JP2005160464A - NF−κBオリゴヌクレオチドデコイ分子 - Google Patents

NF−κBオリゴヌクレオチドデコイ分子 Download PDF

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Abstract

【課題】新規NF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)の開発、および、その薬学的組成物。
【解決手段】 その第一鎖において5’から3’の方向に、処方物FLANK1−CORE−FLANK2の配列を含むNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)からなる特定の配列からなる群より選択される分子、および、それらを投与する炎症性疾患、免疫性疾患または自己免疫性疾患を処置する方法。
【選択図】 なし

Description

(発明の分野)
本発明は、NF−κBオリゴヌクレオチドデコイ分子に関する。
(発明の背景)
(関連技術の説明)
NF−κBは、共通の配列モチーフを認識するDNA結合タンパク質のRelファミリーのメンバーから構成される誘導性二量体転写因子のファミリーである。をの活性なDNA結合形態において、NF−κBは、NF−κB/Relファミリーのメンバーの種々の組合せから構成されるダイマーの不均質収集物である。現在のところ、このファミリーは、5個のメンバー(p52、p50、p65、cRelおよびRel Bと命名される)から構成される。このRelファミリーのメンバー間の相同性は、約300アミノ酸のサイズであり、これらのタンパク質のDNA結合ドメインを構成するRel相同性ドメインにわたる。
異なるNF−κB二量体は、コンセンサス配列GGGRNNYYCC(配列番号1)(ここで、Rは、プリンであり、Yは、ピリミジンであり、そしてNは、任意の塩基である)を有するNF−κB部位に対する異なる結合親和性を示す。これらのRelタンパク質は、転写を活性化する能力が異なり、その結果、p65/RelAおよびc−Relのみが、哺乳動物ファミリーメンバーの中で、強力な転写活性化ドメインを含むことが見出された。NF−κBは、細胞質中でその不活性形態で見出され、この細胞質において、このNF−κBは、p65/p50二量体の核局在シグナル領域を占める43kDaのタンパク質IκBに結合している。NF−κBの活性化は、IκBのタンパク質分解性崩壊、その後のRelA/p50複合体の核への輸送で始まり、この核において、NF−κBは、DNA上のその認識部位に結合し、そして標的遺伝子の転写を活性化する。NFκBファミリーのさらなる総説については、例えば、Gomezら、Frontiers in Bioscience 2:49−60(1997)を参照のこと。
p52およびp50は、トランス活性化(transactivation)ドメインを含まない。転写活性化ドメインを欠くp52および/またはp50タンパク質のみから構成される二量体は、一般に、転写の活性化因子ではなく、そして転写抑制を媒介し得る。
Rel/NF−κBファミリーの転写因子は、免疫応答および炎症応答の重要な調節因子であり、そしてリンパ球の増殖、生存および腫瘍形成に寄与する。従って、NF−κBは、炎症、細胞増殖および免疫応答に関与するいくつかの遺伝子の発現において重要な役割を果たす(D’Acquistoら、Gene Therapy 7:1731−1737(2000);Griesenbachら、Gene Therapy 7,306−313(2000);Morishitaら、Gene Therapy 7:1847−1852(2000))。NF−κBにより調節される遺伝子のうちの多くが、種々の疾患および状態(例えば、いくつか挙げると、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、再狭窄、心筋梗塞、虚血再灌流障害、糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、伏在静脈移植、アルツハイマー病)において重要な役割を果たす。例えば、Khaledら、Clinical Immunology and Immunopathology 86(2):170−179(1998);Morishitaら、Nature Medicine 3(8):894−899(1997);Cho−Chungら、Current Opinion in Molecular Therapeutics 1(3):386−392(1999);Nakamuraら、Gene Therapy 9:1221−1229(2002);Shintaniら、Ann.Thorac.Surg.74:1132−1138(2002);およびLiら、J.Neurochem.74(1):143−150(2000)を参照のこと。
NF−κBデコイは、管形成術後の新内膜過形成、再狭窄および心筋梗塞の阻害のために提案された(Yoshimuraら、Gene Therapy 8:1635−1642(2001);Morishitaら、Nature Medicine 3(8):894−899(1997))。移植後の再灌流障害、急性拒絶および慢性拒絶のより大きな阻害は、同種移植片の生存の延長および移植冠状動脈疾患の減少をもたらす(Freeleyら、Transplantation 70(11):1560−1568(2000))。NFκBデコイのインビボトランスフェクションは、急性心筋炎の処置のための新規のストラテジーを提供する(Yokosekiら、前出)。Uenoら(前出)は、NFκBデコイによりNFκBをブロックすることにより、心臓における虚血再灌流障害が防止されることを報告した。
ヒト単球細胞株のMono Mac 6が、低用量のリポポリサッカリド(LPS)で2日間、予め処置された場合、その後のLPS刺激に対する応答は、強烈に減少することが示された(Ziegler−Heitbrockら、J.Leukoc.Biol.55(10:73−80(1994);KastenbauerおよびZiegler−Heitbrock,Infect.Immunol.67(4):1553−9(1999))。これらのLPS耐性細胞をLPSで刺激した場合、これらの細胞は、ゲルシフトアッセイにより示されるように、優勢なp50ホモ二量体を示す。次いで、著者らは、レポーター遺伝子分析によって、遺伝子発現に対する変更されたNF−κB複合体の影響を試験した。NF−κB依存性HIV−1 LTRレポーター遺伝子構築物を、Mono Mac 6細胞にトランスフェクトし、続いて、LPSと共にかまたはLPSなしで予備培養し、そしてルシフェラーゼ活性を測定した。LPS耐性細胞を試験した場合、LPS刺激は、NF−κB依存性HIV−1 LTRレポーター遺伝子のトランス活性化を増大しなかった。このことは、LPS耐性細胞中に存在するNF−κB複合体が、機能的に不活性であることを示す。このことはまた、NF−κB−制御TNF遺伝子の転写に適用可能であった。TNFプロモーター制御ルシフェラーゼレポーター構築物を使用すると、LPS耐性細胞は、LPS刺激に対して最小の応答しか示さなかった。従って、LPS耐性により誘導されるp50ホモ二量体は、トランス活性化活性を欠くことが結論付けられた。その代わり、これらのp50ホモ二量体は、同族NF−κB結合部位を占め、そしてp50/p65複合体によるトランス活性化、すなわち転写を防止する。
(発明の要旨)
項目1. その第一鎖において5’から3’の方向に、処方物FLANK1−CORE−FLANK2の配列を含むNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子であって、ここで、
COREは、GGGACTTTCC(配列番号5);GGGACTTTCC(配列番号7);GGGACTTTCCC(配列番号9);GGGATTTCC(配列番号11);GGACTTTCC(配列番号13);GACTTTCC(配列番号15);GACTTTCCC(配列番号17);GGATTTCC(配列番号19);GGATTTCCC(配列番号21);GATTTCC(配列番号23);GATTTCCC(配列番号24);GGACTTTCCC(配列番号25);およびAGGACTTTCCA(配列番号78)からなる群より選択され;
FLANK1は、CCTTGAA(配列番号79);AT;TC;CTC;CT;AGTTGA(配列番号80)、TTGA(配列番号81);AGTTGC(配列番号82);GTTGA(配列番号83);A;AAGA(配列番号84);ATAT(配列番号85);CAAC(配列番号86);CAGT(配列番号87);TGA;およびGAからなる群より選択され;
FLANK2は、TCC;GT;TC;TGT;TCA;TC;CA;AGGC(配列番号88);.AG;AGG;A;AGAG(配列番号89);TTAA(配列番号90);ACAC(配列番号91);ACTG(配列番号92);およびAGGCT(配列番号93)からなる群より選択される、NF−κB dsODN分子。
項目2. 項目1に記載のNF−κB dsODN分子であって、ここで、
COREが、GGGATTTCC(配列番号11);GGACTTTCC(配列番号13);およびGGATTTCC(配列番号19)からなる群より選択され;
FLANK1がATであり、かつFLANK2がGTであるか;またはFLANK1がTCであり、かつFLANK2がTCであるか;またはFLANK1がCTCであり、かつFLANK2がTGTであるか;またはFLANK1がAGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2がAGGC(配列番号88)である、NF−κB dsODN分子。
項目3. COREがGGGATTTCC(配列番号11)であるか;またはGGACTTTCC(配列番号13)であり、FLANK1がAGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2がAGGC(配列番号88)である、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目4. COREがGGACTTTCC(配列番号13)であり、FLANK1がAGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2がAGGC(配列番号88)である、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目5. 少なくとも約40の特異性/親和性因子を有する、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目6. 前記第一鎖に少なくとも部分的に相補的な第二鎖を有する、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目7. 前記第一鎖に完全に相補的な第二鎖を有する、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目8. ホスホジエステレート骨格(phosphodiesterate backbone)を有する、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目9. ホスホロチオエート骨格を有する、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目10. ホスホジエステレート−ホスホロチオエート混合骨格を有する、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目11. 前記第一鎖および第二鎖が、ワトソン−クリック塩基対形成によってのみ互いに結合される、項目3に記載のNF−κB dsODN分子。
