JP2005163585A - マイクロ流体デバイスポンプ及び流体移送方法 - Google Patents

マイクロ流体デバイスポンプ及び流体移送方法 Download PDF

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孝典 穴澤
Tetsuo Takada
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Abstract

【課題】 小型かつ単純な構造のポンプ機構を使用でき、複雑な制御をする必要が無い流体の移送方法、また、構造が単純で容易に製造でき、定量性が良く、気体の移送にも適用できるポンプ機構を有するマイクロ流体デバイスポンプを提供すること。
【解決手段】 毛細管状の流路の途中に流体の加圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、前記流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
(i)第一圧迫部を圧迫して流路断面を変形させた後、
(ii)第一圧迫部の圧迫を継続しながら、第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、弁に流体の加圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて流体を第一圧迫部から弁の方向へ移送し、
(iii)第一圧迫部と第二圧迫部の圧迫を解除する流体移送方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ流体デバイスを使用した流体の移送方法に関し、配管をマイクロ流体デバイスの流路に接続する必要がなく、かつ単純なポンプ駆動機構で、定量性良く流体を移送し、しかも、流体の移送を停止したときには、特別な操作を行うことなく、またエネルギーを消費することなく、ポンプ駆動機構を取り外しても流体をその位置で停止させておくことが出来、流体の逆流や流失を防止することが出来る流体移送方法に関する。
本発明は、内部にポンプ機構を有するマイクロ流体デバイスポンプに関し、さらに詳細には、構造が単純で容易に製造でき、使い捨て可能な、マイクロ流体デバイスポンプに関する。
非特許文献1には、シリコンゴムを使用して、注型法にて表面に1本の溝を有する部材と3本の溝を有する部材をそれぞれ形成し、これら2つの部材でシリコンゴムシートを挟んで接着することによって、シリコンゴムシートの一方の側に流体の移送用流路、他方の側に平行な3本の駆動用流路を形成し、該3本の駆動用流路に順次圧力気体を導入して、シリコンゴムシートを移送用流路内へ順次押しだすことによって、移送用流路内の流体を移動させる方法が開示されている。
しかしながら、上記の構造は常態で開であるため、ポンプ機構を駆動していないときに流路内の流体が不必要に流動しがちであり、これを防ぐために、駆動部を常時作動させておく必要があった。また、上記のポンプ機構を駆動するための圧力気体の配管をマイクロ流体デバイスに接続する必要があった。そのため、これらの圧力配管の接続機構をマイクロ流体デバイスに設ける必要があり、マイクロ流体素子の構造が複雑になりがちであった。そのため、特に多数並列運転する場合に、配管系が複雑になるとともに、使い捨てのマイクロ流体デバイスの場合には、無視し得ないほどのコスト増となっていた。
また、上記ポンプを駆動するには、3本の駆動用流路に加圧気体を順次導入するという、複雑な機構と複雑なプログラムを必要とした。
一方、本発明者らの出願になる特許文献1には、欠損部を有する樹脂層を積層して逆止弁を形成し、2つの該逆止弁の間に形成したダイヤフラムを外部から駆動することによって駆動するポンプ機構が開示されている。しかし、該文献に開示されているポンプは2つの逆止弁を必要とし、そのため5層以上の樹脂層を積層して形成する必要があり、各層を位置を合わせて貼り合わせる必要があるという製造上の困難があった。
また、本発明者らの出願になる特許文献2には、流路途上に弁機構となる堰を設け、該堰の一辺が他の部材と接触しているが接着していない構造を形成し、これを、常態では閉じているが、一定以上の圧力差が掛かると開くチェックバルブとして機能させ得ることが開示されている。該チェックバルブは3層の樹脂層で形成することができ、構造を上記特許文献1の逆止弁より更に簡略化出来る。該特許文献2には、該チェックバルブを逆流防止弁機構としてポンプ機構を形成出来ることが記載されている。しかしながら、該チェックバルブは、流路を一定以上の圧力に加圧した時には開いて流路を流通させるが、流路を減圧した時には、圧力差をいくら大きくしても開かないものであるため、ポンプを構成する逆止弁として使用する際には、吐出側の逆止弁としては使用できるが、吸入側の逆止弁としては使用できなかった。そのため、ポンプを形成する場合の吸入側逆止弁には、やはり特許文献1に記載のような比較的複雑な構造が必要であった。或いは前記非特許文献1のように別途制御するバルブが必要であった。
また、本発明者らの出願になる特許文献3には、内部に流路を有し、該流路の途上に逆止弁が形成され、該流路と連絡して空洞と、該空洞に可撓性の樹脂ダイヤフラムが形成されており、凸構造が前記樹脂ダイヤフラムの空洞と反対側の面に設けられているダイヤフラム式ポンプ機構を有するマイクロ流体デバイスが開示されている。該マイクロ流体デバイスによる送液方法は、定量性に劣るものであり、又、流体が気体の場合には適用出来なかった。
特開2002−86399号公報 特開2003−139660号公報 特開2003−139065号公報 サイエンス(SCIENCE)誌(第288巻、113頁、2000年)
本発明が解決しようとする課題は、小型かつ単純な構造のポンプ機構を使用でき、複雑な制御をする必要が無い流体の移送方法、また、ポンプ機構を駆動するための配管接続機構をマイクロ流体デバイスに設ける必要がなく、使い捨ても可能な程度に構造が単純で容易に製造でき、定量性が良く、気体の移送にも適用できるポンプ機構を有するマイクロ流体デバイスポンプを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、常態では閉じていて圧力差を与えることにより開く弁と、外部からの圧迫により流路断面が変形する二つの圧迫部とを有する単純な構造のマイクロ流体デバイスポンプを使用することにより、該二箇所の圧迫部の押圧を制御するだけで簡便に流体を移送できることを見いだした。
すなわち本発明は、毛細管状の流路を有し、前記流路の途中に、常態では閉じていて一方の側の流体の加圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、且つ前記流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
(i)前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させた後、
(ii)前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記弁に流体の加圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて流体を前記第一圧迫部から前記可逆弁の方向へ移送し、
(iii)前記第一圧迫部と前記第二圧迫部の圧迫を解除する流体移送方法を提供するものである。
さらに本発明は、毛細管状の流路を有し、前記流路の途中に常態では閉じていて一方の側の流体の減圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、且つ前記流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
(i’)前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
(ii’)それと同時に、又は、前記第二圧迫部を圧迫した後その圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
(iii')前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部の圧迫を解除して、前記弁に流体の減圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて、流体を前記弁から前記第一圧迫部の方向へ移送し、
(iv')その後、前記第一圧迫部の圧迫を解除する流体移送方法
を提供するものである。
また本発明は、毛細管状の流路を有し、前記流路の途中に、常態では閉じていて加圧又は減圧による圧力差を与えたとき、そのいずれの場合にも低圧側へ開く弁を有し、且つ前記流路に外部からの圧力により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有し、下記機構[I]または[II]により流体が前記弁を通じて移送されるマイクロ流体デバイスポンプを提供するものである。
機構[I]
前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記可逆弁に流体の加圧による圧力差を与えることにより該弁が開く機構。
機構[II]
前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させた後、前記第二圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら前記第二圧迫部の圧迫を開放し、前記弁に流体の減圧による圧力差を与えることにより該弁が開く機構。
本発明は、ポンプ機構を駆動するための配管接続機構をマイクロ流体デバイスに設ける必要がなく、使い捨ても可能な程度に構造が単純で容易に製造でき、定量性が良く、気体の移送にも適用できるポンプ機構を有するマイクロ流体デバイスを提供することができ、また、電池での駆動も可能な程度に小型かつ単純なポンプ駆動機構でもって、複雑な制御をすることなく容易にマイクロ流体デバイスのポンプ機構を駆動できる、マイクロ流体デバイスの流体移送方法を提供することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
