JP2005162736A - 徐放性医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】現在、医療の現場に提供されている塩酸タムスロシンを含有してなる経口徐放性製剤(現行製剤)に比し、有効性は同等以上であり、かつ副作用(例えば起立性低血圧等)等の有害事象を減少させた上で、用量を増加することができ、所望により食事摂取の制限がない塩酸タムスロシンを含有する徐放性医薬組成物の提供。
【解決手段】タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を含有し、日本薬局方溶出試験法第二法(パドル法:200rpm)により試験を行うとき、溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20%〜約85%であることを特徴とする徐放性医薬組成物。

Description

本発明は、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を含有してなる徐放性医薬組成物に関する。詳細には、本発明は、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を含有し、特定の溶出プロファイルを有することを特徴とする、徐放性医薬組成物に関するものである。
タムスロシン又はその塩はアドレナリンα受容体遮断作用を有することが知られており、とりわけその塩酸塩(塩酸タムスロシン)は尿道及び前立腺部のα受容体遮断作用を有し、尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させて前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する薬剤として汎用されている。最近では、神経因性膀胱に伴う排出障害や、下部尿路症(下部尿路の機能的閉塞に伴う排尿障害であって、下部尿路に明らかな器質的障害或いは神経学的異常を伴わない排尿障害)に対する有効性も確認された(例えば、国際公開第00/00187号パンフレット(対応欧州公開特許第1088551号公報)、国際公開第01/10436号パンフレット(対応欧州公開特許第1203582号公報)参照)。
塩酸タムスロシンに関する副作用情報として、以下の情報が製品の添付文書に記載されている。すなわち、副作用として、日本での承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例4,724例中、本剤との関連が疑われる副作用(臨床検査値異常を含む)は104例(2.2%)に発現し、主なものはめまい、胃不快感等であったこと(再審査申請時)、重大な副作用として、失神・意識喪失(頻度不明):血圧低下に伴う一過性の意識喪失等があらわれることがあること、さらに、その他の副作用として、精神神経系:めまい、ふらふら感(0.1〜5%未満)、立ちくらみ、頭痛、眠気(0.1%未満)、いらいら感(頻度不明)、循環器:低血圧、起立性低血圧、血圧、頻脈、動悸(0.1%未満)、不整脈(頻度不明)であること、がそれぞれ記載されている。さらにまた、タムスロシンの薬物動態として、血漿中濃度は、健康成人に本剤を0.1〜0.6mg経口投与したとき、血漿中未変化体濃度が投与後7〜8時間にピークを示し、半減期は9.0〜11.6時間であったこと、Cmax及びAUCは、投与量にほぼ比例して上昇したこと、本剤を7日間連続経口投与したとき、半減期はやや延長したが、血漿中濃度推移は4日目で定常状態に達したこと、がそれぞれ記載されている。
タムスロシンはα受容体遮断薬であり、乳糖倍散で投与した場合、起立性低血圧等の副作用の発現が認められたため、現在、持続放出性複合単位製剤を用いることにより、起立性低血圧等の副作用を抑えた1日1回型徐放性製剤(Flomax/Harnal/Omnic(いずれも登録商標))が医療の現場に提供されている(例えば特公平7-72129号公報、対応US 4,772,475参照)。かかる製剤技術を利用した徐放性製剤は、日本では0.1mg〜0.2mg/日、欧米では0.4mg〜0.8mg/日の用量で投与されている。
副作用として、欧米では、勃起射精障害や低血圧、ふらつき感などが5%程度報告されている。現行製剤はα受容体遮断作用に起因する副作用を低減し、優れた徐放効果を示す製剤ではあるが、現行製剤では、空腹下投与では体内動態が変動する等の変動要因があり、未だ改善の余地がある。
一方、α受容体遮断薬には、プラゾシン、テラゾシン、アルフゾシン、ドキサゾシン等が挙げられる。いずれの薬剤も元来は降圧剤として使用された薬剤であるので、副作用として起立性低血圧症が見られたり、また治療量に到達する迄、約4〜6週を必要とする漸増法が採用されている等、臨床上用法・用量に制限のある薬剤である。
上記のα受容体遮断薬(プラゾシンまたはアルフゾシン)を含有する徐放性製剤としては、結腸領域では薬剤の吸収が悪く血漿中薬物濃度が極端に低下するため、薬剤を正確に一定の速度で持続的に放出する、所謂0次放出を示す薬物放出制御製剤は不適当であり、起立性低血圧症等の副作用を抑え、かつ良好な治療効果を達成するため、上部消化管において薬剤の第一部を放出し、結腸領域において持続的に薬剤の第二部を放出してなる製剤に関する発明が記載されている(例えば、国際公開第94/27582号パンフレット(対応欧州特許第0 700 285号公報参照)。かかる製剤技術は、結腸における薬剤の吸収性が低下することに鑑み、消化管下部における薬物放出速度を高めることによって、その吸収性の低下を補充するという技術的手段を採用するものであるが、かかる製剤は基本的には時間制御による時限放出であるため、結腸において吸収性を向上させるには今なお改善の余地がある。さらに、α受容体遮断薬が回腸等の消化管下部で吸収されやすい場合には、血漿中薬物濃度が高くなるので、重篤な低血圧等副作用を招くことが懸念されることから、今なお改善の余地がある。
これに対し、タムスロシンに関しては、排尿障害改善剤の他の適応症で臨床開発が拡大されようとしていることから、治療または予防に投与される用量も0.8mg以上になることも予想される。
さらに、現行の塩酸タムスロシンを含有する製剤は、用法上食後投与という制限が設定されている。しかしながら、現在のビジネスパーソンまたは高齢者の生活パターン、QOL(Quality of Life)、服薬コンプライアンスに鑑み、用法上食事摂取の制限がない(食事の有無によりバイオアベイラビリティが変化しない)製剤の開発が要望されている。
国際公開第00/00187号パンフレット 国際公開第01/10436号パンフレット 特公平7-72129号公報 国際公開第94/27582号パンフレット
したがって、現在医療の現場に提供されている塩酸タムスロシンを含有してなる経口徐放性製剤に比し、有効性は同等以上であり、かつ副作用(例えば起立性低血圧等)等の有害事象を減少させる、さらに、用量を増加することができ、所望により食事摂取の制限がない徐放性医薬組成物並びにα受容体遮断作用に基づく治療または予防に伴う副作用を軽減する塩酸タムスロシンの投与方法の開発は、今なお要望されている。
上記状況に鑑み、本発明者らは、まず、出願人会社によって創製された新規なハイドロゲル徐放性製剤を用い種々鋭意検討の結果、特定の薬物溶出試験条件下において、特定の薬物放出プロファイルを示す製剤が、有効性については現行製剤に比し同等以上であり、かつ副作用については現行製剤に比し減少させることができることを知見した。本発明者らは、同様の溶出試験条件下、ほぼ同様の薬物溶出プロファイルを示す徐放性製剤であれば、in vitro 及び in vivo の相関性理論に基づき、他の製剤技術に基づく製剤であっても、現行製剤に比し有効性が同等以上であり、有害事象の発生を減少させることが期待できるとの考えに基づき、前記ハイドロゲル形成性製剤と同様の溶出プロファイルを示す製剤を製造することにより、本願発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
1. タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を含有し、日本薬局方溶出試験法第二法(パドル法:200rpm)により試験を行うとき、溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20〜約85%であることを特徴とする徐放性医薬組成物、
2. 溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20〜約75%であることを特徴とする上記1記載の徐放性医薬組成物
3. 溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約25〜約65%であることを特徴とする上記1または2記載の徐放性医薬組成物
4. 溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5〜約45%であることを特徴とする、上記1〜3のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
5. 溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5〜約40%であることを特徴とする、上記1〜4のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
6. 溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5〜約35%であることを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
7. 溶出開始12時間後のタムスロシン溶出率が約40%以上であることを特徴とする上記1〜6のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
8. 溶出開始12時間後のタムスロシン溶出率が約50%以上であることを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
9. 溶出開始後、製剤から含有量の50%のタムスロシンが放出する時間(T50)が約3時間以上約15時間以下であることを特徴とする上記1〜8のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
10. T50が約4時間以上約12時間以下であることを特徴とする上記1〜9のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
11. 有害事象プロファイルがプラセボと比較して有意に異ならない上記1〜10のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
12. 食事摂取前、または食事摂取後に服用するとき、血漿中タムスロシン濃度推移から得られた薬動力学的パラメーターが有意に異ならない上記1〜11のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
13. 徐放性ハイドロゲル形成性製剤である上記1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
14. 浸透圧ポンプ型製剤である上記1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
15. 複数のガムを組合せたゲル製剤である上記1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
16. 幾何学的に配置した薬物核及び放出制御層からなる多層錠製剤である上記1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
17. 膨潤性高分子を用いた胃内滞留製剤である上記1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
18. 水溶性高分子を用いたマトリックス製剤である上記1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物、
を提供する。
用語『Cmax』とは、単位製剤を生体内に投与した後に得られる最高血漿中薬物濃度を意味する。
用語『AUC』とは、単位製剤を生体内に投与した後に得られる血漿中薬物濃度-時間プロファイルの曲線下面積を意味する。
用語『持続放出』とは、約6〜8時間、またはそれ以上の12時間以上に亘って、血漿中におけるタムスロシンの濃度がα受容体遮断作用に基づく疾病の治療または予防上有効な範囲になるよう、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を持続的に放出することを意味する。
用語『定常状態』とは、タムスロシンの血漿中濃度(レベル)が、タムスロシンについて、疾病の治療または予防上、有効濃度とされる最小またはそれ以上の濃度(レベル)であり、かつ最小の血漿中毒性濃度(レベル)より低い濃度(レベル)に到達し、そしてこの濃度(レベル)が維持されることを意味する。
用語『用法』とは、α受容体遮断作用に基づくある疾病の治療または予防のため、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を含有してなる徐放性医薬組成物の患者への使用方法を意味する。例えば、『食後服用』とは、食事摂取後、約30分に服用することを意味する。また、『食事摂取の制限がない』とは、例えば食事摂取の有無に拘わらず、バイオアベイラビリティーに変化のない、食事の影響を受けない製剤を服用する場合、食後服用(食事摂取後、約30分)あるいは食前服用(食事摂取前約30分)等のように、製剤の服用に制限がないことを意味する。さらにまた、『絶食下服用』とは、少なくとも8時間食事を摂取することなく服用することを意味する。
用語『生物学的に同等』とは、AUCとCmaxについて対照製剤に対する試験製剤の平均値の比の90%信頼区間が80〜125%の範囲に含まれることを意味する。
用語『副作用』とは、α受容体遮断作用に基づく疾病の治療または予防のために用いられるタムスロシン本来の効果とは異なる作用を意味する。
用語『バイオアベイラビリティ』とは、未変化体または活性代謝物が体循環血中に入る速度と量を意味する。
用語『生物学的に同等な製剤』とは、バイオアベイラビリティが同等である製剤を意味する。
用語『治療学的に同等な製剤』とは、治療効果が同等である製剤を意味する。
用語『有意に異ならない』とは、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を含有してなる徐放性製剤の使用において、比較対象間において食事の影響、有害事象の発現等を評価するとき、統計学的に有意な差がないか、臨床上の使用で制限されるような違いがないことを意味する。
本発明の徐放性医薬組成物は、現在医療の現場に提供されている塩酸タムスロシンを含有してなる経口徐放性製剤に比し、有効性は同等以上であり、かつ副作用(例えば起立性低血圧等)等の有害事象を減少させる。さらに、用量を増加することができ、食事摂取の制限がないという優れた効果を有するものである。したがって、本発明の徐放性医薬組成物は、塩酸タムスロシン含有経口徐放性製剤として有用性の高いものである。
本発明の、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩の経口徐放性医薬組成物について、以下詳細に説明する。
本発明の医薬組成物は、特定の溶出試験条件下において、特定の溶出プロファイルを有する点を特徴とする。かかる特徴点を採用することにより、本発明の徐放性医薬組成物は、血漿中におけるタムスロシンの濃度がα受容体遮断作用に基づく疾病の治療または予防上有効な範囲になるよう、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を持続的に放出し、その結果、有害事象の発生を減少させることができる等、有利な効果を奏する。
タムスロシンは、(R)(−)−5−[2−[[2−(o−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミドと称し、以下の構造式で表される。
Figure 2005162736
タムスロシン又はその塩はα受容体遮断作用を有することが知られており、とりわけその塩酸塩(塩酸タムスロシン)は尿道及び前立腺部のα受容体遮断作用を有し、尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させて前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する薬剤として汎用されている。また、塩酸タムスロシンは、下部尿路症の治療に有効であることが臨床において確認されているなど、臨床学的に極めて有用な薬物である。
該化合物は、その製薬学的に許容される塩と共に、特開昭56-110665号において最初に開示された。タムスロシンは広範囲の無機及び有機の酸あるいは塩基との製薬学的に許容しうる酸及び塩基付加塩を形成しうる。このような塩も、本発明の一部をなす。例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸との塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩等が挙げられる。本発明において最も好ましくは、塩酸塩である。これらの塩は常法により製造できる。
タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩の投与量としては、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、薬理学的に特定の疾病の治療または予防に有効な量であれば特に制限されない。かかる投与量は、通常α受容体遮断作用に基づく疾病の治療または予防上有効な量であるが、例えば、0.1〜2mgであり、好ましくは0.1〜1.5mgであり、さらに好ましくは0.1〜1.2mgであり、さらにより好ましくは0.4〜0.8mgである。例えば、前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤として用いられる場合、その用量は、日本では0.1mg〜0.2mg/日であり、欧米では0.4mg〜0.8mg/日である。また、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩が排尿障害改善剤以外の適応症として用いられる場合、0.8mgを超える投与量、例えば約2mg迄の用量も考えられている。
