一方、ステップS10において、フィードバックされたデューティー比をCPU41aが認識しなかった場合には、パルス信号を出力する出力回路に障害が発生しており前進用クラッチ35が開放されているおそれがあるため、ステップS7での仮判定を無効とした上で、ステップS5に進み、出力回路が故障していると判定されてルーチンを抜けることになる。
これまで説明したように、CVT制御ユニット41がデューティー比を0%や100%に制御している場合、つまりCVT制御ユニット41がフィードバックされるデューティー比を認識できない場合には、パルス信号を出力する出力回路が故障状態であるか否かを判定することは困難であった。しかしながら、本発明の故障診断装置によれば、デューティー比を0%や100%に制御している場合には、デューティー比を例えば5%や95%に変更するようにしたので、CVT制御ユニット41が出力回路の故障状態を判定することができる。つまり、デューティー比が変更された状態のもとで、フィードバックされるデューティー比をCVT制御ユニット41が認識した場合には出力回路が正常であると確実に判定することができ、CVT制御ユニット41が認識しなかった場合には出力回路が故障状態であることを確実に判定することができる。
また、CVT制御ユニット41がデューティー比を0%や100%に制御している場合とは、CVT制御ユニット41が前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36を締結状態または開放状態に制御している場合である。つまり、このような状況で出力回路の故障状態を判定できるため、CVT制御ユニット41からの指令信号に従って前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36が正常に切換制御されているか否かを判定することができる。これにより、前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36の締結状態や故障状態を前提とした各種制御を実行する場合に、これらの各種制御を正確に実行することができる。
たとえば、セカンダリ回転数センサ51の故障状態を判定する際には、前進用クラッチ35または後退用ブレーキ36が締結状態に切り換えられていることが前提条件となる。従って、クラッチ35またはブレーキ36を締結するため、CVT制御ユニット41から0%で出力されていたデューティー比を0%から変更することにより、出力回路の故障状態を判定することができ、延いては前進用クラッチ35または後退用ブレーキ36の作動状態を判定することができる。このようにクラッチ35やブレーキ36の締結状態を判定したもとで、セカンダリ回転数センサ51の故障状態を判定することにより、セカンダリ回転数センサ51の故障状態を確実に判定することができ、変速制御などの各種走行制御を正確に実行することができる。
前述の説明では、セカンダリ回転数センサ51の故障状態を検出するようにしているが、セカンダリ回転数センサ51に限られることはなく、タービン回転数センサ50の故障状態を検出するようにしても良い。また、変速機のトランスファ機構などに車速センサを設けた場合には、車速センサの故障状態を判定するようにしても良い。
また、デューティー比を0%または100%から変更して、出力回路の故障状態を判定することにより、回転数センサの故障状態を正確に判定するだけでなく、前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36の締結状態や開放状態を前提条件とした各種制御を正確に実行することができる。
また、図4および図5に示す電磁圧力制御弁70にあっては、デューティー比を0%に制御することでパイロット圧を出力する高圧状態に切り換えられることになるが、デューティー比を100%に制御することで高圧状態に切り換えられる電磁圧力制御弁を適用しても良い。この場合には、給電ライン41dが短絡により接地した場合や断線した場合に、前進用クラッチ35が開放されることになるが、CPU41aによりデューティー比が0%または100%に制御された状態のもとで、セカンダリ回転数センサ51の故障状態が仮判定された場合には、出力するデューティー比を変更するとともに、CPU41aがこのデューティー比を認識するか否かを判定することにより、誤判定を引き起こすことなくセカンダリ回転数センサ51の故障状態を検出することができる。なお、油圧制御回路にあっても、図4および図5に示す回路構造に限られるものではない。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、動力伝達機構としては、ベルト式無段変速機10に限られることはなく、トロイダル式無段変速機であっても良く、遊星歯車式や平行軸式の自動変速機であっても良い。さらに、摩擦係合機構は作動油を介して切換駆動される油圧クラッチや油圧ブレーキに限られることはなく、パルス信号によって直接的に切換駆動される電磁クラッチや電磁ブレーキであっても良いことは言うまでもない。
車両に搭載される無段変速機を示すスケルトン図である。 無段変速機の油圧制御系および電子制御系を示す概略図である。 目標プライマリ回転数と車速との関係を示す変速特性線図である。 油圧制御回路の一部を示す油圧回路図である。 油圧制御回路の一部を示す油圧回路図である。 CVT制御ユニットを示す概略図である。 前進用クラッチに供給される油圧と、電磁圧力制御弁に入力されるパルス信号のデューティー比との変動状態を示す線図である。 セカンダリ回転数センサを故障診断する際の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 無段変速機
11 エンジン
12 プライマリ軸(入力軸)
13 セカンダリ軸(出力軸)
16,17 駆動輪
20 プライマリプーリ(入力側回転体)
21 セカンダリプーリ(出力側回転体)
22 駆動ベルト(動力伝達要素)
30 トルクコンバータ
31 前後進切換機構
32 タービン軸
35 前進用クラッチ(摩擦係合機構)
36 後退用ブレーキ(摩擦係合機構)
41 CVT制御ユニット(パルス制御手段,デューティー比変更手段,故障診断手段,仮判定手段)
41d 給電ライン(出力回路)
41e フィードバックライン(フィードバック回路)
50 タービン回転数センサ
51 セカンダリ回転数センサ(出力回転数センサ)
70 電磁圧力制御弁(切換機構,電磁弁)

