JP5384120B2 - 歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損の治療剤 - Google Patents

歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損の治療剤 Download PDF

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Description

本発明は、歯周病、特に歯周炎、歯肉炎、歯根膜炎及び歯槽膿漏等を処置するための新しい治療薬及び治療方法に関する。本発明の治療、予防または改善剤は、歯周病による歯槽骨の破壊及び縮小、虫歯からの根先病巣による歯槽骨欠損、並びに外科的手術により生じる歯槽骨欠損に対し有用である。
主な歯周病としては、歯周炎及び歯肉炎が知られているが、これらはいずれも慢性的な炎症性疾患であり、進行すると、歯周組織が破壊され、歯槽骨が骨吸収により減退して歯を支えられなくなる場合がある。また、虫歯が進行すると、その根先病巣から歯槽骨に穴があいたり、また外科的な治療により歯槽骨に穴があいたりして、歯槽骨が欠損した状態になることがある。このような歯周病の治療方法は未だ開発途上にある。
NFκB(nuclear factor kappa B)は、サイトカインや接着因子等、免疫反応に関する遺伝子の発現を調節する役割を持つ一群の転写因子の総称であり、NFκBがゲノム遺伝子上の結合部位に結合すると、免疫反応に関する遺伝子が過剰に発現する。このため、NFκBは、免疫反応が原因となるアトピー性皮膚炎や関節リウマチ等のアレルギー性疾患、自己免疫疾患、さらには心筋梗塞等の虚血性疾患や動脈硬化等の各種疾患に関与することが知られている。このNFκBに対するデコイ(おとり型医薬)を投与することにより、対象となる転写因子の活性を低下させ、該転写因子に起因して起きる疾患の治療や予防を行なうことが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。さらにまた、NFκBデコイが、骨髄細胞から破骨細胞への分化に対して抑制的に作用し、骨形成・骨吸収の平衡状態の破綻に起因する疾患、特に骨粗鬆症の予防または治療に有効であることが知られている(特許文献3)。
歯周炎及び歯肉炎は炎症反応であり、その患部に炎症性サイトカインが動員されており、そこにNFκBの活性化が関与していると考えられている(非特許文献1及び2)。非特許文献1には、健康なヒト歯肉繊維芽細胞(healthy human gingival fibroblast)のin vitro培養において、インターロイキン(IL)-6、IL-8及び単球遊走蛋白(MCP)-1の炎症性サイトカインがリポ多糖(LPS)により誘導されること、並びに、このLPSによる炎症性サイトカイン誘導がN-アラキドン酸エタノールアミン(アナンダミド;AEA)により抑制されること、さらにLPSによりNFκBの活性化が誘導されるがこのNFκBの活性化もAEAにより抑制されることが記載されている。しかしながら、何らかの歯周病を患った患者の組織については、歯肉炎または歯周炎を持つ患者から採取したヒト歯肉繊維芽細胞で、健康なヒト歯肉繊維芽細胞に比べてAEAのレセプターであるカンナビノイドレセプター(CB)-1及びCB-2の発現が増大していることが確認されているのみである。したがって、同文献からは、何らかの歯周病を有する組織において、AEAが炎症抑制の効果を有するのかどうかすら不明であり、ましてNFκBの活性化を抑制することにより歯周病の症状を緩和することができるのかどうかは全く不明である。
非特許文献2には、慢性的歯周炎患者の患部歯肉組織内では、健康な歯肉組織内に比べて、活性型NFκBが多く存在し、NFκBの阻害分子であるIκBが減少していることが記載されている。しかしながら、NFκBの活性化と歯周炎の発症及び進行との関連性は全く開示されていない。また、NFκBの活性化を抑制により歯周炎を治癒することも示されていない。
以上のように、歯周病または歯周炎における骨の損失の回復については、上記非特許文献にも何ら示唆されておらず、有効な手段は確立されていない。
WO96/35430 WO03/063911 WO2006/064886 FEBS Letters 580 (2006) 613-619 J. Periodontol 76 (2005) 1148-1153
本発明は、歯周病(periodontal disease)の治療、予防または改善のための医薬、あるいは方法を提供することを課題とする。また本発明は、歯槽骨の欠損(alveolar bone defect)の治療、予防または改善のための医薬、あるいは方法の提供を課題とする。
本発明によりNFκBデコイの投与が、歯周病モデルにおいて歯槽骨の吸収を抑制し、歯周病骨欠損モデルにおいて歯槽骨の修復を促進させることが示された。その結果、本発明者らは、NFκBデコイが歯周病、及び外科手術等による歯槽骨欠損の治療、予防、及び改善剤として有用であることを見出した。本発明は、具体的には以下の発明に関するものである。
〔1〕NFκBデコイを有効成分として含有する、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方の治療、予防または改善剤。
〔2〕歯周病が、歯周炎、歯肉炎、歯根膜炎、及び虫歯による根先病巣からなる群より選択される、〔1〕記載の治療、予防または改善剤。
〔3〕注射剤である、〔1〕または〔2〕に記載の治療、予防または改善剤。
〔4〕コラーゲン基材にNFκBデコイが付着した剤形である、〔1〕−〔3〕のいずれかに記載の治療、予防または改善剤。
〔5〕NFκBデコイに含まれる塩基間結合の少なくとも1つはホスホロチオエート結合である、〔1〕−〔4〕のいずれかに記載の治療、予防または改善剤。
〔6〕NFκBデコイに含まれる塩基間結合の全てがホスホロチオエート結合である、〔5〕記載の治療、予防または改善剤。