本発明に用いられるタムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩は、特開昭56−110665号公報及び特開昭62−114952号公報に記載された製法により、或いはそれに準じて容易に入手可能である。また、前記公報の他、国際公開第2002/68382号パンフレット、韓国公開特許第2002-85278号公報、国際公開第2003/35608号パンフレット、国際公開第2003/37850号パンフレット、または国際公開第2003/37851号公報パンフレットに記載された製法によっても、入手可能である。
本発明において規定される、タムスロシンおよびその製薬学的に許容される塩の溶出プロファイルは、初期の溶出を抑制し、かつ長時間にわたり持続した薬物放出を示すプロファイルであれば特に制限されないが、好ましくは、以下の時間−溶出率(%)が採用される。:
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20%〜約85%である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20%〜約75%である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約25%〜約65%である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5%〜約45%である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5%〜約40%である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5%〜約35%である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始12時間後のタムスロシン溶出率が約40%以上である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始12時間後のタムスロシン溶出率が約50%以上である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始後50%薬物放出時間(T50)が約3時間以上約15時間以下である
・ 日本薬局方溶出試験法第二法(200rpm)で試験を行うとき、溶出開始後50%薬物放出時間(T50)が約4時間以上約12時間以下である
上記の内容は、単独もしくは一または二以上選択され、組合わせて規定される(好適には7時間の群、3時間の群、および12時間の群から一または二以上、さらに好適には各時間群からそれぞれ一つ選択される)。
上記の溶出率より速い速度でタムスロシンを溶出する場合、起立性低血圧等の副作用の発現が懸念される。一方、上記の溶出率より遅い速度でタムスロシンを溶出する場合には、1日1回型の前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤等の治療に有効な十分な血漿中濃度が得られないことが懸念される。
なお、現在医療の現場に提供されている塩酸タムスロシン製剤に関しては、タムスロシンの溶出は、日本薬局方溶出試験法第二法(100rpm)に従い溶出試験を行うとき、pH1.2の試験液では、タムスロシン溶出率は2時間後に25%以下(好ましくは15%以下)であり、その後pH7.2の試験液では、タムスロシン溶出率は溶出開始5時間後に70%以上を示す溶出プロファイルを有する製剤である。
様々な因子が薬物の溶出性や吸収性の両方に影響を及ぼすにもかかわらず、多くの場合、製剤からのin vitro薬物溶出時間とバイオアベイラビリティとの間に相関関係が成立する。この相関関係の成立は多くの特許や論文中において報告されており、製剤からの薬物溶出プロファイルは一般的に、特殊製剤に含まれる多くの種類の薬物について、そのバイオアベイラビリティを説明するものとして用いられる。すなわち、各種製剤の薬物溶出時間は、特殊製剤の薬物放出性をin vivoにおいて評価すべきか否かを判断する際に考慮すべき重要かつ基本的な特性の一つである。徐放性製剤は、通常製剤に比べて1回投与量が多く、しかも特殊な放出制御機序に基づき徐放性が達成されている。すなわち、薬物放出機構が空腹時(食事摂取前)および食後(食事摂取後)において、製剤間で同等に機能していることは、生物学的同等性を考慮する上で、極めて重要な因子である。
溶出試験は、製剤間の放出制御機構の同等性(類似性)を評価したり、あるいは生物学的同等性を評価するための補強データとして用いられている。両目的ともに、極端な条件における製剤の溶出挙動が同じ程度であれば、生体に投与した際の個体内及び個体間変動の範囲内において両製剤の性能は同程度であることがある程度推定できる、と考えられている。
本発明において規定される最高血漿中濃度(Cmax)は、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を経口投与したときのタムスロシンの最高血漿中濃度を意味し、塩酸タムスロシン0.4 mgを初回経口投与した場合、該数値は約20ng/mL以下である。塩酸タムスロシン0.4mgを連日経口投与した場合、好ましくは約20ng/mL以下であり、さらに好ましくは約16ng/mLであり、さらにより好ましくは約12ng/mLである。また、塩酸タムスロシン0.8mgを連日経口投与した場合、好ましくは約40ng/mL以下であり、さらに好ましくは約32ng/mLであり、さらにより好ましくは約24ng/mLである。さらに、塩酸タムスロシン1.2mgを連日経口投与した場合、好ましくは約60ng/mL以下であり、さらに好ましくは約48ng/mLであり、さらにより好ましくは約36ng/mLである。
なお、現行のタムスロシン製剤は、0.4mgを食事摂取後経口投与した場合、最高血漿中濃度は約10ng/mLであり、食事摂取前経口投与では最高血漿中濃度は約17 ng/mLである。タムスロシンによる起立性低血圧等の発現には、最高血漿中濃度や血漿中濃度が上昇する速度が関与していると考えられている。この点についても製剤からの薬物放出のさらなる徐放化は有用である。
上記説明のように、血漿中タムスロシン濃度の範囲としては、タムスロシンおよびその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を含有してなる医薬組成物を経口投与するとき、有効成分のタムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩が薬理学的に疾病の治療または予防に有効な血漿中タムスロシン濃度を維持している範囲であれば特に制限されない。
本発明において、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩とともに、経口投与される製剤に含有される徐放性医薬組成物用担体としては、タムスロシンを疾病の治療または予防に有効な濃度を維持することのできる担体または製剤処方、あるいは製剤技術であれば特に制限されない。かかる組成・成分を構成する担体(または製剤処方、あるいは製剤技術)としては、例えば、(A) 消化管上部の胃および小腸滞留中に製剤がほぼ完全にゲル化し、消化管下部の結腸においても薬物の放出能を有する徐放性ハイドロゲル形成性製剤、(B) 浸透圧ポンプ型製剤、(C) 複数のガムを組合せたゲル製剤、(D) 幾何学的に配置した薬物核及び放出制御層からなる多層錠製剤、(E) 膨潤性高分子を用いた胃内滞留製剤、(F) 水溶性高分子を用いたマトリックス製剤等が挙げられる。かかる製剤技術に関連する組成または製剤技術は、すべて本願発明に取り込まれる。
(A)徐放性ハイドロゲル形成性製剤
用いられる徐放性医薬組成物用担体としては、製剤内部まで水を浸入させるための添加剤(ゲル化剤、ゲル化促進剤、親水性基剤とも云うが、本願明細書において以下『親水性基剤』と略記する)とハイドロゲルを形成する高分子物質(ハイドロゲル形成高分子物質)とからなる。
『親水性基剤』としては、該医薬組成物に用いられるハイドロゲルを形成する高分子物質がゲル化するより前に溶解し得るものであれば特に制限されない。かかる親水性基剤は、好ましくは該基剤1gが溶解するために必要な水の量が5ml以下(20±5℃)のものであり、さらに好ましくは同4ml以下(同温度)のものであり、水への溶解性が高い程、製剤中に水を浸入させる効果が高い。このような親水性基剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG:例えば、商品名PEG400、PEG1500、PEG4000、PEG6000、PEG20000(日本油脂社製))、ポリビニルピロリドン(PVP:例えば、商品名PVP K30 BASF社製)のような水溶性の高い高分子や、D−ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール類、白糖、無水マルトース、D−フルクトース、デキストラン(例えばデキストラン40)、ブドウ糖等の糖類、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(HCO:例えばCremophor RH40 (BASF社製)、HCO-40、HCO-60(日光ケミカルズ社製))、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(例えばプルロニックF68(旭電化社製)等)またはポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル(Tween:例えばTween80(関東化学社製))等の界面活性剤や塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の塩類あるいはクエン酸、酒石酸等の有機酸、グリシン、β−アラニン、塩酸リジン等のアミノ酸類、メグルミン等のアミノ糖類である。特に好ましいものとしては、PEG6000、PVP、D-ソルビトール等が挙げられる。該医薬組成物の親水性基剤は、1種または2種以上組合せて用いることもできる。
親水性基剤の配合割合としては、薬物の特性(溶解性、治療効果等)並びにその含有量、親水性基剤の溶解性、ハイドロゲルを形成する高分子の特性、あるいは、投与時の患者の状態等種々の因子により左右されるが、製剤が消化管上部に滞留する間にほぼ完全にゲル化ができる程度の割合が好ましい。製剤が消化管上部に滞留する時間は、種によって異なり、又個体差もあるが、イヌでは投与後約2時間、ヒトでは、投与後約4〜5時間である(Br.J.Clin.Pharmac.,(1988)26,435-443)。ヒトの場合であれば投与後4〜5時間で製剤がはぼ完全にゲル化ができる程度の割合が好ましい。一般的には、製剤全体に対して、5〜80 W/W%、好ましくは5〜60 W/W%程度である。親水性基剤の含量は、その含量が少いとゲル化が内部にまで進まず、結腸での放出が十分ではない。一方、含量が多すぎると短時間でゲル化が進むが、ゲルが崩れやすく、薬物の溶出が早まり、十分な徐放化が達成できない恐れがあり、又、基剤の量も多くなることから製剤自体が大型化する等の欠点を夫々有する。
用いられるハイドロゲル形成高分子物質としては、該製剤がほぼ完全にゲル化された状態で、食物消化に伴う消化管の収縮運動に耐え、ある程度の形状を保ったまま消化管下部の結腸に移行し得る程度の、ゲル化時の粘度等の性状を有することが必要である。
用いられるハイドロゲル形成高分子物質としては、ゲル化時の粘度が高いものが好ましい。例えば、1%水溶液(25℃)の粘度が1000cps以上を有するものが特に好ましい。また、高分子物質の性状はその分子量(重量平均分子量)に依存し、該製剤に適用可能なハイドロゲルを形成する高分子物質としてはより高分子量のものが好ましく、平均分子量200万以上更に好ましくは平均分子量400万以上のものが挙げられる。このような高分子物質としては、例えば分子量200万以上のポリエチレンオキサイド(PEO)(例えば、商品名Polyox WSR-303(平均分子量:700万、粘度:7500-10000cps(1%水溶液25℃))、Polyox WSR Coagulant(平均分子量500万、粘度:5500-7500cps(同))、Polyox WSR-301(平均分子量:400万、粘度:1650-5500cps(同))、Polyox WSR-N-60K(平均分子量:200万、粘度:2000-4000cps(2%水溶液25℃))いずれもユニオンカーバイド社製)、ハイドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば商品名メトローズ90SH100000(粘度:4100-5600cps(1%水溶液20℃))、メトローズ90SH50000(粘度:2900-3900cps(同))、メトローズ90SH30000(粘度:25000-35000cps(2%水溶液20℃))いずれも信越化学社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)(例えば、商品名サンローズF-150MC(平均分子量:20万、粘度1200-1800cps(1%水溶液25℃))、サンローズF-1000MC(平均分子量:42万、粘度8000-12000cps(同))、サンローズF-300MC(平均分子量:30万、粘度2500-3000cps(同))日本製紙社製)、ハイドロキシエチルセルロース(HEC)(例えば、商品名 HECダイセルSE850(平均分子量:148万、粘度2400-3000CPS(1%水溶液25℃))、HECダイセルSE900(平均分子量:156万、粘度4000-5000cps(同))ダイセル化学工業社製)、もしくはカルボキシビニルポリマー(例えばカーボポール940(平均分子量約250万)B.F.Goodrich Chemical社製)等が挙げられる。好ましくは平均分子量200万以上のPEOである。長期間、例えば12時間以上の放出の持続を必要とする場合にはより高分子、好ましくは平均分子量400万以上もしくはより粘度の高い、好ましくは1%水溶液25℃の粘度が3000cps以上である高分子が好適なものとして挙げられる。これらのハイドロゲルを形成する高分子物質は、一種もしくは二種以上を混合して用いることができる。又、二種以上の高分子物質からなり、全体として上記に適する性状を有する混合物も該ハイドロゲルを形成する高分子物質として好適に用いることができる。
ヒトにおいて、結腸における薬物の放出能を有するためには、投与後少なくとも6〜8時間経過時、更に好ましくは12時間以上経過時において結腸中にゲル化された製剤の一部が残存していることが必要である。このような性状を有するハイドロゲル製剤を形成するには、製剤の大きさ、高分子物質の種類、薬物および錠剤中に水を浸入させるための添加剤の性質、含有量等によっても異なるが、一般的には一錠600mg以下の製剤において、ハイドロゲルを形成する高分子物質を製剤全体に対する配合割合としては10〜95 W/W%、好ましくは15〜90 W/W%、又、製剤一錠当りの配合量としては、一錠中に70mg以上、好ましくは100mg以上含有することが好ましい。これより少ない量では長期間に亘る消化管内での浸蝕に耐えられず、十分な徐放化が達成されない可能性がある。
なお、ハイドロゲルを形成する高分子物質としてポリエチレンオキサイドが用いられる場合、経時的に薬物の放出特性を変化させない量の黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄を添加する。
黄色三二酸化鉄または赤色三二酸化鉄は、単独もしくは混合して用いることができる。
用いられる黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄の配合割合としては、通常マトリックス型放出制御製剤を安定化させ、薬物の放出特性を変化させない量であれば特に制限されない。かかる割合としては、好ましくは製剤全量に対し1〜20 W/W%であり、さらに好ましくは3〜15 W/W%である。黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄の『マトリックス中での物理混合』では、製剤全量に対し1〜20 W/W%が好ましく、3〜15 W/W%がさらに好ましい。例えば、赤色三二酸化鉄では製剤全量に対し5〜20 W/W%が好ましく、10〜15 W/W%がさらに好ましい。黄色三二酸化鉄では1〜20 W/W%が好ましく、3〜10 W/W%がさらに好ましい。黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄が『フィルムコート』により配合される場合、錠剤重量に対し0.3〜2 %が好ましく、0.5〜1.5 %がさらに好ましい。またこのとき、黄色三二酸化鉄あるいは赤色三二酸化鉄がフィルム中に存する濃度としては5〜50 %が好ましく、10〜20 %がさらに好ましい。
ここでいう『マトリックス中での物理混合』とは、例えば薬物、ポリエチレンオキサイドおよび前記三二酸化鉄を均一に分散し、放出制御製剤の主たる基剤となるPEO中に薬物および前記三二酸化鉄が均一に分散される手段を意味する。また『フィルムコート』とは、例えば前記三二酸化鉄をヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子溶液に溶解あるいは懸濁し、別途調製した錠剤に薄膜で被覆することを意味する。該黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄は、通常製剤中どこに存在してもよい。例えば、フィルムコート等のフィルム中、造粒等の造粒物中、あるいはマトリックス中(例えば、ポリエチレンオキサイドの近傍)等が挙げられる。
かかる徐放性医薬組成物製剤の製造法としては、通常のハイドロゲル形成性製剤を製造でき得る方法であれば、特に制限されない。例えば、薬物、親水性基剤、およびハイドロゲル形成高分子物質、更に必要により黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄等の添加剤を加え混合し、圧縮成形する打錠法、カプセル圧縮充填法、あるいは、混合物を融解後固化して成形する押出し成形法、射出成形法等が挙げられる。又、成形後通常の糖衣、フィルムコーティング等のコーティング処理を施すこともできる。あるいは成形後カプセルに充填してもよい。
(B)浸透圧ポンプ型製剤:
浸透圧ポンプ型製剤は、液体の自由拡散は許容するが、薬物や浸透圧剤の自由拡散は許容しない半透膜を通して、製剤中へ液体を浸入させるための駆動力を発生させるために、浸透圧を利用する製剤である。したがって、浸透圧システムの作用は、pHに依存せず、該製剤が胃腸管を通過し、異なるpH値を有する環境においても長時間に亘り一定の速度で薬物を持続的に放出することができる点に特徴を有する。
本製剤については、サンテュス(Santus)とベーカー(Baker)執筆の「オスモチック・ドラッグ・デリバリ:ア・レビュー・オブ・ザ・パテント・リタラチャー(Osmotic drug delivery:a review of the patent literature)」、ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled Release)、35、p.1−21、(1995)に報告されている。また、本製剤については、米国特許第3,845,770号明細書、米国特許第3,916,899号明細書、米国特許第3,995,631号明細書、米国特許第4,008,719号明細書、米国特許第4,111,202号明細書、米国特許第4,160,020号明細書、米国特許第4,327,725号明細書、米国特許第4,519,801号明細書、米国特許第4,578,075号明細書、米国特許第4,681,583号明細書、米国特許第5,019,397号明細書および米国特許第5,156,850号明細書に記載されており、本明細書には、当該明細書に記載された内容の全てが取り込まれる。
浸透圧ポンプ型製剤は、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩(好適には塩酸塩)を含有する薬物層と、プッシュ層とからなる二層錠型圧縮コアに、水や外部液体は透過するが、薬物、浸透圧剤、あるいはオスモポリマーなどは透過しない半透膜をコーティングしてなる製剤である。半透膜には製剤内部と外部環境とを接続させるための少なくとも一つの薬物送達口(drug delivery orifice)を設けている。したがって、浸透圧ポンプ型製剤は、経口的に摂取された後、水などの液体が半透膜を透過し製剤内部へ浸透し、発生する浸透圧作用により、タムスロシンが薬物送達口を通して、長時間に亘り一定の速
度で持続的に放出されるという機構を有している。
薬物層は、製薬学的に許容される添加物との混合物の状態でタムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩(好ましくは塩酸塩)を含んでいる。
プッシュ層は後で詳細に説明するとおり、浸透圧活性成分(osmotic active component)(単数または複数)を含むが、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を含まない。プッシュ層中の浸透圧活性成分(単数または複数)は代表的には浸透圧剤および一つまたはそれ以上のオスモポリマー(osmopolymer)から構成される。ここで「オスモポリマー」とは、薬物送達口を通してタムスロシンを放出するために、液体吸収時に膨潤を示す比較的大きい分子量を有するポリマーを意味する。
用いられる半透膜としては、水や生体液のような外部液体の透過性は高いが、タムスロシン、浸透圧剤、オスモポリマーなどの透過性は実質的に不透過性であるものであれば特に制限されない。なお、かかる半透膜は、本質的に非浸食性(nonerodible)であり、そして生体内においては不溶性である。
半透膜を形成するために用いられる高分子としては、半透性単独重合体、半透性共重合体などが挙げられる。かかる重合体の材料は、セルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテル等のセルロース系高分子が用いられる。セルロース系高分子は、アンヒドログルコース単位の置換度(degree of substitution)(DS)が0より大きく3以下のものが用いられる。置換度(DS)は、置換基によって置換されている又は他の基に転化されているアンヒドログルコース単位上に元は存在したヒドロキシル基の平均数を意味する。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカルボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマー形成基などのような基(ここで、有機成分は1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を含有する)で部分的に又は完全に置換されていることができる。
半透性組成物は代表的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ−、ジ−およびトリ−セルロースアルカニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アルケニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アロイレートなどからなる群から一種または二種以上選択された成分が用いられる。代表的なポリマーとしては、1.8〜2.3のDSと32〜39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート、1〜2のDSと21〜35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート、2〜3のDSと34〜44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテートなどが挙げられる。さらに具体的なセルロース系ポリマーとしては、1.8のDSと38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート、1.5〜7%のアセチル含量と39〜42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート、2.5〜3%のアセチル含量、39.2〜45%の平均プロピオニル含量、および2.8〜5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート、1.8のDS、13〜15%のアセチル含量、および34〜39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート、2〜29%のアセチル含量、17〜53%のブチリル含量、および0.5〜4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート、2.6〜3のDSを有するセルローストリアシレート、例えば、セルローストリバレレート、セルローストリラメート(cellulose trilamate)、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネート、2.2〜2.6のDSを有するセルロースジエステル、例えば、セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなど、あるいは混合セルロースエステル、例えば、セルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどが挙げられる。半透性ポリマーについては、米国特許第4,077,407号に記載されており、また該ポリマーはエンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Encyclopedia of Polymer Science and Technology)第3巻、第325〜354頁(1964年)、インターサイエンス・パブリッシャーズ社(Interscience Publishers Inc.)、ニューヨーク、NY州、に記載の方法により合成し、入手することができる。用いられるポリマーの配合割合としては、水や生体液のような外部液体透過性は高いが、タムスロシン、浸透圧剤、オスモポリマーなどの透過性は実質的に不透過性とできる量であれば特に制限されないが、好ましくは薬物層およびプッシュ層からなる二層圧縮コアの重量に対して、6〜20W/W%であり、さらに好ましくは8〜18W/W%である。
半透膜を形成するための半透性ポリマーとしては、さらに、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースジメチルアミノアセテート、半透性ポリウレタン、半透性スルホン化ポリスチレン、あるいは米国特許第3,173,876号明細書、米国特許第3,276,586号明細書、米国特許第3,541,005号明細書、米国特許第3,541,006号明細書および米国特許第3,546,142号明細書に開示されている、アニオンとカチオンとから共沈により形成され、架橋された選択的半透性ポリマー、米国特許第3,133,132号明細書に開示されている、半透性ポリマー、半透性ポリスチレン誘導体、半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)、および半透壁を透過した際の大気当たりの静水圧差または浸透圧差として表わされ、10-5〜10-2(cc ml/cm hr atm)の液透過度を示す半透性ポリマーが含まれる。これらポリマーは、米国特許第3,845,770号明細書、米国特許第3,916,899号明細書および米国特許第4,160,020号明細書に記載されており、またハンドブック・オブ・コモン・ポリマーズ(Handbook of Common Polymers)、スコット(Scott)とロフ(Roff)、1971年、CRCプレス、クリーブランド、OH州、に報告されている。
半透膜にはフラックス調整剤(flux−regulating agent)が含まれていてもよい。ここで「フラックス調整剤」とは、半透膜を通る液体透過度または液量を調整するのを助けるために添加される物質を意味する。すなわち「フラックス調整剤」には、フラックスを向上させる作用を有する物質(以下、フラックス向上剤という)またはフラックスを低下させる作用を有する物質(以下、フラックス低下剤という)が含まれる。フラックス向上剤は、本質的に親水性であり、フラックス低下剤は、本質的に疎水性である。かかるフラックス調整剤としては、例えば多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどが挙げられる。代表的なフラックス向上剤としては、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000など;低分子量グリコール、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびポリアミレングリコール;ポリアルキレンジオール、例えば、ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)など;脂肪酸、例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなど;アルキレントリオール、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなど;エステル、例えば、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステルなど;を包含する。好ましいフラックス向上剤としては、プルロニック類(Pluronic(商標名))(BASF社製)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロック共重合体ポリオキシアルキレンまたはその誘導体が含まれる。代表的なフラックス低下剤としては、アルキルまたはアルコキシで置換された又はアルキルとアルコキシ基の両方で置換されたフタレート、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、および[ジ(2−エチルヘキシル)フタレート]、アリールフタレート、例えば、トリフェニルフタレート、およびブチルベンジルフタレート;不溶性塩、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム、など;不溶性酸化物、例えば、酸化チタン;粉体、粒体などの形態のポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、およびポリスルホン;エステル、例えば、長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステル;不活性でかつ水不透過性の充填剤;セルロース系半透膜形成材料と適合性の樹脂、など;を包含する。
半透膜に含まれる「フラックス調整剤」の配合量としては、約0.01〜約20W/W%またはそれ以上である。
半透膜の中には、半透膜に可塑性、柔軟性および伸び性質を付与するため、半透膜を脆くないものにするため、あるいは引裂強さを付与するために、フタレート系可塑剤、例えば、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、炭素数6〜11の直鎖フタレート、ジ−イソノニルフタレート、ジ−イソデシルフタレートなどが含まれていてもよい。かかる可塑剤としては、非フタレート、例えば、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タレート(epoxidized tallate)、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、スクロースアセテートイソブチレート、エポキシ化大豆油などが挙げられる。
半透膜に含まれる可塑剤の配合量としては、約0.01〜20 W/W%またはそれ以上である。
用いられるプッシュ層は、薬物層との接触積層配置の状態にある。プッシュ層には、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を、製剤の出口を通して押出すために、水性液体または生体液を吸収して膨潤するオスモポリマーが含まれる。ここで「オスモポリマー」とは、水または水性の生物学的液体と相互作用して高度に膨潤または膨張する作用を有するポリマーを意味する。かかるオスモポリマーとしては、好ましくは膨張可能であり、2〜50倍の体積増加を示す親水性ポリマーである。オスモポリマーは架橋されていても、架橋されていなくてもよいが、好ましい態様において、製剤から出るには大きすぎるほどに拡大されたポリマー網目構造を生じるように、少なくとも軽く架橋されているものが好適である。用いられる「オスモポリマー」の配合量としては、薬物層中の薬物の特性,含有量等の因子により左右されるが,膨潤することにより薬物層の薬物を所望の溶出速度で溶出することができる量であれば特に限定されないが、好ましくは30mg以上であり、さらに好ましくは50mg以上含有することが好ましい。配合割合はプッシュ層の重量に対し40〜80W/W%である。
用いられる「オスモポリマー」としては、ポリエチレンオキサイドによって代表される数平均分子量1,000,000〜15,000,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキサイド)、または数平均分子量500,000〜3,500,000のポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここで、アルカリはナトリウム、カリウムまたはリチウムである)から選択された成分が含まれる。さらに、例えば、ハイドロゲルを形成するポリマーを含むオスモポリマー、例えば、カーボポール(Carbopol)(登録商標)、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとして知られているポリアリルスクロースで架橋されたアクリルポリマー、分
子量250,000〜4,000,000のカルボキシビニルポリマー;シアナマー(Cyanamer)(登録商標)ポリアクリルアミド;架橋された水膨潤性無水インデンマレイン酸ポリマー;分子量80,000〜200,000のグッドライト(Good−rite)(登録商標)ポリアクリル酸;アクアキープス(Aqua−Keeps)(登録商標)、ジエステル架橋ポリグルカンのような縮合グルコース単位から成るアクリレートポリマーポリサッカライド;などが挙げられる。ハイドロゲルを形成するポリマーとしては、米国特許第3,865,108号明細書、米国特許第4,002,173号明細書、米国特許第4,207,893号明細書に記載されており、また、ハンドブック・オブ・コモン・ポリマーズ、スコットとロフ、ケミカル・ラバー社(Chemical Rubber Co.)、クリーブランド、OH州、に報告されている。
用いられる浸透圧剤(osmagent)(他に浸透圧溶質(osmotic solute)、浸透有効剤(osmotically effective agent)ともいう)としては、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬物層とプッシュ層の両方の層中に含まれていてもよく、半透膜を介して浸透圧勾配を示すものであれば特に制限されない。かかる浸透圧剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、酸性燐酸カリウム、マンニトール、グルコース、ラクトース、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物からなる群から選択された一種または二種以上の成分が挙げられる。用いられる浸透圧剤の配合量は、プッシュ層重量に対して15〜40W/W%である。
該製剤構成要素を製造するために適する溶媒としては、システムの中に使用される物質に有害な影響を与えない水性または不活性有機溶媒が挙げられる。溶媒は広くは、水性溶剤、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、脂環式、芳香族、複素環式溶媒およびそれらの混合物からなる群から選ばれた成分を包含する。代表的な溶媒としては、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、四塩化炭素ニトロエタン、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの無機塩を含有する水性溶剤、およびそれらの混合物たとえばアセトンと水、アセトンとメタノール、アセトンとエチルアルコール、二塩化メチレンとメタノール、および二塩化エチレンとメタノール、を包含する。