[マイクロ流体デバイスポンプ]
本発明に使用するマイクロ流体デバイスポンプ(以下、単に「デバイス」又は「ポンプ」と略称する場合がある)の外形は任意であり、例えば、板状、フィルム状、棒状、塊状などであり得るが、板状またはフィルム状であることが、本発明の構造を形成しやすく、又使用も容易であるため、好ましい。なお、以下説明の簡略化のため、「板状またはフィルム状」をまとめて「板状」と記述する。勿論、この構造は、類似の構造、例えばシート状やリボン状を含むものとする。
マイクロ流体デバイスポンプの素材は、後述の圧迫部以外は特に制約はなく、使用可能なものとしては、例えば、有機重合体(以下、単に[重合体」又は「樹脂」と称する。又、これにはシリコン樹脂も含める)、ガラス、石英の如き結晶、岩石やセラミックなどの多結晶或いは非晶性無機物、シリコンの如き半導体、金属などが挙げられるが、これらの中でも、易成形性、高生産性、低価格などの点から重合体が特に好ましい。
[流路]
前記部材は、内部に流体が移送される毛細管状の流路を有する。該流路は、その少なくとも一部は、マイクロ流体デバイスポンプの外部から流路壁が圧迫されることによって、流路の断面積が減少しうる深さに形成される。該流路の断面積は任意であるが、好ましくは1μm 〜10mm、さらに好ましくは10μm 〜1mm、最も好ましくは100μm 〜0.1mmである。流路断面の形状も任意であり、円、矩形、台形、半円形、スリット状など(但し、上記の内、角のある形状は角の丸まった形状を含む。以下同じ)であり得る。流路の長さは、後述の圧迫部の長さ以上であれば任意である。マイクロ流体デバイスの他の機構の流路と連続して作製することが出来る。
該流路の形成方法は任意であるが、例えば、表面に流路となる溝を有する部材と蓋となる部材を貼り合わせる方法、表面に平行な線状で、かつ表裏を貫通した、流路となる欠損部(切り抜き部)を有する板状の部材の両側に、底及び蓋となる部材を貼り合わせる方法、マイクロ光造形法により、部材の形成と同時に流路を形成する方法、などが挙げられる。
[弁]
本発明に使用するマイクロ流体デバイスポンプは、前記流路の途上に、加圧により圧力差が生じると開き、弁の前記第二圧迫部側の流体の減圧による圧力差が生じても開かない弁(以下、該弁を弁(A)と略記する。)、又は加圧又は減圧により一定以上の圧力差が生じると自動的に開く弁(以下、該弁を弁(B)と略記する。)が設けられている。弁(A)としては、例えば、順方向にはごく小さな圧力差、例えば1KPa以下の圧力差で開き、逆方向には圧力差に関わらず開かない弁であって、該圧力差は一方の側の加圧による圧力差であっても減圧による圧力差であっても良いような逆止弁例えば特許文献1、特許文献3に記載されている)、[2]常態で、即ち両側の圧力差がない状態では閉じていて、順方向には一定以上の圧力差、例えば10KPa〜3MPaの圧力差で開き、逆方向には圧力差に関わらず開かない弁であって、該圧力差は一方の側の加圧による圧力差であっても減圧による圧力差であっても良いような逆止弁(例えば、ボールタイプの逆止弁のように、弁体が付勢されて流路開口部を塞いでいるような逆止弁)であってもよい。また、[3]常態では閉じていて、一方の側の加圧によって開くが同じ側の減圧によっては開かず、このような使用方法では弁(A)は逆止弁として機能するが、他方の側からの加圧によっても開き、同じ側の減圧によっては開かないような、後述の弁(B)との中間的な機能を持った逆止弁(例えば特許文献2に記載されている)などが使用できる。
この弁が弁(A)である場合には、該弁(A)の取り付け方向は任意であり、後述するように、流路に流体を流す向きに応じて設定できる。しかし、常態では閉じていて、順方向に特定値以上の圧力差が掛かると開く、上記[2]または[3]のような弁(A)は、ポンプ駆動装置を稼働させない状態で流路が閉状態となっているため、流路中の流体が不必要に移動したり流失することが無く、更に合流や流路切り替えも容易であるため好ましい。このような弁(A)が開くために必要な圧力差は、用途目的により任意に設定できるが、好ましくは3KPa〜300KPa、さらに好ましくは10KPa〜100KPaである。但し、一方を減圧することにより圧力差を設ける場合には、圧力差の上限は高圧側の圧力となる。
上記弁はまた、正逆両方向に開となり得る弁であって、常態では閉状態であり、該弁の両側の圧力差が特定値以上になると開となり、該圧力差が低下すると閉状態に復帰するような弁(「弁(B)」と称する。)であり得る。このような弁(B)の構造は任意であるが、例えば、図1に示すように、流路(5)の途上に該流路を遮断する堰状構造(6)が設けられており、該堰状構造(6)の頂部が流路壁(12)の一部に当接していて、該部分は接触しているが固着していない構造を例示できる。
このような構造を持つ弁(B)は、常態では流路内の流体の流通を遮断しており、前記弁の両側の圧力差が特定値以上になると、該弁が低圧側に撓み、それによって生じた流路内壁との間隙を流体が流れるため開となる。次いで、前記弁の両側の圧力差が低下すると撓みは解消し、流体の流通は再び遮断される。この時、該弁(B)を開とするには、前記弁の一方の側の圧力が増加することによって圧力差が生じてもよいし、一方の側の圧力が低下することによって圧力差が生じてもよい。前記弁(B)が開くために必要な圧力差については、前記弁(A)の場合と同様である。ある方向と逆方向で、開となる圧力差が異なっていてもよい。そのような弁は、例えば上述の構造において、堰状構造(6)の流路方向の断面形状を非対称とすることで実施できる。
このような構造の弁(B)は、例えば、前記特許文献2と同様の方法で製造できる。即ち、板状の支持体の上に塗布したエネルギー線硬化性組成物の塗膜に流路となる部分を除いて紫外線を不十分な量だけパターン照射することによって、該塗膜の照射部を、流動性は喪失するが接着性は残存している半硬化物とし、該半硬化した塗膜の弁となる部分に選択的に紫外線を照射して照射部分の前記組成物を完全硬化させて非接着性とし、他方、前記弁に相対する部分を完全硬化、それ以外の部分を半硬化させた蓋となる部材を、表面に溝と弁となる部分が形成された前記部材に、前記完全硬化した非接着部を弁部分に位置を合わせて接触させ、その状態でさらに紫外線を照射して、両部材を硬化させると共に互いに接着させ、弁部分のみを非接着部位として残し、その他の接触部分は接着したマイクロ流体デバイスポンプを形成することができる。
このとき、流路壁(12)が柔軟な素材で形成されていたり、前記堰状構造(6)の流路方向の長さが長ければ、即ち、該弁の厚みが厚ければ、該弁は特許文献2に記載の逆止弁のような弁(A)となり、該堰状構造の厚みが薄ければ、両方向に開となりうる弁(B)となる。その境界は、該堰状構造(6)の素材の弾性率、流路壁(12)を形成する素材の弾性率と厚み、流路の幅や高さ、などの相互関係によって変わるが、該堰状構造(6)と流路壁(12)にほぼ同じ弾性率の素材を使用した場合には、大まかにいって、前記堰状構造(6)の厚みが高さの70%より小さい場合に弁(B)として機能する。
[圧迫部]
本発明に使用するマイクロ流体デバイスポンプは、流路の途中に、外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とが設けられている。(以下、第一圧迫部と第二圧迫部圧迫部とを併せて、単に圧迫部と称する場合がある。)即ち、該圧迫部においては、可撓性を有する流路壁でもって、流路はデバイス外と隔てられている。該圧迫部は、デバイス外から圧迫することによって、該部分の流路の断面積を減少(ここでいう「減少」はゼロになることも含む)させることが出来るものであり、好ましくは該部位の流路断面積をゼロとし、流路を完全に閉じることが出来るものである。該圧迫部の流路は、他の部分と同じ形状であっても良いし、断面寸法が異なっていても良い。該圧迫部分の流路断面積を大きくすると、一回の圧迫による流体の送出量が増す。
マイクロ流体デバイスポンプが、流路となる溝を有する板状の第一の部材と、蓋となる板状の第二の部材が積層固着されて形成されたものである場合には、前記圧迫部の流路壁は、前記第一の部材側の流路壁であっても、第二の部材側の流路壁であっても良い。
前記圧迫部の圧迫によって変形させる流路壁は、破壊せずに弾性変形する素材で形成されている必要がある。該部分を形成する素材の好ましい引張弾性率は1MPa〜5GPa、更に好ましくは10MPa〜1GPa、更に好ましくは50MPa〜500MPaである。この範囲より低いと強度や繰り返し耐久性に劣るものとなりがちであり、また、圧迫を解除したときの吸引力が不足して、圧迫部の流路壁の復帰に時間を要し、ポンプ機構の吐出量が低下しがちであるし、これより高いと、該圧迫部における流路壁の変形量が低下し、ポンプ機構の吐出量が不十分になりがちである。
前記圧迫部の流路壁を形成する素材は、JIS K−7127により測定された破断伸び率が、好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上のものである。破断伸び率の上限は、自ずと限界はあろうが、高いことそれ自身による不都合は無い為、上限を設けることは要せず、例えば、400%でありうる。本発明においては、JIS K−7127による引張試験で2〜5%という低い破断伸び率を示す素材であっても、本発明の使用方法においては破壊しにくく、上記試験による破断伸び率以上の歪みを与えても破壊することなく使用可能である。従って、破断伸びの上限は30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、強度の高い素材が選定でき、また、素材選定の自由度が大きくなる。
前記圧迫部の流路壁の厚みは、圧迫によって流路壁を変形させることが出来れば特に限定する必要はないが、該圧迫部の流路壁を構成する素材の引っ張り弾性率が高い場合には薄く、低い場合には厚くすることが好ましい。引っ張り弾性率として上記好ましい範囲のものを使用したとき、マイクロ流体デバイスポンプに後述の凸構造を設けない場合には、該流路壁は、好ましくは1〜3000μm、更に好ましくは5〜1000μm、最も好ましくは10〜500μmである。但し、マイクロ流体デバイスポンプが後述の凸構造を有する場合には、上記範囲に凸構造の高さを足した値が好ましい範囲となる。この範囲未満では製造が困難となり、この範囲を越えると、マイクロでデバイスとしての利点が減少する。
