JP2005161881A - 気圧式倍力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フロントシェルとリアシェルとを連結するロッドに対する支持プレートの逆向きの組付けを気密検査によって確実に把握できるようにする。
【解決手段】 フロントシェル11とリアシェルとをロッド51により連結し、ロッド51の一端のスタッドボルト53をフロントシェル11を貫通してその外部に延在させ、スタッドボルト53に嵌合した支持プレート56をロッド51で係止してフロントシェル11の内面に当接させると共に、支持プレート56に形成した環状溝58内にシール部材57を配置した気圧式倍力装置において、支持プレート56に突起59を設け、該支持プレート56を逆向きにスタッドボルト53に組付けた際(B)、前記突起59をフロントシェル11に当接させてシール部材57によるシールを開放し、突起59の先端部の切欠60を通じて定圧室19内に大気を流入させて、支持プレート56の逆向きの組付けを検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両のブレーキ系統に用いられる気圧式倍力装置、特にシェル本体を構成するフロントシェルとリアシェルとをロッドにより連結して剛性を高めた、いわゆる貫通ロッド型気圧式倍力装置に関する。
従来、この種の貫通ロッド型気圧式倍力装置は、シェル本体を形成するフロントシェルとリアシェルとを、該シェル本体内に配設したパワーピストンを貫通させたロッドにより連結し、前記ロッドの一端部に形成したスタッドボルトを前記フロントシェルを貫通してその外部に延在させ、該スタッドボルトに嵌合した支持プレートを前記ロッドで係止して前記フロントシェルの内面に当接させると共に、該支持プレートに形成した環状溝内に前記フロントシェルと前記スタッドボルトとの間をシールするシール部材を配置した構造となっている(特許文献1参照)。
図7は、上記した貫通ロッド型気圧式倍力装置のスタッドボルトの周りのシール構造を示したもので、図中、1はシェル本体を形成するフロントシェル、2は、前記フロントシェル1と図示を略すリヤシェルとを連結するロッド、3は、ロッド2の一端に設けられたスタッドボルト、4は、スタッドボルト3に嵌合された支持プレート、5は、この支持プレート4に保持されたシール部材をそれぞれ表している。支持プレート4は、ロッド2の端面(段差面)2aに係止され、その一面4aをフロントシェル1の内面に当接させている。一方、シール部材5は、支持プレート4の一面の内径側に形成された環状溝6内に配置され、フロントシェル1とスタッドボルト3との間をシールしている。前記スタッドボルト3は、気圧式倍力装置に対するマスタシリンダMの取付けに用いられるもので、スタッドボルト3に螺合したナットNと前記支持プレート5との間にマスタシリンダMのフランジFとフロントシェル1とが共締めされるようになっている。
特開昭56−163947号公報
ところで、この種の気圧式倍力装置は、組立後、気密検査を行って製品として完成する。しかるに、上記支持プレート4にシール部材5を配置するシール構造によれば、図8に示すように、支持プレート4が表裏逆向きにロッド2に組付けられている場合でも、フロントシェル1とスタッドボルト3との間はシール部材5によりシールされた状態となり、前記気密検査において良品と判定される。しかし、この場合は、図8に示したように支持プレート4とフロントシェル1との間に隙間Sが生じた状態となり、フロントシェル1に対する支持プレート4のバックアップ機能が失われてしまう。この結果、フロントシェル1は外力を受けて変形を起こし易くなり、気密性の面で問題が残る。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その第1の課題とするところは、フロントシェルとリアシェルとを連結するロッドに対する支持プレートの逆向きの組付けを気密検査によって確実に把握できるようにすることにある。また、第2の課題とするところは、前記支持プレートを逆向きに組付けても該支持プレートのバックアップ機能が損なわれることがないようにすることにある。