〔7〕NFκBデコイが、CCTTGAAGGGATTTCCCTCC(配列番号1)からなるオリゴヌクレオチドと、これに完全に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドとが二本鎖形成した二本鎖オリゴヌクレオチドである、〔1〕−〔6〕のいずれかに記載の治療、予防または改善剤。
〔8〕NFκBデコイを、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方に罹患した対象に投与する工程を含む、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方を治療、予防または改善する方法。
〔9〕歯周病が、歯周炎、歯肉炎、歯根膜炎、及び虫歯による根先病巣からなる群より選択される、〔8〕記載の方法。
〔10〕NFκBデコイを注射によって投与する、〔8〕または〔9〕に記載の方法。
〔11〕コラーゲン基材が付着したNFκBデコイを投与する工程を含む、〔8〕−〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕NFκBデコイに含まれる塩基間結合の少なくとも1つはホスホロチオエート結合である、〔8〕−〔11〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕NFκBデコイに含まれる塩基間結合の全てがホスホロチオエート結合である、〔12〕記載の方法。
〔14〕NFκBデコイが、CCTTGAAGGGATTTCCCTCC(配列番号1)からなるオリゴヌクレオチドと、これに完全に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドとが二本鎖形成した二本鎖オリゴヌクレオチドである、〔8〕−〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔15〕歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方の治療、予防または改善する薬剤を製造するための、NFκBデコイの使用。
〔16〕歯周病が、歯周炎、歯肉炎、歯根膜炎、及び虫歯による根先病巣からなる群より選択される、〔15〕記載の使用。
〔17〕注射剤である、〔15〕または〔16〕に記載の使用。
〔18〕コラーゲン基材にNFκBデコイが付着した剤形である、〔15〕−〔17〕のいずれかに記載の使用。
〔19〕NFκBデコイに含まれる塩基間結合の少なくとも1つはホスホロチオエート結合である、〔15〕−〔18〕のいずれかに記載の使用。
〔20〕NFκBデコイに含まれる塩基間結合の全てがホスホロチオエート結合である、〔19〕記載の使用。
〔21〕NFκBデコイが、CCTTGAAGGGATTTCCCTCC(配列番号1)からなるオリゴヌクレオチドと、これに完全に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドとが二本鎖形成した二本鎖オリゴヌクレオチドである、〔15〕−〔20〕のいずれかに記載の使用。
あるいは本発明は、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方を治療、予防または改善するためのNFκBデコイを提供する。本発明のNFκBデコイは、具体的には、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方を治療、予防または改善するためのNFκBデコイであって、局所に注射によって投与するためのNFκBデコイを含む。
糸巻きモデル作製の模式図を示す。左側はモデル作製開始時、右側は時間の経過と共に歯槽骨が吸収され退縮が起こった様子を、各々、模式的に表している。 付着軟組織を次亜塩素酸ナトリウムによって取り除き、歯根露出面を見やすくした、モデル作製1ヶ月後の摘出試料(下顎)の写真である。NFκBデコイ投与部分を矢印で表す。2本の破線に挟まれる部分が、歯根露出部である。 モデル作製1ヶ月後の上下顎左右第二切歯の歯根長の測定を行った結果を示す写真である。 モデル作製1ヶ月後、2ヶ月後、及び3ヶ月後の上下顎左右第二切歯の露出歯根長に対するNFκBデコイ、及びスクランブルデコイの投与効果を示すグラフである。 モデル作製2ヶ月後の解剖時に撮影した上顎部のレントゲン写真である。NFκBデコイ投与部分を矢印で表す。2本の破線に挟まれる部分が、歯根露出部である。 モデル作製2ヶ月後の解剖時に撮影した下顎部のレントゲン写真である。NFκBデコイ投与部分を矢印で表す。2本の破線に挟まれる部分が、歯根露出部である。 図8のグラフにプロットした歯槽骨の長さ、及び歯頸から測定された歯根の長さを、モデル顎部のどの部分を測定して求めたかを模式的に示す図である。 モデル作製1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月後にレントゲン撮影した、上顎部並びに下顎部の写真から求めた残存歯槽骨長/歯根長比をプロットしたグラフである。NFκBデコイ投与の歯槽骨温存効果が示された。 DEXAを用いて得られた解析画像を示す写真である。測定部位は、上顎は第二切歯近心側、下顎は第二切歯遠心側の白枠で囲われた部分とした。 糸巻きモデルにおける、経時的な骨密度変化に対するデコイの効果をDEXA分析により解析した結果を示す図である。 糸巻きモデルにおける、モデル作製2ヶ月後の歯肉溝浸出液中のIL-6量を示すグラフである。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの臼歯部を、手術直後、並びにモデル作製2及び4週間後にレントゲン撮影した写真である。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの、術後1ヶ月の顎骨横断切面を観察した写真である。右側の写真の線部において、皮質骨の厚みを測定した。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの、術後1ヶ月の骨欠損部位を比較する写真である。矢印により、スクランブルデコイ(左)及びNFκBデコイ(右)をそれぞれ投与した部位を指す。 