項目13. 配列番号26〜77からなる群より選択される配列を、5’から3’方向に含む、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目14. 配列番号26〜77からなる群より選択される配列から構成される鎖を、5’から3’方向に含む、項目13に記載のNF−κB dsODN分子。
項目15. 配列番号26〜34からなる群より選択される配列を、5’から3’方向に含む、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目16. 配列番号26〜34の配列からなる鎖を、5’から3’方向に含む、項目15に記載のNF−κB dsODN分子。
項目17. 配列番号26〜31からなる群より選択される配列を、5’から3’方向に含む、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目18. 配列番号26〜31からなる群より選択される配列から構成される鎖を、5’から3’方向に含む、項目17に記載のNF−κB dsODN分子。
項目19. 配列番号30の配列を含む、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目20. 配列番号30の配列からなる鎖を、5’から3’方向に含む、項目19に記載のNF−κB dsODN分子。
項目21. 前記第一鎖内に、前記FLANK1−CORE−FLANK2配列に少なくとも部分的に相補的な配列を含む第二鎖をさらに含む、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目22. 前記第一鎖内に、前記FLANK1−CORE−FLANK2配列に完全に相補的な配列を含む第二鎖をさらに含む、項目1に記載のNF−κB dsODN分子。
項目23. 少なくとも1つの一本鎖オーバーハングをさらに含む、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目24. 2つの鎖が、5’末端および/3’末端で、ペプチド結合以外の共有結合によって連結される、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目25. 12〜28塩基長である、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目26. 14〜24塩基長である、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目27. 14〜22塩基長である、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目28. 改変ヌクレオチドまたは異常なヌクレオチドを含む、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目29. ホスホジエステル骨格を有する、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目30. ホスホロチオエート骨格を有する、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目31. ホスホジエステル−ホスホロチオエート混合骨格を有する、項目21に記載のNF−κB dsODN分子。
項目32. 項目1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子を含む、組成物。
項目33. 前記dsODN分子を薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的組成物である、項目32に記載の組成物。
項目34. 炎症性疾患、免疫疾患または自己免疫疾患を処置する方法であって、必要のある哺乳動物被験体に、項目1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子の有効量を投与する工程を包含する、方法。
項目35. 前記哺乳動物被験体が、ヒトである、項目34に記載の方法。
項目36. 前記35に記載の方法であって、前記炎症性疾患、免疫疾患または自己免疫疾患が、乾癬およびアトピー性皮膚炎;全身性強皮症および硬化症;炎症性腸疾患(IBD);クローン病;潰瘍性大腸炎;外科的組織再灌流傷害;心筋梗塞;心停止;心臓手術後の再灌流;経皮経管的動脈新脈管形成後の再構築(constriction after percutaneous transluminal coronary angioplasty);発作;腹部大動脈瘤;発作後の大脳虚血;頭蓋外傷、血液量減少性ショック;喘息;自己免疫性糖尿病;呼吸停止;成人呼吸窮迫症候群;急性肺損傷;ベーチェット病;皮膚筋炎;多発性筋炎;多発性硬化症(MS);髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;変形性関節症;ループス腎炎;全身性エリテマドーデス;慢性関節リウマチ(RA)、リウマチ様脊椎炎;痛風性関節炎;シェーグレン症候群(Sjorgen’s syndrome)、血管炎;白血球の漏出を含む疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害、アルツハイマー病;敗血症または外傷後の多臓器損傷症候群;アルコール性肝炎;細菌性肺炎;糸球体腎炎を含む抗原−抗体複合体媒介性疾患;敗血症;サルコイドーシス;組織/臓器移植に対する免疫病理学的応答;胸膜炎、歯槽骨炎、血管炎、肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、過敏性肺炎、特発性肺線維症(IPF)、慢性肺炎症性を含む、胚の炎症;嚢胞性線維症;乾癬;胸焼け(pyresis);および眼アレルギーからなる群より選択される、方法。
項目37. 前記炎症性疾患または自己免疫疾患が、慢性関節リュウマチ(RA)、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎;自己免疫性糖尿病、多発性硬化症(MS)、喘息、全身性エリテマトーデス、成人呼吸窮迫症候群、ベーチェット病、乾癬、慢性肺炎症性疾患、移植片対宿主反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、アルツハイマー病、および胸焼けからなる群より選択される、項目36に記載の方法。
項目38. 前記dsODN 分子が、加圧法トランスフェクションによって投与される項目37に記載の方法。
項目39. 前記dsODN 分子が、レトロウイルストランスフェクションによって投与される項目37に記載の方法。
項目40. 前記dsODN分子が、リポソームにより投与される、項目37に記載の方法。
項目41. 癌を処置する方法であって、必要のある哺乳動物被験体に、項目1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子の有効量を投与する工程を包含する、方法。
項目42. 前記被験体がヒトである、項目41に記載の方法。
項目43. 再灌流障害または再狭窄を処置する方法であって、必要のある哺乳動物被験体に、項目1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子の有効量を投与する工程を包含する、方法。
項目44. 前記被験体がヒトである、項目43に記載の方法。
本発明は、二本差NF−κBデコイオリゴデオキシヌクレオチド(NF−κBdsODN)分子に関し、この分子は、NF−κB転写因子に特異的に結合し得るコア配列を含む。特定の局面において、本発明は、p50/p50ホモダイマーよりもp50/p65ヘテロ二量体および/またはcRel/p50ヘテロ二量体に優先的に結合するNF−κBデコイ分子に関する。本発明の選択的デコイ分子は、p50/p50ホモ二量体をブロックしないことにより、これらのホモ二量体がNF−κB調節遺伝子のプロモーターをブロックすることを可能にし、それにより、遺伝子転写のさらなるレベルのネガティブ調節を提供する。結果として、この選択的NF−κBデコイ分子は、インビトロおよびインビボの両方において、NF−κB活性の特に強力なインヒビターである。実際、単回用量の選択的デコイは、慢性関節リウマチ(RA)のインビボモデルにおいて、腫脹を有意に減少させることが示されている。
1つの局面において、本発明は、p50/p50ホモ二量体よりもp50/p65ヘテロ二量体および/またはcRel/p50ヘテロ二量体に優勢に結合する、二本差NF−κBデコイオリゴデオキシヌクレオチド(NF−κB dsODN)分子に関する。
別の局面において、本発明は、少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約70、または少なくとも約80の特異性/親和性率を有するNF−κB dsODN分子に関する。好ましい実施形態において、本発明のデコイ分子はさらに、p50/p65ヘテロ二量体に対する結合親和性の増加を示し、そして/またはインビボにおける改善された安定性を有する。
さらなる局面において、本発明は、第1の鎖中に、5’→3’方向で、式FLANK1−CORE−FLANK2の配列を含む、dsODN分子に関し、ここで、
COREは、GGGACTTTCC(配列番号5);GGGACTTTCC(配列番号7);GGGACTTTCCC(配列番号9);GGGATTTCC(配列番号11);GGACTTTCC(配列番号13)、GACTTTCC(配列番号15);GACTTTCCC(配列番号17);GGATTTCC(配列番号19);GGATTTCCC(配列番号21);GATTTCC(配列番号23);GATTTCCC(配列番号24);GGACTTTCCC(配列番号25);およびAGGACTTTCCA(配列番号78)からなる群から選択され;
FLANK1は、CCTTGAA(配列番号79);AT;TC;CTC;CT;AGTTGA(配列番号80);TTGA(配列番号81);AGTTGC(配列番号82);GTTGA(配列番号83);A;AAGA(配列番号84);ATAT(配列番号85);CAAC(配列番号86);CAGT(配列番号87);TGA;およびGAからなる群から選択され;そして
FLANK2は、TCC;GT;TC;TGT;TCA;TC;CA;AGGC(配列番号88);AG;AGG;A;AGAG(配列番号89);TTAA(配列番号90);ACAC(配列番号91);ACTG(配列番号92);およびAGGCT(配列番号93)からなる群から選択される。
特定の実施形態において、
COREは、GGGATTTCC(配列番号11);GGACTTTCC(配列番号13);およびGGATTTCC(配列番号19)からなる群から選択され;そして
FLANK1は、ATであり、かつFLANK2が、GTであるか;またはFLANK1が、TCであり、かつFLANK2が、TCであるか;またはFLANK1が、CTCであり、かつFLANK2が、TGTであるか;またはFLANK1が、AGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2が、AGGC(配列番号88)である。
別の特定の実施形態において、COREは、GGGATTTCC(配列番号11);またはGGACTTTCC(配列番号13)であり、FLANK1は、AGTTGA(配列番号80)であり、そしてFLANK2は、AGGC(配列番号88)である。