上記第1の課題を解決するための第1の発明は、フロントシェルとリアシェルとからなるシェル本体内に配設したパワーピストンを軸方向に貫通させたロッドにより前記フロントシェルと前記リアシェルとを連結し、前記ロッドの一端部に形成したスタッドボルトを前記フロントシェルを貫通してその外部に延在させ、前記フロントシェルと前記スタッドボルトとの間を、該スタッドボルトに嵌装され、前記フロントシェルの内面に当接する支持プレートに形成された環状溝内に配置したシール部材によりシールする気圧式倍力装置において、前記支持プレートの、前記環状溝を形成した側とは反対側の面に、前記シール部材の厚さよりも高い座高を有し、該支持プレートを逆向きに組付けた際、前記シール部材の周りで前記フロントシェルに先端を当接させる突起を設けたことを特徴とする。このように構成した気圧式倍力装置においては、支持プレートを逆向きに組付けると、該支持プレートに設けた突起がフロントシェルの内面に当接して、支持プレートによるシール部材の押えが効かなくなり、気密漏れを起こす。
本第1の発明において、上記支持プレートに設ける突起は、特にその形状を特定するものではないが、製造が容易であることから筒状とすることができる。この場合、支持プレートを逆向きに組付けると、突起の先端がフロントシェルに全面接触して流体の円滑な流通を妨げるので、支持プレートは、その筒状突起の内・外部を連通する連通路を有する構造とするのが望ましい。
上記第2の課題を解決するための第2の発明は、シェル本体を形成するフロントシェルとリアシェルとを、該シェル本体内に配設したパワーピストンを貫通させたロッドにより連結し、前記ロッドの一端部に形成したスタッドボルトを前記フロントシェルを貫通してその外部に延在させ、該スタッドボルトに嵌合された支持プレートの一面を前記ロッドで係止して前記フロントシェルの内面に当接させると共に、該支持プレートの一面の内径側に形成した環状溝内に前記フロントシェルと前記スタッドボルトとの間をシールするシール部材を配置した気圧式倍力装置において、前記支持プレートの、前記環状溝を形成した側とは反対側の面に、該環状溝と対象をなす環状溝を形成したことを特徴とする。このように構成した気圧式倍力装置においては、支持プレートが表裏対象形状となっているので、どちらの向きで使用しても、支持プレートがフロントシェルに当接する。
第1の発明としての気圧式倍力装置によれば、ロッドに対して支持プレートを逆向きに組付けると、気密漏れが発生するので、気密検査で支持プレートの逆向きの組付けを確実に把握でき、耐久信頼性が著しく向上する。
また、第2の発明としての気圧式倍力装置によれば、支持プレートが表裏対象形状となっているので、ロッドに対して支持プレートをどちらの向きに組付けても、フロントシェルに対する支持プレートのバックアップ機能が損なわれることはなく、第1の発明と同様に耐久信頼性が著しく向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて説明する。
図1(A)、図2および図3は、本発明の一つの実施形態としてのロッド貫通型気圧式倍力装置を示したものである。本気圧式倍力装置はタンデム型として構成されており、図2にその全体構造が示されるように、フロントシェル11とリヤシェル12とからなるシェル本体13内をセンターシェル14により前・後2室に区画し、このセンターシェル14により区画された各室を、さらにダイアフラム15、16を備えたパワーピストン17、18により定圧室19、20と作動圧室21、22とに区画し、各パワーピストン17、18にバルブボデー23を共通に持たせた構造となっている。バルブボデー23は、カップ形状の本体部23aと小径筒部23bとを連設してなっており、その本体部23aがセンターシェル14を気密的にかつ摺動可能に挿通し、その小径筒部23bがリヤシェル12を気密的にかつ摺動可能に挿通している。なお、リヤシェル12は、前記バルブボデー23の挿通部分を小径筒部12aとして構成しており、この小径筒部12aにはバルブボデー23の、シェル本体13からの延出部分を覆うダストブーツ24が装着されている。