左側は、歯周病骨欠損モデルにおける骨欠損部の回復に対する、NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与の効果を数値的に評価するためにDEXAによる骨密度測定を行った骨欠損部位のレントゲン撮影を示す写真である。○印で囲われた部分が骨欠損部位である。右は、DEXAにより得られた解析画面である。□で囲われた部分が骨欠損部位である。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの骨欠損部のDEXAによる骨密度測定により得られた値をプロットしたグラフである。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの術後1ヶ月の骨欠損相当部のCT画像を示す写真である。真中のレントゲン写真は、X線マイクロCTに供する骨欠損相当部を特定するために撮影されたものである。左側2枚は、NFκBデコイを投与した骨欠損部についてのCT画像、右側2枚は、スクランブルデコイを投与した骨欠損部についてのCT画像である。画像中、同面積の海面骨部分を○で囲む。真ん中のレントゲン写真の倍率は2倍であり、左右の4枚のCT画像では、○の外円の直径が4mmに相当する。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの術後2ヶ月の骨欠損相当部のCT画像を示す写真である。左側2枚は、NFκBデコイを投与した骨欠損部についてのCT画像、右側2枚は、スクランブルデコイを投与した骨欠損部についてのCT画像である。画像中、同面積の海面骨部分を○で囲む。○の外円の直径が4mmに相当する。 NFκBデコイ及びスクランブルデコイ投与歯周病骨欠損モデルの術後1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月の、骨梁/測定空間体積比をプロットしたグラフである。
本明細書中、「歯周病(peridontal disease)」という用語は、歯周炎(periodontal infection)、歯肉炎(gingival inflammation)、歯根膜炎(dental periostitis)、歯槽膿漏(alveolar pyorrhea)、及びこれらの炎症病変による歯槽骨(alveolar bone)の破壊・縮小、並びに、虫歯からの根先病巣による歯槽骨欠損(alveolar bone defect caused by apical disease by root infection from dental caries)等を包含する、歯周組織における病変の総称として用いる。また、虫歯が進行した場合、根先病巣から歯槽骨が破壊され歯槽骨の欠損が起こりうるが、このような症状も、本明細書における「歯周病」に包含されるものと定義する。
ここで、「歯周炎」とは、根尖性歯周炎、若年性歯周炎、単純性歯周炎及び複雑性歯周炎等、あらゆる歯周炎を包含し、さらに抜歯(extraction of a tooth)、腫瘍(tumor)及び変形症(deformity)(例えば、顎変形症)の治療、再建(reconstruction)、インプラント(implant)及び矯正学的治療(orthodontic treatment)を目的とした口腔外科手術(oral surgery)をはじめとする、顎及び歯周領域のあらゆる外科手術後に伴う創傷による炎症も含む。一般に、歯周炎は、進行すると歯槽骨の破壊・縮小を起こす。一方、本明細書における「歯肉炎」は、歯肉症、壊死性潰瘍性歯肉炎(急性及び再発性のものを含む)、糖尿病性歯肉炎、増殖性歯肉炎(白血病性のものを含む)、ホルモン性歯肉炎、形質細胞性歯肉炎、化膿性歯肉炎、紡錘菌スピロヘータ歯肉炎、ならびにジフェニルヒダントイン歯肉炎等の薬剤に起因する歯肉炎等、あらゆる種類の歯肉炎を包含する。また、本明細書における「歯根膜炎」は、歯肉炎から進展して起きるものと、根先病巣から進展して起こるものとを含むが、本発明の治療、予防または改善剤は、いずれの歯根膜炎にも有効であり、特に歯肉炎から進展した歯根膜炎に有効である。
本明細書中、「外科手術」は、抜歯(extraction of a tooth)、腫瘍(tumor)及び変形症(deformity)(例えば、顎変形症)の治療、再建(reconstruction)、インプラント(implant)及び矯正学的治療(orthodontic treatment)を目的とした口腔外科手術(oral surgery)をはじめとする、顎及び歯周領域のあらゆる外科手術を包含する。本発明の治療、予防または改善剤は、上記外科手術による歯槽骨欠損の治療、予防及び改善に有用である。また、上記外科手術のうち、特にインプラント植立時、腫瘍摘出手術、顎変形症の治療のための外科手術、顎骨手術(例えば、上または下顎前突症の治療のためのもの)等の術後の創傷の治癒促進にも有効である。
本明細書において「歯槽骨欠損」とは、外科手術等により歯槽骨の一部を欠損または破損した状態をいう。
遺伝子の発現は、遺伝子の転写調節領域に結合する転写調節因子により制御されている。NFκBは、1986年にB細胞での免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子の発現にかかわるエンハンサーに結合する転写因子として同定された、主にp65とp50のサブユニットからなるヘテロ二量体であり(Cell 46 (1986) 705-16)、「NFκB」との用語は、当分野において、構造的に関連し、且つ進化的に保存された転写因子の活性を持つ蛋白質の総称として用いられている。NFκBは、サイトカイン(インターロイキン(IL)-1、IL-6、IL-8及び腫瘍壊死因子(TNF)等)、血管新生因子(血管内皮増殖因子(VEGF)等)、細胞結着因子(細胞間接着分子(ICAM)-1及び血管細胞接着分子(VCAM)-1等)、酵素(シクロオキシゲナーゼ(COX)-2及び一酸化窒素合成酵素(NOS)等)及び抗アポトーシス因子(bcl-2及びサバイビン等)等の遺伝子の転写を開始する種々のDNA配列に対して結合する(Ann Rev Immunol 14 (1996) 649-683;Immunol Today 19 (1998) 80-88; Trends Mol Med 8 (2002) 385-389; Nat Rev Cancer 2 (2002) 301-10)。