さらに別の特定の実施形態において、COREは、GGACTTTCC(配列番号13)であり、FLANK1は、AGTTGA(配列番号80)であり、FLANK2は、AGGC(配列番号88)である。
このNF−κB dsODN分子は、この第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖を含み、そしてホスホジエステレート骨格、ホスホロチオエート骨格、ホスホジエステレート−ホスホロチオエート混合骨格、または任意の他の改変された骨格を有し得る。
これらの2つの鎖は、単に、Watson−Crick塩基対形成によって、および/または共有結合によってのみ、互いに連結され得る。
さらなる局面において、本発明は、配列番号26〜77からなる群から選択される配列を、5’→3’方向で含む、NF−κB dsODN分子に関する。
なおさらなる局面において、本発明は、配列番号26〜34からなる群から選択される配列を、5’→3’方向で含む、NF−κB dsODN分子に関する。
別の局面において、本発明は、配列番号26〜31からなる群から選択される配列を、5’→3’方向で含む、NF−κB dsODN分子に関する。
さらに別の局面において、本発明は、配列番号30の配列を含む、NF−κB dsODN分子に関する。
特定の実施形態において、このNF−κB dsODN分子は、12〜28塩基対長、または14〜24塩基対長、または14〜22塩基対長であり、そして改変されたかまたは異常なヌクレオチドを含み得る。
別の局面において、本発明は、上記のようなNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)を含む組成物に関する。この組成物は、例えば、薬学的組成物であり得る。
さらに別の局面において、本発明は、炎症疾患、免疫疾患または自己免疫疾患の処置のための方法に関し、この方法は、このような処置を必要とする哺乳動物被験体に、有効量の上記のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子を投与する工程を包含する。
本発明はさらに、癌の処置のための方法に関し、この方法は、このような処置を必要とする哺乳動物被験体に、有効量の本明細書中のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子を投与する工程を包含する。
さらなる局面において、本発明は、再灌流障害または再狭窄の処置のための方法に関し、この方法は、このような処置を必要とする哺乳動物被験体に、有効量の本明細書中のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子を投与する工程を包含する。
全ての局面において、哺乳動物被験体は、好ましくはヒトである。
(発明の詳細な説明)
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(A.定義)
他に定義されない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されている意味と同じ意味を有する。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第2版、J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)、およびMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 第4版、John Wiley & Sons(New York,NY 1992)は、本願で使用される用語の多くに対する一般的な説明を当業者に提供する。
用語「二本鎖」は、Watson−Crick塩基対形成によってのみ互いに連結される2つの相補ヌクレオチド鎖を含む核酸分子をいうために使用される。この用語は、特に、2つの相補鎖により形成される二本鎖領域に加えて、一本鎖オーバーハングを含む分子を含む。
用語「オリゴヌクレオチドデコイ」、「二本鎖オリゴヌクレオチドデコイ」、「オリゴデオキシヌクレオチドデコイ」および「二本鎖オリゴデオキシヌクレオチドデコイ」は、交換可能に使用され、そして標的転写因子に結合し、そしてこの標的転写因子の生物学的機能を妨害する二本鎖領域を含む、短い核酸分子をいう。従って、用語「NF−κBオリゴヌクレオチドデコイ」、「二本鎖NF−κBオリゴヌクレオチドデコイ」、「NF−κBオリゴデオキシヌクレオチドデコイ」および「二本鎖NF−κBオリゴデオキシヌクレオチドデコイ」は、交換可能に使用され、そしてNF−κB転写因子に結合し、そしてこのNF−κB転写因子の生物学的機能を妨害する二本鎖領域を含む、短い核酸分子をいう。用語「二本鎖」は、Watson−Crick塩基対形成により互いに連結される2つの相補ヌクレオチド鎖を含む核酸分子をいうために使用される。この用語は特に、2つの相補鎖により形成される二本鎖領域に加えて、一本鎖オーバーハングを含む、NF−κBオリゴデオキシヌクレオチドデコイ分子を含む。さらに、この用語は、特に、この二本鎖領域に加えて、2つの鎖が、その3’末端および/または5’末端で互いに共有結合されているNF−κBオリゴデオキシヌクレオチドデコイ分子を含む。
用語「NF−κB」は、本明細書中において最も広い意味で使用され、そして任意の動物種の全ての天然に存在するNF−κB分子(NF−κB/Relファミリーのメンバー(例えば、p52、p50、p65、cRelおよびRel B)の全ての組合せを含む)を含む。
用語「転写因子結合配列」は、転写因子が結合する短いヌクレオチド配列である。この用語は、特に、その転写が1つ以上の転写因子により調節される遺伝子の調節領域において代表的に見出される天然に存在する結合配列を含む。この用語はさらに、人工(合成)配列(これは、天然には存在しないが、内在性遺伝子中の結合部位への転写因子の結合を競合的に阻害し得る)を含む。
本明細書中で使用される場合、成句「改変されたヌクレオチド」とは、組成および/または構造が、天然のヌクレオチドおよびヌクレオチド三リン酸とは異なるヌクレオチドまたはヌクレオチド三リン酸をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「5プライム」または「5’」、および「3プライム」または「3’」は、核酸に対する特定の方向をいう。核酸は、個々の化学的方向を有し、その結果、これらの2つの末端は、5プライム(5’)または3プライム(3’)のいずれかとして区別される。核酸の3’末端は、末端ペントース糖の3’炭素に結合した遊離ヒドロキシル基を含む。核酸の5’末端は、末端ペントース糖の5’炭素に結合した遊離ヒドロキシル基またはホスフェート基を含む。
本明細書中で使用される場合、用語「オーバーハング」とは、平滑末端を有さない二本鎖核酸分子をいい、その結果、これら2つの鎖の末端は、同一の長さを有さず、そしてその結果、一方の鎖の5’末端は、反対の相補鎖の3’末端を越えて伸長する。線状核酸分子が、0、1または2個の5’オーバーハングを有することが可能である。
本明細書中において使用される場合、用語「優先的結合」、「優先的に結合する」およびこれらの文法的等価物は、特異性/親和性因子が少なくとも約40であることを意味するように使用され、ここで、特異性/親和性の比は、以下のように定義される:
特異性/親和性因子=(Sp50/p50−SP65/p50)×Sp50/p50/Sp65/p50
ここで、Sp50/p50は、HIV由来の非哺乳動物NF−κBプロモーター(配列113/114)に対するp50/p50の結合の50%を完了するために必要とされるデコイのモル過剰に等しく、そしてSP65/p50は、HIV由来の非哺乳動物NF−κBプロモーター(配列113/114)に対するp65/p50の結合の50%を完了するために必要とされるデコイのモル過剰に等しい。スコア(S)は、試験されるいずれのモル比においてもデコイが結合の少なくとも50%を完了し得ない場合に、100とみなされる。
本明細書中において使用される場合、用語「炎症性疾患」または「炎症性障害」とは、代表的に好中球走化性によって引き起こされる、炎症を生じる病理学的状態をいう。このような障害の例としては、炎症性皮膚病(乾癬およびアトピー性皮膚炎が挙げられる);全身性強皮症および全身性硬化症;炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)に関連する応答;虚血性再灌流障害(手術組織再灌流障害、心筋虚血状態(例えば、心筋梗塞、心拍停止、心臓手術後の再灌流および経皮的経管的冠状動脈形成術後の狭窄、発作、ならびに腹大動脈の動脈瘤)が挙げられる);発作に続発する脳水腫;頭側の外傷、循環血液量減少性ショック;仮死;成人呼吸促進症候群;急性肺傷害;ベーチェット病;皮膚筋炎;多発性筋炎;多発性硬化症(MS);髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;変形性関節症;ループス腎炎;自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群、脈管炎);白血球漏出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害、敗血症または外傷に続発する多発性器官傷害症候群;アルコール性肝炎;細菌性肺炎;抗原−抗体複合体媒介疾患(糸球体腎炎が挙げられる);セプシス;サルコイドーシス;組織/器官移植に対する免疫病理学的応答;肺の炎症(胸膜炎、肺胞炎、脈管炎、肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、過敏性肺臓炎、特発性肺線維症(IPF)、および嚢胞性線維症が挙げられる)などが挙げられる。好ましい適応症としては、限定されないが、炎症および関連する障害に関連する任意の疾患または障害と共に、慢性関節リウマチ(RA)、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎および他の関節炎状態、慢性炎症、自己免疫糖尿病、多発性硬化症(MS)、喘息、全身性エリテマトーデス、成人呼吸促進症候群、ベーチェット病、乾癬、慢性肺炎症性疾患、対宿主性移植片反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、アルツハイマー病、および胸焼け(pyresis)が挙げられる。
用語「アポトーシス」および「アポトーシス活性」は、広い意味で使用され、そして代表的には1つ以上の特徴的な細胞変化(細胞質の濃縮、原形質膜の微小絨毛の損失、核の分裂、染色体DNAの分解またはミトコンドリア機能の損失が挙げられる)を伴う、哺乳動物における細胞死の秩序立った形態または制御された形態をいう。この活性は、例えば、細胞生存度アッセイ、FACS分析またはDNA電気泳動によって、決定および測定され得る。
用語「癌」および「癌性」とは、調節されていない細胞増殖によって代表的に特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態をいうか、または記載する。癌の例としては、限定されないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、および肉腫が挙げられる。このような癌の特定の例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胸部癌、膵臓癌、多形性膠芽腫、頸部癌、胃癌、膀胱癌、ヘパトーム、結腸癌腫、ならびに頭部および頸部の癌が挙げられる。好ましい実施形態において、癌としては、胸部癌、卵巣癌、前立腺癌、および肺癌が挙げられる。