上記のような引っ張り弾性率と破断伸び率を有する素材の具体例については実施態様で述べる。また、このような素材は、少なくとも該部分を形成すればよいが、マイクロ流体デバイスポンプの外面の少なくとも一つの面全体を形成していることが、製造の工程数が少なくなり好ましい。
第一圧迫部と第二圧迫部の流路断面積は異なっていてよく、第一圧迫部の流路断面積が第二圧迫部の流路断面積より小さいことが好ましい。特に第一圧迫部と第二圧迫部の圧迫により変形する流路断面における圧迫方向と同方向の流路幅(以下、該方向の流路幅を単に、流路の高さ(深さ)と表記する。)が異なっており、第一圧迫部の高さが第二圧迫部の高さより小さいことが好ましい。前記流路高さの小さな部分は第一圧迫部の流路方向における一部であっても良い。これによって、第一圧迫部における流体の遮断を容易にし、送液の精度が高まる。このとき、第一圧迫部における流路底を他の部分より高くして、或いは、第一圧迫部における流路の天井を他の部分より低くして、該部分の流路高さを小さくすることが、製造が容易であり好ましい。また、このように、第一圧迫部の流路高さを第二圧迫部より小さくすると、押圧部材が第一圧迫部と第二圧迫部を同時に同じ強さで押圧しても、第一圧迫部の流路を実質的に遮断した後に第二圧迫部の流路断面積を減少させることが出来るため、押圧部材の構造を単純に出来る。
第一圧迫部と第二圧迫部の寸法は任意であり、第一圧迫部の流路方向の長さは好ましくは流路幅〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmである。この範囲とすることにより、第二圧迫部の圧迫時に流体の逆流を阻止することが容易になり、送液の精度が増す。第二圧迫部の流路方向の長さは好ましくは流路幅〜50mm、さらに好ましくは0.5〜10mmである。この範囲とすることにより、流体をロスなく弁を通過させることが容易になり、送液の精度が増す。
第二圧迫部は、第一圧迫部と弁との間の流路の大部分とすることが好ましい。第一圧迫部と弁との間の流路の、第二圧迫部以外の部分、即ち圧迫されない部分、を極力少なくすることにより、移送の精度が向上し、気体のような圧縮性流体の移送も可能になる。
[凸構造]
前記圧迫部は、該部分の流路壁の外面に固定された凸構造を有することも好ましい。該凸構造を介して前記圧迫部を圧迫することにより、微小な圧迫部を正確に圧迫しなくても、例えば押圧部が平面状の押圧部材でもって該凸構造を含む範囲を圧迫すれば、圧迫部の流路が自ずと選択的に圧迫される。このため、押圧部材の位置決めに高精度を要せず、圧迫が容易になる。
前記凸構造は、上記の機能を有すれば任意であり、例えば、圧迫により実質的に変形しない弾性率の素材で形成されていて、幅が概ね前記圧迫部の流路幅の0.5〜1倍、高さ(厚み)が概ね前記圧迫部の流路の深さの1〜10倍、長さが前記第一又は第二圧迫部の長さであるような構造、あるいは、圧迫により変形するような弾性率の素材で形成されていて、幅が概ね前記圧迫部の流路幅の1〜100倍、高さ(厚み)が前記圧迫部の流路の深さの1〜100倍、長さが前記第一又は第二圧迫部の長さであるような構造などを例示できる。
また、上記凸構造は、前記圧迫部の流路壁の外面に固着されていても良いし、他の部材、例えば板状やシート状の部材に固着されていて、該凸構造の位置を圧迫部に合わして固定されていても良い。
上記凸構造は、本マイクロ流体デバイスポンプを使用した流体移送方法に応じて好適な任意の形状とすることができる。例えば、第一圧迫部及び第二圧迫部となる2つの独立した凸構造であってもよいし、圧迫部全体に渡る1つの長い凸構造であっても良い。
凸構造が、第一圧迫部及び第二圧迫部となる2つの独立した構造である場合には、押圧部材として、第一圧迫部を押圧する押圧部と第二圧迫部を押圧する押圧部の区別のない、一つの平面状の押圧部を持った押圧部材を使用しても、自ずと第一圧迫部と第二圧迫部がそれぞれ押圧される。
圧迫部から弁の方向に流体を移送する場合には、第一圧迫部における凸構造の高さを第二圧迫部における凸構造の高さより高くすることも好ましい。このようにすることによって、例えば一つの平面状の押圧部を有する押圧部材でもって圧迫部全体を圧迫しても、第一押圧部が先に圧迫されるため、押圧部材の構造を単純にできる。
[実施態様]
〔マイクロ流体デバイスポンプ本体〕
図1は、本発明に係る実施形態を示す図である。図に示すマイクロ流体デバイスポンプは、前記弁(A)又は弁(B)として機能する弁を有するものである。該マイクロ流体デバイスポンプはそれぞれ板状に形成された第一の部材(3)と第二の部材(4)を主な構成要素としている。第一の部材(3)は75mm×25mm×厚さ1.1mmであり、その一面には、流路方向の長さが300μm(弁(A)の場合)又は60μm(弁(B)の場合)の堰状構造(6)により溝(5a)と溝(5b)に分けられた、幅500μmの溝(5)が形成されている。
第一の部材(3)は、厚み1mmの基板(1)と厚さ約0.1mmの樹脂層(2)が固着した積層体として構成されており、該樹脂層(2)には流路(5)となる、該樹脂層(2)の表裏を貫通した欠損部(5)が形成されていて、基板(1)と積層して固着されることにより、該欠損部(5)は第一の部材(3)の溝(5)となる。該樹脂層(2)の欠損部(5)は、堰状構造(6)となる非欠損部(6)により二つの部分(5a)、(5b)に分けられている。
また、第二の部材(4)には、図1に示すように、直径約500μmの貫通孔(7)、(8)が形成されており、貫通孔(7)、(8)の周辺部には、外径6mm、高さ6mmの円管(9)、(10)が接着されている。
第一の部材(3)と第二の部材(4)とは互いに固着され、溝(5)は幅約500μm、高さ約100μmの毛細管状の流路(5)となされており、該流路(5)に相対する部分の第二の部材(4)は厚み約100μmの流路壁(12)とされている。該流路(5)は堰状構造(6)により約300μm又は60μmの間隔をあけて、各長さ約25mmの二つの流路(5a)、(5b)に分断されている。ただし、堰状構造(6)を中心とした直径約600μmの円形部分は、第一の部材(3)と第二の部材(4)は固着されておらず、堰状構造(6)が流路壁(12)と当接している部分は非固着の当接部(6a)とされている。堰状構造(6)と、それが当接している流路壁(12)部分でもって弁(13)が形成されている。
また、流路(5a)の一部は圧迫部(11)とされ、該圧迫部(11)は、前記弁(13)から遠い部分が第一圧迫部(11a)、前記弁(13)に近い部分が第二圧迫部(11b)とされている。マイクロ流体デバイスポンプ自体においてはその境界は定められておらず、用いる押圧部材によって決まる。但し、凸構造を有する場合には、該凸構造の形状によって決めることも出来る。
圧迫部(11)の流路壁(12)は、弾性変形可能な弾性率を有する重合体からなっている。これについては、後述の素材の説明の項で述べる。
例えば前記堰状構造(6)の流路方向の長さを約300μmとして、前記弁(13)が弁(A)である場合には、このマイクロ流体デバイスポンプは、常態において、堰状構造(6)が当接部(6a)において流路壁(12)に当接して流路(5)を遮断し 流路(5)を流路(5a)と流路(5b)に分断しているため、流路(5a)と流路(5b)との間に流体は流通しない。
このマイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)を例えば後述のような操作で圧迫して、流路(5a)にある流体に、堰状構造(6)に当接している流路壁(12)を押し上げて弾性変形させ得る圧力に圧縮することにより、流路(5a)と流路(5b)とが連通し、流路(5a)から流路(5b)に流体が流れることになる。即ち、この場合には、流路壁(12)が弁体として働く。
一方、例えば圧迫部(11)の圧迫を解除して流路(5a)にある流体を減圧すると、堰状構造(6)に当接している流路壁(12)は弁(13)に吸引されて、堰状構造(6)は流路壁(12)に当接した状態を保ち、流路(5b)から流路(5a)に流体は流れない。
また、例えば前記堰状構造(6)の流路方向の長さを約60μmとして、前記弁(13)が弁(B)である場合には、このマイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)を例えば後述のような操作で圧迫して、流路(5a)にある流体に、堰状構造(6)を圧迫部(11)の反対側へ弾性的に曲げ変形させて、流路壁(12)との間に間隙を生じ得る圧力に圧縮することにより、流路(5a)と流路(5b)とが連通し、流路(5a)から流路(5b)に流体が流れることになる。即ち、この場合には、堰状構造(6)が弁体として働く。
あるいは、前記弁(13)が弁(B)である場合において、このマイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)を例えば後述のような操作で圧迫して、流路(5a)にある流体に、堰状構造(6)を圧迫部(11)側へ弾性的に曲げ変形させ得る圧力に減圧することにより、堰状構造(6)と流路壁(12a)との間に間隙を生じて流路(5a)と流路(5b)とが連通し、流路(5a)から流路(5b)に流体が流れる。
図2および図3は、凸構造を有するマイクロ流体デバイスポンプの実施形態を示す図である。図中、圧迫部(11)の流路壁(12)の外面に凸構造(14)が固着されて形成されていること以外は図1の前記第一の実施形態と同じである。凸構造は、図2に示すように、第一圧迫部と第二圧迫部の全体を覆う一つの凸構造でもよいし、図3に示すように各々の圧迫部に個別に固着されていてもよい。凸構造(14)は、変成ポリジメチルシロキサン(シリコンシーラント)で形成されていて、幅約1.5mm、高さ約0.8mm、長さ約20mmであり、断面形状は半円形である。
上記の実施形態について更に詳細に説明するが、説明の簡略化のために、第一の部材(3)を下側にして水平に置いた姿勢で説明する。
第一の部材(3)の素材は任意であり、前記の、本発明のマイクロ流体デバイスポンプに使用可能な素材を使用できる。第一の部材(3)の形状も任意であり、前記の、本発明のマイクロ流体デバイスポンプの形状とすることができる。
第一の部材(3)は支持体(1)とそれに固着された樹脂層(2)で構成されたものであってもよい。この場合の支持体の素材も任意である。