NFκBの結合配列(結合領域)は、種々の文献により公知である(例えば、「分子細胞生物学辞典」(東京化学同人 1997年発行)第891頁参照)。具体的な結合配列としては、GGGRHTYYHC(RはAまたはG; YはCまたはT; HはA,CまたはT)(配列番号:2)が挙げられる。例えば、gggatttccc(配列番号:3)及びgggactttcc(配列番号:4)が含まれるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本明細書中、「NFκBデコイ」は、細胞内で転写因子NFκBと結合し、NFκBのゲノム上の対となる結合配列との結合を阻害することにより、NFκBの活性を抑制する分子を指す。デコイ(decoy)とは、英語で「おとり」の意味であり、当分野においては、ある物質が本来結合または作用する物質に似せた構造を有する物質を「デコイ」と呼んでいる。ゲノム遺伝子上の結合領域に結合する転写因子のデコイとしては、主として該結合領域と同じ塩基配列を有する二本鎖オリゴヌクレオチドが知られている(特許文献1、特許3392143号公報、WO95/11687号公報)。このようなオリゴヌクレオチドから成るデコイの共存下では、転写因子の分子のうちの一部は、本来結合すべきゲノム遺伝子上の結合領域に結合せずに、オリゴヌクレオチドデコイに結合する。このため、本来結合すべきゲノム遺伝子上の結合領域に結合する転写因子の分子数が減少し、その結果、転写因子の活性が低下することになる。この場合、オリゴヌクレオチドは、本物のゲノム遺伝子上の結合領域の偽物(おとり)として機能して転写因子を結合するため、デコイと呼ばれる。NFκBに対するオリゴヌクレオチドデコイも種々知られており、様々な薬理効果が確認されている(特開2005-160464号公報;WO96/35430;WO02/066070;WO03/043663;WO03/082331;WO03/099339;WO04/026342;WO05/004913;WO05/004914)。
デコイにおいては、一般的に、NFκB結合配列(結合領域またはコンセンサス配列、コア配列とも称される)の両端に、さらに別のヌクレオチドが連結されている。該ヌクレオチド部分は付加配列と呼ばれる場合がある。各末端の該ヌクレオチド部分は、1以上の塩基からなり、好ましくは1〜20ヌクレオチド、より好ましくは1〜10ヌクレオチド、最も好ましくは1〜7ヌクレオチドからなる。
これに限定される訳ではないが、本発明において特に好ましいとデコイとして二本鎖のオリゴヌクレオチドが挙げられる。二本鎖は、完全に相補的な配列からなるものが好ましいが、転写因子が結合し得る限り、1または数個(好ましくは1または2個)の非相補的な塩基対を含んでいてもよい。即ち、5'-末端付加配列-結合配列-末端付加配列-3'という構成を有するセンス鎖オリゴヌクレオチドと、それに完全に相補的なアンチセンス鎖ヌクレオチドとからなる二本鎖オリゴヌクレオチドが、本発明における典型的なデコイとして挙げられる。ここで、両末端付加配列の間の結合配列の数は限定されず、複数の結合配列が、タンデムに、直接または1若しくは数個のヌクレオチドを挟んで連結されていてもよい。
デコイを構成するオリゴヌクレオチドは、DNAでもRNAでもよく、1つ以上の修飾された塩基を含有していてもよい。例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、メトキシエチルホスホート、及びモルホリノホスホロアミデード等のバックボーン修飾された核酸、ペプチド核酸(peptide nucleic acid: PNA)、ロックド核酸(locked nucleic acid: LNA)、並びにジニトロフェニル(DNP)化及びO-メチル化された塩基を含む核酸が挙げられる。本発明においては、オリゴヌクレオチド中のかかる修飾を施すデオキシリボヌクレオシドを、リボヌクレオシドとして該オリゴヌクレオチドを合成して、そのリボヌクレオシドに修飾を施すことが可能である。例えば、O-メチル化、DNP化等は、通常リボヌクレオシドに対する修飾であり、かかる方法を用いることが好ましい場合がある。中でも、ホスホロチオエート化された塩基(即ち、ヌクレオシド間の結合がホスホロチオエート結合であること)を含むオリゴヌクレオチドが好ましい。オリゴヌクレオチドを構成する塩基の全てが修飾されていても、いずれか1つ、またはそれ以上の塩基が修飾されていてもよい。
たとえば、次の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとその相補鎖からなる2本鎖を含むヌクレオチド鎖を本発明ににおけるNFκBデコイとして用いることができる。上記のように、本発明のNFκBデコイは、次の塩基配列に対して別のヌクレオチドを連結することができる。更に、転写因子が結合しうる限り、少なくとも1つの修飾された塩基を含むことができる。あるいはヘアピン構造などによって2本鎖構造を維持している限り、ヌクレオチド鎖は1本鎖であることもできる。
5'-CCTTGAAGGGATTTCCCTCC-3'(配列番号:5)
5'-AGTTGAGGACTTTCCAGGC-3'(配列番号:7)
5'-AGTTGAGGGGACTTTCCCAGGC-3'(配列番号:9)
本発明に用いる好ましいNFκBデコイの例としては、
5'-CCTTGAAGGGATTTCCCTCC-3'(配列番号:5)
3'-GGAACTTCCCTAAAGGGAGG-5'(配列番号:6)
の相補的二本鎖オリゴヌクレオチドからなるもの、
5'-AGTTGAGGACTTTCCAGGC-3'(配列番号:7)
3'-TCAACTCCTGAAAGGTCCG-5'(配列番号:8)
の相補的二本鎖オリゴヌクレオチドからなるもの、及び