用語「処置」とは、治療処置および予防(prophylactic)手段または予防的(preventative)手段の両方をいい、ここで、その目的は、標的の病理学的状態または障害を予防するか、または遅く(少なく)することである。本発明の目的で、有用または望ましい臨床的結果としては、限定されないが、検出可能であっても検出不可能であっても、症状の軽減、疾患の程度の減少、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の軽減または緩和、および寛解(部分的であっても全身的であっても)が挙げられる。処置が必要なヒトとしては、障害を既に有するヒト、および障害を有しやすいヒトまたは障害が予防されるべきヒトが挙げられる。腫瘍(例えば、癌)の処置において、治療剤は、腫瘍細胞の病理を直接減少させ得るか、または腫瘍細胞を他の治療剤(例えば、放射線および/もしくは化学療法)による処置に対してより感受性にし得る。
「被験体」とは、脊椎動物であり、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、ヒトである。
用語「哺乳動物」は、本明細書中で、哺乳動物として分類される任意の動物をいい、限定されないが、ヒト、高等霊長類、げっ歯類、家畜および飼育動物、および動物園、スポーツまたはペットの動物(例えば、ヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)が挙げられる。好ましくは、本明細書中において、哺乳動物は、ヒトである。
(B.詳細な説明)
本発明の基礎にある1つの概念は、p65/p50ヘテロダイマーおよび/またはcRel/p50ヘテロダイマーを結合し得るがp50/p50ホモダイマーを結合し得ないデコイ分子、あるいはp65/p50ヘテロダイマーおよび/またはcRel/p50ヘテロダイマーを優先的に結合するデコイ分子を設計することによって、p50/p50ホモダイマーがこれらの部位を占めたままにすることにより、NF−κBに駆動されるプロモーターの余分な遮断を提供し得ることである。その結果、このような選択的デコイ分子は、当該分野において公知のNF−κBデコイよりもNF−κB活性をブロックする可能性を有する。
(改良された特性を有するNF−κBデコイの設計)
(1.NF−κB dsODN分子の設計)
本発明のオリゴヌクレオチドデコイは、免疫グロブリン軽鎖遺伝子(Chenら、Nature 391(6665):410−3(1998))に結合する、5’−GGGACTTTCC−3’(配列番号2)のコンセンサス配列を含むp50/p65ヘテロダイマーの結晶構造を利用して、設計された。この著者らは、p50が5塩基対のサブサイト5’−GGGAC−3’(配列番号3)に接触すること、およびp65が4塩基対のサブサイト5’−TTCC−3’(配列番号4)に接触することを示した。p50/p65ヘテロダイマーによるDNA接触は、ホモダイマー構造におけるDNA接触と類似である(Ghoshら、Nature 373(6512):303−10(1995);Mullerら、FEBS Lett.369(1):113−7(1995))。
1つの実施形態において、本発明のNF−κB dsODN分子は、ワトソン−クリック塩基対合によって互いに結合した、2つのオリゴヌクレオチド鎖からなる。代表的に、これら2つの鎖における全てのヌクレオチドが、この塩基対合に関与するが、このことは必要条件ではない。1つ以上(例えば、1〜3ヌクレオチドまたは1もしくは2ヌクレオチド)が塩基対合に関与しないオリゴヌクレオチドデコイ分子もまた、包含される。さらに、二本鎖デコイは、3’および/または5’の一本鎖突出部を含み得る。
別の実施形態において、本発明のNF−κB dsODN分子は、ワトソン−クリック塩基対合によって互いに結合し、そしてさらに、3’末端もしくは5’末端、またはその両方で互いに共有結合して、ダンベル構造または円形分子を生じる、2つのオリゴヌクレオチド鎖を含む。この共有結合は、例えば、ホスホジエステル結合または他の連結基(例えば、ホスホチオエート、ホスホジチオエート、またはホスホロアミデート結合など)によって提供され得る。
一般に、本発明のdsODN分子は、5’配列および/または3’配列に隣接した、NF−κB転写因子に特異的に結合し得る、コア配列を含み、ここで、このコア配列は、約5〜14塩基対、または約6〜12塩基対、または約7〜約10塩基対からなり;そしてこの隣接配列は、約2〜8塩基対長、または約2〜6塩基対長、または約2〜4塩基対長である。代表的には、この分子は、完全にかまたは部分的に相補的な2本の鎖からなる領域約12〜28塩基対長、好ましくは約14〜24塩基対長の二本鎖領域(コア配列および隣接配列を含む)を含む。
コア配列(その長さ、配列、塩基改変および骨格構造を含む)を変化させることによって、NF−κBデコイ分子の結合親和性、安定性および特異性を変化させることが可能である。実際に、本発明のNF−κB dsODN分子(これは、p65/p50ヘテロダイマーおよび/またはcRel/p50ヘテロダイマーを高い親和性で結合し、そしてp50/p5−ホモダイマーに対する結合親和性を全く示さないか、もしくは低い親和性のみを示す)は、DNAに結合するp65/p50ヘテロダイマーの結晶構造に基づいて、コンセンサスオリゴヌクレオチドデコイの結合部位(コア)における標的化残基を欠失または変化させることによって、設計された。
さらに、隣接配列における変化は、NF−κBデコイ分子のインビボでの安定性に対して本来の影響を有し、そしてその安定性を有意に増加させ得、そして結合親和性および/または結合特異性に影響を与え得る。特に、NF−κBデコイ分子の形状/構造は、コア結合配列に隣接する配列を変化させることによって変化され得、これは、改善された安定性および/または結合親和性を生じ得る。DNAの形状および構造は、塩基対配列、DNAの長さ、ヌクレオチドの骨格および性質(すなわち、改変された糖または塩基に対するネイティブのDNA)によって影響を受ける。従って、分子の形状および/または構造はまた、他のアプローチによって(例えば、全長を変化させることによって、その分子内の完全な相補性の二本鎖領域の長さを変化させることによって、コア配列および隣接配列内の変化によって、骨格構造を変化させることによって、ならびに塩基改変によって)変化され得る。
本発明のデコイ分子に存在するヌクレオチド配列は、改変されたヌクレオチドまたは通常でないヌクレオチドを含み得、そして変化した骨格化学を有し得る。合成ヌクレオチドは、種々の様式で改変され得る。例えば、Bielinskaら、Science 250:997−1000(1990)を参照のこと。従って、酸素が、窒素、硫黄または炭素で置き換えられ得るか;リンが炭素で置き換えられ得るか;デオキシリボースが他の糖で置き換えられ得るか、あるいは個々の塩基が非天然塩基で置き換えられ得る。従って、ヌクレオチド間連結の非架橋酸素原子の、硫黄基との置換(ホスホロチオエート結合を得るため)は、dsODN分子のヌクレアーゼ抵抗性を増加させる際に有用である。硫黄改変の数とNF−κB dsODN分子の安定性および特異性との間の関係を決定する実験は、本明細書中で、以下の実施例に記載されている。
各場合において、任意の変化が、NF−κB転写因子に対するオリゴヌクレオチドデコイの結合能力および親和性に対する改変の影響、融点およびインビボでの安定性に対する影響、ならびに任意の有害な生理学的影響について評価される。このような改変は、当該分野において周知であり、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドについて広範な適用を見出しており、従って、これらの安全性および結合親和性の保持は、十分に確立されている(例えば、Wagnerら、Science 260:1510−1513(1993)を参照のこと)。
改変されたヌクレオチドの例は、限定されないが、以下である:4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、2’−O−メチルシチジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチルプソイドウリジン、β,D−ガラクトシルキューオシン、2’−O−メチルグアノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、1−メチルアデノシン、1−メチルプソイドウリジン、1−メチルグアノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、3−メチルシチジン、5−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メチルアミノメチル−2−チオウリジン、β,D−マンノシルキューオシン、5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウリジン、5−メトキシカルボナールメチルウリジン、5−メトキシウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、N−((9−β−D−リボフラノシル−2−メチルチオプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、N−((9−β−D−リボフラノシル)プリン−6−イル)N−メチルカルバモイル)スレオニン、ウリジン−5−オキシ酢酸−メチルエステルウリジン−5−オキシ酢酸、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウリジンキューオシン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)−カルバモイルスレオニン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルウリジン、3−(3,3−アミノ−3−カルボキシ−プロピル)ウリジン(acp3)u、およびワイブトシン。
さらに、ヌクレオチドは、例えば、ホスホロアミデート結合によって、互いに連結され得る。この結合は、結合酸素(−O−)がアミノ基(−NR−)で置き換えられるような、天然のホスホジエステル結合のアナログであり、ここで、Rは、代表的に、水素または低級アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)である。他の結合(例えば、ホスホチオエート、ホスホジチオエートなど)もまた、可能である。
本発明のデコイはまた、ポリヌクレオチド構造に一般的に存在する、リボース糖またはデオキシリボース糖の改変形態または類似形態を含み得る。このような改変としては、限定されないが、2’−置換糖(例えば、2’−O−メチルリボース、2’−O−アリルリボース、2’−フルオロリボースおよび2’−アジドリボース)、カルボキシル糖アナログ、α−アノマー糖、エピマー糖(例えば、アラビノース、キシロース、リキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよび無塩基ヌクレオシドアナログ(例えば、メチルリボシド))が挙げられる。
一般に、本発明のオリゴヌクレオチドデコイは、好ましくは約50%より多い、より好ましくは約80%より多い、最も好ましくは約90%より多い、従来のデオキシリボースヌクレオチドからなる。
本発明のNF−κB dsODNデコイは、それらの局在化、精製を容易にするため、またはその特定の特性を改善するために、さらに改変され得る。例えば、細胞核へのデコイ分子の送達を改善するために、核局在化シグナル(NLS)が、デコイ分子に付着され得る。NF−κB/Relタンパク質は、通常のRel相同性ドメインを含み、これは、NLSを含む。好ましい実施形態において、このような天然に存在するNLS、またはその改変体は、本発明のデコイ分子において使用される。