用いられる薬物層としては、薬理学的に治療又は予防に有効な量のタムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体からなる医薬組成物から構成される。かかる徐放性医薬組成物用担体としては、親水性ポリマーを含んでいてもよい。かかる親水性ポリマーとは、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩を、一定の放出速度で放出する作用を提供する。かかるポリマーとしては、数平均分子量100,000〜750,000のポリ(アルキレンオキサイド)、例えば、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(メチレンオキサイド)、ポリ(ブチレンオキサイド)およびポリ(ヘキシレンオキサイド);数平均分子量40,000〜400,000のポリ(カルボキシメチルセルロース)、代表的には、ポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)、ポリ(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリ(カリウムカルボキシメチルセルロース)、あるいはポリ(リチウムカルボキシメチルセルロース)が挙げられる。薬物組成物は、製剤の送達特性を向上させるために、数平均分子量9,200〜125,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース、代表的には、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロース;および製剤の流動性(flow properties)を向上させるために、数平均分子量7,000〜75,000のポリ(ビニルピロリドン)を含むことができる。かかるポリマーの中でも、数平均分子量100,000〜300,000のポリ(エチレンオキサイド)が特に好ましい。用いられる親水性ポリマーの配合割合は、含有する薬物の物理化学的特性、含有量等の因子により左右されるが、薬物層の重量に比し40〜90W/W%である。
所望により、界面活性剤あるいは崩壊剤が薬物層の中に配合されていてもよい。界面活性剤としては、HLB値が約10〜25を示すもの、例えば、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、澱粉、クレー、セルロース、アルギンおよびガムおよび架橋された澱粉、セルロースおよびポリマーから選択されてもよい。代表的には、コーンスターチ、ポテトスターチ、クロスカルメロース(croscarmelose)、クロスポビドン、スターチグリコール酸ナトリウム、ビーガム(Veegum)HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーガムなどが挙げられる。
パンコーティング(pan coating)は、製剤表面に薬物放出のための出口(exit orifice)を設置する工程前の製剤を製造するために使用することができる。パンコーティングシステムにおいては、半透膜を形成する組成物は、回転パンの中で転動する薬物層とプッシュ層とから構成される二層圧縮コアの表面に、半透膜を吹き付けることによって付着(被覆)される。また、当該技術分野における周知慣用の技術により、前記圧縮コアを半透膜で被覆することに使用することができる。半透膜を被覆した後は、半透膜は強制通風炉又は温度・湿度をコントロールした炉において、半透膜を乾燥することにより、被覆の際、使用した溶媒(単数または複数)を製剤から取り除くことができる。ここでの乾燥条件は、入手可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング剤、コーティング厚さなどに基づいて、適宜選択することができる。
該徐放性医薬組成物は、自体公知の方法により製造される。例えば、製剤は湿式造粒技術により製造することもできる。湿式造粒技術については、造粒用溶液として変性無水アルコール等の有機溶媒を使用し、薬物と徐放性医薬組成物用担体をブレンドする。残りの成分については、上記溶媒等、造粒用溶液の一部分の中に溶解することができ、別途調製した湿潤混合物を薬物混合物と混合機内で連続混合を伴い、徐々に添加する。次に、造粒用溶液を湿潤混合物が生成されるまで添加し、その湿塊混合物はオーブントレー上で予め設置されたスクリーンにより篩過される。次に、混合物は強制通風炉内で24℃〜35℃付近の温度で約18〜約24時間乾燥される。次に、その乾燥粒体のサイズを調整する。次に、その薬物粒体に、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を添加し、その粒体を微粉砕ジャーの中に入れ、ジャーミルで約10分間混合する。その組成物を、例えばマネスティ(Manesty)(登録商標)プレス機またはコーシュ(Korsch)LCTプレス機で層状にプレスする。二層コアは、はじめに薬物含有層をプレスし、次に湿式造粒技術により同様に製造したプッシュ層組成物を薬物含有層に対してプレスする。製剤の薬物層端部に、一つまたは二以上の出口を開ける。そして完成製剤を提供するために製剤上に場合によって水溶性オーバーコート(それは着色されてもよい(たとえば、オパドライ(Opadry)着色コーティング)または透明でもよい(たとえば、オパドライクリア))が適用されてもよい。
該徐放性医薬製剤には、少なくとも一つの出口が設けられる。この出口(単数または複数)を通して圧縮コアにより製剤から薬剤が一様に放出される。出口は製剤の製造中に又は使用の液体環境下での製剤による薬物送達中に設けられることができる。用語「出口」、「送達口」または「薬物送達口」、およびここに使用されている他の似た用語は、通路、開口、オリフィス、および内腔(bore)からなる群より選ばれた用語を包含する。また、この表現は、外壁から、浸食したり又は溶解したり又は浸出されたりする物質またはポリマーから形成される口を包含する。この物質またはポリマーは、例えば、半透膜の中の浸食性ポリ(グリコール酸)またはポリ(乳酸);ゼラチン状フィラメント;水除去性ポリ(ビニルアルコール);浸出性化合物、例えば、無機および有機の塩、酸化物または炭水化物からなる群から選ばれた流体除去性の細孔形成物質を包含してもよい。出口(単数または複数)は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、及びマンニトールからなる群から選択された一種または二種以上の成分を浸出させて、薬物を一定に放出制御することができる程度の大きさの細孔の出口を設けることにより形成する。出口は、製剤からの薬物の一定放出のため、円形、矩形、正方形、楕円等、いずれかの形状を有することができる。製剤は、一つまたは二以上の出口をある一定の間隔で、あるいは製剤の一つまたは二以上の表面に有して設置される。出口径は圧縮コアと協働して薬物の放出制御を可能とするならば特に限定されないが,好ましくは0.3 mmから0.6 mmである。出口の形成には、機械的孔あけまたはレーザー孔あけを含めて、半透膜を貫通する孔あけが使用される。かかる出口あるいはかかる出口を形成する装置は、米国特許第3,916,899号明細書にテウエス(Theeuwes)とヒグチにより、あるいは米国特許第4,088,864号明細書にテウエス等によって開示されており、本明細書には、それら特許において記載された内容の全てが取り込まれる。
(C)複数のガムを組合せたゲル製剤
用いられる徐放性医薬組成物用担体としては、ヘテロ多糖ガムおよび環境流体に呈される時に該ヘテロ多糖ガムを架橋させることができるホモ多糖からなる徐放性賦形剤と、例えば単糖、二糖、多価アルコール、またはそれらの混合物から選択される不活性な希釈剤と、薬用量が環境流体に呈される時に少なくとも約24時間にわたり薬品の徐放性を与えるための製剤的に許容可能な水溶性のカチオン性架橋剤とからなる。「環境流体」には、血液や胃腸液のような体液のほかに、例えば試験管内溶解試験用に使用されるような水溶液も含まれる。
米国特許第4,994,276号明細書、米国特許第5,128,143号明細書、および米国特許第5,135,757号明細書に記載されているように、相乗性を示すヘテロ多糖類およびホモ多糖類の組合せ、例えば2種もしくはそれ以上の多糖ガムの組合せからなるヘテロ分散性賦形剤は、いずれかのガム単独よりも高い粘度を有し、かつ迅速な水和を生じ、生成するゲルはより迅速に生成し、より硬くなることが知られている。
用いられる「ヘテロ多糖」は、2種もしくはそれ以上の糖単位を含有する水溶性の多糖として定義される。かかるヘテロ多糖としては、分枝鎖状または螺旋状の立体配置を有し、優れた吸水特性および高い増粘性を有するものであれば特に制限されない。かかるヘテロ多糖としては、キサンタンガムおよびその誘導体、例えば脱アシル化されたキサンタンガム、カルボキシメチルエーテル、およびプロピレングリコールエステルが好ましい。好適には、高分子量(>106)のヘテロ多糖、キサンタンガムである。
用いられる「ホモ多糖類」は、一種類の単糖類からなる単一多糖類として定義される。かかるホモ多糖としては、ヘテロ多糖と架橋を形成し得るものであれば特に制限されない。かかるホモ多糖としては、ガラクトマンナンガム(マンノースおよびガラクトースだけからなる多糖類)が挙げられる。好ましくは、ガラクトースを比較的高い割合でマンノースに置換したイナゴマメが挙げられる。
「ヘテロ多糖」および「ホモ多糖」の組合せとしては、キサンタンガムとイナゴマメガムとの組合せが特に好ましい。「ヘテロ多糖」と「ホモ多糖」との配合割合としては、望ましいゲル強度を増加させるのに有効な量であれば特に制限されない。かかる割合としては、ヘテロ多糖ガム対ガラクトマンナンガムの比が約3:1−約1:3であり、さらに好ましくは約1:1である。
ホモ多糖類は、ガラクトマンナンガムに限定されるものではなく、徐放性賦形剤は、約1 〜約99 W/W%のヘテロ多糖ガムおよび約99 〜約1 W/W%のホモ多糖ガムからなる。ガムの配合割合としては、徐放性医薬組成物全重量に対し約30 〜約60 W/W%であり、好適には約35 〜約50 W/W%である。
タムスロシンまたは製薬学的に許容される塩とガムとの比は、通常約1:1〜約1:5であり、好ましくは、約1:1.5−約1:4である。
用いられる水溶性カチオン性架橋剤としては、製薬学的に許容され、かつ1価または多価の金属カチオンであれば特に制限されない。かかる架橋剤としては、例えば硫酸塩、塩化物、ホウ酸塩、臭化物、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩などの種々のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属などの無機塩が好ましい。さらに具体的には、該架橋剤としては、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、燐酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化カリウム、弗化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウムおよび弗化ナトリウムなどが挙げられる。前述した多価金属カチオンとしては、2価のものが好適である。また、塩は、硫酸カルシウムあるいは塩化ナトリウムが好適である。
水溶性カチオン性架橋剤の配合割合としては、好ましくは徐放性医薬組成物全重量に対し約1 〜約20 W/W%である。最適には、該架橋剤は薬組成物全重量に対し約10 W/W%である。
用いられる不活性希釈剤としては、製薬学的に許容されるものであれば特に制限されない。かかる稀釈剤としては、例えば、一糖、二糖を含む糖、または多価アルコール、セルロース誘導体、および/または前記のものの混合物が挙げられる。具体的には、例えば、スクロース、デキストロース、ラクトース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、それらの混合物などが挙げられる。これらのうち、可溶性の製剤希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、またはそれらの混合物を使用することが好ましい。
前述の徐放性医薬組成物としては、例えば錠剤など製剤学的に許容される経口固体薬用量形態として製造される。かかる徐放性医薬組成物としては、(1) ヘテロ多糖ガムと、環境流体に呈される時に該ヘテロ多糖ガムを架橋させることができるホモ多糖とを製剤学的に許容され得る不活性希釈剤と共に所望の割合で乾燥混合し、(2) これら混合物を湿潤造粒し、(3) 造粒した顆粒を乾燥し、そして (4) 乾燥した顆粒を粉砕して所望する粒子径を有する徐放性賦形剤を得た後、この徐放性賦形剤を (5) タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩と共に造粒し、(6) 生じた顆粒を乾燥し、次に、(7) 不活性賦形剤(例えば、滑沢剤)を加え、該混合物を、次に例えば (8) 錠剤に圧縮成形する。また別の態様では、徐放性賦形剤およびタムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩の混合物をガムを破壊せずにその水和を遅らせるのに十分な量の疎水性物質の溶液と共に造粒する。その後、さらに不活性賦形剤(例えば、滑沢剤)を加え、該混合物を、例えば錠剤に圧縮成形する。
湿潤造粒とは、所定量のヘテロ多糖ガム、ホモ多糖ガム、カチオン性架橋剤および不活希釈剤を均一に混合し、その後、例えば水、プロピレングリコール、グリセロール、アルコールなどの湿潤剤を加えて湿った塊体を製造し、乾燥後、塊体を一般的装置を用いて粉砕することにより、所定粒子径を有する造粒物を調製することである。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムなどが挙げられるが、特にステアリルフマル酸ナトリウム(Edward Mendell Co.,Inc.社、商品名PruvR)が好適である。滑沢剤の量は、徐放性医薬組成物全重量に対し約0.5 〜約3 W/W%が配合される。疎水性物質の徐放性賦形剤中への配合方法としては、例えば、疎水性物質を有機溶媒中に溶解および/または分散させた溶液を用いて、前述の造流物と共にさらに造粒することが挙げられる。
疎水性物質としては、例えばエチルセルロース、アクリルおよび/またはメタクリル酸重合体または共重合体、水素化された植物油、ゼイン、あるいは、例えばアルキルセルロース類など製剤学的に許容され得る疎水性セルロース物質などが挙げられる。かかる疎水性物質の添加量は、徐放性医薬組成物全重量に対し約1 〜約20 W/W%が好ましく、さらに好ましくは約3 〜約12 W/W%であり、さらにより好ましくは約5 〜約10 W/W%である。
各種成分の最適な組合せとしては、「ヘテロ多糖」としてキサンタンガムおよび「ホモ多糖」としてイナゴマメガムを配合比約1:1の割合で徐放性医薬組成物全重量に対して約35 −約50 W/W%配合し、さらに「水溶性カチオン性架橋剤」として硫酸カルシウムを約10 W/W%以下、「不活性稀釈剤」としてデキストロースを約35 W/W%、および「疎水性物質」としてエチルセルロースを約5 −約10 W/W%配合することが挙げられる。
(D)幾何学的に配置された薬物核及び放出制御層からなる多層錠製剤
用いられる徐放性医薬組成物用担体としては、薬物を含有する層及び放出制御層からなり、以下の構成からなる:
a) 層中5〜90 W/W%(好ましくは10〜85 W/W%)の水溶性ポリマーを含有してなる混合物又は粒剤を圧縮することにより製造される、環境流体との接触で膨張する性質を有する第一層(層1)、
b) 第一層に隣接し、圧縮成形性に適した特性を有し、かつ予め決められた時間内に生理活性物質を放出するように設計された、水溶性ポリマーと他の補助物質からなる、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩(好適には塩酸塩)を含有する第二層(層2)、及び
c) 必要に応じて、一般的にゲル化及び/又は膨張し、次いで任意に崩壊する水溶性ポリマーからなり、かつ(層2)からのタムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩(好適には塩酸塩)の放出を制御する機能を有する(層2)に付される第三層(層3)、
からなることを特徴とする、二または三層からなる徐放性医薬組成物(圧縮成形物、例えば錠剤)である。「環境流体」には、血液や胃腸液のような体液のほかに、例えば溶出試験に使用されるような水溶液も含まれる。
上記の徐放性医薬組成物は、米国特許第4,839,177号明細書及び米国特許第5,422,123号明細書に記載されているように、薬物を含有する(層2)を、薬物を含有しないまたは随意に含有した(層1)及び(層3)で挟み込むことにより、医薬製剤からの薬物の放出速度を制御する点に特徴を有する。また、米国特許第5,780,057号明細書及び米国特許第6,149,940号明細書に記載されているように、該徐放性医薬組成物は、体液と接触することにより、(層1)又は(層3)の少なくとも一方が急速に膨張した後、同様に(層2)が膨張、すなわち該医薬組成物の体積が著しく増大することにより、医薬組成物はより長期間胃にとどまり、含有されている活性物質の大部分が、消化管上部で制御された方法により溶出・吸収される機能を有することが知られている。
(層1)及び(層3)は同一の組成物及び同一の機能特性を有していてもよく、またはそれらは異なる組成物及び異なる特性を有していてもよい。(層1)及び(層3)が同一の機能特性と組成物からなるとき、(層2)を挟み込むそれらの量及び厚みを変化させてもよい。(層1)及び(層3)の少なくとも一方は活性物質の溶出のバリアーとして作用し、すなわち(層2)に含有されるタムスロシンまたはその塩(好適には塩酸塩)が溶出または拡散しない不浸透性であり、そして層の少なくとも一方は迅速に膨張、すなわちその体積が速く増大する特徴を有している。(層3)は、随意に薬物を含有し、(層2)とは異なる薬物放出を補助的に付与することもできる。
タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩(好適には塩酸塩)の量は、前述の通りである。