第一の部材(3)の素材が重合体である場合には、該重合体は、単独重合体であっても、共重合体であっても良く、また、熱可塑性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い。生産性の面から、第一の部材(3)に使用する重合体は、熱可塑性重合体又はエネルギー線硬化性の架橋重合体であることが好ましい。
第一の部材(3)に好ましく使用できる重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン/マレイン酸共重合体、ポリスチレン/アクリロニトリル共重合体の如きスチレン系重合体;ポルスルホン、ポリエーテルスルホンの如きポリスルホン系重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルの如き(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系重合体;ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビスフェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールy系ポリカーボネートなどのポリカーボネート系重合体;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1の如きポリオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢酸セルロース、メチルセルロースの如きセルロース系重合体;ポリウレタン系重合体;ポリアミド系重合体;ポリイミド系重合体;ポリ−2,6−ジメチルフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイドの如きポリエーテル系又はポリチオエーテル系重合体;ポリエーテルエーテルケトンの如きポリエーテルケトン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートの如きポリエステル系重合体;エポキシ樹脂;ウレア樹脂;フェノール樹脂;ポリ四フッ化エチレン、PFA(四フッ化エチレンとパーフロロアルコキシエチレンの共重合体)などのフッ素系重合体、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系重合体;本発明で使用するエネルギー線硬化性組成物の硬化物等が挙げられる。
前記第一の部材(3)と第二の部材(4)を接着により固着する場合には、これらの中でも、接着性が良好な点などから、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエステル系重合体が好ましい。また第一の部材(3)は、エネルギー線硬化性樹脂の硬化物であることも好ましい。第一の部材(3)は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成されていても良いし、積層体その他の複合体であっても良い。さらに、任意の添加剤の添加や表面処理を行っても良い。
第一の部材(3)の形成方法は任意であり、例えば、フォトリソグラフ法、エネルギー線アブレーション法、エネルギー線解重合法、射出成形、溶融レプリカ法、溶液キャスト法、エネルギー線硬化性組成物を用いたキャスト成型法、欠損部を有するシートの積層固着法、光造形法などにより製造できる。光造形法とは、エネルギー線硬化性組成物の未硬化層にレーザー光線などの活性エネルギー線をパターニング照射し、未照射部分の未硬化の活性エネルギー線を除去すること無く、その上に活性エネルギー線の第2層を置き(或いは活性エネルギー線の液面下に、第2層の厚みとなる深さだけ第1層を沈め)第2層に活性エネルギー線をパターニング照射し、この工程を繰り返して立体構造を形成する方法を言う。
前記第一の部材(3)は、基材(1)とそれに固着された層(2)の積層体であり得る。該層(2)は、例えば基板(1)に塗布して硬化した塗膜であり得るし、基板(1)に固着されたシート状部材でありうる。勿論これらの固着順序は任意であり、例えば該シート状部材は、基板(1)に固着されると同時に第二の部材(4)に固着されても良い。
これら第一の部材(3)、第二の部材(4)の少なくとも一方は、後述するように、弾性変形可能な弾性率を有する素材からなっている。
堰状構造(6)の面積は、好ましくは1μm〜10mm、さらに好ましくは10μm〜1mmである。堰状構造(6)の寸法は、溝(5)の寸法や、弁(13)を弁(A)となすか弁(B)となすか、などにより好適な寸法が異なるが、この範囲とすることによって、製造が容易となり、また、マイクロ流体デバイスポンプとしての特長を生かすことが出来る。例えば、堰状構造(6)とそれに当接する部分の流路壁(12)の弾性率が同程度である場合には、非欠損部の幅を流路(5)幅とし、流路方向の長さを流路高さの1〜10倍とすることによって、弁(A)として機能させることが出来る。また、幅を流路(5)幅とし、流路方向の長さを流路高さの0.1〜0.7倍とすることによって、弁(B)として機能させることが出来る。
前記流路(5)の幅は、前記堰状構造(6)付近でその他の部分と同じであっても良いし、変化しても良い。堰状構造(6)付近で幅を広げることによって、開となる圧力差を低下させることができ、また、開時の剪断速度を低下させることができるため、タンパク質などの生化学物質の溶液に適用する場合に好ましい。また、前記流路(5)の高さも、前記堰状構造(6)付近でその他の部分と同じであっても良いし、変化しても良い。弁が弁(B)である場合、堰状構造(6)付近で高さを増すことによって、開となる圧力差を低下させることができる。
第一の部材(3)と第二の部材(4)を固着する方法は任意であり、例えば接着剤による接着、融着、粘着、半硬化状態とした第一の部材(3)及び/又は第二の部材(4)を互いに接触させた状態で完全硬化させることによる固着などであり得る。
第一の部材(3)と第二の部材(4)は、前記堰状構造(6)の部分周辺において固着しておらず、互いに接触した状態となっている。第一の部材(3)と第二の部材(4)の固着が接着や粘着である場合には、第一の部材(3)と第二の部材(4)は、前記堰状構造(6)の部分周辺において、硬化した接着剤層、或いは粘着力を喪失した粘着剤層を介して互いに接触していることになるが、実質的に同等であるため、本発明においては厳密に区別せずに説明する。該接触しているが固着していない非固着部の面積は、前記堰状構造(6)の面積以上であることが好ましく、更に好ましくは該面積の1〜100倍、最も好ましくは1〜10倍である。弁(13)のタイプが弁(A)である場合には、該非固着部の面積を小さくするほど、弁(13)を開状態にする必要圧力差が大きくなる。弁(13)のタイプが弁(A)、弁(B)のいずれの場合にも、上記範囲とすることによって、製造時に要求される加工精度が過剰に高く成らず、また、弁として精度良く機能する。
第一の部材(3)と第二の部材(4)を固着するにあたり、接触しているが接着していない部分を形成する方法は任意であるが、例えば、接着を抑制する物質を非接着とする部分に塗布しておく方法、接着剤にエネルギー線硬化性の接着剤を用い、非接着とする部分のみにあらかじめエネルギー線を照射して接着性を喪失させておく方法、エネルギー線高化成樹脂で形成した半硬化状態の第一の部材(3)及び/又は第二の部材(4)の、非接着とする部分のみにあらかじめエネルギー線を照射して接着性を喪失させておく方法、などにより実施できる。又、上記に於ける弁(13)は、上記以外の任意の構造であり得る。
上記の接着を抑制する物質としては、粘稠液体(溶液を含む)や、溶解洗浄可能な固体やワックス状物質を挙げることができる。粘稠液体としては、例えば、液状ポリエチレングリコール、グリセリン、界面活性剤、ポリエチレングリコール水溶液、ポリビニルピロリドン水溶液、ポリビニルアルコール水溶液など等の親水性液体、流動パラフィン、ワックス、シリコングリースなどの疎水性液体を例示できる。
第二の部材(4)の素材、形状、寸法は、欠損部を有する必要がないこと以外は前記第一の部材(3)と同様である。但し、第二の部材(4)側から圧迫する場合には、第二の部材は少なくとも前記圧迫部(11)に於いて可撓性の素材とし、圧迫により流路壁が変形可能な厚みとする必要がある。
前記第一の部材(3)と第二の部材(4)を接着剤を使用して接着する場合には、接着剤を塗布する方法は、第一の部材(3)の欠損部が漏洩のない流路を形成でき、かつ、接着剤により流路が閉塞しない方法であれば任意であり、例えば、スピンコート、ディッピング、スプレー、刷毛塗り、印刷法などを利用できるが、薄い接着剤層が形成可能で、部材表面に欠損部があってもそれを閉塞しないスピンコート法が好ましく、また、接着剤を溶剤で希釈する方法が好ましい。
第一の部材(3)や第二の部材(4)を構成する素材や、接着剤に紫外線硬化樹脂を使用する場合には、硬化に用いることのできる活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光の如き光線;エックス線、ガンマ線、放射光の如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線の如き粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気が好ましい。
形成したマイクロ流体デバイスポンプは、穿孔、切断などの後加工することも可能である。また、一つのマイクロ流体デバイスに、他の機構と一体化して形成することが好ましく、一枚の部材に多数のマイクロ流体デバイスポンプを同時に作成することも生産効率面で好ましい。
[流体移送方法]
次に、本発明の流体移送方法について説明する。
本発明の第一の流体移送方法[流体移送方法(I)と称する]は、常態では閉じていて一方の側の流体の加圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、且つ前記流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
(i)前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