さらに、本発明のNF−κBデコイ分子は、例えば、以下の参考文献に記載されるように、キャリア分子(例えば、ペプチド、タンパク質または他の型の分子)と結合体化され得る:Avrameasら、J Autoimmun 16、383−391(2001);Avrameasら、Bioconjug.Chem.10:87−93(1999);Gallazziら、Bioconjug.Chem.14,1083−1095(2003);Ritter,W.ら、J.Mol.Med.81,708−717(2003)。
本発明のNF−κBデコイ分子は、送達、分配、標的特異的細胞型を改善するか、または細胞障壁を通る遷移を容易にする、送達ビヒクルを含むようにさらに誘導体化され得る。このような送達ビヒクルとしては、限定されないが、細胞貫入エンハンサー、リポソーム、リポフェクチン、デンドリマー、DNAインターカレーター、およびナノ粒子が挙げられる。
(2.NF−κB dsODN分子の合成)
本発明のNF−κB dsODN分子は、標準的なホスホジエステル化学またはホスホロアミデート化学によって、市販の自動合成機を使用して、合成され得る。実施例に記載される特定のdsODN分子は、自動DNA合成機(Model 380B:Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)を使用して合成された。これらのデコイは、カラムクロマトグラフィーによって精製され、凍結乾燥され、そして培養培地中に溶解された。各デコイの濃度は、分光光度法により決定された。
(3.NF−κB dsODN分子の特徴付け)
本発明のNF−κBデコイ分子は、ゲルシフトアッセイ、または電気泳動移動度シフト(EMSA)アッセイにおいて、好都合に試験および特徴付けされ得る。このアッセイは、DNAに対する転写因子の結合の検出のための、迅速かつ高感度の方法を提供する。このアッセイは、タンパク質とDNAとの複合体が、遊離二本鎖オリゴヌクレオチドより遅く、非変性ポリアクリルアミドゲルを通って移動するという観察に基づく。ゲルシフトアッセイは、精製されたタンパク質、またはタンパク質の複雑な混合物(例えば、核抽出物)を、転写因子結合部位を含む、32Pで末端標識されたDNAフラグメントと共にインキュベートすることによって、実施される。次いで、この反応生成物は、非変性ポリアクリルアミドゲルで分析される。結合部位に対する転写因子の特異性は、目的のタンパク質に対する結合部位またはスクランブルDNA配列のいずれかを含む、過剰量のオリゴヌクレオチドを使用する競合実験によって確立される。複合体に含まれるタンパク質の同定は、タンパク質を認識する抗体を使用し、次いでDNA−タンパク質−抗体複合体の減少した移動度、または放射線標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対するこの複合体の結合の妨害を探すことによって、確立される。
DNAに結合するp65/p50ヘテロダイマーの結晶構造に基づいて、本明細書中の選択的NF−κBデコイを設計する際に、コンセンサスオリゴヌクレオチドデコイの結合部位(コア)における標識された残基を欠失させた。最終目的は、p65/p50ヘテロダイマーおよび/またはcRel/p50ヘテロダイマー、好ましくは、p65/p50ヘテロダイマーとcRel/p50ヘテロダイマーとの両方を、高い親和性で結合し得、そしてp50/p50ホモダイマーに対して低い親和性を示す、二本鎖オリゴヌクレオチドを設計することであった。この目的を達成するために、以下の実施例1に記載されるように、種々のNF−κBデコイを、ゲルシフトアッセイにおいて、それらが異なるNF−κBタンパク質に結合する能力について試験した。
(4.NF−κB dsODN分子の使用)
NF−κBは、多数の遺伝子の転写の調節に関与する。NF−κBによって転写的に活性化される遺伝子の代表的な分類および列挙が、以下に提供される。
サイトカイン/ケモカインおよびそれらのモジュレーター(例えば、インターフェロン−γ(IFN−γ)、インターフェロン−β(IFN−β)、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−6、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15)、リンフォトキシン−α、リンフォトキシン−β、TNF−α、MIP−1、MIP−2、MIP−3、RANTES、TNF−α、TRAIL。
免疫調節因子(例えば、BRL−1、CCR5、CCR7、CD137、CD154、CD40およびCD40リガンド、CD48、CD83、CD23、IL−2レセプターα鎖、特定の免疫グロブリン重鎖および軽鎖、MHCクラスI抗原、T細胞レセプターサブユニット、TNF−レセプター(p75/80)。
抗原提示に関与するタンパク質(例えば、補体B、補体成分3、TAP1、およびタパシン(tapasin))。
細胞接着分子(例えば、E−セレクチンおよびP−セレクチン、ICAM−1、MadCAM−1、VCAM−1およびテネイシン−C)。
急性期タンパク質(例えば、アンギオテンシノゲン、β−ディフェンシン−2、補体因子、組織因子−1(TF−1)、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子。
ストレス応答遺伝子(例えば、アンギオテンシン−2、COX−2、MAP4K1、ホスホリパーゼA2)。
細胞表面レセプター(例えば、CD23、CD69、EGF−R、Lox−1、Mdr1)。
アポトーシスの調節因子(例えば、Bfl1、Bcl−xL、カスパーゼ−11、CD95、(Fas)、TRAF−1、TRAF−2)。
増殖因子およびその調節因子(例えば、G−CSF、GM−CSF、EPO、IGFBP−1、IGFBP−2、M−CSF、VEGF−C)。
初期応答遺伝子(例えば、TIEG、B94、Egr−1)。
さらに、NF−κBは、他の転写因子(例えば、c−myc−、c−myb、A20、junB、p53、WT1およびウイルス)の転写を調節する。
従って、炎症促進性サイトカイン(例えば、IL−1およびTNF−α)および免疫調節因子の、NF−κB誘導性の発現の阻害は、炎症、免疫および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ(RA)(Roshakら、Current Opinion in Pharmacology 2:316−321(2002));クローン病および炎症性腸疾患(IBD)(Dijkstraら、Scandinavian J. of Gastroenterology Suppl.236:37−41(2002))、膵炎(Eeber and Adler,Pancreatology 1:356−362 (2001))、歯周炎(Nicholsら、Annals of Periodontology 6:20−29(2001));狼瘡(KammerおよびTsokos,Current Directions in Autoimmunity 5:131−150(2002));喘息(PahlおよびSzelenyi,Inflammation Research 51:273−282(2002));および眼のアレルギー(Bieloryら、Opinion in Allergy and Clinical Immunology 2:435−445(2003))の処置において有用である。
NF−κBは、サイトカインおよび接着分子の遺伝子(これらの遺伝子は、以下に関与する:アテローム硬化症および欠陥損傷後の病変形成(Yoshimuraら、Gene Therapy 8:1635−1642(2001));大脳虚血後の神経損傷(Uenoら、J.Thoracic and Cardiovascular Surgery 122(4):720−727(2001));慢性気道炎症(Griesenbachら、Gene Therapy 7,306−313(2000));自己免疫心筋炎の進行(Yokosekiら、Circ.Res.89:899−906(2001));心臓移植における急性拒絶および移植片動脈症(Suzukiら、Gene Therapy 7:1847−1852(2000));ならびに心筋梗塞(Morishitaら、Nature Medicine 3(8):894−899(1997)))の協調された転写において重要な役割を果たすので、NF−κBデコイ分子はまた、このような疾患および傷害の処置において有用性を見出す。
最近の証拠は、NF−κBおよびその活性化に関与するシグナル伝達経路がまた、腫瘍発症に重要であることを示す。例えば、Karinら、Nat.Rev.Cancer 2(4):301−10(2002)を参照のこと。従って、本発明のデコイ分子によるNF−κBの遮断は、癌の予防および処置において有用性を見出し、単独でかまたは他の処置の選択肢と組み合わせてかのいずれかで、新規の抗癌ストラテジーを提供する。
(5.NF−κB dsODN分子の送達)
本発明のNF−κBデコイを送達する好ましい様式は、圧力媒介性のトランスフェクション(例えば、米国特許第5,922,687号および同第6,395,550(これらの全開示は、本明細書中で参考として援用される)に記載される)である。簡潔には、このNF−κBデコイ分子は、細胞の細胞外環境中にデコイ核酸を配置し、そして細胞および細胞外環境の周りのインキュベーション圧力を確立することによって、組織中の細胞に送達される。インキュベーション圧力の確立は、細胞による核酸の取り込みを容易にし、そして細胞の核への局在を増強する。
より具体的には、組織および細胞外環境を含む密封封入体が規定され、そしてインキュベーション圧力が、この密封封入体内で確立される。好ましい実施形態において、この封入体の境界は、封入手段によって実質的に規定され、その結果、標的組織(標的細胞を含む組織)が、等方性の圧力に供され、そして膨張せず、また外傷を受けることもない。別の実施形態において、封入体境界の一部は、組織によって規定される。次いで、非弾性シースのような保護的手段が、この組織の周りに配置されて、組織における膨張および外傷を防止する。インキュベーション圧力は、用途に依存するが、多くの用途について、大気圧よりも約300mmHg〜1500mmHg高いインキュベーション圧力、または大気圧よりも少なくとも約100mmHg高いインキュベーション圧力が、一般に適切である。
最大のトランスフェクション効率を達成するために必要なインキュベーション期間は、インキュベーション圧力および標的組織型のようなパラメータに依存する。いくつかの組織(例えば、ヒト静脈組織)について、低圧(約0.5気圧)で分単位の(10分より長い)のインキュベーション期間が、80〜90%のトランスフェクション効率を達成するために充分である。他の組織(例えば、ラットの大動脈組織)について、高圧(約2気圧)で数時間単位の(1時間より長い)インキュベーション期間が、80〜90%のトランスフェクション効率を達成するために充分である。
この型の送達のために適切な哺乳動物標的組織としては、血管組織(特に、動脈における移植片として使用される静脈)、心臓、骨髄、ならびに正常な結合組織および腫瘍結合組織、肝臓、生殖−泌尿系、骨、筋肉、胃腸器官、内分泌および外分泌器官、滑膜組織ならびに皮膚が挙げられる。本発明の方法は、器官の一部、器官全体または生物全体に対して適用され得る。1実施形態において、核酸溶液は、患者の標的領域(例えば、腎臓)へと灌流され得、そしてこの患者は、加圧チャンバにおいて圧力に供される。