(層1)、(層3)及び(層2)で用いられる水溶性ポリマーは、製薬学的に許容され、かつ生体適合性であれば特に制限されない。かかる水溶性ポリマーは、水性液体中において、徐々に溶解する、及び/又は徐々にゲル化する、及び/又は速やかにもしくは異なった速度でゲル化し、次いで任意に崩壊してもよい。かかる水溶性ポリマーとしては、具体的には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、分子量が1,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量が2,000〜2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー類、キトサン類、マンナン類、ガラクトマンナン類、キサンタン類、カラギーナン類、アミロース、アルギン酸、その塩及びその誘導体、ペクチン、アクリル酸塩類、メタクリル酸塩類、アクリル/メタクリル酸コポリマー類、ポリ酸無水物類、ポリアミノ酸類、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)ポリマー類、ポリビニルアルコール類、グルカン類、スクレログルカン(scleroglucan)類、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体類、エチルセルロース、メチルセルロース、あるいは一般的な水溶性セルロース誘導体などが挙げられる。好ましくは分子量が3,000〜2,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。(層1)及び(層3)の水溶性ポリマーの配合量は、その重量に対し通常5〜90W/W%であり、好ましくは10〜85W/W%であり、さらに好ましくは20〜80W/W%である。(層2)の水溶性ポリマーの配合量は、その重量に対し通常5〜90W/W%であり、好ましくは10〜85W/W%である。
(層1)及び(層3)の製造過程において、上述の水溶性ポリマーを有する医薬製剤の体積を速やかに増大させるために、層の濡れの程度を促進させる水溶性賦形剤を使用することができる。かかる水溶性賦形剤としては、架橋されたポリビニルピロリドン、低分子量あるいは中分子量を有するヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ及びその塩、ならびにジビニルベンゼン/メタクリル酸カリウムコポリマー等、いわゆる極めて速やかに崩壊する賦形剤の群から選択されることが好ましい。
該賦形剤の配合量としては、層の1 〜90 W/W%以下であり、好ましくは5 〜50 W/W%である。
必要に応じて、さらに界面活性剤(アニオン性、カチオン性及び非イオン性界面活性剤)を用いて、濡れの程度を向上させることにより、環境流体と錠剤とをより速やかに馴染みやすくさせ、それにより医薬組成物、特にゲル形成層をより速やかにゲル化させることができる。かかる物質としては、ラウリル硫酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、セトマグルゴール(cetomagrogol)、ポロキサマー(poloxamer)、グリセリンモノステアレート、ポリソルベート、ソルビタンモノラウレート、レシチン又はいずれかの他の製薬学的許容される界面活性剤などが挙げられる。必要に応じて、さらに他の水和を調節する物質を用いることもできる。かかる物質としては、 マンニトール、ラクトース、様々な由来のでんぷん、ソルビトール、キシリトール、微晶質セルロース及び/又は一般に医薬組成物への水または水性液体の浸透を促進する物質のような水溶性希釈剤、または、医薬製剤への水又は水性液体の浸透を遅らせるための、エチルセルロース、グリセリンモノステアレート、パルミテート、硬化または非硬化植物油(例えば、硬化ヒマシ油、ワックス、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド)のような疎水性希釈剤から選択される。好ましくはエチルセルロースまはた硬化植物油を疎水性希釈剤として選択することが望ましい。
(層1)及び(層3)に配合する疎水性希釈剤の量は、その重量に対し通常1〜60W/W%であり、好ましくは5〜40W/W%であり、さらに好ましくは10〜30W/W%である。
該徐放性医薬組成物には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、グリセリンモノステアレート、分子量400〜7,000,000のポリオキシエチレングリコール、硬化ヒマシ油、グリセリンベヘネート、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどの滑沢剤、コロイドシリカ又はいずれかの他のシリカなどの流動化剤、結合剤、緩衝剤、吸収剤、並びに製薬学的許容される他の添加剤を含有してもよい。
該徐放性医薬組成物からなる錠剤は、粉末及び/又は粒剤を自体公知の製造技術を用いて混合し、圧縮成形する等の方法により製造する。二又は三層からなる医薬組成物(例えば錠剤)は、自体公知の錠剤化方法により製造することができる。本発明の錠剤は、例えば「多層」錠剤を製造することができる回転プレスを用いて製造することができる。打錠圧力は、通常7 〜50 KN(又はキロニュートン)である。小さなスケールで錠剤を製造する場合、乳鉢・乳棒を用いてそれぞれの粉末及び/または粒剤を調製し、オイルプレス型打錠機を用いて二又は三層からなる錠剤を製造することもできる。活性物質の含有量により、錠剤の各層の厚みは異なっても良いが、好ましくは0.2 〜8 mm、より好ましくは1 〜 4 mmの範囲である。本発明の医薬組成物(例えば錠剤)は、例えば錠剤を保護することを目的とするか、あるいは、医薬組成物から放出される活性物質の初期放出を遅くすることを目的とするため、ポリマー材料で被覆されたコーティング層をこの医薬組成物に適用してもよい。該コーティングは、錠剤が予め決められた時間後、活性物質を放出するように、酸性溶液中での溶解性を有していたり、あるいは透過性を有するものであってもよい。かかるコーティングは、有機性または水性溶液を用いることにより、自体公知の方法により適用することができる。
該医薬組成物(例えば錠剤)は、胃腸管の胃液及び/又は液体との接触でその体積を急速に増大させる。この体積の増大は、錠剤の単一層又は幾つかの層に決定され、限定されていてもよい。かかる医薬組成物(例えば錠剤)は、2時間の終わりに少なくとも1つの層の体積が、最初の体積に対して 1.5倍、好ましくは少なくとも3倍に増大することを特徴とする。該医薬組成物は、錠剤又は小さい錠剤又は小さい錠剤からなるゼラチンカプセルの形であってもよい。 また、少なくとも2つの小さい錠剤は、同じ医薬組成物中で組合わさっていてもよい。これらは、例えばウエハーカプセル又はゼラチンカプセル中に包装されていてもよい。医薬組成物が小さい錠剤からなるとき、これらの各々は異なった又は同一の組成物を有していてもよい。
(E)膨潤性高分子を用いた胃内滞留製剤
用いられる徐放性医薬組成物用担体としては、水の吸収時に膨潤する高分子量の水溶性のポリマーからなる。かかるポリマーは、個々にまたは組合せて用いることができる。
該徐放性医薬組成物用担体は、例えば米国特許第6,340,475号明細書、米国特許第5,972,389号明細書、米国特許第5,582,837号明細書、米国特許第5,007,790号明細書に記載されており、本明細書には、前記明細書に記載された全ての内容が取り込まれる。
用いられる「水の吸収時に膨潤する高分子量の水溶性のポリマー」は、製薬学的に許容され、水の吸収時に寸法的に制限無く膨潤し、薬物を持続的に放出させるものであれば特に制限されない。かかるポリマーとしては、好ましくは重量平均分子量約4,500,000以上のポリマーであり、さらに好ましくは重量平均分子量約4,500,000〜約10,000,000のポリマーであり、重量平均分子量約5,000,000〜約8,000,000のポリマーが特に好適である。
かかるポリマーとしては、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体、多糖類およびそれらの誘導体、ポリアルキレンオキサイド、架橋されたポリアクリル酸およびそれらの誘導体が挙げられる。ここで用語「セルロース」は、アンヒドログルコースの線状ポリマーを表す。好ましいセルロースポリマーは、胃腸管内で溶解し、アルキル置換されたセルロースポリマーである。好ましいアルキル置換されたセルロース誘導体は、各々1〜3個の炭素原子のアルキル基で置換されたものである。かかるポリマーとしては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。好ましい粘度としては、20℃ 2%の水溶液として、その粘度が約100〜約110,000cpsの範囲内にあるものを含む。他の種類は、20℃ 1%の水溶液として、その粘度が約1,000〜約4,000cpsの範囲内にあるものを含む。特に好ましいアルキル置換されたセルロースは、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。現在好ましいヒドロキシエチルセルロースは、ナトラゾール(NATRASOL;登録商標)250HX NFである。
かかるポリマーとして特に好ましいものは、ポリアルキレンオキサイド誘導体が挙げられるが、さらに好ましいポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイドであり、非置換のエチレンオキサイドの線状ポリマーを意味する。好ましいポリエチレンオキサイドは、約900,000〜約8,000,000の範囲内の重量平均分子量を有するものである。好ましい粘度範囲は、20℃ 2%の水溶液として、その粘度が約50〜約2,000,000cpsの範囲内にあるものを含む。現在好ましいポリエチレンオキサイドは、ポリオックス(POLYOX;登録商標)であり、グレードWSR CoagulantおよびグレードWSR 303を挙げることができる。
さらにかかるポリマーの例として、天然および変性された(半合成)両方の多糖類ガムがあり、例えば、デキストラン、キサンタンガム、ゲラン(gellan)ガム、ウェラン(welan)ガム、およびランサン(rhamsan)ガムが挙げられ、キサンタンガムが好ましい。有用性が最も高い架橋されたポリアクリル酸は、それらの性質が、アルキル置換されたセルロースおよびポリアルキレンオキサイドポリマーに対して上述したものと同様のものである。好ましい架橋されたポリアクリル酸は、25℃で1%の水溶液として、その粘度が約4,000〜約40,000cpsまでの範囲内に含まれるものである。現在好ましい例は、カーボポール(CARBOPOL;登録商標)NFグレード971P、974Pおよび934P、あるいはスターチ、アクリレートおよびアクリルアミドのコポリマーであるウォーターロック(WATER LOCK;登録商標)である。
「水の吸収時に膨潤する高分子量の水溶性のポリマー」に対するタムスロシンまたは製剤学的に許容される塩の重量比は、約15:85〜約80:20の範囲内であり、好ましくは約30:70〜約80:20であり、さらに好ましくは約30:70〜約70:30の範囲内である。
徐放性医薬組成物としては、例えば錠剤、粒子、タブレットまたはカプセル中に内包可能な粒子など製剤学的に許容される経口固体薬用量形態として製造される。現在好ましい投与形は、例えば、2個または3個の薬物含有ポリマー粒子(ペレット)を0号ゼラチンカプセルに内包させたものである。0号ゼラチンカプセル中に2個のペレットを内包するためのペレットの大きさは、6.6 mmまたは6.7 mm(または、より一般には6.5 mm〜7 mm)の直径、および9.5 mmまたは10.25 mm(または、より一般には、9 mm〜12 mm)の長さが好ましい。0号ゼラチンカプセル中に3個のペレットを内包するためのペレットの大きさは、直径6.6 mm、長さ7 mmが好ましい。00号のゼラチンカプセルに2個のペレットを内包するためのペレットは、直径7.5 mm、長さ11.5 mmが好ましい。00号のゼラチンカプセルに3個のペレットを内包するためのペレットは、直径7.5 mm、長さ7.5 mmが好ましい。現在好ましい他の投与形は、長さ18 mm〜22 mm、幅6.5 mm〜7.8 mm、高さ6.2 mm〜7.5 mmの大きさを有するタブレットであり、タブレットの長さ、幅および高さの好ましい組合せは、長さ20 mm、幅6.7 mm、および高さ6.4 mmである。これらは、単なる例示であり、形およびサイズは、かなりの程度で変えることができる。
粒状の薬物/ポリマー混合物または薬物を含浸したポリマーマトリックスは、自体公知の方法により、種々の混合、細分および製作技術によって製造することができる。例えば、適当な臼杵を用いる直接的圧縮、射出または圧縮成形が挙げられる。圧縮成形時には、滑沢剤を添加してもよい。滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムなどが挙げられるが、特にステアリン酸マグネシウムが好適である。滑沢剤の配合量は、徐放性医薬組成物全重量に対し0.25 〜3 W/W%であり、好ましくは1 W/W%未満である。また、他の滑沢剤としては、水素化植物油、水素化され精製されたステアリン酸およびパルミチン酸のトリグリセリドが好ましく、その配合量は徐放性医薬組成物の重量に対し約1 〜5 W/W%であり、最も好ましくは約2 W/W%である。
前述した各種成分の最適な組合せとしては、「水の吸収時に膨潤する高分子量の水溶性のポリマー」として重量平均分子量約2,000,000〜約7,000,000の範囲内を有するポリエチレンオキサイドを徐放性医薬組成物全重量に対して約90−約97W/W%、および「滑沢剤」としてステアリン酸マグネシウムを徐放性医薬組成物全重量に対して約2W/W%未満配合することが挙げられる。また、水溶性ポリマーを例えば2種配合する組合せとしては、約900,000〜約7,000,000の範囲内の重量平均分子量を有するポリエチレンキシドと20℃ 2%の水溶液として、その粘度が約3〜約10,000 cpsを有するヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合比約1:1の割合で各々約48W/W%配合することが挙げられる。
(F)水溶性高分子を用いたマトリックス製剤
水溶性高分子を用いたマトリックス錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性ポリマー基剤に薬物が均一に分散している徐放性医薬組成物担体である。
本マトリックス製剤は、例えば国際公開第93/16686号パンフレットに記載されており、本明細書には、前記明細書に記載された内容の全てが取り込まれる。
水溶性高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロースは水と接触すると水和し、錠剤表面にハイドロゲル層を形成する。錠剤表面に形成された薬物を含むゲル層が徐々に溶解・浸食することにより薬物を放出する。本錠剤は、この水との接触、薬物を含むゲル層の形成、ゲル層の溶解・浸食を繰り返すことにより薬物を徐放化する特徴を有する。
用いられる徐放性医薬組成物用担体は、水溶性ポリマーからなる徐放性賦形剤と他の不活性な希釈剤と生理活性物質が均一に分散する特徴を有する。用いられる水溶性基剤は環境流体に呈される時に、徐々にゲル化及び/又は浸食及び/又は溶解及び/又は崩壊するものであれば特に制限されない。かかる水溶性基剤としては、分子量が1,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、分子量が2000〜2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー類、キトサン類、マンナン類、ガラクトマンナン類、キサンタン類、カラギーナン類、アミロース、アルギン酸、その塩及びその誘導体、ペクチン、アクリル酸塩類、メタクリル酸塩類、アクリル/メタクリル酸コポリマー類、ポリ酸無水物類、ポリアミノ酸類、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)ポリマー類、ポリビニルアルコール類、グルカン類、スクレログルカン(scleroglucan)類、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体類、エチルセルロース、メチルセルロース、かつ一般的な水溶性セルロース誘導体が挙げられる。好ましくは分子量1000〜2,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは、0.5%水溶液(25℃)が3,000〜45,000cpsのカルボキシビニルポリマーであり、さらに好ましくは分子量10,000〜1,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは0.5%水溶液の粘度(25℃)が4,000〜40,000cpsのカルボキシビニルポリマーでである。水溶性ポリマーの量としては製剤単位当たり5 〜 95 W/W%であり、好ましくは10 〜90 W/W%であり、さらに好ましくは30 〜 85 W/W%である。
該医薬組成物には、各種医薬賦形剤が適宜使用され、製剤化される。かかる医薬賦形剤としては、製薬学的に許容され、医薬添加物として使用される賦形剤であれば特に制限されない。例えば希釈剤、結合剤、崩壊剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤などが使用される。希釈剤は、以下の物質の群:マンニトール、ラクトース、様々な由来のでんぷん、ソルビトール、キシリトール、微晶質セルロース及び/又は一般に医薬製剤への水または水性液体の浸透を促進する水溶性希釈剤から選択される。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アラビアゴムなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばコーンスターチ、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。酸味料としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。発泡剤としては、例えば重曹などが挙げられる。人工甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン、レモンライム、オレンジ、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。なお、これらの医薬賦形剤は、1種または2種以上組合せて適宜適量添加することができる。