上記バルブボデー23の本体部23aには、2つの定圧室19と20とを相互に連通しかつ各定圧室19、20を小径筒部23b内に連通する負圧通路25が設けられるほか、小径筒部23b内とリヤ側の作動圧室22とを連通する第1大気通路26が設けられている。また、リヤ側の定圧室20内には、リヤ側の作動圧室22とフロント側の作動圧室21とを連通する第2大気通路27を提供する複数(ここでは、2本)の連通管28が配設されている(1本は省略)。この連通管28は、その一端部がセンターシェル14に圧入固定されると共に、その他端部がリヤ側パワーピストン18を気密的にかつ摺動可能に挿通してリヤシェル12に近接する部位まで延ばされている。一方、フロント側の定圧室19には、フロントシェル11に設けた管継手29を通じて、例えばエンジン負圧が導入されるようになっており、この負圧は、前記負圧通路25を通じてリヤ側の定圧室20にも供給される。また、バルブボデー23の小径筒部23b内には、その後端部に嵌装したサイレンサ30とフィルタ31とを通じて大気が導入されるようになっており、この大気は、後述の弁機構32の作動により前記第1および第2大気通路26、27を通じて前・後の作動圧室21、22に供給される。
弁機構32は、図3によく示されるように、バルブボデー23の本体部23aに設けた軸孔33に摺動可能に嵌装され、かつブレーキペダル(図示略)と連動する入力ロッド34に連結された弁プランジャ35、バルブボデー23の小径筒部23bの内面に押え部材36により基端部が固定されたポペット弁37、このポペット弁37の先端の外周縁部とバルブボデー23の内周面に形成された環状弁座38とで構成された真空弁39、ポペット弁37の先端の内周縁部と弁プランジャ35の後端に形成された環状弁座40とで構成された大気弁41および前記入力ロッド34に一端が係止され常時は前記ポペット弁37を閉弁方向へ付勢する弁ばね42からなっている。また、前記押え部材36と入力ロッド34との間には戻しばね43が介装されており、弁プランジャ35は、ブレーキペダルからの入力がない非作動時には、この戻しばね43により、その後端の環状弁座40をポペット弁37に当接させる状態を維持するようになっている。
また、上記バルブボデー23の軸孔33内には、前記弁プランジャ35に後端部が連結され該プランジャ35と一体に移動する段付の移動体44が収納されている。この移動体44は、その先端側の小径部44aを軸孔33の小径孔部33aに摺動可能に挿入させている。バルブボデー23の本体部23aのカップ底には、ゴム等の弾性体からなるリアクションディスク45と出力ロッド46の基端カップ部46aとが配置されており、前記移動体44がこのリアクションディスク45の背面に当接可能となっている。出力ロッド46の先端部は、図2示されるように、フロントシェル11の前面に設けられた凹部11aの底を挿通して前方へ延ばされており、これには、該凹部11aに気密的に結合されたマスタシリンダM(図1)が作動連結されるようになる。
また、フロント側の定圧室19内には、バルブボデー23を原位置に戻すための戻しばね47が配設されている。戻しばね47は、その一端をフロントシェル11の凹部11aの後背部に、その他端をばね受け48を介してバルブボデー23のカップ底にそれぞれ当接させる状態で配置されており、バルブボデー23は、この戻しばね47により常時はリヤ側(戻り方向)へ付勢されている。バルブボデー23は、その本体部23aと小径筒部23bとの略境界部分に半径方向から挿入されたストップキー49がリヤシェル12の小径筒部12aに設けた段差部50に当接する位置が原位置となっている。一方、前記ストップキー49の先端部は弁プランジャ35に設けた溝内に係入されており、該ストップキー49によりバルブボデー23に対する弁プランジャ35の相対移動範囲を規制されるようになっている。なお、前記ばね受け48は、リアクションディスク45および出力ロッド46の抜止めとしても用いられている。