5'-AGTTGAGGGGACTTTCCCAGGC-3'(配列番号:9)
3'-TCAACTCCCCTGAAAGGGTCCG-5'(配列番号:10)
の相補的二本鎖オリゴヌクレオチドからなるものが挙げられる。
しかしながら、本発明のデコイは、二本のオリゴヌクレオチド鎖より構成されるものに限定されない。例えば、環状一本鎖のオリゴヌクレオチド鎖であって、NFκB結合配列とその相補配列との両方を含有し、これらの配列が分子内結合により二本鎖を形成しているダンベル型(リボン型またはステイプル型とも呼ばれる)、また非環状一本鎖のオリゴヌクレオチド鎖からなるヘアピン型のデコイ等、二本鎖デコイ以外のものであっても、NFκB結合配列とその相補配列とが水素結合してなる二本鎖部分にNFκBが結合し、それによりNFκBによる転写活性化が抑制される限り、本発明のデコイとして使用し得る。
本発明の剤には、1または複数のNFκBデコイが、有効成分として含まれる。本剤に含まれるデコイは、含まれるデコイ同士が互いの作用を阻害しない限り、1種類のものに限定されない。
本発明に用いられるデコイは、公知の核酸合成法により製造することができる。例えば、ホスホアミダイド法(Am J Chem Soc 103 (1981) 3185-3191)、ホスファイト・トリエステル法(Nature 310 (1984) 105-111)等、種々の慣用の方法が公知である。また、必要に応じ、DNAシンセサイザー等を利用してもよい。
あるオリゴヌクレオチドが転写因子に結合し、デコイとして機能するか否かは、公知の結合活性試験により確認することができる。NFκBについての結合活性試験には、例えば、TransAM NFκB p65 Transcription Factor Assay Kit(ACTIVE MOTIF社)を用いることができる。該キットに添付の資料に基づいて、または当業者が日常的に行う程度のプロトコルの改変により、容易に実施することができる。即ち、当業者であれば、例えば、公知のNFκBデコイ、または本明細書中において特定の配列により示されるデコイを適宜改変した(例えば、デコイを構成する塩基の置換、付加、挿入、削除、修飾等による)オリゴヌクレオチドが、デコイとして機能するかどうかを容易に調べることができる。従って、このような観点からも、本発明において用いられるNFκBデコイは、例えば、実施例によりその活性が確認されたオリゴヌクレオチドに限定されるものではない。
実施例に示すように、本発明者らによる歯槽膿漏モデル及び骨欠損モデルを用いた実験により、NFκBデコイが、骨代謝機転において過剰な炎症反応及び骨吸収を抑制し、新生骨形成を促進し、早期の修復機転を促すことが示された。このようなNFκBデコイの歯槽骨欠損の治癒過程での効果は、NFκBによる転写活性化を抑制する作用によると考えられることから、デコイ以外のNFκBの転写活性化を抑制する物質であっても、本願発明の剤と同じような効果が得られるものと考えられる。そこで、本発明は別の態様として、これらに限定される訳ではないが、アンチセンス、リボザイム、アプタマー、siRNA等の細胞内の転写活性を制御できることが知られる公知の成分を含む、歯周病、外科手術等の歯槽骨の欠損を伴う疾病等の治療、予防または改善のための方法及び医薬を提供するものである。結合するヌクレオチド配列が知られている転写因子に対するアンチセンス、リボザイム、アプタマー、及びsiRNAの製造方法は、当分野において周知である。従って、当業者であれば、周知技術に基づき、種々の結合配列が明らかにされているNFκBについて、適当なアンチセンス、リボザイム、アプタマー及びsiRNAを容易に作成することができる。
本発明は、NFκBデコイを有効成分として含有する、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損の治療、予防または改善剤に関する。ここで「治療」とは、歯周病及び外科手術による、歯槽骨の欠損及びそれに伴う諸症状を完全に治癒することだけでなく、少なくともそれらの症状の一部を改善することを含む。また「予防」とは、歯周病が起こる前、または外科手術前若しくは直後の投与により、歯周病及び外科手術による、歯槽骨の欠損及びそれに伴う諸症状の少なくとも一部を抑制することを指す。さらに、「予防」には、一度治療した後に、再度の発症を防ぐための投与が含まれる。そして「改善」とは、歯周病及び外科手術による、歯槽骨の欠損及びそれに伴う諸症状の少なくも一部の症状を緩和することを指す。
本発明の治療、予防または改善剤は、例えば、注射投与、塗布投与、埋没投与により投与することができる。したがって、本発明の治療、予防または改善剤は、注射剤、塗布投与または埋没投与のための軟膏剤または埋没剤とすることができる。骨欠損の治療剤としては、注射剤または埋没剤が好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、歯周組織に局所投与できる剤形、及び投与方法であればいずれの剤形及び投与方法を採用することができ、当業者であれば任意に選択することができる。
注射剤とする場合、注射剤の組成として製薬上許容されうる担体(液体)にNFκBデコイを溶解したものを用いることができる。担体の例としては、生理的リン酸緩衝液(PBS)またはコラーゲン溶液等が挙げられる。しかしながら、本発明は、これらの担体に限定される訳ではなく、必要に応じ、公知のいかなる担体を利用することもできる。
軟膏剤とする場合、軟膏剤の組成として製薬上許容されうる基材、例えば、これらに限定される訳ではないが、ポリエチレングリコール、グリセリン等に、NFκBデコイを混入したものを用いることができる。
埋没剤とする場合、これらに限定される訳ではないが、コラーゲン、ゼラチン、ヒドロキシアパタイト等の公知の埋没剤に適した基材に、NFκBデコイを付着または混入させてそれを患部に埋没投与することができる。
中でも歯周病、特に歯肉炎及び歯槽膿漏の治療または改善のため本発明の剤を用いる場合は、歯と歯茎(歯肉)の間に歯周ポケットができていれば、本発明の剤をそこに注入することもできる。このような場合、剤形としては、軟膏剤または埋没剤がより好ましい。あるいは歯肉部分に局所投与するための注射剤も、本発明における好ましい剤型である。