Claims (4)

  1. エンジン動力を駆動輪に伝達する締結状態と、エンジン動力の伝達を遮断する開放状態とに切り換えられる摩擦係合機構と、
    入力されるパルス信号のデューティー比に基づいて、前記摩擦係合機構を締結状態と開放状態とに切り換える切換機構と、
    前記切換機構に出力するデューティー比を制御するとともに、出力したデューティー比をフィードバック回路を介して認識するパルス制御手段と、
    前記パルス制御手段によりデューティー比が0または1に制御された状態のもとで、パルス信号を出力する出力回路の故障状態を判定するときには、前記パルス制御手段から出力されるデューティー比を変更するデューティー比変更手段と、
    前記デューティー比変更手段によりデューティー比が変更された状態のもとで、前記パルス制御手段によりデューティー比の変更が認識されたときには、前記出力回路が正常であると判定する一方、デューティー比の変更が認識されなかったときには、前記出力回路が故障していると判定する故障診断手段とを有することを特徴とする動力伝達機構の故障診断装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達機構の故障診断装置において、
    入力軸に装着されるとともにトルクコンバータを介してエンジンに駆動される入力側回転体と、
    出力軸に装着されるとともに前記入力側回転体に動力伝達要素を介して連結される出力側回転体と、
    前記トルクコンバータに設けられるタービン軸の回転数を検出するタービン回転数センサと、
    前記出力軸の回転数を検出する出力回転数センサと、
    前記摩擦係合機構が締結状態に切り換えられ前記タービン軸と前記入力軸とが連結された状態のもとで、前記タービン回転数センサおよび前記出力回転数センサの一方が回転状態を検出するとともに他方が停止状態を検出するときには、前記タービン回転数センサまたは前記出力回転数センサが故障状態にあることを仮判定する仮判定手段とを有し、
    前記デューティー比変更手段は、前記パルス制御手段によりデューティー比が0または1に制御された状態のもとで、前記仮判定手段により故障状態の仮判定がなされたときには、前記パルス制御手段から出力されるデューティー比を変更し、
    前記故障診断手段は、前記デューティー比変更手段によりデューティー比が変更された状態のもとで、前記パルス制御手段によりデューティー比の変更が認識されたときには、前記仮判定手段による故障状態の仮判定を有効とする一方、デューティー比の変更が認識されなかったときには、前記仮判定手段による故障状態の仮判定を無効とすることを特徴とする動力伝達機構の故障診断装置。
  3. 請求項2記載の動力伝達機構の故障診断装置において、前記摩擦係合機構は、前記入力軸の回転方向を切り換える前後進切換機構に組み込まれる前進用クラッチまたは後退用ブレーキであることを特徴とする動力伝達機構の故障診断装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の動力伝達機構の故障診断装置において、前記切換機構は前記摩擦係合機構に作動油圧を供給制御する電磁弁であることを特徴とする動力伝達機構の故障診断装置。

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