さらに、上記リヤ側作動圧室22とフロント側作動圧室21とを連通する連通管28内には、図2に示されるように、フロント側パワーピストン7を気密的にかつ摺動可能に貫通し、フロントシェル11とリヤシェル12とを連結する貫通ロッド(ロッド)51が挿入されている。この貫通ロッド51の両端部にはスタッドボルト52、53が一体に形成されており、これらスタッドボルト52、53は、リヤシェル12およびフロントシェル11を貫通してそれらの外部に延ばされている。
ここで、上記貫通ロッド51のリヤ側は、図3に示されるように、その基端部に設けたフランジ54にリヤシェル12をかしめることにより、該リヤシェル12に対して固定されている。リヤ側のスタッドボルト52は、前記フランジ54に対するリヤシェル12のかしめ部の内側に設定されており、これによりリヤシェル12とスタッドボルト52との間の気密が確保されている。このリヤ側のスタッドボルト52は、本気圧式倍力装置を車体に取付けるための取付ボルトとして用いられるもので、ここでは、貫通ロッド51と一体に円周方向に180度間隔で2本(1本は省略)設けられている。リヤシェル12の後面にはまた、前記貫通ロッド51と一体のスタッドボルト52とは別に、該スタッドボルト52と90度位相を異にする配置で、他のスタッドボルト55(図2)が2本(1本は省略)植立されており、本気圧式倍力装置は、これらスタッドボルト52、55を利用して車体に取付けられる。なお、本実施形態においては、スタッドボルト52とスタッドボルト55とを90度位相を異にする配置としたが、異相を異にする角度はこれに限ることはない。
一方、貫通ロッド51のフロント側は、図1(A)によく示されるように、そのスタッドボルト53に嵌合した支持プレート56とこの支持プレート56に保持させたシール部材57とを介してフロントシェル11に連結されている。より詳しくは、支持プレート56は、貫通ロッド51の端面(段差面)51aに一端が係止された状態で、その一面をフロントシェル11の内面に当接させている。この支持プレート55の一面の内径側には環状溝58が形成されており、前記シール部材57はこの環状溝58内に配置されている。フロント側のスタッドボルト53は、フロントシェル11を貫通してその前方へ延ばされており、これには、図2に示したようにマスタシリンダMのフランジFが嵌合されるようになっている。マスタシリンダMのフランジFは、前記スタッドボルト53に螺合させたナットNによりフロントシェル11と共に前記支持プレート56に対して締付け固定されるようになっている。そして、この締付け固定された状態において前記シール部材57は前記環状溝58内で圧縮変形してスタッドボルト53の周面に密着し、これによりフロントシェル11とスタッドボルト53との間がシールされる。
しかして、上記支持プレート56は、同じく図1(A)に示されるように、前記シール部材57用の環状溝58を形成した側とは反対側の面に、筒状突起59を設けている。この筒状突起59は、支持プレート56の外周縁部から立上げられており、前記シール部材57の厚さ(非圧縮状態の厚さ)よりも高い座高を有している。また、この筒状突起59の先端部の円周方向の一部には、切欠60が形成されている。筒状突起59は、図1(A)に示されるように、貫通ロッド51と一体をなすスタッドボルト53に正規に支持プレート56が組付けられた状態で、貫通ロッド51の周りに距離を置いて配置されており、したがって、この筒状突起59がスタッドボルト53に対する支持プレート56の組付けの障害になることはない。
一方、図1(B)に示されるように、万一、支持プレート56がスタッドボルト53に対して表裏逆向きに組付けられた場合は、前記筒状突起59の先端がシール部材57の周りでフロントシェル11の内面に当接する。この場合、筒状突起59の座高がシール部材57の厚さよりも高いことから、シール部材57は、フロントシェル11から離れた状態で位置決めされ、これによりフロントシェル11とスタッドボルト53との間の気密が開放される。また、筒状突起59の先端部に設けた切欠60が、突起59の内部と外部とを連通する連通路として機能するので、前記フロント側定圧室19には大気が導入される。