他の適用について、本発明のNF−κBデコイは、他の従来技術によって投与され得る。例えば、トランスフェクションに適切な公知の方法の中には、レトロウイルストランスフェクション、リポソーム形態でのトランスフェクションがある。詳細については、Dzauら、Trends in Biotech 11:205−210(1993);またはMorishitaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8474−8478 (1993)もまた参照のこと。リポソームで投与される場合、管腔内のデコイ濃度は、一般に、約0.1μM/デコイ〜約50μM/デコイの範囲内、より通常は約1μM/デコイ〜約10μM/デコイ、最も通常には約3μM/デコイである。
他の技術について、最も適切な濃度は、実験的に決定され得る。適切な濃度および用量の決定は、充分に当業者の技術範囲内である。任意の処置パラメータは、適応症、デコイ、患者の臨床的状態などに依存して変動し、そして本明細書中に提供される指示および当該分野における一般知識に基づいて、実験的に決定され得る。
これらのデコイは、個々のデコイを含む組成物としてか、またはデコイ混合物として投与され得る。通常、混合物は、6デコイ分子まで、より通常は4デコイ分子まで、より通常は2デコイ分子までを含む。
多くの抗炎症薬物および抗リウマチ薬物(グルココルチコイド、アスピリン、サリチル酸ナトリウムおよびスルホサラジン(sulfosalazine)を含む)は、NF−κBの活性化のインヒビターである。炎症疾患および炎症状態ならびに自己免疫疾患および自己免疫状態の処置について、本発明のNF−κBデコイ分子は、必要に応じて、このような薬物処置と組み合わせて投与され得る。併用処置としては、同時投与、および2つ以上の薬物の任意の順序での連続投与が挙げられる。
癌治療において、NF−κBデコイ分子の投与は、他の処置選択肢(化学量表抗癌剤を用いる処置および/または放射線療法を含む)と組み合わせられ得る。
本発明のさらなる詳細は、以下の非限定的な実施例から明らかである。
(実施例1)
(NF−κBデコイ分子の設計および試験)
(設計)
NF−κB dsODNデコイ分子を設計し、そしてNF−κBに結合する能力および/またはNF−κBの結合について競合する能力について試験した。特定の局面において、本発明の目的は、p50/p50ホモロダイマーよりも、p65/p50ヘテロダイマーおよび/またはcRel/p50ヘテロダイマーに特異的に結合する、NF−κBデコイ分子を設計することであった。p50/p50ホモロダイマーを遮断しないことの結果として、本発明の選択的デコイ分子は、これらのヘテロダイマーが、NF−κBにより調節される遺伝子のプロモーターを遮断することを可能にし、さらなるレベルの遺伝子転写の負の調節を提供する。
オリゴヌクレオチドデコイの設計において、結晶構造研究および既知のNF−κB結合部位のコンピュータ分析から利用可能な情報を、利用した。
上記で考察されるように、免疫グロブリン軽鎖遺伝子(これは、5’−GGGACTTTCC−3’(配列番号2)のコンセンサス配列を含む)に結合したp50/p65ヘテロダイマー結晶構造の研究に基づいて、p50が、5塩基対のサブサイト5’−GGGAC−3’(配列番号3)に接触し、そしてp65が、4塩基対のサブサイト5’−TTCC−3’(配列番号4)に接触することが示された。p50/p50ホモダイマーに対してより低い親和性を有するが、p65/p50ヘテロダイマーになお結合するデコイ分子を調製する目的で、コンセンサス結合部位の5’末端で少数のGを含む、一連のNF−κBオリゴヌクレオチドデコイを設計した。これらのオリゴヌクレオチドデコイに、同定および表示を容易にするために、「コア」および「隣接」の文字コードを割り当てた。コアに、文字コード「A」〜「L」を割り当て、そして隣接に、「T」〜「Z」を割り当てた。これらのデコイを、ゲルシフトアッセイにおいて試験して、NF−κB結合について、高い親和性で放射標識オリゴヌクレオチドと競合するデコイの能力を決定した。NF−κB結合DNAコンセンサス配列を、NF−κB関連DNA−タンパク質相互作用の文献から選択した。この文献としては、以下が挙げられる:Blankら、EMBO J.10:4159−4167(1991);Boursら、Mol.Cell.Biol.12:685−695(1992);Boursら、U.Cell 72:729−739(1993);Duckettら、Mol.Cell.Biol.13:1315−1322(1993);Fan C.−M.,Maniatis T.,Nature 354:395−398(1991);Fujitaら、Genes Dev.6:775−787(1992);Fujitaら、Genes Dev.7:1354−1363(1993);Ghoshら、Nature 373:303−310(1995);Ghoshら、Cell 62:1019−1029(1990);Grumontら、Mol.Cell.Biol.14:8460−8470(1994);Henkelら、Cell 68:1121−1133(1992);Ikedaら、Gene 138:193−196(1994);Kunschら、Mol.Cell.Biol.12:4412−4421(1992);LeClairら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8145−8149(1992);Li C.−C.ら、J.Biol.Chem.269:30089−30092(1994);Matthewsら、Nucleic Acids Res.21:1727−1734(1993);Muellerら、Nature 373:311−317(1995);Neriら、Cell 67:1075−1087(1991);Nolanら、Cell 64:961−969(1991);Payaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7826−7830(1992);Plaksinら、J.Exp.Med.177:1651−1662(1993);Schmidら、Nature 352:733−736(1991);Schmitz M.L.,Baeuerle P.A.、EMBO J.10:3805−3817(1991);Tenら、EMBO J.11:195−203(1992);Toledanoら、J.Mol.Cell.Biol.13:852−860(1993);Urbanら、EMBO J.10:1817−1825(1991)。
この利用可能な情報に基づいて、本発明者らは、最初のスクリーニングのためのデコイのセットを生成した。これらのデコイとしては、「変異デコイ」、スクランブルデコイ、その5’末端または3’末端で異なる長さを有するデコイ、ならびにコア領域内および/または隣接配列中に代替的塩基組成を有するデコイが挙げられる。
NF−κBのコア結合部位近傍の塩基組成をより理解するために、このコア結合部位を、既知の結合配列と、コンピュータにより整列させた(順方向の鎖のみ)。このアラインメントに基づき、僅かに異なるコア結合部位を有する、いくつかの主要な群のデコイを作製した。
主要なコアおよび隣接配列を、表1に列挙する。
(表1)
Figure 2005160464
(電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA))
EMSAアッセイを使用して、NF−κB転写因子についてのオリゴヌクレオチドデコイを特徴付けた。放射標識したオリゴヌクレオチドプローブ(非哺乳動物、HIV由来のNF−κBプロモーター、配列113/114)(これは、NF−κBファミリーの関連メンバーについて、高い親和性を示す)を使用して、p65/p50、cRel/p50およびp50/p50の結合を、活性化された単球細胞株からの核抽出物を使用して試験した。上述のNF−κBファミリーメンバーに対する結合について競合するように改変された上記オリゴヌクレオチドを使用して、高い親和性の放射標識プローブに対して、および互いに、これらのオリゴヌクレオチドの結合親和性を比較することが可能であった。このアッセイはまた、NF−κBファミリーの特定のメンバーに選択的に結合するデコイの設計を可能にした。漸増濃度の種々のオリゴヌクレオチドを使用することによって、結合部位中の標的化残基を欠失または変化させることによって、p65/p50ヘテロダイマーおよびcRel/p50ヘテロダイマーに対する親和性を維持したままで、p50/p50ホモダイマーに対するデコイ分子の結合を特異的に低減させることが可能であることが観察された。
NF−κBゲルシフトアッセイ(EMSA)を、以下のように実施した。コンセンサスNF−κB結合部位(5’ AGTTGAGGGGACTTTCCCAGGC 3’)(配列番号26)を含む二本鎖オリゴヌクレオチドを、T4 Polynucleotide Kinase(Promega)を使用して、γ32P−ATPで末端標識した。LPS刺激したTHP−1細胞(ヒト単球細胞株)から調製した核抽出物1μgを、競合する未標識のNF−κB二重鎖オリゴヌクレオチド(dsODN)またはスクランブルdsODNの存在下または非存在下で、35fmolの放射標識プローブと共にインキュベートした。このインキュベーションを、10mM Tris−HCl(pH8)、100mM KCl、5mM MgCl、2mM DTT、10% グリセロール、0.1% NP−40、0.025% BSAおよび1μg Poly−dIdCから構成される、20μlの反応容積で、室温で30分間実施した。これらの反応物を、6%ポリアクリルアミドゲル上にロードし、電気泳動に供し、そして乾燥した。乾燥したゲルを画像化し、そしてTyphoon 8600 PhosphorImager(Amersham)およびImageQuantソフトウェアを使用して、定量した。放射標識したオリゴヌクレオチドプローブに結合した複合体中に含まれるNF−κBタンパク質の正体を、放射標識プローブの添加前に、NF−κBファミリーの各メンバーに特異的な個々の抗体と共に、5分間にわたって反応物を予めインキュベートすることによって同定した。
(ヌクレアーゼ分解および化学改変)
ネイティブDNAを、主に3’エキソヌクレアーゼの作用によってであるが、エンドヌクレアーゼ攻撃の結果としてでもある、細胞内部の迅速な分解に供する。従って、オリゴヌクレオチドデコイを設計し、その安定性を増強するように改変する。ヌクレオチド間連結の非架橋酸素原子を硫黄基で置換し、ホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチドと称されるものを作製することは、非常に成功した。これらの分子は、比較的、ヌクレアーゼ耐性である;しかし、これらは、3’末端改変されたオリゴヌクレオチドデコイおよび非改変オリゴヌクレオチドデコイと比較して、非特異的なタンパク質結合を示すことが示されている(Brownら、J.Biol.Chem.269(43):26801−5(1994))。従って、本発明者らは、達成された特異性を維持しながら、本発明者らのオリゴヌクレオチドデコイに対するヌクレアーゼ耐性を提供するには、3’側、5’側、または内部部位において、いくつの硫黄が必要とされるかを決定するために、1セットの実験を実施した。
(EMSA結果の分析)
上述のように、本明細書中に開示される研究の1つの目的は、p50/p50ホモダイマーと比較して、NF−κBp65/p50ヘテロダイマーおよび/またはcRel/p50ヘテロダイマーに優先的に結合するNF−κBオリゴヌクレオチドデコイ分子を開発することであった。この実験結果により、p65/p50およびcRel/p50に対する結合が、一般に等価であり、従って、本発明者らの分析においてp65/p50のバンドのみが定量されることが示された。