いずれの剤形を採るにせよ、剤中に含有されるNFκBデコイが徐々に放出されうるような基材及び担体がより好ましい。当業者であれば、当技術分野で使用されているものの中から、好ましい基材及び担体を選択することができる。例えば、ゼラチンおよびコラーゲンなどが好ましい。他の好ましい担体としては、例えばAteloGeneTM Local Use(KOKEN)等が挙げられるが、これに限定はされない。すなわち、NFκBデコイと核酸導入剤を含む医薬組成物は、本発明の治療、予防または改善剤として好ましい。より具体的には、NFκBデコイと核酸導入剤を含む、注射によって歯肉に投与するための医薬組成物は、本発明の治療、予防または改善剤として好ましい。核酸導入剤とは、ゼラチン、コラーゲン、あるいはアテロコラーゲンなどが含まれる。あるいは本発明は、NFκBデコイの、歯周病および歯槽骨欠損のいずれか、または両方の治療のための医薬組成物の製造における使用に関する。あるいは本発明は、NFκBデコイの、歯周病および歯槽骨欠損のいずれか、または両方の治療における使用を提供する。本発明における治療、予防または改善剤には、その他、必要に応じ、種々の賦形剤、安定化剤、滑面沢剤、添加剤等を加えることができる。
なおアテロコラーゲンとは、コラーゲンからテロペプチドを除去したものである。テロペプチドはペプシンなどのタンパク質分解酵素でコラーゲンを処理することにより、コラーゲンから除去することができる。テロペプチドは抗原性が強いため、その除去によってより安全性の高いコラーゲンとすることができる。アテロコラーゲンは、たとえば、ヌクレオチド鎖(すなわちNFκBデコイ)と混合することによって両者からなる複合体とすることができる。複合体を形成するためのアテロコラーゲンは、粒子状あるいは繊維状であることができる。粒子状のアテロコラーゲンは、たとえば300nm〜300mcm、あるいは300nm〜30mcmの大きさとすることができる。適当な緩衝液中で、コラーゲンが溶解しない温度条件下でヌクレオチド鎖を混合することによって、複合体が形成される。このとき、コラーゲンの濃度、塩濃度、温度などの条件によって、複合体の形状や大きさを調節することができる。コラーゲンとヌクレオチド鎖の配合比は、たとえば1:1〜1:100の間で適宜選択することができる。
本発明のデコイを有効成分として含む剤は、ヒト及びその他の哺乳動物における歯槽骨欠損の治療、予防または改善に用いることができる。すなわち本発明は、NFκBデコイを、歯周病、及び外科手術による歯槽骨欠損のいずれかまたは両方を患った対象に投与する工程を含む、歯周病の治療、および改善のいずれか、または両方のための方法を提供する。本発明において、NFκBデコイは、好ましくは注射によって歯肉に投与される。NFκBデコイを核酸導入剤とともに投与することもできる。あるいは本発明は、歯槽骨の欠損部位にNFκBデコイを投与する工程を含む、歯槽骨欠損の治療、および改善のいずれか、または両方のための方法を提供する。本発明において、NFκBデコイは、好ましくは、治療すべき欠損部位に埋没投与される。NFκBデコイを、核酸導入剤との組成物として投与することもできる。ゼラチン、コラーゲン、あるいはアテロコラーゲンなどの核酸導入剤を埋没投与するための組成物に配合することができる。埋没投与とは、欠損部位に投与すべき医薬組成物を局所的に投与し保持させることを言う。外科的に欠損部位に医薬組成物を投与することもできるし、あるいは注射によって欠損部位に埋没投与することもできる。
投与される本剤中に含有されるNFκBデコイの量は、投与される対象の年齢、体重、症状、投与方法及び経路等の条件によって異なる。当業者であれば、これらの諸条件を勘案した上で、適当な投与量を決定することができる。例えば、成人(60kgあたり)一日当り、0.05〜1000mg、好ましくは0.1〜100mgを、1〜複数回に分けて投与することができる。ヒト以外の投与対象についても、体重、症状の重篤度等を勘案して、当業者が適当な投与量を決定することができる。
本発明の剤は、NFκBデコイに加えて、NFκBデコイの作用が阻害されない限り、歯周病及び歯槽骨の欠損を伴う外科手術時に使用可能なその他の有効成分を含むことができる。または、そのような有効成分を含む別の製剤と共に、若しくは時間差で投与することにより併用してもよい。本剤と併用できる成分として、抗生物質、止血剤等が例示される。抗生物質としては、例えばペニシリン、エリスロマイシン及びテトラサイクリン等が挙げられる。特に、テトラサイクリンの併用は好ましい。また、止血剤として、トラネキサム酸が挙げられる。これらの抗生物質及び止血剤の投与の用法、並びに用量は当業者に周知であり、本剤と併用する場合にも、これら周知の情報に基づいて、適当な用量等を決定することができる。
以下の実施例において、本発明を例証するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるわけではない。
以下の実施例では、歯周病モデルとして2種の動物モデルを用いた。1つは、歯槽膿漏モデルとして、歯垢堆積によって歯肉炎を誘発し、歯槽骨の吸収(退縮)を引き起こす、ビーグル犬を用いた歯肉溝内綿糸結紮法モデル(本明細書中、糸巻きモデルとも称する)である。かかるモデルの作製のため、日歯周誌36(4)(1994)823-833に記載の方法に基づいて、絹糸を用い、左右の上顎及び下顎第二切歯の歯肉溝内にそれぞれ糸(3号絹糸)を結紮した。歯肉溝内に絹糸を結紮することにより、口腔内の自浄作用が停滞し歯垢が堆積し歯肉炎を誘発、歯槽骨の吸収(退縮)が導かれる。
もう1つのモデルは、根先病巣や外科的手術により生じる骨欠損のモデル(本明細書中、骨欠損モデルとも称する)である。かかるモデルの作製は、J Periodont Res 38 (2003) 97-103に記載の方法に基づいて、静脈麻酔下にて、左右の下顎臼歯の根分岐部相当の歯槽骨に歯科用エンジンを用いたバーで骨欠損を作製した。