本気圧式倍力装置は、予めスタッドボルト53とナットNとを利用してマスタシリンダMと一体に製品化され、この状態で気密検査に供される。この場合、万一、支持プレート56がスタッドボルト53に対して、図1(B)に示されるように表裏逆向きに組付けられていると、フロントシェル11とスタッドボルト53との隙間および支持プレート56の筒状突起56に設けた切欠60を通じてフロント側定圧室19に大気が流入し、本気圧式倍力装置は、不良品(気密漏れ)と判定される。すなわち、従来のように(図8)、支持プレート(4)が逆向きに組付けられたまま出荷されることはなく、したがって、フロントシェル11が不用意に変形して使用中に気密漏れを起こすこともない。一方、良品として出荷された気圧式倍力装置は、前記したように貫通ロッド51と一体のスタッドボルト52と該貫通ロッド51と別体のスタッドボルト55とを利用して車体に取付けられ、この取付状態でその入力ロッド34にブレーキペダルが連結される。
そして、上記取付状態でブレーキペダルが踏込まれると、入力ロッド34が前進して弁プランジャ35が前進し、弁プランジャ35の後端の大気用弁座40がポペット弁37から離間して大気弁41が開く。これにより、サイレンサ30およびフィルタ31を通してバルブボデー23の小径筒部23b内に大気が流入し、この大気は、第1大気通路26を経てリヤ側の作動圧室22に導入され、さらに連通管28内の第2大気通路27を通じてフロント側の作動圧室21へも導入される。この結果、前・後の作動圧室21、22と負圧が導入されている前・後の定圧室19、20との間に圧力差が発生し、この圧力差により前・後のパワーピストン17、18が推進し、その推力がバルブボデー23から出力ロッド46を経てマスタシリンダM側へ出力され、倍力作用が開始される。なお、この倍力作用時には、出力反力がリアクションディスク45から移動体44および弁プランジャ35を経て入力ロッド34に伝達される。
一方、ブレーキペダルに対する踏力が解放されると、入力ロッド34が戻しばね43のばね力によって後退すると共に、弁プランジャ35も後退し、これにより、弁プランジャ35の後端の大気用弁座40がポペット弁37に当接して大気弁41が閉じられる一方で、ポペット弁37が弁プランジャ35により持上げられて負圧弁39が開き、前・後の作動圧室21、22に負圧通路25および第1、第2大気通路26、27を通じて負圧が導入され、上記した圧力差が解消される。その後は、フロント側の負圧室19内の戻しばね47のばね力によりバルブボデー23が後退し、ストップキー49がリヤシェル12内の段差部50に当接する原位置にバルブボデー23が復帰し、これと同時に弁プランジャ35も原位置に復帰して前記負圧弁39が閉じる。
ここで、上記実施形態において、支持プレート56の筒状突起59の先端部に形成した切欠60を、該突起59の内・外を連通する連通路として用いたが、この連通路は、図4(A)に示すように、支持プレート56に穿設した貫通孔61に代えることができる。この場合は、図4(B)に示されるように、万一、支持プレート56がスタッドボルト53に対して表裏逆向きに組付けられていると、前記貫通孔61を通じて大気がフロント側の定圧室19に流入し、上記実施形態と同様に漏れ検査で不良品(気密漏れ)と判定される。
また、上記実施形態においては、支持プレート52の外周縁部から筒状突起59を立上げたが、この筒状突起59は、図5(A)に示されるように、支持プレート52の中心側に寄った部位から立上げてもよいものである。ただし、この場合は、同図に示したように支持プレート56がスタッドボルト53に正規状態で組付けられた際、貫通ロッド51と干渉せず、かつ同図(B)に示したように支持プレート56が逆向きにスタッドボルト53に組付けられた際、シール部材57と干渉しない位置に突起59を設ける必要がある。
なお、上記支持プレート52に設けた突起59は、周方向に断続する突起としてもよいのもので、この場合は、突起の相互間の空所が流通路となるので、上記した切欠60(図1、図5)または貫通孔61(図4)を省略することができる。また、上記した筒状突起59は、単にフロントシェル11の内面に当接させただけでも、該突起59とフロントシェル11との間の微小隙間を通じて大気が流通するので、本発明は、前記流通路60、61がなくても成立する。ただし、この場合は、フロント側定圧室19への大気流入に時間がかかるので、漏れ試験の時間が延長する。