(ii)前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記弁に流体の加圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて流体を前記第一圧迫部から前記可逆弁の方向へ移送し、
(iii)前記第一圧迫部と前記第二圧迫部の圧迫を解除する流体移送方法である。
前記工程(i)は、前記第一圧迫部を外部から圧迫し、該流路壁を変形させて該第一圧迫部の流路の断面積を減少(「減少」には、断面積がゼロとなることを含む)、好ましくは流路を閉塞させる。断面積を減少させることにより、引き続く工程(ii)によって、前記第一圧迫部と前記弁との間の流路内の流体が弁と反対側へ逆流することを阻止し、前記弁を通過させて吐出することを可能にする。このとき、第一圧迫部の流路の断面積がゼロでなくても、逆流しようとする流体の圧力損失によって前記範囲の流路内の圧力を増加させることが出来る。しかしながら、特に流体が気体である場合には、閉塞することが好ましい。なお、前記圧迫部が凸構造を有する場合には、該凸構造を介して流路壁を圧迫することになるが、本明細書においては、特記する場合を除いて特に区別せずに説明する。
前記工程(ii)は、第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部と前記弁との間の流路(第二圧迫部)の流路壁を外部から圧迫することにより、該範囲の流路内の圧力を増加させて、該流体を前記弁の部分を通過させて弁側方向に吐出させる工程である。本工程は、前記第一圧迫部と弁との間の流路の容積を減少させて、該流路範囲の圧力を増加させ、流体を弁を通じて該範囲から流出させるものである。従って、第一圧迫部が圧迫されて第一圧迫部の断面積が減少した後に、第二圧迫部の圧迫により第二圧迫部の断面積を減少させることができればよい。すなわち、第一圧迫部の圧迫時に第二圧迫部が圧迫されていてもよく、例えば、第一圧迫部と第二圧迫部の圧迫を同時に開始し、第一圧迫部の流路断面積が十分小さくなった後に更に第二圧迫部を圧迫して該部分の断面積を減少させてもよい。このような圧迫方法は、前記第一圧迫部における流路高さが第二圧迫部に於ける流路高さより小さい時や、前記第一圧迫部における高さが第二圧迫部に於ける高さより高い凸構造を有する時に好ましい。前記第二圧迫部は、前記第一圧迫部とは離れた別の部位であっても良いし、前記第一圧迫部と隣接した部位であっても良い。
前記工程(iii)は、前記工程(i)及び前記工程(ii)の圧迫を解除して、前記圧迫部の流路に、前記弁とは逆の方向から流体を再び流入させる。このとき、第一圧迫部と第二圧迫部の圧迫を解除する順序は任意である。第二圧迫部の圧迫を先に解除する場合には、前記第一圧迫部と弁の間の範囲の流路内圧力は陰圧となるが、弁(A)を使用する場合には減圧による弁側からの逆流の心配はない。弁に前記弁(B)を使用する場合に於いては、該弁(B)の作動圧力を、前記工程(ii)に於ける圧迫時には弁を通過し、工程(iii)における吸引時には逆方向に通過しないように設定することで、ポンプ機能を発揮出来る。
本発明の第二の流体移送方法[流体移送方法(II)と称する]は、毛細管状の流路を有し、前記流路の途中に常態では閉じていて一方の側の流体の減圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、且つ前記流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、前記弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
(i’)前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
(ii’)それと同時に、又は、前記第二圧迫部を圧迫した後その圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
(iii')前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部の圧迫を解除して、前記弁に流体の減圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて、流体を前記弁から前記第一圧迫部の方向へ移送し、
(iv')その後、前記第一圧迫部の圧迫を解除する流体移送方法。
前記工程(i’)は、前記第二圧迫部を外部から圧迫し、該流路壁を変形させて該第二圧迫部の流路の断面積を減少させることによって、該第二圧迫部の流路内の流体を第一圧迫部方向へ押し出す工程である。このとき、第一圧迫部は圧迫されていないため、第二圧迫部付近の流体の圧力は上昇せず、弁側へ流出しない。
前記工程(ii’)は、前記工程(i’)によって第二圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部の流路の流路壁を外部から圧迫して該第一圧迫部の流路の断面を変形させ、断面積を減少させることにより、引き続く工程(iii’)において、第一圧迫部側からの第二圧迫部への流体の流入を阻止することが出来る。このとき、第一圧迫部の流路の断面積がゼロでなくても、流入しようとする流体の圧力損失によって前記範囲の流路内の圧力を低くすることが出来る。しかしながら、特に流体が気体である場合には、閉塞することが好ましい。なお、本工程(ii’)は、前記工程(i’)と実質的に同時に行うことも可能である。
前記工程(iii’)は、前記工程(i)における第二圧迫部の圧迫を解除することにより、第二圧迫部の流路壁が復帰する力によって第二圧迫部の流路内の圧力を低下させ、前記弁を通過させて流体を流入させる工程である。このとき、第一圧迫部は圧迫された状態にあるため、第一圧迫部側から流体は流入しない。また、弁として弁(B)を使用する場合には、該低下した圧力で作動するように作動圧力を設定することで、ポンプ機能を発揮出来る。
前記工程(iv’)は、前記工程(ii)における第一圧迫部の圧迫を解除して、次のサイクルの前記工程(i’)を可能にする工程である。
上記流体移送方法(I)、(II)のいずれに於いても、移送された流体を使用する機構、例えば反応流路、分離機構、検出部などは、本ポンプの吐出側に接続しても吸引側に接続しても良いが、これらの機構が溶液を加熱するものである場合には、吐出側に配することが、気泡の発生の恐れが少なく、好ましい。
また、本ポンプを用いて、流体を流路中を往復して移送する場合には、弁として弁(B)を使用し、上記流体移送方法(I)と(II)を交互に用いる方法、又は、弁に弁(B)若しくは加圧条件で両方向に開く弁(A)を使用し、流体移送方法(I)を用いて、弁に対して対称に設けられたもう一組の圧迫部を圧迫する方法で実施できる。
前記圧迫部を圧迫する圧迫方法は任意であるが、[1]独立に動く2つの押圧部材を用いて、前記第一圧迫部と第二圧迫部を前記の順序で圧迫する方法、[2]一つの押圧部材を往復運動させて前記第一圧迫部と第二圧迫部を前記順序で圧迫する方法、[3]一つの押圧部材を制限された範囲の往復回転運動(首振り運動)させつつ、それと同期して圧迫部方向に往復運動させることによって、前記第一圧迫部と第二圧迫部を前記順序で圧迫する方法が好ましく、中でも、上記流体移送方法(I)においては、上記[2]に記載の、一つの押圧部材の往復運動による方法、例えば、前記第一圧迫部を圧迫する第一押圧部と、前記第二圧迫部を圧迫する第二押圧部とを有する押圧部材を一定の振幅で往復運動させる方法が、駆動装置の構造が簡単になり、低消費エネルギーで駆動可能となるため、例えば、電池でも駆動可能となり、可搬型の装置とすることが容易になる。それに次いで、上記[3]の方法が好ましい。また、上記流体移送方法(II)においては、上記[3]に記載の方法が好ましい。
前記押圧部材として使用できる素材としては特に制限はないが、マイクロ流体デバイスポンプの圧迫部と接触する押圧部の引っ張り弾性率が1〜200MPaの範囲であることが、弾性による保護機構を特別に設けなくても、マイクロ流体デバイスポンプの圧迫部を破壊することなく好適に圧力を与えることができるため好ましい。
[押圧部材]
本発明のマイクロ流体デバイスポンプの圧迫部を圧迫する押圧部材の具体例と、それを使用した流体移送方法について述べる。
単純な往復運動又は首振り往復運動をさせて圧迫部を圧迫し、ポンプ機構を駆動する送液方法に使用できる押圧部材としては、例えば下記のような構造を例示できる。
なお、説明が煩雑になることを避けるため、マイクロ流体デバイスポンプ及び押圧部材を下記の姿勢に配置した状態で説明するが、マイクロ流体デバイスポンプと押圧部材の相対的な位置関係が変わらなければ、全体の姿勢は任意である。即ち、水平な向かって右向きにx軸、上向きにy軸、水平な手前向き方向にz軸を採った直角座標を考え、マイクロ流体デバイスポンプの圧迫部を上面にして水平な面内(xz面内)に配置し、流路を左右方向(x軸方向)とし、左から右方向に第一圧迫部、第二圧迫部、弁の順に並ぶ向きとする。また、アクチュエータを上下方向(y軸に平行な方向)に往復運動させて、或いはxy面内で回転させて、圧迫部を上から下方向(−y方向)に圧迫するものとする。また、各図の正面図は、本説明でいうxy平面に描かれている。
[A]第一圧迫部と第二圧迫部の流路高さが等しく、凸構造を有しないマイクロ流体デバイスポンプに適用できる押圧部材
(イ)y軸に平行な方向に単純な往復運動させることによりポンプを駆動する押圧部材
(イ−1)第一圧迫部と第二圧迫部を圧迫する2つの押圧部を持つ押圧部材
本機構を上記流体移送方法(I)に適用する場合には、一定振幅、一定周波数で往復運動させるのみでマイクロ流体デバイスポンプを駆動できる。
(イ−1−1)柔軟な圧迫部材を持つ押圧部材
例えば図4に示したように、押圧部(21)が長短2つの部分、即ち第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)に分かれており、少なくとも第一押圧部(21a)が、マイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)を圧迫することによって弾性変形するような弾性率を持った素材、例えばゴムやエラストマーで形成されていて、該第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)は押圧部材本体(22)に固定されている。