本実施例においては、NFκBデコイとしてCCTTGAAGGGATTTCCCTCC(配列番号:1)の配列を有するオリゴヌクレオチド、及びこの配列に完全に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドを含む二本鎖デコイであって、全ての塩基間結合がホスホロチオエート化修飾されているものを用いた。また、スクランブルデコイとしては、CATGTCGTCACTGCGCTCAT(配列番号:11)の配列及びこれに完全に相補的な配列を有する二本のオリゴヌクレオチドからなる二本鎖デコイであって、全ての塩基間結合がホスホロチオエート化修飾されているものを用いた。かかる配列からなる二本鎖デコイは、細胞内に導入してもNFκBの活性に干渉しないことが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
(1)糸巻きモデルにおける歯周病に対するNFκBデコイオリゴヌクレオチドの効果
全12匹(1ヶ月モデル、2ヶ月モデル、3ヶ月モデル各4匹ずつ)のビーグル犬(雄、10〜12ヶ月齢)を使用した。歯周病の発症機序としては、歯周ポケットに食べ物や歯垢が堆積することによって感染を起こし歯周病へと発展する。その際、炎症によって歯槽骨の吸収(退縮)が起こる。したがって、本モデルのように糸を巻くことで、歯周ポケットに食べ物や歯垢が堆積しやすくなり、歯周病が引き起こされる。図1にその模式図を示す。図1において、左図は糸を結紮したモデル作製時の模式図であり、時間がたつと右図のように歯槽骨の吸収(退縮)が起こる。
そこで、本モデルを作製後、左側上顎下顎第二切歯の歯根歯肉部分にNFκBデコイを、右側上顎下顎第二切歯の歯根歯肉部分にはコントロールとしてスクランブルデコイを、それぞれ 1 mg/部位の用量にて2週間毎に注射により投与した。使用したデコイは、デコイ溶液(TEバッファーに溶解)とAteloGeneTM Local Use(KOKEN)キットのAteloGeneTMと体積比で1:1の割合で混ぜ合わせ、最終的にデコイが1 mg/100μlになるように調製して用いた。
1ヶ月後、2ヶ月後及び3ヶ月後にそれぞれ4匹ずつの標本を作製した。歯根長の評価方法は、解剖後の摘出試料により露出歯根長を直接測定するもの、飼育観察期間中を通じて行うレントゲン撮影による評価、DEXA(Dual Energy X-ray absorptiometry;X線骨密度測定装置)による骨密度の測定の三通りで行った。
図2の写真は、モデル作製1ヶ月後に得た摘出試料(下顎)の付着軟組織を次亜塩素酸ナトリウムによって取り除き、歯根露出面を見やすくしたものである。下顎左右第二切歯の露出した歯根長を測定・比較すると、スクランブルデコイを投与した右第二切歯部では歯槽骨退縮(歯根露出;2本の破線で挟まれた部分)が認められたが、NFκBデコイを投与した左第二切歯の歯槽骨では骨吸収(退縮)が抑制されていた。
さらに、同様にモデル作製1ヶ月後の上下顎左右第二切歯の歯根長の測定を行った(図3)。測定部位は、上顎は第二切歯近心側、下顎は第二切歯遠心側とした。上下顎共にNFκBデコイを投与した左第二切歯部の歯槽骨(図3中、矢印で指している側)は温存され歯根露出(図3中、黒線)は抑制されたが、スクランブルデコイを投与した右第二切歯の歯槽骨は退縮が進み歯根露出(黒線)が顕著であった。図4は、モデル作製1ヶ月、2ヶ月、及び3ヶ月後の上下顎左右第二切歯の露出歯根長を示すグラフである。全体において経時的に露出長は長くなるが、より短い方が骨吸収が抑えられ、露出が抑制されている事を示す。1ヶ月モデル、2ヶ月モデルの全てにおいて、NFκBデコイ投与とスクランブルデコイ投与との間に歯根露出長の差が認められた。その結果、NFκBデコイ投与群の方が、露出が抑制されることが示された。
さらにまた、モデル作製2ヶ月後の解剖時に撮影した上顎部のレントゲン写真(図5)においても、NFκBデコイを投与した上顎左第二切歯(右側の矢印で指している部分)の歯槽骨先端(黒線)が、スクランブルデコイを投与した右第二切歯(左側の矢印で指している部分)の歯槽骨先端(白線)よりも骨吸収(退縮)が抑制されていることが判明した。
同様に、モデル作製2ヶ月後の解剖時に撮影した下顎部のレントゲン写真(図6)においても、上顎同様、NFκBデコイを投与した左第二切歯(右側の矢印で指している部分)の歯槽骨の骨吸収(退縮)が、スクランブルデコイを投与した右第二切歯部(左側の矢印で指している部分)よりも抑制されていると認められた。
次に、歯槽骨の吸収を定量化してNFκB デコイとスクランブルデコイの効果を比較した。レントゲン撮影した場合、撮影角度により映像が伸縮するため、測定絶対値では経時的な比較ができない。そこで、対照として、長さに変化のない歯根長を使用することとした(図7参照)。具体的には、歯頸からの歯根の長さで、歯槽骨の長さを割り、『歯槽骨長/歯根長比』を求めた。モデル作製から1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月後の歯槽骨長/歯根長比を『残存歯槽骨長/歯根長比』と呼ぶ。飼育期間が長くなるほど歯槽骨の吸収(退縮)が自然に進行し、残存歯槽骨長/歯根長比は減少するが、NFκBデコイ投与群では経時的な骨吸収進行が、スクランブルデコイ投与群と比べて抑制され、NFκBデコイが歯槽骨の温存に貢献していることが示された(図8)。
さらに、別の歯槽骨吸収の評価方法として、DEXA(Dual Energy X-ray absorptiometry;X線骨密度測定装置)分析をおこなった。解析画像を図9に示す。測定部位は、上顎は第二切歯近心側、下顎は第二切歯遠心側(白枠で囲われた部分)とした。モデル作製1、2及び3ヶ月後の結果を図10に示す。NFκB デコイ投与群では、スクランブルデコイ投与群に比べて歯槽骨の骨密度が上昇しており、NFκBデコイが歯槽骨の吸収(退縮)を抑制し、骨梁温存効果を有すると認められた。
さらに、この糸巻きモデル犬において、モデル作成2ヶ月後の歯肉溝浸出液中のIL−6を測定した。IL−6は炎症を惹起するサイトカインの一種であり、破骨細胞を分化誘導させて骨破壊を起こす引き金となることが良く知られている。すなわち、歯肉溝滲出液中のIL−6量は、炎症の指標であるとともに、骨破壊の予測因子でもある。