該医薬組成物からなる錠剤は、自体公知の方法により製造することができる。かかる錠剤は、非常に一般的に用いられ、かつ当業者に公知の錠剤化の方法にしたがって製造することができる。通常は、作業打錠力は3 〜 20 KN(又はキロニュートン)の範囲である。小さなスケールで錠剤を製する際には、実施例でより詳細に記載する方法にしたがい、乳鉢・乳棒を用いてそれぞれの粉末及び/または粒剤を調製し、オイルプレス型打錠機を用いて錠剤を製造することもできる。
本発明のα受容体遮断作用に基づく治療または予防に伴う副作用を低減させる、タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩の投与方法については、前記徐放性医薬組成物に関する発明の説明に記載した方法により実施することができる。
以下、実施例、試験例、実験例を挙げてさらに本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例A(徐放性ハイドロゲル形成性製剤)
実施例A−1
PEG6000 3.84部を水10.56部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解した。マグネチックスターラーで攪拌下、この液に、予めハンマーミル(サンプルミル AP-S、1mmスクリーン使用、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕した塩酸タムスロシン 1.6部を懸濁(一部溶解)させて、噴霧液を調製した。PEG6000 56.16部、PEO(製品名POLYOXTM WSR-303、Dow Chemical) 300部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント社製)に仕込み、吸気温度25℃、噴霧速度5 g/min、スプレー/ドライのサイクルを20秒/40秒で、前記噴霧液を噴霧することにより整粒した。整粒後、この整粒物を吸気温度40℃で30分間乾燥した。この乾燥した整粒物361.6部にステアリン酸マグネシウム1.8部を添加し混合した後、この混合物をロータリー打錠機(HT P-22、畑鉄工所製)を用い、8.5 mmφの杵により打錠圧400 kgf/杵、錠剤重量181.7 mgで打錠し、本発明の放出制御製剤(錠剤)を得た。
実施例A−2
PEG6000 3.84部を水10.56部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解した。マグネチックスターラーで攪拌下、この液に、予めハンマーミル(サンプルミル AP-S、1mmスクリーン使用、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕した塩酸タムスロシン 1.6部を懸濁(一部溶解)させて、噴霧液を調製した。つぎに、PEG6000 76.16部、PEO(製品名POLYOXTM WSR-303、Dow Chemical) 400部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント社製)に仕込み、吸気温度25℃、噴霧速度5 g/min、スプレー/ドライのサイクルを20秒/40秒で、前記噴霧液を噴霧することにより整粒した。整粒後、この整粒物を吸気温度40℃で30分間乾燥した。この乾燥した整粒物 481.6部にステアリン酸マグネシウム2.4部を添加し混合した後、この混合物をロータリー打錠機(HT P-22、畑鉄工所製)を用い、9 mmφの杵により打錠圧400 kgf/杵、錠剤重量242 mgで打錠し、本発明の製剤(錠剤)を得た。
実施例A−3
PEG6000 3.84部を水10.56部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解した。マグネチックスターラーで攪拌下、この液に、予めハンマーミル(サンプルミル AP-S、1mmスクリーン使用、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕した塩酸タムスロシン 1.6部を懸濁(一部溶解)させて、噴霧液を調製した。つぎに、PEG6000 96.16部、PEO(製品名POLYOXTM WSR-303、Dow Chemical) 500部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント社製)に仕込み、吸気温度25℃、噴霧速度5 g/min、スプレー/ドライのサイクルを20秒/40秒で、前記噴霧液を噴霧することにより整粒した。整粒後、この整粒物を吸気温度40℃で30分間乾燥した。この乾燥した整粒物 601.6部にステアリン酸マグネシウム3部を添加し混合した後、この混合物をロータリー打錠機(HT P-22、畑鉄工所製)を用い、9.5 mmφの杵により打錠圧400 kgf/杵、錠剤重量302.3mgで打錠し、本発明の製剤(錠剤)を得た。
実施例A−4
PEG6000 3.84部を水10.56部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解した。マグネチックスターラーで攪拌下、この液に、予めハンマーミル(サンプルミル AP-S、1mmスクリーン使用、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕した塩酸タムスロシン 1.0部を懸濁(一部溶解)させて、噴霧液を調製した。PEG6000 76.16部、PEO(製品名POLYOXTM WSR-303、Dow Chemical) 400部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント社製)に仕込み、吸気温度25℃、噴霧速度5 g/min、スプレー/ドライのサイクルを20秒/40秒で、前記噴霧液を噴霧することにより整粒した。整粒後、この整粒物を吸気温度40℃で30分間乾燥した。この乾燥した整粒物481.0部にステアリン酸マグネシウム2.4部を添加し混合した後、この混合物をロータリー打錠機(HT P-22、畑鉄工所製)を用い、9 mmφの杵により打錠圧400 kgf/杵、錠剤重量241.7 mgで打錠し、本発明の放出制御製剤(錠剤)を得た。
実施例A−5
PEG6000 3.84部を水10.56部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解した。マグネチックスターラーで攪拌下、この液に、予めハンマーミル(サンプルミル AP-S、1mmスクリーン使用、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕した塩酸タムスロシン 2.0部を懸濁(一部溶解)させて、噴霧液を調製した。PEG6000 76.16部、PEO(製品名POLYOXTM WSR-303、Dow Chemical) 400部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント社製)に仕込み、吸気温度25℃、噴霧速度5 g/min、スプレー/ドライのサイクルを20秒/40秒で、前記噴霧液を噴霧することにより整粒した。整粒後、この整粒物を吸気温度40℃で30分間乾燥した。この乾燥した整粒物482.0部にステアリン酸マグネシウム2.4部を添加し混合した後、この混合物をロータリー打錠機(HT P-22、畑鉄工所製)を用い、9 mmφの杵により打錠圧400 kgf/杵、錠剤重量242.2 mgで打錠し、本発明の放出制御製剤(錠剤)を得た。
実施例A−6
PEG6000 3.84部を水10.56部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解した。マグネチックスターラーで攪拌下、この液に、予めハンマーミル(サンプルミル AP-S、1mmスクリーン使用、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕した塩酸タムスロシン 0.5部を懸濁(一部溶解)させて、噴霧液を調製した。つぎに、PEG6000 76.16部、PEO(製品名POLYOXTM WSR-303、Dow Chemical) 400部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント社製)に仕込み、吸気温度25℃、噴霧速度5 g/min、スプレー/ドライのサイクルを20秒/40秒で、前記噴霧液を噴霧することにより整粒した。整粒後、この整粒物を吸気温度40℃で30分間乾燥した。この乾燥した整粒物 480.5部にステアリン酸マグネシウム2.4部を添加し混合した後、この混合物をロータリー打錠機(HT P-22、畑鉄工所製)を用い、9 mmφの杵により打錠圧400 kgf/杵、錠剤重量241.5 mgで打錠し、本発明の製剤(錠剤)を得た。
試験例A(溶出試験)
実施例A-1〜A-5の各製剤からの薬物放出特性は日本薬局方溶出試験法第二法(パドル法)により評価する。試験液として精製水900mLを用い、シンカーは使用せず、パドル回転速度200rpmで行う。各時間毎にサンプリングを行い、サンプリング溶液中の塩酸タムスロシンをUV分光光度計(225nm)を備えたHPLCにて定量する。その結果を表1に示した。
Figure 2005162736
(結果及び考察)
ハイドロゲル形成基剤としてポリエチレンオキサイドを、親水性基剤としてPEGを用いることにより塩酸タムスロシンの持続的な薬物放出を示した。ポリエチレンオキサイドとPEGの配合量により溶出速度を制御可能であった。後記実験例に示すように、実施例A-2(またはA-4,5,6)を用いた臨床試験において、有効性は現行製剤と同等以上であり、かつ副作用については現行製剤に比し減少させる結果を得た。したがって、実施例A-2の溶出プロファイルを基に、変動を考慮した幅を設定した。徐放性ハイドロゲル形成性製剤の消化管内における薬物放出特性はパドル100回転(rpm)に近似するという知見が得られている。したがって、消化管内における薬物放出性を考慮し、実施例A-2の100回転(rpm)における溶出率も参考にして溶出率の幅を設定した。
実施例B(浸透圧ポンプ型製剤)
工程1:活性物質を含有する薬物層を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成比率からなる混合粉末を調製し、2層圧縮コアの製造に用いた。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR N80) 100 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC2910) 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.00 mg
計 115.00 mg
上記の組成において薬物および各種添加剤を秤量し、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまでよく混合することにより調製した。
工程2:プッシュ層の製造
以下の組成からなる混合粉末を調製し、2層圧縮コアの製造に用いた。
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR Coagulant) 60 mg
NaCl 30 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC2910) 4 mg
赤色三二酸化鉄 1 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5 mg
計 95.5 mg
上記の組成において各種添加剤を秤量し、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまでよく混合することにより調製した。
工程3:薬物層とプッシュ層からなる2層圧縮コアの製造
2層圧縮コアは、オイルプレス打錠機を用いて調製した。直径8.0 mm×9.6 Rの臼杵を用い成型した。プッシュ層用混合粉末を臼内に充填し、その上層に薬物層用混合粉末を積層後、圧縮成形することにより、タムスロシン塩酸塩 0.8 mgを含有する2層圧縮コアを得た。
工程4:半透膜の調製と膜コーティング
PEG4000と酢酸セルロース(94:6(W/W%))をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(9:1(W/W%))に溶解した。このコーティング溶液は使用時には約4%の固形分を有する。このコーティング溶液を上記のように製造された2層圧縮コアに通気式コーティング機(ハイコーターHCT-30、フロイント産業社製)を用いて、コーティング成分が2層圧縮コア重量の10W/W%になるまでスプレーコーティングした。
工程5:孔あけ
上記のようにして半透膜をコーティングした錠剤に、0.4 mm径の注射針(27G)を用いて、ドラッグ層側に孔を形成した。
同様に、表2および表3に記載した実施例B-2〜B-13の製剤を製造した。
Figure 2005162736
Figure 2005162736
試験例B(溶出試験)
試験例B-1:試験例Aの方法に従い、実施例B1〜B13の製剤の放出性を評価し、その結果を表4に示した。また、溶出プロファイルから溶出開始までのラグタイムをもとめ、ラグタイムを0とした場合の溶出開始後の溶出率を算出し、表5に示した。
Figure 2005162736
Figure 2005162736
(結果及び考察)
浸透圧ポンプ型製剤は、薬物放出を開始するのにいずれの製剤も約2時間程度のラグタイム(薬物放出が見られない時間帯)を示した。溶出開始後は持続した薬物放出プロファイルを示しており、ラグタイム後3時間の溶出率は14%から33%、7時間後は32%から78%、12時間後ではいずれの製剤も55%以上の溶出を示していることから、本発明の特定の溶出プロファイルを有する徐放性医薬組成物である。また、半透膜のコーティング量により溶出速度の制御が可能であった。
実施例C(複数のガムを組合せたゲル製剤)
実施例C-1
以下に示す各種組成ユニットから成る粉末は、ローカストビンガム(三晶、サンエースM175) 5部、キサンタンガム(新田、VS900) 5部、デキストロース(和光) 7部および硫酸カルシウム(関東化学) 1部を秤取り、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまで充分混合することにより調製した。さらに、調製した混合粉末に精製水2 mLを2回に分割(1 mL×2回)して徐々に適下し、乳捧を用いて充分攪拌混合することにより造粒した。得られた造粒品を16メッシュ(0.59μm)を用いて篩過し、40℃恒温下で12h乾燥することにより造粒
粉末Aを得た。造粒粉末Aに塩酸タムスロシンおよび乳糖を添加した後、メタノールに溶解した10% エチルセルロース溶液(100 mg / mL)を徐々に滴下し、乳捧を用いて充分攪拌混合することにより造粒粉末Bを得た。造粒粉末Bを40℃恒温下で12h乾燥し、これを臼に充填し、オイルプレス打錠機にて直径8.0 mm×8.0 Rの杵を用い、打錠圧1000 kg/杵とし、圧縮成形することにより、重量202.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ローカストビンガム(三晶、サンエースM175)50.00 mg
キサンタンガム(新田、VS900) 50.00 mg
デキストロース 70.00 mg
硫酸カルシウム 10.00 mg
エチルセルロース 14.00 mg
計 202.00 mg
実施例C-2
造粒粉末A に塩酸タムスロシンおよび乳糖を添加した後、メタノールに溶解した10% エチルセルロース溶液(100 mg / mL)を徐々に滴下し、乳捧を用いて充分攪拌混合することにより造粒粉末Cを得た。造粒粉末Cを40℃恒温下で12h乾燥し、これを臼に充填し、オイルプレス打錠機にて直径8.0 mm×8.0 Rの杵を用い、打錠圧1000 kg/杵とし、圧縮成形することにより、重量396.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ローカストビンガム(三晶、サンエースM175)100.00 mg
キサンタンガム(新田、VS900) 100.00 mg
デキストロース 140.00 mg
硫酸カルシウム 20.00 mg
エチルセルロース 28.00 mg
計 396.00 mg
実施例C-3
造粒粉末Aに塩酸タムスロシンおよび乳糖を添加した後、メタノールに溶解した10% エチルセルロース溶液(100 mg / mL)を徐々に滴下し、乳捧を用いて充分攪拌混合することにより造粒粉末Dを得た。造粒粉末Dを40℃恒温下で12h乾燥し、これを臼に充填し、オイルプレス打錠機にて直径8.0 mm×8.0 Rの杵を用い、打錠圧1000 kg/杵とし、圧縮成形することにより、重量590.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ローカストビンガム(三晶、サンエースM175)150.00 mg
キサンタンガム(新田、VS900) 150.00 mg
デキストロース 210.00 mg
硫酸カルシウム 30.00 mg
エチルセルロース 42.00 mg
計 590.00 mg
試験例C(溶出試験)
試験例C-1:試験例Aの方法に従い、実施例C1-C3の製剤の放出性を評価し、その結果を表6に示した。
(結果及び考察)
Figure 2005162736
複数のガムを組合せたゲルを用いることにより、持続した薬物放出を示した。本製剤からの薬物放出速度は、ローカストビンガムおよびキサンタンガムの配合量により制御可能であり、溶出開始7h後に約54% 〜 約88%の薬物放出率を示し、試験例Aで得られた薬物放出速度とほぼ同様であった。したがって、本製剤は、本発明における特定の溶出プロファイルを有する徐放性医薬組成物である。
実施例D(幾何学的に配置した薬物核及び放出制御層からなる多層錠製剤)
実施例D-1:塩酸タムスロシンを含有する三層錠の製造
工程1A:活性物質を含有する層2を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末を製造し、三層錠の中間層である層2の製造に用いる。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
マンニトール 10.00 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC 90SH-15000) 10.00 mg
ポリビニルピロリドン 3.20 mg
微結晶セルロース 66.55 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.00 mg