例えば、押圧部材(23)の押圧部材本体(22)は幅16mm、奥行き6mm、高さ30mmの硬質塩化ビニル樹脂(引っ張り弾性率約3GPa)で形成されており、第一押圧部(21a)は、先端部が半径1.5mmの半球形となされた底面の直径6mm、高さ6mmの円錐状のブチルゴム(引っ張り弾性率約10MPa)で形成され、第二押圧部(21b)は、yz断面が先端部が半径1.5mmの半円形となされた底辺6mm、高さ5mmの三角形、xy断面が底辺10mm、上辺9mm、高さ5mmの台形であるブチルゴムで形成されている。
前記流体移送方法(I)に使用する場合、工程(i)において、押圧部材(23)を例えばアクチュエータ(図示せず)に取り付けて下方に移動させると、まず第一押圧部(21a)の先端部が変形しつつ第一圧迫部(11a)を圧迫し、押圧部材(23)をさらに下方に移動させると、前記第一押圧部(21a)はさらに変形しつつ第一圧迫部の圧迫を維持し、引き続いて工程(ii)に入り、第二押圧部(21b)が前記第二圧迫部(11b)を圧迫する。次に、工程(iii)において、押圧部材(23)を上方向に移動させると、まず第二圧迫部(11b)の圧迫が解除されて、次いで第一圧迫部(11a)の圧迫が解除される。本例では、流体は左から右方向へ移送される。
前記流体移送方法(II)に使用する場合には、後述の[B]で述べる方法によって、流体を右から左方向へ移送することが出来る。
(イ−1−2)圧迫部方向に付勢された押圧部を持つ押圧部材
例えば図5に示したように、押圧部材本体(22)に設けられた2つのガイド穴(24a)、(24b)内に、長短2つの第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)が装着されており、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)はそれぞれバネ(25)によって下方に付勢され、ストッパー(26)によって停止位置に停止しており、該停止位置から上方へ、バネ(25)の付勢に抗してスライド可能なようにされている。
本例に於いて、押圧部材本体(22)に第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)を装着する構造は、スライド可能な状態であれば、例えばスライドレールなど他の任意の機構を使用出来る。また、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)を下方に付勢する機構も任意であり、例えば重力(重錘)、弾性力、磁力、電磁力、圧力気体、などであって良い。弾性力も任意であり、例えば、コイルバネ、板バネ、棒バネなどのバネ弾性力、ゴム、エラストマー、ゲルなどのゴム弾性力を例示できる。
押圧部材本体(22)に第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)を装着する他の構造として、図6、図7に示したように、押圧部材本体(22)に固定された弾性を持つ支持部材(27)を介して第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)を押圧部材本体(22)に固定する機構を例示できる。本構造では、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)が圧迫部(11)を圧迫し、反作用によって上方へ押された時に、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)は押圧部材本体(22)に対してスライドする代わりに、該支持部材(27)が弾性変形し、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)は該弾性力に抗して上方へ移動する。支持部材(27)としては、例えば、コイルバネ、板バネ、棒バネなどのバネ弾性体、塊状のゴムやエラストマー、ゲルなどのゴム弾性体、圧縮気体などの体積弾性体などが使用できる。この場合、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)は独立した部材であっても良いし、一体化された押圧部(21)の部分であっても良い。
上記いずれの場合も、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)の素材は任意であり、上記圧迫によって実質的に変形しない弾性率を持つ素材であっても良いし、変形する弾性率を持つ素材であっても良い。上記圧迫によって実質的に変形しない弾性率を持つ素材を使用する場合には、先端部はほぼ平面状とし、圧迫部(11)に凸構造(14)を有するマイクロ流体デバイスポンプに適用することも好ましい。
なお、前記第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)の先端部の幅と長さは、マイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)が凸構造(14)を有しない場合には、該接触部の素材の弾性率に応じて、前記凸構造(14)と同様に、該弾性率に応じた寸法とすることが好ましく、マイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)が凸構造(14)を有する場合には、該凸構造(14)より大きな寸法にすることが好ましい(以下同様)。
前記流体移送方法(I)に使用する場合、工程(i)において、例えばアクチュエータ(図示せず)を作動させて、押圧部材(23)を下方に移動させると、まず第一押圧部(21a)の先端部が、第一圧迫部(11a)を圧迫し、押圧部材(23)をさらに下方に移動させると、前記第一押圧部(21a)はそれ以上下方へは移動せず、下方への付勢によって第一圧迫部(11a)を圧迫した状態を保持したまま工程(ii)に移り、第二押圧部(21b)が前記第二圧迫部(11b)を圧迫する。次に、工程(iii)において、押圧部材(23)を上方向に移動させると、まず第二圧迫部(11b)の圧迫が解除されて、次いで第一圧迫部(11a)の圧迫が解除される。本例では、流体は図の左から右方向へ移送される。
前記流体移送方法(II)に使用する場合には、後述の[B]で述べる方法によって、流体を右から左方向へ移送することが出来る。
(イ−1−3)往復運動の圧迫操作により、一体型の押圧部が自動的に制限された角度範囲で回転しつつ圧迫する押圧部材
例えば図8に示したように、2つの第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)が一体型とされた押圧部(21)が、それぞれ常態で停止している位置から、回転軸(28)周りに、時計回りに少なくとも特定の角度だけ回転可能なように、押圧部材本体(22)に取り付けられている。該押圧部(21)はバネ(25)によって反時計回り方向に付勢され、ストッパ(26)により停止位置に停止している。押圧部材(23)によりマイクロ流体デバイスポンプの圧迫部(11)を圧迫すると、反作用で、下方に突出している方の第一押圧部(21a)が上方に押され、押圧部(21)は時計回りに回転しながら、重心が押圧部材本体(22)に対して上方に移動する。
押圧部(21)を制限された角度範囲で回転可能なように押圧部材本体(22)に取り付ける方法は任意であり、針状の回転軸(28)の他、凹凸の軸受け、転がりによる回転などであって良い。
押圧部(21)を反時計回り方向に付勢する機構も任意であり、渦巻きバネの他、前記(イ−1−1)で例示したものが使用できる。
上記いずれの場合も、押圧部(21)の素材は任意であり、上記圧迫によって実質的に変形しない弾性率を持つ素材であっても良いし、変形する弾性率を持つ素材であっても良い。
前記流体移送方法(I)に使用する場合の方法と作用は、前記(イ−1−2)と同様である。
[ロ]押圧部材を制限された角度範囲で往復回転運動(首振り運動)させつつ、それに同期させて、y軸に平行な方向に往復運動させて圧迫部を圧迫する押圧方法に使用できる押圧部材
第一押圧部(21a)と第二押圧部(21b)が同じ高さ(長さ)であること以外は上記(イ)で述べた押圧部材と同じ構造の押圧部材が好ましく使用できるが、圧迫により実質的に変形しないような高い引っ張り弾性率の素材で、押圧部材本体(22)と押圧部(21)を一体形成した押圧部材(23)がさらに好ましく用いられる。このように、本押圧部材は、第一押圧部(21a)、第二押圧部(21b)のいずれも柔軟な素材を用いる必要が無く、又、押圧部(11)方向に付勢する必要もないため、構造を簡単にできる。また、本押圧方法には、この他に、上記(イ)で述べた押圧部材も使用可能である。
この押圧部材を前記流体送液方法(I)に用いる場合には、上記押圧部材(23)を垂直な状態から反時計方向に例えば約15度回して傾斜させて、第一押圧部(21a)が第一圧迫部(11a)に接触するようにし、そのまま下方に移動させて該マイクロ流体デバイスの第一圧迫部(11a)を圧迫して流路断面を変形させ、次いで、第一圧迫部(11a)の圧迫を継続しながら、該押圧部材(23)を時計方向に回転させて傾斜を解除しつつ下方に移動させて、第二押圧部(21b)にて第二圧迫部(11b)を圧迫して流路断面を変形させて流体を弁(13)を通過させ、その後、押圧部材(23)を上方に移動させて第一圧迫部(11a)と第二圧迫部(11b)の圧迫を解除することにより、圧迫部(11)から弁(13)の方向へ流体を好適に移送できる。また、該操作を繰り返すことにより、連続して流体の移送できる。上記に於いて、押圧部材(23)を上方に移動させて第一圧迫部(11a)と第二圧迫部(11b)の圧迫を解除する前に、押圧部材(23)をさらに時計方向に回して、第二圧迫部(11b)の圧迫を継続しながら第一圧迫部(11a)の圧迫を解除し、その後、押圧部材(23)を上方に移動させることも好ましい。