IL−6は、常法にしたがってELISAで測定した。その結果を表1および図11に示す。
Figure 0005384120
上顎および下顎とも、コントロール群のスクランブルデコイ投与群に比べて、NFκBデコイ投与群で、歯肉溝滲出液中のIL−6が低減されていた。この結果からも、NFκBデコイが歯周病の炎症を抑え、骨破壊を抑制することがわかった。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
(2)歯周病骨欠損モデルにおけるNFκBデコイオリゴヌクレオチドの効果
本実施例に用いたビーグル犬(雄、10〜12ヶ月齢)骨欠損モデルは、静脈麻酔下、左右それぞれに、近心小臼歯部より歯肉弁を作製して歯槽骨を露出させ、大臼歯歯根分岐部に歯科用バーにて直径5mmの3壁性骨欠損を作製したものである。 左臼歯の骨欠損部位にはコラーゲン基材(AteloGeneTM)に混入したNFκB デコイを、右臼歯の骨欠損部位には同様に混入したスクランブルデコイを、それぞれ埋没投与した。使用したデコイは、上記実施例と同様1 mg/100μlになるように調製して用いた。デコイの埋没投与後、歯肉弁を復位して縫合した。手術後2週間で歯肉弁は治癒し、外部からの感染刺激等は遮断された。また、手術直後から術後4週間までの間、2週間間隔でレントゲン撮影することにより、骨欠損修復過程を観察した(図12)。
術後1ヶ月の時点で顎骨を取出して横断切面を観察したところ、NFκBデコイを投与した右側の皮質骨の厚みが増していることが確認された(図13)。また、この術後1ヶ月のモデルの骨欠損部位を比較したところ、NFκBデコイ投与部位では、欠損部の表面に完全な皮質骨が形成されているが、スクランブルデコイ投与部位では柔らかくもろい皮質骨しか観察されなかった(図14)。
この骨欠損部の回復を数値的に評価するため、DEXAによる骨密度測定を行った。歯科用レントゲンにて確認される骨欠損部位(図15左図○で囲った部位)を、DEXAにて解析した。図15右図にその解析画面を示す。解析は、術後1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月のモデル動物について行った。NFκB デコイ投与部位及びスクランブルデコイ投与部位の両方において、骨密度は、治癒機転により経時的に増加するが、両群間には修復速度に差が見られた。NFκBデコイを投与した部位の方が、スクランブルデコイを投与した部位に比して約1ヶ月早い治癒機転が認められた(図16)。
さらに、骨欠損部の回復をX線マイクロCT(小動物用:SHIMADZU Kyoto Japan、X-ray CT system SMX-100CT-SV)及び解析ソフト(X-ray Image Viewer Version 4.0)を用いて解析した。本解析では、画像イメージの他、骨密度に相当する単位体積あたりの骨梁占有率等が測定可能である。術後1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月の時点で解析した。レントゲン写真により特定された骨欠損相当部をX線マイクロCTに供し、CT画像を得た。術後1ヶ月の画像を図17に示す。図17中、円で囲んだ部分が海綿骨であり、それぞれの円が囲む面積はいずれも等しい。NFκBデコイを投与した側では骨欠損部に白く新生骨が写っているが、スクランブルデコイを投与した側では欠損部の修復が遅れて骨梁が疎なために黒く写っている。術後2ヶ月の画像を図18に示す。NFκBデコイを投与した側では円で囲んだ部分に占める新生骨の比率が増加し、ほぼ正常海綿骨梁と同程度にまで修復過程が達している。一方、スクランブルデコイを投与した側では欠損部の修復が遅れており、黒く写る空洞の割合(未修復部分)が多い。
この解析結果を数値的に評価するため、骨欠損部における新生骨の占める割合を骨梁/測定空間体積比として求め、得られた値をグラフ化した(図19)。NFκB デコイを投与した側では経時的に骨量が増加し、術後2ヶ月にほぼプラトーに達するのに対して、スクランブルデコイを投与した側では治癒過程に大きな改善は認められなかった。
本発明者らによる歯槽膿漏モデル及び骨欠損モデルを用いた実験により、NFκBによる転写活性化を抑制することによって、NFκBデコイが、骨代謝機転において過剰な炎症反応及び骨吸収を抑制し、新生骨形成を促進し、早期の修復機転を促すと考えられた。このようなNFκBデコイの歯槽骨欠損の治癒過程での効果に基づき、本発明は、歯周病、及び外科手術等による歯槽骨の欠損を伴う疾病等の治療、予防または改善のための新規手段を提供する。

Claims (6)

  1. NFκBデコイを有効成分として含有する外科手術による歯槽骨欠損治療、予防または改善剤。
  2. NFκBデコイを注射によって投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1に記載の治療、予防または改善剤。
  3. 剤型が、コラーゲン基材にNFκBデコイが付着した剤形である、請求項1または2に記載の治療、予防または改善剤。
  4. NFκBデコイに含まれる塩基間結合の少なくとも1つはホスホロチオエート結合である、請求項1−のいずれかに記載の治療、予防または改善剤。
  5. NFκBデコイに含まれる塩基間結合の全てがホスホロチオエート結合である、請求項記載の治療、予防または改善剤。
  6. NFκBデコイが、CCTTGAAGGGATTTCCCTCC(配列番号1)からなるオリゴヌクレオチドと、これに完全に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドとが二本鎖形成した二本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1−のいずれかに記載の治療、予防または改善剤。
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