コロイダルシリカ 1.25 mg
計 100.00 mg
上記の組成ユニットから成る粉末は、必要な量の活性物質、マンニトール、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC 90SH-15000)、ポリビニル-ピロリドン、ステアリン酸マグネシウム及びコロイドシリカを秤取り、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまでよく混合することにより調製する。
工程1B:薬物の放出制御に用いる層1(薬物を含有しない層1)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成る粒剤を製造し、三層錠の最上層である層1の製造に用いる。
HPMC (90SH-15000) 80.96 mg
硬化ヒマシ油 13.71 mg
黄色酸化鉄 0.25 mg
エチルセルロース 5.08 mg
計 100.00 mg
製造方法は、必要な量のヒドロキシプロピルメチルセルロース (HPMC 90SH-15000)、硬化ヒマシ油及び黄色酸化鉄を秤取り、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまでよく混合することからなる。粒剤は、均質な粉体混合物を10% W/Vエチルセルロースベースのアルコール溶液で湿らせ、均質に湿った塊を40℃で乾燥した後、篩過することにより調製する。
工程1C:薬物の放出制御に用いる層3(薬物を含有しない層3)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成る粒剤を製造し、三層錠の最下層である層3の製造に用いる。
HPMC (90SH-15000) 121.45 mg
硬化ヒマシ油 20.56 mg
黄色酸化鉄 0.38 mg
エチルセルロース 7.61 mg
計 150.00 mg
三層錠の最下層である層3の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
工程1D:三層錠の製造(圧縮成形)
三層錠は、オイルプレス打錠機にて調製する。直径8.0 mm×9.6 Rの杵を用い、打錠圧1000 kg/杵とする。1Cの項に記載した層3の粒剤を臼に充填し、上面が平らになるように軽くタッピングする。その上に1Aの項に記載した層2の活性物質を含有する混合粉末を充填し、上面が平らになるように軽くタッピングする。さらにその上に1Bの項に記載した層1の粒剤を臼に充填し、圧縮成形することにより、平均重量350.00 mgを有し、タムスロシン塩酸塩 0.80 mgを含有する三層錠剤を製造する。層1及び層3は逆の順に臼に充填して圧縮成型もよい。
実施例D-2〜D-13:塩酸タムスロシンを含有するの三層錠の製造
工程2A:活性物質を含有する層2を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを有する三層錠の中間層である層2の製造に用いる混合粉末は、実施例D-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。実施例D-2〜D-13の各処方を表7及び表8に示した。
Figure 2005162736
Figure 2005162736
工程2B:薬物の放出制御に用いる層1(薬物を含有しない層1)を構成する粒剤の製造
薬物放出制御層である層1の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。実施例D-2〜D-13の各処方を表9及び表10に示した。
Figure 2005162736
Figure 2005162736
工程2C:薬物の放出制御に用いる層3(薬物を含有しない層3)を構成する粒剤の製造
薬物放出制御層である層3の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。実施例D-2〜D-13の各処方を表11及び表12に示した。
Figure 2005162736
Figure 2005162736
工程2D:三層錠の製造(圧縮成形)
塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有する三層錠は、実施例D-1(工程1D)に記載される方法に従い製造する。
実施例D-14:塩酸タムスロシンを含有するの三層錠の製造
工程3A:活性物質を含有する層2を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン1.20 mgを含有し、三層錠の中間層である層2の製造に用いる混合粉末は、実施例D-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 1.20 mg
乳糖 10.80 mg
マンニトール 15.00 mg
HPMC (90SH-15000) 15.00 mg
ポリビニルピロリドン 4.80 mg
微結晶セルロース 99.83 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.50 mg
コロイダルシリカ 1.87 mg
計 150.00 mg
工程3B:薬物の放出制御に用いる層1(薬物を含有しない層1)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層1の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 80.96 mg
硬化ヒマシ油 13.71 mg
黄色酸化鉄 0.25 mg
エチルセルロース 5.08 mg
計 100.00 mg
工程3C:薬物の放出制御に用いる層3(薬物を含有しない層3)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層3の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 121.45 mg
硬化ヒマシ油 20.56 mg
黄色酸化鉄 0.38 mg
エチルセルロース 7.61 mg
計 150.00 mg
工程3D:三層錠の製造(圧縮成形)
実施例D-1(工程1D)に記載される方法に従い、平均重量400.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 1.20 mgを含有する三層錠を製造する。
実施例D-15:タムスロシン塩酸塩を含有するの三層錠の製造
工程4A:活性物質を含有する層2を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン1.60 mgを含有し、三層錠の中間層である層2の製造に用いる混合粉末は、実施例D-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 1.60 mg
乳糖 14.40 mg
マンニトール 20.00 mg
HPMC(90SH-15000) 20.00 mg
ポリビニルピロリドン 6.40 mg
微結晶セルロース 133.10 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.00 mg
コロイダルシリカ 2.50 mg
計 200.00 mg
工程4B:薬物の放出制御に用いる層1(薬物を含有しない層1)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層1の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 80.96 mg
硬化ヒマシ油 13.71 mg
黄色酸化鉄 0.25 mg
エチルセルロース 5.08 mg
計 100.00 mg
工程4C:薬物の放出制御に用いる層3(薬物を含有しない層3)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層3の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 121.45 mg
硬化ヒマシ油 20.56 mg
黄色酸化鉄 0.38 mg
エチルセルロース 7.61 mg
計 150.00 mg
工程4D:三層錠の製造(圧縮成形)
実施例D-1(工程1D)に記載される方法に従い、平均重量450.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 1.60 mgを含有する三層錠剤を製造する。
実施例D-16〜C-17:タムスロシン塩酸塩を含有するの三層錠の製造
工程5A:活性物質を含有する層2を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、三層錠の中間層である層2の製造に用いる混合粉末は、実施例D-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
マンニトール 10.00 mg
HPMC(90SH-15000) 10.00 mg
ポリビニルピロリドン 3.20 mg
微結晶セルロース 66.55 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.00 mg
コロイダルシリカ 1.25 mg
計 100.00 mg
工程5B:薬物の放出制御に用いる層1(薬物を含有しない層1)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層1の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-4000) 20.24 mg
HPMC(90SH-15000) 20.24 mg
硬化ヒマシ油 6.85 mg
黄色酸化鉄 0.13 mg
エチルセルロース 2.54 mg
計 50.00 mg
工程5C:薬物の放出制御に用いる層3(薬物を含有しない層3)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層3の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 121.45 mg
硬化ヒマシ油 20.56 mg
黄色酸化鉄 0.38 mg
エチルセルロース 7.61 mg
計 150.00 mg
工程5D:三層錠の製造(圧縮成形)
三層錠は、オイルプレス打錠機にて調製する。実施例D-16では直径7.0 mm×8.4 R、実施例17では9.5 mm×11.4 Rの杵を用い、いずれも打錠圧1000 kg/杵とする。5Cの項に記載した層3の粒剤を臼に充填し、上面が平らになるように軽くタッピングする。その上に5Aの項に記載した層2の活性物質を含有する混合粉末を充填し、上面が平らになるように軽くタッピングする。さらにその上に5Bの項に記載した層1の粒剤を臼に充填し、圧縮成形することにより、平均重量300.00 mgを有し、タムスロシン塩酸塩 0.80 mgを含有する三層錠剤を製造する。
実施例D-18:タムスロシン塩酸塩を含有するの三層錠の製造
工程6A:活性物質を含有する層2を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、三層錠の中間層である層2の製造に用いる混合粉末は、実施例D-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
マンニトール 10.00 mg
HPMC(90SH-15000) 10.00 mg
ポリビニルピロリドン 3.20 mg
微結晶セルロース 66.55 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.00 mg
コロイダルシリカ 1.25 mg
計 100.00 mg
工程6B:薬物の放出制御に用いる層1(薬物を含有しない層1)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層1の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 80.96 mg
硬化ヒマシ油 13.71 mg
黄色酸化鉄 0.25 mg
エチルセルロース 5.08 mg
計 100.00 mg
工程6C:薬物の放出制御に用いる層3(薬物を含有しない層3)を構成する粒剤の製造
以下の組成ユニットから成り、薬物放出制御層である層3の製造に用いる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 121.45 mg
硬化ヒマシ油 20.56 mg
黄色酸化鉄 0.38 mg
エチルセルロース 7.61 mg
計 150.00 mg
工程6D:三層錠の製造(圧縮成形)
直径8.0 mmの三層錠は、オイルプレス打錠機にて調製する。打錠圧は1000 kg/杵とする。6Cの項に記載した層3の粒剤を臼に充填し、上面が平らになるように軽くタッピングした後、同径の凸型杵にて軽く押さえる。その上に6Aの項に記載した層2の活性物質を含有する混合粉末を充填し、直径8.0 mm×9.6 Rの杵にて軽く押さえる。さらにその上に6Bの項に記載した層1の粒剤を臼に充填し、直径8.0 mm×9.6 Rの杵を用いて圧縮成形することにより、平均重量350.00 mgを有し、タムスロシン塩酸塩 0.80 mgを含有する三層錠剤を製造する。層1及び層3は逆の順に臼に充填して圧縮成型もよい。
実施例D-19:タムスロシン塩酸塩を含有するの二層錠の製造
工程7A:活性物質を含有する層を構成する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを有する層の製造に用いる混合粉末は、実施例D-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
マンニトール 10.00 mg
HPMC(90SH-15000) 10.00 mg
ポリビニルピロリドン 3.20 mg
微結晶セルロース 66.55 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.00 mg
コロイダルシリカ 1.25 mg
計 100.00 mg
工程7B:薬物の放出制御に用いる層(薬物を含有しない層)を構成する粒剤の製造
薬物放出制御層であり、以下の組成ユニットからなる粒剤は、実施例D-1(工程1B)に記載される方法に従い製造する。
HPMC(90SH-15000) 121.45 mg
硬化ヒマシ油 20.56 mg
黄色酸化鉄 0.38 mg
エチルセルロース 7.61 mg
計 150.00 mg
工程7D:二層錠の製造(圧縮成形)
二層錠は、オイルプレス打錠機にて調製する。直径8.0 mm×9.6 Rの杵を用い、打錠圧1000 kg/杵とする。7Bの項に記載した薬物を含有しない層の粒剤を臼に充填し、上面が平らになるように軽くタッピングする。その上に7Aの項に記載した生理活性物質を含有する層の活性物質を含有する混合粉末を充填し、圧縮成形することにより、平均重量250.00 mgを有し、タムスロシン塩酸塩 0.80 mgを含有する二層錠剤を製造する。
試験例D(溶出試験)
試験例D-1:試験例Aの方法に従い、実施例D1-D18の製剤の放出性を評価し、その結果を表13及び表14に示した。
(結果及び考察)
Figure 2005162736
Figure 2005162736
薬物を含有する層を、薬物を含有しない二つの放出制御層で挟み、多層錠とすることにより、持続的な薬物放出を示した。本製剤からの薬物放出速度は、放出制御層に用いるHPMCの分子量、放出制御層の厚み、放出制御層中へのエチルセルロース添加、薬物含有層中のHPMC含量及びその分子量、薬物含有層の厚み、薬物含有層の幾何学形、多層錠の直径サイズにより制御可能であった。また、溶出開始7時間後の溶出率はいずれの製剤も38%以上70%以下の溶出率を示し、試験例Aで得られた溶出速度とほぼ同じであった。したがって、本製剤は本発明の特定の溶出プロファイルを有する徐放性医薬組成物である。
実施例E:(膨潤性高分子を用いた胃内滞留製剤)
実施例E-1
各種組成ユニットから成る粉末は、塩酸タムスロシン、ポリエチレンオキサイドおよびステアリン酸マグネシウムを秤取り、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまで充分混合することにより調製した。調製した混合粉末を臼に充填し、オイルプレス打錠機にて直径7.0 mm×8.4 Rの杵を用い、打錠圧1000 kg/杵とし、圧縮成形することにより、重量276.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR N60K)266.00 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.00 mg
計 276.00 mg
実施例E-2
塩酸タムスロシンおよびポリエチレンオキサイドを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例E-1に記載される方法に従い直径6.0 mm×6.0 Rの杵を用いて圧縮成形することにより、重量143.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR 303) 133.00 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.00 mg
計 143.00 mg
実施例E-3
塩酸タムスロシンおよびポリエチレンオキサイドを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例E-1に記載される方法に従い直径7.0 mm×8.4 Rの杵を用いて圧縮成形することにより、重量276.00 mgの錠剤を製造した。
実施例E-4
塩酸タムスロシンを含有し、分子量の異なる二種のポリエチレンオキサイド(PolyoxR WSR 303およびPolyoxTM WSR 1105)を配合した以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例 1に記載される方法に従い直径7.0 mm×8.4 Rの杵を用いて圧縮成形することにより、重量276.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR 303)133.00 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR 1105)133.00 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.00 mg