図1は、特定のNF−κBデコイ分子のp65/p50結合を示す。図2は、特定のNF−κBデコイ分子のp50/p50結合を示す。
優先的結合を、特異性/親和性因子を使用して定量した。特異性/親和性因子を、以下のように計算した:
特異性/親和性因子=(Sp50/p50−Sp65/p50)×Sp50/p50/Sp65/p50
ここで、Sp50/p50は、HIV由来の非哺乳動物NF−κBプロモーター(配列113/配列114)に対するp50/p50の結合の50%を競合するために必要なデコイのモル濃度過剰に相当し、そしてSp65/p50は、HIV由来の非哺乳動物NF−κBプロモーター(配列113/配列114、ここで、配列113に対応する逆方向鎖を、「114」と称する)に対するp65/p50の結合の50%を競合するために必要なデコイのモル濃度過剰に相当する。スコア(S)を、試験した任意のモル比で、デコイが少なくとも50%の結合を競合できない場合に、100と割り当てた。
好ましいデコイ分子は、p65/p50ヘテロダイマーについてはより低いスコアおよびp50/p50ホモダイマーについてはより高いスコアを有する。p65/p50ヘテロダイマーに対するデコイ 対 p50/p50ホモダイマーに対するデコイの特異性は、それらのスコアの差異(p50/p50のスコア−p65/50のスコア)に比例する。上記で行われたEMSA競合結合実験の結果を、表2にまとめる。この表では、デコイ分子は、最も特異的なデコイ(最も高い特異性/親和性因子)から列挙される。
Figure 2005160464
Figure 2005160464
E−Z−4は、2つの5’塩基および2つの3’塩基が欠失されたE−Zである。
E−Z evenは、E−Z−(2つの5’塩基)である。
E−Z a→C Evenは、6位のAが、Cに変化したE−Zである。
A−Z−2は、5’塩基および3’塩基が欠失されたA−Zである。
E−Aは、Aが、5’末端および3’末端に付加されたEコアである。
E−AG Flankは、5’隣接としてAAGAおよび3’隣接としてAGAGを有するEコアである。
E−AT Flankは、5’隣接としてATATおよび3’隣接としてTTAAを有するEコアである。
E−CA Flankは、5’隣接としてCAACおよび3’隣接としてACACを有するEコアである。
E−CAGT Flankは、5’隣接としてCAGTおよび3’隣接としてACTGを有するEコアである。
H−Z’(−3’2BP)は、2つの5’塩基が欠失されたH−Zである。
H−Z’(−3’1BP)は、2つの5’塩基が欠失され、3’末端にTが付加されたH−Zである。
E−Z−3は、5’末端からAGTが欠失され、3’末端からCが欠失されたE−Zである。
E−Z−6は、5’末端からAGTTが欠失され、3’末端からGCが欠失されたE−Zである。
表2に示されるデータセットは、より良好なp65/p50特異性を有するデコイが、「E」または「D」または「H」コア配列と、「Z」または「W」または「V」または「U」隣接配列とを共有する可能性が最も高いことを示唆する。より好ましい群において、そのコア配列は、「E」または「D」であり、隣接配列は、「Z」である。153/154と指定されたデコイは、他のパラメーターを考慮して少数の候補が、鎖上位から最も良好なものとして選択された(以下を参照のこと)。
(DNA骨格の化学的改変の分析)
類似の分析を、試験したデコイのDNA骨格の化学的改変を評価するために適用した。
Figure 2005160464
上記の表3において、骨格化学について2つの指定がある場合、最初の1つは、鎖153の化学および鎖154の第2の化学を示す。完全に、ホスホジエステル結合は、「PO」と称され、完全に、ホスホロチオエート骨格は、「PS」と称される。ハイブリッド骨格は、「H」と称され、3’末端から始まるホスホロチオエート骨格連結の数が続く。従って、H3は、3つの最も3’側の連結がホスホロチオエートであり、骨格連結の残りは、ホスホジエステルであることを意味する。たった1つの名称が示される場合(例えば、ただのPO)、両方の鎖が、同じ骨格化学を有する。
表3に示されるデータは、いずれかの鎖が、完全にホスホチオエート化される場合(例えばPS/POまたはPO.PS)、そのデコイは、p65/p50およびp50/p50の両方に対して高い親和性を有し、従って、所望の親和性を欠くことを示す。一般に、常にではないが、より多くの数のホスホロチオエート連結は、減少した特異性を生じた。一般に、8つを超えるホスホロチオエート連結を有するハイブリッド鎖は、特異性を欠くのに対して、7つ未満のホスホロチオエート連結を有するハイブリッド鎖は、許容可能な親和性および特異性を維持した。しかし、H4/H4は、極めて低い親和性を有するが、H3/H3およびH5/H5は、ともに、許容可能な範囲の中であった。H11/POおよびPO/H11は、良好な親和性および特異性を有する。半減期、特異性および親和性に基づいて、H3/H3、H5/H5、H6/H6、およびH7/H7は、153/154デコイについての最適な骨格として同定された。他のデコイについての最適な骨格化学は、類似の様式にて試験および決定され得る。
(他の転写因子と比較した特異性)
デコイ分子はまた、標的転写因子のみを特異的にブロックしなければならず、関連しない転写因子を非特異的に結合およびブロックしてはならない。EMSAを使用して、関連しないプロモーターに対していずれの非特異的効果も示さないNF−κBデコイ分子を設計することが可能であることがまた立証されている。具体的には、遍在性転写因子Oct−1についてのプロモーター配列に対応する放射性標識オリゴヌクレオチドプローブを使用して、153/154(ここで「154」は、配列「153」に対応する逆方向配列をいう)POおよびH3 NF−κBデコイは、そのプロモーターに対していずれの結合親和性も示さなかったことが実証された(図3)。このことは、細胞中の他の重要なタンパク質に対するオリゴヌクレオチドの任意の非特異的効果が、処置個体に対する、デコイの所望でない毒性を生じ得るので、重要である。
(半減期)
ネイティブDNAは、主に3’エキソヌクレアーゼの作用を通じてであるが、エンドヌクレアーゼの攻撃の結果としても細胞内で迅速な分解に供される。従って、オリゴヌクレオチドデコイが設計される場合、それらは改変されて、それらの安定性が増強される。ヌクレオチド間連結の非架橋酸素原子の1つを、硫黄基で置換すること、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドといわれるものを作ることは、非常に成功した。この分子は、比較的ヌクレアーゼ耐性であり;しかし、それらは、3’末端が改変されたオリゴヌクレオチドデコイおよび非改変オリゴヌクレオチドデコイと比較して、非特異的タンパク質結合を示すことが示された(Brownら,J.Biol.Chem.269:26801−5(1994))。従って、一連の実験を行って、3’末端または5’末端にて、あるいは内部部分にてどの程度多くの硫黄が必要とされて、特異性を維持しつつ本明細書中のオリゴヌクレオチドデコイに対するヌクレアーゼ耐性を提供するかを決定した。
結合特異性を、上記のゲルシフトアッセイによって評価した。3’エキソヌクレアーゼ耐性を、標準的なヘビ毒アッセイ(Cumminsら,Nucleic Acids Res.23:2019−24(1995))を使用して評価した。より関連のある哺乳動物ヌクレアーゼ活性に対するそのデコイの耐性を評価するために、アッセイを適合させ、このアッセイにおいて、細胞質抽出物および核抽出物を活性化マクロファージから調製した(Hokeら,Nucl.Acids Res.19(20):5743−8(1991))。これらの抽出物の活性を、各アッセイにおけるポジティブコントロールを用いて確認した。そのデコイの各鎖の3’末端を、少数の硫黄基でキャップすることにより、ヌクレアーゼ分解から保護されるに十分であることが実証された。
まとめると、これらのデータは、19マーオリゴヌクレオチド二重鎖の3’末端のp50/p65選択的NF−κBデコイ3−5硫黄が、ヌクレアーゼ分解からそのデコイを保護するに十分であることを示す。さらに、転写因子ファミリー内で特異的なサブユニット結合ならびに無関係の転写因子に対する結合の欠如を維持することが可能であった。これらのデータは、本発明が、転写因子、特にNF−κBを標的とする特異的および持続性オリゴヌクレオチドデコイを設計するための方法および手段を提供することを実証する。
(実施例2:核局在シグナルを含むNF−κBデコイ分子)
核局在シグナル(NLS)含有ペプチドが、オリゴヌクレオチドデコイの核への進入を改善する能力を決定するために、シミアンウイルス40ラージ腫瘍抗原に基づくNLS配列を有するペプチド(PKKKRKVEDPYC)(配列番号78)を、Sigma Genosysにより合成し、NF−κB 153 H3オリゴヌクレオチドに、以下のように結合体化した。簡潔には、6.5ナノモル濃度のオリゴヌクレオチドを、最初に、40倍モル濃度過剰のリンカースルホ−SMCC(Pierce)とともに室温にて2時間インキュベートした。NAP−10カラム(Pharmacia Biotech)によって過剰のリンカーを反応系から除去した後、活性化オリゴヌクレオチドを、5倍モル濃度過剰のNLSペプチドとともに室温にて一晩インキュベートした。NLSペプチドにうまく結合体化したオリゴヌクレオチドの百分率を評価するために、1μlを、20% PAGEゲル(非変性)にロードすることにより、反応物を分析した。ゲルを、SYBR Gold(Molecular Probes)で染色し、Typhoon Phosphorimager(Amersham)により可視化した。NLS−ペプチド結合体化一本鎖153 H3の濃度を、OD吸収により決定した。次いで、この結合体を、5’末端にビオチン分子を含むその相補鎖154 H3(等モル濃度量にて)にアニールした。ここで二本鎖になったNLSデコイ上のビオチン分子の存在は、(ストレプトアビジンを介して)顕微鏡の使用による局在化の可視化を可能にする。
本発明は、特定の実施形態を参照して例示されているが、そのように限定されない。改変およびバリエーションは、本発明の概念から逸脱することなく可能であり、当業者に明らかである。このような改変およびバリエーションの全ては、特に本発明の範囲内にある。
本発明は、NF−κB転写因子に特異的に結合し得るコア配列を含む、二本鎖NF−κBデコイオリゴヌクレオチド(NF−κB dsOSN)分子に関する。特定の局面において、本発明は、p50/p50ホモダイマーより、優先的にp50/p65および/またはcRel/p50ヘテロダイマーに結合するNF−κBデコイ分子に関する。
図1は、特定のNF−κBデコイ分子のp65/p50結合を示すグラフである。 図2は、特定のNF−κBデコイ分子のp50/p50結合を示すグラフである。 図3は、EMSAアッセイの定量化結果を示す。「E」と称されるデコイ分子が転写因子Oct−1の結合について非特異的に競合する能力を、試験した。Oct−1デコイを、このアッセイにおいて放射性標識した。競合因子の添加の後に存在しているバンドの量を、グラフ化する。バンドを、Typhoon Phosphorimager(Molecular Dynamics)を使用して定量化した。この結果は、試験したNF−κBデコイが、特異性を有さないプロモーターについて非特異的に競合しないことを示す。ポジティブコントロールは、コールドOct−1プローブであった。

Claims (43)