また、この押圧部材を前記流体送液方法(II)に用いる場合には、上記押圧部材(23)を垂直な状態から時計方向に例えば約15度回して傾斜させて、第二押圧部(21b)が第二圧迫部(11b)に接触するようにし、そのまま下方に移動させて該マイクロ流体デバイスの第二圧迫部(11b)を圧迫して流路断面を変形させ、次いで、第二圧迫部(11b)の圧迫を継続しながら、該押圧部材(23)を反時計方向に回転させて傾斜を解除し、第一押圧部(21a)にて第一圧迫部(11a)を圧迫して流路断面を変形させ、その後、押圧部材(23)をさらに反時計方向に回して、第一圧迫部(11a)の圧迫を継続しながら第二圧迫部(11b)の圧迫を解除し、その後、押圧部材(23)を上方に移動させて第一圧迫部(11a)の圧迫を解除することにより、弁(13)から圧迫部(11)の方向へ流体を好適に移送できる。また、該操作を繰り返すことにより、連続して流体の移送できる。
送液方法(I)、(II)のいずれに適用する場合にも、押圧部材を往復回転運動させる角度範囲は一定であっても異なっていても良いが、一定であることが、駆動機構や制御が単純となり好ましい。
本押圧部材を上記のように首振り運動しながら押圧する駆動機構は任意であるが、例えば図9に示した駆動機構を好ましく用いることが出来る。即ち、押圧部材(23)は、上端に近い部分が、モーター(31)に接続された円板(32)の外周付近の一点に軸(33)で接続されており、押圧部材(23)は該軸(33)周りに回転可能とされている。押圧部材(23)はまた、下端に近い部分が、直線摺動機構(34)の可動部(35)に軸(36)にて接続されており、押圧部材(23)は軸(36)周りに回転可能とされている。この駆動機構のモーター(31)を回転させると、押圧部材(23)は首振り運動しつつ上下に往復運動する。本押圧部材の駆動機構としては、上記の他に、例えば、XYアクチュエーターも使用できる。
[B]第一圧迫部と第二圧迫部の流路高さが等しく、第一圧迫部と第二圧迫部で高さが等しい凸構造を有するマイクロ流体デバイスポンプに適用できる押圧部材
この場合、押圧部(21)の下面が流路幅より幅広の平面であること以外は、上記[A]で述べた押圧部材と同様の押圧部材が好ましく使用できる。また、上記[A]で述べた押圧部材も使用可能である。
[C]第一圧迫部と第二圧迫部で流路の高さが異なり、凸構造を有しないマイクロ流体デバイスポンプに適用出来る押圧部材。
この場合、第一押圧部(21a)と第二押圧部(21b)の高さ(長さ)が同じであること以外は、上記[A]で述べた押圧部材と同様の押圧部材が好ましく使用できる。また、上記[A]で述べた押圧部材も使用可能である。
[D]第一圧迫部と第二圧迫部の流路高さが等しく、第一圧迫部と第二圧迫部で高さが異なる凸構造を有するマイクロ流体デバイスポンプに適用できる押圧部材
この場合、押圧部(21)の下面が流路幅より幅広の平面であること以外は、上記[C]で述べた押圧部材と同様の押圧部材が好ましく使用できる。また、上記[A]、[B]で述べた押圧部材も使用可能である。
[E]第一圧迫部と第二圧迫部の流路高さが異なり、第一圧迫部と第二圧迫部で高さが等しい凸構造を有するマイクロ流体デバイスポンプに適用出来る押圧部材。
この場合、上記[D]で述べた押圧部材と同様の押圧部材が好ましく使用できる。また、上記[A]、[B]、[C]で述べた押圧部材も使用可能である。
[F]第一圧迫部と第二圧迫部で流路の高さが異なり、かつ、第一圧迫部と第二圧迫部で高さが異なる凸構造を有するマイクロ流体デバイスポンプに適用出来る押圧部材。
この場合、第一押圧部(21a)と第二押圧部(21b)の高さ(長さ)が同じ押圧部材(23)で、圧迫部(11)を垂直方向に押圧したときに、第一圧迫部と第二圧迫部のどちらが先に流路が実質的に遮断されるかにより上記[B]又は[D]に帰着する。
本発明に於いて、繰り返し圧迫及び解除する機構は任意であり、例えば、手動、電磁アクチュエーター、圧空式アクチュエータ、オイル式アクチュエータ、電気モーター(パルスモーター、リニアモーターなどを含む)、等であり得る。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、各々「質量%」、「質量部」を表す。
(実施例1)
本実施例では、本発明の実施態様で説明したマイクロ流体デバイスポンプの製造方法及び送液方法の例について述べる。
[マイクロ流体デバイスポンプの作製]
〔組成物(X)〕
検出用流体デバイスの製造例で使用する紫外線硬化性の組成物(X)の調製方法を示す。
重合性化合物として、平均分子量約2000の大日本インキ化学工業株式会社製3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」80部、第一工業製薬株式会社製ヘキサンジオールジアクリレート「ニューフロンティアHDDA」20部、光重合開始剤としてチバスペシャルテッィケミカルズ社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」5部を混合して、組成物(X)を調製した。
組成物(X)の硬化物は、引張弾性率が610MPa、破断伸び率が7.5%であった。
〔紫外線の照射〕
製造例に於ける紫外線照射は、200Wメタルハライドランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト200型露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が100mW/cmの紫外線を室温、窒素雰囲気中で照射した。
〔工程1:第一の部材(3)の形成〕
厚さ1mmのアクリル板製支持体(1)の上に、スピンコーターを用いて組成物(X)を塗工して未硬化塗膜を形成し、該未硬化塗膜の流路(5[(5a)及び(5b)]と成すべき部分以外の部分に所定寸法の遮光パターンを有するフォトマスクを通して紫外線を10秒間照射して未硬化塗膜を半硬化させて樹脂層(2)を形成した。次いで、非照射部分の未硬化の組成物(X)をエタノールで洗浄除去して、流路(5)となるべき樹脂層(2)の表裏を貫通する欠損部(5)を形成した。次いで、流路(5a)と(5b)を分断している堰状構造(6)を中心とする直径0.4mmの円形の部分に前記紫外線を20秒間照射して、該照射部分を完全硬化させた。
〔工程2:第二の部材(4)の固着〕
二村化学株式会社製二軸延伸ポリプロピレンフィルム「OPPフィルム」上に組成物(X)を、バーコーターを用いて塗工し、全面に紫外線を3秒間照射して半硬化させて、蓋となる第二の部材(4)を形成した。上記工程1で作製した第一の部材(3)の堰状構造(6)の上面に筆でグリセリンを護符し、第二の部材(4)を樹脂層(2)の上に貼り合わせ、紫外線を40秒照射して、樹脂層(2)、第二の部材(4)共に完全に硬化させたのち、OPPフィルムを剥がして、樹脂層(2)の欠損部(5)、(5b)が毛細管状の流路(5a)、(5b)となされた検出用流体デバイス前駆体を形成した。このとき、第一の部材(3)と第二の部材(4)とは、流路(5)以外の部分では、前記堰状構造(6)部分においてのみ固着していないものであった。
〔工程3:流入口、流出口の形成〕
検出用流体デバイス前駆体の流路(5)の両端部の位置に於いて流路(5)に連結させるように、ドリルを用いて第二の部材(4)に直径0.5mmの貫通孔(7)、(8)を穿り、該貫通孔((7)、(8)周辺の外面に直径6mm、長さ6mmのポリスチレン管を接着して、マイクロ流体デバイスポンプを製造した。製造されたマイクロ流体デバイスポンプの各部の寸法は、堰状構造(6)の流路方向の長さを約300μmとした場合の、前記実施態様に記載したマイクロ流体デバイスポンプの寸法と同じである。
即ち、得られたマイクロ流体デバイスポンプの各部の寸法は、外寸が75mm×25mm×厚さ約1.3mm、流路(5)は幅約500μm、高さ約100μm、断面積約0.05mm、堰状構造(6)は幅約500μm、高さ約100μm、流路方向の長さ約300μmであり、流路壁(12)、及び弁(13)の接触部(3a)の流路壁(12a)は共に約100μmである。
〔送液方法〕
得られたマイクロ流体デバイス貫通孔(7)に、メチレンブルーで着色した蒸留水を投入した後、該マイクロ流体デバイスの第一圧迫部(11a)を外部から上記(イ−1−1)で示した押圧部材を用いて手動にて圧迫して流路断面を変形させた後、第一圧迫部(11a)の圧迫を継続しながら、第二圧迫部(11b)を圧迫して流路断面を変形させたところ、着色水は弁(13)を通過した。次いで、第一圧迫部(11a)と第二圧迫部(11b)の圧迫を解除したところ、弁(6)を通じての逆流は僅かであり、貫通孔(7)に投入された着色水が第一圧迫部(11a)方向か第二圧迫部(11b)の流路に流入し、第一圧迫部(11a)から弁(13)の方向へ着色水を好適に移送できた。また、該操作を繰り返すことにより、連続して流体の移送が可能であった。
押圧部材(23)を手動で押圧する代わりに、第一押圧部(21a)の先端が第一圧迫部(11a)に接触してからの押圧距離を約1mmに調節した電磁アクチュエーター(図示せず)を用いて、1Hzで押圧したこと以外は実施例1と同様の送液試験を行ったところ、第一圧迫部(11a)から弁(13)の方向へ着色水を好適に移送できた。
(実施例2)
本実施例では、本発明の凸構造を有するマイクロ流体デバイスポンプの実施形態のマイクロ流体デバイスポンプの製造方法の例について説明する。
堰状構造(6)の流路方向の長さを約60μmとしたこと、及び、前記工程3において、図2に示したように、流路(5a)に相対する第二の部材(4)の押圧部(11)の外側に変成ポリジメチルシロキサン(シリコンシーラント)にて幅約2mm、高さ約1mm、長さ約15mmの凸構造(14)を設けたこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体デバイスポンプを作製した。
〔送液方法1〕
第一押圧部が一辺4mmの角柱であること、及び、第二押圧部が4mm×8mmの角柱であること以外は実施例1と同様の押圧部材(23)を用い、実施例1と同様の送液試験を行ったところ、第一圧迫部(11a)から弁(13)の方向へ着色水を好適に移送できた。
〔送液方法2〕