計 276.00 mg
実施例E-5
塩酸タムスロシンを含有し、ポリエチレンオキサイドとヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC5E)を配合した以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例E-1に記載される方法に従い直径7.0 mm×8.4 Rの杵を用いて圧縮成形することにより、重量276.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR 303)133.00 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC5E)133.00 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.00 mg
計 276.00 mg
実施例E-6
塩酸タムスロシンを含有し、ポリエチレンオキサイドとヒドロキシプロピルメチルセルロース(90SH-10000)を配合した以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例E-1に記載される方法に従い直径7.0 mm×8.4 Rの杵を用いて圧縮成形することにより、重量276.00 mgの錠剤を製造した。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 7.20 mg
ポリエチレンオキサイド(PolyoxTM WSR 303)133.00 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(90SH-10000) 133.00 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.00 mg
計 276.00 mg
試験例E:溶出試験
試験例E-1:試験例Aの方法に従い、実施例E1〜E6の製剤の放出性を評価し、その結果を表15に示した。
(結果及び考察)
Figure 2005162736
膨潤性高分子を用いた胃内滞留製剤化により、持続した薬物放出を示した。本製剤からの薬物放出速度は、ポリエチレンオキサイドの分子量、配合量および複数の水溶性高分子の組合せにより制御可能であり、溶出開始7h後に約43% 〜 約66%の薬物放出率を示し、試験例Aで得られた薬物放出速度とほぼ同様であった。したがって、本製剤は、本発明における特定の溶出プロファイルを有する徐放性医薬組成物である。
実施例F:(水溶性高分子を用いたマトリックス製剤)
実施例F-1:塩酸タムスロシンを含有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)マトリックス錠の製造
工程1A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末を製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 149.20 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(60SH-10000) 200.00 mg
計 350.00 mg
上記の組成ユニットから成る粉末は、必要な量の活性物質、マンニトール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC 60SH-10000)を秤取り、乳鉢及び乳棒を用いて均質化するまでよく混合することにより調製する。
工程1B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
HPMCマトリックス錠は、オイルプレス打錠機にて調製する。直径9.5 mm×11.4 Rの杵を用い、打錠圧500 kg/杵とする。1Aの項に記載した活性物質を含有する混合粉末を充填し、圧縮成形することにより、平均重量350.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
実施例F-2:塩酸タムスロシンを含有するHPMCマトリックス錠の製造
工程2A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例F-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 149.20 mg
HPMC(90SH-4000) 200.00 mg
計 350.00 mg
工程2B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
実施例F-1(工程1B)に記載される方法に従い、平均重量350.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
実施例F-3:塩酸タムスロシンを含有するHPMCマトリックス錠の製造
工程3A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例F-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 149.20 mg
HPMC(90SH-100000) 200.00 mg
計 350.00 mg
工程3B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
実施例F-1(工程1B)に記載される方法に従い、平均重量350.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
実施例F-4:塩酸タムスロシンを含有するHPMCマトリックス錠の製造
工程4A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例F-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 49.20 mg
HPMC(90SH-15000) 350.00 mg
計 400.00 mg
工程4B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
実施例F-1(工程1B)に記載される方法に従い、平均重量400.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
実施例F-5:タムスロシン塩酸塩を含有するHPMCマトリックス錠の製造
工程5A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例F-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 249.20 mg
HPMC(60SH-10000) 100.00 mg
計 350.00 mg
工程5B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
実施例F-1(工程1B)に記載される方法に従い、平均重量350.00 mgを有し、塩酸タムスロシン0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
実施例F-6:タムスロシン塩酸塩を含有するHPMCマトリックス錠の製造
工程6A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例F-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 199.20 mg
HPMC(60SH-10000) 150.00 mg
計 350.00 mg
工程6B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
実施例F-1(工程1B)に記載される方法に従い、平均重量350.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
実施例F-7:タムスロシン塩酸塩を含有するHPMCマトリックス錠の製造
工程7A:活性物質を含有する混合粉末の製造
塩酸タムスロシン0.80 mgを含有し、以下の組成ユニットから成る混合粉末は、実施例F-1(工程1A)に記載される方法に従い製造する。
塩酸タムスロシン 0.80 mg
乳糖 49.20 mg
HPMC(60SH-10000) 300.00 mg
計 350.00 mg
工程7B:HPMCマトリックス錠の製造(圧縮成形)
実施例F-1(工程1B)に記載される方法に従い、平均重量350.00 mgを有し、塩酸タムスロシン 0.80 mgを含有するマトリックス錠を製造する。
試験例F(溶出試験)
試験例F-1:試験例Aの方法に従い、実施例F1〜F7の製剤の放出性を評価し、その結果を表16に示した。
(結果及び考察)
Figure 2005162736
水溶性高分子としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いることにより、持続的な薬物放出を示した。溶出開始7時間後の溶出率はいずれの製剤も38%以上85%以下の溶出率を示し、試験例Aで得られた速度とほぼ同様であった。したがって、本製剤は、本発明における特定の溶出プロファイルを有する徐放性医薬組成物である。また、HPMCの分子量及び配合量により、溶出速度を制御可能であった。
実験例1:単回投与における現行製剤と本発明製剤との比較
健康男性被験者に、現行製剤(Flomax(登録商標))または実施例A-2の製剤を1人あたり1日1回0.4mgの投与量で食事摂取前(絶食)に経口投与した。投与後、経時的に採血を行い、血漿中タムスロシン濃度を測定し、最高血漿中タムスロシン濃度(Cmax)に対する投与後24時間における血漿中タムスロシン濃度(C24h)の比(C24h/Cmax)を算出し、表17に示した。
(結果及び考察)
Figure 2005162736
現行製剤投与時は、C24h/Cmax値が平均で0.161であるのに対し、本発明製剤投与では0.709であった。α受容体遮断薬服用時にしばしば観察される起立性低血圧の多くは、初回投与後の速やかな血漿中濃度の上昇に伴い一過性に起こると考えられている。したがって、C24h/Cmaxを大きくし、一定の血中濃度推移にすることは、副作用の発現を低減させるとともに、効果を持続させるためにも有用であり、これを達成する製剤では高用量投与が可能になるものと考えられる。単回投与におけるA-2製剤のC24h/Cmaxは、現行製剤のそれに対して有意に大きくなり(p<0.01)、現行製剤に比し副作用発現の低減ならびに効果の持続を期待できる。したがって、血漿中タムスロシン濃度を好ましい範囲に制御するために、製剤からのタムスロシンの放出を制御することは有用であることが示された。
実験例2:連続投与における現行製剤と本発明製剤との比較
健康男性被験者に食事摂取前(絶食)あるいは食事摂取後、現行製剤(Omnic/Flomax(登録商標))または実施例A-2の製剤を、1日1回1人あたり0.4mgの投与量で少なくとも5日間に亘り繰り返し経口投与した。現行製剤投与の食事摂取前投与では7日目の投与後、食事摂取後投与では6日目の投与後、A-2製剤投与では食事摂取前および食事摂取後いずれも5日目の投与後に経時的採血を行い、血漿中タムスロシン濃度を測定した。最高血漿中タムスロシン濃度(Cmax)および投与後24時間における血漿中タムスロシン濃度(C24h)を決定し、Cmaxに対するC24hの比(C24h/Cmax)を算出し、表18に示した。
(結果及び考察)
Figure 2005162736
maxは、現行製剤では食事摂取前投与で、食事摂取後投与に対して有意な上昇が認められた(p<0.01)が、A-2製剤では有意な食事の影響が見られなかった。また、現行製剤の食事摂取前投与ではC24h/Cmax比が食事摂取後に対して有意に低下した(p<0.01)が、A-2製剤投与時は食事条件によらず有意な差を認めなかった。さらに、現行製剤の食事摂取後のC24h/CmaxはA-2製剤投与時に比し小さかった。
以上の結果から、A-2製剤は食事の影響を受けない製剤であり、現行製剤に比しコンプライアンスを改善し、かつ副作用の発現頻度を低減し、さらに効果の持続が期待できるものと考えられる。したがって、製剤からの薬物放出を制御することは食事の影響を受けにくく、タムスロシン製剤の設計において有用であることが示された。
実験例3:第III相臨床試験における有害事象プロファイル
18〜70才の過活動膀胱の症状(頻尿、尿意切迫感または切迫性尿失禁)が3ヶ月以上続いている女性患者に対する臨床試験において、本発明製剤(実施例A−4, 5, 6)を1日1回0.25mgから1.5mgの投与量で6週間に亘り経口投与した。その結果、本発明の徐放性製剤として塩酸タムスロシン1.5mgを投与した群の有害事象プロファイルは、プラセボを投与した群と比較して有意に異ならなかった。したがって、副作用の発現頻度を増大させることなく、高用量投与を可能にするタムスロシン製剤の設計において、製剤からの放出を制御することは有用であることが示された。
実験例4:第III相臨床試験における有害事象プロファイル
下部尿路症状を示す男性患者にプラセボを2週間投与した後に、現行製剤または実施例A-2の製剤を1日1回0.4mgの投与量で12週間に亘り経口投与した。試験は二重盲検法にて実施し、有害事象の発生について検討した。
(結果および考察)
A-2製剤投与群と現行製剤投与群と比較した結果、A-2製剤投与群の有害事象プロファイルは、現行製剤投与群に比し改善されており、その効果は特にabnormal ejaculation(射精異常)とpostural hypotension(起立性低血圧)で顕著であった。したがって、製剤からのタムスロシンの溶出を制御することは副作用の発現頻度を抑制するために有用であることが示された。
本発明の徐放性医薬組成物は、現在、医療の現場に提供されている塩酸タムスロシンを含有してなる経口徐放性製剤に比し、有効性は同等以上であり、かつ副作用(例えば起立性低血圧等)等の有害事象を減少させる。さらに用量を増加することができ、食事摂取の制限がない優れた経口徐放性製剤として有用である。
実施例Aの各製剤からの薬物放出特性を示す図である。 実施例Bの各製剤からの薬物放出特性を示す図である。 実施例Cの各製剤からの薬物放出特性を示す図である。 実施例Dの各製剤からの薬物放出特性を示す図である。 実施例Eの各製剤からの薬物放出特性を示す図である。 実施例Fの各製剤からの薬物放出特性を示す図である。

Claims (18)

  1. タムスロシンまたはその製薬学的に許容される塩、および徐放性医薬組成物用担体を含有し、日本薬局方溶出試験法第二法(パドル法:200rpm)により試験を行うとき、溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20〜約85%であることを特徴とする徐放性医薬組成物。
  2. 溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約20〜約75%であることを特徴とする請求項1記載の徐放性医薬組成物。
  3. 溶出開始7時間後のタムスロシン溶出率が約25〜約65%であることを特徴とする請求項1または2記載の徐放性医薬組成物。
  4. 溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5〜約45%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  5. 溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5〜約40%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  6. 溶出開始3時間後のタムスロシン溶出率が約5〜約35%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  7. 溶出開始12時間後のタムスロシン溶出率が約40%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  8. 溶出開始12時間後のタムスロシン溶出率が約50%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  9. 溶出開始から50%のタムスロシンが放出する時間(T50)が約3時間以上約15時間以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  10. T50が約4時間以上約12時間以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  11. 有害事象プロファイルがプラセボと比較して有意に異ならない請求項1〜10のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  12. 食事摂取前、または食事摂取後に服用するとき、血漿中タムスロシン濃度推移から得られた薬動力学的パラメーターが有意に異ならない請求項1〜11のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  13. 徐放性ハイドロゲル形成性製剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  14. 浸透圧ポンプ型製剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  15. 複数のガムを組合せたゲル製剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  16. 幾何学的に配置した薬物核及び放出制御層からなる多層錠製剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  17. 膨潤性高分子を用いた胃内滞留製剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
  18. 水溶性高分子を用いたマトリックス製剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の徐放性医薬組成物。
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