図6は、上記支持プレートの他の実施形態を示したものである。本実施形態における支持プレート52´は、、シール部材57が配置される環状溝58が形成される側と反対側の面にも、該環状溝58と対象をなす環状溝58´を形成したことを特徴とする。このように構成した支持プレート52´においては、支持プレート52´が表裏対象形状となっているので、どちらの向きで使用しても、支持プレート52´の一面がフロントシェル11に当接し、フロントシェル11に対する支持プレートのバックアップ機能が損なわれることはない。
なお、上記各実施形態においては、タンデム型として構成した気圧式倍力装置を示したが、本発明は、パワーピストンを1つだけ設けたシングル型として構成してもよいことはもちろんである。
本発明の1つの実施形態としての気圧式倍力装置におけるスタッドボルトの周りのシール構造を示したもので、(A)支持プレートの正規組付状態と(B)逆向き組付状態とを示す断面図である。 本発明の1つの実施形態としての気圧式倍力装置の全体構造を示す断面図である。 本気圧式倍力装置の要部構造を示す断面図である。 本気圧式倍力装置におけるスタッドボルトの周りの他のシール構造を示したもので、(A)支持プレートの正規組付状態と(B)逆向き組付状態とを示す断面図である。 本気圧式倍力装置におけるスタッドボルトの周りの、さらに他のシール構造を示したもので、(A)支持プレートの正規組付状態と(B)逆向き組付状態とを示す断面図である。 本気圧式倍力装置におけるスタッドボルトの周りの、さらに他のシール構造を示す断面図である。 従来の気圧式倍力装置におけるスタッドボルトの周りのシール構造を示す断面図である。 図7に示したシール構造における支持プレートの逆向き組付状態とを示す断面図である。
符号の説明
11 フロントシェル
12 リヤシェル
13 シェル本体
14 センターシェル
17、18 パワーピストン
19、20 定圧室
21、22 作動圧室
23 バルブボデー
32 弁機構
34 入力ロッド
46 出力ロッド
51 貫通ロッド
53 スタッドボルト
56、56´ 支持プレート
57 シール部材
58、58´ 環状溝
59 筒状突起
60 切欠(連通路)
61 貫通孔(連通路)

Claims (3)

  1. シェル本体を形成するフロントシェルとリアシェルとを、該シェル本体内に配設したパワーピストンを貫通させたロッドにより連結し、前記ロッドの一端部に形成したスタッドボルトを前記フロントシェルを貫通してその外部に延在させ、該スタッドボルトに嵌合した支持プレートを前記ロッドで係止して前記フロントシェルの内面に当接させると共に、該支持プレートに形成した環状溝内に前記フロントシェルと前記スタッドボルトとの間をシールするシール部材を配置した気圧式倍力装置において、前記支持プレートの、前記環状溝を形成した側とは反対側の面に、前記シール部材の厚さよりも高い座高を有し、該支持プレートを逆向きに組付けた際、前記シール部材の周りで前記フロントシェルに先端を当接させる突起を設けたことを特徴とする気圧式倍力装置。
  2. 支持プレートの突起が筒状をなし、支持プレートは、その筒状突起の内部と外部とを連通する連通路を有していることを特徴とする請求項1に記載の気圧式倍力装置。
  3. シェル本体を形成するフロントシェルとリアシェルとを、該シェル本体内に配設したパワーピストンを貫通させたロッドにより連結し、前記ロッドの一端部に形成したスタッドボルトを前記フロントシェルを貫通してその外部に延在させ、該スタッドボルトに嵌合した支持プレートを前記ロッドで係止して前記フロントシェルの内面に当接させると共に、該支持プレートに形成した環状溝内に前記フロントシェルと前記スタッドボルトとの間をシールするシール部材を配置した気圧式倍力装置において、前記支持プレートの、前記環状溝を形成した側とは反対側の面に、該環状溝と対象をなす環状溝を形成したことを特徴とする気圧式倍力装置。

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