得られたマイクロ流体デバイス貫通孔(8)に、メチレンブルーで着色した蒸留水を投入した後、上記(ハ)で示した下面全体が一つの平面状の押圧部材を用い、これを時計方向に約15度回して傾斜させて、第二押圧部(21b)が第二圧迫部(11b)に接触するようにし、手動にて、該マイクロ流体デバイスの第二圧迫部(11b)を圧迫して流路断面を変形させ、次いで、第二圧迫部(11b)の圧迫を継続しながら、該押圧部材(23)を反時計方向に回転させて傾斜を解除し、第一押圧部(21a)にて第一圧迫部(11a)を圧迫して流路断面を変形させ、その後、押圧部材(23)を時計方向に回して、第一圧迫部(11a)の圧迫を継続しながら第二圧迫部(11b)の圧迫を解除し、その後、押圧部材(23)を上方に移動させて第一圧迫部(11a)の圧迫を解除することにより、弁(13)から第一圧迫部(11a)の方向へ着色水を好適に移送できた。また、該操作を繰り返すことにより、連続して流体の移送が可能であった。
本発明の実施態様のマイクロ流体デバイスポンプの平面模式図、及び、A部における断面図模式図である。 本発明の実施態様のマイクロ流体デバイスポンプの平面模式図、及び、A部における断面図模式図である。 本発明の実施態様のマイクロ流体デバイスポンプの平面模式図、及び、A部における断面図模式図である。 本発明の実施態様の押圧部材の正面図、平面図、および側面図でである。 本発明の実施態様の押圧部材の正面図、平面図、および側面図である。 本発明の実施態様の押圧部材の正面図である。 本発明の実施態様の押圧部材の正面図である。 本発明の実施態様の押圧部材の正面図、平面図、および側面図である。 本発明の実施態様の押圧部材と駆動機構の正面図、底面図、および側面図である。
符号の説明
1・・・支持体
2・・・樹脂層
3・・・第一の部材
4・・・第二の部材
5、5a、5b・・・流路(欠損部、溝)
6・・・堰状構造(非欠損部)
6a・・・接触部
7、8・・・貫通孔
9,10・・・円管
11・・・圧迫部
11a・・・第一圧迫部
11b・・・第二圧迫部
12、12a・・・流路壁
13・・・弁
14・・・凸構造
21・・・押圧部
21a・・・第一押圧部
21b・・・第二押圧部
21c・・・押圧部の先端に近い部分
21d・・・押圧部の固定部
21e・・・押圧部のアーム部
21f・・・押圧部のアーム部
22・・・押圧部材本体
23・・・押圧部材
24a、24b・・・ガイド穴
25・・・バネ
26・・・ストッパ
27・・・支持部材
31・・・モーター
32・・・円板
33、36・・・軸
34・・・直線摺動機構
35・・・可動部

Claims (20)

  1. 毛細管状の流路を有し、該流路の途中に、常態では閉じていて一方の側の流体の加圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、且つ該流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、該弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧迫により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
    (i)前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
    (ii)前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記弁に流体の加圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて流体を前記第一圧迫部から前記弁の方向へ移送し、
    (iii)次いで、前記第一圧迫部と前記第二圧迫部の圧迫を解除することからなる流体移送方法。
  2. 前記弁が、常態では閉じており、弁の前記第二圧迫部側の流体の加圧により圧力差が生じると開き、弁の前記第二圧迫部側の流体の減圧による圧力差が生じても開かない弁(A)、若しくは、常態では閉じていて、弁の前記第二圧迫部側の流体の加圧又は減圧により圧力差が生じると、いずれの場合も開く弁(B)である請求項1に記載の流体移送方法。
  3. 前記マイクロ流体デバイスポンプにおける第一圧迫部の流路断面積が、前記第二圧迫部の流路断面積より小さいものである請求項1または2に記載の流体移送方法。
  4. 前記マイクロ流体デバイスポンプにおける第一圧迫部及び前記第二圧迫部の流路外壁に凸構造が設けられており、且つ第一圧迫部に設けられた凸構造の圧迫方向の幅が、第二圧迫部に設けられた凸構造の圧迫方向の幅より大きい請求項1〜3のいずれかに記載の流体移送方法。
  5. 前記第一圧迫部を圧迫する押圧部(1)と、前記第二圧迫部を圧迫する押圧部(2)とを有する押圧部材を使用して、前記第一圧迫部の圧迫、前記第二圧迫部の圧迫、及び圧迫の解除からなる工程を繰り返し行う請求項1〜4のいずれかに記載の流体移送方法。
  6. 前記押圧部材が、前記押圧部(1)が前記第一圧迫部を圧迫した後に前記押圧部(2)が前記第二圧迫部を圧迫するものである請求項5に記載の流体移送方法。
  7. 前記第一圧迫部を圧迫する押圧部(1)と、前記第二圧迫部を圧迫する押圧部(2)とを有する押圧部材を使用して、該押圧部材の押圧部(1)と(2)を、前記凸構造を除いた前記各圧迫部の流路内壁と平行にして、圧迫方向に一定の振幅で往復運動させる請求項3又は4に記載の流体移送方法。
  8. 毛細管状の流路を有し、該流路の途中に常態では閉じていて一方の側の流体の減圧による圧力差を与えることにより開く弁を有し、且つ該流路に外部からの圧迫により流路断面が変形する第一圧迫部と、該弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧迫により流路断面が変形する第二圧迫部とを有するマイクロ流体デバイスポンプを使用し、
    (i’)前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
    (ii’)それと同時に、又は、前記第二圧迫部を圧迫した後その圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、
    (iii')前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部の圧迫を解除して、前記弁に流体の減圧による圧力差を与えて該弁を開き、該弁を通過させて、流体を前記弁から前記第一圧迫部の方向へ移送し、
    (iv')その後、前記第一圧迫部の圧迫を解除することからなる流体移送方法。
  9. 前記弁が、常態では閉じており、弁の前記第二圧迫部側の流体の加圧により圧力差が生じると開き、弁の前記第二圧迫部側の流体の減圧による圧力差が生じても開かない弁(A)、若しくは、常態では閉じていて、弁の前記第二圧迫部側の流体の加圧又は減圧により圧力差が生じると、いずれの場合も開く弁(B)である請求項8に記載の流体移送方法。
  10. 前記第一圧迫部を圧迫する押圧部(1)と、前記第二圧迫部を圧迫する押圧部(2)とを有する押圧部材を使用して、前記第二圧迫部の圧迫、前記第一圧迫部の圧迫、前記第二圧迫部の圧迫の解除、及び前記第一圧迫部の圧迫の解除を繰り返し行う請求項8又は9に記載の流体移送方法。
  11. 前記押圧部材が、前記押圧部(1)が前記第二圧迫部を圧迫した後に前記押圧部(2)が前記第一圧迫部を圧迫し、次いで第二圧迫部の圧迫を解除した後に第一圧迫部の圧迫を解除するものである請求項8〜10のいずれかに記載の流体移送方法。
  12. 前記押圧部材の押圧部(1)及び押圧部(2)を形成する素材の引っ張り弾性率が1MPa〜200MPaである請求項5、6、10、11のいずれかに記載の流体移送方法。
  13. 毛細管状の流路を有し、前記流路の途中に、常態では閉じていて加圧又は減圧による圧力差を与えたとき、そのいずれの場合にも低圧側へ開く弁(B)を有し、且つ前記流路に外部からの圧力により流路断面が変形する第一圧迫部と、該弁と該第一圧迫部との間に外部からの圧力により流路断面が変形する第二圧迫部とを有し、下記機構[I]または[II]により流体が該弁を通じて移送されるマイクロ流体デバイスポンプ。
    機構[I]
    前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記弁に流体の加圧による圧力差を与えることにより該弁が開く機構。
    機構[II]
    前記第二圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させた後、前記第二圧迫部の圧迫を継続しながら、前記第一圧迫部を外部から圧迫して流路断面を変形させ、前記第一圧迫部の圧迫を継続しながら前記第二圧迫部の圧迫を解除し、前記弁に流体の減圧による圧力差を与えることにより該弁が開く機構。
  14. 前記第一圧迫部が前記流路壁を圧迫することにより該流路壁の一部が変形して流路を閉塞する請求項13に記載のマイクロ流体デバイス用ポンプ。
  15. 前記毛細管状の流路の第一圧迫部および第二圧迫部の引っ張り弾性率が1MPa〜5GPaの範囲にある請求項13又は14に記載のマイクロ流体デバイスポンプ。
  16. 前記毛細管状の流路の第一圧迫部および第二圧迫部の厚さが1〜3000μmの範囲にある請求項13〜15のいずれかに記載のマイクロ流体デバイスポンプ。
  17. 前記マイクロ流体デバイスポンプの毛細管状の流路が、該流路となる溝を有する第一の部材と、蓋となるシート状の第二の部材が積層固着されて形成された流路、或いは、該流路となる溝を有するシート状の第一の部材と、蓋となる第二の部材が積層固着されて形成された流路である請求項13〜16のいずれかに記載のマイクロ流体デバイスポンプ。
  18. 前記弁が、前記第一の部材の流路となる溝の途上に設けられた堰状構造と、該堰状構造に当接して接触しているが固着していない前記第二の部材の一部からなる請求項17に記載のマイクロ流体デバイスポンプ。
  19. 前記第一圧迫部の圧迫により変形する流路断面の圧迫方向と同方向の流路幅と、前記第二圧迫部の圧迫により変形する流路断面の圧迫方向と同方向の流路幅とが異なる請求項13〜18のいずれかに記載のマイクロ流体デバイスポンプ。
  20. 前記第一圧迫部及び前記第二圧迫部の外側に凸構造が設けられており、且つ前記第一圧迫部の外側に設けられた凸構造の圧迫方向の幅と、前記第二圧迫部の外側に設けられた凸構造の圧迫方向の幅とが異なる請求項13〜19のいずれかに記載のマイクロ流体デバイスポンプ。
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