  1. その第一鎖において5’から3’の方向に、処方物FLANK1−CORE−FLANK2の配列を含むNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子であって、ここで、
    COREは、GGGACTTTCC(配列番号5);GGGACTTTCC(配列番号7);GGGACTTTCCC(配列番号9);GGGATTTCC(配列番号11);GGACTTTCC(配列番号13);GACTTTCC(配列番号15);GACTTTCCC(配列番号17);GGATTTCC(配列番号19);GGATTTCCC(配列番号21);GATTTCC(配列番号23);GATTTCCC(配列番号24);GGACTTTCCC(配列番号25);およびAGGACTTTCCA(配列番号78)からなる群より選択され;
    FLANK1は、CCTTGAA(配列番号79);AT;TC;CTC;CT;AGTTGA(配列番号80)、TTGA(配列番号81);AGTTGC(配列番号82);GTTGA(配列番号83);A;AAGA(配列番号84);ATAT(配列番号85);CAAC(配列番号86);CAGT(配列番号87);TGA;およびGAからなる群より選択され;
    FLANK2は、TCC;GT;TC;TGT;TCA;TC;CA;AGGC(配列番号88);.AG;AGG;A;AGAG(配列番号89);TTAA(配列番号90);ACAC(配列番号91);ACTG(配列番号92);およびAGGCT(配列番号93)からなる群より選択される、NF−κB dsODN分子。
  2. 請求項1に記載のNF−κB dsODN分子であって、ここで、
    COREが、GGGATTTCC(配列番号11);GGACTTTCC(配列番号13);およびGGATTTCC(配列番号19)からなる群より選択され;
    FLANK1がATであり、かつFLANK2がGTであるか;またはFLANK1がTCであり、かつFLANK2がTCであるか;またはFLANK1がCTCであり、かつFLANK2がTGTであるか;またはFLANK1がAGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2がAGGC(配列番号88)である、NF−κB dsODN分子。
  3. COREがGGGATTTCC(配列番号11)であるか;またはGGACTTTCC(配列番号13)であり、FLANK1がAGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2がAGGC(配列番号88)である、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  4. COREがGGACTTTCC(配列番号13)であり、FLANK1がAGTTGA(配列番号80)であり、かつFLANK2がAGGC(配列番号88)である、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  5. 少なくとも約40の特異性/親和性因子を有する、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  6. 前記第一鎖に少なくとも部分的に相補的な第二鎖を有する、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  7. 前記第一鎖に完全に相補的な第二鎖を有する、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  8. ホスホジエステレート骨格を有する、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  9. ホスホロチオエート骨格を有する、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  10. ホスホジエステレート−ホスホロチオエート混合骨格を有する、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  11. 前記第一鎖および第二鎖が、ワトソン−クリック塩基対形成によってのみ互いに結合される、請求項3に記載のNF−κB dsODN分子。
  12. 配列番号26〜77からなる群より選択される配列を、5’から3’方向に含む、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  13. 配列番号26〜77からなる群より選択される配列から構成される鎖を、5’から3’方向に含む、請求項13に記載のNF−κB dsODN分子。
  14. 配列番号26〜34からなる群より選択される配列を、5’から3’方向に含む、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  15. 配列番号26〜34の配列からなる鎖を、5’から3’方向に含む、請求項15に記載のNF−κB dsODN分子。
  16. 配列番号26〜31からなる群より選択される配列を、5’から3’方向に含む、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  17. 配列番号26〜31からなる群より選択される配列から構成される鎖を、5’から3’方向に含む、請求項17に記載のNF−κB dsODN分子。
  18. 配列番号30の配列を含む、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  19. 配列番号30の配列からなる鎖を、5’から3’方向に含む、請求項19に記載のNF−κB dsODN分子。
  20. 前記第一鎖内に、前記FLANK1−CORE−FLANK2配列に少なくとも部分的に相補的な配列を含む第二鎖をさらに含む、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  21. 前記第一鎖内に、前記FLANK1−CORE−FLANK2配列に完全に相補的な配列を含む第二鎖をさらに含む、請求項1に記載のNF−κB dsODN分子。
  22. 少なくとも1つの一本鎖オーバーハングをさらに含む、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  23. 2つの鎖が、5’末端および/3’末端で、ペプチド結合以外の共有結合によって連結される、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  24. 12〜28塩基長である、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  25. 14〜24塩基長である、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  26. 14〜22塩基長である、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  27. 改変ヌクレオチドまたは異常なヌクレオチドを含む、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  28. ホスホジエステル骨格を有する、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  29. ホスホロチオエート骨格を有する、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  30. ホスホジエステル−ホスホロチオエート混合骨格を有する、請求項21に記載のNF−κB dsODN分子。
  31. 請求項1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子を含む、組成物。
  32. 前記dsODN分子を薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的組成物である、請求項32に記載の組成物。
  33. 炎症性疾患、免疫疾患または自己免疫疾患を処置する方法であって、必要のある哺乳動物被験体に、請求項1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子の有効量を投与する工程を包含する、方法。
  34. 前記哺乳動物被験体が、ヒトである、請求項34に記載の方法。
  35. 前記35に記載の方法であって、前記炎症性疾患、免疫疾患または自己免疫疾患が、乾癬およびアトピー性皮膚炎;全身性強皮症および硬化症;炎症性腸疾患(IBD);クローン病;潰瘍性大腸炎;外科的組織再灌流傷害;心筋梗塞;心停止;心臓手術後の再灌流;経皮経管的動脈新脈管形成後の再構築;発作;腹部大動脈瘤;発作後の大脳虚血;頭蓋外傷、血液量減少性ショック;喘息;自己免疫性糖尿病;呼吸停止;成人呼吸窮迫症候群;急性肺損傷;ベーチェット病;皮膚筋炎;多発性筋炎;多発性硬化症(MS);髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;変形性関節症;ループス腎炎;全身性エリテマドーデス;慢性関節リウマチ(RA)、リウマチ様脊椎炎;痛風性関節炎;シェーグレン症候群、血管炎;白血球の漏出を含む疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害、アルツハイマー病;敗血症または外傷後の多臓器損傷症候群;アルコール性肝炎;細菌性肺炎;糸球体腎炎を含む抗原−抗体複合体媒介性疾患;敗血症;サルコイドーシス;組織/臓器移植に対する免疫病理学的応答;胸膜炎、歯槽骨炎、血管炎、肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、過敏性肺炎、特発性肺線維症(IPF)、慢性肺炎症性を含む、胚の炎症;嚢胞性線維症;乾癬;胸焼け;および眼アレルギーからなる群より選択される、方法。
  36. 前記炎症性疾患または自己免疫疾患が、慢性関節リュウマチ(RA)、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎;自己免疫性糖尿病、多発性硬化症(MS)、喘息、全身性エリテマトーデス、成人呼吸窮迫症候群、ベーチェット病、乾癬、慢性肺炎症性疾患、移植片対宿主反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、アルツハイマー病、および胸焼けからなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
  37. 前記dsODN 分子が、加圧法トランスフェクションによって投与される請求項37に記載の方法。
  38. 前記dsODN 分子が、レトロウイルストランスフェクションによって投与される請求項37に記載の方法。
  39. 前記dsODN分子が、リポソームにより投与される、請求項37に記載の方法。
  40. 癌を処置する方法であって、必要のある哺乳動物被験体に、請求項1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子の有効量を投与する工程を包含する、方法。
  41. 前記被験体がヒトである、請求項41に記載の方法。
  42. 再灌流障害または再狭窄を処置する方法であって、必要のある哺乳動物被験体に、請求項1に記載のNF−κB二本鎖デコイオリゴデオキシヌクレオチド(dsODN)分子の有効量を投与する工程を包含する、方法。
  43. 前記被験体がヒトである、請求項43に記載の方法。
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